(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
環状のフレームの開口部において該フレームに貼着された粘着テープを介して支持された板状のワークを、該粘着テープを拡張することにより、該ワークに形成された分割予定ラインに沿って個々のチップヘ分割する分割装置であって、
該ワークと該フレームとが該粘着テープを介して一体化したワーク付きフレームの該フレームを保持し、該フレームと該ワークとを、該ワークの面に直交する方向に離反させて該粘着テープを拡張することにより、該ワークを該分割予定ラインに沿って個々のチップヘ分割する分割手段と、
該分割手段によって拡張されることにより弛みが生じた該粘着テープの弛みを、該粘着テープを加熱することにより除去する加熱手段と、
該分割手段によって分割されて該粘着テープから浮いた個々のチップを該粘着テープに再び接着させるため再接着手段と、
該加熱手段と該再接着手段との間で該ワーク付きフレームの反転及び搬送を行う搬送手段と、を有し、
該再接着手段は、分割された該ワークを吸引保持する加熱可能なテーブルを少なくとも備え、該ワーク付きフレームの該チップ側を該テーブルに保持し、該チップ側から加熱することを特徴とする分割装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示す分割装置1は、粘着テープTを介して環状のフレームFに支持された板状のワークWを、ワークWの表面(デバイス形成面)に形成された分割予定ラインに沿って個々のチップに分割する装置である。フレームFは開口部を有し、その開口部においてフレームFに貼着された粘着テープTを介してワークWが支持されている。なお、以下では、ワークWとフレームFとが粘着テープTを介して一体化したものを、ワーク付きフレームFWと称する。
【0010】
分割装置1は、ワーク付きフレームFWを収容するカセット21が載置されるカセット載置部20と、粘着テープTを拡張することによりワークWを分割する分割手段30と、拡張した粘着テープTを加熱する加熱手段40と、ワークWの分割により形成され粘着テープTから浮いた個々のチップを粘着テープTに再び接着する再接着手段50と、分割により形成されたチップを洗浄する洗浄手段60と、粘着テープTに紫外線を照射して硬化させる紫外線照射手段70と、ワーク付きフレームFWを搬送する際の中継点となる中継ステージ80とを備えている。分割手段30及び紫外線照射手段70は、分割装置1の一端部(+Y側端部)に位置する筐体2内に設けられている。
【0011】
カセット載置部20にはカセット21が着脱可能に載置される。カセット21には、複数のワーク付きフレームFWがZ方向に積層されて収容される。ワーク付きフレームFWは、ワークWを上側にしてデバイス形成面を露出させた状態で収納される。カセット載置部20は、カセット21をZ軸方向に昇降させる昇降機構を有し、カセット21をZ方向に移動させることによりカセット21内の1つのワーク付きフレームFWを所定の高さ位置に位置付ける。
【0012】
カセット載置部20の+Y方向側には、ワークWを分割することにより形成されたチップを洗浄する洗浄手段60が配設されている。洗浄手段60には、ワークWを吸引保持して回転可能なスピンナテーブル61と、スピンナテーブル61の外周部において周方向等分箇所に配設された複数のクランプ62とを備えている。複数のクランプ62は、スピンナテーブル61が所定回転数で回転すると、遠心力によってワーク付きフレームFWのフレームFを把持するように作動する。
【0013】
洗浄手段60の上方であってスピンナテーブル61の±X方向側には、Y方向に延在する一対の第1ガイドレール5が配設されている。この一対の第1ガイドレール5は、X方向に互いに接近及び離間可能であり、フレームFが載置された状態で一対の第1ガイドレール5が互いに接近することにより、ワーク付きフレームFWを所定の位置に位置合わせすることができる。
【0014】
洗浄手段60の−X方向側には、中継ステージ80が配設されている。この中継ステージ80は、ワーク付きフレームFWを搬送する際の中継点となるもので、Y方向に延在する一対の第2ガイドレール7を備えている。一対の第2ガイドレール7は、X方向に互いに接近及び離間可能であり、フレームFが載置された状態で一対の第2ガイドレール7が互いに接近することにより、ワーク付きフレームFWを所定の位置に位置合わせすることができる。
【0015】
中継ステージ80の+Y方向側には、粘着テープTを拡張することによりワークWを分割する分割手段30が配設されている。分割手段30は、
図2に示すように、フレームFが載置されるフレーム載置プレート31と、フレーム載置プレート31の上方に位置し開口部320を有するフレーム押さえプレート32と、円筒状の突き上げ部材33と、突き上げ部材33を昇降させる突き上げ部材昇降手段34と、フレーム載置プレート31を昇降させるフレーム載置プレート昇降手段35とを備えている。
【0016】
突き上げ部材昇降手段34は、突き上げ部材33を昇降させるエアシリンダ340を備えている。突き上げ部材33の上端には、突き上げ部材33の径方向に回転可能なコロ部材33aが配設されている。また、フレーム載置プレート昇降手段35は、上端がフレーム載置プレート31の下部に連結されたピストンロッド350と、ピストンロッド350を昇降させるエアシリンダ351とを備えており、エアシリンダ351がピストンロッド350を上昇させると、フレーム載置プレート31とフレーム押さえプレート32との間にフレームFを挟持することができる。なお、分割手段30には、ワークWを冷却する手段を備えてもよい。
【0017】
図1に示すように、中継ステージ80の−Y方向側には、拡張した粘着テープTを加熱する加熱手段40が配設されている。加熱手段40は、
図3に示すように、フレームFが載置されるフレーム載置プレート41と、フレーム載置プレート41の上方に位置するフレーム押さえプレート42と、負圧吸着式の吸着テーブル43と、円筒状の突き上げ部材44と、発熱体45aが環状に配設され昇降可能なヒータ45と、フレーム載置プレート41を昇降させるフレーム載置プレート昇降手段47と、吸着テーブル43及び突き上げ部材44を昇降させる昇降手段48とを備えている。
【0018】
フレーム載置プレート41は、フレームFの内径と同等の径の開口部41aを有している。フレーム載置プレート41には、ワーク付きフレームFWのフレームFが載置される。フレーム載置プレート41の上面の四隅には、X方向に移動することによってフレームFの位置を調整して、ワークWを吸着テーブル43と同心状に位置付けるセンタリングガイド46が設けられている。
【0019】
フレーム押さえプレート42は、フレーム載置プレート41との開口部41aと同径の開口部42aを備えている。フレーム押さえプレート42の四隅には、センタリングガイド46が挿入される長孔42bが形成されている。フレーム押さえプレート42の端部にはピストンロッド42cが連結され、このピストンロッド42cはエアシリンダ42dによって駆動されてY方向に進退可能となっている。
【0020】
ヒータ45は、昇降可能なロッド450と、ロッド450の下部に固定された円板451と、円板451の外周部に固定された環状の発熱体45aとを備えている。
【0021】
フレーム載置プレート昇降手段47は、上端がフレーム載置プレート41の下部に連結されたピストンロッド470と、ピストンロッド470を昇降させるエアシリンダ471とから構成される。
【0022】
図4に示すように、昇降手段48は、吸着テーブル43の下部に連結されたピストンロッド48aと、ピストンロッド48aを昇降させるエアシリンダ48bと、突き上げ部材44を昇降させるエアシリンダ48cとを備えている。また、吸着テーブル43は、吸引路43aを介して吸引源43bに連通しており、吸着テーブル43に負圧を作用させることができる。突き上げ部材44の上端には、突き上げ部材44の径方向に回転可能なコロ部材44aが配設されている。
【0023】
図1に示すように、洗浄手段60の+Y方向側には、粘着テープTに紫外線を照射して硬化させる紫外線照射手段70が配設されている。紫外線照射手段70は、
図5に示すように、ガラス台71と、ガラス台71の下方に配設された複数のUVランプ72とを備えている。
【0024】
図1に示すように、洗浄手段60の+X方向側には、分割手段30がワークWを分割することにより形成された個々のチップを粘着テープTに再接着する再接着手段50が配設されている。再接着手段50は、ワークWを吸引保持するテーブル51を備えている。このテーブル51には、吸引保持したワークWを加熱するためのヒータ52が内蔵されており、ヒータ52の熱によって粘着テープTの粘着層を軟化させ、ワークWの分割により形成されたチップに粘着テープTを再接着することができる。
【0025】
分割装置1には、洗浄手段60と中継ステージ80との間、及び、中継ステージ80と加熱手段40との間でワーク付きフレームFWを搬送する第1搬送手段11が配設されている。第1搬送手段11は、カセット載置部20、加熱手段40、洗浄手段60及び中継ステージ80からなる領域のほぼ中央部に突設された回動軸11aの先端に片持ち状態で支持されて水平方向に回動する回動アーム11bと、回動アーム11bに連結された平面視H形状のプレート部材11cとを有する。プレート部材11cは、吸引によりワーク付きフレームFWを吸引保持する4個の吸着パッド11dを備えている。回動軸11aは、図示しない昇降機構により駆動されてZ方向に移動することが可能となっている。回動アーム11bは、
図6に示すように、その先端から回動アーム11bの延長方向に延びる回転軸11eを備え、回転軸11eの先端部にプレート部材11cが取り付けられている。
【0026】
上記のように構成された第1搬送手段11は、回動軸11aを軸として回動アーム11bを水平方向に旋回させることにより、プレート部材11cが保持したワーク付きフレームFWを水平移動させることができ、回動アーム11bとともにプレート部材11cをZ方向に移動させることにより、プレート部材11cが保持したワーク付きフレームFWをZ方向に移動させることができ、回転軸11eを中心としてプレート部材11cを軸回転させることにより、プレート部材11cが保持したワーク付きフレームFWの表裏を反転させることができる。
【0027】
図1に示すように、洗浄手段60及び再接着手段50の上方には、第1搬送手段11と再接着手段50との間でワーク付きフレームFWを搬送する第2搬送手段12が配設されている。第2搬送手段12は、Z方向に移動可能な昇降アーム121と、昇降アーム121をX方向に移動させる移動手段122とを有する。昇降アーム121の下端には、平面視H形状のプレート部材12cが固定されている。プレート部材12cは吸引によりワーク付きフレームFWを吸着保持する4個の吸着パッド12dを備えている。
【0028】
移動手段122は、移動部材123と、移動部材123をX方向に移動させる移動機構124とを備える。移動機構124は、筐体2の前面(−Y方向側の側面)2aに設けられている。移動機構124は、筐体2の前面2aに沿ってX方向に延びるボールネジ124aと、ボールネジ124aの一端に連結されたパルスモータ124bと、ボールネジ124aと平行に上下に設けられた一対のガイド124cとを有する。ガイド124cは筐体2の前面2aに固定されている。
【0029】
移動部材123はナットを内蔵しており、このナットが移動機構124のボールネジ124aに螺合している。パルスモータ124bを駆動するとボールネジ124aが回転し、移動部材123がガイド124cに沿ってX軸方向に移動する。
【0030】
上記のように構成された第2搬送手段12は、昇降アーム121をZ方向に移動させることにより、プレート部材12cで保持したワーク付きフレームFWをZ方向に移動させることができ、移動部材123とともに昇降アーム121をX方向に移動させることにより、プレート部材12cで保持したワーク付きフレームFWをX方向に移動させることができる。
【0031】
洗浄手段60の上方には、カセット載置部20に載置されたカセット21からのワーク付きフレームFWの搬出及びカセット21へのワーク付きフレームFWの搬入を行う第3搬送手段13が配設されている。第3搬送手段13は、ワーク付きフレームFWのフレームFを把持する把持部13aと、把持部13aをY方向に移動させる図示しない移動機構とを有し、把持部13aをY方向に移動させることによりワーク付きフレームFWをY方向に移動させることができる。
【0032】
中継ステージ80の上方には、分割手段30と加熱手段40との間でワーク付きフレームFWを搬送する第4搬送手段14が配設されている。第4搬送手段14は、ワーク付きフレームFWのフレームFを把持する把持部14aと、把持部14aをY方向に移動させる図示しない移動機構とを有し、把持部14aをY方向に移動させることによりワーク付きフレームFWをY方向に移動させることができる。
【0033】
図1に示すカセット21に収容されるワーク付きフレームFWを構成するワークWには、例えばワークWに対して透過性を有する波長のレーザ光線を内部に集光することにより分割予定ラインに沿って改質層が形成されている。このようなワーク付きフレームFWを複数収容したカセット21がカセット載置部20に載置される。
【0034】
カセット載置部20の昇降により所定の高さ位置に位置付けられたワーク付きフレームFWは、第3搬送手段13によってカセット21の内部から+Y方向に引き出され、一対の第1ガイドレール5上に架け渡された状態で載置される。ワーク付きフレームFWが一対の第1ガイドレール5に載置された後、両第1ガイドレール5が互いに近付くことにより、両第1ガイドレール5がフレームFのX方向の両端縁に接触してワーク付きフレームFWが所定の搬送開始位置に位置決めされる。
【0035】
一対の第1ガイドレール5上で搬送開始位置に位置決めされたワーク付きフレームFWは、第1搬送手段11により、中継ステージ80に設けられた一対の第2ガイドレール7上に搬送されて載置される。ワーク付きフレームFWは、第2ガイドレール7上でX方向の位置決めがなされた後、Y方向に移動する第4搬送手段14によって筐体2内の分割手段30に搬送される。
【0036】
分割手段30においては、
図7(a)に示すように、フレームFをフレーム載置プレート31上に載置する。そして、
図7(b)に示すように、フレーム載置プレート31を上昇させることにより、フレーム載置プレート31とフレーム押さえプレート32とでフレームFを挟持する。
【0037】
次に、
図7(c)に示すように、突き上げ部材33を上昇させることにより、フレームFとワークWとをワークWの面に直交する方向に離反させて粘着テープTを拡張し、内部の改質層を起点としてワークWを分割予定ラインに沿って個々のチップCに分割する。
【0038】
ワークWが個々のチップCに分割された後、
図7(d)に示すように、突き上げ部材33を下降させると、粘着テープTのうちワークWの外周とフレームFの内周との間の領域(以下、「中間領域」と記す。)に弛みが生じる。また、この工程を経て形成されたチップCは、
図8に示すように、粘着テープTの拡張により粘着テープTとの間に接着不良が生じ、粘着テープTから浮いたチップCが含まれている。このチップCは、チップCの底面Cb及び底面Cb側の角部が粘着テープTから剥離している。
【0039】
ワークWの分割終了後、ワーク付きフレームFWは、
図1に示す第4搬送手段14によって分割手段30から第2ガイドレール7上に引き出された後、第1搬送手段11によって加熱手段40に搬送される。
【0040】
加熱手段40においては、フレーム載置プレート41にフレームFが載置される。そうすると、フレーム押さえプレート42がY方向に移動してフレーム載置プレート41の上方に進出するとともにフレーム載置プレート41が上昇する。これにより、
図9(a)に示すように、ワーク付きフレームFWのフレームFがフレーム押さえプレート42とフレーム載置プレート41に挟まれて固定される。
【0041】
次に、突き上げ部材44と吸着テーブル43が上昇することによってワークWが粘着テープTとともに所定の拡張位置まで突き上げられる。拡張位置まで突き上げられた粘着テープTは、放射方向に引っ張られる力を受け、ワークWとともに再び拡張させられる。そして、吸着テーブル43を負圧にすると、拡張状態のワークWが粘着テープTを介して吸着テーブル43に吸着保持される。
【0042】
その後、
図9(b)に示すように、突き上げ部材44が下降してワーク付きフレームFWの粘着テープTから離れるとともに、吸着テーブル43の上面がフレームFとほぼ同じ高さ位置になるまで下降する。これにより、粘着テープTの中間領域は弛んだ状態になる。次いで、ヒータ45を下降させて発熱体45aを中間領域の直上に近接させ、発熱体45aを発熱させて粘着テープTを加熱する。この加熱により粘着テープTの中間領域が収縮し、粘着テープTの弛みが除去される。粘着テープTの加熱は、拡張された粘着テープTが吸着テーブル43に吸着保持された状態で行われる。したがって、粘着テープTの吸着テーブル43に保持されている部分、すなわち中間領域の内側のワークWが貼着されている円形部分には収縮が生じない。
【0043】
粘着テープTの弛みが除去されるのに十分な所定加熱時間が経過したら、発熱体45aの発熱を停止し、
図9(c)に示すように、ヒータ45を上昇させて粘着テープTから退避させる。また、吸着テーブル43によるワークWの吸着を停止する。吸着を停止しても、粘着テープTの中間領域のみが収縮しているので、粘着テープTのうち吸着テーブル43に保持されていた拡張部分は、その拡張状態のままで支持される。その後、フレーム載置プレート41が下降し、フレーム押さえプレート42がフレーム載置プレート41の上方から退避する。
【0044】
上記のようにして粘着テープTの中間領域の弛みが除去されたワーク付きフレームFWは、
図1に示す再接着手段50に搬送される。加熱手段40から再接着手段50へのワーク付きフレームFWの搬送は、第1搬送手段11と第2搬送手段12とが順次作動し連携することによりなされる。
【0045】
まず、第1搬送手段11は、加熱手段40の吸着テーブル43に載置されたワーク付きフレームFWをプレート部材11cの吸着パッド11dによって吸着保持する。そして、
図6に示した回転軸11eとともにプレート部材11cを軸回転させることによりワーク付きフレームFWの表裏を反転させる。これにより、粘着テープT側が上方に向いた状態となる。
【0046】
そして、その状態で、回動アーム11bを旋回させることにより、ワーク付きフレームFWを
図1に示した洗浄手段60の上方に移動させる。このとき、ワーク付きフレームFWは、チップCを下に向けた状態で第1搬送手段11に保持されている。
【0047】
次いで、第2搬送手段12は、パルスモータ124bがボールネジ124aを回転させて昇降アーム121を−X方向に移動させることにより、第1搬送手段11が保持しているワーク付きフレームFWの上方にプレート部材12cを位置付けた後、昇降アーム121を下降させるか、又は、回動軸11aを上昇させる。そして、第1搬送手段11により保持されているワーク付きフレームFWのフレームFの下面側を、プレート部材12cの吸着パッド12dによって吸着保持する。
【0048】
次に、第1搬送手段11のプレート部材11cの吸着パッド11dによるワーク付きフレームFWのフレームFの吸着保持が解除される。その後、第2搬送手段12は、昇降アーム121を+X方向に移動させることにより、プレート部材12cで保持したワーク付きフレームFWを再接着手段50のテーブル51の上方に位置付ける。そして、昇降アーム121を下降させることにより、
図10(a)に示すように、再接着手段50のテーブル51にワーク付きフレームFWを載置する。このように、第1搬送手段11及び第2搬送手段12が協働して、加熱手段40と再接着手段50との間でワーク付きフレームFWの搬送を行う1つの搬送手段としての機能を有する。
【0049】
次に、テーブル51上においてワークW及び粘着テープTをヒータ52によって加熱しつつワークWを吸引保持する。これにより、
図10(b)に示すように、分割の際の粘着テープTの拡張により粘着テープTから浮いてしまったチップCに、加温によって柔らかくなった粘着テープTを倣わせて再度接着することができる。
【0050】
なお、テーブル51において粘着テープT側を保持して加熱してもよい。その場合は、第1搬送手段11においてワーク付きフレームFWの表裏を反転しなくてよい。ただし、第1搬送手段11においてワーク付きフレームFWの表裏を反転し、ワークW側を保持してヒータ52によってワークW及び粘着テープTを加熱すると、あたたかい空気が上昇して粘着テープTとチップCの底面Cbとの間に入り込みやすいため、粘着テープTとチップCの底面Cbとの接着性をより確実に高めることができる。
【0051】
再接着手段50による加熱開始から所定時間経過後、ワーク付きフレームFWの加熱を終了する。その後、ワーク付きフレームFWは、第2搬送手段12と第1搬送手段11との連携により、再接着手段50から洗浄手段60へ搬送される。具体的には、第2搬送手段12の昇降アーム121が下降し、テーブル51に保持されていたフレームFを吸着パッド12dが吸着する。そして、テーブル51に作用する吸引力をオフにしてから、昇降アーム121を上昇させ、パルスモータ124bがボールネジ124aを回転させることにより移動部材123を−X方向に移動させる。そして、ワーク付きフレームFWが洗浄手段60のスピンナテーブル61の上方に位置すると、移動部材123の移動を停止する。
【0052】
次に、第1搬送手段11において、回転軸11eとともにプレート部材11cを軸回転させることにより、吸着パッド11dを上方に向けた状態とする。そして、第1搬送手段11の回動アーム11bを旋回させ、吸着パッド12dによって吸着保持されたワーク付きフレームFWの下方にプレート部材11cを移動させる。その後、回動軸11aを上昇させるか、又は、昇降アーム121を下降させることにより、吸着パッド11dをワーク付きフレームFWのフレームFに下方から当接させて吸着する。このとき、粘着テープTが上方に向いた状態となっている。
【0053】
次に、吸着パッド12dによるフレームFの吸着を解除し、回動軸11aを下降させるか、又は、昇降アーム121を上昇させることにより、ワーク付きフレームFWを吸着パッド12dから離反させる。その後、回転軸11eとともにプレート部材11cを軸回転させることにより吸着パッド11dを下方に向け、ワーク付きフレームFWの粘着テープT側を下方に向ける。
【0054】
次いで、回動軸11aを下降させて粘着テープT側をスピンナテーブル61に載置し、ワークWが上方に露出した状態とする。そして、ワークWをスピンナテーブル61において吸引保持するとともに、フレームFをクランプ62によって固定し、ワーク付きフレームFWを保持したスピンナテーブル61が所定の洗浄速度で回転し、回転するワークWに洗浄水が供給されてワークWが水洗される。所定の水洗時間が経過した後に洗浄水の供給は停止するが、スピンナテーブル61の回転は続行され、ワークWから水分が遠心力で吹き飛ばされるとともに乾燥エアが供給され、ワークWが乾燥処理される。所定の乾燥時間が経過したら、スピンナテーブル61の回転および乾燥エアの供給を停止する。
【0055】
ワークWの洗浄及び乾燥を終えた後、ワーク付きフレームFWは、第1搬送手段11によって第1ガイドレール5上に搬送されて位置決めされた後、ワーク付きフレームFWは、第3搬送手段13により第1ガイドレール5上から+Y方向側に押されて、
図5に示した紫外線照射手段70のガラス台71上に載置される。ワーク付きフレームFWがガラス台71上に載置されると、粘着テープTの下面にUVランプ72から紫外線が照射され、粘着テープTを構成する紫外線硬化型樹脂からなる粘着層が硬化する。粘着層を硬化させることにより、チップCを粘着テープTから剥離させやすくなり、後の工程で行われるチップCのピックアップ作業を円滑に進めることが可能となる。
【0056】
紫外線照射により粘着テープTの粘着層が硬化すると、ワーク付きフレームFWは、
図1に示した第3搬送手段13によって把持されて筐体2内から引き出され、第1ガイドレール5上に一旦載置されて所定の位置に位置決めされる。その後、第3搬送手段13がワーク付きフレームFWを把持して−Y方向に移動してカセット21内に収納する。カセット21には、一連の処理が施された複数のワーク付きフレームFWが積層して収容される。
【0057】
すべてのワーク付きフレームFWについて一連の処理が終了した後、カセット21は、図示しないプラズマエッチング装置に搬送される。プラズマエッチング装置では、チップCの側面に残存する改質層をエッチングにより除去する処理が実施されるが、再接着手段50によって、チップCの底面Cbと粘着テープTとが再接着されているため、チップCの底面Cb及び底面側の角部Ccがエッチングされるのを防ぐことができる。
【0058】
以上説明したように、分割装置1は、分割手段30によって粘着テープTを拡張してワークWを個々のチップCに分割した後、加熱手段40により加熱して粘着テープTの弛みを除去し、再接着手段50のテーブル51上でワークW及び粘着テープTを加熱しつつワークWを吸引保持することで、分割の際の粘着テープTの拡張により粘着テープTからチップCが浮いてしまった場合においても、加温によって柔らかくなった粘着テープTをチップCに倣わせて再度接着することができる。したがって、チップCと粘着テープTとが互いに良好に接着された状態で次工程のプラズマエッチングを実施することができ、チップCの底面Cbや角部Ccがエッチングされるという従来の問題を解消して、改質層が除去された高品質のチップCを得ることができる。
【0059】
また、分割装置1内に再接着手段50を備えたことで、ワークWを他の装置に移動させることなく、粘着テープTから浮いたチップCに粘着テープTを効率的に再度接着することができる。
【0060】
更に、ワーク付きフレームFWを反転可能に保持して搬送する第1搬送手段11を備えたことで、加熱手段40において粘着テープT側から加熱したワーク付きフレームFWを反転させチップC側を下にして第2搬送手段12に渡し、再接着手段50のテーブル51上に移載することができる。したがって、チップC側からワークWを吸引保持しつつワークW及び粘着テープTを加熱して、粘着テープTから浮いたチップCと粘着テープTをより効率的に再度接着することができる。
【0061】
また、分割装置1は、カセット21からワーク付きフレームFWを取り出し、ワーク付きフレームFWを分割手段30、加熱手段40、再接着手段50、洗浄手段60及び紫外線照射手段70に順次搬送して、ワークW及び粘着テープTに順次処理を施した後、ワーク付きフレームFWをカセット21に収納するという一連の動作を分割装置1内で全て自動的に行うことができるので、極めて高効率且つ高品質にワークWを分割することができる。
【0062】
なお、本発明の実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。例えば、分割装置1では、第1搬送手段11と第2搬送手段12のうち、第1搬送手段11がワーク付きフレームFWを反転させる機能を有しているが、第1搬送手段11の代わりに第2搬送手段12がこの機能を有してもよい。また、第1搬送手段11と第2搬送手段12の両方にワーク付きフレームFWを反転させる機能を持たせてもよい。
【0063】
また、分割装置1は、洗浄手段60及び紫外線照射手段70を備えているが、これらは必須の構成要素ではない。
【符号の説明】
【0064】
1:分割装置
11:第1搬送手段 11a:回動軸 11b:回動アーム
11c:プレート部材 11d:吸着パッド 11e:回転軸
12:第2搬送手段 121:昇降アーム 122:移動手段 123:移動部材
124:移動機構 124a:ボールネジ 124b:パルスモータ
124c:ガイド 12c:プレート部材 12d:吸着パッド
13:第3搬送手段 13a:把持部 14:第4搬送手段 14a:把持部
2:筐体 2a:筐体の前面 20:カセット載置部 21:カセット
30:分割手段
31:フレーム載置プレート 32:フレーム押さえプレート 33:突き上げ部材
34:突き上げ部材昇降手段 35:フレーム載置プレート昇降手段
40:加熱手段 41フレーム載置プレート 41a:開口部
42:フレーム押さえプレート 42a:開口部 42b:長孔
43:吸着テーブル 43a:吸着部 44:突き上げ部材
45:ヒータ 45a:発熱体 46:センタリングガイド
47:フレーム載置プレート昇降手段 48:昇降手段
50:再接着手段 51:テーブル 52:ヒータ
60:洗浄手段 61:スピンナテーブル 62:クランプ 5:第1ガイドレール
70:紫外線照射手段 71:ガラス台 72:UVランプ
80:中継ステージ 7:第2ガイドレール
FW:ワーク付きフレーム
W:ワーク C:チップ Cb:底面 Cc:角部
T:粘着テープ F:フレーム