(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載のマルチブレードを使用して、表面に交差する分割予定ラインが形成された被加工物を該分割予定ラインに沿って分割しつつ分割後のチップを所望の形状に加工を行う加工方法であって、
該被加工物の裏面を保持治具又は保持テープで保持する保持ステップと、
該保持ステップを実施した後に、該マルチブレードの該切削ブレードで該分割予定ラインに沿って該保持テープ途中まで又は該保持治具内まで切り込み、被加工物を個々のチップに分割する分割ステップと、を備え、
該分割ステップにおいて、個々のチップに分割する際に、該スペーサ外面の該砥粒層により各チップ上面及び/又は側面に所望の形状が形成されること、を特徴とする加工方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態の加工方法について説明する。なお、以下の説明では、基板としてパッケージ基板を例示して説明するが、基板の種類はパッケージ基板に限定されるものではない。
図1は、本実施の形態の半導体パッケージの断面模式図である。
図2は、比較例の半導体パッケージの製造方法の説明図である。なお、以下の実施の形態はあくまでも一例を示すものであり、各ステップ間に他のステップを備えてもよいし、ステップの順序を適宜入れ換えてもよい。
【0013】
図1に示すように、半導体パッケージ10は、いわゆるEMI(Electro-Magnetic Interference)で遮断を要する全てのパッケージの半導体装置であり、外面のシールド層16によって周囲への電磁ノイズの漏洩を抑制するように構成されている。シールド層16の内側では、配線基板(インターポーザ基板)11の上面に実装された半導体チップ(半導体部品)12が樹脂層(封止剤)13で封止され、配線基板11の下面にバンプ14が配設されている。配線基板11には、半導体チップ12に接続される電極やグランドライン17を含む各種配線が形成されている。
【0014】
半導体チップ12は、半導体基板上のデバイス毎に半導体ウェーハを個片化して形成され、配線基板11の所定の位置にマウントされている。また、パッケージ側面(チップ側面)23にはパッケージ上面(チップ上面)22から下方に向かって外側に広がるような傾斜面25が形成されており、この傾斜面25に対してスパッタ法等によって上方からシールド層16が形成されている。一般的な半導体パッケージの鉛直なパッケージ側面とは異なり、パッケージ側面23の傾斜面25がシールド層16の形成方向に対して斜めに交差しているため、傾斜面25にシールド層16が形成され易くなっている。
【0015】
ところで通常は、
図2Aの比較例に示すように、配線基板11上の半導体チップ12を樹脂層13で封止したパッケージ基板15を、先端がV字形状の切削ブレード(以下、Vブレードと称する)111を用いてフルカットすることで半導体パッケージのパッケージ側面が傾斜される。しかしながら、配線基板11には様々な配線(メタル)が含まれているため、配線基板11の切削時にVブレード111の消耗が激しく、Vブレード111の先端のV字形状が崩れ易い。よって、パッケージ基板15に対する切り込み深さにバラツキが生じると共にVブレード111の寿命が短くなる。
【0016】
また、
図2Bの比較例に示すように、Vブレード111と通常の切削ブレード(以下、ストレートブレードと称する)112を用いたステップカットでパッケージ基板15を分割する構成が考えられる。すなわち、Vブレード111で樹脂層13をハーフカットして傾斜を付けて、続いてストレートブレード112で配線基板11をフルカットして個々の半導体パッケージ10に分割する。これにより、Vブレード111による配線基板11に対する切り込みを抑えて、Vブレード111の先端のV字形状の消耗を減少させることができる。しかしながら、2段階で切削しなければならず、作業工数及び作業時間が増加して生産性が悪化する。
【0017】
そこで、本実施の形態では、複数の切削ブレード44と砥粒付きのスペーサ43から成るマルチブレード40(
図3参照)を用いて、パッケージ基板15(
図6A参照)を加工している。スペーサ43の外面の傾斜面46でパッケージ基板15が切り込まれることで傾斜が付けられ、複数の切削ブレード44でパッケージ基板15が分割予定ラインに沿って切り込まれることで、パッケージ基板15が個々の半導体パッケージ10に分割される。よって、パッケージ側面23(
図6A参照)に傾斜を付けながらパッケージ基板15を分割することができ、作業工数及び作業時間を減らして生産性が向上されている。
【0018】
図3及び
図4を参照して、本実施の形態のマルチブレードについて説明する。
図3は、本実施の形態のマルチブレードの分解斜視図である。
図4は、本実施の形態のマルチブレードの断面模式図である。
【0019】
図3及び
図4に示すように、マルチブレード40は、スピンドル(不図示)に連なるシャフト41に、複数(本実施の形態では3つ)のスペーサ43と一対の切削ブレード44が交互に差し込まれて組み立てられる。複数のスペーサ43は筒状に形成されており、各スペーサ43の外面は砥粒層45で覆われている。また、各スペーサ43の外面は、半導体パッケージ10の外周に所望の形状を形成するような転写形状で形成されている。本実施の形態では、転写形状として各スペーサ43の切削ブレード44と接する端部に傾斜面46が形成され、切削ブレード44に近づくのに従ってスペーサ径が大きくなっている。
【0020】
両端のスペーサ43は切削ブレード44に接する片側の端部に傾斜面46が形成され、中央のスペーサ43は切削ブレード44に接する両側の端部に傾斜面46が形成されている。中央のスペーサ43は、一対の切削ブレード44をそれぞれ分割予定ラインに位置付けるように一対の切削ブレード44を離間させている。一対の切削ブレード44は、ダイヤモンド砥粒等をボンド剤で固めた薄い円環形状に成形されている。切削ブレード44の種類は特に限定されないが、レジンブレード、メタルブレード、電鋳ブレード等の金属カット用のストレートブレードが用いられることが好ましい。
【0021】
スペーサ43から突出したシャフト41の先端部分には雄ネジ42が形成されており、この雄ネジ42に固定ナット48を締め付けることでシャフト41に対して複数のスペーサ43及び一対の切削ブレード44が固定される。このとき、スペーサ43の傾斜した端部がマウント用のフランジとして機能し、スペーサ43の端部によって切削ブレード44が両側から挟み込まれることで固定される。このようにして、複数のスペーサ43及び一対の切削ブレード44が同一回転軸心を有するように構成されている。また、マルチブレード40は分解可能であるため、一部のスペーサ43及び切削ブレード44を交換することが可能になっている。
【0022】
次に、
図5及び
図6を参照して、マルチブレードを使用した半導体パッケージの製造方法について説明する。
図5及び
図6は、本実施の形態の半導体パッケージの製造方法の説明図である。なお、
図5Aはマウントステップ、
図5Bは基板作成ステップ、
図5Cは保持ステップのそれぞれ一例を示す図である。また、
図6Aは分割ステップ、
図6B及び
図6Cはシールド層形成ステップのそれぞれ一例を示す図である。
【0023】
図5Aに示すように、先ずマウントステップが実施される。マウントステップでは、配線基板11の表面が交差する分割予定ラインで格子状に区画されており、区画された複数の領域に複数の半導体チップ12がマウントされる。配線基板11内にはグランドライン17等の配線が形成され、配線基板11の下面にはバンプ14が配設されている。この場合、半導体チップ12の上面の電極にワイヤ19の一端が接続され、配線基板11の表面の電極18にワイヤ19の他端が接続される。なお、ワイヤボンディングに限らず、半導体チップ12の下面の電極を配線基板11の表面の電極に直接接続するフリップチップボンディングが実施されてもよい。
【0024】
図5Bに示すように、マウントステップが実施された後に基板作成ステップが実施される。基板作成ステップでは、複数の半導体チップ12がマウントされた配線基板11の表面側に封止剤24が供給され、各半導体チップ12が封止剤24で封止されてパッケージ基板15(
図5C参照)が作成される。この場合、半導体チップ12が実装された配線基板11の下面が保持治具(不図示)に保持されており、配線基板11の上面を覆うように枠型31が配置されている。枠型31の上壁には注入口32が開口しており、注入口32の上方には封止剤24の供給ノズル33が位置付けられている。
【0025】
そして、供給ノズル33から注入口32を通じて配線基板11の上面に封止剤24が供給されて半導体チップ12が封止される。この状態で、封止剤24が加熱又は乾燥されることで硬化されて、配線基板11の上面に樹脂層13(
図5C参照)を形成したパッケージ基板15が作成される。なお、封止剤24には、硬化性を有するものが用いられ、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、又はポリイミド樹脂等から選択することができる。また、封止剤24は液状に限らず、シート状、パウダー状の樹脂を使用することもできる。このようにして、配線基板11上の複数の半導体チップ12が一括で封止される。なお、パッケージ基板15が予め用意されている場合には、マウントステップ、基板作成ステップを省略してもよい。
【0026】
図5Cに示すように、基板作成ステップが実施された後に保持ステップが実施される。保持ステップでは、リングフレーム(不図示)の中央を塞ぐように保持テープ35が貼着されて、この保持テープ35でパッケージ基板15の裏面が保持される。この場合、パッケージ基板15のバンプ14が保持テープ35の粘着層に入り込んで、保持テープ35を介してパッケージ基板15がリングフレームに良好に支持される。なお、保持ステップでは、上面視円形状のリングフレームが使用されてもよいし、上面視四角形状のリングフレームが使用されてもよい。
【0027】
図6Aに示すように、保持ステップが実施された後に分割ステップが実施される。分割ステップでは、半導体パッケージ10の外面形状に対応したマルチブレード40がスピンドルに装着される。マルチブレード40には、分割予定ラインに対応して一対の切削ブレード44が設けられており、一対の切削ブレード44の基端側は一対のスペーサ43の傾斜した端部で挟み込まれている。スペーサ43の外面にはダイヤモンド等の砥粒が電着されて、スペーサ43の外面を覆うように砥粒層45が形成されている。このスペーサ43の外面によって、パッケージ基板15の樹脂層13を研削する研削面が形成されている。
【0028】
このように、マルチブレード40のブレード部分は、切削ブレード44とスペーサ43の傾斜した端部で構成され、基端から突出方向に向かって幅が狭くなるように傾斜し、突出方向の途中から先端までは一定幅に形成されている。すなわち、ブレード部分の側面の基端側は傾斜面46になっており、ブレード部分の側面の先端側は鉛直面47になっている。また、スペーサ43の外面からの切削ブレード44の突出量は、切削ブレード44で保持テープ35途中まで切り込んだ際に、切削ブレード44によって個片化された半導体パッケージ10がスペーサ43の外面で所定厚みに薄化される大きさに設定されている。
【0029】
パッケージ基板15の配線基板11側が保持テープ35を介してチャックテーブル(不図示)に保持されると、マルチブレード40の切削ブレード44がパッケージ基板15の分割予定ラインに位置合わせされ、パッケージ基板15の外側で保持テープ35の厚み方向途中の深さまで降ろされる。そして、マルチブレード40に対してパッケージ基板15が水平方向に加工送りされることで、マルチブレード40の切削ブレード44で分割予定ラインに沿って保持テープ35途中まで切り込まれて、パッケージ基板15が個々の半導体パッケージ10に分割される。
【0030】
このとき、切削ブレード44によってパッケージ基板15が分割され、スペーサ43の砥粒層45によってパッケージ基板15の樹脂層13が研削される。よって、パッケージ基板15が個々の半導体パッケージ10に個片化されると共に、各半導体パッケージ10が所定厚みに薄化される。また、スペーサ43の端部が傾斜面46になっているため、半導体パッケージ10が上面側よりも下面側が大きくなるように、パッケージ側面23に傾斜が付けられている。このように、ステップカットを実施することなく、パッケージ側面23に傾斜を付けながらパッケージ基板15が分割される。
【0031】
図6Bに示すように、分割ステップが実施された後にシールド層形成ステップが実施される。シールド層形成ステップでは、樹脂層13の上方から導電性材料でパッケージ上面(樹脂層上面)22及びパッケージ側面23にシールド層16が形成される。この場合、各半導体パッケージ10が保持テープ35を介して保持治具(不図示)に保持される。そして、所定の形成条件で半導体パッケージ10に対して上方からスパッタ等によって導電性材料が成膜されて、パッケージ上面22及びパッケージ側面23に所望の厚みでシールド層16が形成される。
【0032】
このとき、パッケージ側面23の傾斜面25がパッケージ上面22から下方に向かって外側に広がっており、傾斜面25がシールド層16の形成方向(鉛直方向)に対して斜めに交差している。よって、半導体パッケージ10にシールド層16を形成する際に、パッケージ上面22だけでなくパッケージ側面23の傾斜面25にも、十分なシールド効果が発揮できる厚みでシールド層16が形成される。なお、パッケージ側面23の鉛直面26やパッケージ間の溝底27にもシールド層16が形成されるため、半導体パッケージ10のピックアップ時に半導体パッケージ10の下部にシールド層16でバリが発生する場合がある。
【0033】
この場合、パッケージ間のアスペクト比(縦横比)を調整することで、半導体パッケージ10に対するバリの発生を抑えることが可能である。
図6Cに示すように、パッケージ間のアスペクト比は、パッケージ側面23の傾斜面25の下端から保持テープ35に切り込んだ溝底27までの深さをYmm、パッケージ側面23の鉛直面26の対向間隔をXmmとした際にY/Xで表される。パッケージ側面23の鉛直面26の下側やパッケージ間の溝底27はアスペクト比の影響を受け易く、パッケージ間のアスペクト比が高くなるのに伴ってシールド層16が薄く形成される。
【0034】
したがって、シールド層16の成膜条件に加えて、マルチブレード40の切削ブレード44(
図6A参照)が幅寸法及び突出量が所望のアスペクト比になるように設定されることで、パッケージ間の溝底27のシールド層16の厚みが低減される。これにより、アスペクト比の影響を受け難いパッケージ側面23の傾斜面25にはシールド層16が適度な厚みで形成され、アスペクト比の影響を受け易い鉛直面26の下側や溝底27にはシールド層16が薄く形成される。よって、半導体パッケージ10の上側ではシールド層16で電磁ノイズの漏洩が抑えられ、半導体パッケージ10の下側ではシールド層16を薄くしてバリの発生が抑えられる。
【0035】
また、配線基板11のグランドライン17は、パッケージ側面23の傾斜面25の下側で外部に露出している。傾斜面25の下側には適度な厚みでシールド層16が形成され、シールド層16がグランドライン17に接続されるため、半導体パッケージ10で生じた電磁ノイズがグランドライン17を通じて半導体パッケージ10外に逃がされる。なお、パッケージ側面23の鉛直面26の下側ではシールド層16が薄くなるが、配線基板11の多数の配線(不図示)によって電磁ノイズがカットされている。したがって、半導体パッケージ10の周囲の電子部品への電磁ノイズの漏洩が全体的に防止される。また、配線基板11のグランドライン17は、シールド層16に接続されていればよく、パッケージ側面23の鉛直面26でシールド層16に接続されてもよい。
【0036】
なお、シールド層16は、銅、チタン、ニッケル、金等のうち一つ以上の金属によって成膜された厚さ数μm以上の多層膜であり、例えば、スパッタ法、イオンプレーディング法、スプレー塗布法、CVD(chemical Vapor Deposition)法、インクジェット法、スクリーン印刷法によって形成される。シールド層16は、真空雰囲気下で上記の多層膜を有する金属フィルムをパッケージ上面22及びパッケージ側面23に接着する真空ラミネートによって形成してもよい。このようにして、パッケージ上面22及びパッケージ側面23がシールド層16でカバーされた半導体パッケージ10が製造される。
【0037】
続いて、半導体パッケージの側面の傾斜角度とシールド層との関係について説明する。
図7は、試験体に設けたシールド層の厚みを示す図である。
図8は、試験体の側面の傾斜角とシールド層の厚みとの関係を示す図である。
【0038】
図7に示すように、側面52の傾斜角度θを変えた複数の試験体50を用意し、180℃、8×10
−4Paの条件下でイオンプレーティング法によってシールド層を形成した。側面52の傾斜角度θは、90°、82°、68°、60°、45°とした。また、上面51に形成された上部シールド層53、側面52に形成された側部シールド層54に分けて、走査型電子顕微鏡の観察画像に基づいて上部シールド層53、側部シールド層54の厚みt1、t2を測定した。上部シールド層53及び側部シールド層54の厚みt1、t2は、次式(1)に示すステップカバレッジ(step coverage)の値として算出し、この値と傾斜角度θの関係を
図8にまとめた。
(1)
step coverage=(t2/t1)×100
【0039】
この結果、傾斜角度θが90°から小さくなるにつれてステップカバレッジの値が徐々に大きくなり、傾斜角度θが45°になるとステップカバレッジの値が100%になった。具体的には、傾斜角度θが45°になるように設定した場合、上部シールド層53の厚みt1と側部シールド層54の厚みt2が一致し、試験体50の上面51及び側面52に均一な厚みのシールド層が確認された。また、発明者の実験によれば、ステップカバレッジの値が50%を下回ると、側部シールド層54の成膜に時間を要し、プロセスコストが増大するため、ステップカバレッジの値が50%以上となる範囲が好ましい。したがって、半導体パッケージの側面の傾斜角度θは45°以上かつ82°以下であることが好ましい。
【0040】
以上のように、本実施の形態のマルチブレード40によれば、マルチブレード40には複数の切削ブレード44が設けられているため、複数の切削ブレード44で複数の分割予定ラインに沿ってパッケージ基板15が同時に切り込まれて個片化される。また、複数のスペーサ43の外面が砥粒層45で覆われているため、スペーサ43の外面でパッケージ基板15が研削されて、パッケージ基板15が薄化されると共にパッケージ側面23に傾斜が付けられる。このように、分割予定ラインに沿ってパッケージ基板15が分割されると共に、分割と同時にパッケージ側面23に傾斜が付けられるため、作業工数を低減すると共に作業時間を大幅に短縮することができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、分割ステップにおいてパッケージ側面に傾斜を付ける構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、
図9Aの変形例に示すように、分割ステップではパッケージ側面68に段差を付ける構成にしてもよい。この場合、マルチブレード61のスペーサ63として、切削ブレード64に接する端部に段部66が形成されたものが用いられる。これにより、マルチブレード61のブレード部分が、基端から突出方向に向かって幅広の一定幅に形成され、突出方向の途中から先端までは幅狭の一定幅に形成される。このマルチブレード61のスペーサ63外面の段部66によって、半導体パッケージ67が上面側よりも下面側が大きくなるようにパッケージ側面68に段差が付けられる。
【0042】
また、
図9Bの変形例に示すように、分割ステップではパッケージ側面78に湾曲した段差を付ける構成にしてもよい。この場合、マルチブレード71のスペーサ73として、切削ブレード74に接する端部に湾曲した段部76が形成されたものが用いられる。これにより、マルチブレード71のブレード部分が、基端から突出方向に向かって幅が狭くなるように湾曲して形成され、突出方向の途中から先端までは幅狭の一定幅に形成される。このマルチブレード71のスペーサ73外面の段部76によって、半導体パッケージ77が上面側よりも下面側が大きくなるようにパッケージ側面78に段差が付けられる。このように、パッケージ側面の段差とは、半導体パッケージの上面に対して高低差を生じさせる形状であればよい。
【0043】
さらに、
図9Cの変形例に示すように、分割ステップでは、厚みの異なる複数の半導体チップ87a、87bをパッケージングしたSIP(System In Package)のパッケージ上面に段差を付ける構成にしてもよい。この場合、マルチブレード81のスペーサ83として、大径部分84と小径部分85とから成る円筒状に形成されたものが用いられる。大径部分84は、小径部分85よりも半導体チップ87a、87bの厚みの差分だけ突出している。このスペーサ83の大径部分84で薄型の半導体チップ87a上の樹脂層13が深く削られ、スペーサ83の小径部分85で厚型の半導体チップ87b上の樹脂層13が浅く削られる。大径部分84が半導体チップ87a、87bの厚みの差分だけ小径部分85よりも突出しているため、各半導体チップ87a、87bのチップ上面88a、88bからパッケージ上面89a、89bまでの厚みが揃えられる。これにより、厚み違いの複数の半導体チップ87a、87bの放熱効果を均一に近付けることができる。このように、分割ステップでは、パッケージ側面に傾斜を付ける構成に限定されず、個々の半導体パッケージに分割される際に、パッケージ上面及び/又はパッケージ側面に所望の形状を形成される構成であればよい。
【0044】
また、本実施の形態では、整形砥石によってパッケージ基板の分割と共に研削が実施される構成にしたが、この構成に限定されない。
図10の変形例に示すように、マルチブレード91の切削ブレード94とスペーサ93の傾斜面96によってパッケージ基板15の分割だけが実施されてもよい。この場合、スペーサ93の端部の傾斜面96だけに砥粒層97が形成され、一対の切削ブレード94で保持テープ35途中まで切り込んだ際に、スペーサ93の端部以外がパッケージ基板15から離間するように、一対のスペーサ93の外径が設定されている。
【0045】
また、本実施の形態では、配線基板に1つの半導体チップを実装した半導体パッケージを例示したが、この構成に限定されない。配線基板に複数の半導体チップを実装した半導体パッケージを製造してもよい。例えば、
図11の変形例に示すように、配線基板102に複数(例えば、3つ)の半導体チップ103a−103cを実装し、半導体チップ103a−103cをまとめてシールドした半導体パッケージ101を製造するようにしてもよい。なお、半導体チップ103a−103cは同一機能を有してもよいし、異なる機能を有してもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、半導体チップがワイヤを介して配線基板の電極にワイヤボンディングされた半導体パッケージを製造する構成について説明したが、この構成に限定されない。
図12の変形例に示すように、半導体パッケージ106は、半導体チップ107が配線基板108の電極に直接接続されてフリップチップボンディングされていてもよい。
【0047】
また、本実施の形態の加工方法を、パッケージ基板の加工に適用する構成について説明したが、この構成に限定されない。
図13A及び
図13Bの変形例に示すように、本実施の形態の加工方法をウェーハの加工に適用して、ウェーハ109、110の分割後のチップ側面に傾斜又は段差を付けるようにしてもよい。例えば、光デバイスウェーハを分割してLEDチップを製造する際には、チップ側面に傾斜や段差を設けることで光の取り出し効率を向上させることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、マルチブレードが一対の切削ブレードと3つのスペーサとで構成されたが、この構成に限定されない。マルチブレードは、複数の切削ブレードと、2つの切削ブレードの間に設けられたスペーサとで同一回転軸心を有するように構成されていればよい。したがって、マルチブレードが3つ以上の切削ブレードを有していてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、スペーサによって切削ブレードを挟み込む構成にしたが、この構成に限定されない。少なくともスペーサが隣り合う切削ブレードの間に設けられていればよく、切削ブレードの間から露出したスペーサの外面がチップの外周に所望の形状を形成する転写形状で形成されていればよい。
【0050】
また、本実施の形態では、基板の裏面が保持テープで保持されて各工程が実施される構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、基板の裏面が保持治具で保持された状態で各工程が実施されてもよい。また、保持治具は、基板を保持可能であればよく、例えば、チャックテーブルやサブストレートで構成されてもよい。
【0051】
また、半導体パッケージは、携帯電話等の携帯通信機器に用いられる構成に限らず、カメラ等の他の電子機器に用いられてもよい。
【0052】
また、パッケージ基板は、いわゆるFOWLP(Fan Out Wafer Level Package)基板でもよく、再配線層上に厚みの異なる複数チップを実装する構成にしてもよい。したがって、配線基材は、PCB基板等の配線基板に限定されず、FOWLP基板の再配線層でもよい。
【0053】
また、被加工物として、加工の種類に応じて、例えば、半導体デバイスウェーハ、光デバイスウェーハ、パッケージ基板、半導体基板、無機材料基板、酸化物ウェーハ、生セラミックス基板、圧電基板等の各種ワークが用いられてもよい。半導体デバイスウェーハとしては、デバイス形成後のシリコンウェーハや化合物半導体ウェーハが用いられてもよい。光デバイスウェーハとしては、デバイス形成後のサファイアウェーハやシリコンカーバイドウェーハが用いられてもよい。また、パッケージ基板としてはCSP(Chip Size Package)基板、半導体基板としてはシリコンやガリウム砒素等、無機材料基板としてはサファイア、セラミックス、ガラス等が用いられてもよい。さらに、酸化物ウェーハとしては、デバイス形成後又はデバイス形成前のリチウムタンタレート、リチウムナイオベートが用いられてもよい。
【0054】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記各実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0055】
また、本発明の実施の形態は上記の各実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
【0056】
また、本実施の形態では、本発明を半導体パッケージ及びウェーハ等の加工方法に適用した構成について説明したが、個々のチップに分割される他の加工対象の加工方法に適用することも可能である。