特許第6966058号(P6966058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966058
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20211028BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20211028BHJP
   H01M 50/233 20210101ALI20211028BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20211028BHJP
   H01M 50/229 20210101ALI20211028BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20211028BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20211028BHJP
   H01M 50/236 20210101ALI20211028BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20211028BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20211028BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALN20211028BHJP
   H01M 10/613 20140101ALN20211028BHJP
   H01M 10/647 20140101ALN20211028BHJP
   H01M 10/653 20140101ALN20211028BHJP
【FI】
   H01M50/289
   H01M50/204 401H
   H01M50/233
   H01M50/293
   H01M50/229
   H01M50/242
   H01M50/224
   H01M50/236
   H01M50/227
   H01M50/249
   !H01M10/6554
   !H01M10/613
   !H01M10/647
   !H01M10/653
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-229286(P2019-229286)
(22)【出願日】2019年12月19日
(62)【分割の表示】特願2017-545296(P2017-545296)の分割
【原出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2020-47603(P2020-47603A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2019年12月24日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0028505
(32)【優先日】2015年2月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】サン・ミン・パク
(72)【発明者】
【氏名】セ・ウ・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ギョン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ユル・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ビン・イム
【審査官】 前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/061931(WO,A1)
【文献】 特開2012−174972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20−50/298
H01M10/6554
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/653
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を形成する下部板と上部板と側壁を有するモジュールケース;
前記モジュールケースの内部空間に存在する複数のバッテリーセル;および
前記モジュールケースの内部空間に存在する樹脂層を含み、
前記樹脂層は、前記複数のバッテリーセルと接触していながら、また、前記モジュールケースの下部板と接触しており、
前記樹脂層は、前記上部板とは、接触しておらず、
前記下部板は、熱伝導度が10W/mk以上である熱伝導性下部板であり、
前記樹脂層は、前記下部板と前記下部板の全体面積対比70%以上の接触面積を形成するように前記下部板と接触しており、
前記樹脂層は、樹脂成分と前記樹脂成分100重量部対比200重量部以上の熱伝導性セラミックフィラーを含む接着剤層であり、
前記フィラーは、アルミナ、AlN、BN、窒化ケイ素、ZnO、SiC、及びBeOから選択される少なくとも1種以上であり、
前記接着剤層は、熱伝導度が2W/mk以上であり、絶縁破壊電圧が7kV/mm以上であり、接着力が1000gf/10mm以下であり、熱重量分析(TGA)で800℃残量が70重量%以上である、バッテリーモジュール(但し、前記樹脂層が、前記側壁と平行な方向において前記バッテリーセルを半分以上を覆うように充填されている場合を除く)。
【請求項2】
前記樹脂層と接触している下部板または側壁には樹脂組成物注入ホールが形成されている、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記注入ホールが形成されている側壁または下部板には樹脂組成物注入を観察するための観察ホールが形成されている、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記熱伝導性下部板は、金属素材からなる、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記樹脂層は、前記下部板と前記下部板の全体面積対比75%以上の接触面積を形成するように前記下部板と接触している、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記樹脂層は熱伝導度が、2.5W/mk以上である、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記樹脂層は絶縁破壊電圧が10kV/mm以上である、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記樹脂層は、接着力が950gf/10mm以下である、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記樹脂層は、比重が5以下である、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記樹脂層はショアA硬度が100未満であるか、ショアD硬度が70以下である、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記樹脂層は、熱重量分析(TGA)で800℃残量が80重量%以上である、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
前記樹脂層は、前記樹脂成分として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、EVA樹脂またはシリコン樹脂を含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
前記樹脂層は、揺変性付与剤、希釈剤、分散剤、表面処理剤、難燃剤またはカップリング剤を含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項14】
前記樹脂層は、厚さが100μm〜5mmの範囲内である、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項15】
内部空間を形成する下部板と側壁を有するモジュールケース内に樹脂組成物を注入する段階;前記モジュールケース内にバッテリーセルを収納する段階および前記樹脂組成物を硬化させて樹脂層を形成する段階を含む、請求項1に記載のバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項16】
前記下部板または側壁には樹脂組成物注入ホールが形成されており、樹脂組成物は、バッテリーセルを収納した後で前記注入ホールに注入する、請求項15に記載のバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項17】
互いに電気的に連結されている、請求項1に記載されたバッテリーモジュールを二つ以上含む、バッテリーパック。
【請求項18】
請求項1に記載されたバッテリーモジュールまたは請求項17に記載されたバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2015年2月27日付で提出された大韓民国特許出願第10−2015−0028505号に基づいた優先権の利益を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、バッテリーモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0003】
二次電池にはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池またはリチウム二次電池などがあり、代表的であるものはリチウム二次電池である。
【0004】
リチウム二次電池は主にリチウム酸化物と炭素素材をそれぞれ陽極活物質と陰極活物質として使用する。リチウム二次電池は、陽極活物質と陰極活物質がそれぞれ塗布された陽極板と陰極板がセパレーターを挟んで配置された電極組立体および電極組立体を電解液とともに密封収納する外装材を含むが、外装材の形状によって缶型二次電池とパウチ型二次電池に分類され得る。本明細書では単一の二次電池をバッテリーセルと呼称している。
【0005】
自動車や電力貯蔵装置のような中・大型装置に利用される場合、容量および出力を高めるために多数のバッテリーセルが互いに電気的に連結されてバッテリーモジュールまたはバッテリーパックが構成され得る。
【0006】
バッテリーモジュールまたはそのようなバッテリーモジュールが複数連結されたバッテリーパックを構成するためには、多様な締結部品や冷却装備などが要求されるが、このような締結部品または冷却装備などはバッテリーモジュールまたはバッテリーパックの製造費用の上昇を誘発し、体積および重量を増加させるため、増加された体積および重量対比出力が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、バッテリーモジュールを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願のバッテリーモジュールはモジュールケースおよびバッテリーセルを含む。バッテリーセルは前記モジュールケース内に収納され得る。バッテリーセルはモジュールケース内に一つ以上存在することができ、複数のバッテリーセルがモジュールケース内に収納され得る。モジュールケース内に収納されるバッテリーセルの数は用途などにより調節され、特に制限されない。モジュールケースに収納されているバッテリーセルは互いに電気的に連結され得る。
【0009】
モジュールケースは、バッテリーセルが収納され得る内部空間を形成する側壁と下部板を少なくとも含むことができる。モジュールケースは、前記内部空間を密閉する上部板をさらに含むことができる。前記側壁、下部板そして上部板は互いに一体型で形成されているか、あるいはそれぞれ分離された側壁、下部板および/または上部板が組み立てられて前記モジュールケースが形成され得る。このようなモジュールケースの形態および大きさは特に制限されず、用途、前記内部空間に収納されるバッテリーセルの形態および個数などにより適切に選択され得る。
【0010】
図1は、例示的なモジュールケース10を示している図面であり、一つの下部板10aと4つの側壁10bを含む箱形態のケース10の例示である。モジュールケース10は内部空間を密閉する上部板10cをさらに含むことができる。
【0011】
図2は、バッテリーセル20が収納されている図1のモジュールケース10を上部から観察した模式図である。
【0012】
モジュールケースの前記下部板、側壁および/または上部板(以下、下部板などと呼ぶことがある。)にはホールが形成され得る。このようなホールは後述する樹脂層と接触している下部板などに形成され得、後述するように、前記樹脂層と80%以上の接触面積で接触している下部板などに形成され得る。前記ホールは後述するように、樹脂層を注入工程によって形成する場合に前記樹脂層の形成材料(樹脂組成物)を注入する注入ホールであり得る。このとき、前記ホールの形態、個数および位置は前記樹脂層の形成材料の注入効率を考慮して調整され得る。一つの例示において、前記ホールは少なくとも前記下部板に形成され得る。
【0013】
一つの例示において、前記ホールは前記側壁、下部板または上部板の全体の長さの約1/4〜3/4地点または約3/8〜7/8地点または概略中間部に形成され得る。この地点に形成された注入ホールを通じて樹脂組成物を注入することによって、樹脂層を、広い接触面積を有するように注入することができる。前記の1/4、3/4、3/8または7/8地点は、例えば、図3に示した通り、下部板などのいずれか一つの末端面(E)を基準として測定した全体長さ(L)対比前記ホールの形成位置までの距離(A)の比率である。また、前記で長さ(L)および距離(A)が形成される末端(E)は、前記長さ(L)と距離(A)を同一末端(E)から測定する、ある任意の末端(E)であり得る。図3で注入ホール50aは下部板10aの概略中間部に位置する形態である。
【0014】
注入ホールの大きさおよび形状は特に制限されず、後述する樹脂層材料の注入効率を考慮して形成することができる。例えば、前記ホールは、円形、楕円形、三角形や四角形などの多角形または無定形であり得る。注入ホールの個数およびその間隔も大きく制限されることはなく、前述した通り、樹脂層が下部板などと広い接触面積を有することができるように調節され得る。
【0015】
前記注入ホールが形成されている下部板などの末端には観察ホール(例えば、図3の50b)が形成され得る。このような観察ホールは、例えば、前記注入ホールを通じて樹脂層材料を注入する時に、注入された材料が該当側壁、下部板または上部板の末端までよく注入されているかを観察するためのものであり得る。前記観察ホールの位置、形態、大きさおよび個数は前記注入される材料が適切に注入されているかを確認できるように形成される限り、特に制限されない。
【0016】
モジュールケースは熱伝導性ケースであり得る。用語、熱伝導性ケースは、ケース全体の熱伝導度が10W/mk以上であるか、あるいは少なくとも前記のような熱伝導度を有する部位が含まれているケースを意味する。例えば、前述した側壁、下部板および上部板の中の少なくとも一つは前記記述した熱伝導度を有することができる。他の例示において、前記側壁、下部板および上部板の中の少なくとも一つが前記熱伝導度を有する部位を含むことができる。前記において、熱伝導度は、他の例示において、20W/mk以上、30W/mk以上、40W/mk以上、50W/mk以上、60W/mk以上、70W/mk以上、80W/mk以上、90W/mk以上、100W/mk以上、110W/mk以上、120W/mk以上、130W/mk以上、140W/mk以上、150W/mk以上、160W/mk以上、170W/mk以上、180W/mk以上、190W/mk以上または195W/mk以上であり得る。前記熱伝導度はその数値が高いほどモジュールの放熱特性などの側面で有利であるため、その上限は特に制限されない。一つの例示において、前記熱伝導度は約1,000W/mk以下、900W/mk以下、800W/mk以下、700W/mk以下、600W/mk以下、500W/mk以下、400W/mk以下、300W/mkまたは250W/mk以下であり得るが、これに制限されるものではない。前記のような熱伝導度を示す材料の種類は特に制限されず、例えば、アルミニウム、金、純銀、タングステン、銅、ニッケルまたは白金などの金属素材などがある。モジュールケースは全体が前記のような熱伝導性材料で構成されるか、少なくとも一部の部位が前記熱伝導性材料からなる部位であり得る。これによって、前記モジュールケースは前記言及された範囲の熱伝導度を有するか、あるいは前記言及された熱伝導度を有する部位を少なくとも含むことができる。
【0017】
モジュールケースで前記範囲の熱伝導度を有する部位は、後述する樹脂層および/または絶縁層と接触する部位であり得る。また、前記熱伝導度を有する部位は、冷却水のような冷却媒体と接する部位であり得る。このような構造によれば、バッテリーセルから発生した熱を効果的に外部に放出できる構造が具現され得る。
【0018】
一方、本明細書で言及する物性の中で測定温度がその物性に影響を及ぼす場合、特に言及しない限り、その物性は常温で測定した物性であり得る。本明細書で用語、常温は約10℃〜30℃の範囲内のいずれかの温度、例えば、約25℃、約23℃または約20℃程度の温度を意味し得る。
【0019】
モジュールケース内に収納されるバッテリーセルの種類も特に制限されず、公知の多様なバッテリーセルをすべて適用することができる。一つの例示において、前記バッテリーセルはパウチ型であり得る。図4を参照して説明すると、パウチ型バッテリーセル100は通常的に電極組立体、電解質およびパウチ外装材を含むことができる。
【0020】
図4は、例示的なパウチ型セルの構成を概略的示す分離斜視図であり、図5図4の構成の結合斜視図である。
【0021】
パウチ型セル100に含まれる電極組立体110は、一つ以上の陽極板および一つ以上の陰極板がセパレーターを挟んで配置された形態であり得る。電極組立体110は、一つの陽極板と一つの陰極板がセパレーターとともに巻き取られた巻き取り型であるか、複数の陽極板と複数の陰極板がセパレーターを挟んで交互に積層されたスタック型などに区分され得る。
【0022】
パウチ外装材120は、例えば、外部絶縁層、金属層および内部接着層を具備する形態で構成され得る。このような外装材120は、電極組立体110と電解液などの内部要素を保護し、電極組立体110と電解液による電気化学的性質に対する補完および放熱性などを勘案してアルミニウムなどの金属薄膜を含むことができる。このような金属薄膜は、電極組立体110および電解液などの要素や電池100外部の他の要素との電気的絶縁性を確保するために、絶縁物質で形成された絶縁層間に介在され得る。
【0023】
一つの例示において、外装材120は、上部パウチ121と下部パウチ122を含むことができ、上部パウチ121と下部パウチ122の中の少なくとも一つには窪んだ形態の内部空間(I)が形成され得る。このようなパウチの内部空間(I)には電極組立体110が収納され得る。上部パウチ121と下部パウチ122の外周面にはシーリング部(S)が具備され、このようなシーリング部(S)が互いに接着され、電極組立体110が収容された内部空間が密閉され得る。
【0024】
電極組立体110の各電極板には電極タブが具備され、一つ以上の電極タブが電極リードと連結され得る。電極リードは上部パウチ121と下部パウチ122のシーリング部(S)の間に介在されて外装材120の外部に露出されることによって、二次電池100の電極端子として機能することができる。
【0025】
パウチ型セルの形態は一つの例示であり、本出願で適用されるバッテリーセルは前記のような種類に制限されるものではない。本出願では公知された多様な形態のパウチ型セルまたはその他の形態の電池がすべてバッテリーセルとして適用され得る。
【0026】
本出願のバッテリーモジュールは、樹脂層をさらに含むことができる。本出願で用語、樹脂層は、樹脂成分を含む層であり、一つの例示において、前記樹脂層は、接着剤層であり得る。一つの例示において、前記バッテリーモジュールは、前記ケースおよびバッテリーセルを含み、前記ケースの側壁、下部板または上部板中のいずれか一つと接触していることができる。このとき、前記樹脂層と接触している側壁、下部板または上部板は前述した熱伝導性の側壁、下部板または上部板であり得る。一方、前記において、接触は、熱的接触を意味するもので、前記接触には前記樹脂層が前記下部板などと直接接触しているか、あるいは前記樹脂層と前記下部板などの間に他の要素、例えば、後述する絶縁層などが存在するが、該他の要素が前記樹脂層から前記下部板などへの熱の伝達を妨害していない状態を意味し得る。前記において、熱の伝達を妨害しないということは、前記樹脂層と前記下部板などの間に他の要素(ex.絶縁層または後述するガイド部)が存在する場合にも、該他の要素と前記樹脂層の全体の熱伝導度が約1.5W/mk以上、約2W/mk以上、2.5W/mk以上、3W/mk以上、3.5W/mk以上または4W/mk以上になるか、あるいは前記樹脂層およびそれと接触している下部板などの全体の熱伝導度が前記他の要素がある場合にも前記範囲内に含まれる場合を意味する。前記熱的接触の熱伝導度は50W/mk以下、45W/mk以下、40W/mk以下、35W/mk以下、30W/mk以下、25W/mk以下、20W/mk以下、15W/mk以下、10W/mK以下、5W/mk以下、4.5W/mk以下または約4.0W/mk以下であり得る。このような熱的接触は、前記他の要素が存在する場合に、該他の要素の熱伝導度および/または厚さを制御して達成することができる。
【0027】
樹脂層は、前記下部板などと接触しており、また、前記バッテリーセルとも接触していることができる。前記バッテリーセルと樹脂層の接触も前述した熱的接触である。本出願では前記のような構造の採用を通じて一般的なバッテリーモジュールまたはそのようなモジュールの集合体であるバッテリーパックの構成時に、既存に要求されていた多様な締結部品やモジュールの冷却装備などを大幅に減少させながらも、放熱特性を確保し、単位体積当たり、より多くのバッテリーセルが収納されるモジュールを実現することができる。したがって、本出願ではより小型で、軽量でありながらも高出力のバッテリーモジュールを提供することができる。
【0028】
図6および図7は、前記バッテリーモジュールの例示的な断面図であり、例えば、前記モジュールは、図6および図7に示されたように、側壁10bと下部板10aを含むケース10;前記ケースの内部に収納されている複数のバッテリーセル20および前記バッテリーセル20とケース10のすべてと接触(熱的接触)している樹脂層30を含む形態であり得る。
【0029】
前記構造で前記樹脂層30と接触している下部板などは前述したように熱伝導性の下部板などであり得る。
【0030】
前記樹脂層と下部板などの接触面積は、前記下部板などの全体面積対比約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上または約95%以上であり得る。前記接触面積の上限は特に制限されず、例えば、100%以下または約100%未満であり得る。
【0031】
前記接触面積は、下部板などが熱伝導性部位を含む場合には前記熱伝導性部位に対する接触面積、すなわち前記熱伝導性部位全体面積対比の比率であり得る。
【0032】
前述した通り、前記熱伝導性部位または熱伝導性下部板などは冷却水のような冷却媒体と接する部位であり得る。すなわち、図6に模式的に示した通り、前記のような構造によって熱(H)を下部板などに容易に排出することができ、このような下部板などを冷却媒体(CW)と接触させることによって、より簡素化された構造においても熱の放出を容易になすことができる。
【0033】
樹脂層30は、図6のように、相対的に薄い層の形態であるか、あるいは図7のようにケース10の内部空間を充填していることができる。前記の場合、前記バッテリーセル20は樹脂層内に挿入されている状態で存在することができる。図6のような構造である場合に樹脂層の厚さは例えば、約100μm〜5mmの範囲内または約200μm〜5mmの範囲内であり得る。本出願の構造では前記樹脂層が薄いと、放熱特性で有利となり、厚いと後述する絶縁特性で有利となるため、このような点を考慮して適正厚さを設定することができる。前記厚さは、樹脂層の最も薄い部位の厚さ、最も厚い部位の厚さまたは平均厚さであり得る。
【0034】
図6または図7に示された通り、前記モジュールケース10の内部の少なくとも一面、例えば、樹脂層30と接触する面10aには収納されるバッテリーセル20をガイドできるガイド部10dが存在し得る。このとき、ガイド部10dの形状は特に制限されず、適用されるバッテリーセルの形態などを考慮して適正な形状を採用することができ、前記ガイド部10dは、前記下部板などと一体形成されているものであるか、あるいは別途付着されたものであり得る。前記ガイド部10dは前述した熱的接触を考慮して熱伝導性素材、例えば、アルミニウム、金、純銀、タングステン、銅、ニッケルまたは白金などの金属素材を使用して形成することができる。また、図面には図示されていないが、収納されるバッテリーセル20の間には間紙または接着剤層が存在することもあり得る。前記において、間紙はバッテリーセルの充放電時にバッファー役割をすることができる。
【0035】
前記樹脂層または該樹脂層が適用されたバッテリーモジュールは、後述する物性のうち少なくとも一つ以上の物性を有することができる。後述する各物性は独立的なものであり、いずれか一つの物性が他の物性に優先するものではなく、樹脂層は、下記記述する物性のうち少なくとも一つまたは2つ以上を満足することができる。
【0036】
例えば、前記樹脂層は熱伝導性樹脂層であって、熱伝導度が約1.5W/mk以上、約2W/mk以上、2.5W/mk以上、3W/mk以上、3.5W/mk以上または4W/mk以上であり得る。前記熱伝導度は50W/mk以下、45W/mk以下、40W/mk以下、35W/mk以下、30W/mk以下、25W/mk以下、20W/mk以下、15W/mk以下、10W/mK以下、5W/mk以下、4.5W/mk以下または約4.0W/mk以下であり得る。前記の通りに樹脂層が熱伝導性樹脂層である場合に、前記樹脂層が付着されている下部板などは前述した熱伝導度が10W/mk以上部位であり得る。このとき、前記熱伝導度を示すモジュールケースの部位は冷却媒体、例えば、冷却水などと接する部位であり得る。樹脂層の熱伝導度は、例えば、ASTM D5470規格またはISO 22007−2規格により測定された数値である。樹脂層の熱伝導度を前記のような範囲にする方式は特に制限されない。例えば、樹脂層の熱伝導度は樹脂層に使用される樹脂の種類および/またはフィラーの使用を通じて調節することができる。例えば、接着剤として一般的に使用され得るものとして知られている樹脂成分の中でアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびシリコン系樹脂は互いに類似の熱伝導特性を有し、エポキシ系樹脂が、それに比べて熱伝導性が優秀であり、オレフィン系樹脂はエポキシ樹脂に比べて高い熱伝導性を有していると知られている。したがって、必要に応じて樹脂の中から優秀な熱伝導度を有するものを選択することができる。ただし、一般的に樹脂成分だけでは目的とする熱伝導度を確保することが難しく、後述するように熱伝導性が優秀なフィラー成分を適正割合で樹脂層に含ませる方式も適用することができる。
【0037】
バッテリーモジュールで前記樹脂層または該樹脂層が適用されたバッテリーモジュールの熱抵抗が5K/W以下、4.5K/W以下、4K/W以下、3.5K/W以下、3K/W以下または約2.8K/W以下であり得る。このような範囲の熱抵抗を示すように樹脂層または該樹脂層が適用されたバッテリーモジュールを調節する場合に、優秀な冷却効率ないしは放熱効率が確保され得る。前記熱抵抗は測定する方式は特に制限されない。例えば、ASTM D5470規格またはISO 22007−2規格により測定することができる。
【0038】
樹脂層は、バッテリーセルの効果的な固定、モジュールの使用過程における耐衝撃性および耐振動性を考慮して適切な接着力を有することができる。一つの例示において、前記樹脂層は接着力が約1,000gf/10mm以下、約950gf/10mm以下、約900gf/10mm以下、約850gf/10mm以下、約800gf/10mm以下、約750gf/10mm以下、約700gf/10mm以下、約650gf/10mm以下または約600gf/10mm以下であり得る。前記樹脂層の接着力は他の例示において、約50以上、約70gf/10mm以上、約80gf/10mm以上または約90gf/10mm以上であり得る。前記接着力は、約300mm/minの剥離速度および180度の剥離角度で測定した数値であり得る。また、前記接着力は樹脂層が接触しているモジュールケースに対する接着力であり得る。例えば、後述するように、モジュールケースで樹脂層と接触している下部板などと前記樹脂層との間に絶縁層が形成される場合には、前記モジュールケースに対する接着力は前記絶縁層が形成されているモジュールケースに対する接着力であり得る。前記のような接着力を確保することができるのであれば、多様な素材、例えば、バッテリーモジュールに含まれるケースないしはバッテリーセルなどの多様な素材に対して優秀な接着力を示すことができる。このような範囲の接着力を確保することができるのであれば、バッテリーモジュールでバッテリーセルの充放電時の体積変化、バッテリーモジュールの使用温度の変化または樹脂層の硬化収縮などによる剥離などが防止されて優秀な耐久性を確保することができる。このような接着力は、例えば、前記樹脂層を接着剤層で構成することによって確保することができる。すなわち、公知された接着素材が示し得る接着力はよく知られており、そのような接着力を考慮して素材を選択すればうよい。
【0039】
樹脂層はまた、熱衝撃試験、例えば、約−40℃の低温で30分間維持した後、再び温度を80℃に上げて30分間維持することを一つのサイクルとして、前記サイクルを100回繰り返す熱衝撃試験後にバッテリーモジュールのモジュールケースまたはバッテリーセルから離れるか剥離されるまたはクラックが発生しないようにすることができるように形成されることが要求され得る。例えば、バッテリーモジュールが自動車などのように、長期の保証期間(自動車の場合、約15年以上)が要求される製品に適用される場合に、耐久性が確保されるためには前記のような水準の性能が要求され得る。
【0040】
樹脂層は、電気絶縁性樹脂層であり得る。前述した構造で樹脂層が電気絶縁性を示すことによってバッテリーモジュールの性能を維持し、安定性を確保することができる。電気絶縁性樹脂層は、ASTM D149に準拠して測定した絶縁破壊電圧が約3kV/mm以上、約5kV/mm以上、約7kV/mm以上、10kV/mm以上、15kV/mm以上または20kV/mm以上であり得る。前記絶縁破壊電圧はその数値が高いほど樹脂層が優秀な絶縁性を示し、特に制限されないか、樹脂層の組成などを考慮すると約50kV/mm以下、45kV/mm以下、40kV/mm以下、35kV/mm以下、30kV/mm以下であり得る。前記のような絶縁破壊電圧も樹脂層の樹脂成分の絶縁性を調節して制御することができ、例えば、樹脂層内に絶縁性フィラーを適用することによって前記絶縁破壊電圧を調節することができる。一般的に熱伝導性フィラーの中で後述するようなセラミックフィラーは絶縁性を確保することができる成分として知られている。
【0041】
樹脂層としては、安定性を考慮して難燃性樹脂層が適用され得る。本出願で用語、難燃性樹脂層はUL 94 V Test(Vertical Burning Test)でV−0等級を示す樹脂層を意味し得る。これを通じてバッテリーモジュールで発生し得る火災およびその他の事故に対する安定性を確保することができる。
【0042】
樹脂層は比重が5以下であり得る。前記比重は他の例示において、4.5以下、4以下、3.5以下または3以下であり得る。このような範囲の比重を示す樹脂層はより軽量化されたバッテリーモジュールの製造に有利である。前記比重はその数値が低いほどモジュールの軽量化に有利であるため、その下限は特に制限されない。例えば、前記比重は約1.5以上または2以上であり得る。樹脂層が前記のような範囲の比重を示すために樹脂層に添加される成分が調節され得る。例えば、熱伝導性フィラーの添加時に、できるだけ、低い比重でも目的とする熱伝導性が確保され得るフィラー、すなわち自体的に比重が低いフィラーを適用するか、表面処理がなされたフィラーを適用する方式などが使用され得る。
【0043】
樹脂層はできるだけ揮発性物質を含まないことが適切である。例えば、前記樹脂層は非揮発性分の比率が90重量%以上、95重量%以上または98重量%以上であり得る。前記において、非揮発性分とその比率は次の方式で規定され得る。すなわち、前記非揮発成分は樹脂層を100℃で1時間程度維持した後で残存する部分を非揮発成分と定義することができ、したがって、前記比率は前記樹脂層の初期重量と前記100℃で1時間程度維持した後の比率を基準として測定することができる。
【0044】
また、樹脂層には必要に応じて劣化に対して優秀な抵抗性を有することや、モジュールケースまたはバッテリーセルの表面ができるかぎり化学的に反応しない安定性が要求され得る。
【0045】
樹脂層はまた、硬化過程または硬化した後で低い収縮率を有した方が有利であり得る。これを通じてモジュールの製造ないしは使用過程で発生し得る剥離や孔隙の発生などを防止することができる。前記収縮率は前述した効果を示すことができる範囲で適切に調節することができ、例えば、5%未満、3%未満または約1%未満であり得る。前記収縮率はその数値が低いほど有利であるため、その下限は特に制限されない。
【0046】
樹脂層はまた、低い熱膨張係数(CTE)を有することが有利であり得る。これを通じてモジュールの製造ないしは使用過程で発生し得る剥離や孔隙の発生などを防止することができる。前記熱膨張係数は前述した効果を奏することができる範囲で適切に調節することができ、例えば、300ppm/K未満、250ppm/K未満、200ppm/K未満、150ppm/K未満または約100ppm/K未満であり得る。前記熱膨張係数はその数値が低いほど有利であるため、その下限は特に制限されない。
【0047】
樹脂層は引張強度を適切に調節することができ、これを通じて優秀な耐衝撃性などが確保されて適切な耐久性を示すモジュールの提供が可能となる。引張強度(tensile strength)は、例えば、約1.0MPa以上の範囲で調節され得る。
【0048】
樹脂層は伸び率(elongation)を適切に調節することができ、これを通じて優秀な耐衝撃性などが確保されて適切な耐久性を示すモジュールの提供が可能となる。伸び率は、例えば、約10%以上または約15%以上の範囲で調節され得る。
【0049】
樹脂層はまた、適切な硬度を示した方が有利であり得る。例えば、樹脂層の硬度が過度に高いと、樹脂層が過度に脆く(brittle)なってしまい、信頼性に悪影響を及ぼす恐れがある。また、樹脂層の硬度の調節を通じて耐衝撃性、耐振動性を確保し、製品の耐久性を確保することができる。樹脂層は、例えば、ショア(shore)Aタイプでの硬度が100未満、99以下、98以下、95以下または93以下であるか、ショアDタイプでの硬度が約80未満、約70以下または約65以下または約60以下であり得る。前記硬度の下限は特に制限されない。例えば、硬度はショア(shore)Aタイプで硬度が60以上であるか、ショア(shore)OOタイプでの硬度が5以上または約10以上であり得る。樹脂層の硬度は通常該樹脂層に含まれるフィラーの種類ないし比率によって左右され、過量のフィラーを含むと、通常硬度が高まる。ただし、シリコン系樹脂が一般的にエポキシまたはウレタンなどの他の樹脂に比べて低い硬度を示すように樹脂層に含まれる樹脂成分もその硬度に影響を与える。
【0050】
樹脂層は、また、熱重量分析(TGA)での5%重量損失(5% weight loss)温度が400℃以上であるか、800℃残量が70重量%以上であり得る。このような特性によってバッテリーモジュールの高温での安定性がより改善され得る。前記800℃残量は他の例示において、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上または約90重量%以上であり得る。前記800℃残量は他の例示において、約99重量%以下であり得る。前記熱重量分析(TGA)は、60cm/分の質素(N)雰囲気下で20℃/分の昇温速度で25℃〜800℃の範囲内で測定することができる。前記熱重量分析(TGA)結果も樹脂層の組成の調節を通じて達成することができる。例えば、800℃残量は、通常該樹脂層に含まれるフィラーの種類ないし比率によって左右され、過量のフィラーを含むと、前記残量は増加する。ただし、シリコン系樹脂が一般的にエポキシまたはウレタンなど他の樹脂に比べて耐熱性が高いので前記残量はさらに高く、このように樹脂層に含まれる樹脂成分もその硬度に影響を与える。
【0051】
樹脂層の種類はバッテリーセルの効果的な固定が可能であり、必要に応じて前記言及された物性を付与することができるものであれば、特に制限されず、公知の硬化性樹脂素材がすべて使用され得る。使用され得る素材としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、EVA(Ethylene vinyl acetate)系樹脂またはシリコン系樹脂などが挙げられ、したがって前記樹脂層は前記樹脂を含むことができる。前記樹脂層は、前記樹脂を樹脂成分の中で主成分として含むことができる。すなわち、前記樹脂層に含まれる全体樹脂成分の中で前記アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、EVA(Ethylene vinyl acetate)系樹脂またはシリコン系樹脂などは重量を基準として約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上または約90%以上含まれ得る。前記比率は約99%以下または約95%以下であり得る。
【0052】
樹脂層を形成する材料、すなわち樹脂組成物は、前述した通り接着材料であり得、また、溶剤型、水系または無溶剤型であり得るが、後述する製造工程の便宜などを考慮して無溶剤型樹脂層であることが適切であり得る。
【0053】
樹脂層材料は活性エネルギー線硬化型、湿気硬化型、熱硬化型または常温硬化型などであり得、同様に後述する製造工程の便宜性などを考慮して常温硬化型であることが適切であり得る。
【0054】
樹脂層は前述した、熱伝導性、絶縁性、耐熱性(TGA分析)または比重などを考慮してフィラーを含むことができる。適切なフィラーの使用を通じて前述した範囲の熱伝導度などを確保することができる。一つの例示において、前記フィラーは熱伝導性フィラーであり得る。本出願で用語、熱伝導性フィラーは、熱伝導度が約1W/mk以上、約5W/mk以上、約10W/mk以上または約15W/mk以上の素材を意味する。前記熱伝導性フィラーの熱伝導度は約400W/mk以下、約350W/mk以下または約300W/mk以下であり得る。使用され得る熱伝導性フィラーの種類は特に制限されないが、絶縁性などを考慮してセラミックフィラーを適用することができる。例えば、アルミナ、AlN(aluminum nitride)、BN(boron nitride)、窒化ケイ素(silicon nitride)、ZnO、SiCまたはBeOなどのようなセラミック粒子が使用され得る。また、樹脂層の絶縁特性が確保できるものであれば、グラファイト(graphite)などの炭素フィラーの適用も考慮することができる。樹脂層内に含まれる前記フィラーの形態や比率は特に制限されず、樹脂組成物の粘度、樹脂層内での沈降可能性、目的とする熱抵抗ないしは熱伝導度、絶縁性、充填効果または分散性などを考慮して選択され得る。一般的にフィラーのサイズが大きくなるほど樹脂組成物の粘度が高くなり、樹脂層内でフィラーが沈降する可能性が高くなる。また、サイズが小さくなるほど熱抵抗が高くなる傾向がある。したがって前記のような点を考慮して適正種類のフィラーを選択することができ、必要であれば、2種以上のフィラーを使用することもできる。また、充填される量を考慮すれば球型のフィラーを使用した方が有利であるが、ネットワークの形成や伝導性などを考慮して針状や板状などのような形態のフィラーも使用され得る。一つの例示において、前記樹脂層は平均粒径が0.001μm〜80μmの範囲内にある熱伝導性フィラーを含むことができる。前記フィラーの平均粒径は他の例示において、0.01μm以上、0.1以上、0.5μm以上、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上または約6μm以上であり得る。前記フィラーの平均粒径は他の例示において、約75μm以下、約70μm以下、約65μm以下、約60μm以下、約55μm以下、約50μm以下、約45μm以下、約40μm以下、約35μm以下、約30μm以下、約25μm以下、約20μm以下、約15μm以下、約10μm以下または約5μm以下であり得る。
【0055】
樹脂層に含まれるフィラーの比率は、前述した特性、例えば、熱伝導度、絶縁性などが確保されるように樹脂層の特性を考慮して選択され得る。例えば、前記フィラーは、樹脂層の樹脂成分100重量部対比約50〜2,000重量部の範囲内で含まれ得る。前記フィラーの重量部は他の例示において、約100重量部以上、約150重量部以上、約200重量部以上、約250重量部以上、約300重量部以上、約350重量部以上、約400重量部以上、約500重量部以上、約550重量部以上、約600重量部以上または約650重量部以上であり得る。
【0056】
樹脂層は、必要とされる粘度の調節、例えば粘度を高くするかあるいは低くするためにまたはせん断力による粘度の調節のために粘度調節剤、例えば、揺変性付与剤、希釈剤、分散剤、表面処理剤またはカップリング剤などをさらに含んでいることもできる。
【0057】
揺変性付与剤は樹脂組成物のせん断力による粘度を調節してバッテリーモジュールの製造工程が効果的になされるようにすることができる。使用できる揺変性付与剤としては、ヒュームドシリカなどが例示され得る。
【0058】
希釈剤または分散剤は通常樹脂組成物の粘度を下げるために用いられるもので、前記のような作用を示すことができるものであれば業界で公知された多様な種類のものを制限なく用いることができる。
【0059】
表面処理剤は樹脂層に導入されているフィラーの表面処理のためのもので、前記のような作用を示すことができるものであれば業界で公知された多様な種類のものを制限なく用いることができる。
【0060】
カップリング剤の場合は、例えば、アルミナのような熱伝導性フィラーの分散性を改善するために用いることができ、前記のような作用を示すことができるものであれば業界で公知された多様な種類のものを制限なく用いることができる。
【0061】
樹脂層は難燃剤または難燃補助剤などをさらに含むことができる。このような樹脂層は難燃性樹脂層を形成することができる。難燃剤としては、特に制限されず、公知の多様な難燃剤を用いることができ、例えば、個相のフィラー形態の難燃剤や液相難燃剤などを適用することができる。難燃剤としては、例えば、メラミンシアヌレート(melamine cyanurate)などのような有機系難燃剤や水酸化マグネシウムなどのような無機系難燃剤などがあるが、これに制限されるものではない。
【0062】
樹脂層に充填されるフィラーの量が多い場合、液相タイプの難燃材料(TEP、Triethyl phosphateまたはTCPP、tris(1、3−chloro−2−propyl)phosphateなど)を用いることもできる。また、難燃上昇剤の作用ができるシランカップリング剤が追加されることもある。
【0063】
樹脂層は前記成分のうちいずれか一つまたは2種以上を含むことができる。
【0064】
一つの例示において、前記バッテリーモジュールは前記モジュールケースと前記バッテリーセルの間または前記樹脂層と前記モジュールケースの間に絶縁層をさらに含むことができる。図8は、樹脂層30とケースの下部板10c上に形成されたガイド部10dとの間に絶縁層40が形成されている場合の例示である。絶縁層を追加することによって使用過程で発生し得る衝撃によるセルとケースの接触による電気的短絡現象や火災発生などの問題を防止することができる。前記絶縁層は高い絶縁性と熱伝導性を有する絶縁シートを用いて形成するか、あるいは絶縁性を示す物質の塗布ないしは注入によって形成することができる。例えば、後述するバッテリーモジュールの製造方法で樹脂組成物の注入前に絶縁層を形成する過程が実行され得る。絶縁層の形成には、いわゆるTIM(Thermal Interface Material)などを適用することもできる。他の方式において、絶縁層は接着性物質で形成することができ、例えば、熱伝導性フィラーなどのフィラーの含量が少ないかまたはない樹脂層を用いて絶縁層を形成することもできる。絶縁層の形成に使用され得る樹脂成分としては、アクリル樹脂、PVC(poly(vinyl chloride))、PE(polyethylene)などのオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、シリコンや、EPDMラバー((ethylene propylene diene monomer rubber)などのラバー成分などが例示され得るが、これに制限されるものではない。前記絶縁層は、ASTM D149に準拠して測定した絶縁破壊電圧が約5kV/mm以上、約10kV/mm以上、約15kV/mm以上、20kV/mm以上、25kV/mm以上または30kV/mm以上であり得る。前記絶縁破壊電圧はその数値が高いほど優秀な絶縁性を示すもので、特に制限されるものではない。例えば、前記絶縁層の絶縁破壊電圧は約100kV/mm以下、90kV/mm以下、80kV/mm以下、70kV/mm以下または60kV/mm以下であり得る。前記絶縁層の厚さはその絶縁層の絶縁性や熱伝導性などを考慮して適正範囲に設定することができ、例えば、約5μm以上、約10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上または90μm以上以上であり得る。また、厚さの上限も特に制限されず、例えば、約1mm以下、約200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下または150μm以下であり得る。
【0065】
本出願はまた、バッテリーモジュール、例えば、前記言及されたバッテリーモジュールの製造方法に関するものである。
【0066】
本出願の製造方法は、前述したモジュールケース内樹脂組成物を注入する段階;前記モジュールケース内にバッテリーセルを収納する段階および前記樹脂組成物を硬化させて前記樹脂層を形成する段階を含むことができる。
【0067】
モジュールケース内部に樹脂組成物を注入する段階とモジュールケース内にバッテリーセルを収納する段階の順序は特に制限されない。例えば、モジュールケース内に樹脂組成物を先に注入し、その状態でバッテリーセルを収納するか、あるいはバッテリーセルを先にモジュールケース内部に収納した後で樹脂組成物を注入することができる。
【0068】
本出願で用語、樹脂組成物は、硬化前の樹脂層の状態を意味し、用語、樹脂層は硬化後の樹脂層の状態を意味し得る。
【0069】
モジュールケース内に樹脂組成物を注入する方式は特に制限されず、公知の方式が適用され得る。例えば、モジュールケースの開口部に樹脂組成物を注いで樹脂組成物を注入するか、モジュールケースに形成されている前述した注入口によって樹脂組成物を注射(injection)する方式、バッテリーセルとバッテリーモジュールの両者に樹脂組成物を塗布する方式などが適用され得る。適切な固定のために前記注入工程はバッテリーモジュールまたはバッテリーセルを一定に振動させながら遂行することもできる。
【0070】
前記において、注入される樹脂組成物の種類は特に制限されず、目的とする物性を示すことができる種類の適切な樹脂組成物を選択することができる。
【0071】
例えば、前記において、注入される樹脂組成物は、前述した熱伝導性などの物性を満足するか、そのための成分を含む樹脂層を形成できる樹脂組成物であり得る。
【0072】
このような樹脂組成物は、前述した溶剤型、水系または無溶剤型樹脂組成物であり得、好ましくは無溶剤型樹脂組成物であり得る。
【0073】
また、樹脂組成物は活性エネルギー線硬化型、湿気硬化型、熱硬化型または常温硬化型樹脂組成物などであり得、好ましくは常温硬化型樹脂組成物であり得る。
【0074】
前記樹脂組成物は、前述した熱伝導性フィラーなどの多様な添加剤を一つ以上含む樹脂組成物であり得る。
【0075】
このような樹脂組成物は一液型、二液型または三液型などで組成され得る。
【0076】
樹脂組成物が注入されたモジュールケースまたは前記組成物が注入される前のモジュールケースにバッテリーセルを収納する方式は特に制限されない。
【0077】
バッテリーセルの収納は目的とする配置などを勘案してバッテリーセルをモジュールケース内の適合した位置に配置することによって遂行され得る。また、カートリッジ構造体が存在する場合、前記カートリッジ構造体の適正位置にバッテリーセルを位置させるか、バッテリーセルが位置されたカートリッジ構造体をモジュールケース内に挿入して前記段階を遂行することができる。
【0078】
バッテリーセルを収納した後でバッテリーセル間の接着またはバッテリーセルとモジュールケース間の接着は注入された樹脂組成物を硬化させて形成することができる。樹脂組成物を硬化させる方式は特に制限されない。
【0079】
例えば、樹脂組成物が活性エネルギー線硬化型である場合には、樹脂組成物に紫外線などの活性エネルギー線を照射する方式、湿気硬化型である場合には適切な湿気下に維持する方式、熱硬化型である場合には適切な熱を印加する方式または常温硬化型である場合には常温で樹脂組成物を維持する方式などによって前記段階を遂行することができる。
【0080】
また、硬化前または硬化過程やバッテリーセルの収納前または収納過程などでタクトタイムおよび工程性の側面でバッテリーセルの安定性に影響を及ぼさない条件で例えば、約40℃〜50℃程度となるように短時間で熱を加えることもできる。
【0081】
本出願はまた、前記製造方法または前記言及した構造のバッテリーモジュールを形成することに使用され得る樹脂組成物に関するものである。
【0082】
前述した通り、前記樹脂組成物としては、バッテリーセルのモジュールケースでの効果的な固定が可能であり、必要に応じて前記言及された物性を付与できるものであれば特に制限されず、公知の樹脂組成物がすべて使用され得る。
【0083】
このような樹脂組成物は、アクリル系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、オレフィン系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、EVA(Ethylene vinyl acetate)系樹脂組成物またはシリコン系樹脂組成物などが挙げられるが、これに制限されない。
【0084】
前記樹脂組成物は、溶剤型樹脂組成物、水系樹脂組成物または無溶剤型樹脂組成物であり得、好ましくは無溶剤型樹脂組成物であり得る。
【0085】
前記樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、湿気硬化型樹脂組成物、熱硬化型樹脂組成物または常温硬化型樹脂組成物などであり得、好ましくは常温硬化型樹脂組成物ことである。
【0086】
例えば、公知のアクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、オレフィン系接着剤、EVA(Ethylene vinyl acetate)系接着剤またはシリコン系接着剤を形成できる樹脂組成物に前述したフィラーなどの添加剤を目的物性を考慮して適正量添加して製造された樹脂組成物を前述した方法に適用することができる。
【0087】
前記のような樹脂組成物は、常温硬化性などを考慮して、ラジカル開始剤およびそれに対する触媒を含むことができる。例えば、樹脂組成物は、ベンゾイルパーオキサイドなどのようなアシルパーオキサイド開始剤およびトルイジン(toluidine)化合物のような前記開始製に対する触媒を含むことができ、これによって適切な硬化システムを具現することができる。
【0088】
樹脂組成物は前記成分に必要に応じて、さらに多様な成分を含むことができる。
【0089】
本出願はまた、バッテリーパック、例えば、前述したバッテリーモジュールを二つ以上含むバッテリーパックに関するものである。バッテリーパックで前記バッテリーモジュールは互いに電気的に連結され得る。2つ以上のバッテリーモジュールを電気的に連結してバッテリーパックを構成する方式は特に制限されず、公知の方式をすべて適用することができる。
【0090】
本出願はまた、前記バッテリーモジュールまたは前記バッテリーパックを含む装置に関するものである。前記装置の例としては電気自動車のような自動車を挙げることができるが、これに制限されず、二次電池を出力として要求するすべての用途が含まれ得る。例えば、前記バッテリーモジュールまたはバッテリーパックを用いて前記自動車を構成する方式は特に制限されず、一般的な方式を適用することができる。
【発明の効果】
【0091】
本出願では簡単な工程と低費用で製造されながらも体積対比出力が優秀で、放熱特性などが優秀なバッテリーモジュール、その製造方法および前記製造方法に適用される樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1】本出願で適用され得る例示的なモジュールケースを示す図面である。
図2】モジュールケース内にバッテリーセルが収納されている形態を示す図面である。
図3】注入ホールと観察ホールが形成された例示的な下部板の図面である。
図4】バッテリーセルで使用され得る例示的なバッテリーパウチを示す図面である。
図5】バッテリーセルで使用され得る例示的なバッテリーパウチを示す図面である。
図6】例示的なバッテリーモジュールの構造を示す図面である。
図7】例示的なバッテリーモジュールの構造を示す図面である。
図8】例示的なバッテリーモジュールの構造を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
以下、実施例および比較例を通じて本出願のバッテリーモジュールを説明するが、本出願の範囲は下記提示された範囲によって制限されるものではない。
【0094】
1.樹脂層の熱伝導度評価方法
樹脂層の熱伝導度はASTM D5470規格により測定した。すなわち、ASTM D 5470の規格により2つの銅棒(copper bar)の間に樹脂層を位置させた後、前記2個の銅棒の中の一つはヒーターと接触させ、他の一つはクーラー(cooler)と接触させた後、前記ヒーターが一定温度を維持するようにし、クーラーの容量を調節して熱平衡状態(5分に約0.1℃以下の温度変化を見せる状態)を作った。熱平衡状態で各銅棒の温度を測定し、下記の数式によって熱伝導度(K、単位:W/mK)を評価した。熱伝導度評価時に樹脂層にかかる圧力は約11Kg/25cm程度となるように調節し、測定過程で樹脂層の厚さが変化した場合に最終厚さを基準として熱伝導度を計算した。
【0095】
<熱伝導度数式>
K=(Q×dx)/(A×dT)
【0096】
前記数式において、Kは熱伝導度(W/mK)であり、Qは単位時間当り移動した熱(単位:W)、dxは樹脂層の厚さ(単位:m)、Aは樹脂層の断面積(単位:m2)、dTは銅棒の温度差(単位:K)である。
【0097】
2.比重評価方法
樹脂層の比重はASTM D792規格により測定した。例えば、前記規格により樹脂層の重さを測った後で水の中で再び重さを測った後、前記測定された重さの差を通じて密度と比重を計算するか、粉末やペレット(pellet)所定量(ex.約5g)を高温計の中のすでに測定された容積に入れ、73.4F°で重さと容積の差を通じて比重を計算することができる。
【0098】
3.熱重量分析(TGA、Thermogravimetric Analysis)方法
TA Instrument社のTA400機器を用いて熱重量分析を遂行した。樹脂層約10mgを使用して分析を遂行し、分析は25℃〜800℃の温度範囲、加熱速度20℃/分および60cm/分の質素(N)雰囲気下で分析を遂行した。
【0099】
4.絶縁破壊電圧測定
樹脂層の絶縁破壊電圧はASTM D149規格により評価した。絶縁破壊電圧は物質が絶縁性を失う瞬間まで加えられる電圧を意味し、一定水準以上の高電圧で導電性が急速に増加して絶縁性を失うことになる。絶縁破壊を起こすのに必要な最小の電圧を破壊電圧といい、絶縁性は試片を通じてアークが完全に通じて発生される。電圧の変化率(voltage gradient)は破壊される瞬間の電圧を絶縁厚さで分けて得ることができる。Backman Industrial PA70−1005/202機器を利用して絶縁破壊電圧を測定し、このとき、試片(樹脂層)の厚さは約2mm程度とし、直径が約100mm程度となるようにした。
【0100】
5.接着力測定
絶縁膜(エポキシおよび/またはポリエーテル系絶縁層)が形成されているアルミニウム製モジュールケースの下部板とPET(poly(ethylene terephthalate))フィルムを、樹脂層を使用して付着し、このとき、付着される幅は約10mm程度となるようにした。このとき、樹脂層の厚さは約1mm程度にした。前記付着は未硬化された樹脂組成物を前記絶縁膜とPETフィルムの間にローディング(loading)した後、これを硬化させて遂行する。その後、約300mm/minの速度および180度の剥離角度で前記PETフィルムを絶縁側から剥離して接着力を測定する。
【0101】
6.硬度の測定
樹脂層の硬度は、ASTM D 2240、JIS K 6253規格により測定した。ASKER、durometer hardness機器を用いて遂行し、平らな状態のサンプル(樹脂層)の表面に1Kg以上の荷重(約1.5Kg)を加えて初期硬度を測定し、15秒後に安定化された測定値で確認して硬度を評価した。
【0102】
7.バッテリーモジュールの信頼性評価
バッテリーモジュールの信頼性はモジュールの熱抵抗および耐電圧強度を測定して評価した。耐電圧強度は、バッテリーモジュールがどれほどの電圧の印加まで破損されずに耐えるかを調べる試験である。下記の実施例および比較例では、約1.2kVから始まって、加えられる電圧の大きさを大きくしながら耐電圧強度を測定した。バッテリーモジュールの熱抵抗は、測定機器の上部および下部ブロックの間にモジュールを位置させて、コンピュータ(controlling computer)のDynTIM Tester softwareを実行し、Software上でヒーティング(heating)電流および測定時間などを決定して入力し、測定圧力、熱抵抗測定条件などのパラメーターのsettingを完了して、softwareで制御されるT3SterとDynTIM testerが測定条件別に熱抵抗値を測定するようにして熱抵抗を評価した。各評価結果による信頼性は下記の基準で分類した。
【0103】
<耐電圧抵抗による信頼性評価基準>
上:耐電圧強度が2kV以上の場合
中:耐電圧強度が2kV未満〜0.5kV以上
下:耐電圧強度が0.5kV未満
【0104】
<熱抵抗評価による信頼性評価基準>
上:熱抵抗が2K/W以下である場合
中:熱抵抗が2K/W超過〜6K/W以下である場合
下:熱抵抗が6K/W超過である場合
【0105】
実施例1.
【0106】
樹脂組成物の製造
2液型ウレタン系接着剤組成物(主剤:HP−3753(KPXケミカル)、硬化剤:TLA−100(旭化成))にアルミナ(粒度分布:1μm〜60μm)を前記2液型ウレタン系接着剤組成物が硬化後に約3W/mkの熱伝導度を示すことができる量(2液合計固形分100重量部対比約600〜900重量部の範囲内)で混合して、常温粘度が約250,000cP程度である樹脂組成物を製造し、これを下記バッテリーモジュールの製造に適用した。
【0107】
バッテリーモジュールの製造
図1のような形状のモジュールケースとして、アルミニウムで製造された下部板、側壁および上部板を有するモジュールケースを用いた。前記モジュールケースの下部板の内側面にはバッテリーセルの装着をガイドするガイド部が形成されており、前記モジュールケースの下部板の中心部には樹脂組成物の注入のための注入ホールが一定間隔で形成されており、下部板の末端には観察ホールが形成されている。前記モジュールケース内にバッテリーパウチを複数個積層したパウチの束を収納した。引き続き、前記モジュールケースの表面に上部板を覆った。その後、前記注入ホールに前記製造された樹脂組成物を、注入される組成物が観察ホールまで到達することが確認されるまで注入した後、硬化させてバッテリーモジュールを製造した。
【0108】
実施例2.
【0109】
樹脂組成物の製造
2液型シリコン系接着剤組成物(主剤:SL5100A(KCC剤)、硬化剤:SL5100B(KCC剤))にアルミナ(粒度分布:1μm〜60μm)を前記2液型シリコン系接着剤組成物が硬化後に約3W/mkの熱伝導度を示すことができる量(2液合計固形分100重量部対比約800〜1200重量部の範囲内)で混合し、常温粘度が約130,000cP程度である樹脂組成物を製造し、これを下記バッテリーモジュールの製造に適用した。
【0110】
バッテリーモジュールの製造
実施例1で使用したものと同じ構造を有し、ただし樹脂組成物の注入のための注入ホールと観察ホールが形成されていないケースを用いた。該当ケースの下部板内側面の前面に前記製造された樹脂組成物を約500μm程度の厚さにコーティングし、実施例1と同じバッテリーセルを収納して、上部板を覆った後、樹脂組成物の層を硬化させてバッテリーモジュールを製造した。
【0111】
実施例3.
2液型ウレタン系接着剤組成物(主剤:PP−2000(KPXケミカル)、硬化剤:TLA−100(旭化成))にアルミナ(粒度分布:1μm〜60μm)を前記2液型ウレタン系接着剤組成物が硬化後に約3.5W/mkの熱伝導度を示すことができる量(2液合計固形分100重量部対比約600〜900重量部の範囲内)で混合し、常温粘度が約350,000cP程度となるように製造した樹脂組成物を用いたことを除いては実施例1と同一にバッテリーモジュールを製造した。
【0112】
実施例4.
国道化学で入手した常温硬化型のエポキシ系接着剤組成物にアルミナ(粒度分布:1μm〜60μm)を前記接着剤組成物が硬化後に約3W/mkの熱伝導度を示すことができる量(2液合計固形分100重量部対比約600〜900重量部の範囲内)で混合し、常温粘度が約500,000cP程度となるように製造した樹脂組成物を用いたことを除いては実施例1と同一にバッテリーモジュールを製造した。
【0113】
実施例5.
2液型シリコン系接着剤組成物(主剤:SL5100A(KCC剤)、硬化剤:SL5100B(KCC剤))にグラファイト(graphite)を前記2液型シリコン系接着剤組成物が硬化後に約1.5W/mkの熱伝導度を示すことができる量(2液合計固形分100重量部対比約100〜300重量部の範囲内)で混合し、常温粘度が約2,000,000cP程度となるように製造した樹脂組成物を用いたことを除いては実施例2と同一にバッテリーモジュールを製造した。
【0114】
実施例6.
2液型シリコン系接着剤組成物(主剤:SL5100A(KCC剤)、硬化剤:SL5100B(KCC剤))にアルミナ(粒度分布:1μm〜60μm)を前記接着剤組成物が硬化後に約1.5W/mkの熱伝導度を示すことができる量(2液合計固形分100重量部対比約300〜500重量部の範囲内)で混合し、常温粘度が約100,000cP程度となるように製造した樹脂組成物を用いたことを除いては実施例2と同一にバッテリーモジュールを製造した。
【0115】
実施例7.
2液型ウレタン系接着剤組成物(主剤:PP−2000(KPXケミカル)、硬化剤:TLA−100(旭化成))にアルミナ(粒度分布:1μm〜60μm)を前記2液型ウレタン系接着剤組成物が硬化後に約2W/mkの熱伝導度を示すことができる量(2液合計固形分100重量部対比約400〜900重量部の範囲内)で混合し、常温粘度が約150,000cP程度となるように製造した樹脂組成物を用いたことを除いては実施例1と同一にバッテリーモジュールを製造した。
【0116】
比較例1.
接着剤組成物を使用せずに、すなわち樹脂層を形成しないことを除いては、実施例2と同一にバッテリーモジュールを製造した。
【0117】
前記実施例および比較例に対して測定した樹脂層の物性とバッテリーモジュールの信頼性を整理して下記の表1に記載した。
【0118】
【表1】
【0119】
表1の結果から、樹脂層に使用される樹脂の種類とフィラーの種類、比率によって樹脂層の物性が変化し、それによりモジュールの信頼性も影響を受けることを確認することができる。
【0120】
例えば、実施例1、2および4の結果を比較してみると、同一水準の熱伝導度の確保のためにアルミナを添加した時に接着力はエポキシ系、ウレタン系およびシリコン系の順で高く、硬度はエポキシ、ウレタンおよびシリコン系順で高いことが分かり、比重および耐熱性(TGA分析結果)は類似の水準に調整されることを確認することができる。実施例4の場合、硬度が実施例1および2に比べて多少高く、それにより信頼性評価結果が多少落ちることを確認することができる。
【0121】
また、実施例2、5および6の結果または実施例1、3、7の結果を比較すると、同じ系列の樹脂が使用された時に、フィラーの種類、含量によって熱伝導度、比重、耐熱性(TGA分析結果)、硬度などが変化することを確認することができる。例えば、実施例7の場合、実施例1および3に比べて少ない量のフィラーが適用されることによって、熱伝導度および比重が多少低い数値を示し、耐熱性(TGA分析)も多少落ち、接着力は類似水準であるが、硬度が多少落ちており、特に絶縁性を確保することに影響を与えるフィラーの比率の低下により絶縁破壊電圧が落ちた。それにより、実施例7は実施例1および3に比べて信頼性評価結果が多少落ちることを確認することができる。
【0122】
[符号の説明]
10:モジュールケース
10a:下部板
10b:側壁
10c:上部板
10d:ガイド部
20:バッテリーセル
30:樹脂層
50a:注入ホール
50b:観察ホール
40:絶縁層
100:パウチ型セル
110:電極組立体
120:外装材
121:上部パブチ
122:下部パウチ
S:シーリング部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8