(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記エッチング処理の処理時間の経過に応じて、前記載置台に印加される負の直流電圧の周波数を連続的に又は段階的に低下させることを特徴とする請求項1に記載のエッチング装置。
プラズマによるエッチング処理の対象となる被処理体が載置され、下部電極として機能する載置台に載置された被処理体に対するエッチング処理が開始される際に、前記載置台に印加される負の直流電圧を発生する直流電源から前記載置台に負の直流電圧を周期的に印加し、
前記エッチング処理の処理時間の経過に応じて、前記直流電源から前記載置台に印加される負の直流電圧の周波数を低下させる、
処理をコンピュータが実行し、
前記低下させる処理は、前記エッチング処理が開始されてから予め定められた時間が経過した時点において、前記載置台に印加される負の直流電圧の周波数を第1の周波数から前記第1の周波数よりも低い第2の周波数まで低下させることを特徴とするエッチング方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0011】
従来、半導体ウェハ等の被処理体に対して、プラズマを用いてエッチング処理を行うエッチング装置が知られている。このようなエッチング装置は、真空空間を構成可能な処理容器内に、被処理体が載置され、電極としての機能も兼ねた載置台を有する。エッチング装置は、例えば載置台に所定の高周波電力を印加することにより、載置台に載置された被処理体に対し、プラズマによるエッチング処理を行う。また、エッチング装置は、プラズマによるエッチング処理を行う際に、載置台にバイアス用の高周波電力を印加することがある。載置台にバイアス用の高周波電力が印加されることにより、プラズマ中のイオンが被処理体へ引き込まれ、被処理体にホールや溝が効率的に形成される。
【0012】
ところで、近年、エッチング処理により被処理体に形成されるホールや溝に求められるアスペクト比が高くなっている。アスペクト比が高いホールや溝のエッチング処理では、エッチング処理が進行するに従い、被処理体へ引き込まれるイオンの直進性が低下するため、エッチング特性が劣化する。被処理体へ引き込まれるイオンの直進性は、載置台に印加されるバイアス用の高周波電力の周波数が低くなるほど、高くなることが知られている。
【0013】
そこで、周波数が異なる複数のバイアス用の高周波電力を発生する複数の高周波電源をエッチング装置に搭載し、エッチング処理の途中で、複数の高周波電源と載置台との接続を選択的に切り替えてバイアス用の高周波電力の周波数を変更する技術が知られている。
【0014】
しかしながら、複数の高周波電源がエッチング装置に搭載されると、エッチング装置の装置構成が複雑化する。このため、簡易な装置構成でエッチング特性の劣化を抑制することが期待されている。
【0015】
(第1実施形態)
[エッチング装置の構成]
図1は、第1実施形態に係るエッチング装置10を概略的な構成を示す概略断面図である。エッチング装置10は、処理容器12を備えている。処理容器12は、略円筒形状を有している。処理容器12は、プラズマが生成される処理空間を画成する。処理容器12は、例えばアルミニウムから構成されている。処理容器12は、接地電位に接続されている。処理容器12の内壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜、又は、酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。また、処理容器12の側壁には通路12pが形成されている。被処理体であるウェハWが処理容器12に搬入されるとき、また、ウェハWが処理容器12から搬出されるときに、ウェハWは通路12pを通過する。この通路12pの開閉のために、ゲートバルブ12gが処理容器12の側壁に沿って設けられている。
【0016】
処理容器12内では、支持部15が、処理容器12の底部から上方に延在している。支持部15は、略円筒形状を有しており、セラミックといった絶縁材料から形成されている。支持部15上には、載置台16が搭載されている。載置台16は、支持部15によって支持されている。載置台16は、処理容器12内においてウェハWを支持するように構成されている。載置台16は、基台18及び静電チャック20を含んでいる。基台18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。基台18は、下部電極としての機能を有する。
【0017】
基台18内には、流路18fが設けられている。流路18fは、熱交換媒体用の流路である。熱交換媒体としては、液状の冷媒、或いは、その気化によって基台18を冷却する冷媒(例えば、フロン)が用いられる。流路18fには、処理容器12の外部に設けられたチラーユニットから配管23aを介して熱交換媒体が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介してチラーユニットに戻される。即ち、流路18fには、当該流路18fとチラーユニットとの間で循環するように、熱交換媒体が供給される。
【0018】
静電チャック20は、基台18上に設けられている。静電チャック20は、絶縁体から形成された本体と、当該本体内に設けられた膜状の電極を有している。静電チャック20の電極には、直流電源が電気的に接続されている。直流電源から静電チャック20の電極に電圧が印加されると、静電チャック20上に載置されたウェハWと静電チャック20との間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、ウェハWは、静電チャック20に引き付けられ、当該静電チャック20によって保持される。静電チャック20の周縁領域上には、フォーカスリングFRが配置される。フォーカスリングFRは、略環状板形状を有しており、例えばシリコンから形成されている。フォーカスリングFRは、ウェハWのエッジを囲むように配置される。
【0019】
エッチング装置10には、ガス供給ライン25が設けられている。ガス供給ライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック20の上面とウェハWの裏面(下面)との間に供給する。
【0020】
処理容器12の底部からは、筒状部28が上方に延在している。筒状部28は、支持部15の外周に沿って延在している。筒状部28は、導電性材料から形成されており、略円筒形状を有している。筒状部28は、接地電位に接続されている。筒状部28上には、絶縁部29が設けられている。絶縁部29は、絶縁性を有し、例えば石英又はセラミックから形成されている。絶縁部29は、載置台16の外周に沿って延在している。
【0021】
エッチング装置10は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、載置台16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32と共に処理容器12の上部開口を閉じている。部材32は、絶縁性を有している。上部電極30は、部材32を介して処理容器12の上部に支持されている。後述する高周波電源62が基台18に電気的に接続されている場合には、上部電極30は、接地電位に接続される。
【0022】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含んでいる。天板34の下面は、処理空間に面している。天板34には、複数のガス吐出孔34aが設けられている。複数のガス吐出孔34aの各々は、天板34を板厚方向(鉛直方向)に貫通している。この天板34は、限定されるものではないが、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板34は、アルミニウム製の母材の表面に耐プラズマ性の膜を設けた構造を有し得る。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜、又は、酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0023】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する部品である。支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から形成され得る。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、複数のガス孔36bが下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス拡散室36aにガスを導くガス導入口36cが形成されており、このガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0024】
ガス供給管38には、バルブ群42及び流量制御器群44を介して、ガスソース群40が接続されている。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群42は複数のバルブを含んでおり、流量制御器群44は複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群44の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースはそれぞれ、バルブ群42の対応のバルブ及び流量制御器群44の対応の流量制御器を介して、ガス供給管38に接続されている。エッチング装置10は、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスを、個別に調整された流量で、処理容器12内に供給することが可能である。
【0025】
筒状部28と処理容器12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウム製の母材に酸化イットリウム等のセラミックを被覆することにより構成され得る。このバッフルプレート48には、多数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方においては、排気管52が処理容器12の底部に接続されている。この排気管52には、排気装置50が接続されている。排気装置50は、自動圧力制御弁といった圧力制御器、及び、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、処理容器12を減圧することができる。
【0026】
図1に示すように、エッチング装置10は、高周波電源62を更に備えている。高周波電源62は、処理容器12内のガスを励起させてプラズマを生成するための高周波電力を発生する電源である。プラズマ生成用の高周波電力は、27〜100MHzの範囲内の周波数、例えば60MHzの周波数を有する。高周波電源62は、整合回路64を介して、基台18に接続されている。整合回路64は、高周波電源62の出力インピーダンスと負荷側(基台18側)のインピーダンスを整合させるための回路である。
【0027】
エッチング装置10は、直流電源70を更に備えている。直流電源70は、載置台16(基台18)に印加される負の直流電圧(以下適宜「DC電圧」と呼ぶ)を発生する電源である。直流電源70は、例えば、モノポーラ型の可変直流電源である。直流電源70は、バイポーラ型の可変直流電源であってもよい。直流電源70は、ローパスフィルタ(LPF)72を介して基台18に接続されている。直流電源70において発生するDC電圧は、載置台16に載置されたウェハWにプラズマ中のイオンを引き込むためのバイアス電圧として用いられる。また、直流電源70は、後述する制御部95による制御に従って、発生するDC電圧の周波数(以下適宜「DC周波数」と呼ぶ)を変更可能に構成されている。また、直流電源70は、制御部95による制御に従って、発生するDC電圧の絶対値を変更可能に構成されている。
【0028】
エッチング装置10は、制御部95を更に備えている。制御部95は、CPU(Central Processing Unit)を備え、エッチング装置10の各部を制御する。制御部95には、工程管理者がエッチング装置10を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、エッチング装置10の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザインターフェイス96が接続されている。
【0029】
さらに、制御部95には、エッチング装置10で実行される各種処理を制御部95の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件データ等が記憶されたレシピが格納された記憶部97が接続されている。記憶部97は、例えばハードディスクや半導体メモリ等である。また、記憶部97は、コンピュータにより読み取り可能な可搬性の記憶媒体であってもよい。この場合、制御部95は、該記憶媒体からデータを読み取る装置を経由して、該記憶媒体に記憶された制御プログラム等を取得する。記憶媒体は、例えば、CD−ROMやDVD等である。
【0030】
制御部95は、ユーザインターフェイス96を介したユーザからの指示等に応じて、任意のレシピを記憶部97から読み出して実行することにより、エッチング装置10の各部を制御し、エッチング装置10に各種の処理を実行させる。例えば、制御部95は、ウェハWにプラズマによりホールや溝を形成するエッチング処理をエッチング装置10に実行させる。
【0031】
ところで、近年、エッチング処理によりウェハWに形成されるホールや溝に求められるアスペクト比が高くなっている。アスペクト比が高いホールや溝のエッチング処理では、エッチング処理が進行するに従い、ウェハWへ引き込まれるイオンの直進性が低下するため、エッチング特性が劣化する。
【0032】
図2は、エッチング処理が開始された際のイオンの状態を模式的に示す図である。例えば、
図2に示すように、エッチング処理が開始された際にウェハWに形成されるホールhの深さは比較的に浅いため、ホールh内においてイオンの直進性が保たれる。
【0033】
一方、エッチング処理が進行すると、エッチング特性が劣化する。
図3は、エッチング処理が進行した際のイオンの状態を模式的に示す図である。例えば、
図3に示すように、エッチング処理が進行してホールhの深さが深くなるに従って、ホールh内においてイオンの直進性が低下する。このようにホールh内においてイオンの直進性が低下することで、エッチング特性が劣化する。例えば、ホールhの底部にイオンが到達し難くなるので、エッチングレートが低下する。また、例えば、ホールhの側壁が必要以上に削れてしまうので、ベンディングやボーイングなどのエッチング形状の不良が発生する。載置台16にバイアス用の高周波電力が印加される場合、ウェハWへ引き込まれるイオンの直進性は、載置台16に印加されるバイアス用の高周波電力の周波数が低くなるほど、高くなることが知られている。そのため、載置台16にバイアス用の高周波電力に代えてDC電圧が印加される場合、載置台16に印加されるDC電圧の周波数を低下させれば、エッチング処理の進行に伴うイオンの直進性の低下を抑制することができると考えられる。
【0034】
そこで、制御部95は、ウェハWに対するエッチング処理が開始される際に、直流電源70から載置台16にDC電圧を周期的に印加し、エッチング処理の処理時間の経過に応じて、載置台16に印加されるDC電圧の周波数(つまり、DC周波数)を低下させる。
【0035】
[エッチング方法の流れ]
次に、本実施形態に係るエッチング装置10によって実行されるエッチング方法の流れを説明する。
図4は、一実施形態に係るエッチング方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図5は、DC周波数の低下態様の一例を示す図である。なお、
図4に示すフローチャートの開始前に、ウェハWが処理容器12内に搬入され、搬入されたウェハWが載置台16に載置され、処理容器12内に処理ガスが供給され、処理容器12内の圧力が所定の圧力に制御される。
【0036】
まず、制御部95は、直流電源70を制御して、直流電源70から載置台16にDC電圧を周期的に印加する(S101、
図5の時点t
1)。以下では、載置台16にDC電圧が印加されている期間の長さがT
onであり、DC電圧の印加が停止されている期間の長さがT
offであるものとする。
【0037】
続いて、制御部95は、高周波電源62を制御して、所定の周波数の高周波電力を載置台16に印加する(
図5の時点t
2)。これにより、処理容器12内に処理ガスのプラズマが生成され、生成されたプラズマにより、ウェハWに対するエッチング処理が開始される(S102)。
【0038】
続いて、制御部95は、エッチング処理が進行している間(すなわち、
図5の時点t
2〜t
3の間)、直流電源70を制御して、載置台16に印加されるDC電圧の周波数(つまり、DC周波数)を低下させる(S103、
図5の時点t
2〜t
3)。DC周波数は、1/(T
on+T
off)によって表される。
【0039】
本実施形態において、制御部95は、時点t
2〜t
3の間、エッチング処理の処理時間の経過に応じて、DC周波数を連続的に低下させる。これにより、エッチング処理が進行してウェハWに形成されるホールの深さが深くなる場合であっても、ホール内においてイオンの直進性の低下が抑制される。
【0040】
続いて、制御部95は、所定の深さのホールがウェハWに形成された時点t
3において、高周波電源62を制御して高周波電力の印加を停止し、直流電源70を制御してDC電圧の印加を停止する(
図5の時点t
3)。そして、処理ガスの供給が停止され、処理容器12の排気が行われ、ウェハWが処理容器12から搬出される。これにより、ウェハWに対するエッチング処理が終了する(S104)。
【0041】
以上のように、一実施形態に係るエッチング装置10は、載置台16と、直流電源70と、制御部95とを有する。載置台16は、プラズマによるエッチング対象となるウェハWが載置され、下部電極として機能する。直流電源70は、載置台16に印加される負の直流電圧を発生する。制御部95は、載置台16に載置されたウェハWに対するエッチング処理が開始される際に、直流電源70から載置台16に負の直流電圧を周期的に印加する。そして、制御部95は、エッチング処理の処理時間の経過に応じて、載置台16に印加される負の直流電圧の周波数を低下させる。これにより、エッチング装置10は、エッチング処理が進行してウェハWに形成されるホールや溝の深さが深くなる場合であっても、ホール内や溝内においてイオンの直進性の低下を抑制することができ、エッチング特性の劣化を抑制することができる。例えば、ホールや溝の底部へ到達するイオンのエネルギーが増大し、エッチングレートの低下が抑制される。また、例えば、ホールや溝の側壁のエッチングが抑制され、ベンディングやボーイングなどのエッチング形状の不良が抑制される。
【0042】
ここで、イオンの直進性の低下を抑制するために、周波数が異なる複数のバイアス用の高周波電力を発生する複数の高周波電源をエッチング装置に搭載し、エッチング処理の途中で、複数の高周波電源と載置台16との接続を選択的に切り替えることも考えられる。しかしながら、複数の高周波電源がエッチング装置に搭載されると、エッチング装置の装置構成が複雑化する。この点、一実施形態に係るエッチング装置10は、複数の高周波電源を搭載することなく、イオンの直進性の低下を抑制することができる。結果として、エッチング装置10は、エッチング処理の処理時間の経過に応じて、直流電源70から載置台16に周期的に印加される負の直流電圧の周波数を低下させるという簡易な装置構成でエッチング特性の劣化を抑制することができる。
【0043】
以上、種々の実施形態について説明してきたが、開示の技術は、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。
【0044】
また、上述した実施形態では、制御部95は、エッチング処理の処理時間の経過に応じて、載置台16に印加される負の直流電圧の周波数を連続的に低下させたが、開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、制御部95は、エッチング処理の処理時間の経過に応じて、載置台16に印加される負の直流電圧の周波数を段階的に低下させてもよい。載置台16に印加される負の直流電圧の周波数を低下させる各段階の時間幅は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、制御部95は、エッチング処理が開始されてから予め定められた時間が経過した時点において、載置台16に印加される負の直流電圧の周波数を第1の周波数から第1の周波数よりも低い第2の周波数まで低下させてもよい。
【0045】
また、上述したエッチング装置10において、制御部95は、エッチング処理の処理時間の経過に応じて、載置台16に印加される負の直流電圧の絶対値を増加又は減少させてもよい。例えば、エッチング処理の処理時間の経過に応じて、直流電源70から載置台16に印加される負の直流電圧の周波数が低下される場合、直流電源70のオン・オフを切り替える頻度が減少するので、直流電源70の発熱量が減少する。この場合、制御部95は、直流電源70を制御して、エッチング処理の処理時間の経過に応じて、載置台16に印加される負の直流電圧の絶対値を増加させる。これにより、エッチング装置10は、エッチング処理が進行してウェハWに形成されるホールや溝の深さが深くなる場合であっても、エッチング特性の劣化をより抑制することができる。例えば、載置台16に印加される負の直流電圧の絶対値を増加させることで、ホールや溝の底部へ到達するイオンの数が増大し、エッチングレートの低下が抑制される。
【0046】
ところで、載置台16に印加される負の直流電圧の絶対値が増加される場合、プラズマ中の正イオンがウェハWへ引き込まれることで、プラズマの電位が低下する。プラズマの電位が低下すると、プラズマとウェハWとの間で電気的な中性を保つために、ウェハWの電位が変動し、ウェハWが載置される載置台16とウェハWとの間の電位差が増大してしまう。結果として、載置台16とウェハWとの間で放電が発生する場合がある。そこで、エッチング装置10は、載置台16とウェハWとの間の電位差に応じて、直流電源70の制御を行ってもよい。例えば、エッチング装置10において、制御部95は、載置台16に印加される負の直流電圧の絶対値を増加させた後、載置台16とウェハWとの間の電位差を算出する。載置台16とウェハWとの間の電位差の算出には、例えば、ウェハWを囲むフォーカスリングFRの近傍に配置された測定器によって測定されたウェハWの電圧が用いられる。そして、制御部95は、算出された電位差が所定の閾値を超える場合に、直流電源70を制御して、載置台16に印加される負の直流電圧の値を、該電位差を減少させるシフト量だけシフトする。これにより、載置台16とウェハWとの間での放電の発生を抑制することができる。