特許第6967856号(P6967856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6967856
(24)【登録日】2021年10月28日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】電気電子部品屑の処理方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20211108BHJP
   B29B 17/02 20060101ALI20211108BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20211108BHJP
   B03C 7/00 20060101ALI20211108BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   B09B5/00 C
   B29B17/02
   B29B17/04
   B03C7/00
   B09B3/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-12559(P2017-12559)
(22)【出願日】2017年1月26日
(65)【公開番号】特開2018-118223(P2018-118223A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】青木 勝志
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 英俊
【審査官】 藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−059082(JP,A)
【文献】 特開2006−181520(JP,A)
【文献】 特開2015−123418(JP,A)
【文献】 特開2009−035801(JP,A)
【文献】 特開平07−251154(JP,A)
【文献】 特開平10−057927(JP,A)
【文献】 特開2007−260498(JP,A)
【文献】 特開2004−025128(JP,A)
【文献】 特許第5775752(JP,B2)
【文献】 特開平5−147040(JP,A)
【文献】 特開2004−283778(JP,A)
【文献】 特開2002−346433(JP,A)
【文献】 特表2014−510195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00− 5/00
B03C 3/00−11/00
B09C 1/00− 1/10
B29B17/00−17/04
C08J11/00−11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも平板状の樹脂基板を含む基板屑とプラスチック屑とを含む被処理物を静電選別することにより、金属を含まない樹脂基板を含むプラスチック屑と金属を含む樹脂基板を含む基板屑とを分離し、
前記静電選別の前に、前記被処理物が平板状を有するように、前記被処理物の形状を成形するための破砕処理をすることを特徴とする電気電子部品屑の処理方法。
【請求項2】
前記被処理物が、電気電子部品屑を風力選別して得られる軽量物であることを特徴とする請求項1に記載の電気電子部品屑の処理方法。
【請求項3】
前記静電選別の前に、前記被処理物中に含まれる導体がむき出しの線屑を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気電子部品屑の処理方法。
【請求項4】
前記静電選別により分離された前記基板屑を含む選別物に対し、静電選別を更に繰り返すことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電気電子部品屑の処理方法。
【請求項5】
前記被処理物中のプラスチック屑の含有率が15〜90%であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電気電子部品屑の処理方法。
【請求項6】
前記静電選別に必要な印加電圧、接地電極からのコロナ電極及び静電電極の距離及び角度、接地電極の回転数、デバイダーの角度の少なくともいずれかを調整することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電気電子部品屑の処理方法。
【請求項7】
前記静電選別で分離された基板屑を焼却して、銅製錬炉で処理することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電気電子部品屑の処理方法。
【請求項8】
前記銅製錬炉が自溶炉、転炉、TSL炉を含むことを特徴とする請求項に記載の電気電子部品屑の処理方法。
【請求項9】
前記静電選別の印加電圧を30kV以上40kV未満とすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電気電子部品屑の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子部品屑の処理方法に関し、特に、使用済み電子・電気機器のリサイクル処理に好適な電気電子部品屑の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気電子部品屑のリサイクルが盛んに行われている。電気電子部品屑は、部品屑中のメタル類を回収することを目的とし、電気電子部品を含む製品を焼却して破砕、あるいはそのまま破砕し、選別工程を組み合わせて、メタル類と樹脂(プラスチック)類に分別する。分別されたメタル類は、異なる種類のメタルごとに回収される。
【0003】
電気電子部品屑のリサイクルにおいては、いかに効率良く、高い回収率で所望のメタルを電気電子部品屑から回収するかについて工夫されてきた。特許第5775752号公報(特許文献1)では、家電製品に対して、破砕、篩別、磁力選別、渦電流選別、色彩選別、分離選別などを施すことにより、タングステンなどのメタルを回収することが記載されている。
【0004】
特開2015−123418号公報(特許文献2)では、電気電子部品屑を粉砕し、気流分離を行い、メタル屑類、樹脂屑を特に区別せずに、所定のサイズ以下の粉砕物を自溶炉のような銅製錬炉に投入して処理することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5775752号公報
【特許文献2】特開2015−123418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の処理方法は、電気電子部品屑からメタルを回収することに重きが置かれており、電気電子部品屑中に含まれる樹脂屑の分離についてはあまり関心が払われてこなかった。
【0007】
即ち、樹脂屑の中には、樹脂基板上に銅配線の残っている樹脂屑(以下「基板屑」ともいう)と、樹脂基板上に銅配線のない樹脂屑及び部品の筐体等に由来する樹脂屑(以下、「プラスチック屑」ともいう)があるが、これら基板屑とプラスチック屑は比重等の物理的性質が似ているため選別が困難であった。
【0008】
例えば特許文献1では、樹脂類とメタル類等を含む電気電子部品屑に対し、磁力選別工程、渦電流選別工程及び色彩選別工程の各工程を施して実装基板を回収し、実装基板中のメタルを回収することが記載されているが、樹脂屑の選別は行っていない。
【0009】
特許文献2では、樹脂屑を事前に分離することなく、自溶炉等の銅製錬炉に投入して処理しているが、樹脂屑を銅製錬炉へ投入することによって過剰な熱量が発生する場合がある。これにより銅製錬炉の制御が難しくなり、操業に支障をきたす恐れがある。
【0010】
更に樹脂屑の中には、難燃材であるSbを含む樹脂屑も存在する。そのような樹脂屑が銅製錬炉に多く入ってくると、銅製錬におけるSbの量が増え、所望のメタルを効率的に回収できない場合がある。銅製錬炉内には、メタルの回収に寄与しない樹脂は極力持ち込みたくないとのニーズも出てきている。
【0011】
上記課題を鑑み、本発明は、電気電子部品屑から樹脂屑、特に基板屑とプラスチック屑とを効率的に分離回収でき、メタルの回収に寄与しない樹脂を金属回収処理の系外へ出すことが可能な電気電子部品屑の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討したところ、静電選別することにより、物理的性質が互いに類似する基板屑とプラスチック屑とを効率良く分離回収できることを見いだした。
【0013】
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、少なくとも平板状の樹脂基板を含む基板屑とプラスチック屑とを含む被処理物を静電選別することにより、金属を含まない樹脂基板を含むプラスチック屑と金属を含む樹脂基板を含む基板屑とを分離する電気電子部品屑の処理方法が提供される。
【0014】
本発明に係る電気電子部品屑の処理方法は一実施態様において、被処理物が、電気電子部品屑を風力選別して得られる軽量物である。
【0015】
本発明に係る電気電子部品屑の処理方法は別の一実施態様において、静電選別の前に、被処理物中に含まれる線屑を除去することを含む。
【0016】
本発明に係る電気電子部品屑の処理方法は更に別の一実施態様において、静電選別の前に、被処理物を破砕する。
【0017】
本発明に係る電気電子部品屑の処理方法は更に別の一実施態様において、静電選別により分離された基板屑を含む選別物に対し、静電選別を更に繰り返す。
【0018】
本発明に係る電気電子部品屑の処理方法は更に別の一実施態様において、被処理物中のプラスチック屑の含有率が15〜90%である。
【0019】
本発明に係る電気電子部品屑の処理方法は更に別の一実施態様において、静電選別に必要な印加電圧、接地電極からのコロナ電極及び静電電極の距離及び角度、接地電極の回転数、デバイダーの角度の少なくともいずれかを調整する。
【0020】
本発明に係る電気電子部品屑の処理方法は更に別の一実施態様において、静電選別で分離された基板屑を焼却して、銅製錬炉で処理する。
【0021】
本発明に係る電気電子部品屑の処理方法は更に別の一実施態様において、銅製錬炉が自溶炉、転炉、TSL炉を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電気電子部品屑から樹脂屑、特に基板屑とプラスチック屑とを効率的に分離回収でき、メタルの回収に寄与しない樹脂を金属回収処理の系外へ出すことが可能な電気電子部品屑の処理方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る電気電子部品屑の処理方法に利用可能な静電選別機の概要を示す概略図である。
図2】実施例1における静電選別処理において、プラスチック除去率と印加電圧との関係を図2に示す。
図3】実施例2の処理フローの概要を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態に係る電気電子部品屑の処理方法は、主として電気電子部品屑の中から樹脂屑を主として分離回収するものである。ここで「樹脂屑」は、(1)樹脂基板のうち銅配線等の金属が樹脂に付着した状態にある「基板屑」と、(2)金属を実質的に含まない屑、即ち銅配線等の金属が付着していない樹脂基板と部品の筐体等に由来する樹脂を含む「プラスチック屑」とに分類される。
【0025】
「基板屑」は、銅配線等の金属を有していることから、後述する金属回収工程において処理可能な樹脂屑である。一方「プラスチック屑」の中でも樹脂基板は、上述したようにSb等の難燃材が含まれている場合があるため、金属回収工程への持ち込みを極力回避したい樹脂屑である。
【0026】
しかしながら、これら基板屑及びプラスチック屑は、比重が類似しているため、比重によってこれらを選別することが困難である。磁力選別や渦電流選別等によってもこれらを効率良く分離することは困難である。
【0027】
本実施形態に係る処理方法では、少なくとも基板屑とプラスチック屑とを含む被処理物を静電選別することを含む。これにより、物理的性質が互いに類似する基板屑とプラスチック屑とを効率良く且つ簡単に分離回収できるものである。以下に、本発明の実施の形態に係る処理方法の具体的処理方法について、詳しく説明する
【0028】
(処理対象)
本発明における「電気電子部品屑」とは、廃家電製品・PCや携帯電話等の電子・電気機器を破砕した屑であり、回収された後、適当な大きさには破砕されたものを指す。本発明では、電気電子部品屑とするための破砕は、処理者自身が行ってもよいが、市中で破砕されたものを購入等したものでもよい。
【0029】
破砕方法として、特定の装置には限定されないが、粉砕機のカテゴリーに属する装置は含まれない。また、できる限り、部品の形状を損なわない破砕がのぞましく、例えば、基板表面剥離装置、クロスフローシュレッダ、竪型回転破砕機等が用いられる。パーツセパレータ等の粗粉砕機を用いてもよい。
【0030】
電気電子部品屑は、上記破砕方法によって、線屑、コンデンサ、ヒートシンク、IC、コネクタ等の電気電子部品が、予め単体の形で樹脂基板から分離されていることが望ましい。更に、電気電子部品が分離された樹脂基板は、ある程度の大きさに破砕されていることが望ましい。
【0031】
例えば、電気電子部品屑は、最大直径100mm以下程度に破砕されているものが好ましい。ただし、最大直径が小さすぎると、原料が舞い上がり、コロナ電極、静電電極まで舞い上がり、回収が困難になる場合がある。以下に制限されるものではないが、最大直径0.1mm以上程度の材料を処理対象として用いることが好ましい。
【0032】
(処理フロー)
A.比重選別(風力選別)
まず、電気電子部品屑に対し、前処理として、比重差を利用した選別、或いは風力を利用した選別を行う。比重選別機等を用いて公知の比重選別を行ってもよいが、所定の条件下で風力選別を行うことで、効率良く電気電子部品屑に含まれる樹脂屑を軽量物側に濃縮させるとともに、アルミニウム屑、Niを含む鉄屑やSUS屑等を重量物側へ濃縮させることができる。
【0033】
風力選別工程における風量は、3〜20m/sであることが好ましく、より好ましくは8〜17m/s、更に好ましくは10m/s程度である。本発明者らの実験によれば、上記の風量で風力選別することによって、基板屑を原料(電気電子部品屑)全体の90%以上(重量基準)選別できるとともに、プラスチック屑を原料全体の40%以上(重量基準)軽量物側へ選別することができる。
【0034】
軽量物側には、基板屑及びプラスチック屑の他、絶縁体等で表面が被覆された線屑、導体がむき出しの状態となった線屑、コンデンサ、IC等も一部含まれている。重量物側には、IC、コネクタ等の部品屑、アルミニウム屑、Niを含む鉄屑やSUS屑、線屑、ガラス類等が含まれている。
【0035】
B.静電選別
上記の風力選別工程により得られた軽量物を被処理物とし、この被処理物に対して静電選別を行う。
【0036】
静電選別は、コロナ放電により発生させた静電気を用いて、不導体物と導体物とに分ける選別処理であり、例えば図1に示すような静電選別機を用いて行うことができる。静電選別機において、被処理物中のプラスチック屑は、回転するドラム状の接地電極2と、静電電極4との間に発生する静電界によってその内部に分極が生じ、接地電極2に吸引され、ブラシ5で払い落とされて、接地電極2の下方の不導体物回収部7aで回収される(分離物A)。
【0037】
一方、銅配線等の導体を一部含む基板屑は、接地電極2に対する反発力及び静電電極4による吸引力が働き、接地電極2から離れた導体物回収部7bで回収される(分離物B)。コロナ電極3はプラスチック屑の分極による帯電を促すために用いられる。不導体物回収部7aと導体物回収部7bの間にはデバイダー6が配置されており、基板屑とプラスチック屑が落下する際の軌道に応じてその角度(γ)が変更される。
【0038】
ここで、静電選別に必要な印加電圧は高くするほど、基板屑とプラスチック屑の分離特性が向上するが、高くしすぎると静電電極4からアーク放電が生じ、分離特性が悪化する場合がある。また、接地電極の中心部からのコロナ電極の距離(11)、接地電極の中心部からの静電電極の距離(12)、接地電極の中心部からデバイダーからの水平方向の距離(13)及び垂直方向の距離(14)、接地電極2の中心部を通る水平面から半時計回り方向にみたコロナ電極3の角度(α)、静電電極の角度(β)を調整することにより、基板屑とプラスチック屑の分離特性を向上させることができる。
【0039】
よって、本実施形態では、静電選別に必要な印加電圧、接地電極からのコロナ電極及び静電電極の距離及び角度、接地電極の回転数、デバイダーの角度の少なくともいずれかを調整することが好ましい。
【0040】
本実施形態に係る静電選別では、被処理物のプラスチック屑の形状及び大きさによってそれぞれ分離効率は異なるが、全体に対するプラスチック屑の含有率が、重量基準で15〜90%である被処理物中のプラスチック屑であれば、良好に選別することができる。
【0041】
静電選別対象である被処理物には線屑、特に、導体がむき出しの状態の線屑が含まれる場合がある。この線屑が多く含まれると、静電選別機の印加電圧を上昇させた場合にアーク放電が生じて、基板屑とプラスチック屑の分離効率を悪化させる場合がある。このため、静電選別の前に、被処理物中に含まれる線屑を例えばピッキング等により予め除去することが好ましい。これにより、静電選別機の印加電圧を上昇させ、基板屑等の導体物回収部7bへ回収される屑を接地電極2から遠方に飛ばしやすくなるため、基板屑とプラスチック屑との分離効率が向上する。
【0042】
被処理物には、凹凸の大きな形状、或いは丸みを帯びている形状を有するプラスチック屑が含まれている場合もある。本発明者らの実験によれば、静電選別機の印加電圧を上昇させることにより、平板状であれば、ある程度大きなサイズのプラスチック屑も回収することができるが、例えばL字型、V字型、凹型等の立体型の厚みのあるプラスチック屑が含まれている場合、そのような形状を有するプラスチック屑は、接地電極との接地面積を十分に確保できないため、導体物回収部7b側へ分離される場合もある。
【0043】
そのため、被処理物は、なるべく平板状になるように、静電選別の前に、被処理物の形状を成形するための破砕処理することが好ましい。形状成形のための破砕処理を行うことで、基板屑とプラスチック屑との分離効率が向上する。プラスチック屑のサイズは特に制限されないが、プラスチック屑のサイズを小さくするように破砕処理してもよい。
【0044】
導体物回収部7b側に選別された基板屑を含む選別物に対しては、更にピッキング等により、基板屑を含む選別物中に混在した基板屑や線屑を除去した後、更に上記の静電選別を更に繰り返すことで、プラスチック屑の回収率(以下「プラスチック回収率」ともいう)を向上させることができる。
【0045】
被処理物の中には、線屑、IC等の基板屑に比べて良導体を示す材料も含まれている。図1の静電選別機においては、導体物回収部7bの隣に良導体物回収部(図示せず)を更に設けるなどして、回収部を3つ以上設けることも可能である。
【0046】
C.焼却処理
静電選別で分けられた基板屑は焼却して、銅製錬炉等の溶融炉で処理することが好ましい。特に、銅製錬炉の中でも転炉、リサイクル型炉(TSL)炉、自溶炉等で処理することが好ましい。
【0047】
本発明の実施の形態に係る電気電子部品屑の処理方法によれば、簡単な処理で、電気電子部品屑から樹脂屑、特にプラスチック屑と基板屑を効率的に分離することができる。樹脂屑の中でも、特にプラスチック屑を静電選別により選別し、処理プロセスの系外へ出すことにより、後段の銅製錬炉における銅等の金属回収の効率を向上させることができる。
【実施例】
【0048】
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
【0049】
(実施例1)静電選別条件
風力選別機を用いて風量10m/sで処理して得られた軽量物である、プラスチック含有率の異なる被処理物A〜Dを、図1に示す静電選別機を用いて静電選別を行った。静電選別機には、日本エリーズマグネチックス株式会社製、静電ハイテンションセパレータ、EST1014を用いた。接地電極ドラム寸法(mm):φ255×355W、コロナ電極(mm):φ2×406W、静電電極寸法(mm):62×111×406W、接地電極ドラム回転数:20rpmであった。コロナ電極の角度α=90度、接地電極の中心部からのコロナ電極の距離(11)=50mm、静電電極の角度β=60℃、接地電極の中心部からの静電電極の距離(12)=100mm、デバイダー6の角度γ=90度に調整し、印加電圧を20〜40kVの間で変化させた。測定結果を表1に示し、プラスチック除去率と印加電圧との関係を図2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1中「プラスチック除去率(%)」は、被処理物1〜4に含有されるプラスチック屑の総重量に対し、不導体物回収部側に選別されたプラスチック屑の重量の割合を示す。「プラスチック含有率(%)」は、被処理物1〜4に含まれるプラスチック屑、基板屑の他にコンデンサ、線屑等を含む部品の総重量に対するプラスチック屑の総重量の割合を示す。実施例1によればプラスチック含有率(平均値)17〜80%程度の被処理物1〜4に対し、被処理物1〜4に含まれるプラスチック屑を約1割から約8割程度除去できていることが分かる。
【0052】
また、図2に示すように、被処理物1〜4を用いた場合、印加電圧を30〜35kV程度に設定することによって、プラスチック除去率(プラスチック屑の除去率)を向上できていることがわかる。
【0053】
被処理物4は線屑や導電性の部品屑が他の被処理物1〜3に比べて多く含まれており、印加電圧を40kVへ上げることによりアーク放電が生じたため、印加電圧40kVでの評価はできなかった。被処理物1も線屑が多かったためプラスチック除去率は16〜40%程度であった。被処理物2は最大直径50mm以上のプラスチック屑も多く含まれていたが、その形状が平板状のものが多かったため、プラスチック回収率も被処理物1及び4に比べて高くなった。被処理物3は、全体的に平板状の屑が多く、屑のサイズも平均して10mm程度であり他の被処理物に比べて小さかったため、プラスチック屑の除去率が高かった。
【0054】
(実施例2)静電選別繰り返しによる影響
図3に示す処理フローに沿って、10m/sの風力選別により得られた軽量物である被処理物1〜4に対し静電選別(静電分離)を2回繰り返した。図3の各選別物A、D、E中のプラスチック屑の総重量をそれぞれ測定することにより、実施例1及び実施例2による処理を経た後のプラスチック除去率を評価した。結果を表2に示す。静電選別機及び条件は印加電圧を30kVとした以外は実施例1と同様である。
【0055】
【表2】
【0056】
各被処理物1〜4共に、導体物側に移行した選別物を更に静電分離することにより回収率が増加した。特に、被処理物1及び3が、19〜43%上昇していることが分かる。
【0057】
(実施例3)プラスチック屑の形状の影響
実施例2において2回目の静電選別を行った後に(D)不導体物側の選別物と(E)導体物側の選別物についてプラスチック屑の形状を評価した。静電選別により不導体物側に選別されたプラスチック屑の形状は、凹凸の小さい板状のものが多かった。導体物側に選別されたプラスチック屑の形状は、凹凸が大きい板状、丸みがある棒状、立体形状のものが多かった。プラスチック屑の形状による接地電極への接触面積の差が、プラスチック屑の分離効率に影響を及ぼしていることが分かる。
【0058】
(実施例4)プラスチック屑の大きさの影響
実施例2で得られた図3の(D)不導体物側の選別物と(E)導体物側の選別物について、9.5mm未満、9.5mm以上〜19.0mm未満、19.0mm以上〜31.5mm未満、31.5mm以上〜37.5mm未満、37.5mm以上〜50.0mm未満の試験用篩を用いて篩別して粒度毎の分配率(%)を比較した。結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
表3に示すように、(D)不導体物側の選別物の分配率は粒度によってばらつきが大きく、一定の傾向は見られなかった。プラスチック屑の大きさ自体がプラスチック屑の分離性能に与える影響は小さいものと考えられる。
【0061】
(実施例5)線屑の影響
実施例2で回収した被処理物1〜4の不導体物側選別物(D)に対し、線屑(被覆無し)を0wt%(条件1)、11wt%(条件2)、20wt%(条件3)、30wt%(条件4)とそれぞれ混合した後に静電選別を行い、回収率への影響を評価した。静電選別機の条件は実施例2と同様とし、各条件について3回繰り返した。結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
プラスチック除去率(%)は、線屑含有なし(条件1)で平均84%であったのに対し、線屑含有あり(条件2〜4)では、59〜93%となった。また、線屑の混合割合が大きい程、除去率の標準偏差が大きく、バラツキが大きくなった。
【0064】
(実施例6)コンデンサの影響
実施例5と同様に、実施例2で回収した被処理物1〜4の不導体物側選別物(D)に対し、コンデンサを0wt%(条件1)、11wt%(条件2)、20wt%(条件3)、30wt%(条件4)それぞれ混合した後に静電選別を行い、回収率への影響を評価した。静電選別機の条件は実施例2と同様とし、各条件について3回繰り返した。結果を表5に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
プラスチック除去率(%)は、コンデンサ含有なし(条件1)で平均85%であったのに対し、コンデンサ含有あり(条件2〜4)では、平均79〜84%となった。除去率の標準偏差については、コンデンサは線屑に対して小さいことがわかった。
【0067】
(実施例7)基板屑の影響
実施例5と同様に、実施例2で回収した被処理物1〜4の不導体物側選別物(D)に対し、基板屑を0wt%(条件1)、11wt%(条件2)、20wt%(条件3)、30wt%(条件4)それぞれ混合した後に静電選別を行い、回収率への影響を評価した。静電選別機の条件は実施例2と同様とし、各条件について3回繰り返した。結果を表6に示す。
【0068】
【表6】
【0069】
プラスチック除去率(%)は、基板屑含有なし(条件1)で平均75%であったのに対し、基板屑含有あり(条件2〜4)では、平均76〜78%となった。
図1
図2
図3