特許第6965209号(P6965209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965209
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】ゲル状ソース
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20211028BHJP
   A23L 7/109 20160101ALN20211028BHJP
   A23L 29/238 20160101ALN20211028BHJP
   A23L 29/256 20160101ALN20211028BHJP
   A23L 29/269 20160101ALN20211028BHJP
【FI】
   A23L23/00
   !A23L7/109 A
   !A23L29/238
   !A23L29/256
   !A23L29/269
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-101160(P2018-101160)
(22)【出願日】2018年5月28日
(65)【公開番号】特開2019-205357(P2019-205357A)
(43)【公開日】2019年12月5日
【審査請求日】2020年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】日清フーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩川 愛
(72)【発明者】
【氏名】木村 竜介
(72)【発明者】
【氏名】東 雅文
(72)【発明者】
【氏名】鈴川 縁
【審査官】 福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−089059(JP,A)
【文献】 特開2004−215539(JP,A)
【文献】 特開平5−317011(JP,A)
【文献】 特開平10−136930(JP,A)
【文献】 特開平6−225708(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/053287(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0155433(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル状ソースであって、
ゲル状の第一ソースと、これに被覆される第二ソースとを含み、
該第一ソースが、pH7.0以下で、Awが0.80より高く0.90以下かつ該第二ソースのAwよりも高く、
該第二ソースが、pH3.5〜7.0で、Awが0.80以上0.86未満である、
ゲル状ソース。
【請求項2】
前記第一ソースと前記第二ソースとのAwの差が0.06以内である、請求項1記載のゲル状ソース。
【請求項3】
前記第一ソースと前記第二ソースとのAwの差が0.02以上である、請求項1又は2記載のゲル状ソース。
【請求項4】
前記第一ソースのゲル溶解温度が45〜75℃である、請求項1〜3のいずれか1項記載のゲル状ソース。
【請求項5】
前記第二ソースが溶解温度15〜40℃のゲルである、請求項4記載のゲル状ソース。
【請求項6】
前記第一ソースのタンパク質含量が1質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項記載のゲル状ソース。
【請求項7】
前記第二ソースが油脂及び水を含み、該油脂の量が該水の量よりも多い、請求項1〜6のいずれか1項記載のゲル状ソース。
【請求項8】
パスタソースである、請求項1〜7のいずれか1項記載のゲル状ソース。
【請求項9】
個包装されている、請求項1〜8いずれか1項記載のゲル状ソース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存性の高い複層のゲル状ソースに関する。
【背景技術】
【0002】
液状又はゲル状食品の保存性を高める手段として、従来、pH調整、保存料の添加、水分活性の調整などが用いられている。特許文献1には、食酢、醤油及び柑橘果汁と、ローカストビーンガム、キサンタンガム及びカラギーナンを含む増粘多糖類と、糖アルコールを含有し、塩分濃度4.0〜7.0質量%、かつ水分活性0.93未満であるゲル状調味料が記載されている。特許文献2には、水分活性約0.5〜0.8の均質な可塑性体をなすフルーツ組成物からなる硬いテキスチャを有する第1の部分と、水分活性約0.5〜0.8の油中水滴形エマルジョンからなる柔らかいテキスチャを有する第2の部分とを含み、該エマルジョンが約50〜92重量%の不連続な水性相と、乳化剤と、約8〜50重量%の連続した油性相からなり、該第1の部分と第2の部分との水分活性の差が約0.2以下である、保存性に優れたデュアルテキスチャを有する複合食品が記載されている。
【0003】
従来、ゲル相と液相の両方を含有する食品が提案されている。特許文献3には、表層部分にゲル化層、下方部分は液体又はソル状組成物の層を有する容器入りゼリー状食品が記載されている。特許文献4には、ゲル状物の内部に液状食品の1又は2以上の層を有するゲル状食品が記載されている。これらの食品は、ゲルを溶解させることなく食し、ゲルの食感を味わうものである。一方、ゲル状で保存し、加熱融解させて喫食するゲル状調味料が提案されている。特許文献5には、常温でゲル化した調味液と食品をインスタント加温容器中で加温して喫食するインスタント食品が記載されている。特許文献6には、常温で固体であり、調理時の加熱でペースト状になる固形ソースが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−135292号公報
【特許文献2】特開平2−9346号公報
【特許文献3】特開平11−196787号公報
【特許文献4】特開2002−027925号公報
【特許文献5】実開昭63−186182号公報
【特許文献6】特開平11−028073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外部ゲル層に包まれたソースを含む複層構造を有し、かつ微生物増殖が抑えられており保存性が高く、食味も良好なゲル状ソースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ゲル状ソースであって、ゲル状の第一ソースと、これに被覆される第二ソースとを含み、
該第一ソースが、pH7.0以下で、Awが0.80より高く0.90以下かつ該第二ソースのAwよりも高く、
該第二ソースが、pH3.5〜7.0で、Awが0.80以上0.86未満である、
ゲル状ソースを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゲル状ソースは、保存性が高く、かつ固形状態のまま常温保存することができるので、保存及び調理での取り扱いが容易である。また本発明のゲル状ソースは、保存性が高いにもかかわらず、水分活性やpHの調整のために多くの塩分や酸を含有する必要がないため、塩味や酸味が適切な状態に保たれ、良好な風味を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、外部ゲル層で内部ソースが被覆された複層構造を有するゲル状ソースに関する。液状又はゲル状のソースを固相で被覆することにより、食品の食感や風味に変化を与えたり、又は保存中や調理での取り扱い性を向上させることができる。さらに、被覆する外層を微生物が増殖しにくい組成とすれば、ソースの保存性をより高めることができる。しかし、外層のみ水分活性を下げて外層と内部との水分活性が異なると、外層と内部の境界面で水分移行が起こり、微生物増殖のリスクが高まる。一方、外層と内部の両方の水分活性を下げてしまうと食品の塩分濃度が高くなりすぎ、食味が低下する。また水分活性を下げずにpHを下げて保存性を担保する場合も、酸味が強くなるためやはり食味が低下する。本発明は、外部ゲル層で内部ソースが被覆された複層構造を有するゲル状ソースにおいて、良好な食味を維持したまま、微生物増殖を抑えて保存性を向上させる技術を提供する。
【0009】
本発明のゲル状ソースは、ゲル状の第一ソースとこれに被覆される第二ソースとを含む、複層構造を有する。該第一ソースは、常温でゲル状であり、該第二ソースは、常温で液状であってもゲル状であってもよい。本発明のゲル状ソースは、該第二ソースがゲル状の該第一ソースの層に被覆されていることで、全体としてゲルの形態を有する。
【0010】
該第一ソースと第二ソースは、異なる水分活性(Aw)を有する。該第一ソースのAwは、0.90以下であり、好ましくは0.80より高く0.90以下、より好ましくは0.85以上0.90以下である。一方、該第二ソースのAwは、0.86未満であり、好ましくは0.80以上0.86未満、より好ましくは0.80より高く0.85以下である。該第一ソース又は第二ソースのAwの上限が上記の値よりも高くなると、本発明のゲル状ソースの微生物増殖抑制能が低下する。一方、該第一ソース又は第二ソースのAwを低くしすぎると、本発明のゲル状ソースの塩味が強くなり食味が低下する。
【0011】
本発明のゲル状ソースにおいて、該第一ソースのAwは、第二ソースのAwよりも高い。好ましくは、該第一ソースと第二ソースとのAwの差は、0.02以上である。また好ましくは該第一ソースと第二ソースとのAwの差は、0.06以内である。
【0012】
本明細書における水分活性(Aw)の値は、チルドミラー露点測定法に従って測定された値である。第一ソース及び第二ソースのAwは、それらの塩分又は糖分の濃度を変更することで調整することができる。Awの調整に使用される塩や糖には、食塩、オリゴ糖などの食品製造に通常使用される塩や糖を用いることができる。
【0013】
該第一ソースと第二ソースのpHは、ソースの種類や所望される風味に応じて適宜設定することができる。該第一ソースと第二ソースのpHは、好ましくはともにpH7.0以下である。より好ましくは、該第一ソースはpH7.0以下であり、該第二ソースはpH3.5〜7.0である。さらに好ましくは、該第一ソースはpH4.8〜7.0であり、該第二ソースはpH4.8〜7.0である。なお好ましくは、該第一ソースはpH4.8〜5.8であり、該第二ソースはpH4.8〜6.0である。該第一ソース又は第二ソースのpHが低くなり過ぎると、本発明のゲル状ソースの酸味が強くなり食味が低下する。一方、該第一ソース又は第二ソースのpHが高くなり過ぎると、本発明のゲル状ソースの微生物増殖抑制能が低下する。第一及び第二ソースのpHは、食品製造に通常使用されるpH調整剤を用いて調整することができる。
【0014】
好ましくは、該第一ソースは、特定のゲル溶解温度を有する熱可逆性のゲルである。あるいは、該第一ソースと第二ソースがともにゲル状である場合、好ましくは、該第一ソースと第二ソースは、各々が特定のゲル溶解温度を有する熱可逆性のゲルである。したがって、好ましくは本発明のゲル状ソースは、常温では固形(ゲル)状であるが、温かい食品に適用すれば該食品の熱により融解して液状のソースとなる。本明細書において、熱可逆性のゲルとは、低温域ではゲル状(固形状)であり、高温域では流動性を有するゾル(液状)の形態に変化するゲルをいう。また本明細書において、ソースのゲル溶解温度とは、一旦ゲルになったソースを再加熱して、再びゾルになる際の温度をいう。より詳細には、日本工業規格JIS K 6503:2001「にかわ及びゼラチン」における「5.8 融点」に記載される融点測定方法に準拠して、好ましくは後述の実施例の参考1に記載される手順で、測定される温度をいう。
【0015】
好ましくは、該第一ソースは、ゲル溶解温度が45〜75℃であり、好ましくは50〜70℃である。好ましくは、該第一ソースは、45℃未満でゲル状であり、より高温でゾル化する。したがって、該第一ソースは、常温(例えば40℃以下)ではゲル状である一方で、通常の調理直後の温度(75〜90℃程度)の食品に適用されると、ゲル状から流動性のあるゾル状に変化する。
【0016】
該第一ソースと第二ソースがともにゲル状である場合、好ましくは、該第一ソースは該第二ソースと比べてゲル溶解温度が高く、相対的により高温で融解してゾル化する。逆に、該第二ソースは該第一ソースよりもゲル溶解温度が低く、相対的により低温で融解してゾル化する。したがって、該第二ソースのゲル溶解温度は、該第一ソースのゲル溶解温度よりも低温であり、好ましくは15〜40℃、より好ましくは20〜35℃である。本発明のゲル状ソースにおいては、該第二ソースは該第一ソースの層に被覆されているため、該第二ソースへの外部からの温度伝達は該第一ソースの層を経由し得る。該第二ソースのゲル溶解温度を該第一ソースよりも低温に設計することで、外部からの熱により第一ソースが融解する場合、第二ソースもともに融解してゾル化する。
【0017】
上記のようなゲル状の第一ソースの層と、これに被覆された第二ソースとを有する本発明のゲル状ソースは、常温(例えば40℃以下)では固形(ゲル)状であるが、通常の調理直後の温度(75〜90℃程度)の食品に適用すると溶解してゾル化する。ゾル状の第一ソース及び第二ソースは、容易に混合、均一化されて1つの液状のソースとなる。さらに、本発明のゲル状ソースは、ゲル状の第一ソースの溶解温度、又はゲル状の第一ソースと第二ソースの溶解温度を上述した範囲に調整することで、ソースを加熱器具(例えば、湯煎、電子レンジ、ヒーター等)で積極的に加熱することなく、加熱された温かい食品に適用することで喫食に適した液状ソースを得ることを可能にするように設計されている。
【0018】
上記のようなゲル溶解温度を有するゲル状の第一ソースと第二ソースは、ソースに適切な増粘剤を含有させることで調製することができる。該ゲル状の第一及び第二ソースに含めることができる増粘剤としては、ローカストビーンガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、寒天、タラガム、ジェランガム、LM(Low methyl ester)ペクチン、HM(High methyl ester)ペクチン等の澱粉以外の多糖類や、ゼラチン、ヒアルロン酸等の蛋白質が挙げられる。このうち、ローカストビーンガム、キサンタンガム、タマリンドガム、及びカラギーナンが好ましい。該ゲル状の第一及び第二ソースにおいては、そのゲル溶解温度が適切な範囲となる限り、上記に挙げた増粘剤は、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで使用することができる。好ましくは、上記増粘剤を2種以上組み合わせて用いることで、該ゲル状の第一及び第二ソースを所望のゲル溶解温度に設計する。
【0019】
該第一ソースに含まれる増粘剤の好ましい例としては、ローカストビーンガム、キサンタンガム、タマリンドガム、及びカラギーナンからなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられ、ローカストビーンガム、キサンタンガム、タマリンドガム、及びカラギーナンの組合せが好ましい。該第一ソースにおけるローカストビーンガム、キサンタンガム、タマリンドガム、及びカラギーナンの好ましい含有比は2:2:3:4である。
【0020】
該ゲル状の第二ソースに含まれる増粘剤の好ましい例としては、ローカストビーンガム、キサンタンガム、タマリンドガム、及びカラギーナンからなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられ、キサンタンガム及びタマリンドガムの組合せが好ましい。該ゲル状の第二ソースにおけるキサンタンガム及びタマリンドガムの好ましい含有比は1:2である。
【0021】
該ゲル状の第一及び第二ソースそれぞれにおける上記増粘剤の合計含有量は、いずれのソースの場合も、全質量中、好ましくは0.15〜3.5質量%程度、より好ましくは0.2〜2質量%程度、さらに好ましくは0.2〜1.5質量%程度である。したがって、該第一ソースと第二ソースがともにゲル状である場合、本発明のゲル状ソース中の増粘剤の合計含有量もまた、好ましくは0.15〜3.5質量%程度、より好ましくは0.2〜2質量%程度、さらに好ましくは0.2〜1.5質量%程度である。一方、第一ソースに包まれる第二ソースがゲル状でない場合、該第二ソースは増粘剤を含有していても、含有していなくともよい。
【0022】
ゾル化した際の該第一及び第二ソースの分散性や混合性、及び混合したソースの食品への付着性を考慮すると、該第一及び第二ソースは、ゾル化した状態(80℃)での粘度が、好ましくはで500〜1000cps、より好ましくは700〜900cpsである。
【0023】
該第一ソースは、そのAw及びpH、好ましくはさらにそのゲル溶解温度が上述した所定の範囲を逸脱しない限りにおいて、上述した塩又は糖、pH調整剤、増粘剤に加えて、水、及び、静菌剤、保存剤、糖アルコールなどの食品製造に通常使用される添加剤を含有することができる。該第一ソースは、固形具材を含有していてもよい。しかしながら、微生物増殖抑制の観点からは、該第一ソースのタンパク質含量は、1質量%以下であることが好ましく、また上記増粘剤以外の糖分の含量は30質量%以下であることが好ましい。
【0024】
一方、該第二ソースは、そのAw及びpH、好ましくはさらにそのゲル溶解温度が上述した所定の範囲を逸脱しない限りにおいて、上述した塩又は糖、pH調整剤、増粘剤に加えて、通常ソースに含まれ得る他の成分を含有することができる。そのような他の成分としては、水、油脂、調味料、だし、植物エキス、動物エキス、穀粉、タンパク質、乳化剤、及び、色素、保存剤などの食品製造に通常使用される添加剤等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、該第二ソースは油脂を含み、該第二ソースにおける油脂の含有量は、好ましくは15〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%、さらに好ましくは30〜50質量%である。また該第二ソースに対する加水量は、好ましくは2〜60質量%、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。好ましくは、該第二ソースは油脂及び水を含み、該第二ソースにおける油脂の量は、水の量よりも多い。また該第二ソースはさらに、通常ソースに含まれる固形具材を含有していてもよい。
【0025】
本発明のゲル状ソースにおいて、該第一ソースと第二ソースの質量比は、好ましくは1:2〜10、より好ましくは1:3〜8である。また本発明のゲル状ソースにおいて、該第一ソースと第二ソースの比重差は、好ましくは−0.3〜0.3g/cm3で、より好ましくは−0.2〜0.2g/cm3である。
【0026】
本発明のゲル状ソースに含まれる該第一及び第二ソースの製法は特に限定されない。例えば、該第一ソースは、水に上述した塩又は糖、添加剤等を加えて水分活性とpHを上述した範囲に調整することにより、製造することができる。また例えば、該第二ソースは、常法により通常のソースを製造し、次いで、その水分、塩分又は糖分濃度などを調整してAw及びpHを上述した範囲に調整することにより、製造することができる。該第一及び第二ソースへの増粘剤の添加は、Aw及びpHを調整する前であっても後であってもよい。
【0027】
微生物抑制の観点からは、該第一及び第二ソースは、その製造過程又は製造後に加熱されることが好ましい。例えば、該第一及び第二ソースは、その製造過程又は製造後において、品温が好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上になるように加熱される。
【0028】
本発明のゲル状ソースは、予め該第一及び第二ソースを各々準備し、次いで、該第一ソースで第二ソースを被覆するように各々のソースを配置することによって、製造することができる。本発明のゲル状ソースは、該第一ソースが該第二ソースの表面全体を被覆している構造であってもよいが、該第一ソースが該第二ソースの表面の一部を被覆している構造であってもよい。後者の場合、本発明のゲル状ソースの保形性の観点からは、容器(カップ等)に充填された第二ソースの上面を該第一ソースが被覆するよう構成されていることが望ましい。第一ソースで第二ソースを被覆する手段としては、例えば、第一ソースのゾル相の内部に充填機等を用いて第二ソースを充填し、その後全体を冷却して少なくとも外層がゲル化したソースを形成する方法、ゲル化した第二ソースの表面にゾル状の第一ソースを少量ずつ付着させ冷却する作業を繰り返し、第二ソースの上に第一ソースの層を形成させる方法、第一ソースのゲルのカプセルを形成し、これにゾル状の第二ソースを充填する方法、容器に第二ソースを入れ、その表面に第一ソースを被せて第一ソース層を形成する方法、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明のゲル状ソースは、常温(例えば40℃以下)でゲル状であり、固体の状態で常温保存することができる。さらに、本発明のソースを包装容器に封入し、殺菌処理等の微生物制御処理を行うことで、常温での長期保存も可能である。
【0030】
本発明のゲル状ソースの形状及び大きさは、加熱された温かい食品に適用したときに、該食品から得た熱でゾル化することを可能にする形状及び大きさであればよい。例えば、本発明のゲル状ソース1食分の分量は、好ましくは20〜60g程度であるが、適用する食品の種類によって適宜変更可能である。またその形状としては、例えばブロック状、カップ状、シート状、ボール状等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のゲル状ソースは、1食分もしくは複数食分の塊ごとに個包装されていてもよく、又は複数個の1食分の塊がまとめて1つの容器に包装されていてもよい。該包装容器としては、保存中にゲル状ソースの形状を変形させるようなものでなければ、どのような種類のものでもよく、ソースの形状や収納する個数に合わせて適切な容器を選択することができる。
【0031】
本発明のゲル状ソースは、好ましくは加熱された食品に適用される。本発明のゲル状ソースが適用される際の該食品の品温は、好ましくは70℃以上、より好ましくは75〜90℃である。このような温度の加熱された食品としては、例えば茹で、蒸し、電子レンジ加熱、焼き調理、オーブン加熱等により加熱調理又は再加熱された食品が挙げられる。したがって、本発明のゲル状ソースを適用可能な食品の種類としては、70℃以上の温度に加熱して喫食する食品であれば特に制限はなく、例えばハンバーグ、パスタ等の麺類、飯類、パン、ピザ、ホットケーキ等が挙げられる。好ましくは、本発明のゲル状ソースは、パスタソース(例えば、スパゲティソース、グラタンソース等)である。当該加熱された食品に対して本発明のソースをゲルの状態で適用すれば、該食品の熱によりゲルが溶解し、液状のソースの付いたソース付食品が得られる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0033】
1.ソースの製造
下記材料を混合して、表1及び2記載の水分活性を有するゲル状の第一ソース及び第二ソースを製造した。
(ソース1:第一ソース)
オリゴ糖 40 (質量部)
κカラギーナン 0.4
タマリンドガム 0.3
ローカストビーンガム 0.2
キサンタンガム 0.2
金属塩 0.2
水 48
水酸化Na 適宜(表1及び2記載のpHに調整)
食塩 適宜(表1及び2記載の水分活性になるように調整)
(ソース2−1:第二ソース、具なし)
油脂 50 (質量部)
糖 8
グルタミン酸Na 5
キサンタンガム 0.1
タマリンドガム 0.1
水 30
水酸化Na 適宜(表1記載のpHに調整)
食塩 適宜(表1記載の水分活性になるように調整)
(ソース2−2:第二ソース、具あり)
具材(たらこ) 45 (質量部)
油脂 30
糖 5
グルタミン酸Na 4
キサンタンガム 0.1
タマリンドガム 0.1
水 10
水酸化Na 適宜(表2記載のpHに調整)
食塩 適宜(表2記載の水分活性になるように調整)
【0034】
2.複層ゲル状ソースの製造
1.で製造したソース1とソース2−1をそれぞれ湯殺菌した後、冷却してゲル化させた。容器にソース2−1を15g注入し、その上にソース1を5g重層し、複層のゲル状ソースを製造した。これをアルミパウチに入れ、35℃で保管した。
【0035】
3か月後、容器から取り出したゲル状ソースは、茹でたてのスパゲティに乗せると融解して液状になった。これらのソースとスパゲティを混合することで、ソース付きスパゲティが得られた。
【0036】
3.微生物試験
1.で製造したソース1、ソース2−1及び2−2をそれぞれレトルト殺菌した後、冷却してゲル化させ、Bacillus属菌(ヒートショック80℃10分)を終濃度102cfu/g(初発菌数)で接種した。滅菌済みコーニングにソース2−1又は2−2を15g分注し、その上にソース1を5g重層し、複層のゲル状ソースを製造した。これらをアルミパウチに入れ、35℃にて1.5ヶ月又は3ヶ月保管した。保管後の複層のゲル状ソースの全量を均一に混合し、10倍希釈した。希釈したソースについて、標準寒天培地を用いた塗抹試験法により菌数を調べ、初発菌数に対する菌数の増加率からゲル状ソースの微生物安全性を評価した。評価は各条件につき2サンプルずつ行った。結果を表1〜2に示す。
(評価基準)
○:全サンプルで菌数が、初発の10倍未満
×:いずれかのサンプルで菌数が、初発の10倍以上
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】