(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(微粒子の製造方法)
本発明の微粒子の製造方法は、吐出工程と、微粒子形成工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の微粒子の製造方法は、粒子ハンドリング性、溶出速度、溶出量のばらつき等の特性を向上する点から、粒子の小粒子化、及び粒径の粒度分布が狭い粒子が求められているが、従来の噴霧乾燥法を用いた微粒子の製造方法では、粉砕法と同様に、粒径の粒度分布が狭い粒子を作製できないという問題があるという知見に基づくものである。本発明の微粒子の製造方法を用いることにより、粒子の小粒子化、及び粒径の粒度分布が狭い粒子を効率よく得ることができる。
なお、前記「微粒子」を、「粒子」とも称することがあり、「粉末」とも称することがある。
【0011】
<吐出工程>
前記吐出工程は、液柱共鳴液室内に収容された、生理活性物質を含む液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、前記定在波の腹となる領域に、前記定在波の振幅方向に形成された吐出口から前記液体を吐出する工程である。すなわち、前記吐出工程においては、液柱共鳴法を好適に用いることができる。
【0012】
[液体]
前記液体は、生理活性物質を含み、更に必要に応じて、分散剤、溶剤、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0013】
−生理活性物質−
前記生理活性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬化合物、機能性食品化合物、機能性化粧品化合物などが挙げられる。
前記医薬化合物、前記機能性食品化合物、又は前記機能性化粧品化合物を含む液体を用いて液柱共鳴法により製造される微粒子は、例えば、医薬、食品、化粧品などに好適に用いることができる。
【0014】
−−医薬−−
前記医薬としては、医薬化合物を含み、更に必要に応じて、分散剤、添加剤、その他の成分を含む。
【0015】
前記医薬としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、カプセル剤、坐剤、他の固形の剤形等;鼻内用乃至肺投与用のエアロゾル等;注射用剤、眼内用剤、耳内用剤、経口用剤等の液剤などが挙げられる。
また、前記微粒子においては、例えば、分散剤、添加剤等と混合することにより、機能性を付与した機能性微粒子や医薬組成物として製造することができる。
前記機能性微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、即時放出性微粒子、徐放性微粒子、pH依存放出性微粒子、pH非依存放出性微粒子、腸溶性コーティング微粒子、放出制御コーティング微粒子、ナノ結晶含有微粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記医薬組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、大腸デリバリー製剤、リピッドマイクロスフェア製剤、ドライエマルション製剤、自己乳化型製剤、ドライシロップ、経鼻投与用粉末製剤、経肺投与用粉末製剤、ワックスマトリックス製剤、ハイドロゲル製剤、高分子ミセル製剤、粘膜付着型製剤、胃内浮遊製剤、リポソーム製剤、固体分散体製剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記医薬としては、医薬組成物であってもよいし、原薬であってもよい。
【0016】
−−−医薬化合物−−−
前記医薬に使用される医薬化合物は、前記機能性微粒子や前記医薬組成物の形態を達成するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
具体的には、例えば、固体分散体に適用される水難溶性化合物は、本発明の微粒子の製造方法を用いて微粒子とすることにより、経口投与等した場合でもバイオアベイラビリティを向上することができる。前記水難溶性化合物とは、水/オクタノール分配係数のlogP値が3以上であり、水溶性化合物とは、水/オクタノール分配係数のlogP値が3未満である化合物を意味する。前記水/オクタノール分配係数は、JIS Z 7260−107(2000)フラスコ振とう法に準拠して測定することができる。また、前記医薬化合物には、医薬として有効である限り、塩、水和物等のいずれの形態も包含される。
【0017】
前記水溶性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アバカビル、アセトアミノフェン、アシクロビル、アミロライド、アミトリプチリン、アンチピリン、アトロピン、ブスピロン、カフェイン、カプトプリル、クロロキン、クロルフェニラミン、シクロホスファミド、デシプラミン、ジアゼパム、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジソピラミド、ドキシン、ドキシサイクリン、エナラプリル、エフェドリン、エタンブトール、エチニルエストラジオール、フルオキセチン、イミプラミン、グルコース、ケトロール、ケトプロフェン、ラベタロール、レボドパ、レボフロキサシン、メトプロロール、メトロニダゾール、ミダゾラム、ミノサイクリン、ミソプロストール、メトホルミン、ニフェジピン、フェノバルビタール、プレドニゾロン、プロマジン、プロプラノロール、キニジン、ロシグリタゾン、サリチル酸、テオフィリン、バルプロ酸、ベラパミル、ジドブジン、カルシトニンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記水難溶性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ノルフロキサシン、タモキシフェン、シクロスポリン、グリベンクラミド、トログリタゾン、ニフェジピン、フェナセチン、フェニトイン、ジギトキシン、ニルバジピン、ジアゼパム、クロラムフェニコール、インドメタシン、ニモジピン、ジヒドロエルゴトキシン、コルチゾン、デキサメタゾン、ナプロキセン、ツロブテロール、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、プランルカスト、トラニラスト、ロラチジン、タクロリムス、アンプレナビル、ベクサロテン、カルシトリオール、クロファジミン、ジゴキシン、ドキセルカルシフェロール、ドロナビノール、エトポジド、イソトレチノイン、ロピナビル、リトナビル、プロゲステロン、サキナビル、シロリムス、トレチノイン、バルプロ酸、アムホテリシン、フェノルドパム、メルファラン、パリカルシトール、プロポフォル、ボリコナゾール、ジプラシドン、ドセタキセル、ハロペリドール、ロラゼパム、テニポシド、テストステロン、バルルビシン、ケルセチン、アロプリノールなどが挙げられる。これらの中でも、シクロスポリン、トラニラストが好ましく、シクロスポリンがより好ましい。
【0019】
前記医薬化合物の含有量としては、本発明における微粒子の全量に対して、5質量%以上95質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましい。前記含有量が、5質量%以上95質量%以下であると、医薬組成物としての投与量が適切となり、分散剤の作用による医薬成分の水への再分散が容易になる点から有利である。
【0020】
−−機能性食品化合物−−
前記機能性食品化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ルテイン、ゼアキサンチン、リポ酸、フラボノイド、脂肪酸(例えば、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
−−食品−−
前記食品としては、機能性食品化合物を含み、更に必要に応じて、分散剤、添加剤、その他の成分を含む。
前記食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康食品や栄養補助食品などが挙げられる。
【0022】
−−機能性化粧品化合物−−
前記機能性化粧品化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール類、脂肪アルコール類、及びポリオール類、アルデヒド類、アルカノールアミン類、アルコキシル化アルコール類(例えば、アルコール類、脂肪アルコール類等のポリエチレングリコール誘導体類)、アルコキシル化アミド類、アルコキシル化アミン類、アルコキシル化カルボン酸類、塩を含むアミド類(例えば、セラミド類等)、アミン類、塩及びアルキル置換誘導体類を含むアミノ酸、エステル類、アルキル置換及びアシル誘導体類、ポリアクリル酸類、アクリルアミドコポリマー類、アジピン酸コポリマー水、アミノシリコーン類、生物学的ポリマー類及びその誘導体、ブチレンコポリマー類、炭水化物(例えば、ポリサッカライド類、キトサン、その誘導体類等)、カルボン酸類、カーボマー類、エステル類、エーテル類、及びポリマーエーテル類(例えば、PEG誘導体類、PPG誘導体類等)、グリセリルエステル類及びその誘導体、ハロゲン化合物類、塩を含むヘテロ環化合物類、親水性コロイド類並びに塩及びゴムを含む誘導体類(例えば、セルロース誘導体類、ゼラチン、キサンタンガム、天然ゴム類等)、イミダゾリン類、無機物質(粘土、TiO
2、ZnO等)、ケトン類(例えば、樟脳等)、イセチオネート類、ラノリン及びその誘導体類、有機塩類、塩を含むフェノール類(例えば、パラベン類等)、燐化合物類(例えば、リン酸誘導体類等)、ポリアクリレート類及びアクリレートコポリマー類、タンパク質及び酵素誘導体類(例えば、コラーゲン等)、塩を含む合成ポリマー類、シロキサン類及びシラン類、ソルビタン誘導体類、ステロール類、スルホン酸類及びその誘導体類、ワックス類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
−−化粧品−−
前記化粧品としては、機能性化粧品化合物を含み、更に必要に応じて、分散剤、添加剤、その他の成分を含む。
前記化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スキンケア化粧品、メークアップ化粧品、ヘアケア化粧品、ボディケア化粧品、フレグランス化粧品などが挙げられる。
前記スキンケア化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メーク落とし用クレンジング組成物、洗顔料、乳液、化粧水、美容液、皮膚保湿剤、パック剤、ひげそり用化粧料(例えば、シェーブフォーム、プレシェーブローション、アフターシェーブローション等)などが挙げられる。
前記メークアップ化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ファンデーション、口紅及びマスカラなどが挙げられる。
前記ヘアケア化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、整髪料(例えば、ヘアジェル、ヘアセットローション、ヘアリキッド、ヘアミスト等)などが挙げられる。
前記ボディケア化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボディソープ、日焼け止め化粧料、マッサージクリームなどが挙げられる。
前記フレグランス化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、香水(例えば、パフューム、パルファム等)、オードパルファム(例えば、パフュームコロン等)、オードトワレ(例えば、パフュームドトワレ、パルファンドトワレ等)、オーデコロン(例えば、コロン、フレッシュコロン等)などが挙げられる。
【0024】
−分散剤−
前記分散剤は、前記生理活性物質の分散に好適に用いることができる。
前記分散剤としては、低分子量の分散剤であってもよいし、高分子量の分散剤ポリマーであってもよい。
前記低分子量の分散剤とは、重量平均分子量が15,000未満の化合物を意味し、高分子量の分散剤ポリマーとは、1つ以上のモノマーの間に繰り返しの共有結合を含み、重量平均分子量が15,000以上の化合物を意味する。
【0025】
前記低分子量の分散剤としては、医薬等の生理活性物質として許容されるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂質類、糖類、シクロデキストリン類、アミノ酸類、有機酸類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記脂質類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中鎖又は長鎖のモノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリド、リン脂質、植物油(例えば、大豆油、アボカド油、スクアレン油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ナタネ油、サフラワー油、ヒマワリ油等)、魚油、調味油、水不溶性ビタミン、脂肪酸、及びこれらの混合物を含み、これらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グルコース、マンノース、イドース、ガラクトース、フコース、リボース、キシロース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、ツラノース、ラフィノース、マルトトリオース、アカルボース、又は糖アルコール、グリセリン、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、若しくはポリオール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記シクロデキストリン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、α−シクロデキストリン、又はシクロデキストリン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記アミノ酸類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バリン、リジン、ロイシン、スレオニン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸、メチオニン、アルギニン、グリシン、アラニン、チロシン、プロリン、ヒスチジン、システイン、トリプトファン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記有機酸類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、没食子酸、グルタル酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記分散剤ポリマー類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性セルロース、ポリアルキレングリコール、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、生分解性ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリアミノ酸、ゼラチン、ポリリンゴ酸、ポリジオキサノン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記水溶性セルロース類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶解度向上の点から、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
【0033】
前記ヒドロキシプロピルセルロースとしては、重量平均分子量や置換度及び分子量や置換度に依存すると考えられる粘度が異なる種々の製品が各社から市販されており、いずれも本発明に使用することができる。
【0034】
前記ヒドロキシプロピルセルロースの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15,000以上400,000以下が好ましい。なお、前記重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
前記ヒドロキシプロピルセルロースの2質量%水溶液(20℃)粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2.0mPa・s(センチポイズ、cps)以上4,000mPa・s(センチポイズ、cps)以下が好ましい。
【0035】
前記ヒドロキシプロピルセルロースとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子量15,000以上30,000以下、かつ粘度2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下のHPC−SSL等、分子量30,000以上50,000以下、かつ粘度3.0mPa・s以上5.9mPa・s以下のHPC−SL等、分子量55,000以上70,000以下、かつ粘度6.0mPa・s以上10.0mPa・s以下のHPC−L等、分子量110,000以上150,000以下、かつ粘度150mPa・s以上400mPa・s以下のHPC−M等、分子量250,000以上400,000以下、かつ粘度1,000mPa・s以上4,000mPa・s以下のHPC−H等、(以上、日本曹達株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分子量15,000以上30,000以下、かつ粘度2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下のHPC−SSLが好ましい。
【0036】
前記ポリアルキレングリコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、又はこれらの共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記ポリ(メタ)アクリルアミドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−トリル(メタ)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記ポリ(メタ)アクリル酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のホモポリマー、アクリル酸−メタクリル酸共重合体等のコポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0040】
前記ポリアリルアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアリルアミン、トリアリルアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
前記ポリビニルピロリドンとしては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスドンC−15(ISP TECHNOLOGIES社製)、コリドンVA64、コリドンK−30、コリドンCL−M(以上、KAWARLAL社製)、コリコートIR(BASF社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記ポリビニルアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記ポリ酢酸ビニルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル/イタコン酸コポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記生分解性ポリエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクトン、サクシネート系重合体、ポリヒドロキシアルカノエートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記サクシネート系重合体として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリヒドロキシアルカノエートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリヒドロキシプロピオネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記ポリグリコール酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳酸−グリコール酸コポリマー、グリコール酸−カプロラクトンコポリマー、グリコール酸−炭酸トリメチレンコポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記ポリアミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−α−グルタミン酸、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポリセリン等のアミノ酸単独重合体、又はこれらの共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記ゼラチンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、ゼラチン加水分解物、ゼラチン酵素分散物、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
前記ゼラチン誘導体に利用される天然分散剤ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タンパク質、多糖類、核酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中には、前記天然分散剤ポリマー、又は合成分散剤ポリマーからなる共重合体も含まれる。
前記ゼラチン誘導体とは、ゼラチン分子に疎水性基を共有結合させて誘導体化したゼラチンを意味する。前記疎水性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−ε−カプロラクトン等のポリエステル類;コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン等の脂質;アルキル基、ベンゼン環を含む芳香族基;複素芳香族基等、又はこれらの混合物などが挙げられる。
【0049】
前記タンパク質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コラーゲン、フィブリン、アルブミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デンプン、ペクチンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
前記分散剤の含有量としては、本発明における微粒子の全量に対して、5質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上95質量%以下がより好ましい。前記含有量が、5質量%以上95質量%以下であると、例えば、医薬組成物としての投与量が適切となり、分散剤の作用による医薬成分の水への再分散が容易である点から有利である。
【0051】
−溶剤−
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記水難溶性化合物又はその医薬的に許容される塩を溶解乃至分散可能なものが好ましい。
前記溶剤としては、例えば、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、有機酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸等)、エステル類(例えば、酢酸エチル等)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶解性の面から脂肪族ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、又はこれらの混合溶媒が好ましく、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、又はこれらの混合溶媒がより好ましい。
【0052】
前記溶剤の含有量としては、本発明における微粒子の全量に対して、70質量%以上99.5質量%以下が好ましく、90質量%以上99質量%以下がより好ましい。前記含有量が、70質量%以上99.5質量%以下であると、材料の溶解性及び溶液粘度の点から生産安定性の面で有利である。
【0053】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、従来、医薬に使用できるものが好ましい。
前記その他の成分としては、例えば、水、賦形剤、矯味剤、崩壊剤、流動化剤、吸着剤、滑沢剤、矯臭剤、界面活性剤、香料、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、湿潤剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
前記賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳糖、ショ糖、マンニトール、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール、結晶セルロース、タルク、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
前記矯味剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、L−メントール、白糖、D−ソルビトール、キシリトール、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0056】
前記崩壊剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
前記流動化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、タルクなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記軽質無水ケイ酸としては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アドソリダー101(フロイント産業株式会社製:平均細孔径:21nm)などが挙げられる。
【0058】
前記吸着剤としては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、商品名:カープレックス(成分名:合成シリカ、DSL.ジャパン株式会社の登録商標)、商品名:アエロジル(日本アエロジル株式会社の登録商標)200(成分名:親水性フュームドシリカ)、商品名:サイリシア(成分名:非晶質二酸化ケイ素、富士シリシア化学株式会社の登録商標)、商品名:アルカマック(成分名:合成ヒドロタルサイト、協和化学株式会社の登録商標)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
前記滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、タルクなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記矯臭剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トレハロース、リンゴ酸、マルトース、グルコン酸カリウム、アニス精油、バニラ精油、カルダモン精油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリソルベート80等のポリソルベート;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物;ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0062】
前記香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レモン油、オレンジ油、はっか油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0064】
前記抗酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウム、ビタミンEなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0065】
前記隠蔽剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
前記静電気防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、酸化チタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
前記湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリソルベート80、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、マクロゴール、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0068】
前記その他の成分の含有量としては、本発明における微粒子の全量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上10質量%以下であると、分散剤による再分散性を損なわず、かつ均一性に問題を認めにくい点から有利である。
【0069】
前記液体の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mPa・s以上15.0mPa・s以下が好ましく、0.5mPa・s以上10.0mPa・s以下がより好ましい。なお、前記粘度は、例えば、粘弾性測定装置(装置名:MCRレオメーター、AntonPaar社製)を用いて、25℃、シアレート10s
−1の条件により測定することができる。
【0070】
前記液体の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mN/m以上60mN/m以下が好ましく、20mN/m以上50mN/m以下がより好ましい。なお、前記表面張力は、例えば、ハンディ表面張力計(装置名:PocketDyne、KRUSS社製)を用いて、最大泡圧法により25℃、ライフタイム1,000msの条件により測定できる。
【0071】
前記液体としては、前記生理活性物質が溶解した状態のもの、前記生理活性物質が分散した状態のもの、又は吐出させる条件下で液体の状態のものであれば溶媒を含まなくてもよく、微粒子成分が溶融している状態のものであってもよい。
【0072】
[液体の調製方法]
前記液体の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)前記生理活性物質を、前記分散剤と共に前記溶媒に添加して、0.03mmから10mmの範囲のジルコニアビーズと共に自転公転型撹拌機(株式会社シンキー製)を用いて、100rpm以上5,000rpm以下にて数分から数時間混合撹拌して分散させる方法、(ii)前記生理活性物質を、前記分散剤と共に前記溶媒に添加して、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌して分散させる方法などが挙げられる。
【0073】
<<吐出口>>
前記吐出口は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノズルプレート等に設けられた吐出孔の開口部の出口であり、前記ノズルプレートに複数形成されている。
前記吐出口の開口数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2個以上3,000個以下が好ましい。前記開口数が、2個以上3,000個以下であると、生産性を向上できる。
【0074】
前記吐出口の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上40μm以下が好ましく、6μm以上40μm以下がより好ましい。前記直径が、1μm以上であると、形成される液滴が非常に小さくなることを抑制でき、微粒子を得やすくなり、また、微粒子の構成成分として顔料等の固形粒子が含有された構成の場合でも吐出口において閉塞を頻繁に発生して生産性が低下することを防止できる。また、40μm以下であると、液滴の直径が大きくなることを抑制でき、これを乾燥させて、所望の粒径3μm以上6μm以下を得る場合、溶媒により微粒子組成を非常に希薄な液に希釈する必要がなく、一定量の微粒子を得るために乾燥エネルギーが大量に必要になることを防止できる。
【0075】
前記吐出孔の断面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)吐出孔の接液面(入口)から吐出口(出口)に向かって開口径が小さくなるようなテーパー形状、(2)吐出孔の接液面(入口)から吐出口(出口)に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状、(3)吐出孔の接液面(入口)から吐出口(出口)に向かって一定のノズル角度を持って開口径が狭くなるような形状、(4)前記(1)の形状及び前記(2)の形状の組合せなどが挙げられる。これらの中でも、吐出口において液にかかる圧力が最大となる点から、(3)吐出孔の接液面(入口)から吐出口(出口)に向かって一定のノズル角度を持って開口径が狭くなるような形状が好ましい。
前記(3)の形状におけるノズル角度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60°以上90°以下が好ましい。前記ノズル角度が、60°以上であると、液に圧力がかかりやすく、更に加工もしやすくなる。前記ノズル角度が、90°以下であると、吐出口において圧力がかかるため、液滴吐出を安定化することができる。したがって、前記ノズル角度としては、90°を最大値とすることが好ましい。
【0076】
<<液柱共鳴法>>
本発明の微粒子の製造方法における吐出方法としては、液柱共鳴法を用いるが、その他の方法も用いることができる。
前記その他の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、膜振動法、液振動法、レイリー分裂法、サーマル法などが挙げられる。
前記液柱共鳴法としては、膜振動法及び液振動法と比較して、キャビテーションの発生がなく連続生産性に優れ、また、レイリー分裂法と比較して、吐出性、連続生産性及び生産安定性に優れ、さらに、サーマル法と比較して、加熱しないため適性材料が限定されず、連続生産性に優れる。
【0077】
前記液柱共鳴法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液柱共鳴液室内に収容された、生理活性物質を含む液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、前記定在波の腹となる領域に、前記定在波の振幅方向に形成された吐出口から前記液体を吐出することなどが挙げられる。
前記液柱共鳴法としては、液柱共鳴液滴吐出手段により好適に行うことができる。
【0078】
前記液柱共鳴液滴吐出手段について以下に説明する。
図1は、液柱共鳴液滴吐出手段11の概略断面図である。前記液柱共鳴液滴吐出手段11は、液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を有する。前記液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、前記液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出口19と、吐出口19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有する。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続している。
【0079】
図2は、液柱共鳴液滴吐出ユニットの一例を示す断面図である。液体14は、図示されない液循環ポンプにより液供給管を通って、
図2に示す液柱共鳴液滴形成ユニット10の液共通供給路17内に流入し、
図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11の液柱共鳴液室18に供給される。そして、液体14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出口19から液滴21が吐出される。この液柱共鳴による定在波の腹となる領域は、定在波の節以外の領域であり、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域が好ましく、圧力定在波の振幅が極大になる位置(速度定在波としての節)から極小になる位置に向かって±1/4波長の領域がより好ましい。
【0080】
定在波の腹になる領域であれば、吐出口が複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出口の詰まりも生じ難くなる。なお、液共通供給路17を通過した液体14は図示されない液戻り管を流れて原料収容器に戻される。液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内の液体14の量が減少すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路17から供給される液体14の流量が増加する。そして、液柱共鳴液室18内に液体14が補充される。そして、液柱共鳴液室18内に液体14が補充されると、液共通供給路17を通過する液体14の流量が元に戻る。
【0081】
液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室18は、金属やセラミックス、シリコーンなどの駆動周波数において液体の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されるフレームがそれぞれ接合されて形成されている。また、
図1に示すように、液柱共鳴液室18の長手方向の両端の壁面間の長さLは、後述するような液柱共鳴原理に基づいて決定される。また、
図2に示す液柱共鳴液室18の幅Wは、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、液柱共鳴液室18の長さLの2分の1より小さいことが好ましい。更に、液柱共鳴液室18は、生産性を飛躍的に向上させるために1つの液滴形成ユニット10に対して複数配置されていることが好ましい。液柱共鳴液室18の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、操作性と生産性との両立の点から、100個以上2,000個以下が好ましい。また、液柱共鳴液室毎に、液供給のための流路が液共通供給路17から連通接続されており、液共通供給路17には複数の液柱共鳴液室18と連通している。
【0082】
また、液柱共鳴液滴吐出手段11における振動発生手段20は、所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はないが、圧電体を、弾性板9に貼りあわせた形態が好ましい。前記周波数としては、生産性の点から、150kHz以上が好ましく、300kHz以上500kHz以下がより好ましい。前記弾性板は、圧電体が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を構成している。前記圧電体は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスなどが挙げられ、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電ポリマーや、水晶、LiNbO
3、LiTaO
3、KNbO
3等の単結晶などが挙げられる。更に、振動発生手段20は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されていることが好ましい。また、上記の1つの材質のブロック状の振動部材を液柱共鳴液室の配置にあわせて、一部切断し、弾性板を介してそれぞれの液柱共鳴液室を個別制御できるような構成が好ましい。
【0083】
図2から分かるように、吐出口19の開口を多数設けることができ、生産効率が高くなる点から、吐出口19を液柱共鳴液室18内の幅方向に設ける構成を採用することが好ましい。また、吐出口19の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は液滴の吐出を確認して適宜決定することが好ましい。
【0084】
図3A〜
図3Dは、吐出孔の構造の一例を示す概略図である。
図3A〜
図3Dに示すように、吐出孔の断面形状は吐出孔の接液面(入口)から吐出口(出口)に向かって開口径が小さくなるようなテーパー形状として記載されているが、適宜断面形状を選択することができる。
【0085】
図3Aは、吐出孔の接液面から吐出口19に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有しており、吐出口において液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
図3Bは、吐出孔の接液面から吐出口19に向かって一定の角度を持って開口径が狭くなるような形状を有しており、このノズル角度24は、適宜変更することができる。
図3Aの形状と同様に、このノズル角度によって吐出口付近において液にかかる圧力を高めることができる。前記ノズル角度24としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60°以上90°以下が好ましい。前記ノズル角度が、60°以上であると、液に圧力がかかりやすく、更に加工もしやすくなる。前記ノズル角度24が、90°以下であると、吐出孔の出口付近で圧力がかかるため、液滴吐出を安定化することができる。したがって、前記ノズル角度24としては、90°(
図3Cに相当する)を最大値とすることが好ましい。
図3Dは、
図3Aと
図3Bとを組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更してもよい。
【0086】
次に、液柱共鳴における液滴形成ユニットによる液滴形成のメカニズムについて説明する。
先ず、
図1の液柱共鳴液滴吐出手段11内の液柱共鳴液室18において生じる液柱共鳴現象の原理について説明する。
液柱共鳴液室内の液体の音速をcとし、振動発生手段20から媒質である液体に与えられた駆動周波数をfとした場合、液体の共鳴が発生する波長λは、下記式1で表される。
λ=c/f ・・・(式1)
【0087】
また、
図1の液柱共鳴液室18において固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さをLとする。そして、液共通供給路17側のフレームの端部の高さh1(約80μm)は連通口の高さh2(約40μm)の約2倍あり、当該端部が閉じている固定端と等価であるとする。このような両側固定端の場合には、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、下記式2で表される。
L=(N/4)λ ・・・(式2)
ただし、前記式2中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、Nは、偶数を表し、λは、液体の共鳴が発生する波長を表す。
【0088】
更に、両端が完全に開いている両側開放端の場合にも前記式2が成り立つ。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、前記式2のNが奇数で表現される。
最も効率の高い駆動周波数fは、前記式1及び前記式2より、下記式3が導かれる。
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
ただし、前記式3中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、cは、液体の音波の速度を表し、Nは、自然数を表す。
しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式4、式5に示すように、前記式3に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
【0089】
図4Aは、N=1、片側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図4Bは、N=2、両側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図4Cは、N=2、両側開放端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図4Dは、N=3、片側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。また、
図5Aは、N=4、両側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図5Bは、N=4、両側開放端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図5Cは、N=5、片側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図4及び
図5において、実線は速度分布を表し、破線は圧力分布を表す。本来は、疎密波(縦波)であるが、
図4A〜
図4D及び
図5A〜
図5Cのように、表記することが一般的である。実線が速度定在波、点線が圧力定在波である。例えば、N=1の片側固定端の場合を示す
図4Aから分かるように、速度分布の場合閉口端において速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で振幅が最大となり、直感的にわかりやすい。液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、液体が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。後述するが、吐出口の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。
【0090】
なお、音響学において、開口端とは、媒質の移動速度が極大となり、逆に圧力はゼロとなる端を意味し、閉口端とは、長手方向の媒質(液)の移動速度がゼロとなり、逆に圧力は極大となる端を意味する。閉口端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口、もしくは開口している場合は、波の重ね合わせによって
図4A〜
図4D及び
図5A〜
図5Cのような形態の共鳴定在波を生じる。しかし、吐出口の数や開口位置によっても定在波のパターンは変動し、前記式3より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れる。この場合には、適宜駆動周波数を調整することにより安定吐出条件を作り出すことができる。例えば、液体の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmを用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、前記式2より、最も効率の高い共鳴周波数は324kHzと導かれる。他の例では、液体の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmと、上記と同じ条件を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、前記式2より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれる。このように同じ構成の液柱共鳴液室においても、より高次の共鳴を利用することができる。
図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室は、両端が閉口端状態と等価であるか、吐出口の開口の影響で、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが周波数を高めるためには好ましいが、それに限らず開放端であってもよい。ここでの吐出口の開口の影響とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなることを意味する。よって、
図4B及び
図5Aのような液柱共鳴液室の長手方向の両端に壁面を形成する構成は、両側固定端の共鳴モード、そして吐出口側が開口とみなす片側開放端の全ての共鳴モードが利用できる点から好ましい。
【0091】
また、吐出口の開口数、開口配置位置、吐出口の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこれに応じて適宜決定することができる。例えば、吐出口の数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液供給路側に存在する吐出口の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また吐出口の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚みによる吐出口の体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生手段に電圧を与えたとき、振動発生手段が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液供給側の端部に最も近い吐出口までの距離をLeとする。このとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記式4及び式5で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出口から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・(式4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
ただし、前記式4及び前記式5中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、Leは、液供給路側の端部と、該端部に最も近い吐出孔の中心部との距離を表し、cは、液体の音波の速度を表し、Nは、自然数を表す。
【0092】
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、液供給側の端部に最も近い吐出口までの距離Leの比(Le/L)が、下記式6を満たすことが好ましい。
Le/L>0.6 ・・・(式6)
【0093】
以上説明した液柱共鳴現象の原理を用いて、
図1の液柱共鳴液室18において液柱共鳴圧力定在波が形成され、液柱共鳴液室18の一部に配置された吐出口19において連続的に液滴吐出が発生する。なお、定在波の圧力が最も大きく変動する位置に吐出口19を配置すると、吐出効率が高くなり、低い電圧で駆動することができる点から好ましい。また、吐出口19の個数としては、1つの液柱共鳴液室18に1つでもよいが、2つ以上である(複数個配置する)ことが生産性の点から好ましく、具体的には、2個以上100個以下が好ましい。前記吐出口の個数が、2個以上であると、生産性を向上でき、100個以下であると、吐出口19から所望の液滴を形成させる際に、振動発生手段20に与える電圧を低く抑えることができ、振動発生手段20としての圧電体の挙動を安定させることができる。
【0094】
また、複数の吐出口19を有する場合、吐出口間のピッチ(隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔)としては、20μm以上、液柱共鳴液室の長さ以下が好ましい。前記吐出口間のピッチが、20μm以上であると、隣り合う吐出口より放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率を低くすることができ、微粒子の粒径分布を良好にすることができる。
【0095】
次に、液滴形成ユニットにおける液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について
図6A〜
図6Eを用いて説明する。なお、
図6A〜
図6Eにおいて、液柱共鳴液室内に記した実線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を+とし、その逆方向を−とする。また、液柱共鳴液室内に記した点線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を「+」とし、負圧は「−」とする。また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。更に、
図6A〜
図6Eにおいて、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(
図1に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(
図1に示す高さh1)が約2倍以上である。このため、
図6A〜
図6Eでは、液柱共鳴液室18がほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
図6A〜
図6Eにおいて、実線は速度分布を表し、破線は圧力分布を表す。
【0096】
液柱共鳴液滴吐出手段の液柱共鳴流路で生じる液柱共鳴現象の様子の他の一例を示す概略図である。
図6Aは、液滴吐出時の液柱共鳴液室18内の圧力波形と速度波形を示している。また、
図6Bは、液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる。これらの
図6A、及び
図6Bに示すように、液柱共鳴液室18における吐出口19が設けられている流路内での圧力は極大となっている。その後、
図6Cに示すように、吐出口19付近の正の圧力は小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴21が吐出される。
【0097】
そして、
図6Dに示すように、吐出口19付近の圧力は極小になる。このときから液柱共鳴液室18への液体14の充填が始まる。その後、
図6Eに示すように、吐出口19付近の負の圧力は小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、液体14の充填が終了する。そして、再び、
図6Aに示すように、液柱共鳴液室18の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、吐出口19から液滴21が吐出される。このように、液柱共鳴液室内には振動発生手段の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生する。そして、圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹に相当する液滴吐出領域に吐出口19が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴21が吐出口19から連続的に吐出される。
【0098】
次に、実際に液柱共鳴現象によって液滴が吐出された構成の一例について説明する。
図7は、液柱共鳴液滴吐出手段での実際の液滴吐出の様子の一例を示す図である。この一例は、
図1において液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85mm、N=2の共鳴モードであって、第一から第四の吐出口がN=2モード圧力定在波の腹の位置に吐出口を配置し、駆動周波数を340kHzのサイン波で行った吐出をレーザーシャドウグラフィ法にて撮影した様子を
図7に示す。同図から分かるように、非常に径の揃った、速度もほぼ揃った液滴の吐出が実現している。
【0099】
また、
図8は、駆動周波数290kHz以上395kHz以下の同一振幅サイン波にて駆動した際の液滴吐出速度の駆動周波数に対する依存性を示すグラフである。同図から分かるように、第一〜第四のノズルにおいて駆動周波数が340kHz付近では各ノズルからの吐出速度が均一となって、かつ最大吐出速度となっている。この特性結果から、液柱共鳴周波数の第二モードである340kHzにおいて、液柱共鳴定在波の腹の位置で均一吐出が実現していることが分かる。また、
図8の特性結果から、第一モードである130kHzにおいての液滴吐出速度ピークと、第二モードである340kHzにおいての液滴吐出速度ピークとの間では液滴は吐出しないという液柱共鳴の特徴的な液柱共鳴定在波の周波数特性が液柱共鳴液室内で発生していることが分かる。
【0100】
<微粒子形成工程>
前記微粒子形成工程は、吐出した液体を乾燥して微粒子を形成する工程である。
前記微粒子形成工程としては、前記吐出工程において、気体中に吐出させた液体を乾燥させることにより微粒子を形成することができる。
【0101】
前記微粒子形成工程としては、微粒子形成手段により好適に行うことができ、更に捕集する工程(微粒子捕集工程)を含んでいてもよい。
前記液体を乾燥させるには、液体の性状次第により考え方は異なるが、基本的に液体を固体状態にできれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体が固体原材料を揮発可能な溶媒に溶解乃至分散させたものであれば、液滴噴射後、搬送気流中液滴を乾燥させる、すなわち溶媒を揮発させることにより実施することもできる。前記溶媒の乾燥にあたっては、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類等を適宜選定して乾燥状態を調整することができる。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された微粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させてもよい。前記例に従わなくとも、温度変化や化学的反応等の適用により実施することもできる。
【0102】
<<微粒子捕集工程>>
前記微粒子捕集工程は、乾燥した微粒子を捕集する工程である。
前記微粒子捕集工程としては、微粒子捕集手段により好適に行うことができる。
【0103】
前記微粒子の体積平均粒径(Dv)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。前記体積平均粒径(Dv)が、1μm以上10μm以下であると、単位重量当りの微粒子の表面積を大きく保つことができるため、単位時間当たりの薬剤溶出量を増大させることができるという利点がある。1μm未満になると粒子同士の凝集が生じ、微粒子を1次粒子で存在させることが困難になる。
前記微粒子の個数平均粒径(Dn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。前記個数平均粒径(Dn)が、1μm以上10μm以下であると、単位重量当りの微粒子の表面積を大きく保つことができるため、単位時間当たりの薬剤溶出量を増大させることができるという利点がある。1μm未満になると粒子同士の凝集が生じ、微粒子を1次粒子で存在させることが困難になる。
前記微粒子の粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.00以上1.50以下が好ましく、1.00以上1.20以下がより好ましく、1.00以上1.10以下が特に好ましい。前記粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1.00以上1.50以下であると、粒度分布が狭いことにより、医薬のバイオアベイラビリティを向上できる。なお、前記体積平均粒径、前記個数平均粒径、及び前記粒度分布は、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(装置名:マイクロトラックMT3000II、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて解析を行うことができる。
【0104】
前記微粒子捕集手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サイクロン捕集、バックフィルターなどが挙げられる。
【0105】
図9は、微粒子製造装置の一例を示す概略図である。微粒子製造装置1は、主に、液滴吐出手段2、乾燥捕集ユニット60、搬送気流排出口65、及び微粒子貯留部63を有する。液滴吐出手段2には、液体14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されている液体14を液供給管16を通して液滴吐出手段2に供給し、更に液戻り管22を通って原料収容器13に戻すために液供給管16内の液体14を圧送する液循環ポンプ15とが連結されており、液体14を随時液滴吐出手段2に供給できる。液供給管16にはP1、乾燥捕集ユニットにはP2の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段2への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計P1、P2によって管理される。このときに、P1の圧力測定値がP2の圧力測定値よりも大きい場合には、トナー組成液14が吐出孔から染み出すおそれがあり、P1の圧力測定値がP2の圧力測定値よりも小さい場合には、液滴吐出手段2に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1の圧力測定値とP2の圧力測定値とがほぼ同じあることが好ましい。
【0106】
チャンバ61内では、搬送気流導入口64から作られる下降気流(搬送気流)101が形成されている。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、重力よってのみではなく、搬送気流101によっても下方に向けて搬送され、搬送気流排出口65を通り、微粒子捕集手段62によって捕集され、微粒子貯留部63に貯留される。
【0107】
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し一つの微粒子になってしまう(以下この現象を「合着」とも称することがある)。均一な粒径分布を有する微粒子を得るためには、噴射された液滴どうしの距離を保つ必要がある。しかしながら、噴射された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した微粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は定常的に発生するため、この微粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下を無くし、液滴同士を接触させないように搬送気流101によって合着を防ぎながら、液滴を乾燥させつつ搬送することが好ましく、最終的には微粒子捕集手段まで微粒子を運ぶことが好ましい。
【0108】
図9に示されるように、搬送気流101は、その一部を第一の気流として液滴吐出手段近傍に液滴吐出方向と同一方向に配置することにより、液滴吐出直後の液滴速度低下を防ぎ、合着を防止することができる。また、
図10は、気流通路の一例を示す概略図である。
図10に示すように、気流通路12において、吐出方向に対して横方向であってもよい。あるいは図示していないが角度を持っていてもよく、液滴吐出手段より液滴が離れるような角度を持っていることが好ましい。
図10のように液滴吐出に対して横方向から合着防止気流を与える場合は吐出口から合着防止気流によって液滴が搬送された際に軌跡が重ならないような方向であることが好ましい。
上記のように第一の気流によって合着を防いだ後に、第二の気流によって微粒子捕集手段まで乾燥微粒子を運んでもよい。
【0109】
第一の気流の速度は、液滴噴射速度と同じかそれ以上であることが好ましい。液滴噴射速度より合着防止気流の速度が遅いと、合着防止気流本来の目的である液滴を接触させないという機能を発揮させることが難しくなることがある。
第一の気流の性状は、液滴同士が合着しないような条件を追加することができ、第二の気流と必ずしも同じでなくともよい。また、合着防止気流に微粒子表面の乾燥を促進させるような化学物質を混入したり、物理的作用を期待して付与してもよい。
搬送気流101は、特に気流の状態として限定されることはなく、層流や旋回流や乱流であってもよい。搬送気流101を構成する気体の種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、空気を用いても、窒素等の不燃性気体を用いてもよい。また、搬送気流101の温度は、適宜調整可能であり、生産時において変動のないことが好ましい。また、チャンバー61内に搬送気流101の気流状態を変えるような手段を有していてもよい。搬送気流101は、液滴21同士の合着を防止すだけでなく、チャンバ61に付着することを防止することに用いてもよい。
【0110】
図9で示された微粒子捕集手段によって得られた微粒子に含まれる残留溶剤量が多い場合は、これを低減するために必要に応じて、二次乾燥を行うことが好ましい。二次乾燥としては、流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることができる。溶剤が微粒子中に残留すると、耐熱保存性や定着性、帯電特性等の微粒子特性が経時で変動するだけでなく、加熱による定着時において溶剤が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施することが好ましい。
【0111】
[投与経路]
前記医薬の投与経路としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口投与、鼻腔投与、直腸投与、膣投与、皮下投与、静脈内投与、肺投与などが挙げられる。これらの中でも、経口投与が好ましい。
【実施例】
【0112】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、得られた微粒子の、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、及び粒度分布(Dv/Dn)は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(装置名:マイクロトラックMT3000II、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定した。
【0113】
(液柱共鳴法による微粒子の作製例)
<実施例1>
シクロスポリン(商品名:Cyclosporin A、東京化成工業株式会社製)0.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL、重量平均分子量:15,000以上30,000以下、20℃粘度:2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下、日本曹達株式会社製)9.5質量部、及びエタノール(関東化学株式会社製)500質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マイレクス、メルク社製)に通し、液体Aを得た。液体Aの比重は、0.821であった。
【0114】
得られた液体Aを、
図1において吐出口の開口数を液柱共鳴液室1つ当たり1個とした液柱共鳴液滴吐出装置(装置名:GEN4、株式会社リコー製)を用いて、前記吐出口から吐出液滴化し、
図9の装置を使用して、乾燥させて医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の、体積平均粒径(Dv)は3.50μm、個数平均粒径(Dn)は3.33μm、粒度分布(Dv/Dn)は1.05であった。なお、条件は下記の通りである。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
−液柱共鳴条件−
共鳴モード:N=2
液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ:L=1.8mm
液柱共鳴液室の液共通供給路側のフレームの端部の高さ:h1=80μm
液柱共鳴液室の連通口の高さ:h2=40μm
−微粒子作製条件−
吐出口の形状:真円
吐出口の直径:8.0μm
吐出口の開口数:1個(液柱共鳴液室1つ当たり)
液柱共鳴液室の数:384室
乾燥エアー温度:40℃
乾燥空気流量:装置内乾燥窒素 100L/分間
印加電圧:12.0V
駆動周波数:310kHz
【0115】
<実施例2>
トラニラスト(商品名:Tranilast、東京化成工業株式会社製)0.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL、重量平均分子量:15,000以上30,000以下、20℃粘度:2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下、日本曹達株式会社製)9.5質量部、及び1,4−ジオキサン(林純薬工業株式会社製)500質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マイレクス、メルク社製)に通し、液体Bを得た。液体Bの比重は1.1888であった。
【0116】
実施例1において、液体Aを液体Bに変更した以外は、実施例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0117】
<実施例3>
カルシトニン(商品名:サケカルシトニン「イトウ」、ILS株式会社製)0.3質量部、乳酸グリコール酸重合体(PLGA、商品名:PLGA7510、和光純薬工業株式会社製)29.7質量部、及びアセトン(国産化学株式会社製)970質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マイレクス、メルク社製)に通し、液体Cを得た。液体Cの比重は0.805であった。
【0118】
実施例1において、液体Aを液体Cに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を65℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0119】
<実施例4>
ケルセチン(商品名:Quercetin、東京化成工業株式会社製)3質量部、Soluplus(ソルプラス、BASF社製)27質量部、及びエタノール(関東化学株式会社製)970質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マイレクス、メルク社製)に通し、液体Dを得た。液体Dの比重は0.798であった。
【0120】
実施例1において、液体Aを液体Dに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を50℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0121】
<実施例5>
メトホルミン(商品名:Metformin Hydrochloride、東京化成工業株式会社製)20質量部、オイドラギットRSPO(Evonik社製)27質量部、オイドラギットRLPO(Evonik社製)3質量部、エタノール(関東化学株式会社製)828質量部、及びイオン交換水122質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マイレクス、メルク社製)に通し、液体Eを得た。液体Eの比重は0.840であった。
【0122】
実施例1において、液体Aを液体Eに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を50℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0123】
<実施例6>
メトホルミン(商品名:Metformin Hydrochloride、東京化成工業株式会社製)25質量部、オイドラギットRSPO(Evonik社製)22.5質量部、オイドラギットRLPO(Evonik社製)2.5質量部、エタノール(関東化学株式会社製)828質量部、及びイオン交換水122質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マイレクス、メルク社製)に通し、液体Fを得た。液体Fの比重は0.841であった。
【0124】
実施例1において、液体Aを液体Fに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を50℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0125】
<実施例7>
メトホルミン(商品名:Metformin Hydrochloride、東京化成工業株式会社製)30質量部、オイドラギットRSPO(Evonik社製)18質量部、オイドラギットRLPO(Evonik社製)2質量部、エタノール(関東化学株式会社製)828質量部、及びイオン交換水122質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マイレクス、メルク社製)に通し、液体Gを得た。液体Gの比重は0.843であった。
【0126】
実施例1において、液体Aを液体Gに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を50℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0127】
<実施例8>
アロプリノール(商品名:Allopurinol、東京化成工業株式会社製)0.75質量部、HPMCAs−HG(信越化学工業株式会社製)14.25質量部、メタノール(和光純薬工業株式会社製)788質量部、及びアセトン(国産化学株式会社製)197質量部を、加温装置(装置名:TBS201RA、ADVANTEC社製)にて50℃で加温しながら撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マイレクス、メルク社製)に通し、液体Hを得た。液体Hの比重は0.803であった。
【0128】
実施例1において、液体Aを液体Hに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を50℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0129】
<実施例9>
プレドニゾロン(商品名:Prednisolone、東京化成工業株式会社製)0.15質量部、グアガム(商品名:RG−100、三菱化学フーズ株式会社製)0.85質量部、イオン交換水799質量部、及びエタノール(関東化学株式会社製)200質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マイレクス、メルク社製)に通し、液体Iを得た。液体Iの比重は0.959であった。
【0130】
実施例1において、液体Aを液体Iに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を150℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0131】
(膜振動法による微粒子の作製例)
<比較例1>
実施例1と同様にして、液体Aを得た。
得られた液体Aを、膜振動法による微粒子作製装置(ジョンソン株式会社製、消臭パフパフの膜振動ノズル)を用いて、ノズルプレートの吐出口から吐出液滴化し、乾燥させて医薬の微粒子を得た。なお、条件は下記の通りである。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
−膜振動条件−
ノズルプレートの外径:8.0mm
ノズルプレートの平均厚み:20μm
ノズルプレートの材質:ニッケル板
−微粒子作製条件−
吐出口の形状:真円
吐出口の直径:5μm
吐出口の開口数:85個
乾燥エアー温度:27℃以上28℃以下
乾燥空気流量:装置内乾燥窒素 30.0L/分間
露点温度:−20.0℃
印加電圧:20.0V
駆動周波数:52kHz
【0132】
<比較例2>
実施例2と同様にして、液体Bを得た。
比較例1において、液体Aを液体Bに変更した以外は、比較例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0133】
<比較例3>
実施例3と同様にして、液体Cを得た。
比較例1において、液体Aを液体Cに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を65℃以上66℃以下に変更した以外は、比較例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0134】
<比較例4>
実施例4と同様にして、液体Dを得た。
比較例1において、液体Aを液体Dに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を50℃以上51℃以下に変更した以外は、比較例1と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0135】
(液振動法による微粒子の作製例)
<比較例5>
実施例1と同様にして、液体Aを得た。
得られた液体Aを、液振動法による微粒子作製装置(特許第5315920号公報の実施例1に記載のデバイス)を用いて、吐出口から吐出液滴化し、乾燥させて医薬の微粒子を得た。なお、条件は下記の通りである。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
−微粒子作製条件−
吐出口の形状:真円
吐出口の直径:8μm
吐出口の開口数:300個
乾燥エアー温度:27℃以上28℃以下
乾燥空気流量:装置内乾燥窒素 30.0L/分間
印加電圧:20.0V
駆動周波数:30kHz
【0136】
<比較例6>
実施例2と同様にして、液体Bを得た。
比較例5において、液体Aを液体Bに変更した以外は、比較例5と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0137】
<比較例7>
実施例6と同様にして、液体Fを得た。
比較例5において、液体Aを液体Fに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を50℃以上51℃以下に変更した以外は、比較例5と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0138】
(噴霧乾燥法による微粒子の作製例)
<比較例8>
実施例1と同様にして、液体Aを得た。
得られた液体Aを、噴霧乾燥法による微粒子作製装置(装置:6552−1/8JACミニ型、スプレーイングシステムジャパン株式会社製)を用いて、吐出液滴化し、乾燥させて医薬の微粒子を得た。なお、条件は下記の通りである。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
−微粒子作製条件−
ノズル径:0.5mm
エアー圧力:0.1MPa
乾燥エアー温度:40℃
【0139】
<比較例9>
実施例2と同様にして、液体Bを得た。
比較例8において、液体Aを液体Bに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を50℃に変更した以外は、比較例8と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0140】
<比較例10>
実施例8と同様にして、液体Hを得た。
比較例8において、液体Aを液体Hに変更し、微粒子作製条件における乾燥エアー温度を150℃に変更した以外は、比較例8と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0141】
<比較例11>
実施例9と同様にして、液体Iを得た。
比較例8において、液体Aを液体Iに変更した以外は、比較例8と同様にして、医薬の微粒子を得た。得られた医薬の微粒子の組成及び物性を下記表1及び2に示す。
【0142】
実施例1〜9及び比較例1〜11の方法を用いて、以下のようにして、「粒度分布(Dv/Dn)」、及び「連続生産性」を評価した。
【0143】
(粒度分布(Dv/Dn))
実施例1〜9及び比較例1〜11における医薬の微粒子において、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(装置名:マイクロトラックMT3000II、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、粒度分布(Dv/Dn)を測定し、下記評価基準に基づいて、「粒度分布(Dv/Dn)」を評価した。
−評価基準−
○:1.00以上1.20以下
△:1.20超1.50以下
×:1.50超
【0144】
(連続生産性)
実施例1〜9及び比較例1〜11の方法を用いて、微粒子の吐出開始0秒間から60秒間(噴射初期)における噴射した微粒子の重量(噴射初期重量)、及び吐出開始540秒間から600秒間(噴射終期)における噴射した微粒子の重量(噴射終期重量)を重量計(装置名:GX−3000、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて測定した。得られた噴射初期重量、及び噴射終期重量を用いて、下記式Aにより、生産量の減少率を算出して、下記評価基準に基づいて、「連続生産性」を評価した。
生産量の減少率(%)=[(噴射初期重量−噴射終期重量)/噴射初期重量]×100 ・・・ 式A
−評価基準−
○:減少率が5%未満
△:減少率が5%以上25%未満
×:減少率が25%以上
【0145】
【表1】
【0146】
なお、前記表1において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・シクロスポリン:東京化成工業株式会社製、商品名:Cyclosporin A
・トラニラスト:東京化成工業株式会社製、商品名:Tranilast
・カルシトニン:ILS株式会社、商品名:サケカルシトニン「イトウ」
・ケルセチン:東京化成工業株式会社製、商品名:Quercetin
・メトホルミン:東京化成工業株式会社製、商品名:Metformin Hydrochloride
・アロプリノール:東京化成工業株式会社製、商品名:Allopurinol
・プレドニゾロン:東京化成工業株式会社製、商品名:Prednisolone
・HPC−SSL:ヒドロキシプロピルセルロース、日本曹達株式会社製、重量平均分子量:15,000以上30,000以下、20℃粘度:2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下
・PLGA:和光純薬工業株式会社製、商品名:PLGA7510
・ソルプラス:BASF社製
・オイドラギットRSPO:Evonik社製
・オイドラギットRLPO:Evonik社製
・HPMCAs−HG:信越化学工業株式会社製
・グアガム:三菱化学フーズ株式会社製、商品名:RG−100
・エタノール:関東化学株式会社製
・1,4−ジオキサン:林純薬工業株式会社製
・アセトン:国産化学株式会社製
・メタノール:和光純薬工業株式会社製
【0147】
【表2】
【0148】
<試験例1>
実施例1において作製した医薬の微粒子を用いて、溶出性の評価試験を行った。
前記医薬の微粒子60mgをイオン交換水100mgに添加し、37℃にて60分間、撹拌速度50rpmにて撹拌し、「溶出性」を評価した。結果を下記表3及び
図11に示す。
【0149】
<試験例2>
試験例1において、実施例1において作製した医薬の微粒子をシクロスポリン原末(商品名:Cyclosporin A、東京化成工業株式会社製)に変更した以外は、試験例1と同様にして、「溶出性」を評価した。結果を下記表3及び
図11に示す。
【0150】
【表3】
なお、前記表3中、溶出量の値(n=3)は、平均±標準誤差で示した。
【0151】
前記表3及び
図11の結果から、実施例1の医薬の微粒子は、シクロスポリンの溶出速度及び溶出量を改善し、さらに徐放性の溶出を示すことが分かった。これは、液柱共鳴法によって医薬を作製することにより、高密度微粒子が形成されHPC−SSLによる高分子マトリックスを形成するため、溶出時に徐々に溶解すると推測される。
【0152】
<試験例3>
実施例2において作製した医薬の微粒子を用いて、溶出性の評価試験を行った。
前記医薬の微粒子63mgをpH1.2溶出液(塩化ナトリウム2.0gに塩酸7.0mL、及び水を加えて1,000mLとした液)900mLに添加し、37℃にて120分間、撹拌速度50rpmにて撹拌し、「溶出性」を評価した。結果を下記表4及び
図12に示す。
【0153】
<試験例4>
試験例3において、実施例2において作製した医薬の微粒子をトラニラスト原末(商品名:Tranilast、東京化成工業株式会社製)に変更した以外は、試験例3と同様にして、「溶出性」を評価した。結果を下記表4及び
図12に示す。
【0154】
【表4】
なお、前記表4中、溶出量の値(n=3)は、平均±標準誤差で示した。
【0155】
前記表4及び
図12の結果から、実施例2の医薬の微粒子は、即時放出性粒子の特性を示し、トラニラストの溶出速度及び溶出量を改善することができることが分かった。これは、液柱共鳴法によって医薬を作製することにより、トラニラストが分散剤であるHPC中に均一分散した状態、すなわち固体分散体を形成したため含有される医薬化合物の濡れ性向上、及び粒子径の減少によって溶出性が改善されたものと推測される。
【0156】
<試験例5>
実施例1において作製した医薬の微粒子の経口吸収性を評価するため、実施例1の医薬の微粒子及びシクロスポリンA原末をSD系雄性ラット(6週齢〜8週齢、日本エスエルシー株式会社から入手)に経口投与後、経時的に薬物血中濃度測定を行った。各粉末は水に懸濁し、シクロスポリンA量として10mg/kgをSD系雄性ラットに対して単回強制経口投与した。経口投与後、尾静脈から経時的に採血し、ヘパリン処理をしたマイクロテストチューブに移して、直ちに氷冷した。氷冷後、速やかに血液を遠心分離し血漿を得た。得られた血漿はシングル四重極の質量分析器(装置名:ACQUITY SQD、Waters社製)を検出器とする超高速液体クロマトグラフィー(Waters社製)によって定量した。結果を
図13に示す。下記表5には薬物血中濃度測定の結果から算出した薬物動態学的パラメーターを記載した。なお、C
max、T
max、T
1/2及びAUC
0−∞はそれぞれ、最高血中濃度(血中濃度曲線のピークにおける濃度)、最高血中濃度に到達する時間(血中濃度曲線のピークに到達する時間)、薬物の血中濃度の半減期及び投与開始時〜薬物消失時迄の血中濃度曲線下面積(Area under curve)を表す。
【0157】
【表5】
なお、前記表5中、薬物動態学的パラメーターは、平均±標準誤差(n=5)で示した。
【0158】
前記表5及び
図13の結果から、実施例1で調製した医薬の微粒子は、シクロスポリンAの経口吸収性を顕著に改善した。この時、C
max及びAUC
0−∞はそれぞれ11倍及び19倍有意に高値を示した(フィッシャーの最小有意差法、p<0.05)。すなわち、生物学的利用能(バイオアベイラビリティ(bioavailability))の有意な改善を示した。また、T
1/2においてはシクロスポリンA原末と比較して、2.3時間延長しており、実施例1の医薬の微粒子はシクロスポリンAの血中滞留性の増大を示した。これは実施例1で調製した医薬の微粒子が徐放性の薬物溶出特性を有することに起因すると推察する。
【0159】
<試験例6>
実施例2において作成した医薬の微粒子の経口吸収性を評価するため、実施例2の医薬の微粒子及びトラニラスト原末をSD系雄性ラット(6週齢〜8週齢、日本エスエルシー株式会社から入手)に経口投与後、経時的に薬物血中濃度測定を行った。各粉末は水に懸濁し、トラニラスト量として10mg/kgをSD系雄性ラットに対して単回強制経口投与した。経口投与後、尾静脈から経時的に採血し、ヘパリン処理をしたマイクロテストチューブに移して、直ちに氷冷した。氷冷後、速やかに血液を遠心分離し、血漿を得た。得られた血漿はシングル四重極の質量分析器(装置名:ACQUITY SQD、Waters社製)を検出器とする超高速液体クロマトグラフィー(Waters社製)によって定量した。結果を
図14に示す。下記表6には薬物血中濃度測定の結果から算出した薬物動態学的パラメーターを記載した。
【0160】
【表6】
なお、前記表6中、薬物動態学的パラメーターは、平均±標準誤差(n=4)で示した。
【0161】
前記表6及び
図14の結果より、実施例2で調製した医薬の微粒子は、トラニラストの経口吸収性を顕著に改善した。この時、C
max及びAUC
0−∞はそれぞれ112倍及び16倍有意に高値を示した(フィッシャーの最小有意差法、p<0.05)。すなわち、生物学的利用能(バイオアベイラビリティ(bioavailability))の有意な改善を示した。また,T
maxにおいて実施例2で調製した医薬の微粒子はトラニラスト原末と比較して1.5時間短縮しており、薬物吸収速度の向上を確認した。これは実施例2で調製した医薬の微粒子が即時性の薬物溶出特性を有することに起因すると推察する。
【0162】
<試験例7>
実施例3において作製した医薬の微粒子を用いて、溶出性の評価試験を行った。
前記医薬の微粒子10mgを肺内環境の模倣液 (水1L中に塩化マグネシウム0.169g、塩化ナトリウム5.016g、塩化カリウム0.249g、無水硫酸ナトリウム0.059g、塩化カルシウム二水和物0.306g、酢酸ナトリウム三水和物0.794g、炭酸水素ナトリウム2.170g、クエン酸ナトリウム二水和物0.080g、リン酸水素二ナトリウム0.118gおよびジパルミトイルホスファチジルコリン0.167g) 100mLに添加し、37℃にて24時間、振盪速度30spmにて振盪し、「溶出性」を評価した。結果を下記表7及び
図15に示す。
【0163】
【表7】
なお、前記表7中、溶出量の値(n=3)は、平均±標準誤差で示した。
【0164】
前記表7及び
図15の結果から、実施例3の医薬の微粒子は、徐放性粒子の特性を示した。液柱共鳴法によってカルシトニンのような水溶性化合物を徐放性ポリマー中に封入することにより、化合物の放出速度制御が可能であった。これは、作製した微粒子においてカルシトニンが分散剤であるPLGA中に均一分散しており、生分解性ポリマーであるPLGAがゆっくりと加水分解されることにより封入されたカルシトニンが徐々に放出されていると推察する。
【0165】
<試験例8>
実施例3の医薬の微粒子を用いて経肺投与粉末としての応用性を精査するため、吸入特性を評価した。測定は、USP 2000 「Physical Tests and Determinations/Aerosols」、「Multistage Cascade Impactor Apparatus」に記載の方法により、以下の測定条件で行った。
−測定条件−
装置:アンダーセンサンプラー(AN−200、柴田科学株式会社製)
ポンプ流量:28.3L/min
使用デバイス:ジェットヘラー(登録商標)(日立オートモティブシステムズ株式会社製)
実施例3の医薬品微粒子を5倍量の乳糖(平均粒径50μm、Respitose(登録商標)(DMV Japan))と混和することにより、粉末製剤を得た。調製した粉末製剤の約30mgを日局2号HPMCカプセルに充填し、28.3L/minの気流量下にて評価した。結果を下記表8および
図16に示す。
【0166】
【表8】
【0167】
前記表8及び
図16の結果より、粉末製剤は主にステージ2〜4に分布していることが示された。アンダーセン型カスケードインパクターのStage2〜7はヒトにおいて気管支から肺胞に相当する部位となり、このステージに分布する粒子の割合はFine particle fraction(FPF)値として定義される。本実施例におけるFPF値は約30%であり、気管支、及び主な吸収部位である肺胞などに十分に到達するものと考えられる。また、カプセルから製剤の約80%が放出されていることが確認され、その高い流動性及び分散性も示された。実施例3の医薬の微粒子は、球形度が極めて高い、粒度分布が狭いという特徴を有しており、粒子同士の凝集を防ぎ、良好な流動性と分散性を維持していたと推察する。
【0168】
<試験例9>
実施例3の医薬品微粒子を用いて調製した粉末製剤の経肺的投与後における薬効を評価した。SD系雄性ラット(6週齢〜8週齢、日本エスエルシー株式会社から入手)に対し、実施例3の医薬品微粒子を5倍量の乳糖(平均粒径50μm、Respitose、DMV Japan社製)と混和することにより調製した粉末製剤を経肺的投与(カルシトニン量として40μg/匹)し、投与後における血中カルシウム濃度を経時的に測定した。対照群として、カルシトニン原末に乳糖を加えて賦形した単純混合粉末を調製して用いた。カルシトニンは薬理作用として血中カルシウム濃度低下作用を示すため、実施例3の医薬品微粒子の薬効評価には血中カルシウム濃度を指標として選択した。経肺的投与は、イソフルラン吸入麻酔下、吸入器(DP−4、株式会社イナリサーチ製)を気道内に挿入し、圧縮空気を送って投与した。経肺投与直前を0時間として定義し、この時間における血中カルシウム濃度を100%として血中カルシウム濃度の経時的な変動を評価した。血中カルシウム濃度の測定にはメタロアッセイ カルシウム(Ca)測定 LSキット CPZIII(メタロジェニクス株式会社製)を用いた.結果を下記表9及び
図17に示す。
【0169】
【表9】
なお、前記表9中、血中カルシウム濃度の値(n=3〜6)は、平均±標準誤差で示した。
【0170】
前記表9及び
図17の結果から、実施例3で調製した医薬の微粒子はカルシトニンの血中カルシウム濃度低下作用の増強及び作用の持続を示した。経肺的投与の結果、肺深部に到達したカルシトニンは肺から吸収されて全身循環に入り、カルシトニンの全身作用発現を確認した。実施例3で調製した医薬の微粒子は溶出性評価で認められた徐放特性によりカルシトニン原末と比較してその薬理作用の持続を示したと考えられる。
【0171】
<試験例10>
実施例1及び比較例8の医薬の微粒子を用いて粉体特性を評価した。評価結果を下記表10に示す。
【0172】
(流動性評価)
流動性評価には、加振移送式流動性測定装置(ディーアイティー株式会社製)を用いた。その時の評価条件を下に示す。
<測定手順>
(i)サンプルを1g秤取した(測定環境にて30分間調湿)。
(ii)装置の振幅を7.5に設定した。
(iii)装置に1gのサンプルをセットし,測定を開始した。
(iv)粉体の流動性を平均移送量として以下の式で算出した。
平均移送量(mg/s)=450mg/(750mgが排出されるまでの時間−300mgが排出されるまでの時間)
【0173】
(嵩密度評価)
嵩密度の測定にはメスシリンダー法を用いた。評価条件を以下に示す。
<測定手順>
(i)サンプルを1.5g秤取した(測定環境にて30分間調湿)。
(ii)10mLメスシリンダーにサンプルを静かに注ぎ入れた。
(iii)10分間静置後の体積を読み取った。
(iv)体積と重量から嵩密度を算出した。
嵩密度(g/mL)=サンプル重量(g)/サンプル容積(mL)
【0174】
(BET比表面積評価)
BET比表面積の測定には、TristarII3020(micromeritics社製)を用いた。脱水条件並びに測定条件を以下に示す。
サンプル重量 0.8g
<脱水条件>
温度 室温(25℃)
圧力 80 mTorr
時間 5時間
<測定条件>
測定ガス 窒素
測定回数 6
パラメータ算出 多点法
【0175】
(真比重評価)
真比重評価にはアキュピックII1340(株式会社島津製作所製)を用いた。測定条件を以下に示す。
<測定条件>
測定セル体積 11.2160cm
3
パージ回数 10
パージ充填圧力 19.5psig
測定回数 5
測定充填圧力 19.5psig
平衡圧 0.005psig/min
温度 23℃
不活性ガス ヘリウム
【0176】
【表10】
【0177】
実施例1で得られた医薬の微粒子は、比較例8で得られて医薬の微粒子と比較して、流動性に優れるものであった。これは、粒子径が均一でかつ球形であることに起因すると予測され、このことがBET比表面の結果にも現れていると考えられる。
【0178】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 液柱共鳴液室内に収容された、生理活性物質を含む液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、前記定在波の腹となる領域に、前記定在波の振幅方向に形成された吐出口から前記液体を吐出する吐出工程と、
吐出した前記液体を乾燥して微粒子を形成する微粒子形成工程と、
を含むことを特徴とする微粒子の製造方法である。
<2> 前記生理活性物質が、医薬化合物である前記<1>に記載の微粒子の製造方法である。
<3> 前記医薬化合物が、シクロスポリン、及びトラニラストの少なくともいずれかである前記<2>に記載の微粒子の製造方法である。
<4> 前記微粒子の粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1.00以上1.50以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<5> 前記微粒子の粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1.00以上1.20以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<6> 前記微粒子の体積平均粒径が、1μm以上10μm以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<7> 前記液体が、分散剤をさらに含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<8> 前記分散剤が、セルロースである前記<7>に記載の微粒子の製造方法である。
<9> 前記セルロースが、ヒドロキシプロピルセルロースである前記<8>に記載の微粒子の製造方法である。
<10> 前記ヒドロキシプロピルセルロースの重量平均分子量が、15,000以上400,000以下である前記<9>に記載の微粒子の製造方法である。
<11> 前記ヒドロキシプロピルセルロースの2質量%水溶液(20℃)粘度が、2.0mPa・s以上4,000mPa・s以下である前記<9>から<10>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<12> 前記液体が、溶剤をさらに含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<13> 前記溶剤が、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、メタノール、及びエタノールから選択される少なくとも1種である前記<12>に記載の微粒子の製造方法である。
<14> 前記液体の粘度が、5.0mPa・s以上15.0mPa・s以下である前記<1>から<13>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<15> 前記液体の表面張力が、10mN/m以上60mN/m以下である前記<1>から<14>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<16> 前記微粒子の個数平均粒径が、1μm以上10μm以下である前記<1>から<15>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<17> 前記微粒子の粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1.00以上1.10以下である前記<1>から<16>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<18> 前記定在波を形成するための振動の周波数が、150kHz以上である前記<1>から<17>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<19> 前記振動の周波数が、300kHz以上500kHz以下である前記<1>から<18>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<20> 前記吐出口の直径が、1μm以上40μm以下である前記<1>から<19>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
【0179】
前記<1>から<20>のいずれかに記載の微粒子の製造方法は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。