(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、流水等でほぐしただけで喫食をする茹で麺製品や、消費者が室温で解凍しそのまま喫食をする自然解凍冷凍食品が注目されている。これらは、喫食直前に加熱処理を行わないため、これまで以上に製品中の菌のコントロールが重要となる。そのため製品中の菌の制御はもとより製造工程や製造装置内における菌の増殖を抑止し、汚染源とならないようにこれまで以上に注意する必要がある。特に茹で麺については、乾麺を茹でたあと包装や冷凍等の次の工程に受け渡すまでに室温程度に冷却をする必要があるが、冷却工程を含めて菌が増殖することがない茹で麺の製造工程、製造装置がなかった。
【0005】
菌の増殖を抑え、殺菌する方法としては、次亜塩素酸ナトリウムが広く利用されてきた。しかしながら、殺菌力は十分であるものの、食品に塩素臭が付きやすく、また漂白作用が強く色味が悪くなるという欠点があった。また、塩素の残留を除去するためにすすぎが必要であった。さらに、熱により分解が進むため高温環境下では使用することができなかった。紫外線やマイクロ波では、漂白作用はないものの曝露した表面のみの殺菌であり短時間での殺菌力が十分でなかった。そのため、これらの殺菌方法はこのような食品を製造する用途には使用できなかった。
【0006】
本発明の目的は、茹で麺の味を損なうことなく簡易に、迅速に且つ確実に茹で麺を殺菌することができる茹で麺の製造装置及び該茹で麺の製造装置を用いた茹で麺の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の茹で麺の製造装置は、湯を用いて麺を茹でる茹で部と、前記茹で部において茹でられた前記麺を冷却する冷却部と、を備える茹で麺の製造装置であって、前記冷却部において前記麺を冷却する冷却水は微酸性電解水であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の茹で麺の製造装置は、前記冷却部が前記茹で部から第1冷却槽に投入された前記麺を前記第1冷却槽において冷却する第1冷却部と、前記第1冷却部により冷却された前記麺を前記第1冷却槽と異なる第2冷却槽において冷却する第2冷却部と、前記冷却水である前記微酸性電解水を前記第2冷却槽に補充する給水部と、前記第2冷却槽から漏出する前記冷却水を移動させ、前記第1冷却槽に注入する冷却水移動機構と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の茹で麺の製造装置は、前記茹で麺を用いて冷凍麺を製造する冷凍麺製造装置の一部を構成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の茹で麺の製造装置は、前記麺がショートパスタであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の茹で麺の製造方法は、湯を用いて麺を茹でる茹で工程と、前記茹で工程において茹でられた前記麺を冷却する冷却工程と、を含む茹で麺の製造方法であって、前記冷却工程において使用する冷却水は微酸性電解水であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の茹で麺の製造方法は、前記冷却工程が前記茹で工程において茹でられ第1冷却槽に投入された前記麺を前記第1冷却槽において冷却する第1冷却工程と、前記第1冷却工程により冷却された前記麺を前記第1冷却槽と異なる第2冷却槽において冷却する第2冷却工程と、を含み、前記冷却工程において前記麺を冷却する間、前記冷却水である前記微酸性電解水を前記第2冷却槽に給水し、前記第2冷却槽から漏出する前記冷却水を移動させ、前記第1冷却槽に注入する冷却水移動工程を更に含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の茹で麺の製造方法は、前記茹で麺を用いて冷凍麺を製造する冷凍麺製造方法の一部を構成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の茹で麺の製造方法は、前記麺がショートパスタであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、茹で麺の味を損なうことなく簡易に、迅速に且つ確実に茹で麺を殺菌することができる茹で麺の製造装置及び該茹で麺の製造装置を用いた茹で麺の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る冷凍麺製造装置について説明する。
図1は、実施の形態に係る冷凍麺製造装置の構成について説明するための図である。この実施の形態に係る冷凍麺製造装置2は、冷凍麺を製造するための装置であって、
図1に示すように、茹で部4、冷却部6、凍結部8及び包装部10を備えている。なお、この実施の形態においては、冷凍麺として冷凍マカロニを製造する場合を例に挙げて説明するが、例えば他のパスタ(マカロニ以外のショートパスタ、スパゲッティ等のロングパスタ、ラザニア等の板状パスタを含む)、うどん、そば等他の冷凍麺を製造する場合にも本発明を適用することができる。また、冷凍麺製造装置2の説明においてはXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照して説明する。XYZ直交座標系は、
図1に示すように、Y軸が
図1の紙面に対して垂直方向となるように、Z軸が鉛直方向となるように、X軸がYZ平面に対して垂直方向となるように設定される。
【0018】
茹で部4は、
図1に示すように、乾燥マカロニを茹でるための湯が貯留される茹で槽12a,12b、及び乾燥マカロニを収容する茹で用容器14a,14bを備えており、茹で槽12a,12b内の湯を用いて茹で用容器14a,14b内の乾燥マカロニを喫食可能な状態になるまで茹でる。また、茹で部4は、茹で槽12a,12bに貯留されている湯からの蒸気を排出する排気口15、及び茹で槽12a,12bの上部を覆い、開閉可能な蓋部17を備えている。
【0019】
茹で槽12a,12bは略直方体形状を有し、+Z方向側の面が開放されている。少なくとも乾燥マカロニを茹でる間、茹で槽12a,12b内は湯で満たされており、茹で槽12a,12b内の湯は加熱部26(
図2参照)により加熱されている。茹で用容器14a,14bはZX平面において等脚台形状である台形柱状を有し、茹で用容器14a,14bの上面(+Z方向側の面)はマカロニを投入及び排出するために開放されている。また、茹で用容器14a,14bは、上面の−X方向側の辺(Y方向に平行な辺)を軸として回動可能に構成されている。また、茹で用容器14a,14b側面の−Z方向側及び底面(−Z方向側の面)には、多数の孔16a,16bが設けられている。多数の孔16a,16bは例えばパンチングにより形成されたパンチング孔であって、その孔径は湯のみが浸入及び排出され、マカロニが排出されない大きさである。
【0020】
茹で用容器14aは、
図1に示すように、茹で槽12a内の湯に浸漬可能に設けられている。即ち、茹で用容器14aが茹で槽12a内に入れられている間、茹で槽12a内の湯が茹で用容器14aの孔16aから茹で用容器14a内に浸入する。また、
図1の破線で示すように、茹で槽12a内に入れられている茹で用容器14aが反時計回りに回動すると、茹で用容器14aは茹で槽12a内から持ち上げられ、茹で用容器14a内の湯は孔16aから排出され、それと同時に茹で用容器14a内の乾燥マカロニ(半茹で状態のマカロニ)は茹で用容器14b内に移動する。同様に、茹で用容器14bは、
図1に示すように、茹で槽12b内の湯に浸漬可能に設けられている。即ち、茹で用容器14bが茹で槽12b内に入れられている間、茹で槽12b内の湯が茹で用容器14bの孔16bから茹で用容器14b内に浸入する。また、茹で槽12b内に入れられている茹で用容器14bが反時計回りに回動すると、茹で用容器14bは茹で槽12b内から持ち上げられ、茹で用容器14b内の湯は孔16bから排出され、それと同時に
図1の破線で示すように蓋部17が開き、茹で用容器14b内の茹で上がったマカロニは冷却用容器20a(
図1参照)内に移動する。
【0021】
冷却部6は、
図1に示すように、茹で上がったマカロニを冷却するための液体が貯留される冷却槽18a,18b,18c、及び茹で上がったマカロニを収容する冷却用容器20a,20b,20cを備えており、冷却槽18a〜18c内の液体を用いて冷却用容器20a〜20c内のマカロニを冷却する。具体的には、冷却部6は、まず茹で部4から冷却槽18a(冷却用容器20a)に投入されたマカロニを冷却槽18aにおいて冷却し、次に冷却用容器20aから冷却槽18b(冷却用容器20b)に投入されたマカロニを冷却槽18bにおいて更に冷却し、最後に冷却槽18a,18bにより冷却され冷却用容器20bから冷却槽18c(冷却用容器20c)に投入されたマカロニを冷却槽18cにおいて更に冷却する。冷却槽18a〜18cに貯留される液体(冷却水)は、微酸性電解水であり、冷却槽18a〜18c内の微酸性電解水に冷却用容器20a〜20c内のマカロニを浸漬させることにより、マカロニは冷却されると同時に殺菌される。
【0022】
微酸性電解水は、次亜塩素酸(HClO)水溶液のpHを5.0〜6.5に調整した微酸性の殺菌水である。微酸性電解水は、従来から殺菌用途で食品添加物として使用されている次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)水溶液(pHが9.0前後のアルカリ性)と比べた場合、同じ塩素濃度であっても液中においてより殺菌効果の高い次亜塩素酸(HClO)の存在比率が高くなる。したがって、微酸性電解水においては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と同じ効果を得るために必要な塩素濃度が低くてよい。即ち、塩素濃度を低くすることができるため、食品への塩素臭の付着を防止することができ、食品の味を損なうことなく食品の殺菌を確実に行うことができる。
【0023】
また、冷却部6は、所定温度(約5℃)に調整された微酸性電解水を冷却層18cに供給(補充)する給水部19、及び冷却層18a内の微酸性電解水を排出する排水部21を備えている。
【0024】
冷却槽18a〜18cは略直方体形状を有し、+Z方向側の面が開放されており、冷却槽18a〜18c内の微酸性電解水は少なくともマカロニを冷却する間、冷却槽18c側に設けられている給水部19から供給され、冷却槽18a側に設けられている排水部21から排出される。冷却用容器20a〜20cはZX平面において等脚台形状である台形柱状を有し、上面(+Z方向側の面)がマカロニを投入及び排出するために開放されている。また、冷却用容器20a〜20cは、上面の−X方向側の辺(Y方向に平行な辺)を軸として回動可能に構成されている。また、冷却用容器20a〜20c側面の−Z方向側及び底面(−Z方向側の面)には、多数の孔22a,22b,22cが設けられている。多数の孔22a〜22cは例えばパンチングにより形成されたパンチング孔であって、その孔径は微酸性電解水のみが浸入及び排出され、マカロニが排出されない大きさである。
【0025】
冷却用容器20aは、
図1に示すように、冷却槽18a内の微酸性電解水に浸漬可能に設けられている。即ち、冷却用容器20aが冷却槽18a内に入れられている間、冷却槽18a内の微酸性電解水が冷却用容器20aの孔22aから冷却用容器20a内に浸入する。また、冷却槽18a内に入れられている冷却用容器20aが反時計回りに回動すると、冷却用容器20aは冷却槽18a内から持ち上げられ、冷却用容器20a内の微酸性電解水は孔22aから排出され、それと同時に冷却用容器20a内のマカロニは冷却用容器20b内に移動する。冷却槽18aには、冷却槽18bで過剰となった微酸性電解水が供給されている。即ち、冷却槽18a内の微酸性電解水は、冷却槽18bから漏出し注入されたものである。冷却槽18a内の微酸性電解水は、冷却槽18bの過剰分が供給され、排水部21から機外へ排水されることで冷却槽18a内に滞留せず、冷却槽18aの水位と水温は、ほぼ一定に保たれている。
【0026】
同様に、冷却用容器20bは、
図1に示すように、冷却槽18b内の微酸性電解水に浸漬可能に設けられている。即ち、冷却用容器20bが冷却槽18b内に入れられている間、冷却槽18b内の微酸性電解水が冷却用容器20bの孔22bから冷却用容器20b内に浸入する。また、冷却槽18b内に入れられている冷却用容器20bが反時計回りに回動すると、冷却用容器20bは冷却槽18b内から持ち上げられ、冷却用容器20b内の微酸性電解水は孔22bから排出され、それと同時に冷却用容器20b内のマカロニは冷却用容器20c内に移動する。冷却槽18bには、冷却槽18cで過剰となった微酸性電解水が供給されている。即ち、冷却槽18b内の微酸性電解水は、冷却槽18cから漏出し注入されたものである。冷却槽18b内の微酸性電解水は、冷却槽18cの過剰分が供給され、冷却槽18aに漏出することで冷却槽18b内に滞留せず、冷却槽18bの水位と水温が所定の範囲に保たれているとともに、微酸性電解水中の活性成分の濃度が低下しすぎないように制御される。
【0027】
また、冷却用容器20cは、
図1に示すように、冷却槽18c内の微酸性電解水に浸漬可能に設けられている。即ち、冷却用容器20cが冷却槽18c内に入れられている間、冷却槽18c内の微酸性電解水が冷却用容器20cの孔22cから冷却用容器20c内に浸入する。また、
図1の破線で示すように、冷却槽18c内に入れられている冷却用容器20cが反時計回りに回動すると、冷却用容器20cは冷却槽18c内から持ち上げられ、冷却用容器20c内の微酸性電解水は孔22cから排出され、それと同時に冷却用容器20c内のマカロニは凍結部8に移動する。冷却槽18c内の微酸性電解水は、給水部19から供給されている。即ち、冷却槽18c内の微酸性電解水は、冷却槽18cから漏出し注入されたものである。冷却槽18c内の微酸性電解水は、給水部19から供給され、冷却槽18cの過剰分が冷却槽18bに漏出することで冷却槽18c内に滞留せず、冷却槽18cの水位と水温が所定の範囲に保たれているとともに、微酸性電解水中の活性成分の濃度が低下しすぎないように制御される。
【0028】
なお、茹で用容器14a,14b及び冷却用容器20a〜20cの少なくとも1つは、ZX平面において2つの等脚台形状を有する容器以外の容器、例えばZX平面において2つの直角台形状、半円形状または四半円形状等を有する容器であってもよい。また、茹で用容器14a,14b及び冷却用容器20a〜20cの少なくとも1つは、茹で用容器14a,14bの多数の孔16a,16b及び冷却用容器20a〜20cの多数の孔22a〜22cに代えて、湯または微酸性電解水のみを浸入及び排出可能な網等を有する構成であってもよい。
【0029】
凍結部8は、冷却部6により冷却され、殺菌されたマカロニを凍結する。包装部10は、凍結部8により冷凍されたマカロニを包装する。
【0030】
図2は、冷凍麺製造装置2のシステム構成を示すブロック図である。冷凍麺製造装置2は、
図2に示すように、冷凍麺製造装置2の各部を統括的に制御する制御部24を備えている。制御部24には、加熱部26、回転角度制御部28a,28b,28c,28d,28e、給水制御部30及び排水制御部32が接続されている。加熱部26は、茹で槽12a,12b内の湯を加熱し、制御部24は、加熱部26を介して加熱のオンオフを制御する。回転角度制御部28aは茹で用容器14aの回転角度、回転角度制御部28bは茹で用容器14bの回転角度、回転角度制御部28cは冷却用容器20aの回転角度、回転角度制御部28dは冷却用容器20bの回転角度、回転角度制御部28eは冷却用容器20cの回転角度を制御する。制御部24は、回転角度制御部28a〜28eを介して茹で用容器14a,14b及び冷却用容器20a〜20cそれぞれを時計回りまたは反時計回りにY軸を回転軸として回動させる。給水制御部30は、給水部19から冷却用容器20a〜20c内に微酸性電解水を供給し、制御部24は、給水制御部30を介して微酸性電解水の供給のオンオフを制御する。排水制御部32は、排水部21から冷却用容器20a〜20c内の微酸性電解水を排出し、制御部24は、排水制御部32を介して微酸性電解水の排出のオンオフを制御する。特に、制御部24は、給水制御部30及び排水制御部32を介して、微細性電解水の水位と水温が所定の範囲となるように、且つ活性成分の濃度が低下しすぎないように、冷却槽18cに微酸性電解水を補充し、冷却槽18c,18bから漏出する微酸性電解水を移動させ、冷却槽18b,18aに注入し、冷却槽18aから微酸性電解水を排出する。
【0031】
次に、この実施の形態に係る冷凍麺製造装置2を用いて冷凍マカロニを製造する製造方法について説明する。
【0032】
まず、制御部24は、茹で槽12a,12b内に満たされた湯を用いて茹で用容器14a,14b内に投入された乾燥マカロニを喫食可能になるまで茹でる。具体的には、予め茹で槽12a,12b内に湯を入れて、加熱部26により加熱した状態で、制御部24は、乾燥マカロニを収容した茹で用容器14aを茹で槽12a内の湯に所定時間浸漬する。所定時間経過後、制御部24は、回転角度制御部28aを制御することにより茹で用容器14aを反時計回りに回動させて湯切りし、且つ茹で用容器14a内の乾燥マカロニ(半茹で状態のマカロニ)を茹で用容器14b内に移動させる。このとき、茹で用容器14bは、茹で槽12b内に収まっている。そして、制御部24は、半茹で状態のマカロニを収容した茹で用容器14bを茹で槽12b内の湯に所定時間浸漬する。なお、茹で部4により乾燥マカロニが茹でられている間、蓋部17は閉じており、茹で槽12a,12b内の湯は加熱部26により加熱され続けている。所定時間経過後、蓋部17が開かれ、制御部24は、回転角度制御部28bを制御することにより茹で用容器14bを反時計回りに回動させて湯切りし、且つ茹で用容器14b内のマカロニ(茹で上がった状態のマカロニ)を冷却槽18a(冷却用容器20a)内に移動させる。
【0033】
なお、茹で用容器14b内のマカロニを冷却用容器20a内に移動させるとき既に、制御部24は、給水制御部30を制御することにより冷却槽18a〜18c内に所定温度に調整された微酸性電解水を給水部19から供給することで所定の水位を保っている。また、冷却用容器20a〜20cそれぞれは、冷却槽18a〜18cそれぞれの中に収まっている。
【0034】
次に、制御部24は、冷却槽18a〜18c内に満たされた微酸性電解水を用いて冷却用容器20a〜20c内に投入されたマカロニを冷却する。具体的には、制御部24は、マカロニを収容した冷却用容器20aを冷却槽18a内の微酸性電解水に所定時間浸漬する。所定時間経過後、制御部24は、回転角度制御部28cを制御することにより冷却用容器20aを反時計回りに回動させて水切りし、且つ冷却用容器20a内のマカロニを冷却槽18b(冷却用容器20b)内に移動させる。そして、制御部24は、マカロニを収容した冷却用容器20bを冷却槽18b内の微酸性電解水に所定時間浸漬する。所定時間経過後、制御部24は、回転角度制御部28dを制御することにより冷却用容器20bを反時計回りに回動させて水切りし、且つ冷却用容器20b内のマカロニを冷却槽18c(冷却用容器20c)内に移動させる。更に、制御部24は、マカロニを収容した冷却用容器20cを冷却槽18c内の微酸性電解水に所定時間浸漬する。所定時間経過後、制御部24は、回転角度制御部28eを制御することにより冷却用容器20cを反時計回りに回動させて水切りし、且つ冷却用容器20c内のマカロニを凍結部8へ移動させる。
【0035】
この様に冷却部6を動作させると、マカロニからの熱移動によって冷却槽18a〜18cの中の微酸性電解水の水温が上昇することで、冷却能力が低下する。また、微酸性電解水の有効成分が徐々に低下し、水位も不安定となる。そこで、制御部24は、マカロニの冷却中、給水部19から必要な所定量の微酸性電解水の供給を行い、冷却槽18cから冷却槽18b、冷却槽18bから冷却槽18aへオーバーフローさせ、冷却槽18aに取り付けられた排水部21から排水することで、冷却槽18a〜18c内に満たされた微酸性電解水を入れ替えながら水位と水温が所定の範囲にするとともに、微酸性電解水中の活性成分の濃度が低下しすぎないよう制御する。
【0036】
次に、制御部24は、所定温度に調整された微酸性電解水に浸漬されることにより冷却及び殺菌されたマカロニを、凍結部8において個別急速冷凍し、包装部10へ移動する。そして、制御部24は、マカロニを所定重量(一袋分の重量)に小分けした後、包装部10において包装する。
【0037】
この実施の形態に係る冷凍麺製造装置2によれば、殺菌効果が高く低濃度で活性のある微酸性電解水を用いてマカロニ等の麺を冷却するため、麺の味を損なうことなく簡易に、迅速に且つ確実に麺の殺菌を行うことができる。特に、茹で部4と比して菌が繁殖しやすい環境下にある冷却部6において麺を確実に殺菌することができるため、通常より厳しい殺菌条件であっても該殺菌条件をパスした冷凍麺を製造することができる。
【0038】
また、この実施の形態に係る冷凍麺の製造方法によれば、茹で上がった麺を冷却する工程において、殺菌効果が高い微酸性電解水を用いてマカロニ等の麺を冷却するため、麺の味を損なうことなく簡易に、迅速に且つ確実に麺の殺菌を行うことができる。特に、茹で工程と比して菌が繁殖しやすい環境下にある冷却工程において麺を確実に殺菌することができるため、通常より厳しい殺菌条件であっても該殺菌条件をパスした冷凍麺を製造することができる。
【0039】
本発明によると本実施形態のように、茹で部4で茹でた茹でマカロニを冷却部6において、菌が繁殖しやすい冷却槽18a〜18c内の冷却水が、殺菌効果がなく増菌する可能性のある水道水等の通常の水に接触することがないだけでなく、殺菌効果のある微酸性電解水で冷却するため、菌の無い茹で麺を製造することができる。本実施形態の他、シャワー等により冷却水をかけ流して使用する形態であれば、冷却水として水道水等の通常の水による冷却工程を冷却部6の一部として利用することができる。また、次亜塩素酸ナトリウムを使用した場合と異なり、微酸性電解水は、活性成分の濃度が低くすすぎ不要であり、殺菌効果がある微酸性電解水を付着させたまま製品とすることができるため、下流工程での菌汚染も受けにくい。
【0040】
なお、本実施形態においては、冷凍麺の製造装置及び冷凍麺の製造方法を例に説明を行ったが、茹で麺を製造した後の工程は、これに縛られず、無菌包装装置及び無菌方法等、菌が増殖することがない茹で麺を利用するものであれば適宜選択ができるのは当然である。また、本実施形態においては、冷却部6が3つの冷却槽18a〜18cを備える場合を例に挙げて説明したが、2つの冷却槽または4つ以上の冷却槽を備える場合も本発明を適用することができる。
【実施例】
【0041】
(実施例)
冷凍麺製造装置2を用いて冷凍マカロニを製造した。茹で部4により茹でられたマカロニを冷却部6において微酸性電解水(ph:5.8〜6.0,濃度:30ppm,供給量:50L/min)により冷却し、冷凍麺製造装置2を4時間稼動させた。(1)冷却部6による冷却後のマカロニ、(2)冷却水として用いた微酸性電解水、(3)冷却するマカロニを収容した冷却用容器20a,20c及び(4)冷却に用いた微酸性電解水を収容した冷却槽18a,18cについて、(a)冷却直後(初発)及び(b)増菌後の(ア)一般生菌数、(イ)大腸菌群数及び(ウ)大腸菌数を計測した。なお、(3)については、冷却用容器20a,20cの収容部及び冷却用容器20a,20cの回動軸である軸部における(ア)一般生菌数、(イ)大腸菌群数及び(ウ)大腸菌数を計測した。また、(4)については、冷却槽18a,18cの底部における(ア)一般生菌数、(イ)大腸菌群数及び(ウ)大腸菌数を計測した。また、(b)の増菌条件は、温度35℃、時間12時間とした。(ア)の培養条件はペトリフィルム培地ACプレートを用い、温度35℃、時間48時間とし、(イ)の培養条件はペトリフィルム培地ECプレートを用い、温度35℃、時間24時間とし、(ウ)の培養条件はペトリフィルム培地ECプレートを用い、温度35℃、時間24時間とした。計測結果を
図3の表に示す。
図3の表に示すように、初発のみならず増菌後においても一般生菌及び大腸菌群が増殖していないことを確認することができた。
【0042】
(比較例)
冷凍麺製造装置2を用いて冷凍マカロニを製造した。茹で部4により茹でられたマカロニを冷却部6において水により冷却し、冷凍麺製造装置2を4時間稼動させた。(1)冷却部6による冷却後のマカロニ、(2)冷却水として用いた水、(3)冷却するマカロニを収容した冷却用容器20a,20c及び(4)冷却に用いた微酸性電解水を収容した冷却槽18a,18cについて、(a)冷却直後(初発)及び(b)増菌後の(ア)一般生菌数、(イ)大腸菌群数及び(ウ)大腸菌数を計測した。なお、(3)については、冷却用容器20a,20cの収容部及び冷却用容器20a,20cの回動軸である軸部における(ア)一般生菌数、(イ)大腸菌群数及び(ウ)大腸菌数を計測した。また、(4)については、冷却槽18a,18cの底部における(ア)一般生菌数、(イ)大腸菌群数及び(ウ)大腸菌数を計測した。また、(b)の増菌条件は、温度35℃、時間12時間とした。(ア)の培養条件はペトリフィルム培地ACプレートを用い、温度35℃、時間48時間とし、(イ)の培養条件はペトリフィルム培地ECプレートを用い、温度35℃、時間24時間とし、(ウ)の培養条件はペトリフィルム培地SECプレートを用い、温度35℃、時間24時間とした。計測結果を
図3の表に示す。
図3の表に示すように、初発において一般生菌を確認することができ、増菌後において一般生菌及び大腸菌群が増殖していることを確認することができた。