特許第6966448号(P6966448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルドルフ・テクノロジーズ,インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許6966448-ウエハシンギュレーションプロセス制御 図000002
  • 特許6966448-ウエハシンギュレーションプロセス制御 図000003
  • 特許6966448-ウエハシンギュレーションプロセス制御 図000004
  • 特許6966448-ウエハシンギュレーションプロセス制御 図000005
  • 特許6966448-ウエハシンギュレーションプロセス制御 図000006
  • 特許6966448-ウエハシンギュレーションプロセス制御 図000007
  • 特許6966448-ウエハシンギュレーションプロセス制御 図000008
  • 特許6966448-ウエハシンギュレーションプロセス制御 図000009
  • 特許6966448-ウエハシンギュレーションプロセス制御 図000010
  • 特許6966448-ウエハシンギュレーションプロセス制御 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966448
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】ウエハシンギュレーションプロセス制御
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20211108BHJP
【FI】
   H01L21/78 P
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-532444(P2018-532444)
(86)(22)【出願日】2016年12月23日
(65)【公表番号】特表2019-500754(P2019-500754A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】US2016068519
(87)【国際公開番号】WO2017117051
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年12月16日
(31)【優先権主張番号】62/272,876
(32)【優先日】2015年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312501
【氏名又は名称】オントゥー イノヴェイション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】フィッツジェラルド,ウェイン
【審査官】 湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−236260(JP,A)
【文献】 特開2009−074952(JP,A)
【文献】 特開2016−197702(JP,A)
【文献】 特開昭63−032666(JP,A)
【文献】 特開昭54−019366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良されたシンギュレーションプロセスにおいて、
連続した基板の少なくとも一部を少なくとも第1のICデバイスと第2のICデバイスとに分離するステップであって、前記第1のICデバイスおよび前記第2のICデバイスは隣接エッジを有する、分離するステップと、
前記第1のICデバイスおよび第2のICデバイスの前記隣接エッジのそれぞれの少なくとも1つのイメージをキャプチャするステップと、
前記第1のICデバイスおよび前記第2のICデバイスの前記隣接エッジのそれぞれの輪郭を確立するステップと、
前記隣接エッジの前記輪郭を重ね合わせるステップと、
前記隣接エッジの重なり合った前記輪郭から、前記隣接エッジの不一致部分がある場合に識別するステップと、
前記分離するステップが、少なくとも別の第1のICデバイスおよび別の第2のICデバイスの、その後に形成される隣接エッジの不一致部分をもたらす可能性を低減させるように前記分離するステップを実行させるために、前記分離するステップおよび/または装置を修正するステップと
を備えた改良されたシンギュレーションプロセス。
【請求項2】
前記識別するステップは、前記隣接エッジの前記輪郭間のギャップが欠けおよび層間剥離のうちの1つであるかどうかを判定することをさらに含む、請求項1に記載の改良されたシンギュレーションプロセス。
【請求項3】
前記隣接エッジの前記輪郭間のギャップを識別することによって欠けが判定される、請求項2に記載の改良されたシンギュレーションプロセス。
【請求項4】
前記隣接エッジの前記輪郭間の重なりを識別することによって層間剥離が判定される、請求項2に記載の改良されたシンギュレーションプロセス。
【請求項5】
シンギュレーションプロセスを特徴付ける方法において、
基板から分離された第1のICデバイスの周辺エッジの所定の部分の輪郭を識別するステップと、
前記基板から分離された第2のICデバイスの周辺エッジの所定の部分の輪郭を識別するステップであって、前記第2のICデバイスの前記周辺エッジの前記所定の部分は、前記第1のICデバイスの前記周辺エッジの前記所定の部分に隣接している、識別するステップと、
前記輪郭間のギャップおよび前記輪郭間の重なりのうちの1つがもしあれば、それを識別するために、前記第1のICデバイスおよび前記第2のICデバイスの前記周辺エッジの前記所定の部分の前記輪郭を比較するステップと
を含むシンギュレーションプロセスを特徴付ける方法。
【請求項6】
前記第1のICデバイスおよび前記第2のICデバイスの前記周辺エッジの前記所定の部分の前記輪郭のそれぞれの粗さを判断するステップと、
前記第1のICデバイスおよび前記第2のICデバイスの前記周辺エッジの前記所定の部分の前記輪郭のいずれかの前記粗さが、許容可能な品質レベルを規定する所定の閾値を超えるかどうかを判断するステップと、
前記第1のICデバイスおよび前記第2のICデバイスの前記周辺エッジの所定の部分の前記輪郭のいずれかの前記粗さが、許容可能な品質レベルを規定する所定の閾値よりも異なるかどうかを識別するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のシンギュレーションプロセスを特徴付け
る方法。
【請求項7】
前記第1のICデバイスおよび前記第2のICデバイスの前記周辺エッジの前記所定の部分の前記輪郭のそれぞれに最適な線を判断するステップと、
前記第1のICデバイスおよび前記第2のICデバイスの前記周辺エッジの前記所定の部分の前記輪郭のそれぞれに最適な前記線が、互いに対して平行から、許容可能な品質レベルを規定する所定の閾値より大きく外れているか否かを判断するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のシンギュレーションプロセスを特徴付ける方法。
【請求項8】
最適な前記線は、線形および曲線からなる群から選択された、請求項7に記載のシンギュレーションプロセスを特徴付ける方法。
【請求項9】
前記第1のICデバイスおよび前記第2のICデバイスのうちの少なくとも1つのパターン化された領域の境界を識別するステップと、
前記境界とそれぞれの前記ICデバイスの前記周辺エッジの前記所定の部分の前記輪郭との間の相対的な距離および方向を決定するステップと
をさらに含む請求項5に記載のシンギュレーションプロセスを特徴付ける方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01]本発明は、一般に、電子および集積回路デバイスの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
[02]電子デバイス、特に集積回路デバイスの製造は、単一の基板上に同時に形成された複数のこのようなデバイスを用いてバルクで行われる。様々なサイズ、形状、および組成の基板が一般的である。基板を形成することができる材料の例としては、これらに限定されないが、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素、ガラス、プラスチック、エポキシ、およびこれらのいずれかから形成された様々な複合材料、複合構造、または化合物半導体などが挙げられる。
【0003】
[03]基板上のデバイスの製造が完了したら、これらのデバイスを基板から分離されなければならない。電子デバイスまたはICデバイスを互いに対して分離することは、シンギュレーション(singulation)と呼ばれる。しばしば、基板を支持体またはバッカ(backer)に最初に接着させることによって、これは達成され、その結果、デバイスが互いに分離されているとき、それらの位置は分かったままである。支持体は、フィルムまたはテープフレームだけでなく、複数の単一のデバイスに分離される基板と同じまたは異なるタイプの二次基板を含むことができる。分離は、これに限定されないが、鋸引きおよびスクライビング(scribing)を含む、当業者に公知の多くの方法によって達成される。鋸引き作業では、薄いダイヤモンド鋸をデバイス間の基板に通してデバイスを互いに分離させる。鋸は、基板を切断することを意図しているが、基板が取り付けられている支持体は切断しない。同様に、スクライビング操作は、機械的またはレーザースクライビングツールを使用して、分離されるべきデバイス間の基板上にスクライブラインを作成することができる。スクライブ作業では、しかしながら、スクライブされた基板は、スクライブされた線に沿って破壊され、個々のデバイスを分離する。両方の操作において、今分離されたデバイスは、その後の製造またはパッケージング操作に利用できるように、支持体に接着されたままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[04]シンギュレーション操作を適切に制御するためには、過去の設定および配置に照らして現在の結果を特徴付けることが必要である。この特徴付けは、進行中のプロセスを修正したり、シンギュレーションプロセスの適切な設定を予測したり、および/または進行中のシンギュレーションプロセスの肯定的または否定的な特徴を識別するために使用できる。シンギュレーション操作の特徴付けの1つとして採用されている方法の1つは、マシンビジョン技術の適用を含む。しかしながら、これらのアプローチは、しばしば、シンギュレーション操作の特徴付けに有用な情報を抽出するために、複雑な画像処理技術の適用を必要とする。したがって、基板および個別化されたデバイスの画像から情報を抽出するための簡略化された技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[05]本発明の一実施形態では、シンギュレーションプロセスが監視され、検査システムによって取り込まれた単体化されたICデバイスの画像に見られる特徴の評価に基づいて少なくとも部分的に制御される。これらの画像では、デバイスの周辺エッジを識別し、これらのエッジのセグメントを隣接デバイスのエッジのセグメントと比較して、これらのエッジセグメントの不一致部分を識別することができる。関心のある不一致には、粗さ、チップ、剥離、および位置ずれが含まれ得るが、これに限定されない。この同じ技術を用いて、ICデバイスの分離されたエッジが適切に配置され、ICデバイスの中央部分のエッジと位置合わせされているかどうかを判断することができる。供給速度、温度、圧力、位置合わせ等に応じてシンギュレーションは変化されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[06]基板の画像を取り込むための汎用マシンビジョンシステムの概略図である。
図2】[07]複数のデバイスがその上に形成された、デバイスは支持体に取り付けられ、互いに分離されている、基板の一部を示す。
図3】[08]不一致部分を含む単体化されたデバイスの一般的な寸法を示す。
図4】[09]図4Aおよび図4Bは、単体化されたデバイスの不一致部分を識別する1つの方法の概略図である。
図5】[10]本発明による1つの方法を示すフローチャートである。
図6】[11]図6A図6Cは、シンギュレーションプロセスの制御を補助するために定量化され得るデバイスエッジの特性の概略図である。
図7】[12]そのエッジに対するデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[13]本発明の以下の詳細な説明では、ここの一部を形成し、本発明を実施することができる特定の実施形態が図示により示されている、添付図を参照する。図面では、いくつかの図面を通して、同様の符号は実質的に同様の構成要素を表す。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に記載されている。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的、論理的、および電気的な変更が行われてもよい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ規定される。
【0008】
[14]図1は、基板20の画像を取り込むために使用される一般的なマシンビジョンシステム50を示す。システム50は、ここでは明視野照明方式で配置された照明源52と、電荷結合素子(CCD)を含むデジタルカメラまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)型イメージセンサであることが多く、ビジョンシステム50の撮像面に配置されたイメージャ54とを含む。ビームスプリッタ56は、源52からの光が基板20に入射し、次いで、基板20からイメージャ54に戻されるように、光源52をシステム50の法線入射光路に結合し、基板20から戻った光から画像を形成する。当業者に知られているタイプの光学素子(図示せず)は、源52からの照明と対象物(基板20)とイメージャ54のセンサとが互いに結合して適切に焦点合わせ及びさらされた画像の作成を確実にするために、源52およびイメージャ54と関連付けられている。このような光学素子は、レンズ、対象物、フィルタ(波長および強度)、偏光フィルタ、空間フィルタ、ビーム整形器、ミラー(パワー有りまたは無し)等を含んでいてもよい。
【0009】
[15]当業者であれば、法線入射システム50が図示され説明されているが、追加のまたは代替の画像システムもまた企図されることを理解するであろう。例えば、暗視野撮像方式と一般に呼ばれるものを容易にするために、基板20上に光を向けるために、代替のまたは追加の照明源(図示せず)を設けることができる。明視野または暗視野の照明の任意の適切な数の光源52を設けることができる。イメージャ54は、様々な照明方式の有利性を得るために、複数のイメージセンサが設けられていてもよい。さらに、源52は、基板20に対して1つ以上の入射角および/または方位角で配置されてもよい。
【0010】
[16]光源52の配列およびイメージャ54のセンサに応じて、結果として生じる画像は、シンギュレーションプロセスを制御する際に対象である基板20の様々な特性をエンコードすることができる。イメージャ54によって出力された画像は、一般にピクセルベースであり、画像としてレンダリングされたときに、対象の基板20の特性を忠実に表すピクセル値のアレイから構成される。デジタル画像のピクセルは、基板20の対応する位置にマッピングされ、各ピクセルの数値は、反射、屈折、散乱、または発光によって基板20のその位置から戻る光を表す。ピクセル値は、多くの場合、イメージャ54によって感知される光の基本強度に関連するが、様々な波長、偏光状態、入射角、および/または方位角、または散乱強度における基板の特性に相関するデータを関連付けられていてもよい。
【0011】
[17]システム50から得られた画像は、得られた画像を分析するように適合されたコントローラ(図示せず)に提供される。コントローラは、ローカルまたはリモートの動作モードで動作する任意の有用な構成のローカルまたはネットワークコンピュータまたはプロセッサであってもよい。
【0012】
[18]図1に示す基板20は、ここではウエハ22が接着されたフィルムまたはテープによって覆われた中央開口を有する円周リングを有するフィルムフレームである、支持体26に取り付けられたシリコンウエハ22を表している。基板20は、基板20の全体または一部の画像をその全体または単体化された状態で取り込むことができるように、システム50に対して移動される(矢印28)。基板の動きは、当業者に知られているタイプのステージまたはプラットフォーム(図示せず)によってもたらされる。線形動作は矢印28で示唆されているが、基板20の回転によって引き起こされるような曲線運動も考えられる。基板全体を走査することは、イメージャ54を通過する犂耕状または螺旋状の経路に沿って基板を移動させることによって行われることが多い。区分的またはサンプリングされた画像化もまた実行され得る。
【0013】
[19]図2は、シンギュレーションされた基板20の一部を示す。個々のICデバイス30は、概して規則的な長方形のアレイに配置されるが、異なる幾何学パターンでそのようなデバイス30を配置することが可能である。一般に、デバイス30は、微小電気機械構造(MEMS)などのいくつかの回路または他の構造を含む中央領域32によって特徴付けられる。各デバイスは、中央領域32を取り囲み、中央領域32の回路または構造がシンギュレーションプロセスによって損傷されないことを確実にするために、そこから所定の距離だけ離間された周辺エッジ34を有する。上記で示唆したように、シンギュレーションは、デバイス30の行と列との間で鋸刃またはスクライブ(レーザまたは機械的)を実行することによって達成される。この空間は、装置30の矩形アレイが、装置30に対応するブロックを有する都市の地図のように見えることが多く、装置間の空間が街路に見えるという事実のため、しばしば「通り」と呼ばれる。簡略化のため、ここでは鋸引きによるシンギュレーションのみを説明するが、他の方法によるシンギュレーションはかなり類似しており、この説明によって包含されることが理解されるべきである。
【0014】
[20]鋸刃(図示せず)は、装置30の行と列との間の「通り」36内の装置30の間を通される。ストリート36は、シンギュレーション中に破壊されるという点で、無駄な領域と見なされる。デバイス含有基板20の製造中に、ストリート36に様々なプロセス制御およびテスト構造を形成することができるが、これらは一般にシンギュレーションプロセスによって破壊される。図3では、ストリート36とそれを画定する周辺エッジ34がより明確に示されている。この図では、単体化されたデバイス30の周辺エッジ34の単一のエッジセグメント38を識別することもできる。複数のセグメント38が一緒になって装置30の周辺エッジ34を形成する。セグメント38は、隣接するデバイス30からの対応するセグメント38と一緒になって、ストリート36の鋸の切り取り線を画定するか輪郭を描く周辺エッジ34の任意の部分とすることができる。一実施形態では、エッジセグメント38は名目上直線状の装置30の全側部、すなわち長方形または正方形の装置30の側部に沿って延びている。
【0015】
[21]図3では、セグメント38は、事実上、概して直線状であるように示されている。ほとんどの場合、シンギュレーションは線形プロセスであり、セグメント38は名目上線形でもある。しかしながら、ストリート36の鋸切断部は、多くの理由から直線経路からそれる可能性があり、これにより、エッジ34のセグメント38は、誇張して曲線的に図示されている。
【0016】
[22]図4Aおよび4Bは、シンギュレーションプロセス中に起こり得る2つのタイプの不一致を示す。図4Aにおいて、隣接セグメント38’およびセグメント38’’は、それぞれのセグメント間の任意の不一致を視覚的に増幅するために重ねられる。見て分かるように、セグメント38’はセグメント38’’から逸脱するエッジ部分を有する。セグメント38’およびセグメント38’’は、それらの長さに沿った任意の点で交差しない。セグメント38が重ねられ、セグメントが交差することなく間隙40が形成されている場合、ギャップ40が形成されているセグメント38’の一部が欠けを有するか、そうでなければ何らかの材料が欠落していると推測することができる。
【0017】
[23]図4Bにおいて、セグメント38’およびセグメント38’’は、それらの間の任意の不一致を視覚的に増幅するために再び重ね合わされる。この例では、セグメント38’’は、セグメント38’に向かって、セグメント38’を横切って延びる隙間42を有する。セグメント38’’のようなセグメントが、対応するセグメント38’に向かって延びかつそれと交差するギャップ42を有する場合、エッジ38’’の一部が層間剥離と呼ばれるものを有すると推定することができる。この状況では、エッジセグメント38’’の一部は、材料を喪失しているか、またはその中に形成された亀裂を有しており、基板20を上から下まで完全に通って延びていないデバイス30内の周辺エッジに欠陥がある。
【0018】
[24]想定されるように、各装置30およびその周辺エッジ34の存在および位置は、システム50から得られた画像から判断される。システム50に取り付けられたコントローラは、取り込まれた画像を分析し、各装置30の周辺エッジ34の位置を識別する。分解能、画像システム50、およびその開口数に応じて、イメージャ54によって取得された視界領域は、複数のデバイス30、単一のデバイス30、または1つまたは複数のデバイス30の一部を含むことができる。本発明は、装置30の周辺エッジ34の隣接セグメント38の評価に関するものであるので、分析を可能にするために画像がどのように解析され得るかについての徹底的な検討は、本明細書には含まれていない。比較可能なセグメント38の画像を得るために、関心のある複数の領域を含む画像をサンプリングすることは、当業者には周知であることは言うにとどめておく。同様に、比較のために離散画像から部分を選択するか、複数の画像を連結して、そこから導出され得る装置30またはセグメント38に関するより多くの視覚情報を有する画像を取得することは周知である。
【0019】
[25]一実施形態では、セグメント38’およびセグメント38’’は、システム50によって撮像される。セグメント38’およびセグメント38’’は、「Apparatus and method for aligning and measuring and misregistration」と題された米国特許第5,696,835号に記載されているものと同様の技術を使用して、捕捉された画像内で識別されてもよい。この参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。セグメントのそれぞれの最良の適合線が決定され、次いで、セグメント38’およびセグメント38’’を「重ね合わせる」ために使用されてもよい。一実施形態では、これは、一方を他方に対して、セグメント38’およびセグメント38’’の位置および向きに関連した変換を生成することによって行うことができる。別の実施形態では、合成画像(本明細書では、「画像」という用語は、実際のデジタル画像および画素情報の配列を意味し得る)が、セグメント38’およびセグメント38’’を互いに重ね合わせて生成される。すべての場合において、セグメント38’およびセグメント38’’の向きは、シンギュレーションプロセスの品質に関連する情報を保存するように維持される。
【0020】
[26]セグメントを「重ね合わせる」ことは、直接行わなければならないことではない。セグメントを構成するピクセルの位置、または最良適合線を特定する式または識別された初期画像の基礎となるデータを単に知るだけで、後続の識別ステップを実行することを可能にするはずである。「重ね合わせる」とは、輪郭間に既知の関係を形成し、その後の不一致識別ステップを実行することを可能にすることだけのステップである。これは、単純な変換または2つの別々の画像からの新しい画像の形成または基本画像の直接的な関連とすることができる。
【0021】
[27]変換または合成画像が一旦作成されると、セグメント38’およびセグメント38’’間の距離が測定され得る。これは、セグメント間の横方向の距離が各垂直位置について測定されるように区分的に行われてもよい。図6Aは、セグメント38’およびセグメント38’’の名目上完全な配置を示す。この図において、セグメントは、セグメントの理想的な配置である直線状かつ平行である。図6Aは、基板20またはセグメント38’およびセグメント38’’の実際の周辺エッジ34を表すことができる。セグメント38’およびセグメント38’’間の距離は、基板20を単体化するために使用される鋸の幅に直接関連し得るので、関連がある。この距離はまた、支持体のフィルムの張力に関連し得る。支持体のフィルムにおける不適切な張力は、単体化デバイス30を互いに引き離すか、または互いに近づけるようにして、単体化デバイス30間の距離が小さすぎるか、大きすぎるか、または図6Bに示すように不均一になる。
【0022】
[28]図6Cは、セグメント38’およびセグメント38’’を含む複合画像または重ね合わされた画像が形成される実施形態を概略的に示す。この図において、セグメント38’は直線の破線で表され、セグメント38’’は曲線の実線によって表される。図6Cはまた、曲線セグメント38’’について計算された最良適合線(破線)を表すことができる。
【0023】
[29]図6Cに示される合成画像表現を最初に考察すると、合成画像の上部において、セグメント38’およびセグメント38’’は実質的に同一線上にあることが分かる。セグメント38’を表すために直線を使用することによって、2つのセグメント間の変動が強調されることに留意され、セグメント38はしばしば完全に真っ直ぐではなく、特に非常に小さなスケールでは幾分曲線的であることに留意されたい。セグメント38’およびセグメント38’’の下部は、シンギュレーションプロセスの問題を示す大きな変化を有する。選択された垂直位置でセグメント38’とセグメント38’’との間の横方向/水平方向の距離を測定することは、これらのエッジ34を作り出したシンギュレーションプロセスに固有の問題を強調する。セグメントの上部では、セグメント間の距離は比較的小さく、好ましくはゼロに比較的近い。セグメント38’およびセグメント38’’の下部では、距離はよりたくさん変化し、かなり大きくなり得る。実際、ギャップ40および42がはっきりと見え得る。任意に選択されたセグメント38に対して測定が行われる場合、ギャップ40,42がチップまたは層間剥離である可能性があるかどうかを容易に判断力することができる。
【0024】
[30]選択された垂直位置(これらの位置は各画素列または選択された位置のより小さな集団にあってもよい)で線の間の横方向の距離を決定することによって、セグメント38’とセグメント38’’との間の標準偏差または最良適合線(破線)とセグメント(実線)との間の標準偏差を計算することもでき、これらの値またはこれらの絶対値を使用して、互いに対して、または最も適合する線に対してエッジ34の変動性を決定することができる。選択された解像度またはスケールでの高い変動性は、シンギュレーションプロセスの品質の良好な指標を提供し得る。実際には、標準偏差を超える測定距離またはあるレベルのシンギュレーション品質を表す閾値を使用して、名目上の輪郭からのずれが食い違っているか否かを判断することができる。
【0025】
[31]図7は、本発明の別の態様を示す。デバイス30は、様々なタイプの能動回路またはMEMS構造が存在し得る中央領域32を有する。好ましくは、装置30の周辺エッジ34は、平行であり、好ましくは、中央領域34の周辺エッジ35と均一に離間している。セグメント38を評価することに関して上述したのとほぼ同様に、中央領域の周辺エッジ35のセグメントを識別し、これらをデバイス30の周辺エッジのセグメント38と比較することができる。中央領域32は、リソグラフィ技術を使用して形成されることが多いので、その周辺エッジ35は、しばしばかなり線形である。いずれにしても、中央領域32の周辺エッジ35の形状は、既知の公称形状を有する。デバイス34のエッジと中央領域35との間の距離ΔX、ΔY、およびθの測定は、シンギュレーションプロセスにおいて位置ずれが存在するか否かを示すことができる。さらに、基板20上のデバイス30のアレイにわたる値ΔX、ΔY、およびθの変化は、デバイス30自体の位置ずれまたはシンギュレーションを実行しているデバイスにおける漸進的な位置合わせエラーを示していてもよい。これらのエラーは、例えば、複合基板(エポキシに埋め込まれた、またはキャリア基板上にマウントされたダイス(dies)のような再構成されたウエハ)の不適切な形成、または基板20の結晶構造のその上に形成される装置30に対する位置ずれ等、時間的により以前の問題を示していてもよい。
【0026】
[32]本発明を実施するプロセスの一実施形態を図5に示す。ステップ80において、システム50は、支持体または基板上のデバイス30の画像を取得するために使用される。ステップ82において、取り込まれた画像は、システム50に結合されたプロセッサによって分析されて、エッジ34および必要に応じてエッジ35を識別する。上述のように、エッジ34および35のセグメントを比較のために抽出されてもよい。ステップ84では、エッジ34および/または35の抽出されたセグメントが重ね合わされまたは比較されて、不一致を識別し、シンギュレーションプロセスの品質を定量化する。次に、図5に示すプロセスの出力を使用して、デバイス30が基板20から分離されるシンギュレーションプロセスを改良し、シンギュレーションプロセスからそのエッジにおける不一致の有無に基づいて疑わしい実用性または品質の基板30を潜在的に識別する。
【0027】
[33]一実施形態では、チップまたは層間剥離を表すギャップ40,42の存在は、問題のあるシンギュレーションプロセスを示す可能性がある。セグメント38における大きな変動または標準偏差は、同様に、このような問題を示している可能性がある。周辺エッジ34と35との間の距離または角度方向の変化は、シンギュレーションプロセスにおける位置ずれを示すことができる。これらのデータは、位置合わせ、送り速度、ツールメンテナンス、フィルム塗布技術等を改良するために、シンギュレーションプロセスにフィードバックされてもよい。
【0028】
結論
[34]本発明の特定の実施形態が本明細書に図示され説明されたが、当業者であれば、同じ目的を達成するために計算された任意の構成を、示された特定の実施形態に置き換えることができる。本発明の多くの適応が当業者には明らかである。したがって、本出願は、本発明の任意の適合または変形を包含することが意図されている。本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが明白に意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6a
図6b
図6c
図7