(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電極活物質層を形成するステップは、前記プライマー層上に前記電極活物質層を備えた後、前記電極活物質層の一領域を除去して前記プライマー層の一領域を露出させることを含む、
請求項1に記載の電極タブの溶接方法。
前記電極タブと前記集電層とを溶接するステップは、前記パルスレーザを照射して前記電極タブと接するプライマー層を除去し、前記電極タブと前記集電層とを溶接することを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電極タブの溶接方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0017】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0018】
本願明細書全体において、「光透過率」は、部材に入射する光量に対する、部材を透過する光量の比率を意味する。この時、部材に入射する光量、および部材を透過する光量は、分光光度計(Lambda950、PerkinElmer社)などを用いて測定することができる。
【0019】
本発明者らは、二次電池用電極を製造するための電極タブの溶接にあたり、前記集電層に超音波振動を加える場合、電極活物質層、プライマー層、絶縁層が完全に除去されなければ溶接品質が低下することを確認した。そこで、本発明者らは、二次電池用電極を構成する各層の除去工程を最小化し、レーザ照射の方向およびその条件を具体的に特定して、上記の問題点を解決するための持続的な研究を行い、下記のような電極タブの溶接方法を開発した。
【0020】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0021】
本発明の一実施態様は、絶縁層、集電層、およびプライマー層が順次に備えられた電極積層体を用意するステップと、前記プライマー層上に備えられ、前記プライマー層が露出する領域を有する電極活物質層を形成するステップと、前記プライマー層が露出した領域上に電極タブを貼り合わせるステップと、パルスレーザを照射して前記電極タブと前記集電層とを溶接するステップとを含み、前記絶縁層の光透過率は、400nm以上1,200nm以下の波長で50%以上であり、前記パルスレーザは、前記絶縁層を透過して、前記絶縁層から前記集電層の方向に照射される電極タブの溶接方法を提供する。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、前記絶縁層は、空気中の水分および外部衝撃に対して電極を保護するために集電層の外面に備えられる。前記絶縁層は、水分遮断層を含む通常の高分子樹脂を使用することができ、前記高分子樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate;PET)、ポリビニルクロライド(PVC;Polyvinyl Chloride)、高密度ポリエチレン(High−density polyethylene;HDPE)、およびエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つを含むことができる。ただし、柔軟性(flexibility)を実現できる素材であれば十分であり、高分子樹脂の種類が制限されることはない。
【0023】
本発明の一実施態様によれば、前記集電層は、ステンレススチール;アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅;カーボン、ニッケル、チタン、または銀で表面処理されたステンレススチール;アルミニウム−カドミウム合金;導電材で表面処理された非導電性高分子;導電性高分子;Ni、Al、Au、Ag、Al、Pd/Ag、Cr、Ta、Cu、Ba、またはITO(indium tin oxide)である金属粉末を含む金属ペースト;または黒鉛、カーボンブラック、または炭素ナノチューブである炭素粉末を含む炭素ペースト;で製造されたものであってもよいが、その種類が制限されることはない。
【0024】
本発明の一実施態様によれば、前記プライマー層は、導電材およびバインダーを含むことができる。前記プライマー層が導電材およびバインダーを含むことにより、電極において導電層および接着層の役割を同時に果たすことができる。
【0025】
具体的には、前記プライマー層は、電極活物質層と集電層とを効果的に接着させることができ、電極活物質層の導電性を向上させて電極の抵抗を減少させることができ、電池の性能低下を防止することができる。具体的には、前記プライマー層は、前記集電層と前記電極活物質層との間に備えられる。
【0026】
本発明の一実施態様によれば、前記導電材は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノチューブ、およびグラフェンのうちの少なくとも1つを含むことができるが、導電材の種類を制限するものではない。
【0027】
本発明の一実施態様によれば、前記バインダーは、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride、PVDF)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride−co−hexafluoro propylene)、ポリビニリデンフルオライド−トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride−co−trichloroethylene)、ポリブチルアクリレート(polybutyl acrylate)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、エチレンビニルアセテート共重合体(ethylene−co−vinyl acetate)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリアリレート(polyarylate)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)、スチレンブタジエンゴム(styrene−butadiene rubber)、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体(acrylonitrile−styrene−butadiene copolymer)、およびポリイミド(polyimide)のうちの少なくとも1つを含むことができる。ただし、前記バインダーの種類を制限するものではない。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、前記電極活物質層は、前記プライマー層上に備えられ、前記プライマー層が露出する領域を有することができる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記電極が二次電池の負極の場合、前記電極活物質層は、天然黒鉛、人造黒鉛、または炭素質材料;Si、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、Ni、またはFeである金属類(Me);前記金属類(Me)からなる合金類;前記金属類(Me)の酸化物(MeOx)またはリチウム含有チタン複合酸化物(lithium titanium oxide、LTO);および前記金属類(Me)と炭素との複合体のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、電極が二次電池の正極の場合、前記電極活物質層は、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMn
2O
4、LiCoPO
4、LiFePO
4、LiNiMnCoO
2、およびLiNi
1−x−y−zCo
xM1
yM2
zO
2(M1およびM2は、互いに独立に、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg、およびMoからなる群より選択されたいずれか1つであり、x、yおよびzは、互いに独立に、酸化物組成元素の原子分率であって、0≦x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、x+y+z≦1である)からなる群より選択されたいずれか1つの活物質粒子、またはこれらの2種以上の混合物を含むことができる。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、前記プライマー層の露出した領域上に電極タブを貼り合わせるステップは、前記プライマー層の露出した領域上に前記電極タブが接するようにすることを含むことができる。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、一部が外部に露出した前記プライマー層を含む電極積層体に前記電極タブが貼り合わされる。
【0033】
具体的には、前記電極タブが貼り合わされる領域だけの、前記プライマー層の一部領域が露出し、前記一部領域が露出したプライマー層上に電極タブが貼り合わされる。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、前記プライマー層の露出した領域上に貼り合わされる電極タブは、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅;カーボン、ニッケル、チタン、または銀で表面処理されたステンレススチール;およびアルミニウム−カドミウム合金のうちの少なくとも1つであってもよいが、その種類が制限されることはない。
【0035】
本発明の一実施態様によれば、前記電極タブと前記集電層とを溶接するステップは、パルスレーザの照射により行われる。超音波振動を利用して溶接を行う場合、電極の照射面および下端面が電極活物質層または絶縁層などによって汚染することがある。
【0036】
図1は、超音波溶接により作製された電極試験片のデジタル画像を示すものである。
図1によれば、電極の上部に電極タブが備えられた形態は下端面、電極タブの上部に電極が備えられた形態は照射面を意味することができる。
【0037】
本発明の一実施態様によれば、前記絶縁層の光透過率は、400nm以上1,200nm以下の波長で50%以上であってもよい。具体的には、400nm以上1,200nm以下の波長のいずれか1つの波長値を有する光に対する前記絶縁層の光透過率は、50%以上であってもよい。また、400nm以上1,200nm以下の波長における前記絶縁層の光透過率は、80%以上95%以下であってもよい。前記絶縁層の光透過率が前述した範囲内の場合、前記絶縁層から前記集電層の方向へのパルスレーザの照射時、前記パルスレーザが前記絶縁層の損傷を最小化しながら前記絶縁層を透過することができる。
【0038】
波長範囲に応じた前記絶縁層の光透過率曲線を
図2に示した。
図2によれば、400nm以上の波長における前記絶縁層の光透過率は、80%以上を維持していることを確認することができる。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記パルスレーザは、前記絶縁層を透過して、前記絶縁層から前記集電層の方向に照射される。
【0040】
前記パルスレーザが前記絶縁層から前記集電層の方向に照射される場合、前記パルスレーザが前記集電層から前記絶縁層の方向に照射される場合より電極の損傷が減少できる。
【0041】
具体的には、前記パルスレーザが前記集電層から前記絶縁層の方向に照射される場合、前記絶縁層が損傷することがある。より具体的には、前記電極タブが溶接されるためには、前記集電層より厚い前記電極タブが溶融しなければならず、前記電極タブが溶融するためには、高出力のパルスレーザを照射しなければならず、前記高出力のパルスレーザを照射することにより前記集電層が変形することがあり、前記集電層が変形することにより前記絶縁層が損傷することがある。
【0042】
また、前記パルスレーザが前記集電層から前記絶縁層の方向に照射される場合、前記電極タブの表面に溶接ビード(bead)が形成されて電極の性能を低下させることがあるが、前記パルスレーザが前記絶縁層から前記集電層の方向に照射される場合、前記電極タブの表面の溶接ビードの形成を最小化することができる。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記電極活物質層を形成するステップは、前記プライマー層上に前記電極活物質層を備えた後、前記電極活物質層の一領域を除去して前記プライマー層の一領域を露出させることを含むことができる。
【0044】
本発明の一実施態様に係る電極タブの溶接方法の模式図を
図3A〜
図3Cに示した。具体的には、
図3Aは、絶縁層10、集電層20、およびプライマー層30を含む電極積層体100の前記プライマー層30上に電極活物質層40が備えられた形態を示すものである。
図3Bは、前記電極活物質層40の一領域が除去されて前記プライマー層30の一領域が露出した形態を示すものである。
図3Cは、前記プライマー層30の露出した一領域上に電極タブ50を貼り合わせ、前記絶縁層10から前記集電層20の方向にパルスレーザ200を照射するステップを示すものである。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記電極活物質層の一領域をエッチングして除去することにより、前記プライマー層の一領域を露出させることができる。例えば、前記エッチングは、前記電極活物質層の一領域上にエッチングマスクを塗布した後、前記エッチングマスクが塗布されていない前記電極活物質層の一領域を除去するものであってもよい。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記エッチングは、ウェットエッチングまたはドライエッチングで行われる。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記ウェットエッチングは、前記エッチングマスクが塗布されていない前記電極活物質層の一領域をエッチング溶液を用いてエッチングするものであってもよいが、その方法が制限されることはない。具体的には、前記エッチング溶液は、メチルピロリドン(N−Methylpyrrolidone;NMP)、水、アルコール、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、およびアセトンのうちの少なくとも1つを含むことができるが、エッチング溶液の種類を制限するものではない。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記ドライエッチングは、前記エッチングマスクが塗布されていない前記電極活物質層の一領域にパルスレーザを照射して前記電極活物質層を除去するものであってもよいが、その方法が制限されることはない。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記ドライエッチング時に照射されるパルスレーザの照射条件は、使用者の必要に応じて適正範囲に調節可能であり、具体的には、IR波長の50Wのパルスレーザを用いる場合、前記パルスレーザの平均出力密度を1MW/cm
2以上5MW/cm
2以下に設定することができる。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記電極活物質層を形成するステップは、前記プライマー層上に前記プライマー層の一領域が露出するように前記電極活物質層を備えることを含むことができる。具体的には、前記プライマー層が露出する一領域上には前記電極活物質層を備えず、前記プライマー層を露出させない他の領域上には前記電極活物質層を備えることができる。
【0051】
より具体的には、前記プライマー層を露出させない他の領域上に前記電極活物質層を備える方法として、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、スロットダイコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティングなどの方法を使用することができるが、その方法を制限するものではない。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記電極タブと前記集電層とを溶接するステップは、前記パルスレーザを照射して前記電極タブと接するプライマー層を除去し、前記電極タブと前記集電層とを溶接することを含むことができる。
【0053】
具体的には、前記パルスレーザが前記集電層に照射されることにより、前記集電層が加熱され、前記加熱された集電層が変形することにより、前記加熱された集電層上に備えられた前記プライマー層が気化して前記プライマー層が除去される。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記パルスレーザは、前記集電層に焦点を合わせて照射される。具体的には、前記パルスレーザは、前記集電層と前記絶縁層との界面(interlayer)に焦点を合わせて照射される。
【0055】
前記パルスレーザが前記集電層に焦点を合わせて照射されることにより、前記集電層がレーザのエネルギーを吸収することにより変形し、前記集電層が変形することにより、前記集電層に隣接する前記プライマー層が気化することにより、前記集電層および前記電極タブの溶接が行われる。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記プライマー層の厚さは、1μm以上10μm以下であってもよく、具体的には1μm以上5μm以下であってもよいし、より具体的には1μm以上3μm以下であってもよい。前記プライマー層の厚さが前述した範囲内の場合、前記電極活物質層が円滑にコーティングされ、前記プライマー層の接着力および導電性を確保することができる。また、前記パルスレーザが照射されて吸収される場合、前記プライマー層が十分に気化して前記集電層に前記電極タブが円滑に溶接可能になる。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記集電層の厚さは、5μm以上30μm以下であってもよい。具体的には、前記集電層の厚さは、5μm以上20μm以下、10μm以上30μm以下、または10μm以上20μm以下であってもよい。前記集電層の厚さを前述した範囲に調節することにより、電極タブの溶接による集電層の損傷を最小化し、前記電極タブが十分に溶接可能になる。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記絶縁層の厚さは、5μm以上30μm以下、具体的には10μm以上20μm以下であってもよい。前記絶縁層の厚さを前述した範囲に調節することにより、前記パルスレーザの照射による電極タブの溶接時に電極の損傷を最小化することができ、円滑に電極タブを溶接することができる。
【0059】
具体的には、前記絶縁層の厚さが前述した範囲内の場合、前記パルスレーザの照射時、前記集電層 の吸収したエネルギーが前記絶縁層に伝達されることにより発生する前記絶縁層の損傷と、前記絶縁層が前記パルスレーザの照射によって直接エネルギーを吸収することにより発生する前記絶縁層の損傷を最小化することができる。これによって、前記絶縁層の厚さ範囲で耐久性の減少を最小化させた二次電池を提供することができる。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記電極タブの厚さは、80μm以上500μm以下、具体的には、90μm以上300μm以下、または100μm以上150μm以下であってもよい。前記電極タブの厚さが前述した範囲内の場合、抵抗の増加および電池の厚さが最小化された電極を提供することができる。
【0061】
本発明の一実施態様によれば、前記電極活物質層の厚さは、20μm以上150μm以下であってもよく、具体的には、20μm以上130μm以下、40μm以上150μm以下、または40μm以上130μm以下であってもよいし、より具体的には、40μm以上110μm以下、70μm以上130μm以下、または70μm以上110μm以下であってもよく、さらにより具体的には、90μm以上100μm以下であってもよい。前記電極活物質層の厚さを前述した範囲に調節することにより、優れた電気伝導性を有し、充電容量が大きい電極を提供することができる。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記電極積層体は、集電層および絶縁層の間に接着層をさらに含んでもよい。前記接着層をさらに含むことにより、絶縁層が集電層から剥離されるのを防止することができる。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記接着層の厚さは、1μm以上5μm以下であってもよい。前記接着層の厚さが前述した範囲内の場合、レーザ照射による絶縁層の損傷を最小化し、集電層と絶縁層の剥離を防止することができる。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、前記接着層は、当業界で知られた接着剤で備えられたものであってもよいし、前記接着剤の種類が制限されることはない。
【0065】
本明細書において、パルスレーザは、当業界で知られたパルスレーザを意味することができ、具体的には、パルス形態のレーザ、すなわち時間的に発振および停止があるレーザを意味することができる。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記パルスレーザのパルスエネルギーは、10mJ以上30mJ以下であってもよく、具体的には、11mJ以上30mJ以下、10mJ以上25mJ以下、または11mJ以上25mJ以下であってもよいし、より具体的には、12mJ以上25mJ以下、11mJ以上20mJ以下、または12mJ以上20mJ以下であってもよい。
【0067】
前記パルスレーザのパルスエネルギーを前述した範囲に調節することにより、絶縁層の損傷を最小化することができる。具体的には、前記範囲のパルスエネルギーを有する前記パルスレーザを照射することにより、前記電極タブの溶接を行うと同時に、前記パルスレーザのレーザ照射による絶縁層の損傷を最小化することができる。
【0068】
本明細書において、前記パルスレーザのパルスエネルギーは、前記パルスレーザの1回の発振および停止時に出力されるエネルギーを意味することができる。
【0069】
本発明の一実施態様によれば、前記パルスレーザのスポット離隔距離は、0.15mm以上0.45mm以下であってもよく、具体的には、0.15mm以上0.35mm以下、0.17mm以上0.45mm以下、または0.17mm以上0.35mm以下であってもよいし、より具体的には、0.2mm以上0.35mm以下、0.17mm以上0.25mm以下、または0.2mm以上0.25mm以下であってもよい。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、前記パルスレーザのスポット離隔距離は、電極の長手方向に0.15mm以上0.45mm以下、具体的には0.15mm以上0.35mm以下、より具体的には0.15mm以上0.25mm以下であり、電極の幅方向に0.15mm以上0.35mm以下、具体的には0.15mm以上0.25mm以下であってもよい。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記パルスレーザのスポット離隔距離を前述した範囲に調節することにより、電極タブを円滑に溶接することができる。具体的には、前記パルスレーザのスポット離隔距離を前述した範囲に調節することにより、集電層および電極タブの損傷を最小化することができ、照射されるパルスレーザのエネルギー減少による引張強度の減少を最小化することができる。
【0072】
本明細書において、パルスレーザのスポット離隔距離(Spot Align)は、パルスレーザが照射される焦点間の距離を意味することができる。
【0073】
本明細書において、長手方向は、セルビッチ(selvage)方向であって、前記絶縁層、前記集電層、および前記プライマー層が備えられる方向およびグレイン(grain)方向のそれぞれと垂直であってもよい。
【0074】
本明細書において、幅方向は、グレイン(grain)方向であって、前記絶縁層、前記集電層、および前記プライマー層が備えられる方向およびセルビッチ(selvage)方向のそれぞれと垂直であってもよい。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記パルスレーザのスポットサイズは、50μm以上150μm以下、具体的には、50μm以上120μm以下、60μm以上150μm以下、または60μm以上120μm以下、より具体的には、60μm以上100μm以下、80μm以上120μm以下、または80以上100μm以下であってもよい。
【0076】
本発明の一実施態様によれば、前記パルスレーザの波長は、400nm以上1,200nm以下であってもよい。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、前記パルスレーザの媒質は、光ファイバにイッテルビウムが添加された形態であるイッテルビウム添加繊維(Yb doped fiber)であってもよいが、その種類が制限されることはない。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記電極タブの溶接方法は、ケーブル型二次電池用電極タブの溶接方法であってもよい。
【0079】
本発明の一実施態様に係る電極タブが溶接された電極は、二次電池の電極として使用できる。具体的には、前記電極タブが溶接された電極は、二次電池の正極および/または負極として使用できる。また、前記電極タブが溶接された電極は、ケーブル型二次電池の電極として使用できる。
【0080】
本発明の一実施態様に係る電極タブが溶接された電極は、ケーブル型二次電池の内部電極および/または外部電極として使用できる。また、前記電極タブが溶接された電極は、ケーブル型二次電池の正極および/または負極として使用できる。
【0081】
本発明の他の実施態様は、外面に分離層が備えられた内部電極と、前記分離層の外面に螺旋状に備えられた外部電極とを含み、前記外部電極および前記内部電極の少なくとも1つの電極は、前記電極タブの溶接方法により溶接された電極であるケーブル型二次電池を提供する。
【0082】
本発明の一実施態様によれば、前記内部電極は、集電層と、前記集電層の一面に形成された電極活物質層とを含むことができ、前記集電層および前記電極活物質層は、前記電極タブの溶接方法における前記集電層および電極活物質層と同一であってもよい。
【0083】
本発明の一実施態様によれば、前記分離層は、電解質および絶縁膜の少なくともいずれか1つを含むことができる。
【0084】
本発明の一実施態様によれば、前記電解質は、ポリエチレンオキシド、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、またはポリビニルアセテートを用いたゲル状高分子電解質;またはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィド、またはポリビニルアセテートを用いた固体電解質;のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0085】
また、前記電解質は、リチウム塩をさらに含んでもよい。前記リチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、およびテトラフェニルホウ酸リチウムのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0086】
本発明の一実施態様によれば、前記絶縁膜は、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、およびエチレン−メタクリレート共重合体からなる群より選択されたポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子基材;ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、改質されたポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートからなる群より選択された高分子で製造した多孔性高分子基材;または無機物粒子およびバインダー高分子の混合物で形成された多孔性基材;または前記多孔性高分子基材の少なくとも一面上に無機物粒子およびバインダー高分子の混合物で形成された多孔性コーティング層を備えたものであってもよい。
【実施例】
【0087】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0088】
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate;PET)絶縁層、アルミニウム集電層、およびプライマー層が順次に備えられた電極積層体を用意した。
【0089】
前記絶縁層の厚さは約15μmであり、前記絶縁層の光透過率は400nm〜1,200nmの波長で90%以上であった。前記集電層の厚さは約20μmであった。前記プライマー層はカーボンブラックおよびポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride、PVDF)を含み、前記プライマー層の厚さは約3μmであった。
【0090】
前記電極積層体に含まれる前記プライマー層上にLiCoO
2を含む電極活物質層を備えた。前記電極活物質層の長さは約25mm、前記電極活物質層の幅は約10mm、前記電極活物質層の厚さは約95μmであった。
【0091】
前記電極活物質層の一部領域にエッチングマスクを形成し、前記エッチングマスクが形成されていない前記電極活物質層の一部領域にメチルピロリドン(N−Methylpyrrolidone;NMP)溶液を処理することにより、前記エッチングマスクが形成されていない電極活物質層の一部領域を除去して前記プライマー層の一部領域を露出させた。
【0092】
前記プライマー層が一部露出した部分に、長さ20mm、幅が1.5mm、厚さ100μmのアルミニウム電極タブを貼り合わせた。
【0093】
前記ポリエチレンテレフタレート絶縁層から前記アルミニウム集電層の方向に、前記アルミニウム集電層に焦点を合わせてパルスレーザ照射器(SPI社、R4)を用いて、パルスエネルギー12.5mJおよび長手方向0.2mm、幅方向0.2mmのスポット離隔距離(Spot Align)を有し、約90μmのスポットサイズを有するパルスレーザを照射して前記電極積層体に電極タブを溶接した。
【0094】
実施例2
パルスエネルギーが17.5mJであることを除けば、実施例1と同様の方法で電極積層体に電極タブを溶接した。
【0095】
実施例3
パルスエネルギーが25mJであることを除けば、実施例1と同様の方法で電極積層体に電極タブを溶接した。
【0096】
実施例4
長手方向0.3mm、幅方向0.2mmのスポット離隔距離を有するレーザを照射したことを除けば、実施例1と同様の方法で電極積層体に電極タブを溶接した。
【0097】
実施例5
長手方向0.4mm、幅方向0.2mmのスポット離隔距離を有するレーザを照射したことを除けば、実施例1と同様の方法で電極積層体に電極タブを溶接した。
【0098】
実施例6
長手方向0.2mm、幅方向0.3mmのスポット離隔距離を有するレーザを照射したことを除けば、実施例1と同様の方法で電極積層体に電極タブを溶接した。
【0099】
比較例1
パルスエネルギーが35mJであることを除けば、実施例1と同様の方法で電極積層体に電極タブを溶接した。
【0100】
比較例2
パルスエネルギーが50mJであることを除けば、実施例1と同様の方法で電極積層体に電極タブを溶接した。
【0101】
比較例3
パルスレーザの代わりに、超音波照射器(ブランソン社)を用いて、振幅40%、溶接時間1秒の条件で超音波を照射したことを除けば、実施例1と同様の方法で電極積層体に電極タブを溶接した。
【0102】
比較例4
長手方向0.1mm、幅方向0.2mmのスポット離隔距離を有するレーザを照射したことを除けば、実施例1と同様の方法で電極積層体に電極タブを溶接した。
【0103】
比較例5
長手方向0.2mm、幅方向0.1mmのスポット離隔距離を有するレーザを照射したことを除けば、実施例1と同様の方法で電極積層体に電極タブを溶接した。
【0104】
前記実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例5による溶接方法の情報をまとめると、下記表1の通りである。
【0105】
【表1】
【0106】
<評価>
1.引張強度の測定
前記実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例3で製造された電極タブが溶接された二次電池用電極を、引張速度10mm/minで電極の長手方向に伸ばしながら破断する時の引張強度値を測定して、下記表2に示した。
【0107】
前記実施例1、実施例4および実施例5および比較例4により電極タブが溶接された二次電池用電極を、引張速度10mm/minで電極の長手方向に伸ばしながら破断する時の引張強度値を測定して、下記表3に示した。
【0108】
前記実施例1、実施例6および比較例5により電極タブが溶接された二次電池用電極を、引張速度10mm/minで電極の長手方向に伸ばしながら破断する時の引張強度値を測定して、下記表4に示した。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
2.断面画像の撮影
実施例1、実施例5、実施例6および比較例2により電極タブが溶接された二次電池用電極を照射面で光学顕微鏡(オリンパスBX51M)を用いて撮影した。
【0113】
実施例1および比較例2により電極タブが溶接された二次電池用電極を下端面で光学顕微鏡(オリンパスBX51M)を用いて撮影した。
【0114】
<評価結果>
前記表2は、パルスレーザのパルスエネルギーを異にして溶接された二次電池用電極の引張強度を示すものである。引張強度が1kgfに隣接する値を有してこそ、ケーブル型二次電池に適用可能である。
【0115】
前記表2によれば、実施例1〜実施例3による電極は、ケーブル型二次電池に適用可能であるが、比較例1および比較例2による電極は、ケーブル型二次電池に適用できないことを確認することができた。
【0116】
また、超音波溶接で電極タブが溶接された比較例3の場合、引張強度値は、ケーブル型二次電池に適用可能な値を有するが、絶縁層の損傷によってケーブル型二次電池に適用できないことを確認することができた。
【0117】
さらに、超音波を用いて電極を溶接する場合、集電層および絶縁層の損傷が発生するので、前記集電層および絶縁層の損傷による電極の汚染を最小化するためには、パルスレーザを用いなければならないことを確認することができた。
【0118】
図4Aは、実施例1により溶接された電極を照射面で光学顕微鏡を用いて撮影した画像を示すものであり、
図4Bは、実施例1により溶接された電極を下端面で光学顕微鏡を用いて撮影した画像を示すものである。
【0119】
図5Aは、比較例2により溶接された電極を照射面で光学顕微鏡を用いて撮影した画像を示すものであり、
図5Bは、比較例2により溶接された電極を下端面で光学顕微鏡を用いて撮影した画像を示すものである。
【0120】
図4A、
図4B、
図5Aおよび
図5Bによれば、12.5mJのパルスエネルギーを有するパルスレーザを照射した実施例1による電極の照射面および下端面はそれぞれ、絶縁層および集電層の損傷がほとんどないが、50mJのパルスエネルギーを有するパルスレーザを照射した比較例2による電極の照射面および下端面はそれぞれ、絶縁層および集電層の損傷で電極が汚染することを確認することができた。
【0121】
前記内容をまとめてみれば、本発明の一実施態様に係るパルスエネルギー範囲のパルスレーザを照射してこそ、絶縁層および集電層の損傷を最小化することができ、ケーブル型二次電池に適用可能な引張強度値を有し得ることを確認することができた。
【0122】
前記表3および表4は、スポット離隔距離(Spot Align)を異にしたパルスレーザで溶接した二次電池用電極の引張強度を示すものである。前記表2および表3によれば、スポット離隔距離が長手方向0.2mm以上0.4mm以下、幅方向0.2mm以上0.3mm以下の条件でパルスレーザが照射された電極の引張強度がケーブル型二次電池に適用可能であることを確認することができ、前記条件を外れる比較例4および比較例5の場合、引張強度値は、ケーブル型二次電池に適用可能な値を有するが、絶縁層の損傷によってケーブル型二次電池に適用できないことを確認することができた。
【0123】
図6Aは、実施例1により溶接された電極を照射面で光学顕微鏡を用いて撮影し、スポット離隔距離を表示した画像を示すものであり、
図6Bは、実施例5により溶接された電極を照射面で光学顕微鏡を用いて撮影し、スポット離隔距離を表示した画像を示すものであり、
図6Cは、実施例6により溶接された電極を照射面で光学顕微鏡を用いて撮影し、スポット離隔距離を表示した画像を示すものである。
【0124】
図6A、
図6Bおよび
図6Cによれば、スポット離隔距離が長手方向0.2mm以上0.4mm以下、幅方向0.2mm以上0.3mm以下の条件でパルスレーザが照射された実施例1および実施例5〜実施例6による電極が、集電層の流出による照射面の損傷が最小化することを確認することができた。
【0125】
前記内容をまとめてみれば、本発明の一実施態様に係るスポット離隔距離の範囲のパルスレーザを照射することにより、絶縁層および集電層の損傷を最小化することができ、製造される電極は、ケーブル型二次電池に適用可能な引張強度値を有し得ることを確認することができた。