特許第6971129号(P6971129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日本無線株式会社の特許一覧

特許6971129電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置
<>
  • 特許6971129-電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置 図000008
  • 特許6971129-電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置 図000009
  • 特許6971129-電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置 図000010
  • 特許6971129-電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置 図000011
  • 特許6971129-電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置 図000012
  • 特許6971129-電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置 図000013
  • 特許6971129-電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置 図000014
  • 特許6971129-電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置 図000015
  • 特許6971129-電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971129
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】電流センスアンプ回路及びスイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-219925(P2017-219925)
(22)【出願日】2017年11月15日
(65)【公開番号】特開2019-92306(P2019-92306A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正義
(72)【発明者】
【氏名】古谷 仁
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−012741(JP,A)
【文献】 特開2012−090499(JP,A)
【文献】 特開2013−156926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源端子に一端が接続された第1抵抗を流れる電流を該第1抵抗に発生する電圧に基づいて検出する電流センスアンプ回路において、
反転入力端子が第2抵抗を介して前記第1電源端子に接続され非反転入力端子が前記第1抵抗の他端に接続されるオペアンプと、該オペアンプの出力端子にゲートが接続されソースが前記オペアンプの反転入力端子に接続されドレインに第3抵抗の一端が接続された負帰還制御トランジスタと、前記オペアンプの出力端子にゲートが接続されソースが第4抵抗を介して前記第1電源端子に接続された制御トランジスタと、該制御トランジスタのドレインに一端が接続されトリム信号によってON/OFFが制御されるトリムトランジスタと、該トリムトランジスタの他端に一端が接続された第5抵抗とを備え、
前記第4抵抗を前記第2抵抗と同一抵抗値に設定し、前記制御トランジスタを前記負帰還制御トランジスタと同一サイズに設定し、前記第5抵抗の前記一端を前記第3抵抗の他端に接続し、前記第5抵抗の他端を第2電源端子に接続して、前記負帰還制御トランジスタのドレインから電流センス電圧を取り出すことを特徴とする電流センスアンプ回路。
【請求項2】
第1電源端子に一端が接続された第1抵抗を流れる電流を該第1抵抗に発生する電圧に基づいて検出する電流センスアンプ回路において、
反転入力端子が第2抵抗を介して前記第1電源端子に接続され非反転入力端子が前記第1抵抗の他端に接続されたオペアンプと、該オペアンプの出力端子にゲートが接続されソースが前記オペアンプの反転入力端子に接続されドレインが第3抵抗を介して第2電源端子に接続された負帰還制御トランジスタと、前記オペアンプの出力端子にゲートが接続されソースが第4抵抗を介して前記第1電源端子に接続された制御トランジスタと、該制御トランジスタのドレインに一端が接続されトリム信号によってON/OFFが制御されるトリムトランジスタと、該トリムトランジスタの他端に一端が接続された第5抵抗とを備え、
前記第4抵抗を前記第2抵抗と同一抵抗値に設定し、前記制御トランジスタを前記負帰還制御トランジスタと同一サイズに設定し、前記第5抵抗の他端を前記第2電源端子に接続し、前記第5抵抗の前記一端から電流センス電圧を取り出すことを特徴とする電流センスアンプ回路。
【請求項3】
請求項1に記載の電流センスアンプ回路において、
前記第4抵抗と前記制御トランジスタと前記トリムトランジスタと前記第5抵抗の組をN組(Nは2以上の正の整数)設け、第1組の前記第5抵抗の前記他端を前記第2電源端子に接続し、第2組の前記第5抵抗の前記他端を前記第1組の前記第5抵抗の前記一端に接続し、・・・、第N組の前記第5抵抗の前記他端を第N−1組の前記第5抵抗の前記一端に接続し、前記N組の前記第5抵抗の前記一端を前記第3抵抗の前記他端に接続したことを特徴とする電流センスアンプ回路。
【請求項4】
請求項2に記載の電流センスアンプ回路において、
前記第4抵抗と前記制御トランジスタと前記トリムトランジスタと前記第5抵抗の組をN組(Nは2以上の正の整数)設け、第1組の前記第5抵抗の前記他端を前記第2電源端子に接続し、第2組の前記第5抵抗の前記他端を前記組の前記第5抵抗の前記一端に接続し、・・・、N組の前記第5抵抗の前記他端をN−1組の前記第5抵抗の前記一端に接続し、前記第N組の前記第5抵抗の前記一端を前記第N組の前記トリムトランジスタの前記他端に接続し、第N組の第5抵抗の前記一端から前記電流センス電圧を取り出すことを特徴とする電流センスアンプ回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の電流センスアンプ回路において、
前記トリムトランジスタを、前記トリム信号によって切断されるヒューズに置き換えたことを特徴とする電流センスアンプ回路。
【請求項6】
ドレインが第1ノードに接続されソースが第1電源端子に接続された第1スイッチングトランジスタと、
ドレインが前記第1ノードに接続されソースが第1抵抗の他端に接続され前記第1スイッチングトランジスタと同期してON/OFFが制御される電流検出トランジスタと、
ドレインが前記第1ノードに接続されソースが第2電源端子に接続され、前記第1スイッチングトランジスタと相補的にON/OFFが制御される第2スイッチングトランジスタと、
前記第1ノードと出力端子の間に接続されたインダクタと、
前記出力端子と前記第2電源端子の間に接続された出力キャパシタと、
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の電流センスアンプ回路と、
該電流センスアンプ回路で得られる電流センス電圧と前記出力端子の出力電圧に応じて、前記第1スイッチングトランジスタ、前記電流検出トランジスタ、及び前記第2スイッチングトランジスタのON/OFFを制御する制御回路と、
を備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源端子に一端が接続された第1抵抗を流れる電流を該第1抵抗に発生する電圧に基づいて検出する電流センスアンプ回路及びその電流センスアンプ回路を使用した電流モード制御型のスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
<第1従来例>
入力電圧を降圧して一定の電圧を出力する電流モード制御型のスイッチング電源装置は、例えば図5に示すように構成されている(類似の技術として特許文献1、2、3)。このスイッチング電源装置は、第1ノードLXと第1電源端子1の間に接続され駆動信号φ1によってON/OFFが制御されるPMOSの第1スイッチングトランジスタMP1と、第1ノードLXと接地端子(第2電源端子)2の間に接続され駆動信号φ1と同相の駆動信号φ2によってON/OFFが制御されるNMOSの同期整流用の第2スイッチングトランジスタMN1を備える。L1は第1ノードLXと出力端子3の間に接続されたインダクタ、C1は出力端子3と接地端子2の間に接続された出力キャパシタである。
【0003】
MP2はドレインが第1ノードLXに接続され駆動信号φ1によって第1スイッチングトランジスタMP1と同期してON/OFFが制御されるPMOSの電流検出トランジスタ、R1はトランジスタMP2のソースと第1電源端子1との間に接続された電流検出用の抵抗、4CはインダクタL1に流れる電流Iswが分流することで抵抗R1に発生する電圧Vdを増幅して電流センス電圧Voとして出力する電流センスアンプ回路である。
【0004】
5はトランジスタMP1,MP2,MN1のON/OFFを制御する制御回路であり、駆動回路51を備える。この駆動回路51は、発振器52で発振される固定周期の信号の立上りエッジをSET端子に入力することによって駆動信号φ1、φ2を“L”レベルに設定し、RESET端子に入力する信号の立上りエッジによって駆動信号φ1、φ2を“H”レベルに設定する。53はエラーアンプとして働くオペアンプであり、出力端子3に出力する出力電圧Voutを抵抗Ra,Rbで分圧した帰還電圧Vfbを、出力電圧Voutの目標電圧を設定する基準電圧Vrefと比較することで、エラー電圧Verrを発生する。54はコンパレータであり、電流センス回路4Cから出力する電流センス電圧Voとエラー電圧Verrを比較して、その比較結果を駆動回路51のRESET端子にリセット信号として出力する。
【0005】
電流センスアンプ回路4Cは、反転入力端子が抵抗R2を介して第1電源端子1に接続され、非反転入力端子がトランジスタMP2のソースに接続されたオペアンプ41と、オペアンプ41の出力端子にゲートが接続されソースがオペアンプ41の反転入力端子に接続されドレインが抵抗R3を介して接地端子2に接続されたPMOSの制御トランジスタMP3とを備える。この電流センスアンプ回路4Cのゲインは、G=Vo/Vd=R3/R2となる。
【0006】
図6図5のスイッチング電源装置の動作波形を示す。発振器52から出力するパルスが“H”に立ち上がると、駆動回路51によって駆動信号φ1が“H”から“L”に立ち下り、トランジスタMP1,MP2がONとなる。なお、駆動信号φ2はデッドタイムだけ早期に“H”から“L”に立ち下がっていて、このときはトランジスタMN1はOFFしている。そして、トランジスタMP1がONすることで、第1電源端子1から電流Iswが第1ノードLXを経由してインダクタL1に流れ、そこにエネルギーが蓄積されると共にキャパシタC1が充電され、また出力端子3から図示しない負荷に電力が供給される。この電流IswはインダクタL1のインダクタンスに応じて徐々に大きくなるので、電流センスアンプ回路4Cから出力する電流センス電圧Voはその電流Iswに応じて徐々に大きくなる。
【0007】
一方、出力電圧Voutに対応した帰還電圧Vfbがオペアンプ53において基準電圧Vrefと比較され、その比較結果であるエラー電圧Verr(=Vref−Vfb)がコンパレータ54に入力している。そして、このコンパレータ54において電流センスアンプ回路4Cから出力する電流センス電圧Voとエラー電圧Verrが比較されて、Vo>Verrになると、駆動回路51のRESET端子の電圧を“L”から“H”に立ち上げる。
【0008】
これによって、駆動回路51から出力している駆動信号φ1は“H”に立ち上り、トランジスタMP1,MP2がONからOFFに切り替わる。また、駆動信号φ2がデッドタイムだけ遅れて“L”から“H”に立ち上がり、トランジスタMN1がOFFからONに切り替わる。これによって、インダクタL1に蓄積されていたエネルギーによって、電流Iswが出力端子3の方向に流れ、負荷とトランジスタMN1を経由して第1ノードLXに戻る。以後、同様な動作が繰り返され、出力電圧Voutは基準電圧Vrefに対応した電圧に収束される。
【0009】
<第2従来例>
ここで、このゲインGを可変させるための一例として、図7に示す電流センスアンプ回路4Dが考えられる。この図7の電流センスアンプ回路4Dでは、抵抗R3と接地端子2の間に4個の抵抗R55〜R58を挿入接続するとともに、それらの抵抗R55〜R58を個々に短絡するスイッチSW1〜SW4を接続している。そのスイッチSW1〜SW4はトリミング設定回路6から出力する4ビットのトリム信号D1〜D4によってON/OFFが制御される。このため、抵抗R55〜R58の抵抗値を適宜設定しておけば、トリム信号D1〜D4によって16通りの抵抗値を実現できるので、ゲインGを16通りに可変することができる。
【0010】
ところが、図7の電流センスアンプ回路4Dは、スイッチSW1〜SW4をトランジスタで構成する場合のON抵抗や温度特性がゲインGに影響を及ぼす。そこで、この影響を減らすためにスイッチSW1〜SW4を構成するトランジスタのON抵抗を抵抗R55〜R58の抵抗値よりも小さくすることが考えれるが、この場合は、スイッチSW1〜SW4を構成するトランジスタのサイズが大きくなり半導体集積回路の専有面積が大きくなる問題がある。
【0011】
<第3従来例>
一方、図8に示す電流センスアンプ回路4Eのように、負帰還制御トランジスタMP3のドレインに直列接続した抵抗R3、R55〜R58の接続点を選択するスイッチSW11〜SW15を設けて、そのいずれか1つをトリミング設定回路6によって選択することで、そのスイッチSW11〜SW15から電流センス電圧Voを取り出すことも考えられる。この場合は、電流センス電圧Voを取り込む図示しない後段回路の入力段をハイインピーダンスに構成することで、スイッチSW11〜SW15に電流を流さないようにすることができ、スイッチSW11〜SW15のON抵抗や温度特性の影響を回避できる。しかし、分解能を高くするためにはスイッチの数が多く必要となり、半導体集積回路の専有面積が大きくなる問題がある。
【0012】
<第4従来例>
また、図9に示す電流センスアンプ回路4Fのように、抵抗R3と接地端子2との間に抵抗R59を接続し、オペアンプ41の出力によって負帰還制御トランジスタMP2と同様に制御される4個の制御トランジスタMP45〜MP48のソースと電源端子1の間に抵抗R45〜R48を接続すると共に、その制御トランジスタMP45〜MP48のドレインと抵抗R3とR59の共通接続点との間に、PMOSのトリムトランジスタMP51〜MP54を接続することも考えられる。
【0013】
この電流センスアンプ回路4Fでは、抵抗R2、R45〜R48の抵抗値や制御トランジスタMP45〜MP48のサイズの設定によって各経路の電流IS0,IS5〜IS8に重みを設定し、トリムトランジスタMP51〜MP54のON/OFFを4ビットのトリム信号D1〜D4で制御することで、トリムトランジスタ数の増大を回避することができる。しかし、この例では、電流IS0,IS5〜IS8に重みを設定する必要ためのマッチングを取ることが難しい。また、ビット数が増大すると消費電流が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−109689号公報
【特許文献2】特開2010−220355号公報
【特許文献3】特開2016−067113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、トランジスタのサイズ増大を回避し消費電流増大を防止して電流センス電圧のゲインを可変できるようにした電流センスアンプ回路及びそれを使用したスイッチング電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明の電流センスアンプ回路は、第1電源端子に一端が接続された第1抵抗を流れる電流を該第1抵抗に発生する電圧に基づいて検出する電流センスアンプ回路において、反転入力端子が第2抵抗を介して前記第1電源端子に接続され非反転入力端子が前記第1抵抗の他端に接続されるオペアンプと、該オペアンプの出力端子にゲートが接続されソースが前記オペアンプの反転入力端子に接続されドレインに第3抵抗の一端が接続された負帰還制御トランジスタと、前記オペアンプの出力端子にゲートが接続されソースが第4抵抗を介して前記第1電源端子に接続された制御トランジスタと、該制御トランジスタのドレインに一端が接続されトリム信号によってON/OFFが制御されるトリムトランジスタと、該トリムトランジスタの他端に一端が接続された第5抵抗とを備え、前記第4抵抗を前記第2抵抗と同一抵抗値に設定し、前記制御トランジスタを前記負帰還制御トランジスタと同一サイズに設定し、前記第5抵抗の前記一端を前記第3抵抗の他端に接続し、前記第5抵抗の他端を第2電源端子に接続して、前記負帰還制御トランジスタのドレインから電流センス電圧を取り出すことを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、第1電源端子に一端が接続された第1抵抗を流れる電流を該第1抵抗に発生する電圧に基づいて検出する電流センスアンプ回路において、反転入力端子が第2抵抗を介して前記第1電源端子に接続され非反転入力端子が前記第1抵抗の他端に接続されたオペアンプと、該オペアンプの出力端子にゲートが接続されソースが前記オペアンプの反転入力端子に接続されドレインが第3抵抗を介して第2電源端子に接続された負帰還制御トランジスタと、前記オペアンプの出力端子にゲートが接続されソースが第4抵抗を介して前記第1電源端子に接続された制御トランジスタと、該制御トランジスタのドレインに一端が接続されトリム信号によってON/OFFが制御されるトリムトランジスタと、該トリムトランジスタの他端に一端が接続された第5抵抗とを備え、前記第4抵抗を前記第2抵抗と同一抵抗値に設定し、前記制御トランジスタを前記負帰還制御トランジスタと同一サイズに設定し、前記第5抵抗の他端を前記第2電源端子に接続し、前記第5抵抗の前記一端から電流センス電圧を取り出すことを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1に記載の電流センスアンプ回路において、前記第4抵抗と前記制御トランジスタと前記トリムトランジスタと前記第5抵抗の組をN組(Nは2以上の正の整数)設け、第1組の前記第5抵抗の前記他端を前記第2電源端子に接続し、第2組の前記第5抵抗の前記他端を前記第1組の前記第5抵抗の前記一端に接続し、・・・、第N組の前記第5抵抗の前記他端を第N−1組の前記第5抵抗の前記一端に接続し、前記N組の前記第5抵抗の前記一端を前記第3抵抗の前記他端に接続したことを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項2に記載の電流センスアンプ回路において、前記第4抵抗と前記制御トランジスタと前記トリムトランジスタと前記第5抵抗の組をN組(Nは2以上の正の整数)設け、第1組の前記第5抵抗の前記他端を前記第2電源端子に接続し、第2組の前記第5抵抗の前記他端を前記1組前記第5抵抗の前記一端に接続し、・・・、N組の前記第5抵抗の前記他端をN−1組の前記第5抵抗の前記一端に接続し、前記第N組の前記第5抵抗の前記一端を前記第N組の前記トリムトランジスタの前記他端に接続し、第N組の第5抵抗の前記一端から前記電流センス電圧を取り出すことを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の電流センスアンプ回路において、前記トリムトランジスタを、前記トリム信号によって切断されるヒューズに置き換えたことを特徴とする。
請求項6にかかる発明のスイッチング電源装置は、ドレインが第1ノードに接続されソースが第1電源端子に接続された第1スイッチングトランジスタと、ドレインが前記第1ノードに接続されソースが第1抵抗の他端に接続され前記第1スイッチングトランジスタと同期してON/OFFが制御される電流検出トランジスタと、ドレインが前記第1ノードに接続されソースが第2電源端子に接続され、前記第1スイッチングトランジスタと相補的にON/OFFが制御される第2スイッチングトランジスタと、前記第1ノードと出力端子の間に接続されたインダクタと、前記出力端子と前記第2電源端子の間に接続された出力キャパシタと、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の電流センスアンプ回路と、該電流センスアンプ回路で得られる電流センス電圧と前記出力端子の出力電圧に応じて、前記第1スイッチングトランジスタ、前記電流検出トランジスタ、及び前記第2スイッチングトランジスタのON/OFFを制御する制御回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第4抵抗が第2抵抗と同一抵抗値に設定され、制御トランジスタが負帰還制御トランジスタと同一サイズに設定されているので、負帰還制御トランジスタと制御トランジスタに流れる電流を同一にすることができ、制御トランジスタから第5抵抗に流れる電流をトリムトランジスタによって選定するだけで、電流センスアンプ回路のゲインを所定値に設定することができ、トランジスタのサイズ増大を回避し消費電流増大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】スイッチング電源装置の本発明の第1実施例の電流センスアンプ回路とその近傍の回路図である。
図2】スイッチング電源装置の本発明の第2実施例の電流センスアンプ回路とその近傍の回路図である。
図3】第1実施例の電流センスアンプ回路のゲイン特性図である。
図4】第2実施例の電流センスアンプ回路のゲイン特性図である。
図5】スイッチング電源装置の第1従来例の回路図である。
図6図5のスイッチング電源装置の動作波形図である。
図7】第2従来例の電流センスアンプ回路とその近傍の回路図である
図8】第3従来例の電流センスアンプ回路とその近傍の回路図である
図9】第4従来例の電流センスアンプ回路とその近傍の回路図である
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施例>
図1にスイッチング電源装置の本発明の第1実施例の電流センスアンプ回路4Aとその近傍の部分を示す。この電流センスアンプ回路4Aは、オペアンプ41の出力端子に対して、PMOSの負帰還制御トランジスタMP3のゲートの他に、その負帰還制御トランジスタMP3と同一サイズのPMOSの制御トランジスタMP41〜MNP44のゲートがされており、各トランジスタMP41〜MP44のソースは抵抗R2と同じ抵抗値の抵抗R41〜R44を介して入力端子1に接続されている。また、負帰還制御トランジスタMP3のドレインと接地端子2の間には抵抗R3、R51〜R54の直列回路が接続されている。また、制御トランジスタMP41〜MP44のドレインには、トリミング設定回路6から出力する4ビットのトリム信号D1〜D4によってON/OFFが設定されるスイッチとしてのPMOSのトリムトランジスタMP51〜MP54のソースが接続されている。そして、トランジスタMP51のドレインは抵抗R51,R52の共通接続点に、トランジスタMP52のドレインは抵抗R52,R53の共通接続点に、トランジスタMP53のドレインは抵抗R53,R54の共通接続点に、トランジスタMP54のドレインは抵抗R54,R3の共通接続点に、それぞれ接続されている。
【0020】
上記のように、抵抗R2、R41〜R44が同一抵抗値に設定され、トランジスタMP3、M41〜MP44が同一サイズに設定されているので、トランジスタMP3、MP41〜MP44のドレイン電流IS0〜IS4は同一となっている。
【0021】
よって、例えば、トリム信号D1〜D4が[0000]であれば、トランジスタMP51〜MP54がすべてOFFであるので、抵抗R3、R51〜R64には電流IS0のみが流れ、このときの電流センスアンプ回路4AのゲインGは、
となる。トランジスタMP2のソース電圧Vdは、スイッチトランジスタMP1の出力電流Iswに比例する電流であり、その比例係数をαとすると、
で表される。
【0022】
ところで、抵抗R2と抵抗R41〜R44には相対バラツキがあり、また比例係数αは電流Iswを検出する電流検出手段によってバラツキがあるので、式(1)のゲインGに誤差が発生する。そこで本実施例では、トリミング設定回路6で設定されるトリム信号D1〜D4によって、トリムトランジスタMP51〜MP54のON/OFFの組み合わせを16通りの中から選択することで、ゲインGの誤差を解消する。
【0023】
このとき、調整量や調整範囲に応じて、抵抗R3、R51〜R54の抵抗値を予め決めておく。例えば、トリム信号D1〜D4によって線形的にトリミングを行う場合は、
のように最小変動量を設定する。そして、
のように設定しておけば、
によって、ゲインGを微調整することができる。TRIM[4:1]はトリム信号D1〜D4で決まる倍率(=0〜15のいずれか)である。
【0024】
図3にこのゲインGの微調整による電流センス電圧Voの特性を示した。この電流センス電圧Voは出力電流Iswの増大に比例して増大するが、トリム信号D1〜D4の設定に応じたゲインの電流センス電圧Voを取り出すことができる。データD1〜D4が[0000]のときは電流IS0のみが流れるのでゲインGが最低(電流センス電圧Voの傾斜が最小)となり、[1111]のときは電流IS0〜IS4のすべてが流れるのでゲインGが最高(電流センス電圧Voの傾斜が最大)となる。基準となる抵抗R51の抵抗値を小さくするほど、細かいゲイン調整が可能となる。
【0025】
<第2実施例>
図2に本発明のスイッチング電源装置の第2実施例の電流センスアンプ回路4Bとその近傍の部分を示す。本実施例の電流センスアンプ回路4Bは、負帰還制御トランジスタMP3のドレインに抵抗R3のみを接続し、制御トランジスタM54のドレインに抵抗R51〜R54を直列接続している。トランジスタMP51〜MP54のドレインの抵抗R51〜R54に対する接続関係とその他は第1実施例と同じである。
【0026】
本実施例における電流センスアンプ回路4BのゲインGは、
のように、式(5)における抵抗R30がなくなった形となる。したがって、トリム信号D1〜D4が[0000]のときは、電流IS1〜IS4が流れないので、ゲインGの最低値を0とすることができる。図4にこのゲインGの微調整による電流センス電圧Voの特性を示した。
【0027】
<その他の実施例>
なお、以上の第1及び第2実施例の電流センスアンプ回路において、トリムトランジスタMP51〜MP54は、4ビットのトリム信号D1〜D4が“0”になることで遮断するヒューズに置き換えることができる。また、以上では、4ビットのトリム信号D1〜D4でゲインを微調整することができる例で説明したが、ビット数は任意である。さらに、第1及び第2実施例の電流センスアンプ回路はスイッチング電源装置以外の電流検出用に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1:電源端子、2:接地端子、3:出力端子、4A〜4F:電流センスアンプ回路、41:オペアンプ、5:制御回路、51:駆動回路、52:発振器、53:オペアンプ、54:コンパレータ、6:トリミング設定回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9