【文献】
植松芳彦 ほか,光トランスポート網における機能分離トレンドの利用法,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2018年02月26日,Vol.117, No.473,p.67-74,ISSN 0913-5685
【文献】
YILMAZ, Omer Faruk et al.,Automated Management and Control of a Multi-Vendor Disaggregated Network at the L0 Layer,OFC 2018,米国,2018年03月
【文献】
EIRA, A. et al.,Interoperable Long-Haul Optical Networks Exploiting Optimized ROADM Vendor Allocation,ECOC 2017,2017年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、拠点間で通信を行う場合、
図5に示すオールインワン型の光伝送システム10が適用されている。この光伝送システム10は、2拠点のAビル(ビルディング)11及びBビル12の各々が、複数のTRD(Transponder)13a,13bと、MUX(Multiplexer)/DMUX(DeMUX)14と、OXC(optical cross-connect)15とを組み合わせて収容した通信ユニット16を備え、Aビル11とBビル12のOXC15間が光ファイバ17で接続されている。通信ユニット16は、所定波長の光信号を光ファイバ17に伝送する伝送装置である。
【0003】
光伝送システム10では、Aビル11及びBビル12の通信ユニット16に収容された全てのTRD13a,13b、MUX/DMUX14及びOXC15が同一ベンダVの仕様となっている。
【0004】
OXC15は、光ファイバ17においてデータ伝送のための光通信路をスイッチングにより自由に設定することができる装置である。このOXC15では、通信の用途や伝送速度毎に形式の異なるデータ伝送経路が存在していた場合でも、データ信号を別の経路に出力することが可能となっている。
【0005】
TRD13a,13bは、図示せぬユーザのパソコン(パーソナルコンピュータ)、ルータ、スイッチ等の通信機器に接続される中継装置であり、所望の通信機器(図示せず)がTRD13a,13bを介してAビル11及びBビル12間で通信可能となっている。
【0006】
MUX/DMUX14におけるMUXは、複数の信号を多重化して1つの信号として出力し、DMUXは1つの信号を分岐して複数の信号として出力する。
【0007】
このオールインワン型の光伝送システム10において、Aビル11とBビル12間の光ファイバ17に伝送される複数の光信号の波長を管理する場合について説明する。
【0008】
図6に示すように、光伝送システム10は、ベンダVが使用する各波長を管理番号毎に管理する波長管理部32Aと、その管理された波長が光ファイバ17に割り当てられるように、伝送装置である通信ユニット16に当該波長の情報を設定する波長設定部33と、管理テーブル32Tとを更に備える。光伝送システム10においては、光ファイバ17に割り当てられた波長の光信号が各ビル11,12の通信ユニット16間に伝送される。
【0009】
なお、波長管理部32Aは、NMS(Network Management System)やOSS(Operation Support System)等を用いて構成される。波長設定部33は、EMS(Element Management System)を用いて構成される。
【0010】
波長設定部33は、各ビル11,12の通信ユニット16に光ファイバ等の制御線で接続されている。ここでは、波長設定部33は、Aビル11の通信ユニット16内のMUX14aと、各々異なる波長λ1〜λ4の光信号を出射するLD(Laser Diode)1a〜1dとに接続されると共に、Bビル12の通信ユニット16内のDEMUX14bと、各々異なる波長λ1〜λ4の光信号を受光するPD(Photodiode)2a〜2dとに接続されている。
【0011】
管理テーブル32Tは、ベンダVが使用する各波長の管理番号を保持している。例えば、波長λ1に管理番号#1が対応付けられ、波長λ2に管理番号#2が、波長λ3に管理番号#3が、波長λ4に管理番号#4が対応付けられている。
【0012】
波長管理部32Aは、管理テーブル32Tの管理番号#1〜#4単位で光ファイバ17に割り当てる波長を指定する。この指定は、例えばオペレータの操作に応じて行われる。波長管理部32Aは、その指定された管理番号(例えば管理番号#1)を波長設定部33へ出力する。
【0013】
波長設定部33は、波長管理部32Aから管理番号#1が入力された際に、管理テーブル32Tを参照して管理番号#1に対応付けられた波長λ1を検索する。更に、波長設定部33は、その検索した波長λ1が光ファイバ17に割り当てられるように通信ユニット16に波長情報を設定する設定指示を、Aビル11のLD1aとMUX14aへ出力すると共に、Bビル12のDEMUX14bとPD2a〜2dへ出力する。
【0014】
これによって、各ビル11,12の通信ユニット16に波長λ1が割り当てられ、各ビル11,12の通信ユニット16間が、光ファイバ17を介した波長λ1の光信号で通信可能となる。他の波長λ2〜λ4も同様に割り当てられて通信が可能となる。
【0015】
近年、インターネットを介した動画配信、音声通話、SNS(social networking service)等のマルチメディアを提供するサービスとしてのOTT(Over The Top)が存在する。このOTT主導により光伝送システムのオープン化が進んでいる。このため、今までのオールインワン型の光伝送システムに代え、後述のディスアグリゲーション型の光伝送システムが注目されている。
【0016】
次に、ディスアグリゲーション型の光伝送システムは、オールインワン型の構成要素であるトランスポート機能、WDM(Wavelength Division Multiplexing)機能、スイッチ機能、アクセス機能等の各種の機能を分離して組み合わせ、柔軟且つ迅速に通信サービスを提供する構成となっている。
【0017】
図7にディスアグリゲーション型の光伝送システム20の一構成例を示す。その光伝送システム20では、Aビル11及びBビル12の各々に、複数のTRD13a,13bが収容された通信ユニット16aと、MUX/DMUX14及びROADM18が収容された通信ユニット16bとが配備され、Aビル11とBビル12のROADM18間が光ファイバ17で接続されている。更に、通信ユニット16aのTRD13a,13bと、通信ユニット16bのMUX/DMUX14とが光ファイバ17a,17bで接続されている。なお、MUX/DMUX14及びROADM18は、この双方でOXC15に対応する機能を有する。通信ユニット16a,16bが上記伝送装置である。
【0018】
ディスアグリゲーション型の光伝送システム20では、MUX/DMUX14及びROADM18がベンダV1の仕様であり、TRD13aがベンダV2の仕様のように、各々が異なるベンダ仕様となっている。
【0019】
ROADM18は、光信号を光のままで分岐又は挿入して多重化処理を行う。このROADM18は、1本の光ファイバに複数の異なる波長の光信号を同時に乗せるWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)機能と略同等の機能を有する。
ディスアグリゲーション型の光伝送システムに係る技術として、非特許文献1〜4に記載のものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、上述したディスアグリゲーション型の光伝送システム20は、Aビル11とBビル12間の光ファイバ17に割り当てられる複数の光信号の波長の管理に当たって、
図8に示すように、波長管理部32Aと、波長設定部33a,33bと、管理テーブル32T1,32T2とを更に備える。
【0022】
一方の波長設定部33aは、ベンダV1に属し、Aビル11のベンダV1の通信ユニット16b内のMUX14aと、Bビル12のベンダV1の通信ユニット16b内のDEMUX14bとに光ファイバ等の制御線で接続されている。
【0023】
他方の波長設定部33bは、ベンダV2に属し、Aビル11のベンダV2の通信ユニット16a内のLD1a〜1dと、Bビル12のベンダV2の通信ユニット16a内のPD2a〜2dに制御線で接続されている。
【0024】
管理テーブル32T1は、ベンダV1に属し、ベンダV1が使用する各波長の管理番号を保持している。ここでは、波長λ1に管理番号#1が対応付けられ、波長λ2に管理番号#2が、波長λ3に管理番号#3が、波長λ4に管理番号#4が対応付けられている。
【0025】
管理テーブル32T2は、ベンダV2に属し、ベンダV2が使用する各波長の管理番号を保持している。ここでは、波長λ1に管理番号#4が対応付けられ、波長λ2に管理番号#3が、波長λ3に管理番号#2が、波長λ4に管理番号#1が対応付けられている。
【0026】
各管理テーブル32T1,32T2は、波長λと管理番号#との対応関係が異なっている。このため、ビル11,12間の光ファイバ17に波長λ1を割り当てるように伝送装置に波長情報を設定する場合、オペレータは、波長管理部32AでベンダV1,V2毎の管理テーブル32T1,32T2を確認して設定操作を行う必要がある。
【0027】
例えば、Aビル11のMUX14aとBビル12のDEMUX14bに対しては、管理テーブル32T1の波長λ1に対応付けられた管理番号#1を指定し、Aビル11のLD1a〜1dとBビル12のPD2a〜2dに対しては、管理テーブル32T2の波長λ1に対応付けられた管理番号#4を指定する設定操作を行う必要がある。
【0028】
その設定操作に応じて、ベンダV1の波長設定部33aは、管理テーブル32T1を参照して管理番号#1に対応付けられた波長λ1を検索し、この検索した波長λ1の情報の設定指示を、MUX14aとDMUX14bとに出力する。ベンダV2の波長設定部33bは、管理テーブル32T2を参照して管理番号#4に対応付けられた波長λ1を検索し、この検索した波長λ1の情報の設定指示を、LD1a〜1dとPD2a〜2dとに出力する。
【0029】
これによって、各ビル11,12の通信ユニット16a,16bに波長λ1の情報が設定され、各ビル11,12間が光ファイバ17に伝送される波長λ1の光信号で通信可能となる。他の波長λ2〜λ4も同様に割り当てられて通信が可能となる。
【0030】
しかし、上述したように、オペレータが波長管理部32AでベンダV1,V2毎の管理テーブル32T1,32T2を各々確認して波長を割り当てる設定操作を行う必要があるので、波長情報の設定(波長設定ともいう)が複雑となる問題があった。
【0031】
この波長設定の複雑な事例を、
図9を参照して説明する。
図9に示すように、ベンダとしてA社〜F社の6社が、1528.77nm〜1566.72nmの波長に対応し、管理番号#1〜#96に対応付けて管理している場合を例に挙げる。
【0032】
A社とB社は、高い方から低い順の波長1566.72nm〜1528.77nmに、小さい方から大きい順の管理番号#1〜#96を対応付けて管理している。この逆に、C社とD社は、低い方から高い順の波長1528.77nm〜1566.72nmに、小さい方から大きい順の管理番号#1〜#96を対応付けて管理している。
【0033】
また、E社は、低い方からランダムな波長1528.77nm〜1566.72nmに、小さい方から大きい順の管理番号#1〜#96を対応付けて管理している。F社は、ランダムな波長1608.76nm〜1529.94nmに、小さい方から大きい順の管理番号#1〜#96以上の番号を対応付けて管理している。
【0034】
このようにA社〜F社の6社のベンダが管理する管理番号と波長とが同じであったり、異なっていたりする場合、オペレータは波長設定を行うために、6社の管理テーブルを各々確認して設定操作を行う必要があるので、波長情報の設定が複雑となる。
【0035】
次に、
図10に示すように、例えば波長が11f,12f,13f,14f,15f,16f,17f,18fと一定量(第1量)ずつ大きくなる各波長に、1つずつ大きくなる管理番号#1〜#8を対応付けて、ベンダV1が管理しているとする。また、波長が11f,13f,15f,17f,19f,21f,23f,25fと第1量の2倍(第2量)ずつ大きくなる各波長に、管理番号#1〜#8を対応付けて、ベンダV2が管理しているとする。
【0036】
この場合に、各ビル11,12(
図8)の通信ユニット16a,16bに波長設定を行う場合、例えば、ベンダV1の波長12fは、ベンダV2には無いので共通に使えない。このことから、ベンダV1とベンダV2とで共通の波長しか設定できない。例えば、破線枠で囲むように、波長が11f,13f,15f,17fの波長しか設定できない。このため、オペレータは、ベンダV1,V2毎の通信ユニット16a,16bで共通に利用できる波長を把握する必要があるので、波長情報の設定がより複雑となる。
【0037】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、異なるベンダ仕様の各種の伝送装置を有する拠点間が光ファイバで接続されて成るディスアグリゲーション型の光伝送システムにおいて、その光ファイバに要求された波長が割り当てられるように、当該光ファイバの両拠点の伝送装置に容易に波長情報の設定を行うことができる光伝送システム及び波長割当方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、異なるベンダ仕様の各種の伝送装置を有する拠点間が光ファイバで接続されて成るディスアグリゲーション型の光伝送システムであって、少なくとも、前記光ファイバに所定の光信号の波長が割り当てられたNW(Network)構成の情報を記憶するDB(Data Base)と、前記拠点間の光ファイバへの波長割当要求時に、前記DB内に、当該波長割当要求によるNW構成と同じNW構成の情報が無い場合、ベンダの管理番号と、ベンダが使用可能な波長と、当該波長に対応付けられたベンダ情報を基に、異なるベンダで共通に使用可能な波長に前記管理番号を対応付け、当該管理番号が対応付けられた波長が前記光ファイバに割り当て可能な場合に、当該管理番号で波長割当指示を行う波長割当部と、前記波長割当指示による波長が前記光ファイバに割り当てられるように、当該光ファイバの両拠点の伝送装置に波長情報の設定を行う設定部とを備えることを特徴とする光伝送システムである。
【0039】
請求項3に係る発明は、異なるベンダ仕様の各種の伝送装置を有する拠点間が光ファイバで接続されて成るディスアグリゲーション型の光伝送システムによる波長割当方法であって、前記光伝送システムは、少なくとも、前記光ファイバに所定の光信号の波長が割り当てられたNW構成の情報を記憶するDBと、波長割当部と、設定部とを備え、前記波長割当部は、前記拠点間の光ファイバへの波長割当要求時に、前記DB内に、当該波長割当要求によるNW構成と同じNW構成の情報が無い場合、ベンダの管理番号と、ベンダが使用可能な波長と、当該波長に対応付けられたベンダ情報を基に、異なるベンダで共通に使用可能な波長に前記管理番号を対応付け、当該管理番号が対応付けられた波長が前記光ファイバに割り当て可能な場合に、当該管理番号で波長割当指示を行うステップを実行し、前記設定部は、前記波長割当指示による波長が前記光ファイバに割り当てられるように、当該光ファイバの両拠点の伝送装置に波長情報の設定を行うステップを実行することを特徴とする波長割当方法である。
【0040】
この構成によれば、異なるベンダ仕様の各種の伝送装置を有する拠点間が光ファイバで接続されて成るディスアグリゲーション型の光伝送システムにおいて、その光ファイバに要求された波長が割り当てられるように、当該光ファイバの両拠点の伝送装置に容易に波長情報の設定を行うことができる。
【0041】
請求項2に係る発明は、前記波長割当部が、前記管理番号を対応付けた波長が前記光ファイバに割り当て不可能な場合に、他の管理番号が対応付けられた波長が前記光ファイバに割り当て可能か否かの判定を繰り返し、割り当て可能と判定された波長に対応付けられた管理番号で波長割当指示を行うことを特徴とする請求項1に記載の光伝送システムである。
【0042】
この構成によれば、異なるベンダで共通に使用可能な、ある波長が光ファイバに割り当て不可能な場合でも、異なるベンダで共通に使用可能な他の波長を光ファイバに割り当てることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、異なるベンダ仕様の各種の伝送装置を有する拠点間が光ファイバで接続されて成るディスアグリゲーション型の光伝送システムにおいて、その光ファイバに要求された波長が割り当てられるように、当該光ファイバの両拠点の伝送装置に容易に波長情報の設定を行うことができる光伝送システム及び波長割当方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本明細書の全図において機能が対応する構成部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係るディスアグリゲーション型の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【0046】
図1に示すディスアグリゲーション型の光伝送システム30は、通信の拠点であるAビル11及びBビル12の各々は、光ファイバ17を介したデータ伝送(データ送受信)に必要な機能を有する伝送装置である各種の通信ユニット16a,16bを備える。通信ユニット16aには、TRD13が搭載され、通信ユニット16bには、MUX/DMUX14及びROADM18が搭載されている。
【0047】
更に、光伝送システム30は、サービスオーダ取得部(取得部ともいう)31と、波長管理部32と、波長設定部33と、設備DB(Data Base)34とを備える。波長管理部32は、本実施形態の特徴要素である波長割当部32fを有する。この光伝送システム30は、例えば波長割当装置として、取得部31、波長管理部32、波長設定部33及び設備DB34を備える構成とすることもできる。
【0048】
但し、TRD13はベンダV2の仕様、MUX/DMUX14とROADM18はベンダV1の仕様と、各々が異なるベンダ仕様になっている。なお、設備DB34は、請求項記載のDBを構成する。
【0049】
取得部31は、ユーザ管理等のビジネス面を支援するBSS(Business Support Systems)に基づき構成されている。この取得部31は、ユーザからのサービスオーダ(後述)を受信して取得する。サービスオーダは、例えばAビル11のROADM18とBビル12のROADM18との区間(A−B区間又は拠点間ともいう)の光ファイバ17に、10GHzの波長の光信号を1つ使用する(パスを1つ使用する)ために当該波長を割り当てて設定する等といったパス設定の申込依頼である。
【0050】
波長管理部32は、ネットワーク運用を支援するOSSに基づき構成されており、A−B区間の光ファイバ17に要求された波長が割り当てられるように通信ユニット16に設定されるベンダ毎の波長の情報を、管理番号で管理するものである。また、この波長管理部32は、
図2に示すように、情報取得部32aと、差分判定部32bと、計算部32cと、確定部32dと、収容可能判定部32eと、波長割当部32fと、設定指示部32gと、表示部32hとを備えて構成されている。
【0051】
情報取得部32aは、取得部31(
図1)が受信して取得したサービスオーダ情報(オーダ情報ともいう)D1と、設備DB34に記憶された後述のDB情報D2とを取得する。DB情報D2は、設備DB34に記憶された光伝送システム30におけるAビル11及びBビル12の名称等のビル固有情報、フロア情報、TRD13、MUX/DMUX14及びROADM18等の各伝送装置の固有情報、各伝送装置のポート(後述)の情報、各伝送装置の接続情報及び波長数情報等の設備情報を含んでいる。
【0052】
また、DB情報D2は、A−B区間の光ファイバ17に収容可能な波長リソースとしての波長数の情報を含んでいる。更に、DB情報D2は、光ファイバ17に割り当てられるように通信ユニット16a,16bに設定される波長と管理番号との対の情報を含んでいる。
【0053】
差分判定部32bは、オーダ情報D1で申し込まれた光ファイバ17への割り当て波長の波長数(波長リソース)と、DB情報D2による光ファイバ17に収容可能な波長数との差分があるか否かを判定する。オーダ情報D1とDB情報D2とが同じ波長数で差分が0の場合、差分判定部32bでは差分無しと判定される。なお、オーダ情報D1の波長数がDB情報D2の波長数よりも小さい場合も差分無しと判定される。
【0054】
一方、オーダ情報D1の波長数が、DB情報D2の波長数よりも多い場合、差分判定部32bでは差分有りと判定される。
【0055】
計算部32cは、差分判定部32bで差分有りと判定された際に、オーダ情報D1に基づく光ファイバで収容可能な波長数(波長リソース)を得るための各伝送装置に必要な波長数を、次のように計算する。即ち、計算部32cは、まず、各伝送装置である通信ユニット16a,16bの各々の固有情報を取得し、各々の伝送装置の数を集計する。次に、各伝送装置の接続構成を取得する。次に、各伝送装置のポートを取得し、ポート数を集計する。次に、各伝送装置の波長数を集計する。
【0056】
つまり、計算部32cが、オーダ情報D1に基づく、例えば16台のTRDでA−B区間の光ファイバに収容可能な16波長を得るための各伝送装置に必要な波長数を計算する。この場合、まず、計算部32cは、オーダ情報D1に基づく16波長を得るために必要な伝送装置としてのTRD、MUX/DMUX、ROADMの各々の数を集計する。次に、計算部32cは、その集計されたTRD、MUX/DMUX、ROADMの接続構成を求める。次に、計算部32cは、その接続構成で使用されたTRD、MUX/DMUX、ROADMのポート数を集計する。
【0057】
次に、計算部32cは、その集計したポート数に基づき、TRD、MUX/DMUX、ROADMにおいて収容可能な波長数を計算する。これによって、例えばTRDの16波長、MUX/DMUXの32波長、ROADMの32波長が計算される。この計算された各波長数の内、最も少ないTRDの16波長に応じて、A−B区間の光ファイバ17に収容可能な16波長が求められる。
【0058】
確定部32dは、計算部32cで計算された各伝送装置の波長数及びA−B区間の光ファイバ17の波長数を、波長リソースとして確定する。但し、確定部32dは、差分判定部32bで差分無しと判定された場合は、DB情報D2で示される現在の波長リソースを確定する。
【0059】
収容可能判定部32eは、確定部32dで確定された各伝送装置の波長数及びA−B区間の光ファイバ17の波長数が、DB情報D2に含まれる現状の各伝送装置及びA−B区間の光ファイバ17で収容可能か否かを判定する。
【0060】
例えば、確定部32dで確定された各伝送装置の波長数がDB情報D2に含まれる現状の各伝送装置で収容可能であると判定され、この際に、光ファイバ17の収容可能な最大波長数が16波長であると仮定すると、16波長中、DB情報D2に係る12波長が使用中で4波長分が余っている。そこで、既に差分判定部32bで4波長の差分有りと判定されているので、その4波長が光ファイバ17の余った4波長の帯域に収容可能となる。
【0061】
一方、確定部32dで確定された各波長数が、差分判定部32bで差分無しと判定された際の波長数であれば、収容可能と判定される。
【0062】
確定部32dで確定された各波長数が、現状の伝送装置の波長数及び拠点間の光ファイバ17の収容可能な波長数を超えていれば、収容可能判定部32eは、その超えた波長数の伝送装置を増設する内容を表示部32hに表示する。この表示をシステム管理者が見て伝送装置の増設を行うことになる。この増設が行われた場合、拠点間の光ファイバ17の収容可能な波長数も増えるので、上記確定された波長数(波長リソース)割り当て可能となる。
【0063】
波長割当部32fは、収容可能判定部32eで光ファイバ17に波長数が収容可能と判定された際に、光ファイバ17に要求された波長が割り当てられるように伝送装置としての通信ユニット16a,16bに波長情報を設定する指示を行う。この指示を行うための処理は後述の<実施形態の動作>で詳細に説明する。
【0064】
設定指示部32gは、波長割当部32fの波長割り当てのための波長設定指示を行う設定指示情報D3を設定部33(
図1)へ出力する。
【0065】
図1に示す設定部33は、オーダ情報D1に基づく拠点間の光ファイバ17に要求された波長が割り当てられるように、設定指示情報D3に応じた波長を該当伝送装置である通信ユニット16a,16bに設定する。
【0066】
<実施形態の動作>
次に、本実施形態に係る光伝送システム30におけるA−B区間の光ファイバ17に、要求された波長が割り当てられるように通信ユニット16a,16bに波長情報を設定する際の動作を、
図3及び
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0067】
図3のステップS1において、取得部31(
図1)が、サービスオーダを受信し、この受信したオーダ情報D1を波長管理部32(
図2)の情報取得部32aへ出力したとする。但し、オーダ情報D1は、A−B区間の光ファイバに要求する光信号の波長(波長リソース)を1又は複数割り当てるパス設定の依頼情報であるとする。
【0068】
ステップS2において、波長管理部32は波長リソース(波長λ1)を把握する処理を次のように行う。まず、情報取得部32aが、設備DB34から上述したDB情報D2を取得し、このDB情報D2と上記オーダ情報D1を差分判定部32bへ出力する。差分判定部32bは、オーダ情報D1とDB情報D2との光ファイバに割当可能な波長数の差分が有るか否かを把握する。この場合、オーダ情報D1の方が例えば1波長多い差分有りの場合、計算部32cは、オーダ情報D1に基づくA−B区間の光ファイバで収容可能な波長数を得るために、各伝送装置に必要な波長数の計算を開始する。但し、A−B区間の光ファイバによる経路は、
図1に示す光ファイバ17以外にも存在するため、現時点では光ファイバの符号を特定しない。
【0069】
この計算は、まず、計算部32cが、オーダ情報D1に基づく1波長を得るために必要なTRD、MUX/DMUX、ROADMの各々の数を集計する。この集計されたTRD、MUX/DMUX、ROADMの接続構成を求め、この接続構成で使用されたTRD、MUX/DMUX、ROADMのポート数を集計する。更に、計算部32cは、その集計したポート数に基づき、A−B区間の光ファイバに収容可能な波長数(波長リソース)を得るためのTRD、MUX/DMUX、ROADMに必要な波長数を計算する。これによって、TRD、MUX/DMUX、ROADMの各波長が計算され、A−B区間の光ファイバに収容可能な波長数(例えば1波長)が定められる。
【0070】
この後、ステップS3において、確定部32dは、上記ステップS2で計算された波長数(波長数=1)を波長リソースとして確定する。
【0071】
次に、ステップS4において、設備DB34に記憶されたDB情報D2の波長リソース(波長数)を更新する。即ち、収容可能判定部32eは、上記確定部32dで確定された1波長が、DB情報D2に含まれる現状の各伝送装置及びA−B区間の光ファイバで収容可能な場合、波長割当部32fが、設備DB34内のDB情報D2を上記確定部32dで確定された波長リソースに更新する。なお、光ファイバ17で収容不可能な場合は、収容可能となるように通信ユニット16a,16b内のTRD、MUX/DMUX、ROADMの増設が行われる。
【0072】
次に、ステップS5において、波長管理部32が、NW(Network)レギュレーションを決定する。つまり、複数の光ファイバの通過ルートを決定する。この例の場合、A−B区間の光ファイバ17(
図1)に決定される。
【0073】
次に、ステップS6において、波長管理部32により光ファイバ17への波長の割り当てが決定される。これは、ステップS6Aにおいて、波長割当部32fで波長割当処理が行われることで決定される。この波長割当処理を
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0074】
図4のステップS11において、波長割当部32fはNW構成を次のように確認する。即ち、波長割当部32fが、波長の割当要求(オーダ情報D1)に応じて、設備DB34に記憶されているNW構成情報を検索し、波長割当要求のNW構成と同じA−B区間の光ファイバ17によるNW構成を確認する。
【0075】
即ち、ステップS12において、波長割当部32fは、設備DB34内に上記オーダ情報D1による波長割当要求のNW構成と同じNW構成の情報があるか否かを判定する。同じNW構成があれば、後述のステップS19へ進む。
【0076】
同じNW構成が無ければ、ステップS13において、波長割当部32fは、ベンダ波長管理情報D5からベンダ情報を取得する。このベンダ情報としては、ベンダの管理番号(#x)、使用可能な波長(nm)、この波長に対応する周波数(GHz)がある。このベンダ情報が波長割当部32fで取得される。なお、ベンダ波長管理情報D5は、ベンダから取得し、図示せぬ記憶部に保存しておくものである。
【0077】
ステップS14において、波長割当部32fは、設備DB34内のベンダ情報を上記ステップS13で取得したベンダ情報(
図4の設備DB34内に枠で囲んで示す)で更新する。設備DB34には、後述する転送装置管理、収容管理、波長管理及び帯域管理を行うための情報が記憶されている。
【0078】
転送装置管理は、管理対象のビル内に設置された各種の転送装置(通信ユニット16a,16b)を管理するものである。収容管理は、転送装置を構成する通信機器であるパッケージ(例えばTRD13、MUX/DMUX14、ROADM18)が収容されるユニット(例えば通信ユニット16a,16b)、当該パッケージ、当該パッケージのポートを管理するものである。波長管理は、ベンダ毎のベンダ情報による波長を管理するものである。例えば、1500nmに対応する波長λ1を管理番号#1で管理している。帯域管理は、光ファイバが10GHz等のどの帯域を使用中かを管理するものである。
【0079】
ステップS15において、波長割当部32fは、転送装置への設定可能な波長決定を次のように行う。即ち、波長割当部32fは、光ファイバ17(
図1)で接続される各ビル11,12の通信ユニット16a,16bに設定可能な波長を決定する。例えば、
図10に示す管理テーブル32T3のように、ベンダV1は、波長11f,12f,13f,14f,15f,16f,17f,18fが一定量の第1量ずつ大きくなる各波長に、1つずつ大きくなる管理番号#1〜#8を対応付けて管理している。ベンダV2は、波長が11f,13f,15f,17f,19f,21f,23f,25fと第1量の2倍の第2量ずつ大きくなる各波長に、管理番号#1〜#8を対応付けて管理しているとする。
【0080】
この場合、ベンダV1,V2が共通で使える波長は、破線枠で囲む波長が11f,13f,15f,17fに対応する。そこで、波長割当部32fは、通信ユニット16a,16bに共通に利用できる波長として、
図10の枠線内に示すように、波長が11f,13f,15f,17fに対応し決定する。
【0081】
次に、ステップS16において、波長割当部32fは、波長リソース集計を行う。即ち、光ファイバ17に割り当て可能な波長として、上記決定された波長11f,13f,15f,17fを割り当てるための集計を行う。
【0082】
ステップS17において、波長割当部32fは、上記集計された波長11f,13f,15f,17fに対して管理番号を次のように定義する。即ち、波長11fに管理番号#1を対応付け、波長13fに管理番号#2、波長15fに管理番号#3、波長17fに管理番号#4を対応付けて定義する。
【0083】
ステップS18において、波長割当部32fは、上記定義した波長11f,13f,15f,17fと管理番号#1,#2,#3,#4とを対応付けた対の情報(波長管理の情報)を、設備DB34に書き込んで記憶又は上書きして更新する。その対の情報とは、設備DB34内に枠で囲む波長管理の情報である。
【0084】
次に、ステップS19において、波長割当部32fは、パス設定、即ち波長割当を次のように行う。即ち、波長割当部32fは、上記オーダ情報D1による波長の割当要求時に、1つのパス(波長λ1)を要求された場合、設備DB34から管理番号#1の波長11f(=波長λ1)を払い出し、この波長11fを光ファイバ17への割り当て候補とする。
【0085】
次に、ステップS20において、波長割当部32fは、上記割り当て候補の波長11fが光ファイバ17に収容できるか否かを判定する。ここで、波長11fが上記ステップS19で新しく作られた管理番号#1の波長11fであれば収容可能なので、収容可能(割当可能)と判定される。
【0086】
この場合、ステップS21において、波長割当部32fは、管理番号#1の波長11fの情報を通信ユニット16a,16bに設定して光ファイバ17に割り当てることを決定する。この決定された管理番号#1及び波長11fの対の情報を使用することを設備DB34に書き込む。
【0087】
一方、上記ステップS20において、上記割り当て候補の波長11fが光ファイバ17に収容できないと判定された場合、波長割当部32fは、上記ステップS19に戻って、設備DB34から次の管理番号#2の波長13f(
図10参照)を払い出し、この波長13fを光ファイバ17への割り当て候補とする。この後、ステップS20において、波長割当部32fが、その候補の波長が光ファイバ17に収容できると判定されるまで、ステップS19の処理を行う。
【0088】
このような波長割当処理によって、
図3のステップS6における波長管理部32での光ファイバ17への波長割り当てが決定される。ここでは、管理番号#1の波長11fの割り当てが決定されたとする。
【0089】
次に、ステップS7において、波長管理部32の設定指示部32g(
図2)が、上記ステップS6で決定された波長11fの管理番号#1を含む設定指示情報D3(
図2)を設定部33(
図1)へ出力する。但し、設定指示情報D3は管理番号#1のみでもよい。
【0090】
波長設定部33は、波長管理部32Aから管理番号#1が入力された際に、設備DB34を参照して管理番号#1に対応付けられた波長11fを検索する。波長設定部33は、その検索された波長11fが、光ファイバ17に割り当てられるように、Aビル11及びBビル12の通信ユニット16a,16bに波長11fの情報を設定する。即ち、通信ユニット16aのTRD13と、通信ユニット16bのMUX/DMUX14及びROADM18とに波長11fの情報を設定する。この設定によって、A−B区間の光ファイバ17に波長11fが割り当てられ、この割り当てられた波長11fの光信号で通信が可能となる。
【0091】
<実施形態の効果>
本実施形態に係る光伝送システム30による波長割当の効果について説明する。光伝送システム30は、異なるベンダ仕様の各種の伝送装置(通信ユニット16a,16b)を有する拠点間が光ファイバ17で接続されて成るディスアグリゲーション型の光伝送システムである。この光伝送システム30を次のような特徴構成とした。
【0092】
(1)光伝送システム30は、設備DB34と、波長割当部32fと、設定部33とを備える構成とした。
設備DB34は、少なくとも、光ファイバ17に所定の光信号の波長が割り当てられたNW構成の情報を記憶する。
【0093】
波長割当部32fは、拠点間の光ファイバ17への波長割当要求時に、設備DB34内に、当該波長割当要求によるNW構成と同じNW構成の情報が無い場合、ベンダの管理番号と、ベンダが使用可能な波長と、当該波長に対応付けられたベンダ情報を基に、異なるベンダで共通に使用可能な波長に管理番号を対応付け、当該管理番号が対応付けられた波長が光ファイバ17に割り当て可能な場合に、当該管理番号で波長割当指示を行う。
【0094】
設定部33は、波長割当指示による波長が光ファイバ17に割り当てられるように、光ファイバ17の両拠点の伝送装置に波長情報の設定を行う。
【0095】
この構成によれば、異なるベンダ仕様の各種の伝送装置を有する拠点間が光ファイバ17で接続されて成るディスアグリゲーション型の光伝送システム30において、その光ファイバ17に要求された波長が割り当てられるように、光ファイバ17の両拠点の伝送装置に容易に波長情報の設定を行うことができる。
【0096】
(2)波長割当部32fは、管理番号を対応付けた波長が光ファイバ17に割り当て不可能な場合に、他の管理番号が対応付けられた波長が光ファイバ17に割り当て可能か否かの判定を繰り返し、割り当て可能と判定された波長に対応付けられた管理番号で波長割当指示を行う構成とした。
【0097】
この構成によれば、異なるベンダで共通に使用可能な、ある波長が光ファイバ17に割り当て不可能な場合でも、異なるベンダで共通に使用可能な他の波長を光ファイバ17に割り当てることができる。
【0098】
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。