(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
ターゲットを調整するための技法が開示される。ターゲットは、プラズマ状態にある場合に極端紫外(EUV)光を発するターゲット材料を含む。以下でより詳細に論じるように、調整によって、レーザ放射を吸収するためのターゲットの能力を強化することができるため、調整技法を採用するEUV光源の変換効率(CE)を向上させることができる。
【0017】
ターゲットは、第1の部分(「ペデスタル」)及び第2の部分(主パルス又は加熱パルス)を含む放射のパルスを用いて調整される。第1及び第2の部分は時間的に互いに接続される。言い換えれば、第1の部分及び第2の部分は放射の単一パルスの一部であり、第1の部分と第2の部分との間に放射のないギャップ又は領域は存在しない。
【0018】
放射のパルスの第1の部分(すなわち「ペデスタル」)は、ターゲットの吸収特性を修正するためにターゲットと相互作用する。例えばこの相互作用は、ターゲットの密度勾配を減少させること、及び、放射のパルスを受信する表面で放射のパルスと相互作用するターゲットの容積を増加させることによって、吸収特性を修正することが可能であり、これにより、ターゲットが吸収できる放射の量が増加する。このようにして、ターゲットと放射のパルスの第1の部分との間の相互作用がターゲットを調整する。放射のパルスの第2の部分は、ターゲット内のターゲット材料をEUV光を発するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する。第1の部分による調整が、ターゲットが吸収できる放射の量を増加させるため、結果として調整により、ターゲットのより大きな部分をEUV光を発するプラズマに変換することができる。加えて、調整はターゲットの反射性を減少させることが可能であるため、放射のパルスを生成する光源内への逆反射の量を減少させることができる。
【0019】
以下で論じるように、時間的持続期間及びエネルギーなどのペデスタルの特性を制御し、特定のターゲットに適するように変化させることができる。
【0020】
図1を参照すると、光学増幅器システム106が、レーザ生成プラズマ(LPP)極端紫外(EUV)光源100を駆動するために使用される光源105(ドライブ光源又はドライブレーザとも呼ばれる)の少なくとも一部を形成する。光学増幅器システム106は、光源105がターゲットロケーション130に提供される増幅光ビーム110を生成するように、少なくとも1つの光学増幅器を含む。ターゲットロケーション130は、ターゲット材料供給システム115から、スズなどのターゲット材料120を受け取り、増幅光ビーム110とターゲット材料120との間の相互作用が、EUV光又は放射150を発するプラズマを生成する。集光器155はEUV光150を収集し、収集EUV光160としてリソグラフィツールなどの光学装置165に向けて誘導する。
【0021】
増幅光ビーム110は、ビーム送達システム140によってターゲットロケーション130に向けて誘導される。ビーム送達システム140は、光学コンポーネント135と、増幅光ビーム110を焦点領域145内で集束させる焦点アセンブリ142と、を含むことができる。コンポーネント135は、屈折及び/又は反射によって増幅光ビーム110を誘導する、レンズ及び/又はミラーなどの光学素子を含むことができる。コンポーネント135は、コンポーネント135を制御及び/又は移動させる素子を含むこともできる。例えばコンポーネント135は、ビーム送達システム140の光学素子を移動させるように制御可能なアクチュエータを含むことができる。
【0022】
焦点アセンブリ142は、ビーム110の直径が少なくとも焦点領域145内にあるように、増幅光ビーム110を集束させる。言い換えれば、焦点アセンブリ142は、増幅光ビーム110内の放射が焦点領域145に向かって方向112で伝搬する際にこれを収束させる。ターゲットが存在しない場合、増幅光ビーム110の放射は、ビーム110が焦点領域145から離れて方向112で伝搬する際に発散する。
【0023】
以下で考察するように、光源105は、時間的に接続された第1の部分及び第2の部分を有するパルスを生成する。第1の部分は「ペデスタル」と呼ぶことができる。第1の部分は、パルスの第2の部分をより容易に吸収するようにターゲット材料120を調整する。パルスの第2の部分は、EUV光を発するプラズマにターゲット材料を変換するのに十分なエネルギーを有する。
【0024】
加えて、パルスの第1の部分がターゲット材料120と相互作用する前に、増幅光ビーム110を横切る方向にターゲット材料120のサイズを増加させるように、ターゲット材料120の空間的分布を修正することができる。例えば、ターゲット材料120は、第1及び第2の部分の前にターゲット材料120と相互作用する放射の別々のパルス(「プレパルス」)を用いて、液滴からフラットディスクに拡張することができる。増幅光ビーム110との相互作用に先立ってターゲット材料120のサイズを増加させることで、増幅光ビーム110に露光されるターゲット材料120の部分を増加させることが可能であり、これにより(放射のパルスをより効率的に吸収することが可能な増加したターゲット材料の容量、及び、増加した量のEUV光を生成することが可能なより多量のEUV発光容量によって)、所与の量のターゲット材料120に対して生成されるEUV光の量を増加させることができる。
【0025】
図2を参照すると、例示的プロセス200に関するフローチャート200が示されている。プロセス200は、
図1のEUV光源100又は任意の他のEUV光源において増幅光ビーム110として使用可能な放射のパルスを生成することができる。プロセス200は、
図3A〜
図3Cを参照しながら考察する。
【0026】
放射の初期パルスが生成される(210)。放射の修正パルスを形成するために放射の初期パルスのセクションが抽出され、放射の修正部分は第1の部分(「ペデスタル」)及び第2の部分を含む(220)。第1の部分及び第2の部分は、放射のない介在領域なしで時間的に接続される。
【0027】
図3Aも参照すると、プロセス200を実行できる例示的システム301のブロック図が示される。システム301は光源305を含む。光源305又はシステム301は、光源105の代わりにEUV光源内で使用可能である。光源305は、シードレーザ302、ゲートモジュール304、及び光学増幅器306を含む。増幅器306は利得媒質307を含む。光源305、ゲートモジュール304、増幅器306、及び利得媒質307は、ビーム経路309上に位置決めされ、光はその経路に沿って伝搬される。ビーム経路309は、ターゲット材料を含むターゲットを受け取るターゲットロケーション330を横切る。
【0028】
シードレーザ302は、例えば、増幅光ビーム303を生成し、ビーム303をゲートモジュール304に向かってビーム経路309上へと発する、炭酸ガス(CO
2)レーザとすることができる。
図3Bは、ビーム303の例示的パルス形状(エネルギー対時間)を示す。
図3Bに示されるビーム303のパルス形状は例示的なものであり、ビーム303は他のパルス形状を有することができる。再度
図3Aを参照すると、シードレーザ302は、例えばレーザパルスを発するマスタ発振器電力増幅器(MOPA)CO
2レーザとすることができる。いくつかの実装において、シードレーザ302は、例えばネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)レーザなどの、1ミクロン(μm)の波長を有する光を発するレーザとすることができる。ゲートモジュール304は、ビーム303の一部のみを通過させることができるスイッチ又はフィルタとして働く。例えばゲートモジュール304は、303のビームをパルスにカットする電気光学ゲートモジュールを含むことができる。
【0029】
いくつかの実装において、ゲートモジュール304は、経路309上に位置決めされる偏光子304a及び304bを含む。偏光子304a及び304bは、例えば、それらの伝送軸が互いに直交するように配向された場合、ゲートモジュール304から光が出現するのを防ぐ、直線偏光子とすることができる。この例において、偏光子304a及び304bが、互いに及びビーム303の偏光に対して平行なそれらの伝送軸と位置合わせされた場合、光はゲートモジュール304を通過する。したがって、偏光子304a及び304bの相対的な向きを制御することによって、ゲートモジュール304は、ビーム303の特定の部分を抽出するために、ビーム303を選択的に通過させるか又はブロックすることができる。このようにしてゲートモジュール304は、修正パルス315を形成するためにビーム303の一部を抽出する。加えて、ゲートモジュール304が、光を通過させる状態から光をブロックする状態に変化する限られた時間の量によって、修正パルス315の片側又は両側には少量の光の漏れが存在し得る。
【0030】
システム301はコントローラ317も含む。光源305は、リンク312を介してコントローラ317と通信する。コントローラ317は、電子プロセッサ318及び電子ストレージ319を含む。電子ストレージ319は、RAMなどの揮発性メモリであってよい。いくつかの実装において、電子ストレージ319は、不揮発性及び揮発性の両方の部分又はコンポーネントを含み得る。プロセッサ318は、汎用又は特定用途向けのマイクロプロセッサなどのコンピュータプログラムの実行に好適な1つ以上のプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータのうちの任意の1つ以上のプロセッサであってよい。電子プロセッサが、読み取り専用メモリ又はランダムアクセスメモリ或いはその両方から、命令及びデータを受信する。電子プロセッサ318は、任意のタイプの電子プロセッサとすることができ、複数の電子プロセッサとすることができる。
【0031】
電子ストレージ319は、実行された場合、プロセッサ318を光源305及び/又はそのコンポーネントと通信させる恐らくはコンピュータプログラムとして、命令を記憶する。例えば命令は、ゲートモジュール304に光をブロック又は伝送させるために、偏光子304a及び304bを互いに関連して位置決めするようにアクチュエータを駆動する信号を生成する、命令とすることができる。言い換えれば、コントローラ317を、ビーム303の特定部分を抽出させるようにプログラミング又は設定することができる。
【0032】
図3Bも参照すると、シードレーザ302から発せられるビーム303及びゲートモジュール304から発せられる修正パルス315の、例示的な時間的プロファイル(強度対時間)が示されている。修正パルス315はビーム303の一部である。
【0033】
図3Bの例において、ビーム303は、およそガウス分布である時間的プロファイルを伴うレーザ光のパルスである。ビーム303は、修正パルス315を形成するためにゲートモジュール304へと渡される。ゲートモジュール304は、ビーム303の特定部分を選択又は抽出するように制御可能である。
図3Bの例では、時間t=t1で、ゲートモジュール304は光を発するように設定され、時間t=t2で、ゲートモジュール304は光をブロックするように設定される。結果として、修正パルス315は、時間t1からt2の間のビーム303の部分であり、時間t1からt2の間のビーム303の時間的プロファイルにおよそ等しい時間プロファイルを有する。しかしながら、ゲートモジュール304は、限られた時間量の中で光の通過及び/又はブロックを切り替えるため、漏出光311が修正パルス315の立ち上がりエッジ(時間t=t1)に存在する。漏出光311の量は、ゲートモジュール304の切り替え時間によって決定可能である。いくつかの実装において、ゲートモジュール304はビーム303を、パルス持続時間が50〜250ナノ秒(ns)の急勾配(ビーム303のブロックからビーム303の通過へのほぼ即時の遷移)を伴うパルスにカットする。
【0034】
他の例において、ゲートモジュール304はビーム303の異なる部分を抽出することができる。例えばゲートモジュール304は、より長い持続時間を有する修正パルス315を生成するために、より長い時間期間、光を通過させるように活動化することができる。追加又は代替として、ゲートモジュール304は、
図3Bの例で抽出される部分とは異なる時間的強度プロファイルを有するビーム303の部分をキャプチャするために、異なる時間に活動化することができる。ビーム303の特定部分を選択的にキャプチャすることで、修正パルス315のエネルギー又は強度を制御することができる。例えば、ビーム303のエネルギーがピークである間にゲートモジュール304を活動化することで、結果として、ビーム303のエネルギーがより低い間にゲートモジュール304を活動化することから生成される修正パルスよりも、大きなエネルギーを伴う修正パルス315を生じさせる。
【0035】
再度
図3Aを参照すると、修正パルス315は増幅器306に入力され、増幅器306は増幅された修正パルス308を生成する。光学増幅器306は利得媒質307を含み、これがポンピングを介してエネルギーを受け取り、エネルギーを修正パルス315に提供して、修正パルス315を増幅された修正パルス308に増幅する。
【0036】
修正パルス315の増幅量は、増幅器306及び利得媒質307の利得によって決定される。利得は、増幅器306が入力光ビームに提供するエネルギーの増加の量又は係数である。光学増幅器306は「小信号利得」及び「飽和利得」を有し、光学増幅器306上に入射する光ビームが見る利得は光ビームのエネルギーに依存する。相対的に低いエネルギーを有する光ビームの場合、光学増幅器306の利得は線形であり、すなわち利得は、入力信号のエネルギーの変動に関わらず同じである。このレジームにおける利得は「小信号利得」と呼ばれる。しかしながら、十分に大きなエネルギー又は強度の光ビームの場合、増幅器306は飽和状態になり得る。飽和は、増幅器によって出力される光ビームのエネルギーが入力される光ビームに比例して増加しない、非線形挙動の形である。飽和における増幅器306の利得は、「飽和利得」と呼ぶことができる。飽和利得は小信号利得よりも少ない可能性がある。光学増幅器306の小信号利得の係数は、例えば100,000とすることができる。いくつかの実装において、光学増幅器306の小信号利得の係数は、例えば10
4から10
7の範囲とすることができる。
【0037】
前述のように、ゲートモジュール304が修正パルス315を形成する場合、漏出光311は修正パルス315の立ち上がりエッジで存在する。漏出光311は、修正パルス315の他の部分よりも小さいエネルギーを有する。結果として、漏出光311は利得媒質307の小信号利得によって増幅可能であり、修正パルス315の残りの部分は飽和利得によって増幅可能である。したがって、修正パルス315の立ち上がりエッジでの漏出光311は、修正パルス315の残りの部分よりも大きい係数で増幅可能である。
【0038】
図3Cも参照すると、例示的な増幅された修正パルス308に関する時間的プロファイル(時間の関数としてのエネルギー)が示されている。増幅された修正パルス308は、第1の部分308a(「ペデスタル」)及び第2の部分308bを含む。増幅された修正パルス308は単一パルスであり、第1及び第2の部分308a、308bは、放射のない介在ギャップ又は領域なしに互いに時間的に接続される。
【0039】
第1の部分308aは、漏出光311の増幅から形成される。第1の部分308aはペデスタル持続時間313を有する。ペデスタル持続時間313は、修正パルス308の開始(t=t4)から第2の部分308bの始め(t=t4)の間の時間の長さである。第1の部分308aはペデスタルレベル314も有する。ペデスタルレベル314は、持続時間313にわたる第1の部分308aの最大エネルギー又は最大電力である。
図3Cの例は、ペデスタルレベル314が第2の部分308bの始めに直接隣接しているように示しているが、レベル314は持続時間313中のいずれの時点でも発生可能である。第2の部分308bは、ターゲット内のターゲット材料を、EUV光を発するプラズマに変換するのに十分なピークエネルギー316を有する。
【0040】
図4を参照すると、例示的プロセス400のフローチャートが示されている。プロセス400は、EUV光を生成するために使用可能であり、例えばEUV光源100及びシステム301と共に実行可能である。
【0041】
プロセス400は、時間期間501にわたって例示的ターゲットロケーション530を示す
図5A〜
図5Cを参照しながら考察する。
図5Aは、時間期間501にわたってターゲット材料が放射のパルス508と相互作用する際の、ターゲット材料の幾何分布における変化を示す。
図5Bは、放射のパルス508の時間的プロファイルである。放射のパルス508は、時間的に接続されたペデスタル508a及び第2の部分508bを含む。ターゲット521は修正ターゲット524を形成するためにペデスタル508aと相互作用し、第2の部分508bは、修正ターゲット524内のターゲット材料をEUV光550を発するプラズマに変換するために修正ターゲット524を照射する。
図5Cは、時間期間501中のターゲットロケーション530内での、ペデスタル508a及び第2の部分508bの例示的ビーム幅を示す。示された例において、ペデスタル508aはターゲットロケーション530内で511のビーム幅を有する。
【0042】
再度
図4を参照すると、ターゲット521はターゲットロケーション530に提供される(410)。ターゲットロケーション530は、ターゲット材料の分布と、この例では放射のパルス508である増幅光ビームとを受け取る、空間内の領域である。ターゲットロケーション530は、ターゲットロケーション130(
図1)又はターゲットロケーション330(
図3A)と同様とすることができる。
【0043】
ターゲット521は、イオン化されていないターゲット材料(プラズマでない材料)の幾何分布である。ターゲット521は、例えば液体又は溶融金属のディスク、液体又は溶融金属の液滴、空隙又は大幅なギャップを有さないターゲット材料の連続区分、ミクロ又はナノ粒子のミスト、或いは原子蒸気雲とすることができる。ターゲット521のサイズは、第1の方向「x」に沿った範囲522と、第1の方向に対して垂直の第2の方向「z」の範囲523とによって特徴付けられる。範囲523は、放射のパルス508の伝搬方向512に平行である。
【0044】
いくつかの実装において、ターゲット521は、範囲522が範囲523よりも大きい拡張ターゲットである。例えば範囲522は220マイクロメートル(μm)であり得、範囲523は370ナノメートル(nm)であり得る。別の例において、範囲522は300μmであり得、範囲523は200nmであり得る。範囲522及び523は、これらの例示的値よりも大きい、小さい、又はその間とすることもできる。例えば範囲522は、30μmから500μmの間とすることができる。範囲523は30μmから50nmの間であって、範囲523は、ターゲット521がない場合に範囲の上端(例えば30μm)であり、ターゲット521が伝搬方向512に対して平行な方向に平坦である場合に範囲の下端(例えば50nm)である、値を有することができる。
【0045】
ターゲット521を空間的に拡張することで、生成されるEUV光の量を増加させることができる。第1に、範囲522は範囲523よりも大きいため、拡張されたターゲットは、伝搬方向512に対して垂直の方向に、相対的に大きな区域を放射のパルス508に提示する。これにより、ターゲット521内のより多くのターゲット材料が増幅光ビームに露光される。加えて、拡張されたターゲットは、伝搬方向512に沿って相対的に小さな範囲を有する可能性があるため、放射のパルス508がターゲット内部のより深くまで達し、ターゲット材料のより高い部分をプラズマに変換することができる。
【0046】
第2に、ターゲットの拡張によってターゲット材料が空間的に広げられることにより、第2の部分508bによるプラズマの加熱中、過度に高い材料密度の領域が発生するのを最小限にする。放射によって照射される領域全体にわたってプラズマ密度が高い場合、放射の吸収は、放射を最初に受信する領域の部分に限定することができる。ターゲット材料表面を蒸発及び加熱するプロセスを、第2の部分508bの限られた持続時間中、有意味な量のバルクターゲット材料を利用する(蒸発させる)だけの十分に長い時間維持するためには、この初期の吸収によって生成される熱がバルクターゲット材料から遠すぎる可能性がある。領域が高電子密度を有する場合、光パルスは、光パルスが反射されるほど電子密度が高い「臨界面」に達する前に領域内部にほんのわずか浸透する。光パルスは領域のそれらの部分内に入ることはできず、それらの領域内のターゲット材料からはわずかなEUV光が生成される。高プラズマ密度の領域は、EUV光を発する領域の部分から発せられるEUV光をブロックすることもできる。したがって、領域から発せられるEUV光の総量は、領域に高プラズマ密度の部分がない場合よりも少ない。したがって、拡張ターゲットを使用することで、結果として、第2の部分508bは反射される前により多くのターゲット材料に達することになり得る。これにより、実質的に生成されるEUV光の量を増加させることができる。
【0047】
空間的に拡張されたターゲット521を採用するいくつかの実装において、また
図6A及び
図6Bを参照すると、ターゲットは、プレパルス612をターゲット材料液滴620と相互作用させることによって、ターゲットロケーション530に達する以前に空間的に拡張されたターゲット材料の分布である、事前拡張ターゲット621である。ターゲット材料液滴620は、例えば、ターゲット材料供給システム115(
図1)などのシステムから放出される溶融金属の液滴ストリームの一部である、直径が17〜35μmの溶融金属の液滴とすることができる。液滴620に対する第1のプレパルス612の衝撃力は、液滴620をディスクに近い形状に変形させ、約1〜3マイクロ秒(μs)後にディスク形の溶融金属片に拡張する。
【0048】
プレパルス612は持続時間614を有し、放射のパルス508から遅延時間613だけ時間的に離れ、プレパルス612は放射のパルス508の前に発生する。持続時間614は、フット間持続時間又は半値全幅(FWHM)などの好適な測定基準を使用して測定可能である。持続時間614は、例えば20〜70ns、1ns未満、300ピコ秒(ps)又はそれ以下、100ps又はそれ以下、100〜300ps、或いは10〜100psとすることができる。プレパルス612の波長は、例えば1.06μm又は10.6μmとすることができる。プレパルス612は、例えば3〜60ミリジュール(mJ)のエネルギーを有することができる。プレパルス612は、放射のパルス508を生成する光源と同一の2次光源によって、又は放射のパルス508を生成する光源から離れており、その光源とは異なる光源によって、生成可能である。
【0049】
プレパルスを用いて拡張ターゲットを生成する例は、拡張ターゲットを提供する1つの方法である。しかしながらターゲット521が拡張ターゲットである実装は、他の技法を含むことができる。例えば、ターゲット521は、プレパルスとの相互作用なしで、ターゲット材料供給システム(
図1のシステム115など)からターゲットロケーション530へ落ちる過程で拡張することができる。別の例において、ターゲット521は、ターゲットロケーションに達する以前に形成される事前成形ターゲット又は機械加工ターゲットとすることができる。いくつかの実装において、ターゲット521は拡張ターゲットではない。
【0050】
再度
図4を参照すると、放射のパルス508は、修正ターゲット524を形成するためにターゲット521に向けて誘導される(420)。放射のパルス508は、
図2及び
図3A〜
図3Cに関して上記で論じたプロセス200によって形成可能である。
【0051】
放射のパルス508は、第1の部分508a(「ペデスタル」)と、第1の部分508aの後にターゲットロケーション530に達する第2の部分508bとを含む。放射のパルス508は単一パルスであり、第1の部分508aと第2の部分508bとの間にギャップ又は時間的分離はない。第1の部分508aは、持続時間513及びレベル514を有する。持続時間513は、放射のパルス508の始めから第2の部分508bの始めまでの時間量である。磁束時間は、例えば10〜150nsとすることができる。ペデスタル508aのエネルギーは、持続時間513にわたって変化する可能性がある。レベル514は、ペデスタル508aの最大又は平均エネルギーである。レベル514は、例えば1〜4mJとすることができる。いくつかの例において、レベル514は、第2の部分508bのピーク(最大)エネルギー516のパーセンテージとして表される。例えばレベル514は、第2の部分508bのピークエネルギー516の1〜10%とすることができる。
【0052】
図3Aに関して論じたように、ペデスタルレベル514及び持続時間513は、ゲートモジュール304の選択的な活動化を介してペデスタル508aが生成される時に設定される。ペデスタルの持続時間513及びレベル514に関する最適な値は、ターゲット521の空間的特性に依存する。例えばターゲット521は、約200μmから220μmの間の範囲522、及び約400μmから370nmの間の範囲523を伴う、相対的に厚いターゲットとすることができる。いくつかの実装において、厚いターゲットは350nmよりも大きい範囲523を有し、薄いターゲットは200nmよりも小さい範囲523を有する。相対的に厚いターゲットの場合、ペデスタルレベル514が減少するにつれて生成されるEUV光の量は増加する。こうしたターゲットの場合、ペデスタル508aの持続時間513は、例えば150ns又はそれ以下に設定可能であり、ペデスタルレベル514は、1〜3mJのエネルギーを有するように設定可能である。別の例において、ターゲット521は、範囲522が300μmであり、範囲523が200nmである、相対的に薄いターゲットとすることができる。この例では、ペデスタルレベル514は5mJに設定可能であり、持続時間513は50〜150nmとすることができる。この例では、レベル514は第2の部分508bの最大エネルギーの約1%とすることができる。
【0053】
再度
図4を参照すると、ペデスタル508aは、修正ターゲット524を形成するためにターゲット521と相互作用する(430)。ペデスタル508aは、修正ターゲット524を形成するためにターゲット521に当たる。修正ターゲット524は多くの形を取ることができる。例えば修正ターゲット524は、バルクターゲット材料に空間的に近く、ペデスタル508aが修正ターゲット524内の金属と相互作用する際に形成される、プレプラズマとすることができる。プレプラズマは、入射光の吸収を高めるために使用されるプラズマである。プレプラズマは、いくつかのインスタンスにおいて少量のEUV光を発することができるが、発せられるEUV光は、修正ターゲット524内のターゲット材料をプラズマに変換することによって発せられる波長又は量ではない。いくつかの実装において、修正ターゲット524は、フラグメントの塊又はターゲット材料のミストである。ターゲット521と相互作用するペデスタル508aの力が、ターゲット521のすべて又は一部を分裂させ、フラグメントのミスト又は塊を形成することができる。
【0054】
修正ターゲット524は、ターゲット521とは異なる性質を有する。例えば修正ターゲット524の密度は、ターゲット521のそれとは異なることが可能である。修正ターゲット524のうちの少なくとも一部の密度は、ターゲット521の密度よりも低いことが可能である。追加又は代替として、修正ターゲット524の幾何分布は、ターゲット521のそれとは異なることが可能である。例えば修正ターゲット524は、1つ以上の寸法において、ターゲット521よりも大きいことが可能である。
【0055】
放射のパルス508の第2の部分508bは、EUV光550を生成するために修正ターゲット524と相互作用する(440)。第2の部分508bは、修正ターゲット524内のターゲット材料を、EUV光を発するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する。
【0056】
図7、
図9、及び
図10A〜
図10Dは、ターゲットとペデスタルを含む放射のパルスとを相互作用させた結果生じる例示的な測定されたデータを示し、
図8は、ペデスタルを含む例示的な測定された放射のパルスを示す。
【0057】
図7を参照すると、プロット700は、300μmの直径及び200nmの厚みを有するターゲットに関する、EUVパワーとペデスタルレベルとの間で測定された関係の例を示す。直径は、放射の照射ビームの伝搬方向に対して垂直な方向に沿って測定され、厚みは、伝搬方向に対して平行な方向に沿って測定される。
【0058】
上記で論じたように、最適なペデスタルレベルはターゲットの特徴に依存し得る。
図7に示される例において、ターゲットは200nmの厚みを有し、EUVパワーはペデスタルレベルが変化した時に測定された。生成されたEUVパワーは、放射のパルスの加熱部分のピーク強度の1〜2%の間のペデスタルレベルについて最高であった。放射のパルスの加熱部分は、第2の部分508bなどの、ターゲット材料をプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有するパルスの一部である。
図7に示される例では、最適なペデスタルレベル(最高のEUVを生成したレベル)は約4mJであった。
【0059】
図8を参照すると、プロット800は、ペデスタル804a及び第2の部分804bを含むCO
2レーザパルス804の例示的な測定された波形を示す。ペデスタル804aはターゲット(図示せず)を調整し、
図2に関して考察したプロセス200などのプロセスによって生成可能である。例示的パルス804は、直径350μmから35μmの溶融スズの液滴に拡張されたターゲットについて最適化される。
図7の例に比べて、
図8の例のターゲットはより大きな直径を有する。このターゲットの場合、最適なペデスタルレベルは
図8に示されるようにより大きい。最適なペデスタルレベルは第2の部分804bのピークパワーの3%であり、ペデスタルレベルは10mJであり、持続時間は100nsであった。
【0060】
図9を参照すると、プロット900は、例示的な測定された変換効率(CE)をターゲット直径の関数として示す。ターゲット直径は、放射の照射ビームの伝搬方向に対して垂直な方向に沿った、拡張ターゲットの直径である。図に示されるように、CEは、拡張ターゲットの直径が300μmより大きい時、3.5%より大きいか又は等しい。
【0061】
図10A〜
図10Dを参照すると、主パルスの到達時点に関して、様々な時点での拡張ターゲット1021の例示的な測定されたシャドーグラフが示されている。ターゲット1021は、方向「x」に平行な方向に沿った範囲1022と、方向「z」に平行な範囲1023とを伴う、拡張ターゲットである。範囲1022は方向「z」に対して垂直であり、範囲1022は範囲1023よりも大きい。
【0062】
ターゲット1021は、「z」方向に平行な方向で伝搬する放射のパルス(図示せず)を受信するターゲットロケーション内にある。放射のパルスは、ペデスタルと、ペデスタル後にターゲットロケーションに到達する第2の部分(又は主パルス)とを含む。放射のパルスの第2の部分は、拡張ターゲット内のターゲット材料をEUV光を発するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する。
【0063】
図10Aは、放射のパルスの第2の部分の始めより200ns前の時点での、拡張前ターゲット1021を示す。
図10Bは、第2の部分の始めより0〜50ns前の時点で、ペデスタルがターゲット1021と相互作用している間のターゲット1021を示す。ペデスタルとターゲット1021との間の相互作用が、ターゲット1021の近くに低密度プルーム1005を形成する。ペデスタルは、ターゲット1021に対して2つの修正を行うことができる。第1にペデスタルは、低密度プルーム1005を生成することによって、ターゲット1021の横及び/又は縦の密度プロファイルの均質化を生じさせることができる。これによってターゲット密度を局所的により均一にすることが可能であり、結果として局所的に平滑化されたターゲットを生じさせる。第2に、ペデスタルとターゲット1021との間の相互作用は、放射の入射線(方向「z」)に沿った、より緩やかなプラズマ密度スケール長を形成する。緩やかなプラズマ密度スケール長は、
図10Bのプルーム1005に示されている。拡張ターゲットの相対的に均一な密度プロファイルは、主パルスをより効率的にターゲットに浸透させ、ターゲット材料のより高い部分と相互作用し、ターゲット材料のより高い部分をプラズマに変換することができる。したがって、変換効率(CE)はより高くなり得る。緩やかなプラズマ密度プロファイルは、結果として、より多くのターゲット材料の原子又は粒子を含む、より大きなプラズマ容積を生じさせることができる。これが、より長いプラズマスケール長によるより高い放射吸収、及びより多くのEUV光につながり得る。更に、緩やかなプラズマ密度プロファイルは、結果としてあまり反射しない表面を生じさせ、主パルスを生成した光源内への主パルスの逆反射を減少させることができる。
【0064】
図10Cは、主パルスが衝突し、ターゲット内のターゲット材料がプラズマ及びEUV光に変換されている間の、ターゲット1021を示す。
図10Dは、主パルスが到達した200ns後に残っているポストプルームを示す。
【0065】
図11及び
図12は、ペデスタルを含む放射のパルスを生成することが可能なシステムに関する追加の情報を提供する。
【0066】
図11を参照すると、例示的な光学イメージングシステム1100の上面図が示されている。光学イメージングシステム1100は、EUV光1150をリソグラフィツール1170に提供する、LPP EUV光源1102を含む。光源1102は、
図1の光源100と同様であること、及び/又はそのコンポーネントのうちのいくつか又はすべてを含むことが可能である。
【0067】
システム1100は、ドライブレーザシステム1105などの光源、光学素子1122、プレパルス源1143、集束アセンブリ1142、及び真空チャンバ1140を含む。ドライブレーザシステム1105は、増幅光ビーム1110を生成する。増幅光ビーム1110は、例えば前述の放射のパルス308及び508と同様に、ペデスタル部分及び第2の部分を含む。増幅光ビーム1110は、ターゲット1120内のターゲット材料を、EUV光を発するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する。前述のターゲットのいずれもターゲット1120として使用可能である。
【0068】
プレパルス源1143は、放射のパルス1117を発する。放射のパルスは、プレパルス806(
図8A〜
図8C、
図10)として、或いはプレパルス806及び/又は807(
図9A〜
図9C)として使用可能である。プレパルス源1143は、例えば50kHzの繰り返し率で動作するQスイッチNd:YAGレーザとすることが可能であり、放射のパルス1117は、1.06μmの波長を有するNd:YAGレーザからのパルスとすることができる。プレパルス源1143の繰り返し率は、プレパルス源1143がどれだけの頻度で放射のパルスを生成するかを示す。プレパルス源1143が50kHzの繰り返し率を有する例では、20マイクロ秒(μs)ごとに放射のパルス1117が発せられる。
【0069】
他の光源をプレパルス源1143として使用することができる。例えばプレパルス源1143は、エルビウム添加ファイバ(Er:glass)レーザなどの、Nd:YAG以外の任意の希土類添加固体レーザとすることができる。別の例では、プレパルス源は、10.6μmの波長を有するパルスを生成する炭酸ガスレーザとすることができる。プレパルス源1143は、前述のプレパルスに使用されたエネルギー及び波長を有する光パルスを生成する、任意の他の放射又は光源とすることができる。
【0070】
光学素子1122は、増幅光ビーム1110とプレパルス源1143からの放射のパルス1117を、チャンバ1140に誘導する。光学素子1122は、増幅光ビーム1110及び放射のパルス1117を同様の又は同じ経路に沿って誘導可能な、任意の素子である。
図11に示された例では、光学素子1122は、増幅光ビーム1110を受信し、これをチャンバ1140に向けて反射する、二色性ビームスプリッタである。光学素子1122は、放射のパルス1117を受信し、パルスをチャンバ1140に向けて送信する。二色性ビームスプリッタは、増幅光ビーム1110の波長を反射し、放射のパルス1117の波長を送信する、コーティングを有する。二色性ビームスプリッタは、例えばダイヤモンドで作ることができる。
【0071】
他の実装において、光学素子1122は、アパーチャ(図示せず)を画定するミラーである。この実装において、増幅光ビーム1110はミラー面から反射されてチャンバ1140に向かって誘導され、放射のパルスはアパーチャを通過してチャンバ1140に向かって伝搬される。
【0072】
更に他の実装において、増幅光ビーム1110及びプレパルス1117を、それらの波長に従って異なる角度に分離するために、くさび形光学系(例えばプリズム)を使用することができる。くさび形光学系は、光学素子1122に加えて使用するか、又は光学素子1122として使用することができる。くさび形光学系は、集束アセンブリ1142のすぐ上流(「−z」方向)に位置決めすることができる。
【0073】
加えて、パルス1117は、他の方法でチャンバ1140に送達することができる。例えばパルス1117は、光学素子1122又は他の誘導素子を使用せずに、パルス1117をチャンバ1140及び/又は集束アセンブリ1142へと送達する光ファイバを介して移動することができる。これらの実装において、ファイバは、チャンバ1140の壁に形成された開口部を介して、放射のパルス1117をチャンバ1140の内部へと直接運ぶ。
【0074】
増幅光ビーム1110は、光学素子1122から反射され、集束アセンブリ1142を介して伝搬する。集束アセンブリ1142は、ターゲットロケーション1130と一致するか又はしない場合のある焦点面1146で、増幅光ビーム1110を収束させる。放射のパルス1117は光学素子1122を通過し、集束アセンブリ1142を介してチャンバ1140へと誘導される。増幅光ビーム1110及び放射のパルス1117は、チャンバ1140内で「x」方向に沿って異なるロケーションに誘導され、異なる時点でチャンバ1140に到達する。
【0075】
図11に示される例では、単一のブロックがプレパルス源1143を表している。しかしながら、プレパルス源1143は単一の光源又は複数の光源とすることができる。例えば、2つの別々の光源を使用して複数のプレパルス(
図9A〜
図9Cのプレパルス906及び907など)を生成することができる。2つの別々の光源は、異なる波長及びエネルギーを有する放射のパルスを生成する、異なるタイプの光源とすることができる。例えばプレパルスのうちの一方は10.6μmの波長を有し、CO
2レーザによって生成することが可能であり、他方のプレパルスは1.06μmの波長を有し、希土類添加固体レーザによって生成することが可能である。
【0076】
いくつかの実装において、プレパルス1117及び増幅光ビーム1110は同じ光源によって生成可能である。例えば放射のプレパルス1117は、ドライブレーザシステム1105によって生成可能である。この例では、ドライブレーザシステムは2つのCO
2シードレーザサブシステム及び1つの増幅器を含むことができる。シードレーザサブシステムのうちの一方は、10.26μmの波長を有する増幅光ビームを生成可能であり、他方のシードレーザサブシステムは、10.59μmの波長を有する増幅光ビームを生成可能である。これら2つの波長は、CO
2レーザの異なるラインから生じることが可能である。他の例では、CO
2レーザの他のラインを使用して、2つの増幅光ビームを生成することができる。2つのシードレーザサブシステムからの増幅光ビームは、いずれも同じ電力増幅器チェーン内で増幅された後、チャンバ1140内の異なるロケーションに達するように角度分散される。10.26μmの波長を伴う増幅光ビームをプレパルス1117として使用可能であり、10.59μmの波長を伴う増幅光ビームを増幅光ビーム1110として使用可能である。
図9A〜
図9Cの例などの複数のプレパルスを採用する実装において、3つのシードレーザが使用可能であり、そのうちの1つは、増幅光ビーム1110、第1のプレパルス、及び第2の別のプレパルスの各々を生成するために使用される。
【0077】
増幅光ビーム1110及び放射のプレパルス1117は、すべて同じ光学増幅器内で増幅することができる。例えば、増幅光ビーム1110及びプレパルス1117を増幅するために、3つ又はそれ以上の電力増幅器を使用することができる。
【0078】
図12を参照すると、いくつかの実装において、極端紫外光システム100は、真空チャンバ1200、1つ以上のコントローラ1280、1つ以上の作動システム1281、及びガイドレーザ1282などの、他のコンポーネントを含むシステムの一部である。
【0079】
真空チャンバ1200は単一のユニタリ構造とするか、又は特定のコンポーネントを収容する別々のサブチャンバを用いてセットアップすることができる。真空チャンバ1200は、真空ポンプによって空気又は他のガスが除去され、結果としてチャンバ1200内に低圧環境が生じる、少なくとも部分的に剛性のエンクロージャである。チャンバ1200の壁は、真空使用に好適な任意の好適な金属又は合金で作ることができる(低圧に耐えることができる)。
【0080】
ターゲット材料送達システム115は、ターゲット材料120をターゲットロケーション130に送達する。ターゲットロケーションのターゲット材料120は、液滴、液体ストリーム、固体の粒子又はクラスタ、液滴内に含まれる固体の粒子、又は液体ストリーム内に含まれる固体の粒子の形とすることができる。ターゲット材料120は、例えば水、スズ、リチウム、キセノン、又は、プラズマ状態に変換された場合、EUV領域内に輝線を有する任意の材料を含むことができる。例えば、元素スズは、純粋なスズ(Sn)として、例えばSnBr
4、SnBr
2、SnH
4などのスズ化合物として、例えばスズガリウム合金、スズインジウム合金、スズインジウムガリウム合金、又はこれらの合金の任意の組み合わせなどのスズ合金として、使用することができる。ターゲット材料120は、スズなどの上記元素のうちの1つでコーティングされたワイヤを含むことができる。ターゲット材料120が固体の場合、輪、球体、又は立方体などの任意の好適な形状を有することができる。ターゲット材料120は、ターゲット材料送達システム115によって、チャンバ1200の内部及びターゲットロケーション130に送達することができる。ターゲットロケーション130は照射サイトとも呼ばれ、プラズマを生成するためにターゲット材料120が光学的に増幅光ビーム110と相互作用する場所である。
【0081】
ドライブレーザシステム105は、1つ以上の主パルス、及びいくつかのケースでは1つ以上のプレパルスを提供するための、1つ以上の光学増幅器、レーザ、及び/又はランプを含むことができる。各光学増幅器は、所望の波長を高利得で光学的に増幅することが可能な利得媒質、励振源、及び内部光学系を含む。光学増幅器は、レーザミラー、又はレーザキャビティを形成する他のフィードバックデバイスを有するか、又は有さなくてもよい。したがってドライブレーザシステム105は、たとえレーザキャビティがない場合であっても、レーザ増幅器の利得媒質内の反転分布によって、増幅光ビーム110を生成する。更にドライブレーザシステム105は、十分なフィードバックをドライブレーザシステム105に提供するためのレーザキャビティがある場合、コヒーレントレーザビームである増幅光ビーム110を生成することができる。「増幅光ビーム」という用語は、単に増幅されるが必ずしもコヒーレントレーザ発振ではない、ドライブレーザシステム105からの光、及び、増幅され、コヒーレントレーザ発振でもある、ドライブレーザシステム105からの光のうちの、1つ以上を包含する。
【0082】
ドライブレーザシステム105内の光学増幅器は、CO
2を含む充填ガスを利得媒質として含むことが可能であり、1000より大きいか又は等しい利得で約9100nmから約11000nmの間の、特に約10600nmの波長で光を増幅することが可能である。ドライブレーザシステム105内で使用するのに好適な増幅器及びレーザは、例えばDC又はRF励起状態で、約9300nm又は約10600nmの放射を生成し、例えば10kW又はそれ以上の相対的に高い電力、及び例えば50kHz又はそれ以上の高いパルス繰り返し率で動作する、例えばパルス状の、ガス放電CO
2レーザデバイスなどの、パルスレーザデバイスを含むことができる。ドライブレーザシステム105内の光学増幅器は、より高い電力でドライブレーザシステム105を動作させる場合に使用可能な、水などの冷却システムも含むことができる。
【0083】
集光器155は、増幅光ビーム110が通過して焦点領域145に到達できるようにするための、アパーチャ1240を有する集光ミラー1255とすることができる。集光ミラー1255は、例えば、ターゲットロケーション130又は焦点領域145に第1の焦点を有し、EUV光160が極端紫外光システムから出力され得、光学装置165に入力され得る、中間ロケーション1261(中間焦点とも呼ばれる)に第2の焦点を有する、楕円面ミラーとすることができる。
【0084】
1つ以上のコントローラ1280が、例えば液滴位置検出フィードバックシステム、レーザ制御システム、及びビーム制御システムなどの1つ以上の作動システム又は診断システムと、1つ以上のターゲット又は液滴結像装置に接続される。ターゲット結像装置は、例えばターゲットロケーション130に対する液滴の位置を示す出力を提供し、この出力を液滴位置検出フィードバックシステムに提供し、このシステムは、例えば液滴の位置及び軌跡を計算することが可能であり、これを基に液滴ごと又は平均のいずれかで液滴位置の誤差を算出することが可能である。したがって液滴位置検出フィードバックシステムは、液滴位置誤差をコントローラ1280への入力として提供する。したがってコントローラ1280は、例えばレーザタイミング回路を制御するために使用可能なレーザ制御システムに、並びに/或いは、チャンバ1200内のビーム焦点スポットのロケーション及び/又は焦点パワーを変更するために、ビーム位相システムの増幅光ビームの位置及び成形を制御するためのビーム制御システムに、レーザの位置、方向、及びタイミングの訂正信号を提供することができる。
【0085】
ターゲット材料送達システム115は、コントローラ1280からの信号に応答して、所望のターゲットロケーション130に到達する液滴における誤差を訂正するために、例えば内部送達メカニズムによって放出される際の液滴の放出ポイントを修正するように動作可能な、ターゲット材料送達制御システムを含む。
【0086】
加えて極端紫外光システムは、限定はしないが、パルスエネルギー、波長の関数としてのエネルギー分布、波長の特定帯域内のエネルギー、波長の特定帯域外のエネルギー、並びに、EUV強度及び/又は平均パワーの角度分布を含む、1つ以上のEUV光パラメータを測定する、光源検出器を含むことができる。光源検出器は、コントローラ1280が使用するためのフィードバック信号を生成する。フィードバック信号は、例えば、効果的且つ効率的なEUV光生成のために、正しい場所及び時間に液滴を適切に遮断するために、レーザパルスのタイミング及び焦点などのパラメータにおける誤差を示すことができる。
【0087】
いくつかの実装において、ドライブレーザシステム105は、複数段階の増幅を伴い、例えば100kHz動作が可能な低エネルギー及び高繰り返し率のQスイッチマスタ発振器(MO)によって開始されるシードパルスを有する、マスタ発振器/電力増幅器(MOPA)構成を有する。MOから、例えばRF励起高速軸流のCO
2増幅器を使用して、ビーム経路に沿って移動する増幅光ビーム110を生成するために、レーザパルスを増幅することができる。
【0088】
3つの光学増幅器が使用可能であるが、この実装では、わずか1つの増幅器及び3つより多くの増幅器を使用することも可能である。いくつかの実装において、CO
2増幅器の各々を、内部ミラーによって折り畳まれる10メートル増幅器長さを有するRF励起軸流CO
2レーザキューブとすることができる。
【0089】
照射サイトで、増幅光ビーム110は、ターゲット材料120の組成物に応じてある特性を有するプラズマを作成するために使用される。これらの特性は、プラズマによって生成されるEUV光160の波長、並びにプラズマから放出されるデブリの種類及び量を含むことができる。増幅光ビーム110はターゲット材料120を蒸発させ、蒸発したターゲット材料を、イオンを残して電子が発散される臨界温度(プラズマ状態)まで加熱し、更にイオンは、極端紫外領域内の波長を有する光子を放出し始めるまで加熱される。
【0090】
以上、いくつかの実装について説明してきた。しかしながら、他の実装が下記の特許請求の範囲内にある。
【0091】
ビーム経路309(
図3A)を線形経路として例示したが、任意の形を取ることができる。加えて光源305は、経路309に沿って光を導くために、レンズ及び/又はミラーなどの他のコンポーネントを含むことができる。光学増幅器306(
図3A)は単一段階として示されているが、他の実装では、光学増幅器306は複数の増幅器のチェーンとすることができる。増幅器のチェーンは1つ以上の前置増幅器及び1つ以上の段階の電力増幅器を含むことができる。