特許第6969868号(P6969868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6969868重合体、有機膜組成物、およびパターン形成方法
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  • 特許6969868-重合体、有機膜組成物、およびパターン形成方法 図000041
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6969868
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】重合体、有機膜組成物、およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/10 20060101AFI20211111BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20211111BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   C08G61/10
   G03F7/11 503
   G03F7/11 502
   G03F7/40 521
【請求項の数】10
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-244691(P2016-244691)
(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公開番号】特開2017-110223(P2017-110223A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2019年9月26日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0180372
(32)【優先日】2015年12月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】南 ▲えん▼ 希
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲せい▼ 煥
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲みん▼ 秀
(72)【発明者】
【氏名】朴 惟 廷
(72)【発明者】
【氏名】鄭 スルギ
【審査官】 中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−120194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G61/00−61/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される構造単位を50モル%以上で含む重合体:
【化1】

前記化学式1中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニレン基、または置換もしくは非置換のベンゼン環2個〜4個が縮合されている芳香族環基であり、
およびAは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族環基であって、AおよびAのうちの少なくとも一つは、ヒドロキシ基により置換されており、Aにおけるヒドロキシ基の個数とAにおけるヒドロキシ基の個数との合計は、3個以上であり、
*は、連結点であり、
Lは、下記の化学式Z1〜化学式Zのうちのいずれか一つで表され:
【化2】

前記化学式Z1〜Z中、
aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり
〜Yは、それぞれ独立して、下記グループ2から選択されるいずれか一つの構造であって、下記グループ2から選択される環基の水素原子は置換されていてもよく
*は、連結点である。
【化3】

前記グループ2中、
M、M’およびM’’は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキレン基、O、S、SO、CR、NR、またはカルボニル基であり、ここでR、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであり、
rは、0〜10である整数であり、
sは、3〜10である整数である。
【請求項2】
前記AおよびAは、それぞれ独立して、下記グループ1から選択されるいずれか一つの構造であって、下記グループ1から選択される芳香族環基中の水素原子は置換されていてもよい、請求項1に記載の重合体:
【化4】

前記グループ1中、連結点は特に限定されない。
【請求項3】
前記Aにおけるヒドロキシ基の個数とAにおけるヒドロキシ基の個数との合計は、3個以上6個以下である、請求項1または2に記載の重合体。
【請求項4】
前記化学式1で表される構造単位は、下記の化学式1−1〜1−2のうちのいずれか一つで表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体:
【化5】

前記化学式1−1〜1−2中、
〜Rは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、またはこれらの組み合わせであり、
〜nは、それぞれ独立して、0〜3である整数であり、ただし、nおよびnの合計とn〜nの合計は、それぞれ独立して、3以上であり、
およびZは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルコキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
およびkは、それぞれ独立して、0〜4である整数であり、
*は、連結点であり、
Lは、下記の化学式Z1〜化学式Zのうちのいずれか一つで表され:
【化6】

前記化学式Z1〜Z中、
aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり
〜Yは、それぞれ独立して、下記グループ2から選択されるいずれか一つの構造であって、下記グループ2から選択される環基の水素原子は置換されていてもよく
*は、連結点である。
【化7】

前記グループ2中、
M、M’およびM’’は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキレン基、O、S、SO、CR、NR、またはカルボニル基であり、ここでR、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであり、
rは、0〜10である整数であり、
sは、3〜10である整数である。
【請求項5】
下記の化学式2で表される構造単位をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体:
【化8】

前記化学式2中、
Xは、少なくとも一つのヒドロキシ基で置換された芳香族環基、または少なくとも一つのヒドロキシ基で置換されたヘテロ芳香族環基であり、
*は、連結点であり、
Lは、下記の化学式Z1〜化学式Z4のうちのいずれか一つで表され:
【化9】

前記化学式Z1〜Z4中、
aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり、
cは、1〜5である整数であり、
〜Yは、それぞれ独立して、下記グループ2から選択されるいずれか一つの構造であって、下記グループ2から選択される環基の水素原子は置換されていてもよく
*は、連結点である。
【化10】

前記グループ2中、
M、M’およびM’’は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキレン基、O、S、SO、CR、NR、またはカルボニル基であり、ここでR、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであり、
rは、0〜10である整数であり、
sは、3〜10である整数である。
【請求項6】
前記化学式1中、前記Lは、前記化学式Z1または前記化学式Z2で表される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項7】
重量平均分子量は、500〜200,000である、請求項1〜のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の重合体と、
溶媒と、
を含む有機膜組成物。
【請求項9】
基板上に材料層を形成する段階と、
前記材料層上に請求項に記載の有機膜組成物を塗布する段階と、
前記有機膜組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、
前記ハードマスク層上にシリコン含有薄膜層を形成する段階と、
前記シリコン含有薄膜層上にフォトレジスト層を形成する段階と、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンを用いて前記シリコン含有薄膜層および前記ハードマスク層を選択的に除去し、前記材料層の一部を露出する段階と、
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、
を含むパターン形成方法。
【請求項10】
前記有機膜組成物を塗布する段階を、スピンオンコーティング法により行う、請求項に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な重合体、前記重合体を含む有機膜組成物、そして前記有機膜組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、エレクトロニクスデバイスの小型化および複雑化に伴う高集積設計は、より進歩した素材と関連工程の開発を加速させて、これによって、既存のフォトレジスト技術を利用したリソグラフィ工程も新たなパターニング素材と技術を必要とするようになった。
【0003】
特許文献1では、パターニング工程において、フォトレジストの微細パターンを崩壊現象なしに十分な深さで基板に転写させるために、固い中間膜であるハードマスク層(hard mask layer)と呼ばれる有機膜を形成することが開示されている。
【0004】
ハードマスク層は、選択的エッチング過程を通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たす。したがって、ハードマスク層は多重エッチング処理に耐えられるように、十分な耐熱性および耐エッチング性が必要である。
【0005】
一方、近年、ハードマスク層を化学気相蒸着法の代わりに、スピンオンコーティング(spin−on coating)法により形成することが提案されている。スピンオンコーティング法は、工程が容易であるだけでなく、ギャップフィル(gap−fill)特性または平坦化特性を改善することができる。微細パターンを実現するためには、多重パターンの形成が必須であり、この際、ハードマスク層でパターン間の溝を容易に埋め込むことが必要となる。また、被加工基板に段差がある場合や、パターン密部およびパターン疎部がウエハー上に共に存在する場合、ハードマスク層により下層を平坦化させる必要がある。
【0006】
一般的に、耐熱性および耐エッチング性は、スピンオン特性とはトレードオフの関係にあるため、これらの性質をすべて満足することができる有機膜材料が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第0500453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、耐エッチング性と、ギャップフィル特性および平坦化特性とを同時に満たす有機膜を形成する方法は、まだ不十分である。前述したハードマスク層の特性を同時に満足できる有機膜組成物が要求されている。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ギャップフィル特性および平坦化特性を確保しながら、耐熱性および耐エッチング性も満足することができる重合体を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、前記重合体を含む有機膜組成物を提供することにある。
【0011】
本発明のさらなる他の目的は、前記有機膜組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意検討した結果、以下の構成を有する重合体、前記重合体を含む有機膜組成物、および前記有機膜組成物を用いたパターン形成方法により達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
下記の化学式1で表される構造単位を含む重合体:
【0014】
【化1】
【0015】
前記化学式1中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニレン基、または置換もしくは非置換のベンゼン環2個〜4個が縮合されている芳香族環基であり、
およびAは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族環基であって、AおよびAのうちの少なくとも一つは水素結合可能基により置換されており、Aにおける水素結合可能基の個数とAにおける水素結合可能基の個数との合計は、3個以上であり、
Lは、2価の有機基であり、
*は、連結点である。
【0016】
前記水素結合可能基は、ヒドロキシ基、アミノ基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0017】
前記AおよびAは、それぞれ独立して、下記グループ1から選択されるいずれか一つの化合物から誘導された芳香族環基が置換もしくは置換されていないものであってもよい。
【0018】
【化2】
【0019】
前記グループ1中、連結点は特に限定されない。
【0020】
前記Lは、下記の化学式Z1〜化学式Z4のうちのいずれか一つで表されてもよい。
【0021】
【化3】
【0022】
前記化学式Z1〜Z4中、
aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり、
cは、1〜5である整数であり、
〜Yは、それぞれ独立して、下記グループ2から選択されたいずれか一つの化合物から誘導された基が置換もしくは非置換されたものであり、
*は、連結点である。
【0023】
【化4】
【0024】
前記グループ2中、
M、M’およびM’’は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキレン基、O、S、SO、CR、NR、またはカルボニル基であり、ここでR、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであり、
rは、0〜10である整数であり、
sは、3〜10である整数である。
【0025】
前記Aにおける水素結合可能基の個数とAにおける水素結合可能基の個数との合計は、3個以上6個以下であってもよい。
【0026】
前記化学式1で表される構造単位は、下記の化学式1−1〜1−2のうちのいずれか一つで表されてもよい。
【0027】
【化5】
【0028】
前記化学式1−1〜1−2中、
〜Rは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、またはこれらの組み合わせであり、
〜nは、それぞれ独立して、0〜3である整数であり、ただし、nおよびnの合計とn〜nの合計は、それぞれ独立して、3以上であり、
およびZは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルコキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
およびkは、それぞれ独立して、0〜4である整数であり、
Lは、2価の有機基であり、
*は、連結点である。
【0029】
前記重合体は、下記の化学式2で表される構造単位をさらに含むことができる。
【0030】
【化6】
【0031】
前記化学式2中、
Xは、少なくとも一つの水素結合可能基で置換された芳香族環、または少なくとも一つの水素結合可能基で置換されたヘテロ芳香族環基であり、
Lは、2価の有機基であり、
*は、連結点である。
【0032】
前記化学式2中の前記水素結合可能基は、ヒドロキシ基、アミノ基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0033】
前記重合体は、重量平均分子量が500〜200,000であってもよい。
【0034】
本発明の他の実施形態によれば、前述した重合体と、溶媒とを含む有機膜組成物を提供する。
【0035】
前記有機膜組成物を塗布する段階は、スピンオンコーティング法により行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、耐エッチング性および耐熱性を有しながら、スピンオンコーティング法に適用可能な新規な重合体を提供できる。また、本発明によれば、前記重合体を含む有機膜組成物を提供できる。また、本発明によれば、前記有機膜組成物を用いたパターン形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】平坦化特性を評価するための計算式1を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な異な形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0039】
本明細書で別途の定義がない限り、「置換」とは、化合物のうちの水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、燐酸基またはその塩、C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C6〜C30アリール基、C7〜C30アリールアルキル基、C1〜C30アルコキシ基、C1〜C20ヘテロアルキル基、C2〜C20ヘテロアリール基、C3〜C20ヘテロアリールアルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C3〜C15シクロアルケニル基、C6〜C15シクロアルキニル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたことを意味する。
【0040】
また、本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、SおよびPから選択されたヘテロ原子を1〜3個含有したものを意味する。
【0041】
また、本明細書で別途の定義がない限り、「*」は、化合物または化合物の部分(moiety)の連結点を示す。
【0042】
また、本明細書において、「芳香族環基」との語は、芳香族環基および芳香族環含有基を包含する。同様にして、「ヘテロ芳香族環基」との語は、環中に少なくとも1個のヘテロ原子を有する芳香族環基、および環中に少なくとも1個のヘテロ原子を有する芳香族環含有基を包含する。
【0043】
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で行う。
【0044】
以下、本発明の一実施形態に係る重合体を説明する。
【0045】
本発明の一実施形態に係る重合体は、下記の化学式1で表される構造単位を含み、
【0046】
【化7】
【0047】
前記化学式1中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニレン基、または置換もしくは非置換のベンゼン環2個〜4個が縮合されている芳香族環基であり、
およびAは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族環基であって、AおよびAのうちの少なくとも一つは、水素結合可能基により置換されており、Aにおける水素結合可能基の個数とAにおける水素結合可能基の個数との合計は、3個以上であり、
Lは、2価の有機基であり、
*は、連結点である。
【0048】
前記重合体は、構造単位内にAr、Ar、AおよびAで表される芳香族環部分と、Lで表されるリンカー部分(例えば、アルキレン基を含むリンカー部分)とを含む。
【0049】
まず、前記重合体は、Ar、Ar、AおよびAで表される芳香族環部分を含むことによって耐エッチング性に優れている。
【0050】
前記化学式1中、ArおよびArは、芳香族環基であり、一例としてArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニレン基であってもよく、他の一例としてArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のベンゼン環2個〜4個が縮合されている芳香族環基であってもよい。
【0051】
例えば、前記ArおよびArを含む構造は、下記の化学式A〜Dのうちのいずれか一つで表されてもよい。
【0052】
【化8】
【0053】
前記化学式A〜Dは、前記化学式1でArおよびArがAおよびAと連結される点を切断して示したものである。前記化学式A〜Dで芳香族環基は、非置換の形態であるが、例えば、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、または置換もしくは非置換のC1〜C30アルコキシ基のような置換基で置換されてもよいことは当然である。また、前記化学式1でArおよびArは、前記化学式B〜Dに含まれている縮合された環以外にも多様な形態の縮合環基で表されてもよい。
【0054】
このように、前記重合体はその構造単位内にフルオレン骨格を含み、これによって前記重合体は耐エッチング性と共に耐熱性を確保することができる。
【0055】
一方、前記化学式1で、AおよびAは、置換もしくは非置換の芳香族環基を示し、これらは、例えば、下記グループ1から選択されるいずれか一つから誘導される基であってもよいが、これに限定されない。
【0056】
【化9】
【0057】
前記グループ1から選択された芳香族環基が前記化学式1の構造単位内で連結される点は特に制限されない。また、前記グループ1から選択された芳香族環基中の水素原子は、置換基により置換されてもよく、ここで置換基の種類および個数は特に制限されない。
【0058】
前記AおよびAのうちの少なくとも一つは、水素結合可能基により置換されており、Aにおける水素結合可能基の個数とAにおける水素結合可能基の個数との合計は、3個以上である。
【0059】
ここで、水素結合可能基とは、他の基と反応して水素結合を形成することができるすべての基を総称し、例えば、ヒドロキシ基、またはアミノ基、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0060】
前記重合体は、その構造単位のうちのAおよびAに3個以上の水素結合可能基を含み、これによって溶媒に対する溶解性を向上させることができる。また、前記重合体を有機膜材料として用いる場合、下部膜との接着性が向上して、優れたギャップフィル特性および平坦化特性を確保することができる。
【0061】
例えば、前記化学式1で、Aにおける水素結合可能基の個数とAにおける水素結合可能基の個数との合計は、3個以上6個以下である範囲内で、Aにおける水素結合可能基およびAにおける水素結合可能基のそれぞれの個数を調節することができる。
【0062】
一方、前記化学式1でLは、2価の有機基を意味し、例えば、下記の化学式Z1〜化学式Z4のうちのいずれか一つで表されてもよいが、これに限定されない。
【0063】
【化10】
【0064】
前記化学式Z1〜Z4中、
aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり、
cは、1〜5である整数であり、
〜Yは、それぞれ独立して、下記グループ2から選択されたいずれか一つの化合物から誘導された基が置換もしくは置換されていないものであり、
*は、連結点である。
【0065】
【化11】
【0066】
前記グループ2中、
M、M’およびM’’は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキレン基、O、S、SO、CR、NR、またはカルボニル基であり、ここでR、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであり、
rは、0〜10である整数であり、
sは、3〜10である整数である。
【0067】
前記グループ2から選択された環基が前記化学式2の構造内で連結される点は特に制限されず、任意の2つの点を連結点とすることができる。また、前記グループ2から選択された環基の水素原子は置換基により置換されてもよく、ここで置換基の種類および個数は特に制限されない。
【0068】
本発明の一実施形態に係るハードマスク組成物に含まれる重合体は、前記のような連結基を含むことによって重合体の柔軟性(flexibility)を増加させることができる。このような柔軟な構造は、重合体の自由体積(free volume)を増加させて溶解度を向上させるだけでなく、ガラス転移温度(Tg)を低くすることによってベーク工程の際にリフロー(reflow)を増加させてギャップフィル性能および平坦化の向上をもたらすことができる。
【0069】
前記重合体は、前記化学式1で表される構造単位を複数含むことができ、前記複数の部分は互いに同じ構造を有してもよく、互いに異なる構造を有してもよい。
【0070】
例えば、前記化学式1で表される構造単位は、下記の化学式1−1〜1−2のうちのいずれか一つで表されてもよいが、これに限定されない。
【0071】
【化12】
【0072】
前記化学式1−1〜1−2中、
〜Rは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、またはこれらの組み合わせであり、
〜nは、それぞれ独立して、0〜3である整数であるが、ただし、nおよびnの合計とn〜nの合計は、それぞれ独立して、3以上であり、
およびZは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルコキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
およびkは、それぞれ独立して、0〜4である整数であり、
Lは、2価の有機基であり、
*は、連結点である。
【0073】
一方、前記重合体は、例えば、下記の化学式2で表される構造単位をさらに含むことができる。
【0074】
【化13】
【0075】
前記化学式2中、
Xは、少なくとも一つの水素結合可能基で置換された芳香族環基、または少なくとも一つの水素結合可能基で置換されたヘテロ芳香族環基であり、
Lは、2価の有機基であり、
*は、連結点である。
【0076】
前記化学式2で、前記水素結合可能基、そしてLで表される2価の有機基に関する説明は前述したとおりである。ここで、芳香族環基は、例えば、前述したグループ1のうちのいずれか一つで表されてもよい。
【0077】
前記化学式2でXは、例えば、2個以上のヒドロキシ基で置換された芳香族環含有基、または2個以上のヒドロキシ基で置換されたヘテロ芳香族環含有基であってもよいが、これに限定されない。
【0078】
同様に、前記重合体は、前記化学式2で表される部分を複数個含むことができ、前記複数個の部分は互いに同じ構造を有してもよく、互いに異なる構造を有してもよい。
【0079】
一方、前記重合体は、例えば500〜200,000、好ましくは1,000〜10,000、さらに好ましくは2,500〜5,000の重量平均分子量を有することができる。前記範囲の重量平均分子量を有することによって前記重合体を含む有機膜組成物(例えば、ハードマスク組成物)の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。また、重量平均分子量は、Waters社製GPC(PLC Pump 1515、RI Detector 2414)装置を用いて測定した。
【0080】
前記重合体を有機膜材料として用いる場合、ベーク工程中にピンホールおよびボイドの形成や厚さのばらつきの劣化なしに、均一な薄膜を形成することができるだけでなく、下部基板(あるいは膜)に段差が存在する場合、あるいはパターンの上にコーティングする場合、優れたギャップフィルおよび平坦化特性を提供することができる。
【0081】
本発明の他の実施形態によれば、前述した重合体と、溶媒とを含む有機膜組成物が提供される。
【0082】
前記溶媒は、前記重合体に対する十分な溶解性または分散性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトンおよび3−エトキシプロピオン酸エチル、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。
【0083】
前記有機膜組成物は、前記重合体を有機膜組成物の造重量に対して0.1〜50重量%で含むことが好ましく、1重量%〜30重量%で含むことがより好ましく、1重量%〜20重量%で含むことが特に好ましい。前記範囲で重合体が含まれることによって有機膜の厚さ、表面粗さおよび平坦化度を調節することができる。
【0084】
前記有機膜組成物は、追加的に界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0085】
前記界面活性剤は、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩などを用いることができるが、これに限定されない。
【0086】
前記架橋剤は、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらのポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を用いることができる。
【0087】
また、前記架橋剤としては、耐熱性の高い架橋剤を用いることができる。耐熱性の高い架橋剤としては、分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を用いることができる。
【0088】
前記熱酸発生剤は、例えば、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物および/または2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステルなどを用いることができるが、これに限定されない。
【0089】
前記添加剤は、前記有機膜組成物100重量部に対して0.001〜75重量部で含まれてもよい。
【0090】
本発明のまた他の実施形態によれば、前述した有機膜組成物を用いて製造された有機膜が提供される。前記有機膜は、前述した有機膜組成物を、例えば、基板上にコーティングした後、熱処理過程を通じて硬化した形態であってもよく、例えば、ハードマスク層、平坦化膜、犠牲膜、充填剤など電子デバイスに使用される有機薄膜を含むことができる。
以下、前述した有機膜組成物を用いてパターンを形成する方法について説明する。
【0091】
本発明の一実施形態に係るパターン形成方法は、基板上に材料層を形成する段階と、前記材料層上に前述した重合体および溶媒を含む有機膜組成物を塗布する段階と、前記有機膜組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、前記ハードマスク層上にシリコン含有薄膜層を形成する段階と、前記シリコン含有薄膜層上にフォトレジスト層を形成する段階と、前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、前記フォトレジストパターンを用いて前記シリコン含有薄膜層および前記ハードマスク層を選択的に除去し、前記材料層の一部を露出する段階と、前記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む。
【0092】
前記基板は、例えば、シリコンウエハー、ガラス基板または高分子基板であってもよい。
【0093】
前記材料層は、最終的にパターンしようとする材料であり、例えばアルミニウム、銅などのような金属層、シリコンのような半導体層または酸化ケイ素、窒化ケイ素などのような絶縁層であってもよい。前記材料層は、例えば、化学気相蒸着法により形成されてもよい。
【0094】
前記有機膜組成物を塗布する段階は、前述したとおりであり、溶液形態で製造されて、スピンオンコーティング法により行ってもよい。この時、前記有機膜組成物の塗布厚さは、特に限定されないが、例えば、50〜10,000Åの厚さに塗布されてもよい。
【0095】
前記有機膜組成物を熱処理する段階は、例えば、100〜500℃で10秒〜1時間行うことができる。
【0096】
前記シリコン含有薄膜層は、例えば、SiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質で形成することができる。
【0097】
また前記フォトレジスト層を形成する段階の前に、前記シリコン含有薄膜層上部に底面反射防止層(bottom anti−reflective coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0098】
前記フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArFレーザー、KrFレーザーまたはEUVなどを用いて行うことができる。また露光後、100〜500℃で熱処理工程を行うことができる。
【0099】
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階は、エッチングガスを用いた乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えば、CHF、CF、Cl、BClまたはこれらの混合ガスを用いることができる。
【0100】
前記エッチングされた材料層は、複数のパターンで形成されてもよく、前記複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様化することができ、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンで適用可能である。
【実施例】
【0101】
以下、実施例を通じて前述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は単に説明の目的のためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0102】
(合成例)
合成例1
フラスコに4,4’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジベンゼン−1,2−ジオール(4,4’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dibenzene−1,2−diol)(38g)、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン(1,4−bis(methoxymethyl)benzene)17g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)82gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.5gを投入し、100℃で攪拌して重合反応を行った。重量平均分子量が2,000〜3,500である時に反応を完了した。重合反応が完了した後、反応物を常温で徐々に冷却させた後、前記反応物を蒸留水40gおよびメタノール400gに投入して強く攪拌して、放置させた。上澄液を除去し、沈殿物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80gに溶かした後、メタノール320g、蒸留水320gを用いて強く攪拌した後、放置させた(1次工程)。この時に得られる上澄液を再び除去し、沈殿物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80gに溶解させた(2次工程)。前記1次および2次工程を1回の精製工程とし、この精製工程を合計3回実施した。精製が終わった重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80gに溶かした後、減圧下で溶液に残っているメタノールおよび蒸溜水を除去して下記の化学式1aで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,500)。
【0103】
【化14】
【0104】
合成例2
6,6’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジナフタレン−1,2−ジオール(6,6’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dinaphthalene−1,2−diol)(48g)、1,3−bis(メトキシメチル)ベンゼン(1,3−bis(methoxymethyl)benzene)17g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)98gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.5gを用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1bで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,500)。
【0105】
【化15】
【0106】
合成例3
ピレン−1,6−ジオール(pyrene−1,6−diol)(23g)、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン(1,4−bis(methoxymethyl)benzene)(34g)、4,4’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジベンゼン−1,2−ジオール(4,4’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dibenzene−1,2−diol)38g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)143gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.7gを用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1cで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,200)。
【0107】
【化16】
【0108】
合成例4
4,4’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジベンゼン−1,2−ジオール(4,4’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dibenzene−1,2−diol)(38g)、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス((4−(メトキシメチル)フェノキシ)ベンゼン)(4,4’−(propane−2,2−diyl)bis((4−(methoxymethyl)phenoxy)benzene))(47g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)128gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.5gを用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1dで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,500)。
【0109】
【化17】
【0110】
合成例5
5,5’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジベンゼン−1,2,3−トリオール(5,5’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dibenzene−1,2,3−triol)(41g)、4,4’−オキシビス((メトキシメチル)ベンゼン)(4,4’−oxybis((methoxymethyl)benzene))(47g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)133gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.5gを用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1eで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,100)。
【0111】
【化18】
【0112】
合成例6
5,5’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジベンゼン−1,2,3−トリオール(5,5’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dibenzene−1,2,3−triol)(41g)、1,6−ビス(4−(メトキシメチル)フェノキシ)ヘキサン(1,6−bis(4−(methoxymethyl)phenoxy)hexane)(36g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)116gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.5gを用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1fで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,200)。
【0113】
【化19】
【0114】
合成例7
5,5’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジベンゼン−1,2,3−トリオール(5,5’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dibenzene−1,2,3−triol)(20g)、1,3−bis(メトキシメチル)ベンゼン(1,3−bis(methoxymethyl)benzene)(17g)、1H−インドール−5−オール(1H−indol−5−ol)(7g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)103gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.5gを用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1gで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,000)。
【0115】
【化20】
【0116】
合成例8
5,5’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジベンゼン−1,2,3−トリオール(5,5’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dibenzene−1,2,3−triol)(20g)、4,4’−オキシビス((メトキシメチル)ベンゼン)(4,4’−oxybis((methoxymethyl)benzene))(26g)、1H−インドール(1H−indol)(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)123gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.5gを用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1hで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,500)。
【0117】
【化21】
【0118】
合成例9
6,6’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジナフタレン−1,2−ジオール(6,6’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dinaphthalene−1,2−diol)(48g)、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(4−hydroxybenzaldehyde)(12g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)141gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.3gを用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1iで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,500)。
【0119】
【化22】
【0120】
合成例10
4,4’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジベンゼン−1,2−ジオール(4,4’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dibenzene−1,2−diol)(38g)、4−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド(4−hydroxy−1−naphthaldehyde)(17g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)129gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.3gを用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1jで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,200)。
【0121】
【化23】
【0122】
合成例11
4,4’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジベンゼン−1,2−ジオール(4,4’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dibenzene−1,2−diol)(19g)、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド(2−hydroxy−1−naphthaldehyde)(17g)、ナフタレン−1−オール(naphthalen−1−ol)(7g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)91gおよびp−トルエンスルホン酸−水和物(0.3g)を用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1kで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,000)。
【0123】
【化24】
【0124】
合成例12
4,4’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジベンゼン−1,2−ジオール(4,4’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dibenzene−1,2−diol)(19g)、4,4’−オキシビス((メトキシメチル)ベンゼン)(4,4’−oxybis((methoxymethyl)benzene))(26g)、ナフタレン−2−オール(naphthalen−2−ol)(7g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)122gおよびジエチルスルフェート(diethylsulfate)0.5gを用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式1lで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,100)。
【0125】
【化25】
【0126】
比較合成例1
ベンゾペリレン(23g)、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン(1,4−bis(methoxymethyl)benzene)17g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)60g、およびジエチルスルフェート(diethylsulfate)(1.23g)を投入した後、100℃で2〜24時間攪拌して重合反応を行った。重量平均分子量が2,000〜3,500である時に反応を完了した。重合反応が完了した後、反応物を常温で徐々に冷却させた後、前記反応物を蒸溜水40gおよびメタノール400gに投入して強く攪拌して、定置させた。上澄液を除去し、沈殿物をシクロヘキサノン(cyclohexanone)80gに溶かした後、メタノール320gを用いて強く攪拌した後、定置させた(1次)。この時に得られる上澄液を再び除去し、沈殿物をシクロヘキサノン80gに溶かした(2次)。合成例1と同様に精製過程を経て化学式Xで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:2,700)。
【0127】
【化26】
【0128】
比較合成例2
6,6’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジナフタレン−2−オール(6,6’−(9H−fluorene−9,9−diyl)dinaphthalen−2−ol)(45g)、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン(1,4−bis(methoxymethyl)benzene)17g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)62g、およびジエチルスルフェート(diethylsulfate)(0.6g)を用いて合成例1と同様な合成過程を経て化学式Yで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,500)。
【0129】
【化27】
【0130】
(ハードマスク組成物の製造)
実施例1
合成例1で得られた重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate、PGMEA)とシクロヘキサノン(cyclohexanone)(7:3(v/v))の混合溶媒に溶かした後、濾過してハードマスク組成物を製造した。目的とする厚さにより前記化合物の含有量は前記ハードマスク組成物の総重量に対して1〜20重量%の含有量の範囲で調節した。
【0131】
実施例2〜12
合成例1で得られた重合体の代わりに、合成例2〜12から得られた重合体をそれぞれ用いたことを除いては、実施例1と同様な方法でハードマスク組成物を製造した。
【0132】
比較例1および2
合成例1で得られた重合体の代わりに、比較合成例1および2で得られた重合体をそれぞれ用いたことを除いては、実施例1と同様な方法でハードマスク組成物を製造した。
【0133】
(ギャップフィル特性の評価)
ホールパターンが形成されたシリコンウエハーの上に実施例1〜12と、比較例1および2によるハードマスク組成物をスピンオンコーティングして薄膜を形成した後、断面をV−SEM装置を用いて観察した。前記ハードマスク組成物内の重合体の含有量はベアウエハー上での薄膜の厚さが2,000Åになるように調節した。
【0134】
その結果は表1に示したとおりである。
【0135】
【表1】
【0136】
表1を参照すると、実施例1〜12によるハードマスク組成物から形成された薄膜は、すべてボイドが発見されず、ギャップフィル特性に優れていることを確認することができた。
【0137】
(平坦化特性の評価)
ホールパターンが形成されたシリコンウエハーの上に実施例1〜5、7、8、11、および12、そして比較例1および2によるハードマスク組成物をスピンオンコーティングして400℃、2分間でベーク工程を経て薄膜を形成した後、断面をV−SEM装備を用いて観察した。前記ハードマスク組成物内の化合物の含有量はベアウエハー上での薄膜の厚さが1,400Åになるように調節した。
【0138】
平坦化特性は、ホールがある部分とホールがない部分のレジスト下層膜の膜厚さの差を測定して観察した。図1に示された計算式1で数値化した。平坦化特性は、パターンがある部分とない部分の膜厚さの差が大きくないほど優れているものであるため、その数値が小さいほど平坦化特性に優れているものである。また、前記計算式1において、h、h、hは、ホールパターンがない部分の膜厚を指す。h、h、hは、ホールパターンがある部分の膜厚を指す。
【0139】
その結果は表2に示したとおりである。
【0140】
【表2】
【0141】
表2を参照すると、前記実施例1〜5、7、8、11および12、そして比較例1および2によるハードマスク組成物から形成された薄膜は、比較例1および2によるハードマスク組成物から形成された薄膜と比較して平坦化程度に優れていることが分かった。
【0142】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
図1