(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、特に断りがない限り、以下の説明および図面では、X方向を水平方向、Y方向を垂直方向、Z方向を前後方向と定義する。
【0008】
<撮像ユニットの構成例>
図1は、撮像ユニットの一例としてのデジタルカメラの構成例を示す図である。デジタルカメラ1は、交換レンズ2とカメラボディ3とを有している。交換レンズ2は、マウント部4を介してカメラボディ3に装着される。
【0009】
交換レンズ2は、レンズ制御部5、主レンズ9、ズームレンズ8、フォーカシングレンズ7、および絞り6を含む。レンズ制御部5は、マイクロコンピュータとメモリなどを有している。レンズ制御部5は、フォーカシングレンズ7と絞り6の駆動制御、絞り6の開口状態の検出、ズームレンズ8およびフォーカシングレンズ7の位置検出、後述するカメラボディ3側のボディ制御部14に対するレンズ情報の送信、ボディ制御部14からのカメラ情報の受信などを行う。
【0010】
カメラボディ3は、撮像素子12、撮像素子駆動部19、ボディ制御部14、液晶表示素子駆動回路15、液晶表示素子16、接眼レンズ17、および操作部材18などを含む。また、カメラボディ3には、不揮発性の記憶媒体であるメモリカード20が着脱可能に装着される。
【0011】
撮像素子12は、交換レンズ2の予定結像面に配置され、交換レンズ2によって結像される被写体の像を撮像する。なお、本実施形態での撮像素子12は、一対の画素で交換レンズ2の瞳の異なる部分領域を通過する光束をそれぞれ受光し、オートフォーカス(AF)時に被写体像の位相差情報を取得することができる。なお、撮像素子12の構成例については後述する。
【0012】
ボディ制御部14は、マイクロコンピュータとメモリなどを有している。ボディ制御部14は、デジタルカメラ全体の動作制御を行う。また、ボディ制御部14とレンズ制御部5は、マウント部4の電気接点部13を介して通信を行う。
【0013】
撮像素子駆動部19は、ボディ制御部14からの指示に応じて撮像素子12への指示信号を生成する。液晶表示素子駆動回路15は、ボディ制御部14からの指示に応じて液晶表示素子16を駆動させる。なお、液晶表示素子16は、電子ビューファインダとして機能し、撮影者は接眼レンズ17を介して液晶表示素子16に表示された像を観察することができる。
【0014】
交換レンズ2によって撮像素子12上に結像された被写体の像は、撮像素子12によって光電変換される。撮像素子12は、撮像素子駆動部19からの制御信号によって光電変換信号の蓄積および信号読出しのタイミング(フレームレート)が制御される。撮像素子12からの出力信号は、不図示のA/D変換部でデジタルデータに変換され、ボディ制御部14へ送られる。
【0015】
ボディ制御部14は、焦点調節部の一例として、撮像素子12からの所定の焦点検出エリアに対応する出力信号に基づいてデフォーカス量を算出する。そして、ボディ制御部14は、上記のデフォーカス量をレンズ制御部5へ送る。レンズ制御部5は、ボディ制御部14から受信したデフォーカス量に基づいてフォーカシングレンズ駆動量を算出し、このレンズ駆動量に基づいてフォーカシングレンズ7を不図示のモータ等で駆動して合焦位置へ移動させる。
【0016】
また、ボディ制御部14は、撮影指示後に撮像素子12から出力された信号に基づいて記録用の画像データを生成する。ボディ制御部14は、生成した画像データをメモリカード20に格納する。また、ボディ制御部14は、生成した画像データを液晶表示素子駆動回路15へ送り、液晶表示素子16に画像を再生表示させる。
【0017】
なお、カメラボディ3には、シャッターボタン、焦点検出エリアの設定部材18が設けられている。ボディ制御部14は、上記の操作部材18からの操作信号を検出し、検出結果に応じた動作(撮影処理、焦点検出エリアの設定など)の制御を行う。
【0018】
<撮像素子の第1構成例>
次に、撮像素子12の構成例を説明する。本実施形態での撮像素子は、例えば、シリコン基板上にCMOS(相補性金属酸化膜半導体)プロセスを使用して形成されたXYアドレス型の固体撮像素子である。
【0019】
図2は、第1構成例の撮像素子における画素配置を示す図である。
図2に示す撮像素子12aは、入射光を電気信号に変換する複数の画素(PX)が配列された画素部31と、垂直走査部32と、水平走査部33とを有している。なお、図面では画素PXの配列を簡略化して示すが、実際の撮像素子の受光面にはさらに多数の画素が配列されることはいうまでもない。
【0020】
垂直走査部32は、制御部の一例であって、例えば撮像素子駆動部19からの指示信号を受けて、画素部31、水平走査部33に対して各種の制御信号を供給する。垂直走査部32には、行方向(X方向)に延在する複数の水平信号線が接続されている。垂直走査部32は、水平信号線を介して各画素に制御信号を供給する。なお、
図2では、水平信号線の図示は省略する。なお、画素PXに供給される制御信号は、デジタルカメラ1の撮像素子駆動部19によって生成されてもよい。
【0021】
水平走査部33には、列方向(Y方向)に延在する複数の垂直信号線が接続されている。垂直走査部32は、垂直信号線を介して各画素の出力信号を読み出す。なお、
図2では、垂直信号線の図示は省略する。
【0022】
また、
図2に示すように、画素部31の画素PXは正方形形状であって、各辺が行方向および列方向に対して45度回転した状態で配置されている。そして、各画素は、各辺が近傍の画素と接触するように稠密に配列されている。したがって、画素部31において、奇数行および偶数行の画素、奇数列および偶数列の画素は互いに半ピッチずれた配置となる。
【0023】
画素PXは、例えば遮光膜で半分の領域が覆われており、光学系の瞳の部分領域を通過する光束を遮光する。また、画素PXの遮光膜に覆われていない開口部には、光電変換部が配置される。図面では、遮光膜で覆われた領域(瞳分割用の遮光部MS)をハッチングで示す。
【0024】
また、画素PXの前面には、マイクロレンズMLNおよび光学フィルタ(カラーフィルタ)が配置されている。また、撮像素子の受光面には、マイクロレンズMLNおよび光学フィルタよりも前方(光の入射側)に、赤外光の通過を阻害する赤外カットフィルタ(不図示)が配置されている。画素PXのカラーフィルタは、画素位置に応じて異なる分光感度を有している。そのため、画素PXは、カラーフィルタでの色分解によって各色に対応する電気信号を出力する。なお、図面では、画素PXに対応するカラーフィルタの色を記号で示す。
【0025】
画素部31の行方向(X方向)に注目すると、画素部31の奇数行には、緑色(G)成分の光を受光するG画素がX方向に沿って配置される。画素部31の偶数行には、青色(B)成分の光を受光するB画素と、赤色(R)成分の光を受光するR画素とがX方向に沿って交互に配置される。
【0026】
また、画素部31の列方向(Y方向)に注目すると、画素部31の奇数列にはG画素がY方向に沿って配置されるが、画素部31の偶数列ではB画素がY方向に沿って配置される列と、R画素がY方向に沿って配置される列とが交互に並ぶ。
【0027】
G画素は、行方向(X方向)および列方向(Y方向)において、左半分が開口された画素と、右半分が開口された画素とがそれぞれ交互に配置される。また、B画素およびR画素は、列方向(Y方向)において、上半分が開口された画素と、下半分が開口された画素とが交互に配置される。なお、行方向(X方向)にみると、同じ偶数行において、B画素の開口とR画素の開口とは互いに逆になるように配置されている。
【0028】
上記の配置により、行方向(X方向)では、左半分が開口されたG画素(第1画素の一例)と、右半分が開口されたG画素(第2画素の一例)とが左右対称に1組ずつ配置される。すなわち、G画素の配置される行では、X方向の左側からみて、第1画素の光電変換部、第1画素の遮光部MS、第2画素の遮光部MS、第2画素の光電変換部が順番に配置される。また、X方向において、第2画素の光電変換部の隣には、第1画素とは異なる左半分が開口されたG画素(第5画素の一例)の光電変換部が配置される。なお、第1画素および第5画素の構成は同一である。
【0029】
したがって、水平方向に対向配置された一対のG画素(上記の例では第2画素、第5画素)により、射出瞳の左半分の像と右半分の像とを取得できる。つまり、位相差AFで用いる被写体像の水平方向の位相差情報を、一対のG画素から得ることができる。
【0030】
また、列方向(Y方向)では、上半分が開口されたB画素(第3画素の一例)と、下半分が開口されたB画素(第4画素の一例)とが上下対称に1組ずつ配置される。すなわち、B画素の配置される列では、Y方向の上側からみて、第3画素の光電変換部、第3画素の遮光部MS、第4画素の遮光部MS、第4画素の光電変換部が順番に配置される。また、Y方向において、第4画素の光電変換部の隣には、第3画素とは異なる上半分が開口されたB画素(第6画素の一例)の光電変換部が配置される。
【0031】
同様に、列方向(Y方向)では、上半分が開口されたR画素(第3画素の一例)と、下半分が開口されたR画素(第4画素の一例)とが上下対称に1組ずつ配置される。すなわち、R画素の配置される列では、Y方向の上側からみて、第3画素の光電変換部、第3画素の遮光部MS、第4画素の遮光部MS、第4画素の光電変換部が順番に配置される。また、Y方向において、第4画素の光電変換部の隣には、第3画素とは異なる上半分が開口されたR画素(第6画素の一例)の光電変換部が配置される。なお、B画素、R画素の例のそれぞれにおいて、第3画素および第6画素の構成は同一である。
【0032】
したがって、垂直方向に対向配置された一対のB画素または一対のR画素(上記の例では第4画素、第6画素)により、射出瞳の下半分の像と上半分の像とを取得できる。つまり、位相差AFで用いる被写体像の垂直方向の位相差情報を、一対のB画素または一対のR画素から得ることができる。以上のように、第1構成例の撮像素子12aは、受光面の全面に焦点検出画素を配置した撮像素子と考えることもできる。
【0033】
なお、画素部31では、奇数行の一対のG画素と、偶数列の一対のB画素または一対のR画素とは、4つの開口部(光電変換部)が正方形をなすように配置されている。同様に、画素部31では、奇数行の一対のG画素と、偶数列の一対のB画素または一対のR画素とは、4つの遮光部が正方形をなすように配置されている。なお、画素部31全体でみると、4画素分の正方形の開口部と、4画素分の正方形の遮光部とが市松模様をなすように配列されている。また、画素部31において、4画素分の遮光部は一体に形成されていてもよい。
【0034】
ここで、撮像素子12aからの位相差情報による焦点検出処理について説明する。以下の説明では、左半分が開口されたG画素と右半分が開口されたG画素を例に挙げて説明するが、R画素およびB画素による焦点検出も同様の原理で行われる。
【0035】
図3に示すように交換レンズ2の射出瞳200の第1領域201を通過する光束Aは、右半分が開口されたG画素21に入射し、射出瞳200の第2領域202を通過する光束Bは、左半分が開口されたG画素22に入射する。
【0036】
合焦時は撮像素子12aに鮮鋭像が結ばれる状態であるため、上述したように、瞳分割された光束による一対の像は撮像素子12a上で一致する。
【0037】
一方、非合焦時は撮像素子12aの手前で鮮鋭像を結ぶ状態、あるいは撮像素子12aの後ろ側に鮮鋭像を結ぶ状態であるため、瞳分割された光束による一対の像は撮像素子12a上では一致しない。この場合、G画素21およびG画素22から得られる信号波形は、合焦状態からのずれ(デフォーカス量)に応じて、互いの位置関係(像ずれ方向および像ずれ量)が異なる。
【0038】
そのため、デジタルカメラ1のボディ制御部14は、G画素21およびG画素22から得られる信号波形との位置関係に基づいてデフォーカス量を算出すればよい。算出されたデフォーカス量は、カメラ情報としてレンズ制御部5へ送信される。そして、レンズ制御部5がカメラ情報に基づいてフォーカシングレンズ7を光軸方向へ進退移動させると、撮像素子12a上に鮮鋭像を結ぶように交換レンズ2の焦点位置が調節される。
【0039】
次に、
図4を参照しつつ、撮像素子12aからの出力信号に基づいてカラー画像信号を生成する画像信号生成処理について説明する。
【0040】
画像信号生成処理では、撮像素子12aの垂直走査部32は、光電変換部がX方向に隣り合う一対のG画素(上記の例では第2画素、第5画素)を水平加算して読み出し、G画像信号を生成する。
図4の(a)は、G画素の水平加算の状態を示し、
図4の(b)は、水平加算で生成されたG画像信号のサンプリング位置を示している。
【0041】
また、垂直走査部32は、光電変換部がY方向に隣り合う一対のB画素(上記の例では第4画素、第6画素)を垂直加算して読み出し、B画像信号を生成する。同様に、垂直走査部32は、光電変換部がY方向に隣り合う一対のR画素(上記の例では第4画素、第6画素)を垂直加算して読み出し、R画像信号を生成する。
図4の(c)は、B画素およびR画素の垂直加算の状態を示し、
図4の(d)は、垂直加算で生成されたB画像信号およびR画像信号のサンプリング位置を示している。
【0042】
図4の(e)は、水平加算で生成されたG画像信号と、垂直加算で生成されたB画像信号およびR画像信号とを合成した画像を示している。デジタルカメラ1のボディ制御部14は、G画像信号、B画像信号およびR画像信号を合成することで、ベイヤ配列の画像を得ることができる。なお、
図4の(e)の画像は、加算前の画素ピッチに対して約1.4倍(√2倍)の画素ピッチとなり、加算前の画素数に対して2分の1の画素数となる。
【0043】
そして、ボディ制御部14は、上記のベイヤ配列の画像(
図4の(e))に対して色補間処理を行い、不足する色成分の画像信号を生成する。ベイヤ配列における色補間処理は公知であるので、詳細な説明は省略する。かかる色補間処理の結果、カラー画像信号(RGB)が得られる。ボディ制御部14は、カラー画像信号を用いて、例えば記録用画像のファイルを生成してメモリカード20に記録する。
【0044】
続いて、第1構成例での各々の画素PXの構成を詳述する。
図5は、画素PXの一例の回路図である。
【0045】
画素PXは、フォトダイオードPDと、第1リセットトランジスタRST1と、第1グローバルスイッチトランジスタGS1と、蓄積ダイオードSDと、転送トランジスタTXと、第2グローバルスイッチトランジスタGS2と、第2リセットトランジスタRST2と、増幅トランジスタAMPと、選択トランジスタSELと、フローティングディフュージョン部FDとを有している。
【0046】
フォトダイオードPDは、光電変換部の一例であって、入射光の光量に応じて光電変換により信号電荷を生成する。
【0047】
第1リセットトランジスタRST1は、ソースがフォトダイオードPDに接続され、ドレインが電源電圧VDDに接続されている。例えば、第1リセットトランジスタRST1は、ゲートに印加される信号φRST1が高レベルの期間にオンし、フォトダイオードPDの電荷をリセットする。
【0048】
第1グローバルスイッチトランジスタGS1は、ソースがフォトダイオードPDに接続され、ドレインが蓄積ダイオードSDに接続されている。例えば、第1グローバルスイッチトランジスタGS1は、ゲートに印加される信号φGS1が高レベルの期間にオンし、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷を蓄積ダイオードSDに転送する。
【0049】
蓄積ダイオードSDは、蓄積部の一例であって、フォトダイオードPDから転送される電荷を蓄積するポテンシャル井戸を有している。蓄積ダイオードSDは、例えばMOS構造で形成され、蓄積ダイオードSDは、フォトダイオードPDに蓄積される電荷の量よりも多い量の電荷を蓄積できるように設計される。
【0050】
転送トランジスタTXは、ソースが蓄積ダイオードSDに接続され、ドレインがフローティングディフュージョン部FDに接続されている。例えば、転送トランジスタTXは、ゲートに印加される信号φTXが高レベルの期間にオンし、蓄積ダイオードSDに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン部FDに転送する。
【0051】
第2グローバルスイッチトランジスタGS2は、ソースがフォトダイオードPDに接続され、ドレインがフローティングディフュージョン部FDに接続されている。例えば、第2グローバルスイッチトランジスタGS2は、ゲートに印加される信号φGS2が高レベルの期間にオンし、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン部FDに転送する。
【0052】
フローティングディフュージョン部FDは、フォトダイオードPDや蓄積ダイオードSDから転送される電荷を蓄積する寄生容量が形成される領域である。フローティングディフュージョン部FDは、例えば、半導体基板に不純物を導入して形成された拡散領域である。
【0053】
第2リセットトランジスタRST2は、ソースが増幅トランジスタAMPのゲートに接続され、ドレインが電源電圧VDDに接続されている。例えば、第2リセットトランジスタRST2は、ゲートに印加される信号φRST2が高レベルの期間にオンし、フローティングディフュージョン部FDの電荷をリセットする。
【0054】
増幅トランジスタAMPは、ドレインが電源電圧VDDに接続され、ゲートがフローティングディフュージョン部FDにそれぞれ接続され、ソースが選択トランジスタSELのドレインに接続されており、垂直信号線VLに接続された定電流源ISを負荷とするソースフォロア回路を構成する。増幅トランジスタAMPは、フローティングディフュージョン部FDの電圧値に応じて、選択トランジスタSELを介して読み出し電流を出力する。
【0055】
また、選択トランジスタSELは、ゲートに印加される信号φSELが高レベルの期間にオンし、増幅トランジスタAMPのソースを垂直信号線VLに接続する。
【0056】
ここで、上記の第1画素から第6画素の構成要素はいずれも同じである。よって、第1画素から第6画素は、基本的に、フォトダイオードPD、第1リセットトランジスタRST1、第1グローバルスイッチトランジスタGS1、蓄積ダイオードSD、転送トランジスタTX、第2グローバルスイッチトランジスタGS2、第2リセットトランジスタRST2、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、フローティングディフュージョン部FDをそれぞれ有している。また、
図5では1画素分の回路構成のみを示すが、例えば、第2リセットトランジスタRST2、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELは、複数の画素で共有されていてもよい。
【0057】
また、
図6は、
図2に示す画素部31の画素配列の拡大平面図である。
図7は、画素PXの一例の拡大平面図である。
【0058】
撮像素子12aの受光面側において、画素PXの開口部には、略台形状に形成されたフォトダイオードPDと、第1リセットトランジスタRST1とが配置される。画素PXの遮光部には、第1グローバルスイッチトランジスタGS1、蓄積ダイオードSD、転送トランジスタTXおよび第2グローバルスイッチトランジスタGS2が配置される。なお、
図6の符号23は、4画素で共有される増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELを集積した回路を示している。なお、
図6の符号24は、2画素で共有される第2リセットトランジスタRST2を示す。また、
図6、
図7では、受光面でのフォトダイオードPDの面積は、蓄積ダイオードSDの面積よりも大きく設定されている。
【0059】
図6に示すように、R画素、G画素、B画素はいずれも同じ回路構成である。行方向(X方向)に隣り合うG画素の回路は、受光面上で左右対称となるように配置されている。また、列方向(Y方向)に隣り合うB画素およびR画素の回路は、受光面上で上下対称となるように配置されている。
【0060】
また、
図8は、第1構成例での画素PXの断面図である。なお、
図8では、配線等の記載を省略している。例えば、フォトダイオードPDは、p型の半導体基板SUBの受光面側(
図8では上側)に形成されたn型の半導体領域n1を有している。また、蓄積ダイオードSDは、p型の半導体基板SUBの受光面側に形成されたn型の半導体領域n2を有している。
【0061】
また、蓄積ダイオードSDの半導体領域n2の下層には、p型のシールド層(p2)が積層して形成される。このシールド層は、半導体領域n2の全域を覆うように形成されており、必要に応じて後述の分離部ISと接触するように形成される。また、第1グローバルスイッチトランジスタGS1は、フォトダイオードPDと蓄積ダイオードSDとの間に形成されている。
【0062】
また、フォトダイオードPDの半導体領域n1、蓄積ダイオードSDの半導体領域n2の不純物濃度は互いに異なる。例えば、第1グローバルスイッチトランジスタGS1が低レベルのときに、蓄積ダイオードSDのポテンシャルがフォトダイオードPDのポテンシャルとフローティングディフュージョン部FDのポテンシャルとの間に位置するように、領域n1、n2の不純物濃度は、それぞれ設定される。
【0063】
また、半導体基板SUBに形成された分離部ISは、例えば、互いに隣り合う画素間を絶縁して分離するためのp型ウェルである。なお、蓄積ダイオードSD、分離部ISおよびシールド層(p2)の間にはp型領域36が形成されている。また、半導体基板SUB上に設けられたゲート層GLYには、第1リセットトランジスタRST1、第1グローバルスイッチトランジスタGS1、転送トランジスタTX、
図8では不図示の第2グローバルスイッチトランジスタGS2のゲート電極等が形成される。なお、第1構成例で説明した半導体の導電型は、あくまで一例にすぎない。
【0064】
そして、半導体基板SUBのゲート層GLYの上には、遮光部MSを含む配線層MLYが設けられる。例えば、遮光部MSは、金属膜等で形成される。遮光部MSは、例えば、第1グローバルスイッチトランジスタGS1、蓄積ダイオードSD、転送トランジスタTX、第2グローバルスイッチトランジスタGS2が配置された領域を覆うように配置される。すなわち、フォトダイオードPD上には、遮光部MSのない開口部が形成される。
【0065】
ここで、画素PXにおいて、遮光部MSは単一の部材で形成され、瞳分割用遮光部としての機能と、蓄積ダイオードSDへの入射光を遮る蓄積部用遮光部としての機能とを有している。なお、遮光部MSは、配線層MLYの最下層以外に形成されてもよいし、配線と兼用されてもよい。例えば、配線は、遮光部MSが設けられる層と別の層に形成されてもよいし、遮光部MSが設けられる層と同じ層に形成されてもよい。
【0066】
また、配線層MLYの上には、カラーフィルタとして機能する光学フィルタOFLが配置される。光学フィルタOFLの上には、平坦層PLYが形成されている。そして、平坦層PLYの上にマイクロレンズMLNが配置されている。
【0067】
また、上記の第1画素から第6画素を含む各画素において、マイクロレンズMLNの光軸中心は、瞳分割を行うために、遮光部MSと開口部(光電変換部)との境界に合わせてそれぞれ配置されている。
【0068】
さらに、第1構成例において、各々の画素PXから信号を読み出すときの動作モードについて説明する。上記の画素PXは、2つのグローバルスイッチトランジスタGS1,GS2を有しているため、シングルシャッタおよびデュアルシャッタの2つの動作モードで駆動させることができる。
【0069】
シングルシャッタの動作では、グローバルスイッチトランジスタGS2は常にオフとされる。まず、フレームの最初に初段電荷転送として、全ての画素で一斉に、グローバルスイッチトランジスタGS1を介してフォトダイオードPDから蓄積ダイオードSDに信号電荷が転送される。これにより、グローバル電子シャッタ機能が可能となる。次に、全ての画素で第1リセットトランジスタRST1をオンし、次のフレームの蓄積開始までフォトダイオードPDをリセット状態とする。上記のリセット時間の調節により、撮像素子12aは露光時間(シャッタ秒時)を自由に設定できる。
【0070】
そして、垂直走査部32により選択された行ごとに画素PXからの信号読み出し動作が行われる。垂直走査部32がi行目の信号φSEL(i)を高レベルにすることで、i行目の画素PXが選択される。また、垂直走査部32がi行目の信号φRST1(i)を高レベルにすることで、i行目の画素PXのフローティングディフュージョン部FDがリセットされる。このリセットノイズを含むリセット電圧がi行目の画素PXから基準電圧として読み出される。その後、垂直走査部32がi行目の信号φTX(i)を高レベルにすることで、i行目の画素PXにおいて転送トランジスタTXにより蓄積ダイオードSDの電荷がフローティングディフュージョン部FDに転送される。これにより、変化した後の電圧を信号電圧として読み出すことができる。そして、上記の基準電圧と信号電圧との差分が、水平走査部33の列カラムに設けられるCDS回路(不図示)により画素PXの出力信号として読み出される。これにより、画素PXの出力信号からリセットノイズおよび固定パターンノイズをキャンセルできる。
【0071】
一方、デュアルシャッタの動作では、1フレームの撮像期間内で蓄積ダイオードSDに蓄積される信号と、フローティングディフュージョン部FDに蓄積される信号とで2つの画像を取得する。
【0072】
デュアルシャッタの動作では、初段電荷転送後にフォトダイオードPDをリセットした後、再びフォトダイオードPDに電荷を蓄積する。このリセット後に蓄積される第2の信号電荷は、グローバルスイッチトランジスタGS2を介してフローティングディフュージョン部FDに転送される。上記の第2の信号電荷の蓄積も全画素で一斉に行われ、グローバル電子シャッタとなる。上記の第2の信号電荷は、行選択されるまでフローティングディフュージョン部FDで保持され、行選択時に画素PXから読み出される。そして、フローティングディフュージョン部FDを一旦リセットした後、転送トランジスタTXにより蓄積ダイオードSDの電荷をフローティングディフュージョン部FDに転送して読み出せばよい。このデュアルシャッタの動作では、相関のない単なる2重サンプリングとなり、固定パターンノイズはキャンセルされるが、リセットノイズはキャンセルされない。
【0073】
上記のデュアルシャッタの動作で取得した2つの画像を用いることで、例えば、広ダイナミックレンジ化や、差分画像による動き検出、2枚の連続高速撮像などを実現できる。
【0074】
一例として、広ダイナミックレンジ化の場合、最初に長時間露光の信号を蓄積ダイオードSDに蓄積し、次に短時間露光の信号をフローティングディフュージョン部FDに蓄積する。そして、画像の低照度領域では長時間露光の信号を割り当て、画像の高照度領域では短時間露光の信号を割り当てて画像を合成すればよい。長時間露光の信号は低ノイズであることに加え、高照度側ではショットノイズが支配的であるので短時間露光の信号に含まれるリセットノイズは無視できる。そのため、デュアルシャッタの動作で取得した画像を合成することで、ダイナミックレンジを効果的に広げることができる。
【0075】
また、デュアルシャッタの動作では、2枚の画像の間で蓄積時間の差を非常に短くすることができる。例えば、上記の広ダイナミックレンジ化の場合、合成時の画像歪みや動きぼけを抑制しやすくなる。
【0076】
以下、第1構成例における撮像素子12aの作用効果を述べる。
【0077】
(1)第1構成例の撮像素子12aには、瞳分割による一対の像を取得する一対の画素が受光面全体に配置されている。よって、撮像素子12aの受光面全面で位相差AFによる焦点検出を行うことが可能となる。また、撮像素子12aの各画素は撮像用画素と焦点検出画素を兼ねるため、受光面の一部に焦点検出画素を配置する場合と比べて焦点検出画素の数が非常に多くなって、位相差AFの焦点検出精度が向上する。
【0078】
(2)第1構成例の撮像素子12aは、水平方向に対向配置された一対のG画素から被写体像の水平方向の位相差情報を得ることができる。また、撮像素子12aは、垂直方向に対向配置された一対のB画素または一対のR画素から被写体像の垂直方向の位相差情報を得ることができる。よって、撮像素子12aは、水平方向の位相差AFと、垂直方向の位相差AFのいずれにも対応でき、位相差AFの焦点検出精度が向上する。
【0079】
(3)第1構成例の撮像素子12aは、R画素、G画素、B画素のいずれでも被写体像の位相差情報を得ることができる。よって、撮像素子12aにおいて、被写体の色に起因して位相差情報の検出精度が低下しにくくなる。つまり、位相差AFのときに苦手となる被写体やシーンが少なくなるので、位相差AFの焦点検出精度が向上する。
【0080】
(4)第1構成例の撮像素子12aは、G画素の水平加算と、B画素およびR画素の垂直加算とにより、ベイヤ配列構造の画像を得ることができる(
図4参照)。よって、撮像素子12aは、受光面の一部に焦点検出画素を配置する場合のように特殊な画素補間を行うことなく、記録用のカラー画像を得ることができる。
【0081】
(5)第1構成例の撮像素子12aは、フォトダイオードPDと、蓄積ダイオードSDとを各画素に備えている。全ての画素で一斉にフォトダイオードPDから蓄積ダイオードSDに信号電荷を転送することで、撮像素子12aはグローバル電子シャッタによる撮像が可能となる。例えば、グローバル電子シャッタによる撮像では、全ての画素で同時性が得られるため、動体歪みの少ない画像を得ることができる。また、グローバル電子シャッタの場合、照明装置を用いたフラッシュ撮影のときに、短いシャッタ秒時であっても照明装置との発光同期(高速フラッシュ同期)が容易となる。
【0082】
<撮像素子の第2構成例>
第2構成例の撮像素子12bは、第1構成例と同じ画素配列であって、受光面の裏面側にゲート層GLYおよび配線層MLYが形成される裏面照射型撮像素子である。第2構成例の撮像素子12bは第1構成例の撮像素子12aの変形例であり、第2構成例で第1構成例と共通する部分には同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0083】
図9は、第2構成例での画素PXの断面図である。
図9は、第1構成例の
図8に対応する。また、
図10は、第2構成例における受光面(第1面)側での画素配列の例を示す図である。また、
図11は、第2構成例における受光面の裏面(第2面)側での画素配列の例を示す図である。
【0084】
撮像素子12bの第1面には、マイクロレンズMLN、カラーフィルタ(光学フィルタOFL)と、遮光膜による遮光部MSが、各画素PXにそれぞれ配置される。そして、撮像素子12bの画素PXには、マイクロレンズMLNよりも前方に配置された赤外カットフィルタ(不図示)を通過した光のうち、カラーフィルタの分光感度に応じた可視光が受光面に入射する。なお、第2構成例において、受光面のカラーフィルタおよび遮光部の配置パターンは、第1構成例と同様である。
【0085】
つまり、第2構成例での遮光部MSは、光学系の瞳の半分を通過する光束を遮光するように配置されており、撮像素子12bの第1面には遮光部MSのない開口部が形成される。遮光部MSは、例えば、第1グローバルスイッチトランジスタGS1、蓄積ダイオードSD、転送トランジスタTX、第2グローバルスイッチトランジスタGS2が配置された領域を覆うように配置される。なお、遮光部MSにより、隣り合う画素への光の入射が遮られるため、信号のクロストークを防止できる。
【0086】
また、遮光部MSの上には、カラーフィルタとして機能する光学フィルタOFLが配置される。光学フィルタOFLの上には、平坦層PLYが形成されている。そして、平坦層PLYの上にマイクロレンズMLNが配置されている。各画素のマイクロレンズMLNの光軸中心は、瞳分割を行うために、遮光部MSと開口部(光電変換部)との境界と一致するようにそれぞれ配置される。
【0087】
一方、撮像素子12bの第2面には、上述のようにゲート層GLYおよび配線層MLYが形成される。そして、撮像素子12bの第2面には、略台形状に形成されたフォトダイオードPD、第1リセットトランジスタRST1、第1グローバルスイッチトランジスタGS1、蓄積ダイオードSD、転送トランジスタTX、第2グローバルスイッチトランジスタGS2が画素PXごとに配置される。また、撮像素子12bの第2面には、画素間で共有される回路23、24も配置されている。
【0088】
第2構成例においても、R画素、G画素、B画素はいずれも同じ回路構成である。行方向(X方向)に隣り合うG画素の回路は、第2面上で左右対称となるように配置されている。また、列方向(Y方向)に隣り合うB画素およびR画素の回路は、第2面上で上下対称となるように配置されている。また、第2構成例においても、第2面でのフォトダイオードPDの面積は、蓄積ダイオードSDの面積よりも大きく設定されている。
【0089】
また、
図9に示すように、第2構成例の撮像素子12bには、n型の半導体基板SUBが用いられている。半導体基板SUBの第1面上には、p型の半導体層34(第1半導体部の一例)が形成されている。例えば、p型の半導体層34は、分離部ISおよび画素PXの第1面側を覆うように形成されている。また、p型の半導体層34の上に、遮光部MS、光学フィルタOFL、平坦層PLY、マイクロレンズMLNがそれぞれ形成される。
【0090】
また、フォトダイオードPDは、n型の半導体基板SUBの第2面側(
図9では下側)に形成されたn型の半導体領域n1を有している。
図9に示す半導体領域n1は、n型の半導体基板SUBと接触している。
【0091】
また、蓄積ダイオードSDは、n型の半導体基板SUBの第2面側に形成されたn型の半導体領域n2を有している。また、蓄積ダイオードSDの半導体領域n2の上層には、p型のシールド層(p2)が積層して形成される。このシールド層は、遮蔽部の一例であって、半導体領域n2の全域を覆うように形成されており、必要に応じて後述の分離部ISと接触するように形成される。また、転送ゲート部の一例としての第1グローバルスイッチトランジスタGS1は、フォトダイオードPDと蓄積ダイオードSDとの間に形成されている。
【0092】
さらに、半導体基板SUBの第2面上には、半導体領域n1、n2に対応するp型の半導体層p+(第2半導体部の一例)がそれぞれ形成されている。また、半導体基板SUBの第2面上には、ゲート層GLYとの間にp型の領域35が形成されている。
【0093】
第2構成例の各画素PXにおいて、n型の半導体基板SUBは、遮光部MSで瞳分割された一部の光束を第1面側から受光し、光電変換により電荷を生成する。第2構成例の撮像素子12bでは、長波長の光は赤外カットフィルタによってカットされるので、半導体基板SUBには入射しない。そして、半導体基板SUBに十分な厚みがあれば、半導体基板SUB内で光電変換が生じる。例えば、第2構成例での半導体基板SUBの厚さ(第1面と直交する方向の長さ)は3μm以上に設定される。
【0094】
図12は、RGBの各波長について、シリコン基板による光吸収率とシリコン基板の厚みとの関係例を示すグラフである。
図12の縦軸はシリコン基板での光吸収率を示し、
図12の横軸はシリコン基板の厚み(Si深さ)を示す。
図12の例では、Bの波長は500nm、Gの波長は600nm、Rの波長は750nmである。50%の光を吸収するために必要なシリコン基板の厚さは光の波長が長くなるほど大きくなり、
図12のRの場合には約3.2μmとなる。
図12ではRの波長を750nmとしているが、Rの感度領域のピークは650nm近傍である。Rの感度領域のピークでは、50%の光を吸収するために必要となるシリコン基板の厚さは約3.2μmよりも薄くなる。したがって、シリコン基板の厚みを3μm以上に設定すれば、実用上、RGBのいずれの光についても半導体基板SUB内で光電変換を十分に起こすことができる。
【0095】
また、第2構成例のn型の半導体基板SUBは、第1面から第2面側の半導体領域n1に向けて濃度が高くなるように不純物濃度に勾配を有している。つまり、半導体基板SUBの第1面側における第1不純物濃度は、半導体領域n1の第2不純物濃度よりも低くなる(第1不純物濃度<第2不純物濃度)。したがって、n型の半導体基板SUBでは、不純物濃度の低い第1面側のポテンシャルに対して、不純物濃度の高い半導体領域n1のポテンシャルの方が低くなる。よって、第2構成例では、半導体基板SUBの第1面側から半導体領域n1までのポテンシャルの差により電荷が半導体領域n1に向けて流れやすくなるので、フォトダイオードPDでの転送残りが抑制される。なお、半導体基板SUBの不純物濃度は、第1面側よりも第2面側が高いという条件を満たせば、基板の厚さ方向に不純物濃度が階段状に急峻に変化するものでもよい。
【0096】
なお、第2構成例では、半導体基板SUBの第1面上にp型の半導体層34を形成し、半導体基板SUBの第2面上にp型の半導体層p+を形成しているので、フォトダイオードPDがp+np−構造となる。よって、第2構成例では、フォトダイオードPDでの暗電流を抑制できる。
【0097】
また、フォトダイオードPDの半導体領域n1、蓄積ダイオードSDの半導体領域n2の不純物濃度は互いに異なる。例えば、第1グローバルスイッチトランジスタGS1が低レベルのときに、蓄積ダイオードSDのポテンシャルがフォトダイオードPDのポテンシャルとフローティングディフュージョン部FDのポテンシャルとの間に位置するように、半導体領域n1、n2の不純物濃度はそれぞれ設定される。
【0098】
したがって、第1グローバルスイッチトランジスタGS1が高レベルのときには、半導体基板SUBで生成された電荷は、ポテンシャルの差から、半導体領域n1を介して蓄積ダイオードSDの半導体領域n2に流れ込む。なお、蓄積ダイオードSDの半導体領域n2と半導体基板SUBとの間には遮蔽部としてのシールド層p2が存在する。そのため、第1グローバルスイッチトランジスタGS1が低レベルのときに、半導体基板SUBで生成された電荷はシールド層p2に阻害されるので、蓄積ダイオードSDの半導体領域n2に入り込むことはない。
【0099】
また、互いに隣り合う画素間を絶縁するために、画素PXの境界にはp型の分離部ISが形成される。第2構成例での分離部ISは、半導体基板SUBの第2面から第1面まで達するように形成されている。分離部ISは、例えばp型ウェルである。なお、分離部ISはトレンチを含むものであってもよい。また、蓄積ダイオードSD、分離部ISおよびシールド層(p2)の間にはp型領域37が形成されている。同様に、シールド層(p2)と半導体基板SUBとの間にはp型領域38が形成され、分離部IS、半導体基板SUBおよびフォトダイオードPDの間にはp型領域39が形成されている。なお、第2構成例で説明した半導体の導電型は、あくまで一例にすぎない。
【0100】
第2構成例における撮像素子12bは、第1構成例の作用効果((1)〜(5))に加え、さらに以下の作用効果を得ることができる。
【0101】
遮光部MSの遮光膜と半導体基板SUBとの間に配線層MLYが位置する場合、強い光が入射すると、遮光膜と撮像面との僅かな隙間から余剰光が蓄積ダイオードSDに漏光し、偽信号(スミア)が発生するおそれがある。
【0102】
一方、第2構成例の撮像素子12bでは、配線層MLYが入射面の裏面側に位置し、蓄積ダイオードSDには光が直接入射せず、かつ入射光は半導体基板SUBで光電変換される。そのため、撮像素子12bでは、強い光が入射したときでも蓄積ダイオードSDへの漏光がないので、蓄積ダイオードSDへの漏光によるスミアを抑制でき、蓄積ダイオードSDでスミアが発生するおそれが著しく軽減する。
【0103】
<撮像素子の第3の構成例>
次に、第2構成例の変形例として、第3構成例の撮像素子12cを説明する。
図13は、第3構成例の撮像素子12cにおける受光面の裏面(第2面)側からの画素PXの例を示す図である。
【0104】
以下、第3構成例の撮像素子12cについて、第2構成例との相違点を説明する。第3構成例の撮像素子12cでは、受光面の裏面(第2面)において、フォトダイオードPDの面積を蓄積ダイオードSDの面積よりも小さくしている。これにより、第1リセットトランジスタRST1、第1グローバルスイッチトランジスタGS1、第2グローバルスイッチトランジスタGS2の配置間隔が小さくなるので、画素PXのサイズを小さくできる。したがって、第3構成例の場合、撮像素子の高画素化が容易となる。なお、裏面照射型撮像素子の場合には、上記のように入射光の光電変換は半導体基板SUB内で行われるので、第2面側のフォトダイオードPDのサイズを小さくしても大きな影響は生じない。
【0105】
<実施形態の補足事項>
(補足1):第1構成例から第3構成例の撮像素子は積層構造であってもよい。例えば、撮像素子12は、第1基板と、第2基板とを積層し、第1基板および第2基板を例えばマイクロバンプなどの接続部MBで電気的に接続して構成してもよい。撮像素子を積層構造とすることで、小さいスペースに回路を集積できるので撮像素子の高画素化が容易となる。
【0106】
一例として、
図14(a)に示すように、第1基板には、フォトダイオードPD、第1リセットトランジスタRST1、第1グローバルスイッチトランジスタGS1、蓄積ダイオードSD、転送トランジスタTX、第2グローバルスイッチトランジスタGS2、第2リセットトランジスタRST2、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELを配置してもよい。そして、第2基板(信号処理基板の一例)には、水平走査部33、A/D変換回路やCDS回路などを配置してもよい。これにより、第2基板において、各画素のフローティングディフュージョン部FDに転送された電荷に応じた信号が処理される。
【0107】
また、
図14(b)に示すように、第1基板には、フォトダイオードPD、第1リセットトランジスタRST1、第1グローバルスイッチトランジスタGS1、蓄積ダイオードSD、転送トランジスタTX、第2グローバルスイッチトランジスタGS2を配置してもよい。そして、第2基板には、第2リセットトランジスタRST2、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、垂直信号線VL、水平走査部33、A/D変換回路やCDS回路などを配置してもよい。
【0108】
(補足2):上記の第2構成例で説明した蓄積部を備えた裏面照射型撮像素子の構成は、上記の実施形態とは異なる画素配置の場合にも適用できる。例えば、
図15に示すような正方格子状に撮像画素と焦点検出画素とを配列した撮像素子において、焦点検出画素または撮像画素の構成を第2構成例(例えば、
図9)のようにしてもよい。
【0109】
(補足3):上記の構成例では、各画素のマイクロレンズMLNの光軸中心が遮光部MSと開口部(光電変換部)との境界と一致する場合を説明した。しかし、本発明では、遮光部MSと開口部(光電変換部)との境界に対して、第1画素から第6画素を含む各画素のマイクロレンズMLNの光軸中心が光電変換部側に位置するようにしてもよい。例えば、開口部の重心にマイクロレンズMLNの光軸中心が位置するようにしてもよい。
【0110】
(補足4):上記の第2構成例において、半導体基板SUBの第1面にあるp型の半導体層34を省略してもよい。
【0111】
(補足5):上記の撮像素子の構成例はあくまで本発明の一例にすぎない。例えば、本発明の撮像素子において、第1リセットトランジスタRST1や、第2グローバルスイッチトランジスタGS2を画素PXから省略してもよい。
【0112】
(補足6):上記の実施形態では、撮像ユニットの一例として、カメラボディ3に交換レンズ2が装着されるデジタルカメラ1を説明したが、例えば、レンズ一体型のデジタルカメラにも本発明を適用できる。また、本発明の撮像ユニットは、例えば、カメラモジュールを有する電子機器(例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット型コンピュータなど)に実装されるものであってもよい。
【0113】
(補足7):上記の実施形態では、撮像素子12に、原色系(RGB)のカラーフィルタを用いる場合を説明したが、補色系(CMY)のカラーフィルタを用いてもよい。
【0114】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。