(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交流電源から前記部品に電力を供給したり、前記電力が前記交流電源から前記部品に供給されることを遮断したりするスイッチを、前記部品の温度に基づいて制御することで前記基板を処理することを停止すること
とをさらに備える請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示する基板処理方法および基板処理装置の実施例について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により開示される技術が限定されるものではない。また、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[基板処理装置10の構成]
図1は、基板処理装置10の一例を示す縦断面図である。基板処理装置10は、
図1に示されているように、チャンバー1と排気装置2とゲートバルブ3とを備えている。チャンバー1は、アルミニウムで形成され、略円筒状に形成されている。チャンバー1の表面は、陽極酸化被膜で被覆されている。チャンバー1の内部には、処理空間5が形成されている。チャンバー1は、処理空間5を外部の雰囲気から隔離している。チャンバー1には、排気口6と開口部7とが形成されている。排気口6は、チャンバー1の底部に形成されている。開口部7は、チャンバー1の側壁に形成されている。排気装置2は、排気口6を介してチャンバー1の処理空間5に接続されている。排気装置2は、排気口6を介して処理空間5から気体を排気し、処理空間5を所定の真空度まで減圧する。ゲートバルブ3は、開口部7を開放したり、開口部7を閉鎖したりする。
【0009】
[載置台11の構成]
基板処理装置10は、載置台11をさらに備えている。載置台11は、処理空間5のうちの下部に配置されている。載置台11は、絶縁板14と支持台15と基材16と静電チャック17と内壁部材18とフォーカスリング19とを備えている。絶縁板14は、絶縁体で形成され、チャンバー1の底部に支持されている。支持台15は、導体で形成されている。支持台15は、絶縁板14の上に配置され、支持台15とチャンバー1とが電気的に絶縁されるように、絶縁板14を介してチャンバー1の底部に支持されている。
【0010】
基材16は、アルミニウムに例示される導体で形成されている。基材16は、支持台15の上に配置され、支持台15を介してチャンバー1の底部に支持されている。静電チャック17は、基材16の上に配置され、基材16を介してチャンバー1の底部に支持されている。静電チャック17は、静電チャック本体21と電極22と複数のヒータ23−1〜23−n(n=2,3,4,…)とを備えている。静電チャック本体21は、絶縁体で形成されている。電極22と複数のヒータ23−1〜23−nとは、静電チャック本体21の内部に埋め込まれている。
【0011】
内壁部材18は、石英に例示される絶縁体で形成され、円筒状に形成されている。内壁部材18は、基材16と支持台15とが内壁部材18の内側に配置されるように、基材16と支持台15との周囲に配置され、基材16と支持台15とを囲んでいる。フォーカスリング19は、単結晶シリコンで形成され、リング状に形成されている。フォーカスリング19は、静電チャック17がフォーカスリング19の内部に配置されるように、静電チャック17の外周に配置され、静電チャック17を囲んでいる。載置台11には、さらに、冷媒循環流路25と伝熱ガス供給流路26とが形成されている。冷媒循環流路25は、基材16の内部に形成されている。伝熱ガス供給流路26は、静電チャック17を貫通するように形成され、伝熱ガス供給流路26の一端は、静電チャック17の上面に形成されている。
【0012】
基板処理装置10は、直流電源31と複数の電力供給部32−1〜32−nとチラーユニット33と伝熱ガス供給部34とをさらに備えている。直流電源31は、静電チャック17の電極22に電気的に接続されている。直流電源31は、電極22に直流電圧を印加する。複数の電力供給部32−1〜32−nは、複数のヒータ23−1〜23−nに対応している。チラーユニット33は、冷媒循環流路25に接続されている。チラーユニット33は、冷媒を所定の温度に冷却し、その冷却された冷媒を基材16の内部の冷媒循環流路25に循環させる。伝熱ガス供給部34は、伝熱ガス供給流路26に接続されている。伝熱ガス供給部34は、Heガスに例示される伝熱ガスを伝熱ガス供給流路26に供給する。
【0013】
基板処理装置10は、第1高周波電源35と第2高周波電源36とをさらに備えている。第1高周波電源35は、第1整合器37を介して基材16に接続されている。第2高周波電源36は、第2整合器38を介して基材16に接続されている。第1高周波電源35は、所定の周波数(例えば100MHz)の高周波電力を基材16に供給する。第2高周波電源36は、第1高周波電源35が基材16に供給する高周波電力の周波数より低い周波数(例えば、13MHz)の高周波電力を基材16に供給する。
【0014】
[シャワーヘッド41の構成]
基板処理装置10は、シャワーヘッド41をさらに備えている。シャワーヘッド41は、シャワーヘッド41の下面が載置台11に対向するように、かつ、シャワーヘッド41の下面に沿う平面が載置台11の上面に沿う平面に対して概ね平行であるように、処理空間5のうちの載置台11の上方に配置されている。シャワーヘッド41は、絶縁性部材42と本体部43と上部天板44とを備えている。絶縁性部材42は、絶縁体で形成され、チャンバー1の上部に支持されている。本体部43は、例えば表面に陽極酸化処理が施されたアルミニウムに例示される導体で形成されている。本体部43は、本体部43とチャンバー1とが電気的に絶縁されるように、絶縁性部材42を介してチャンバー1に支持されている。本体部43と基材16とは、一対の上部電極と下部電極として利用される。上部天板44は、石英に例示されるシリコン含有物質で形成されている。上部天板44は、本体部43の下部に配置され、本体部43に対して着脱自在に本体部43に支持されている。
【0015】
本体部43には、ガス拡散室45とガス導入口46と複数のガス流出口47とが形成されている。ガス拡散室45は、本体部43の内部に形成されている。ガス導入口46は、本体部43のうちのガス拡散室45より上側に形成され、ガス拡散室45に連通している。複数のガス流出口47は、本体部43のうちのガス拡散室45より上部天板44の側に形成され、ガス拡散室45に連通している。上部天板44には、複数のガス導入口48が形成されている。複数のガス導入口48は、上部天板44の上面と下面とを貫通するように形成され、複数のガス流出口47にそれぞれ連通している。
【0016】
基板処理装置10は、処理ガス供給源51と弁52とマスフローコントローラ53(MFC)とをさらに備えている。処理ガス供給源51は、配管54を介してシャワーヘッド41の本体部43のガス導入口46に接続されている。マスフローコントローラ53は、配管54の途中に設けられている。弁52は、配管54のうちのマスフローコントローラ53とガス導入口46との間に設けられている。弁52は、開閉されることにより、処理ガス供給源51からガス導入口46に処理ガスを供給したり、処理ガスが処理ガス供給源51からガス導入口46に供給されることを遮断したりする。
【0017】
基板処理装置10は、可変直流電源55とローパスフィルタ56(LPF)とスイッチ57とをさらに備えている。可変直流電源55は、電路58を介してシャワーヘッド41の本体部43に電気的に接続されている。ローパスフィルタ56とスイッチ57とは、電路58の途中に設けられている。スイッチ57は、開閉されることにより、直流電圧をシャワーヘッド41に印加したり、直流電圧がシャワーヘッド41に印加されることを遮断したりする。
【0018】
基板処理装置10は、リング磁石61をさらに備えている。リング磁石61は、永久磁石から形成され、リング状に形成されている。リング磁石61は、チャンバー1がリング磁石61の内側に配置されるように、チャンバー1と同心円状に配置されている。リング磁石61は、図示されていない回転機構を介して回転自在にチャンバー1に支持されている。リング磁石61は、処理空間5のうちのシャワーヘッド41と載置台11との間の領域に磁場を形成する。
【0019】
基板処理装置10は、デポシールド62とデポシールド63と導電性部材64とをさらに備えている。デポシールド62は、チャンバー1の内壁面を覆うように配置され、チャンバー1に対して着脱自在にチャンバー1に支持されている。デポシールド62は、チャンバー1の内壁面にエッチング副生物(デポ)が付着することを防止する。デポシールド63は、内壁部材18の外周面を覆うように配置されている。デポシールド63は、内壁部材18の外周面にエッチング副生物が付着することを防止する。導電性部材64は、導電性部材64が配置される高さが、静電チャック17に載置されたウェハ65が配置される高さと略同じになるように、処理空間5に配置され、デポシールド62に支持されている。導電性部材64は、導体で形成され、グランドに電気的に接続されている。導電性部材64は、チャンバー1内の異常放電を抑制する。
【0020】
[静電チャック17]
図2は、静電チャック17の一例を示す上面図である。静電チャック17の上面は、複数の分割領域66−1〜66−nに分割され、複数の分割領域66−1〜66−nに充填されている。たとえば、複数の分割領域66−1〜66−nのうちの1つの分割領域66−1は、静電チャック17の縁に接するように配置されている。なお、複数の分割領域66−1〜66−nの形状は、
図2に示されている例に限られない。複数のヒータ23−1〜23−nは、複数の分割領域66−1〜66−nに対応している。複数のヒータ23−1〜23−nのうちの1つの分割領域66−1に対応する1つのヒータ23−1は、静電チャック17の静電チャック本体21のうちの分割領域66−1の近傍に埋め込まれている。ヒータ23−1は、交流電力が供給されることにより分割領域66−1を中心に静電チャック17を加熱する。複数のヒータ23−1〜23−nのうちのヒータ23−1と異なる他のヒータも、ヒータ23−1と同様に、交流電力が供給されたときに、複数の分割領域66−1〜66−nのうちのそのヒータに対応する分割領域を中心に静電チャック17を加熱する。
【0021】
[複数の電力供給部32−1〜32−nの構成]
複数の電力供給部32−1〜32−nは、複数のヒータ23−1〜23−nに対応している。
図3は、複数の電力供給部32−1〜32−nのうちの1つのヒータ23−1に対応する1つの電力供給部32−1の一例を示す回路図である。電力供給部32−1は、スイッチ71と電圧計72と電流計73とを備えている。スイッチ71は、交流電源74とヒータ23−1とを接続するヒータ電力供給用電路75の途中に設けられている。交流電源74は、基板処理装置10が設置される工場に設けられ、基板処理装置10に交流電力を供給するとともに、基板処理装置10と異なる他の機器にも交流電力を供給する。スイッチ71は、閉鎖されることにより交流電源74から電力をヒータ23−1に供給し、開放されることにより交流電源74からヒータ23−1に電力が供給されることを遮断する。電圧計72は、ヒータ23−1に印加される電圧を測定する。
【0022】
電流計73は、シャント抵抗器76と電圧計77とを備えている。シャント抵抗器76は、ヒータ電力供給用電路75の途中に設けられている。シャント抵抗器76の抵抗値としては、10mΩが例示される。電圧計77は、シャント抵抗器76に印加される電圧を測定する。電流計73は、電圧計77により測定された電圧に基づいて、ヒータ23−1を流れる電流の瞬時値を測定する。複数の電力供給部32−1〜32−nのうちの他の電力供給部も、電力供給部32−1と同様に、電力供給部に対応するヒータに交流電源74から交流電力を供給し、そのヒータに印加される電圧を測定し、そのヒータに流れる電流を測定する。
【0023】
[制御装置80の構成]
基板処理装置10は、
図4に示されているように、制御装置80をさらに備えている。
図4は、制御装置80の一例を示す図である。制御装置80は、コンピュータ90により実現されている。コンピュータ90は、CPU(Central Processing Unit)91とRAM(Random Access Memory)92とROM(Read Only Memory)93とを備えている。CPU91は、コンピュータ90にインストールされているプログラムに基づいて動作し、コンピュータ90の各部を制御し、基板処理装置10を制御する。ROM93は、コンピュータ90の起動時にCPU91によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ90のハードウェアに依存するプログラムを記録している。
【0024】
コンピュータ90は、補助記憶装置94と通信I/F95と入出力I/F96とメディアI/F97とをさらに備えている。補助記憶装置94は、CPU91により実行されるプログラムと、当該プログラムにより使用されるデータとを記録する。補助記憶装置94としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)が例示される。CPU91は、当該プログラムを、補助記憶装置94から読み出してRAM92にロードし、そのロードされたプログラムを実行する。
【0025】
通信I/F95は、LAN(Local Area Network)に例示される通信回線を介して基板処理装置10との間で通信を行う。通信I/F95は、通信回線を介して基板処理装置10から受信した情報をCPU91へ送り、CPU91が生成したデータを基板処理装置10に通信回線を介して送信する。
【0026】
コンピュータ90は、キーボードに例示される入力装置と、ディスプレイに例示される出力装置とをさらに備えている。CPU91は、入出力I/F96を介して、入力装置と出力装置とを制御する。入出力I/F96は、入力装置を介して入力された信号をCPU91に送信し、CPU91により生成されたデータを出力装置に出力する。
【0027】
メディアI/F97は、一時的でない有形の記録媒体98に記録されたプログラムまたはデータを読み取る。記録媒体98としては、光学記録媒体、光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリが例示される。光学記録媒体としては、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)が例示される。光磁気記録媒体としては、MO(Magneto-Optical disk)が例示される。
【0028】
CPU91は、メディアI/F97を介して記録媒体98から読み取られたプログラムを補助記憶装置94に記録するが、他の例として、通信回線を介して他の装置から取得されたプログラムを補助記憶装置94に記録してもよい。
【0029】
図5は、交流電源74から出力される交流電圧の波形101の一例を示し、ヒータ23−1に流れる電流の波形102の一例を示す図である。交流電圧の波形101は、正弦曲線に沿い、交流電源74が所定周波数(例えば50Hz)の交流電圧を出力していることを示している。電流の波形102は、交流電圧が負であるすべての期間に交流電源74からヒータ23−1に電力が供給されていないことを示している。電流の波形102は、さらに、交流電圧が正である複数の期間のうちの所定の複数の通電期間103に交流電源74からヒータ23−1に電力が供給されることを示している。
【0030】
すなわち、制御装置80は、交流電源74が出力する交流電圧が負であるときに、交流電圧がヒータ23−1に印加されないように、電力供給部32−1のスイッチ71を開放する。制御装置80は、さらに、交流電圧が正である複数の期間に対する複数の通電期間103の比率が所定の比率に等しくなるように、複数の通電期間103を設定する。制御装置80は、さらに、複数の通電期間103に交流電圧がヒータ23−1に印加されるように、電力供給部32−1のスイッチ71を閉鎖する。
【0031】
制御装置80は、
図6に示されているように、複数の変換テーブル111−1〜111−nを補助記憶装置94に記録している。
図6は、複数の変換テーブル111−1〜111−nの一例を示す図である。複数の変換テーブル111−1〜111−nは、複数のヒータ23−1〜23−nに対応している。複数の変換テーブル111−1〜111−nのうちのヒータ23−1に対応する変換テーブル111−1は、複数の温度112を複数の抵抗値113に対応付けている。複数の温度112としては、20℃から120℃まで10℃ステップで設定される11通りの設定温度が例示される。複数の抵抗値113のうちのある温度に対応する抵抗値は、ヒータ23−1の温度がその温度に等しいときに、ヒータ23−1の抵抗値に等しい。複数の変換テーブル111−1〜111−nのうちのヒータ23−1と異なる他のヒータに対応する他の変換テーブルも、変換テーブル111−1と同様に、その対応するヒータの温度をそのヒータの抵抗値に対応付けている。
【0032】
制御装置80は、さらに、複数のヒータ23−1〜23−nに対応する複数の目標温度を補助記憶装置94に記録している。制御装置80は、ヒータ23−1に交流電力が供給されているときに、複数の通電期間103に対応する複数の中間タイミングにヒータ23−1に印加される電圧の瞬時値が測定されるように、電力供給部32−1の電圧計72を制御する。複数の中間タイミングのうちのある通電期間に対応する中間タイミングは、ヒータ23−1に印加される電圧が極大値を示すタイミングである。すなわち、その通電期間の開始時刻から中間タイミングまでの時間は、中間タイミングからその通電期間の終了時刻までの時間に概ね等しい。制御装置80は、さらに、複数の中間タイミングにヒータ23−1に流れる電流の瞬時値が測定されるように、電力供給部32−1の電流計73を制御する。制御装置80は、電圧計72により測定された電圧の瞬時値と、電流計73により測定された電流の瞬時値とに基づいて、ヒータ23−1の抵抗値を算出する。ヒータ23−1の抵抗値は、電圧計72により測定された電圧の瞬時値を、電流計73により測定された電流の瞬時値で除算した値に等しい。
【0033】
制御装置80は、変換テーブル111−1を参照して、ヒータ23−1の抵抗値に基づいてヒータ23−1の温度を算出する。ヒータ23−1の温度は、ヒータ23−1の抵抗値が複数の抵抗値113のうちの1つの抵抗値に等しいときに、複数の温度112のうちのその1つの抵抗値に対応する温度に等しい。制御装置80は、その算出されたヒータ23−1の温度が複数の目標温度のうちのヒータ23−1に対応する目標温度より小さいときに、交流電圧が正である複数の期間に対する複数の通電期間103の比率が大きくなるように、複数の通電期間103を変更する。制御装置80は、その算出されたヒータ23−1の温度が目標温度より大きいときに、交流電圧が正である複数の期間に対する複数の通電期間103の比率が小さくなるように、複数の通電期間103を変更する。制御装置80は、その変更された複数の通電期間103に交流電源74からヒータ23−1に交流電力が供給されるように、電力供給部32−1のスイッチ71を開閉する。制御装置80は、複数のヒータ23−1〜23−nのうちのヒータ23−1と異なるヒータに関しても、ヒータ23−1と同様に、複数の変換テーブル111−1〜111−nと複数の目標温度とに基づいて複数の電力供給部32−1〜32−nを制御する。
【0034】
[基板処理方法]
実施形態に係る基板処理方法は、基板処理装置10を用いて実行され、セットアップ方法とプラズマエッチング方法とインターロック方法とを備えている。
【0035】
セットアップ方法は、たとえば、基板処理装置10が工場に設置されたときに、または、インターロック方法によりプラズマエッチング方法が途中で中断された後に、実行される。制御装置80は、チラーユニット33を制御することにより、所定の温度に冷却された冷媒を冷媒循環流路25に循環させ、静電チャック17を冷却する。制御装置80は、さらに、複数の電力供給部32−1〜32−nのスイッチ71を開閉することにより、交流電源74から複数のヒータ23−1〜23−nにリファレンス交流電圧をそれぞれ供給し、静電チャック17を加熱する。ユーザは、静電チャック17が冷却および加熱されているときに、図示されていない温度センサを用いて静電チャック17の複数の分割領域66−1〜66−nの温度をそれぞれ測定することにより、複数のヒータ23−1〜23−nの温度をそれぞれ測定する。温度センサとしては、静電チャック17の上面から放射される赤外線の放射量の分布に基づいて複数の分割領域66−1〜66−nの温度をそれぞれ測定する赤外線カメラが例示される。
【0036】
制御装置80は、ヒータ23−1の温度が測定されているときに、電力供給部32−1の電圧計72と電流計73とを制御することにより、ヒータ23−1に印加されるリファレンス電圧を測定し、ヒータ23−1に流れるリファレンス電流を測定する。制御装置80は、ヒータ23−1の温度が所定の温度に等しくなったタイミングのヒータ23−1の抵抗値を算出する。その抵抗値は、そのタイミングに電圧計72により測定されたリファレンス電圧の瞬時値を、そのタイミングに電流計73により測定されたリファレンス電流の瞬時値で除算した値に等しい。制御装置80は、ヒータ23−1の温度が複数の温度112に等しくなる毎にヒータ23−1の抵抗値を算出することにより、複数の温度112に対応する複数の抵抗値113を算出し、変換テーブル111−1を作成する。
【0037】
制御装置80は、複数のヒータ23−1〜23−nのうちの他のヒータに関しても、複数の温度112に対応する複数の抵抗値113を算出し、複数の変換テーブル111−1〜111−nのうちのそのヒータに対応する変換テーブルを作成する。制御装置80は、このように作成された複数の変換テーブル111−1〜111−nを補助記憶装置94記録する。
【0038】
セットアップ方法では、制御装置80は、さらに、複数のヒータ23−1〜23−nに対応する複数のリファレンス後半電圧割合を算出する。すなわち、制御装置80は、リファレンス交流電力がヒータ23−1に供給されている複数の通電期間103に、電圧計72を制御することにより、ヒータ23−1に印加されるリファレンス電圧の瞬時値を所定のサンプリング周期ごとに測定する。サンプリング周期としては、100μ秒が例示される。
【0039】
図7は、複数の通電期間103のうちの1つの通電期間121にヒータ23−1に印加されるリファレンス電圧の変化122の一例を示すグラフである。リファレンス電圧の変化122は、正弦曲線のうちの0度〜180度に対応する半波長分の曲線に概ね沿っている。1つの通電期間121は、前半期間123と後半期間124とから形成されている。前半期間123は、1つの通電期間121が開始した時刻から所定のタイミング125まで期間を示している。タイミング125は、1つの通電期間121が開始した時刻から1つの通電期間121の長さの3/4の時間が経過したタイミングを示している。後半期間124は、タイミング125から1つの通電期間121が終了した時刻まで期間を示している。すなわち、後半期間124の長さは、1つの通電期間121の長さの1/4に等しい。
【0040】
制御装置80は、電力供給部32−1の電圧計72により測定された複数の瞬時値に基づいて、複数のリファレンス後半電圧割合のうちのヒータ23−1に対応する1つのリファレンス後半電圧割合を算出する。リファレンス後半電圧割合は、後半リファレンス電圧実効値を全体リファレンス電圧実効値で除算した値に等しい。全体リファレンス電圧実効値は、1つの通電期間121にヒータ23−1に印加されたリファレンス電圧の実効値を示し、1つの通電期間121に電圧計72により測定された複数の瞬時値の平方の平均の平方根に等しい。後半リファレンス電圧実効値は、後半期間124にヒータ23−1に印加されたリファレンス電圧の実効値を示し、全体リファレンス電圧実効値から前半リファレンス電圧実効値を減算した値を示している。前半リファレンス電圧実効値は、前半期間123にヒータ23−1に印加されたリファレンス電圧の実効値を示し、前半期間123に電圧計72により測定された複数の瞬時値の平方の平均の平方根に等しい。たとえば、リファレンス後半電圧割合は、リファレンス電圧の変化122が正弦曲線に概ね沿うときに、30.9%〜32%を示している。
【0041】
制御装置80は、ヒータ23−1に対応するリファレンス後半電圧割合と同様に、複数のヒータ23−1〜23−nに対応する複数のリファレンス後半電圧割合を算出する。制御装置80は、このように算出された複数のリファレンス後半電圧割合を補助記憶装置94記録する。
【0042】
[プラズマエッチング方法]
プラズマエッチング方法は、セットアップ方法が実行された後に実行される。プラズマエッチング方法では、まず、制御装置80は、ゲートバルブ3を制御することにより、開口部7を開放する。被処理体となるウェハ65は、開口部7が開放されているときに、開口部7を介してチャンバー1の処理空間5に搬入され、載置台11に載置される。制御装置80は、ウェハ65が載置台11に載置された後に、直流電源31を制御することにより、電極22に直流電圧を印加し、クーロン力によりウェハ65を静電チャック17に保持する。制御装置80は、ウェハ65が載置台11に保持された後に、ゲートバルブ3を制御することにより、開口部7を閉鎖する。
【0043】
制御装置80は、開口部7が閉鎖されているときに、排気装置2を制御することにより、処理空間5の雰囲気が所定の真空度になるように真空引きする。制御装置80は、さらに、弁52を制御することにより、所定量の処理ガスを処理ガス供給源51からガス導入口46に供給する。処理ガス供給源51からガス導入口46に供給された処理ガスは、ガス拡散室45に供給された後に、複数のガス流出口47と複数のガス導入口48とを介してチャンバー1の処理空間5にシャワー状に供給される。
【0044】
制御装置80は、ウェハ65が静電チャック17に保持されているときに、伝熱ガス供給部34を制御することにより、伝熱ガスを伝熱ガス供給流路26に供給し、伝熱ガスを静電チャック17とウェハ65との間に供給する。制御装置80は、さらに、チラーユニット33を制御することにより、所定の温度に冷却された冷媒を冷媒循環流路25に循環させ、静電チャック17を冷却する。
【0045】
制御装置80は、ウェハ65が静電チャック17に保持されているときに、さらに、電力供給部32−1のスイッチ71を開閉することにより、複数の通電期間103に交流電源74からヒータ23−1に交流電力を供給する。制御装置80は、さらに、電力供給部32−1の電圧計72を制御することにより、複数の通電期間103の中間タイミング毎にヒータ23−1に印加される電圧の瞬時値を測定する。制御装置80は、さらに、電力供給部32−1の電流計73を制御することにより、中間タイミング毎にヒータ23−1に流れる電流の瞬時値を測定する。
【0046】
制御装置80は、その測定された電流の瞬時値と電圧の瞬時値とに基づいてヒータ23−1の抵抗値を算出する。制御装置80は、変換テーブル111−1を参照して、その算出された抵抗値に基づいてヒータ23−1の温度を算出する。制御装置80は、その算出された温度が複数の目標温度のうちのヒータ23−1に対応する目標温度より小さいときに、交流電圧が正である複数の期間に対する複数の通電期間103の比率が大きくなるように、複数の通電期間103を変更する。制御装置80は、その算出された温度が目標温度より大きいときに、交流電圧が正である複数の期間に対する複数の通電期間103の比率が小さくなるように、複数の通電期間103を変更する。制御装置80は、電力供給部32−1のスイッチ71を開閉することにより、その変更された複数の通電期間103に交流電源74からヒータ23−1に交流電力を供給する。
【0047】
制御装置80は、このように複数の通電期間103の比率を変更することにより、ヒータ23−1の温度が目標温度になるように、ヒータ23−1の温度を調整することができる。制御装置80は、複数のヒータ23−1〜23−nのうちのヒータ23−1と異なる他のヒータに関しても、ヒータ23−1と同様に、複数のヒータ23−1〜23−nの温度が複数の目標温度にそれぞれなるように調整することができる。このとき、ウェハ65は、静電チャック17とウェハ65との間に供給される伝熱ガスを介して、静電チャック17からウェハ65に伝熱されることにより、ウェハ65の温度が所定の温度になるように調整される。
【0048】
制御装置80は、ウェハ65の温度が所定の温度に調整されているときに、第1高周波電源35と第2高周波電源36とを制御することにより、載置台11の基材16に高周波電力を供給する。処理空間5のうちの載置台11とシャワーヘッド41との間の領域には、載置台11の基材16に高周波電力が供給されることにより、プラズマが発生する。制御装置80は、可変直流電源55とスイッチ57とを制御することにより、可変直流電源55から所定の大きさの直流電圧をシャワーヘッド41に印加する。このとき、ウェハ65は、処理空間5に発生したプラズマによりエッチングされる。
【0049】
制御装置80は、ウェハ65が適切にエッチングされた後に、第1高周波電源35と第2高周波電源36とを制御することにより、載置台11の基材16に高周波電力が供給されることを停止する。制御装置80は、さらに、可変直流電源55とスイッチ57とを制御することにより、直流電圧がシャワーヘッド41に印加されないようにする。制御装置80は、さらに、ゲートバルブ3を制御することにより、開口部7を開放する。制御装置80は、さらに、直流電源31を制御することにより、ウェハ65が静電チャック17に保持されることを解除する。ウェハ65は、静電チャック17に保持されていない場合で、開口部7が開放されているときに、開口部7を介してチャンバー1の処理空間5から搬出される。このようなプラズマエッチング方法によれば、ウェハ65の温度が所定の温度に適切に調整され、ウェハ65は、適切にエッチングされることができる。
【0050】
[インターロック方法]
インターロック方法は、プラズマエッチング方法と並行して実行され、すなわち、プラズマエッチング方法が実行されているときに実行される。制御装置80は、まず、電力供給部32−1の電圧計72を制御することにより、ヒータ23−1に印加される電圧の瞬時値を所定のサンプリング周期で測定する。制御装置80は、リファレンス後半電圧割合と同様に、1つの通電期間121に測定された複数の瞬時値に基づいて後半電圧割合を算出する。後半電圧割合は、全体電圧実効値で後半電圧実効値を除算した値に等しい。全体電圧実効値は、1つの通電期間121にヒータ23−1に印加された電圧の実効値を示し、1つの通電期間121に電圧計72により測定された複数の瞬時値の平方の平均の平方根に等しい。後半電圧実効値は、後半期間124にヒータ23−1に印加された電圧の実効値を示し、全体電圧実効値から前半電圧実効値を減算した値を示している。前半電圧実効値は、前半期間123にヒータ23−1に印加された電圧の実効値を示し、前半期間123に電圧計72により測定された複数の瞬時値の平方の平均の平方根に等しい。
【0051】
制御装置80は、その算出された後半電圧割合を、セットアップ方法で算出された複数のリファレンス後半電圧割合のうちのヒータ23−1に対応するリファレンス後半電圧割合と比較する。制御装置80は、その後半電圧割合からリファレンス後半電圧割合を減算した値が所定の閾値(たとえば、5%)より大きいときに、複数の電力供給部32−1〜32−nを制御することにより、複数のヒータ23−1〜23−nに電力の供給することを遮断する。制御装置80は、その後半電圧割合からリファレンス後半電圧割合を減算した値が所定の閾値より大きいときに、さらに、基板処理装置10を制御することにより、プラズマエッチング方法を中断する。
【0052】
制御装置80は、ヒータ23−1の後半電圧割合と同様に、複数のヒータ23−1〜23−nに対応する複数の後半電圧割合を算出する。制御装置80は、ヒータ23−1と異なるヒータの後半電圧割合とリファレンス後半電圧割合の差が所定の閾値より大きい場合も、ヒータ23−1の場合と同様に、複数のヒータ23−1〜23−nの電力供給を遮断し、プラズマエッチング方法を中断する。
【0053】
図8は、電源波形変動試験において複数のサンプル交流電圧に対応する複数の温度の一例を示すグラフである。電源波形変動試験では、既述の基板処理装置10の交流電源74がプログラマブル電源に置換されている。プログラマブル電源は、波形が互いに異なる複数のサンプル交流電圧を出力することができる。
図8のグラフは、複数のサンプル交流電圧を複数の温度に対応付けている。複数の温度のうちのあるサンプル交流電圧に対応する温度は、そのサンプル交流電圧を用いてヒータ23−1の温度が60℃になるように、電力供給部32−1が制御されたときのヒータ23−1の温度を示している。複数のサンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧〜第15サンプル交流電圧を含んでいる。
【0054】
図9は、第1サンプル交流電圧の波形の一例を示す図である。複数のサンプル交流電圧のうちの第1サンプル交流電圧は、
図9に示されているように、電圧変化が正弦曲線に沿う交流電圧を示している。複数のサンプル交流電圧のうちの第2サンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧のうちの60度に対応するタイミングで瞬間的に電圧が75%に低下する交流電圧を示している。複数のサンプル交流電圧のうちの第3サンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧のうちの70度に対応するタイミングで瞬間的に電圧が75%に低下する交流電圧を示している。複数のサンプル交流電圧のうちの第4サンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧のうちの80度に対応するタイミングで瞬間的に電圧が75%に低下する交流電圧を示している。
【0055】
図10は、第5サンプル交流電圧の波形の一例を示す図である。複数のサンプル交流電圧のうちの第5サンプル交流電圧は、
図10に示されているように、第1サンプル交流電圧のうちの90度に対応するタイミングで瞬間的に電圧が75%に低下する交流電圧を示している。複数のサンプル交流電圧のうちの第6サンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧のうちの100度に対応するタイミングで瞬間的に電圧が75%に低下する交流電圧を示している。複数のサンプル交流電圧のうちの第7サンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧のうちの110度に対応するタイミングで瞬間的に電圧が75%に低下する交流電圧を示している。
【0056】
複数のサンプル交流電圧のうちの第8サンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧に第1サンプル交流電圧の3%の7次高調波が重畳された交流電圧を示している。
図11は、第9サンプル交流電圧の波形の一例を示す図である。複数のサンプル交流電圧のうちの第9サンプル交流電圧は、
図11に示されているように、第1サンプル交流電圧に第1サンプル交流電圧の5%の9次高調波が重畳された交流電圧を示している。複数のサンプル交流電圧のうちの第10サンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧に第1サンプル交流電圧の5%の11次高調波が重畳された交流電圧を示している。複数のサンプル交流電圧のうちの第11サンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧に第1サンプル交流電圧の5%の13次高調波が重畳された交流電圧を示している。
【0057】
複数のサンプル交流電圧のうちの第12サンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧に第1サンプル交流電圧の5%の15次高調波が重畳された交流電圧を示している。複数のサンプル交流電圧のうちの第13サンプル交流電圧は、第1サンプル交流電圧に第1サンプル交流電圧の5%の17次高調波が重畳された交流電圧を示している。
図12は、第14サンプル交流電圧の波形の一例を示す図である。複数のサンプル交流電圧のうちの第14サンプル交流電圧は、
図12に示されているように、第1サンプル交流電圧に第1サンプル交流電圧の5%の19次高調波が重畳された交流電圧を示している。
図13は、第15サンプル交流電圧の波形の一例を示す図である。複数のサンプル交流電圧のうちの第15サンプル交流電圧は、
図13に示されているように、第1サンプル交流電圧に第1サンプル交流電圧の10%の3次高調波が重畳された交流電圧を示している。このとき、第1サンプル交流電圧〜第15サンプル交流電圧は、電圧実効値が互いに概ね等しい。
【0058】
図8のグラフは、複数の温度のうちの第1サンプル交流電圧〜第14サンプル交流電圧に対応する温度が所定の温度範囲131に含まれることを示している。
図8のグラフは、さらに、複数の温度のうちの第15サンプル交流電圧に対応する温度が所定の温度範囲131に含まれないことを示している。温度範囲131は、複数の温度のうちの第1サンプル交流電圧に対応する温度より0.25℃低い温度から、複数の温度のうちの第1サンプル交流電圧に対応する温度より0.25℃高い温度までの範囲を示している。すなわち、
図8のグラフは、第1サンプル交流電圧〜第14サンプル交流電圧のいずれかが交流電源74から出力される場合に、制御装置80がヒータ23−1を適切に温度調整することができることを示している。
図8のグラフは、さらに、交流電源74から出力される交流電圧が第1サンプル交流電圧〜第14サンプル交流電圧から第15サンプル交流電圧に変化した場合に、制御装置80がヒータ23−1を適切に温度調整しなくなることを示している。
【0059】
ヒータ23−1に複数のサンプル交流電圧の各々が印加されたときのヒータ23−1の温度変化は、数学モデルを用いたシミュレーションにより、算出されることができる。
図14は、第1サンプル交流電圧のうちの半波長分がヒータ23−1に印加されたときのヒータ23−1の抵抗値の変化の一例を示すグラフである。
図14のグラフの曲線133は、第1サンプル交流電圧の変化を示している。曲線134は、ヒータ23−1の抵抗値の変化を示している。
図14のグラフは、第1サンプル交流電圧のうちの半波長分がヒータ23−1に印加されたときに、ヒータ23−1に供給される電力の変化が、ヒータ23−1の抵抗値の変化に至るまでに一次遅れが発生することを示している。すなわち、
図14のグラフは、ヒータ23−1に印加される電圧の変化がヒータ23−1の温度の変化に至るまでに一次遅れが発生することを示している。
【0060】
図15は、第15サンプル交流電圧のうちの半波長分がヒータ23−1に印加されたときのヒータ23−1の抵抗値の変化の一例を示すグラフである。
図15のグラフの曲線136は、第15サンプル交流電圧の変化を示している。曲線137は、ヒータ23−1の抵抗値の変化を示している。
図15のグラフは、
図14と同様に、ヒータ23−1に印加される電圧の変化がヒータ23−1の温度の変化に至るまでに一次遅れが発生することを示している。
図14のグラフと
図15のグラフとは、第15サンプル交流電圧の印加が終了したタイミングでのヒータ23−1の温度が、第1サンプル交流電圧の印加が終了したタイミングでのヒータ23−1の温度より高いことを示している。すなわち、
図14のグラフと
図15のグラフとは、ヒータ23−1に印加される電圧の実効値が等しい場合でも、ヒータ23−1に印加される電圧の波形が異なるときに、ヒータ23−1の温度が異なることがあることを示している。
【0061】
図16は、複数のサンプル交流電圧に対応する複数の後半電圧割合の一例を示すグラフである。
図16のグラフは、第1サンプル交流電圧〜第14サンプル交流電圧の後半電圧割合が所定の範囲内に含まれていることを示し、第1サンプル交流電圧〜第14サンプル交流電圧の後半電圧割合が所定の閾値139(たとえば、37%)より小さいことを示している。
図16のグラフは、さらに、第15サンプル交流電圧の後半電圧割合が所定の閾値139より大きいことを示し、第15サンプル交流電圧の後半電圧割合が所定の範囲内に含まれていないことを示している。
【0062】
図8のグラフと
図16のグラフとは、所定の閾値139より小さい後半電圧割合に対応するサンプル交流電圧が交流電源74から出力されたときに、制御装置80により温度調整されたヒータ23−1の温度が所定の温度範囲131に含まれることを示している。
図8のグラフと
図16のグラフとは、所定の閾値139より大きい後半電圧割合に対応するサンプル交流電圧が交流電源74から出力されたときに、制御装置80により温度調整されたヒータ23−1の温度が所定の温度範囲131に含まれないことを示している。すなわち、
図8のグラフと
図16のグラフとは、所定の閾値139より小さい後半電圧割合に対応するサンプル交流電圧が交流電源74から出力されたときに、制御装置80がヒータ23−1を適切に温度調整することができることを示している。
図8のグラフと
図16のグラフとは、さらに、所定の閾値139より大きい後半電圧割合に対応するサンプル交流電圧が交流電源74から出力されたときに、ヒータ23−1が適切に温度調整されず、温度に異常が発生することがあることを示している。
【0063】
このため、基板処理方法は、後半電圧割合を算出することにより、温度が適切に調整されているか否かを判定することができる。基板処理方法は、温度が適切に調整されているか否かが判定されることにより、プラズマエッチング処理を適切にインターロック処理することができ、温度の異常がウェハ65に及ぼす影響を低減することができる。
【0064】
実施形態の基板処理方法は、ヒータ23−1に印加される電圧の変化を測定することと、ウェハ65の温度に関する異常が発生しているか否かをその電圧の変化に基づいて判定することとを備えている。基板処理方法は、その異常が発生していると判定されたときに、ウェハ65を処理することを停止することとを備えている。ヒータ23−1の温度は、ヒータ23−1に印加される電圧の波形がリファレンス電圧の波形と異なるときに、目標温度に対する誤差が大きくなることがある。このような基板処理方法は、ヒータ23−1に印加される電圧の変化に基づいて温度が適切に調整されているか否かが判定されることにより、ウェハ65の温度の異常を適切に判定することができる。基板処理方法は、温度が適切に調整されているか否かが判定されることにより、温度の異常がウェハ65に及ぼす影響を低減することができる。
【0065】
また、実施形態の基板処理方法は、ヒータ23−1に流れる電流を測定することと、変換テーブル111−1を参照して、電圧と電流とに基づいて算出されるヒータ23−1の抵抗値からヒータ23−1の温度を算出することとを備えている。ここで、変換テーブル111−1は、複数の抵抗値113を複数の温度112に対応付けている。基板処理方法は、交流電源74からヒータ23−1に電力を供給したり、電力が交流電源74からヒータ23−1に供給されることを遮断したりするスイッチ71を、その算出された温度に基づいて制御することとをさらに備えている。このような基板処理方法は、ウェハ65を加熱するヒータ23−1に印加される電圧の変化に基づいて温度が適切に調整されているか否かが判定されることにより、ウェハ65の温度の異常を適切に判定することができる。
【0066】
また、実施形態の基板処理方法は、リファレンス電力がヒータ23−1に供給されているリファレンス期間に、ヒータ23−1に印加されるリファレンス電圧の変化を測定することと、ヒータ23−1に流れるリファレンス電流の変化を測定することとを備えている。基板処理方法は、リファレンス期間にヒータ23−1の温度の変化を測定することと、リファレンス電圧の変化とリファレンス電流の変化とヒータ23−1の温度の変化とに基づいて変換テーブル111−1を作成することとをさらに備えている。このとき、異常が発生しているか否かは、リファレンス電圧の変化にさらに基づいて判定される。このような基板処理方法は、ヒータ23−1の温度調整に利用される変換テーブル111−1が作成されるときに利用されたリファレンス電圧の変化が、温度異常の発生の判定に利用されることにより、ウェハ65の温度の異常を適切に判定することができる。
【0067】
また、実施形態の基板処理方法において、異常が発生しているか否かは、全体電圧実効値で後半電圧実効値を除算した後半電圧割合に基づいて判定される。このとき、全体電圧実効値は、ヒータ23−1に電力が供給されている通電期間121にヒータ23−1に印加された電圧の実効値を示している。後半電圧実効値は、通電期間121のうちの1つのタイミング125から通電期間121の最後までの後半期間124にヒータ23−1に印加された電圧の実効値を示している。このような基板処理方法は、後半電圧割合が温度調整の異常の発生の判定に利用されることにより、ウェハ65の温度の異常を適切に判定することができる。
【0068】
また、実施形態の基板処理方法において、後半期間124の長さは、通電期間121の長さの1/4に等しい。このとき、後半電圧割合は、異常が発生しているか否かの判定に適切であり、基板処理方法は、温度が適切に調整されているか否かを判定することができ、温度の異常がウェハ65に及ぼす影響を低減することができる。
【0069】
また、実施形態の基板処理方法は、通電期間121に測定された電圧の変化に基づいて全体電圧実効値を算出することと、前半期間123に測定された電圧の変化に基づいて前半電圧実効値を算出することとを備えている。基板処理方法は、全体電圧実効値から前半電圧実効値を減算することにより後半電圧実効値を算出することをさらに備えている。通電期間121の最後は、通電期間121の最初とタイミング125とに比較して、適切に判定され難く、このため、後半電圧実効値は、後半期間124に測定された電圧に基づいて算出されたときに、誤差が大きいことがある。このような基板処理方法は、後半電圧実効値が前半電圧実効値と全体電圧実効値とから算出されることにより、後半電圧割合を適切に算出することができる。基板処理方法は、後半電圧割合が適切に算出されることにより、温度が適切に調整されているか否かを判定することができ、温度の異常がウェハ65に及ぼす影響を低減することができる。
【0070】
ところで、既述の基板処理方法では、後半電圧実効値が全体電圧実効値から前半電圧実効値を減算することにより算出されているが、前半期間123に電圧計72により測定された電圧に基づいて算出されてもよい。この場合も、基板処理方法は、温度が適切に調整されているか否かを判定することができ、温度の異常がウェハ65に及ぼす影響を低減することができる。
【0071】
ところで、既述の基板処理方法では、後半期間124の長さが通電期間121の長さの1/4に等しいが、後半期間124の長さが通電期間121の長さの1/4と異なっていてもよい。たとえば、後半期間124の長さは、通電期間121の長さの1/5と等しくてもよい。この場合も、基板処理方法は、温度が適切に調整されているか否かを判定することができ、温度の異常がウェハ65に及ぼす影響を低減することができる。
【0072】
ところで、既述の基板処理方法では、ヒータ23−1に印加される電圧の変化に基づいて温度の異常が発生しているか否かが判定されているが、ヒータ23−1と異なる部品に印加される電圧の変化に基づいて温度が適切に調整されているか否かが判定されてもよい。この場合も、基板処理方法は、温度が適切に調整されているか判定することができ、温度の異常がウェハ65に及ぼす影響を低減することができる。
【0073】
実施形態の基板処理装置10は、ヒータ23−1に印加される電圧の変化を測定する電圧計72と、ウェハ65の温度に関する異常が発生しているか否かをその電圧の変化に基づいて判定する制御装置80とを備えている。制御装置80は、さらに、その異常が発生していると判定されたときに、ウェハ65を処理することが停止するように、基板処理装置10を制御する。このような基板処理装置10は、ヒータ23−1に印加される電圧の変化に基づいて温度が適切に調整されているか否かを判定することができる。基板処理装置10は、温度が適切に調整されているか判定されることにより、温度の異常がウェハ65に及ぼす影響を低減することができる。
【0074】
なお、既述の基板処理装置10では、プラズマが用いられてウェハ65がエッチングされるが、そのプラズマとしては、様々なものが用いられることができる。そのプラズマとしては、CCP(Capacitively Coupled Plasma)、ICP(Inductively Coupled Plasma)、Radial Line Slot Antenna、ECR(Electron Cyclotron Resonance Plasma)、HWP(Helicon Wave Plasma)が例示される。