(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記録層全量に対する、前記樹脂の含有量(質量%)と、前記色材の含有量(質量%)との質量比(樹脂/色材)が、0.50以上3.5以下である請求項1から3のいずれかに記載の記録物の使用方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(記録物の使用方法)
本発明の記録物の使用方法は、記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、色材、及び樹脂を含む記録層と、を有する記録物の使用方法であって、前記樹脂が、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含み、前記記録層全量に対する、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)と、前記アクリル樹脂の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂/アクリル樹脂)が、0.1以上0.7以下であり、前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含み、前記記録物が、相対湿度40%以下にて使用される。
【0009】
(記録物)
本発明の記録物は、記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、色材、及び樹脂を含む記録層と、を有する記録物であって、前記樹脂が、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含み、前記記録層全量に対する、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)と、前記アクリル樹脂の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂/アクリル樹脂)が、0.1以上0.7以下であり、前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含む。
【0010】
また、本発明者らは、以下の知見を得た。
記録物が、相対湿度40%以下の低湿度環境下にて用いられるとき、静電気の発生による記録物搬送トラブルが発生しやすいが、画像(記録層)中にプロピレングリコール及びヘキサンジオールを含有することにより、画像中又は記録媒体中の水分を保持し、静電気の発生を抑制することが期待される。前記プロピレングリコールは画像中にて、前記ヘキサンジオールは記録媒体中にて上記効果が期待される。なお、本発明における記録物搬送トラブルは、一例として、記録物を排紙する工程、記録物を巻き取る工程、記録物に対して折り目を作製する工程、記録物を裁断する工程、記録物を搬送する工程などで生じるものを含む。
【0011】
また、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含有する画像は、あらゆる環境下での耐擦過性を向上することが期待される。
前記ウレタン樹脂を含有する画像は、前記ウレタン樹脂がアクリル樹脂より硬度が低く弾性が高いため、耐擦過性が高くなる傾向にある。
一方、前記ウレタン樹脂を含有する画像は、アクリル樹脂を含有する画像の場合よりも、高温多湿度環境下において吸湿しやすく画像のタック力が増加しやすく、画像同士での転写する問題が発生しやすくなる。しかし、低湿度環境下では、保湿効果があり、画像の弾性を保てるため、耐擦過性の低下を抑制することができる。前記ウレタン樹脂による低湿度環境での保湿効果は、静電気の発生による記録物搬送トラブルの抑制にも効果が期待される。
【0012】
そこで、画像にアクリル樹脂とウレタン樹脂とを特定の質量比で含有させる等により、画像中のアクリル樹脂とウレタン樹脂とを特定の質量比で含有させ、プロピレングリコール及びヘキサンジオールを含有する画像とすることにより、低湿度環境下での静電気の発生による記録物搬送トラブルを抑制し、また低湿度環境下や高温多湿度環境下のどちらにおいても高い画像定着性の記録物が得られることが分かった。
【0013】
また、本発明の記録物の使用方法は、記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、及び色材を含む記録層と、を有する記録物の使用方法であって、前記記録層を、フーリエ変換赤外吸収スペクトル法で測定したとき、スペクトル692cm
−1から707cm
−1までの領域と、スペクトル710cm
−1以上740cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル660cm
−1以上690cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積A、並びにスペクトル1,731cm
−1から1,750cm
−1までの領域と、スペクトル1,660cm
−1以上1,690cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル1,760cm
−1以上1,790cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積Bの面積比(B/A)が、0.3以上1.0以下であり、前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含み、前記記録物が、相対湿度40%以下にて用いられる。
【0014】
本発明の記録物の使用方法に用いられる記録物は、相対湿度40%以下にて使用され、相対湿度30%以下にて使用されることが好ましく、さらに、温度30℃以上、かつ相対湿度80%以上にて使用されることができることが好ましい。
なお、低温環境における温度としては、0℃以上25℃以下が好ましい。
【0015】
<記録層>
前記記録層は、有機溶剤、色材、及び樹脂を含み、更に必要に応じて、ワックス、その他の成分を含む。
前記記録層は、有機溶剤、色材、及び樹脂を含み、更に必要に応じて、ワックス、その他の成分を含むインクを用いて形成することができる。
【0016】
<<樹脂>>
前記樹脂は、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含有し、更に必要に応じて、その他の樹脂を含有してなる。
【0017】
前記樹脂としては、例えば、水分散性ディスパージョンであることが好ましい。
前記アクリル樹脂としては、例えば、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐擦過性の点から、アクリルシリコーン樹脂が好ましい。
前記ウレタン樹脂としては、例えば、ポリカーボネートウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、画像の耐擦過性、及びインクの保存安定性の点から、ポリカーボネートウレタン樹脂が好ましい。なお、前記ポリカーボネートウレタン樹脂とは、その構造中にポリカーボネート構造を有していればよく、ポリカーボネート系ウレタン樹脂も含む意味である。
【0018】
前記樹脂としては、市販品を用いてもよく、合成品を用いてもよく、前記市販品としては、例えば、アクリル樹脂として商品名:サイマック(東亜合成株式会社製)、商品名:ボンコート(DIC株式会社製)、アクアブリッド(株式会社ダイセル製);ウレタン樹脂として商品名:ユーコート(三洋化成工業株式会社製)、商品名:タケラック(三井化学株式会社製)、ポリカーボネートウレタン樹脂として商品名:タケラックW−4000、商品名:タケラックW−6010、商品名:タケラックW−6110(以上、三井化学株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記樹脂のマルテンス硬度としては、耐擦過性の点から、10N/mm
2以下が好ましい。
前記ウレタン樹脂のマルテンス硬度としては、耐擦過性の点から、10N/mm
2以下が好ましく、0.1N/mm
2以上10N/mm
2以下がより好ましい。
前記マルテンス硬度としては、樹脂粒子液をスライドガラス(商品名:白板ガラスS1111、松浪硝子工業株式会社製)などの支持体の上に10μm以上の平均厚さとなるように塗膜し、60℃で、3時間予備乾燥した後に、100℃で、6時間乾燥させ樹脂膜を得る。得られた樹脂膜を、微小硬度計(装置名:HM−2000、株式会社フィシャー・インストルメンツ製)を用いて、ビッカース圧子が1.0mNの力で10秒間で押し込み、5秒間保持した後、1.0mNの力で10秒間で抜くことで計測することができる。
【0020】
前記樹脂は、インク中において、樹脂粒子として分散していることが好ましい。
【0021】
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0022】
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0023】
前記記録層中の樹脂は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、NMR、示差走査型熱量分析(DSC)、示差熱分析(DTA)などを用いて測定することができる。
【0024】
前記樹脂の含有量としては、記録層全量に対して、30質量%以上80質量%以下が好ましく、50質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0025】
前記アクリル樹脂の含有量としては、記録層全量に対して、10質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましい。
前記ウレタン樹脂の含有量としては、記録層全量に対して、5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
【0026】
[質量比(ウレタン樹脂/アクリル樹脂)]
前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)と、前記アクリル樹脂の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂/アクリル樹脂)としては、0.1以上0.7以下であり、画像の耐擦過性、並びにインクの吐出安定性、及び保存安定性の点から、0.4以上0.7以下が好ましい。
【0027】
<<有機溶剤>>
前記有機溶剤は、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)及びヘキサンジオールを含み、更に必要に応じてその他の有機溶剤を含む。
【0028】
前記ヘキサンジオールとしては、例えば、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、1,2−ヘキサンジオールが好ましい。
【0029】
−その他の有機溶剤−
前記その他の有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコール及びヘキサンジオール以外の多価アルコール類;多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類等のエーテル類;含窒素複素環化合物;アミド類;アミン類;含硫黄化合物類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオール、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが好ましい。
【0030】
前記記録層における前記有機溶剤の含有量(残留濃度)としては、記録層全量に対して、21mg/m
2以上120mg/m
2以下が好ましく、33mg/m
2以上90mg/m
2以下がより好ましく、45mg/m
2以上71mg/m
2以下が特に好ましい。
前記記録層における前記プロピレングリコールの含有量(残留濃度)としては、記録層全量に対して、20mg/m
2以上80mg/m
2以下が好ましく、30mg/m
2以上60mg/m
2以下がより好ましく、40mg/m
2以上50mg/m
2以下が特に好ましい。
前記記録層における前記ヘキサンジオールの含有量(残留濃度)としては、記録層全量に対して、1mg/m
2以上40mg/m
2以下が好ましく、3mg/m
2以上30mg/m
2以下がより好ましく、5mg/m
2以上21mg/m
2以下が特に好ましい。
【0031】
前記記録層中の有機溶剤は、一定面積の記録層を高沸点溶媒に抽出してガスクロマトグラフィー法によって定量することができる。
【0032】
前記有機溶剤の含有量としては、インク全量に対して、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0033】
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
【0034】
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
【0035】
顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0036】
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
【0037】
前記記録層中の色材は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、MALDI法などを用いて測定することができる。
【0038】
[質量比(樹脂/色材)]
前記樹脂の含有量(質量%)と、前記色材の含有量(質量%)との質量比(樹脂/色材)としては、耐擦過性の点から、0.50以上3.5以下が好ましく、0.50以上3.0以下がより好ましく、0.6以上3.0以下が特に好ましい。
【0039】
[面積比(B/A)]
本発明の記録物の記録層を、フーリエ変換赤外吸収スペクトル法(以下、「FTIR」とも称することがある)で測定したとき、スペクトル692cm
−1から707cm
−1までの領域と、スペクトル710cm
−1以上740cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル660cm
−1以上690cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積A、並びにスペクトル1,731cm
−1から1,750cm
−1までの領域と、スペクトル1,660cm
−1以上1,690cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル1,760cm
−1以上1,790cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積Bの面積比(B/A)が、0.3以上1.0以下であり、0.6以上1.0以下が好ましい。面積比(B/A)が、0.3以上1.0以下であると、低湿度環境下、及び高温多湿度環境下での耐擦過性の両立と、低湿度環境下での静電気発生の抑制による記録物搬送トラブルの発生の防止にも効果がある。
【0040】
前記記録層のフーリエ変換赤外吸収スペクトル法での測定は、フーリエ変換赤外分光光度計のATR(Attenated Total Reflection:全反射減衰)法を用いることができる。具体的には、記録物の記録層の表面を、例えば、装置名:Spectrum One(パーキンエルマー社製)などを用い、ダイヤモンド圧子によるATR法により測定したスペクトルから判定することができる。
【0041】
図3は、ピーク面積A及びピーク面積Bを示す模式図である。
図3に示すように、ピーク面積Aは、スペクトル692cm
−1から707cm
−1までの領域と、スペクトル710cm
−1以上740cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル660cm
−1以上690cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域から、装置名:Spectrum One(パーキンエルマー社製)を用いて算出することができる。また、ピーク面積Bは、スペクトル1,731cm
−1から1,750cm
−1までの領域と、スペクトル1,660cm
−1以上1,690cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル1,760cm
−1以上1,790cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域から、ピーク面積Aと同様にして算出することができる。
【0042】
<<ワックス>>
また、本発明において、さらに耐擦過性を向上させるために、ワックスを記録層に含有させてもよい。
前記ワックスは、記録層表面の動摩擦係数を低減することができ、特にウレタン樹脂と組み合わせることにより、画像の耐擦過性を飛躍的に向上できる。これは、画像の耐擦過性を向上させるために含有されるウレタン樹脂により動摩擦係数が高くなるのを抑制でき、画像が受ける力が低減するとともに、ウレタン樹脂が持つ機械的強度が十分に発揮されるため、耐擦過性を飛躍的に向上できると推測される。
【0043】
前記ワックスとしては、水分散性ワックスエマルジョンが好ましい。
前記ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、インクの保存安定性の点から、ポリエチレンワックスが好ましい。
【0044】
前記ワックスとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、商品名:HYTEC E−8237(ポリエチレンワックス、融点:106℃、平均粒径:80nm、東邦化学工業株式会社製)、商品名:AQUACER531(ポリエチレンワックス、融点:130℃、ビックケミー社製)、商品名:AQUACER515(ポリエチレンワックス、融点:135℃、ビックケミー社製)、商品名:AQUACER537(パラフィン、融点:110℃、ビックケミー社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記ワックスの融点としては、70℃以上170℃以下が好ましく、100℃以上140℃以下がより好ましい。前記融点が、70℃以上であると、画像がべたつくことがなく、画像を重ねても画像転写は発生しなく、170℃以下であると、画像を擦ったときの摩擦熱で融解し、滑り性が得られるため、耐擦過性が良好となる。
【0046】
前記ワックスの体積平均粒径としては、200nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。前記体積平均粒径が、200nm以下であると、インクにおいて、ノズルやヘッド内のフィルターに引っかかることがなく、良好な吐出安定性が得られる。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)などを用いて測定することができる。
【0047】
前記ワックスの含有量としては、記録層全量に対して、固形分で0.09質量%以上0.5質量%以下が好ましい。前記含有量が、0.09質量%以上0.5質量%以下であると、得られる記録層(インク膜)表面の動摩擦係数の低減に十分効果があり、また、インクの保存安定性、及び吐出安定性にも悪影響を与えにくい。
【0048】
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
【0049】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水;超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
【0051】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH
4、NH
3CH
2CH
2OH、NH
2(CH
2CH
2OH)
2、NH(CH
2CH
2OH)
3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
【化1】
一般式(S−1)
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
【0053】
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
【化2】
一般式(F−1)
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
C
nF
2n+1−CH
2CH(OH)CH
2−O−(CH
2CH
2O)
a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCnF
2n+1でnは1〜6の整数、又はCH
2CH(OH)CH
2−CnF
2n+1でnは4〜6の整数、又はCpH
2p+1でpは1〜19の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
【0054】
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0055】
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
【0056】
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
【0057】
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0058】
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
【0059】
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
【0060】
[記録層の製造方法]
前記記録層の製造方法としては、例えば、前記水、前記有機溶剤、前記樹脂粒子、前記色材、並びに必要に応じて、前記ワックス、前記添加物を、撹拌混合することにより製造したインクを用いて記録することにより得ることができる。前記撹拌混合としては、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機などを用いることができる。
【0061】
<記録媒体>
記録に用いる記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、汎用印刷紙などが挙げられる。
【0062】
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
【0063】
また、前記記録物は、記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、及び色材を含む記録層と、を有する記録物であって、前記記録層を、フーリエ変換赤外吸収スペクトル法で測定したとき、スペクトル692cm
−1から707cm
−1までの領域と、スペクトル710cm
−1以上740cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル660cm
−1以上690cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積A、並びにスペクトル1,731cm
−1から1,750cm
−1までの領域と、スペクトル1,660cm
−1以上1,690cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル1,760cm
−1以上1,790cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積Bの面積比(B/A)が、0.3以上1.0以下であり、前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含む。
【0064】
<インク収容容器>
前記記録物における記録層を形成するために用いられるインクは、インク収容容器に収容されることが好ましい。
前記インク収容容器は、インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するものなどが好適に挙げられる。
【0065】
(記録物の製造方法)
本発明の記録物の製造方法は、記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、色材、及び樹脂を含む記録層と、を有する記録物を製造する記録物の製造方法であって、前記樹脂が、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含み、前記記録層全量に対する、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)と、前記アクリル樹脂の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂/アクリル樹脂)が、0.1以上0.7以下であり、前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含み、前記記録物が、相対湿度40%以下にて搬送される工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
また、本発明の記録物の製造方法は、記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、及び色材を含む記録層と、を有する記録物を製造する記録物の製造方法であって、前記記録層を、フーリエ変換赤外吸収スペクトル法で測定したとき、スペクトル692cm
−1から707cm
−1までの領域と、スペクトル710cm
−1以上740cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル660cm
−1以上690cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積A、並びにスペクトル1,731cm
−1から1,750cm
−1までの領域と、スペクトル1,660cm
−1以上1,690cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル1,760cm
−1以上1,790cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積Bの面積比(B/A)が、0.3以上1.0以下であり、前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含み、前記記録物が、相対湿度40%以下にて搬送される工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0066】
前記記録物としては、本発明の記録物の使用方法における記録物と同様のものを使用することができる。
搬送される工程としては、搬送手段により好適に実施される。
前記搬送手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ローラ、搬送ベルトなど公知の搬送手段を用いることが可能である。
【0067】
<記録装置、記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について
図1乃至
図2を参照して説明する。
図1は同装置の斜視説明図である。
図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
【0068】
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
【0069】
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
【0070】
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
【実施例】
【0071】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
【0072】
なお、以下にて得られた記録物の記録層における面積比(B/A)、及び記録物における記録層中の有機溶剤(プロピレングリコール、ヘキサンジオール)の残留濃度は、以下のようにして求めた。
【0073】
(面積比(B/A))
得られた画像の表面を、装置名:Spectrum One(パーキンエルマー社製)を用い、ダイヤモンド圧子によるATR法によりスペクトルを測定した。スペクトル692cm
−1から707cm
−1までの領域と、スペクトル710cm
−1以上740cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル660cm
−1以上690cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積A、並びにスペクトル1,731cm
−1から1,750cm
−1までの領域と、スペクトル1,660cm
−1以上1,690cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル1,760cm
−1以上1,790cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積Bを算出し、次に、面積比(B/A)を求めた。
【0074】
(記録物における記録層中の有機溶剤(プロピレングリコール、ヘキサンジオール)の残留濃度)
前記記録層中の有機溶剤(プロピレングリコール、ヘキサンジオール)は、一定面積の記録層を高沸点溶媒に抽出してガスクロマトグラフィー法によって定量した。
【0075】
(顔料分散体の作製例1)
<シアン顔料分散体の作製>
特開2012−207202号公報の〔顔料表面改質処理〕の−方法A−に記載の方法と同様にして、シアン顔料分散体を得た。
具体的には、C.I.ピグメントブルー15:3(商品名:クロモファインブルー、大日精化工業株式会社製)20g、下記構造式(1)の化合物20mmol、及びイオン交換水200mLを、室温(25℃)環境下、Silversonミキサー(6,000rpm(0.6質量%))で混合しスラリーを得る。得られたスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸20mmolを添加する。30分間後に、少量のイオン交換水に溶解された亜硝酸ナトリウム(20mmol)を上記スラリーにゆっくりと添加した。更に、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させた。前記C.I.ピグメントブルー15:3表面に下記構造式(1)の化合物を付加した改質顔料を得た。次いで、NaOH水溶液によりpH10に調整することにより、30分間後に改質顔料分散体を得た。前記改質顔料分散体とイオン交換水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料濃度が15質量%となる親水性官能基としてビスホスホン酸基を有するシアン顔料分散体(自己分散型)を得た。
構造式(1)
【化3】
【0076】
(顔料分散体の作製例2)
<マゼンタ顔料分散体の作製>
顔料分散体の作製例1において、C.I.ピグメントブルー15:3 20gをC.I.ピグメントレッド122(商品名:トナーマゼンタEO02、クラリアントジャパン株式会社製)20gに変更した以外は、顔料分散体の作製例1と同様にして、顔料濃度が15質量%であるマゼンタ顔料分散体を作製した。
【0077】
(顔料分散体の作製例3)
<イエロー顔料分散体の作製>
顔料分散体の作製例1において、C.I.ピグメントブルー15:3 20gをC.I.ピグメントイエロー74(商品名:ファーストイエロー531、大日精化工業株式会社製)20gに変更した以外は、顔料分散体の作製例1と同様にして、顔料濃度が15質量%であるイエロー顔料分散体を作製した。
【0078】
(インクの調製例1)
<インク1の調製>
シアン顔料分散体15.0質量%、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール、商品名:工業用プロピレングリコール、株式会社ADEKA製)25.0質量%、1,2−ヘキサンジオール(商品名:1,2−ヘキサンジオール、東京化成工業株式会社製)5.0質量%、アクリルシリコーン樹脂粒子(商品名:サイマックUS480、東亜合成株式会社製)を含有するアクリルシリコーン樹脂粒子液(固形分濃度:30質量%)6.0質量%、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子(商品名:タケラックW6110、三井化学株式会社製)を含有するポリカーボネートウレタン樹脂粒子液(固形分濃度:30質量%)4.0質量%、ポリエーテル変性シロキサンコポリマー(商品名:TEGO Wet270、巴工業株式会社製)2.0質量%、及び合計が100質量%となるようにイオン交換水を残量添加し、混合撹拌した後、平均孔径が0.8μmメンブレンフィルター(商品名:DISMIC−25cs、アドバンテック社製)を用いて濾過して、インク1を得た。
【0079】
(インクの調製例2〜18)
<インク2〜18の調製>
インクの調製例1において、組成を下記表1〜4に示す組成に変更した以外は、インクの調製例1と同様にして、インク2〜18を得た。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
なお、前記表1〜4において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
<有機溶剤>
・プロピレングリコール:株式会社ADEKA製、1.2−プロパンジオール、商品名:工業用プロピレングリコール
・1.2−ヘキサンジオール:東京化成工業株式会社製、商品名:1.2−ヘキサンジオール
・1.6−ヘキサンジオール:宇部興産株式会社製、商品名:1.6−ヘキサンジオール
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン:宇部興産株式会社製、商品名:EHO
【0085】
<樹脂粒子>
<<アクリル樹脂粒子>>
・アクリルシリコーン樹脂粒子:東亜合成株式会社製、商品名:サイマックUS480
・スチレンアクリル樹脂粒子:昭和電工株式会社製、商品名:ポリゾールAP−1120
<<ウレタン樹脂粒子>>
・ポリカーボネートウレタン樹脂粒子:三井化学株式会社製、商品名:タケラックW6110、マルテンス硬度:10N/mm
2
・ポリエステルウレタン樹脂粒子:三井化学株式会社製、商品名:タケラックWS5984、マルテンス硬度:1N/mm
2
・ポリエーテルウレタン樹脂粒子:三井化学株式会社製、商品名:タケラックW5661マルテンス硬度:5N/mm
2
なお、前記樹脂粒子は、固形分濃度が30質量%になるようにイオン交換水で希釈して添加した。
【0086】
<ワックス>
・ポリエチレンワックス液:ビックケミー社製、商品名:AQUACER531、融点130℃
なお、前記ワックスは、固形分濃度が30質量%になるようにイオン交換水で希釈して添加した。
【0087】
(実施例1〜12、及び比較例1〜6)
得られたインクをインクジェットプリンタ(装置名:IPSIO GX5500、株式会社リコー製)に充填した。次に、前記インクジェットプリンタに、紙(商品名:Lumi Art Gloss 90gsm、Stora Enso社製)をセットし、インク付着量が1.12mg/cm
2(700mg/A4)で、1,200dpi×1,200dpiの解像度でベタ画像(記録層)を記録し、その後100℃で、1分間乾燥して、記録物を得た。
【0088】
得られた記録物を用いて、以下のようにして、「低湿度環境下での記録物の搬送性」、「低湿度環境下での耐擦過性」、「高温多湿度環境下での耐ブロッキング性」を評価した。結果を下記表5に示す。
【0089】
<低湿度環境下での記録物の搬送性>
得られた記録物を、低湿度環境下(25℃、相対湿度40%及び30%;15℃、相対湿度10%)にて24時間放置した後、同じ環境下において、記録物を搬送する手段を有する紙折り機(装置名:EPF−200、マックス株式会社製)を用いて三つ折にした。300枚を連続で処理し、記録物搬送トラブルの回数を観察し、下記評価基準に基づいて、「低湿度環境下での記録物の搬送性」を評価した。なお、B以上が許容範囲である。
−評価基準−
A:0回
B:1回以上2回以下
C:3回以上
【0090】
<低湿度環境下での耐擦過性>
得られた記録物を、低湿度環境下(25℃、相対湿度40%及び30%;15℃、相対湿度10%)にて24時間放置した後、同じ環境下において、1.2cm四方に切った前記紙(商品名:Lumi Art Gloss 90gsm、Stora Enso社製)を用いてベタ部を400gの荷重をかけて20回擦り、前記紙へのインク付着汚れを、反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて測定し、擦った紙の地肌色を差し引いた濃度を算出し、下記評価基準に基づいて、「低湿度環境下での耐擦過性」を評価した。なお、B以上が許容範囲である。
−評価基準−
A:濃度が、0.10未満
B:濃度が、0.10以上0.20未満
C:濃度が、0.20以上
【0091】
<高温高湿度環境下での耐ブロッキング性>
得られた記録物を高温高湿度環境下(32℃、相対湿度80%)にて24時間放置した後、画像と画像が接するように重ねて、0.5kg/cm
2の荷重をかけて、同じ環境下にて24時間放置し、その後、転写の有無を確認した。A以上が許容範囲である。
−評価基準−
A:転写なし
B:転写あり
【0092】
【表5】
【0093】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、色材、及び樹脂を含む記録層と、を有する記録物の使用方法であって、
前記樹脂が、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含み、
前記記録層全量に対する、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)と、前記アクリル樹脂の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂/アクリル樹脂)が、0.1以上0.7以下であり、
前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含み、
前記記録物が、相対湿度40%以下にて使用されることを特徴とする記録物の使用方法である。
<2> 前記ウレタン樹脂が、ポリカーボネートウレタン樹脂である前記<1>に記載の記録物の使用方法である。
<3> 前記アクリル樹脂が、アクリルシリコーン樹脂である前記<1>から<2>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<4> 前記記録層全量に対する、前記樹脂の含有量(質量%)と、前記色材の含有量(質量%)との質量比(樹脂/色材)が、0.50以上3.5以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<5> 前記記録物が、相対湿度30%以下にて使用される前記<1>から<4>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<6> 前記アクリル樹脂の含有量が、記録層全量に対して、5質量%以上30質量%以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<7> 前記アクリル樹脂の含有量が、記録層全量に対して、6質量%以上20質量%以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<8> 前記ウレタン樹脂の含有量が、記録層全量に対して、1質量%以上10質量%以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<9> 前記ウレタン樹脂の含有量が、記録層全量に対して、1質量%以上4質量%以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<10> 前記ウレタン樹脂の含有量が、記録層全量に対して、3質量%以上4質量%以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<11> 前記質量比(ウレタン樹脂/アクリル樹脂)が、0.4以上0.7以下である前記<1>から<10>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<12> 記録層が、ワックスをさらに含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<13> 前記ワックスが、ポリエチレンワックスである前記<12>に記載の記録物の使用方法である。
<14> 前記記録物が、温度30℃以上、かつ相対湿度80%以上にてさらに使用される前記<1>から<13>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<15> 前記ヘキサンジオールが、1,2−ヘキサンジオールである前記<1>から<14>のいずれかに記載の記録物の使用方法である。
<16> 記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、及び色材を含む記録層と、を有する記録物の使用方法であって、
前記記録層を、フーリエ変換赤外吸収スペクトル法で測定したとき、
スペクトル692cm
−1から707cm
−1までの領域と、スペクトル710cm
−1以上740cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル660cm
−1以上690cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積A、並びに
スペクトル1,731cm
−1から1,750cm
−1までの領域と、スペクトル1,660cm
−1以上1,690cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル1,760cm
−1以上1,790cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積Bの面積比(B/A)が、0.3以上1.0以下であり、
前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含み、
前記記録物が、相対湿度40%以下にて使用されることを特徴とする記録物の使用方法である。
<17> 記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、色材、及び樹脂を含む記録層と、を有する記録物であって、
前記樹脂が、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含み、
前記記録層全量に対する、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)と、前記アクリル樹脂の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂/アクリル樹脂)が、0.1以上0.7以下であり、
前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含むことを特徴とする記録物である。
<18> 前記ウレタン樹脂が、ポリカーボネートウレタン樹脂である前記<17>に記載の記録物である。
<19> 前記アクリル樹脂が、アクリルシリコーン樹脂である前記<17>から<18>のいずれかに記載の記録物である。
<20> 記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、及び色材を含む記録層と、を有する記録物であって、
前記記録層を、フーリエ変換赤外吸収スペクトル法で測定したとき、
スペクトル692cm
−1から707cm
−1までの領域と、スペクトル710cm
−1以上740cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル660cm
−1以上690cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積A、並びに
スペクトル1,731cm
−1から1,750cm
−1までの領域と、スペクトル1,660cm
−1以上1,690cm
−1以下の間の最小点及びスペクトル1,760cm
−1以上1,790cm
−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積Bの面積比(B/A)が、0.3以上1.0以下であり、
前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含むことを特徴とする記録物である。
<21> 記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、色材、及び樹脂を含む記録層と、を有する記録物を製造する記録物の製造方法であって、
前記樹脂が、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含み、
前記記録層全量に対する、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)と、前記アクリル樹脂の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂/アクリル樹脂)が、0.1以上0.7以下であり、
前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含み、
前記記録物が、相対湿度40%以下にて搬送される工程を含むことを特徴とする記録物の製造方法である。
<22> 記録媒体と、前記記録媒体上に、有機溶剤、色材、及び樹脂を含む記録層と、を有する記録物を製造する記録物の製造方法であって、
前記樹脂が、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含み、
前記記録層全量に対する、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)と、前記アクリル樹脂の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂/アクリル樹脂)が、0.1以上0.7以下であり、
前記有機溶剤が、ヘキサンジオール、及びプロピレングリコールを含み、
前記記録物が、相対湿度40%以下にて搬送される工程を含むことを特徴とする記録物の製造方法である。
【0094】
前記<1>から<16>のいずれかに記載の記録物の使用方法、前記<17>から<20>のいずれかに記載の記録物、及び前記<21>から<22>のいずれかに記載の記録物の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。