(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置および基板処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<1.基板処理システムの構成>
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0012】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0013】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウェハ(以下ウェハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0014】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0015】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0016】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
【0017】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
【0018】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0019】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0020】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0021】
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0022】
次に、基板処理システム1の処理ユニット16の概略構成について
図2を参照して説明する。
図2は、処理ユニット16の概略構成を示す図である。
【0023】
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
【0024】
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0025】
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
【0026】
処理流体供給部40は、ウェハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、処理流体供給源70に接続される。
【0027】
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
【0028】
<2.処理ユニットの具体的構成>
次に、上記した処理ユニット16の構成について
図3を参照してより具体的に説明する。
図3は、処理ユニット16の具体的な構成例を示す模式断面図である。
【0029】
図3に示すように、FFU21には、バルブ22を介して不活性ガス供給源23が接続される。FFU21は、不活性ガス供給源23から供給されるN2ガス等の不活性ガスをダウンフローガスとしてチャンバ20内に吐出する。このように、ダウンフローガスとして不活性ガスを用いることにより、ウェハWが酸化することを防止することができる。
【0030】
基板保持機構30の保持部31の上面には、ウェハWを側面から保持する保持部材311が設けられる。ウェハWは、かかる保持部材311によって保持部31の上面からわずかに離間した状態で水平保持される。
【0031】
処理流体供給部40は、ノズル41と、ノズル41を水平に支持するアーム42と、アーム42を旋回および昇降させる旋回昇降機構43とを備える。ノズル41には、図示しない配管の一端が接続され、かかる配管の他端は複数に分岐している。そして、分岐した配管の各端部には、それぞれアルカリ系処理液供給源70a、酸系処理液供給源70b、有機系処理液供給源70cおよびDIW供給源70dが接続される。また、各供給源70a〜70dとノズル41との間には、バルブ60a〜60dが設けられる。
【0032】
処理流体供給部40は、上記した各供給源70a〜70dから供給されるアルカリ系処理液、酸系処理液、有機系処理液およびDIW(常温の純水)をノズル41からウェハWの表面に対して供給し、ウェハWを液処理する。
【0033】
なお、上記では、ウェハWの表面を液処理するようにしたが、これに限定されるものではなく、たとえばウェハWの裏面や周縁部を液処理するように構成してもよい。また、本実施形態では、アルカリ系処理液、酸系処理液、有機系処理液およびDIWが1つのノズル41から供給されるものとするが、処理流体供給部40は、各処理液に対応する複数のノズルを備えていてもよい。
【0034】
保持部31の周縁部には、保持部31とともに一体的に回転する第1、第2回転カップ101,102が設けられる。
図3に示すように、第2回転カップ102は、第1回転カップ101よりも内側に配置される。
【0035】
これら第1回転カップ101や第2回転カップ102は、全体的にはリング状に形成される。第1、第2回転カップ101,102は、保持部31とともに回転させられると、回転するウェハWから飛散した処理液を回収カップ50へ案内する。
【0036】
回収カップ50は、保持部31によって保持され回転するウェハWの回転中心に近い内側から順に、第1カップ50aと、第2カップ50bと、第3カップ50cとを備える。また、回収カップ50は、第1カップ50aの内周側に、ウェハWの回転中心を中心とする円筒状の内壁部54dを備える。
【0037】
第1〜第3カップ50a〜50cおよび内壁部54dは、回収カップ50の底部53の上に設けられる。具体的には、第1カップ50aは、第1周壁部54aと、第1液受部55aとを備える。
【0038】
第1周壁部54aは、底部53から立設されるとともに、筒状(例えば円筒状)に形成される。第1周壁部54aと内壁部54dとの間には空間が形成され、かかる空間は、処理液などを回収して排出するための第1排液溝501aとされる。第1液受部55aは、第1周壁部54aの上面54a1の上方に設けられる。
【0039】
また、第1カップ50aは、第1昇降機構56を備え、かかる第1昇降機構56によって昇降可能に構成される。詳しくは、第1昇降機構56は、第1支持部材56aと、第1昇降駆動部56bとを備える。
【0040】
第1支持部材56aは、複数(例えば3本。
図3では1本のみ図示)の長尺状の部材である。第1支持部材56aは、第1周壁部54a内に形成される挿通孔に移動可能に挿通される。なお、第1支持部材56aとしては、たとえば円柱状のロッドを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0041】
第1支持部材56aは、上端が第1周壁部54aの上面54a1から露出するように位置されるとともに、第1液受部55aの下面に接続されて第1液受部55aを下方から支持する。一方、第1支持部材56aの下端には、第1昇降駆動部56bが接続される。
【0042】
第1昇降駆動部56bは、第1支持部材56aをたとえばZ軸方向に昇降させ、これにより第1支持部材56aは、第1液受部55aを第1周壁部54aに対して昇降させる。なお、第1昇降駆動部56bとしては、エアシリンダを用いることができる。また、第1昇降駆動部56bは、制御装置4によって制御される。
【0043】
第1昇降駆動部56bによって駆動される第1液受部55aは、回転するウェハWから飛散した処理液を受ける処理位置と、処理位置から下方側に退避した退避位置との間で移動させられることとなる。
【0044】
詳しくは、第1液受部55aが処理位置にあるとき、第1液受部55aの上端の内側に開口が形成され、開口から第1排液溝501aへと通じる流路が形成される。
【0045】
他方、
図3に示すように、内壁部54dは、保持部31の周縁部へ向けて傾斜するようにして延設される延設部54d1を備える。第1液受部55aは、退避位置にあるとき、内壁部54dの延設部54d1に当接し、上端内側の開口が閉じて第1排液溝501aへと通じる流路が閉塞される。
【0046】
第2カップ50bは、第1カップ50aと同様な構成とされる。具体的には、第2カップ50bは、第2周壁部54bと、第2液受部55bと、第2昇降機構57とを備え、第1カップ50aの第1周壁部54a側に隣接して配置される。
【0047】
第2周壁部54bは、底部53において第1周壁部54aの外周側に立設され、筒状に形成される。そして、第2周壁部54bと第1周壁部54aとの間に形成される空間が、処理液などを回収して排出するための第2排液溝501bとされる。
【0048】
第2液受部55bは、第1液受部55aの外周側に位置されるとともに、第2周壁部54bの上面54b1の上方に設けられる。
【0049】
第2昇降機構57は、第2支持部材57aと、第2昇降駆動部57bとを備える。第2支持部材57aは、複数(例えば3本。
図3では1本のみ図示)の長尺状の部材であり、第2周壁部54b内に形成される挿通孔に移動可能に挿通される。なお、第2支持部材57aとしては、たとえば円柱状のロッドを用いることができるが、これに限られない。
【0050】
第2支持部材57aは、上端が第2周壁部54bの上面54b1から露出するように位置されるとともに、第2液受部55bの下面に接続されて第2液受部55bを下方から支持する。なお、第2周壁部54bの上面54b1は、第1周壁部54aの上面54a1に対して鉛直方向において下方となるように位置される。
【0051】
第2支持部材57aの下端には、第2昇降駆動部57bが接続される。第2昇降駆動部57bは、第2支持部材57aをたとえばZ軸方向に昇降させる。これにより、第2支持部材57aは、第2液受部55bを第2周壁部54bに対して昇降させる。
【0052】
なお、第2昇降駆動部57bとしては、エアシリンダを用いることができる。また、第2昇降駆動部57bも、制御装置4によって制御される。
【0053】
そして、第2液受部55bも処理位置と退避位置との間で移動させられることとなる。詳しくは、第2液受部55bが処理位置にあり、かつ、第1液受部55aが退避位置にあるとき、第2液受部55bの上端の内側に開口が形成され、開口から第2排液溝501bへと通じる流路が形成される。
【0054】
他方、
図3に示すように、第2液受部55bは、退避位置にあるとき、第1液受部55aに当接し、上端内側の開口が閉じて第2排液溝501bへと通じる流路が閉塞される。なお、上記では、退避位置の第2液受部55bは、第1液受部55aに当接するようにしたが、これに限られず、たとえば内壁部54dに当接して上端内側の開口を閉じるようにしてもよい。
【0055】
第3カップ50cは、第3周壁部54cと、第3液受部55cとを備え、第2カップ50bに対して第1カップ50aとは反対側に隣接して配置される。第3周壁部54cは、底部53において第2周壁部54bの外周側に立設され、筒状に形成される。そして、第3周壁部54cと第2周壁部54bとの間の空間が、処理液などを回収して排出するための第3排液溝501cとされる。
【0056】
第3液受部55cは、第3周壁部54cの上端から連続するように形成される。第3液受部55cは、保持部31に保持されたウェハWの周囲を囲むとともに、第1液受部55aや第2液受部55bの上方まで延びるように形成される。
【0057】
第3液受部55cは、
図3に示すように、第1、第2液受部55a,55bがともに退避位置にあるとき、第3液受部55cの上端の内側に開口が形成され、開口から第3排液溝501cへと通じる流路が形成される。
【0058】
一方、第3液受部55cは、第2液受部55bが上昇させられた位置にある場合、または第1液受部55aおよび第2液受部55bの両方が上昇させられた位置にある場合、第2液受部55bが当接し、上端内側の開口が閉じて第3排液溝501cへと通じる流路が閉塞される。
【0059】
上記した第1〜第3カップ50a〜50cに対応する底部53、正確には第1〜第3排液溝501a〜501cに対応する底部53にはそれぞれ、排液口51a〜51cが、回収カップ50の円周方向に沿って間隔をあけつつ形成される。
【0060】
ここで、排液口51aから排出される処理液が酸系処理液、排液口51bから排出される処理液がアルカリ系処理液、排液口51cから排出される処理液が有機系処理液である場合を例にとって説明する。なお、上記した各排液口51a〜51cから排出される処理液の種類は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0061】
排液口51aは、排液管91aに接続される。排液管91aは、途中にバルブ62aが介挿され、かかるバルブ62aの位置で第1排液管91a1と第2排液管91a2とに分岐される。なお、バルブ62aとしては、たとえば、閉弁位置と、排出経路を第1排液管91a1側に開放する位置と、第2排液管91a2側に開放する位置との間で切り替え可能な三方弁を用いることができる。
【0062】
上記した酸系処理液が再利用可能である場合、第1排液管91a1は、酸系処理液供給源70b(たとえば酸系処理液を貯留するタンク)に接続され、排液を酸系処理液供給源70bへ戻す。すなわち、第1排液管91a1は、循環ラインとして機能する。なお、第2排液管91a2については後述する。
【0063】
排液口51bは、排液管91bに接続される。排液管91bの途中には、バルブ62bが介挿される。また、排液口51cは、排液管91cに接続される。排液管91cの途中には、バルブ62cが介挿される。なお、バルブ62b,62cは、制御装置4によって制御される。
【0064】
そして、処理ユニット16は、基板処理を行う際、基板処理中の各処理にて使用する処理液の種類などに応じて、第1カップ50aの第1液受部55aや第2カップ50bの第2液受部55bを昇降させ、排液口51a〜51cの切り替えを実行する。
【0065】
たとえば、酸系処理液をウェハWへ吐出してウェハWを処理する場合、制御装置4は、基板保持機構30の駆動部33を制御して保持部31を所定回転速度で回転させた状態でバルブ60bを開放する。
【0066】
このとき、制御装置4は、第1カップ50aを上昇させておく。すなわち、制御装置4は、第1、第2昇降駆動部56b,57bを介して第1、第2支持部材56a,57aを上昇させ、第1液受部55aを処理位置まで上昇させることで、第1液受部55aの上端内側の開口から第1排液溝501aへと通じる流路を形成しておく。これにより、ウェハWへ供給された酸系処理液は、下方へと流れて第1排液溝501aに流れ込むこととなる。
【0067】
また、制御装置4は、バルブ62aを制御して排出経路を第1排液管91a1側に開放するようにしておく。これにより、第1排液溝501aに流れ込んだ酸系処理液は、排液管91aおよび第1排液管91a1を介して酸系処理液供給源70bへ戻される。そして、酸系処理液供給源70bへ戻された酸系処理液は、ウェハWへ再び供給される。このように、第1カップ50aは、回収した酸系処理液を循環させてウェハWへ再度供給する循環ラインに接続される。
【0068】
また、たとえばアルカリ系処理液をウェハWへ吐出してウェハWを処理する場合、制御装置4は、同じく駆動部33を制御して保持部31を所定回転速度で回転させた状態でバルブ60aを開放する。
【0069】
このとき、制御装置4は、第2カップ50bのみを上昇させておく。すなわち、制御装置4は、第2昇降駆動部57bを介して第2支持部材57aを上昇させ、第2液受部55bを処理位置まで上昇させることで、第2液受部55bの上端内側の開口から第2排液溝501bへと通じる流路を形成しておく。なお、ここで第1カップ50aは、下降しているものとする。これにより、ウェハWへ供給されたアルカリ系処理液は、下方へと流れて第2排液溝501bに流れ込むこととなる。
【0070】
また、制御装置4は、バルブ62bを開放しておく。これにより、第2排液溝501bのアルカリ系処理液は、排液管91bを介して処理ユニット16の外部へ排出される。このように、排液管91bは、回収した第2処理液を処理ユニット16外部へ排出する排液ラインとして機能する。すなわち、第2カップ50bは排液ラインに接続されている。
【0071】
また、たとえば有機系処理液をウェハWへ吐出してウェハWを処理する場合、制御装置4は、同じく駆動部33を制御して保持部31を所定回転速度で回転させた状態でバルブ60cを開放する。
【0072】
このとき、制御装置4は、第1、第2カップ50a,50bを下降させておく(
図3参照)。すなわち、制御装置4は、第1、第2昇降駆動部56b,57bを介して第1、第2支持部材56a,57aを下降させ、第1、第2液受部55a,55bを退避位置まで下降させる。このようにすることで、第3液受部55cの上端内側の開口から第3排液溝501cへと通じる流路を形成しておく。これにより、ウェハWへ供給された有機系処理液は、下方へと流れて第3排液溝501cに流れ込むこととなる。
【0073】
また、制御装置4は、バルブ62cを開放しておき、よって第3排液溝501cの有機系処理液は、排液管91cを介して処理ユニット16の外部へ排出される。このように、第3カップ50cも、回収した第3処理液を処理ユニット16外部へ排出する排液ライン(たとえば排液管91c)に接続されている。
【0074】
なお、上記した酸系処理液、アルカリ系処理液、有機系処理液および洗浄液の排出経路は例示であって限定されるものではない。すなわち、たとえば、各排液口51a〜51cが1本の排液管に接続され、1本の排液管に、酸性やアルカリ性といった処理液の性質に応じた複数個のバルブが設けられ、そのバルブの位置から排出経路を分岐させてもよい。
【0075】
また、排液管91bには、第1周壁部54aにおいて第1支持部材56aが挿通された挿通孔と連通する排液管92aが接続される。排液管92aは、第1周壁部54aの挿通孔に侵入した洗浄液(後述)などを排出し、かかる洗浄液は、排液管91bを介して処理ユニット16の外部へ排出される。
【0076】
また、排液管91cにも、第2周壁部54bにおいて第2支持部材57aが挿通された挿通孔と連通する排液管92bが接続される。排液管92bは、第2周壁部54bの挿通孔に侵入した洗浄液などを排出し、かかる洗浄液は、排液管91cを介して処理ユニット16の外部へ排出される。
【0077】
回収カップ50の底部53、第1周壁部54aおよび第2周壁部54bにはそれぞれ、排気口52a,52b,52cが形成される。また、排気口52a,52b,52cは、1本の排気管に接続され、かかる排気管は排気の下流側において第1〜第3排気管93a〜93cに分岐される。また、第1排気管93aにはバルブ64aが介挿され、第2排気管93bにはバルブ64bが、第3排気管93cにはバルブ64cが介挿される。
【0078】
第1排気管93aは酸性の排気用の排気管であり、第2排気管93bはアルカリ性の排気用、第3排気管93cは有機系排気用の排気管である。これらは、基板処理の各処理に応じて制御装置4によって切り替えられる。
【0079】
たとえば、酸性の排気を生じる処理の実行に際しては、第1排気管93aへの切り替えが制御装置4によって行われ、バルブ64aを介して酸性の排気が排出される。同様に、アルカリ性の排気を生じる処理の場合、第2排気管93bへの切り替えが制御装置4によって行われ、バルブ64bを介してアルカリ性の排気が排出される。また、有機系排気を生じる処理の場合、第3排気管93cへの切り替えが制御装置4によって行われ、バルブ64cを介して有機系排気が排出される。
【0080】
以下、本実施形態では、酸系処理液としてBHF(フッ酸とフッ化アンモニウム溶液との混合液(バッファードフッ酸))が用いられるものとする。また、アルカリ系処理液としてはSC1(アンモニア、過酸化水素および水の混合液)、有機系処理液としてはIPA(イソプロピルアルコール)が用いられるものとする。なお、酸系処理液、アルカリ系処理液および有機系処理液の種類は、これらに限定されるものではない。
【0081】
ところで、処理ユニット16においてBHFが使用されると、BHFの処理液雰囲気や、飛散したBHFが、たとえば第1液受部55aと第1周壁部54aとの隙間に侵入し、侵入したBHFの雰囲気等が乾燥して、第1周壁部54aの上面54a1にBHFの結晶などの異物が付着することが分かった。なお、上記したような異物は、BHFに限られず、その他の種類の処理液の場合も付着するおそれがある。
【0082】
そこで、本実施形態に係る処理ユニット16においては、第1カップ50aの第1周壁部54aの上面54a1に洗浄液を供給するような構成とした。これにより、第1周壁部54aの上面54a1に付着した結晶などの異物を除去することができる。
【0083】
<3.洗浄液供給部および第1周壁部の具体的構成>
以下、第1周壁部54aの上面54a1に洗浄液を供給する構成について
図4以降を参照して詳しく説明する。
図4は、第1周壁部54aをZ軸上方から見た場合の模式平面図である。また、
図5は、
図4のV−V線模式断面図である。なお、
図5においては、理解の便宜のため、第1周壁部54aの上面54a1に設けられる第1液受部55aを想像線で示した。
【0084】
図5に示すように、処理ユニット16の洗浄液供給部80は、洗浄液供給管84cと、バルブ85cとをさらに備える。洗浄液供給管84cは、一端が洗浄液供給源83に接続される一方、他端には洗浄液吐出口85(以下「吐出口85」と記載する場合がある)が形成される。
【0085】
また、
図4,5に示すように、第1周壁部54aは、溝部58を備える。具体的には、溝部58は、第1周壁部54aの上面54a1の内周側に形成され、上面54a1において周方向に沿って形成される。より具体的には、溝部58は、平面視において環状となるように形成される。なお、第1周壁部54aの上面54a1において溝部58が形成される位置は、適宜に変更可能であり、たとえば上面54a1の外周側に寄せて形成されるようにしてもよい。
【0086】
上記した洗浄液供給管84cの吐出口85は、第1周壁部54aの上面54a1のうち、たとえば、溝部58に複数個(例えば3個)形成される。また、吐出口85は、保持部31の回転中心Cを中心として円周方向に略等間隔となる位置に配置される。なお、上記した吐出口85の個数や配置位置は、例示であって限定されるものではない。
【0087】
バルブ85cは、
図5に示すように、洗浄液供給管84cに設けられ、制御装置4によって制御される。従って、制御装置4は、第1周壁部54aの上面54a1の洗浄処理を行う際、バルブ85cを開放する。これにより、洗浄液供給源83の洗浄液は、バルブ85c、洗浄液供給管84cを通って吐出口85から吐出される。
【0088】
洗浄液供給部80から供給された洗浄液、詳しくは吐出口85から吐出された洗浄液は、溝部58を流れるとともに、溝部58から溢れ出ることとなる。そして、溝部58から溢れ出た洗浄液は、第1周壁部54aの上面54a1の全体に亘って供給され、上面54a1を洗浄し、異物を除去する。また、上面54a1を洗浄した洗浄液は、その後第1周壁部54aの側面54a2や排気口52bなどにも流れ込んで洗浄し、付着した異物を除去する。
【0089】
このように、第1周壁部54aにあっては、周方向に沿って形成された溝部58を備えるようにしたことから、洗浄液を溝部58を通じて上面54a1の広範囲に亘って供給することが可能となり、よって上面54a1を効率よく洗浄することができる。また、溝部58に吐出口85が形成されることから、洗浄液を溝部58に確実に供給して流すことができる。
【0090】
また、
図5に示すように、第1液受部55aを退避位置に移動させた状態で、洗浄処理が行われてもよい。すなわち、洗浄液供給部80は、第1液受部55aを処理位置よりも下方の退避位置へ移動させた状態で洗浄液を供給するようにしてもよい。
【0091】
これにより、第1液受部55aの下面55a1が第1周壁部54aの上面54a1に近接することから、上面54a1を流れる洗浄液が第1液受部55aの下面55a1にも供給され、よって下面55a1に対しても異物を除去して洗浄することができる。
【0092】
また、洗浄液供給部80は、第1周壁部54aの上面54a1を洗浄するときと、第1液受部55aの下面55a1を洗浄するときとで洗浄液の流量を変更するようにしてもよ。例えば、洗浄液供給部80は、第1周壁部54aの上面54a1を洗浄するときの洗浄液の流量よりも、第1液受部55aの下面55a1を洗浄するときの洗浄液の流量を増加させるようにしてもよい。これにより、洗浄液を第1液受部55aの下面55a1に確実に到達させることが可能となり、よって下面55a1を効率よく洗浄することができる。
【0093】
また、保持部31および第1、第2回転カップ101,102が回転させられた状態で、洗浄処理が行われてもよい。すなわち、洗浄液供給部80は、保持部31等が回転させられた状態で、洗浄液を第1周壁部54aの上面54a1に供給するようにしてもよい。
【0094】
これにより、回収カップ50内には、保持部31および第1、第2回転カップ101,102の回転によって旋回流が発生する。かかる旋回流は、吐出口85から吐出された洗浄液に作用し、洗浄液を、第1周壁部54aの上面54a1において周方向に沿った一方向(
図4では右回り方向(時計回り方向))へと流すとともに、洗浄液の流速を増加させることができる。これにより、洗浄液は、上面54a1においてより広範囲に広がり、よって上面54a1を効率よく洗浄することができる。
【0095】
図6Aは、
図4のVI−VI線模式断面図であり、また第1液受部55aが下降した状態での洗浄の様子を示す図である。また、
図6Bは、第1液受部55aが上昇した状態での洗浄の様子を示す図である。なお、本実施形態では、第1液受部55aが上昇した状態および下降した状態の両方で洗浄が行われるが、これについては後述する。
【0096】
図6A,6Bに示すように、第1周壁部54a内には、上記したように、第1支持部材56aが挿通される挿通孔59が形成される。かかる挿通孔59は、第1周壁部54aの上面54a1に形成される開口部59aを有している。
【0097】
そして、本実施形態に係る挿通孔59の開口部59aは、
図4に示すように、溝部58の少なくとも一部と平面視において重なるように形成される。これにより、洗浄液供給部80にあっては、第1周壁部54aの上面54a1の溝部58から開口部59aを介して挿通孔59へ洗浄液を供給することとなる。
【0098】
これにより、
図6A,6Bに示すように、第1支持部材56aの外周および挿通孔59を洗浄することが可能となり、第1支持部材56aの外周や挿通孔59に付着した異物も除去することができる。なお、挿通孔59に流入した洗浄液は、排液管92a、バルブ62bを介して処理ユニット16の外部へ排出される。
【0099】
<4.基板処理システムの具体的動作>
次に、本実施形態に係る基板処理システム1が実行する基板処理の内容について
図7を参照して説明する。
【0100】
図7は、本実施形態に係る基板処理システム1が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図7に示す各処理手順は、制御装置4の制御部18の制御に従って実行される。
【0101】
図7に示すように、処理ユニット16では、まず、ウェハWの搬入処理が行われる(ステップS1)。かかる搬入処理では、基板搬送装置17(
図1参照)によって保持部31上にウェハWが載置された後、保持部31によってウェハWが保持される。
【0102】
続いて、処理ユニット16では、第1薬液処理が行われる(ステップS2)。第1薬液処理では、制御部18はまず、駆動部33によって保持部31を回転させてウェハWを回転させる。続いて、制御部18は、バルブ60aを所定時間開放し、SC1をノズル41からウェハWの表面へ供給する。これにより、ウェハWの表面がSC1によって処理される。
【0103】
続いて、処理ユニット16では、第1リンス処理が行われる(ステップS3)。かかる第1リンス処理では、制御部18は、バルブ60dを所定時間開放し、DIWをノズル41からウェハWへ供給する。これにより、ウェハWに残存するSC1がDIWによって洗い流される。
【0104】
次に、処理ユニット16では、第2薬液処理が行われる(ステップS4)。かかる第2薬液処理では、制御部18は、バルブ60bを所定時間開放し、BHFをノズル41からウェハWの表面へ供給する。これにより、ウェハWの表面がBHFによって処理される。
【0105】
続いて、処理ユニット16では、第2リンス処理が行われる(ステップS5)。第2リンス処理では、制御部18は、バルブ60dを所定時間開放し、DIWをノズル41からウェハWの表面へ供給する。これにより、ウェハWに残存するBHFがDIWによって洗い流される。
【0106】
次に、処理ユニット16では、乾燥処理が行われる(ステップS6)。かかる乾燥処理では、制御部18は、バルブ60cを所定時間開放し、IPAをノズル41からウェハWの表面へ供給する。これにより、ウェハWの表面に残存するDIWが、DIWよりも揮発性の高いIPAに置換される。その後、ウェハW上のIPAを振り切ってウェハWを乾燥させる。
【0107】
続いて、処理ユニット16では、搬出処理が行われる(ステップS7)。かかる搬出処理では、制御部18は、駆動部33によるウェハWの回転を停止させた後、ウェハWが基板搬送装置17(
図1参照)によって処理ユニット16から搬出される。かかる搬出処理が完了すると、1枚のウェハWについての一連の基板処理が完了する。
【0108】
次に、処理ユニット16では、第1周壁部54aの上面54a1を洗浄する洗浄処理が行われる(ステップS8)。なお、この洗浄処理は、1枚のウェハWが搬出される度に実行されることを要しない。すなわち、洗浄処理が実行されるタイミングは、任意に設定することが可能であり、たとえば複数枚のウェハWについての基板処理を行った後に、洗浄処理を1度行うようにしてもよい。また、ステップS8の処理の際、上記した基板保持機構30の洗浄も行うようにしてもよい。
【0109】
第1周壁部54aの洗浄処理について、
図8を参照して説明する。
図8は、基板処理システム1において実行される第1周壁部54aの洗浄処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0110】
制御装置4の制御部18は、第1昇降駆動部56bによって第1支持部材56aを上昇させ、第1液受部55aを上昇させる(ステップS10。
図6B参照)。続いて、制御部18は、洗浄液供給部80のバルブ85cを開弁し、洗浄液を第1周壁部54aの上面54a1へ供給する(ステップS11)。
【0111】
続いて、制御部18は、洗浄液を供給してから所定時間が経過すると、第1昇降駆動部56bによって第1支持部材56aを下降させ、第1液受部55aを退避位置に移動させる(ステップS12。
図6A参照)。
【0112】
このように、第1液受部55aを退避位置とすることで、第1液受部55aの下面55a1も洗浄することができる。また、洗浄処理の際に、第1液受部55aを昇降させることで、第1支持部材56aが洗浄液で満たされた挿通孔59内を移動することとなり、よって第1支持部材56aの外周に付着した異物を効率よく除去することができる。なお、上記した第1液受部55aの昇降動作を複数回繰り返し行うようにしてもよい。
【0113】
次に、制御部18は、第1液受部55aを下降させてから所定時間が経過すると、洗浄液供給部80のバルブ85cを閉弁し、洗浄液の第1周壁部54aの上面54a1への供給を停止する(ステップS13)。これにより、第1周壁部54aの洗浄処理が完了する。
【0114】
なお、制御部18は、保持部31および第1、第2回転カップ101,102を回転させた状態で、洗浄処理を行うようにしてもよい。保持部31等を回転させることで、旋回流が生じて洗浄液が上面54a1において広範囲に広がることは、上述した通りである。
【0115】
上述してきたように、第1の実施形態に係る処理ユニット16(「基板処理装置」の一例に相当)は、保持部31と、処理流体供給部40(「処理液供給部」の一例に相当)と、回収カップ50と、洗浄液供給部80とを備える。保持部31は、ウェハWを保持する。処理流体供給部40は、ウェハWに対して処理液を供給する。
【0116】
回収カップ50の第1カップ50aは、底部53と、底部53から立設される筒状の第1周壁部54aと、第1周壁部54aの上方に設けられウェハWから飛散した処理液を受ける第1液受部55aと、第1周壁部54aの上面に周方向に沿って形成された溝部58とを有し、保持部31を取り囲む。洗浄液供給部80は、第1周壁部54aの上面54a1に対して洗浄液を供給する。これにより、第1周壁部54aの上面54a1に付着した異物を除去することができる。
【0117】
<5.変形例>
次に、第1の実施形態に係る処理ユニット16の第1〜第4変形例について説明する。第1変形例における処理ユニット16では、第1の実施形態において環状に形成されていた溝部58の形状を変更するようにした。
【0118】
図9は、第1変形例における第1周壁部54aをZ軸上方から見た場合の模式平面図である。
図9に示すように、第1変形例では、溝部58を複数個(
図9の例では3個)に分割し、分割した溝部58が、第1周壁部54aの上面54a1において周方向沿って形成される。
【0119】
また、分割された溝部58にはそれぞれ、上記した洗浄液の吐出口85が形成されている。なお、吐出口85が形成される位置は、たとえば溝部58において洗浄液の流れ方向の上流側の端部付近であることが好ましい。これにより、洗浄液を溝部58の端部から流すことができ、よって溝部58を流れつつ溝部58から溢れ出た洗浄液は上面54a1において広範囲に広がることとなり、上面54a1を効率よく洗浄することができる。なお、溝部58において吐出口85が形成される位置は、上記に限定されるものではない。
【0120】
次に、第2変形例について説明する。第2変形例に係る処理ユニット16では、洗浄液供給部80の吐出口85の向きを変えるようにした。
図10は、第2変形例における洗浄液供給管84cの吐出口85付近を拡大して示す縦断面図である。
【0121】
図10に示すように、第2変形例において、吐出口85には、洗浄液供給管84cから供給された洗浄液が流れる洗浄液供給路84c1が接続される。洗浄液供給路84c1は、第1周壁部54aの周方向(
図10では紙面左右方向)に沿って傾斜され、吐出口85の吐出方向をZ軸方向に対して傾けるように構成される。言い換えると、洗浄液供給路84c1は、吐出口85からの洗浄液の吐出方向が第1周壁部54aの上面54a1において周方向に沿った一方向へ向くように形成される。なお、ここでの「一方向」は、第1、第2回転カップ101,102の旋回流によって洗浄液に作用する力の方向と同じ方向、すなわち、
図4における時計回り方向とされる。
【0122】
これにより、旋回流の有無にかかわらず、洗浄液を、第1周壁部54aの上面54a1において周方向に沿った一方向へと流すことができ、よって洗浄液を上面54a1においてより一層広範囲に広げて効率よく洗浄することができる。
【0123】
また、処理ユニット16においては、洗浄液供給部80の吐出口85から吐出される洗浄液の流量を、第1周壁部54aの上面54a1のうち洗浄する部位に応じて変更するようにしてもよい。
【0124】
図11は、洗浄する部位の吐出口85からの距離と洗浄液の流量との関係の一例を示す図である。
図11に示すように、吐出口85から洗浄部位までの距離が比較的短い場合、すなわち、たとえば吐出口85付近を洗浄する場合、洗浄液の流量Aは比較的低い値とされる。これにより、洗浄液は、吐出口85付近に比較的多く供給されることとなり、吐出口85付近を効率よく洗浄することができる。
【0125】
一方、吐出口85から洗浄部位までの距離が比較的長い場合、すなわち、たとえば吐出口85から比較的離れている第1支持部材56a付近を洗浄する場合、洗浄液の流量Bは、吐出口85付近を洗浄する場合と比べて高い値とされる。これにより、洗浄液は、たとえば第1支持部材56a付近に比較的多く供給されることとなり、第1支持部材56a付近を効率よく洗浄することができる。
【0126】
このように、第1周壁部54aの上面54a1のうち洗浄する部位に応じて吐出口85から吐出される洗浄液の流量を変更することで、上面54a1において局所的な洗浄を行うことも可能となる。
【0127】
なお、
図11に示す例では、吐出口85から洗浄部位までの距離が長くなるにつれて、洗浄液の流量を連続的に増加させるようにしたが、これは例示であって限定されるものではない。すなわち、たとえば洗浄液の流量を段階的に(階段状に)増加させるなど、洗浄液の流量を増加させる手法は任意に変更することが可能である。
【0128】
次に、第3変形例について説明する。
図12Aは、第3変形例における第1周壁部54aを示す模式断面図である。
【0129】
図12Aに示すように、第3変形例における第1周壁部54aは、傾斜部54a3を備える。傾斜部54a3は、上面54a1に形成され、溝部58に向かって下り勾配となるように形成される。これにより、たとえば、洗浄処理後に上面54a1に洗浄液Aが残留した場合であっても、残留した洗浄液Aは、傾斜部54a3をつたって洗浄液供給管84cへ流れ込む。
【0130】
このように、第3変形例では、傾斜部54a3を設けることで、残留した洗浄液Aが上面54a1に止まり難くするようにした。これにより、洗浄処理後に行われる基板処理において、処理液の濃度が低下することを抑制することができる。
【0131】
すなわち、たとえば、洗浄液Aが上面54a1に残っていると、洗浄処理後の基板処理において処理液に洗浄液Aが混入し、処理液の濃度が低下することがある。しかしながら、第3変形例では、上記したような傾斜部54a3を設けることから、処理液の濃度の低下を抑制することができる。
【0132】
次に、第4変形例について説明する。上記した第3変形例では、傾斜部54a3が溝部58に向けて下り勾配となるように形成されるようにしたが、傾斜部の形状はこれに限定されない。
図12Bは、第4変形例における第1周壁部54aを示す模式断面図である。
【0133】
図12Bに示すように、第4変形例に係る傾斜部54a4は、第1周壁部54aの上面54a1に形成されるとともに、第1周壁部54aの側面54a2に向かって下り勾配となるように形成される。
【0134】
これにより、たとえば洗浄処理後に上面54a1に残留した洗浄液Aは、傾斜部54a4をつたって側面54a2へ流れて排出される。従って、第4変形例にあっては、第3変形例と同様、傾斜部54a4を設けることで、残留した洗浄液Aが上面54a1に止まり難くすることができ、よって洗浄処理後に行われる基板処理において、処理液の濃度が低下することを抑制することができる。
【0135】
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態に係る基板処理システム1について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0136】
第2の実施形態にあっては、保持部31の裏面側において、処理液が回転中心C側へ液跳ねすることを抑制する構成とした。以下、かかる構成について
図13以降を参照して説明する。
【0137】
図13は、保持部31の裏面31aをZ軸下方から見た場合の模式下面図である。
図13に示すように、保持部31の裏面31aには、保持部材311を保持部31に固定する第1固定部110と、ウェハWの支持ピン312(
図17参照)を保持部31に固定する第2固定部120とが設けられる。
【0138】
第1固定部110および第2固定部120は、それぞれ複数個(
図13の例では3個)設けられる。また、第1、第2固定部110,120は、保持部31の回転中心Cを中心として円周方向に略等間隔となる位置に配置される。なお、上記した第1、第2固定部110,120の個数や配置位置は、例示であって限定されるものではない。
【0139】
図14Aは、第1固定部110を拡大して示す模式下面図であり、
図14Bは、比較例に係る第1固定部210を示す模式下面図である。また、
図15は、
図13のXV−XV線断面図である。
【0140】
図15に示すように、保持部材311は、保持部31の貫通孔31bに挿通されるように位置されるとともに、一端311a側の切欠き部分でウェハWを挟み込んで保持する。また、保持部材311は、他端311bが保持部31の裏面31a側に露出し、かかる他端311bが第1固定部110によって固定される。
【0141】
第1固定部110の説明を続ける前に、
図14Bを用いて比較例に係る第1固定部210について説明する。
図14Bに示すように、比較例における第1固定部210は、保持部31の他端311bの両側面を部分的に挟持する本体部211と、本体部211を保持部31へ締結固定するネジ212とを備える。
【0142】
本体部211にあっては、保持部31の他端311bを挟持する位置において、他端311bが保持部31の回転中心C(
図13参照)側へ向けて突出するような形状とされる。また、ネジ212としては、マイナスネジが用いられる。
【0143】
第1固定部210が上記のように構成されると、たとえば、処理液は保持部31の回転中心C側へ向けて液跳ねし、第1固定部210付近に処理液の結晶などの異物が付着するおそれがあった。
【0144】
すなわち、保持部31が回転方向Dに回転されると、飛散した処理液は、
図14Bに破線の閉曲線B1で示すように、本体部211から突出した部位に当たって、保持部31の回転中心C側へ向けて液跳ねすることがあった。
【0145】
また、ネジ212がマイナスネジである場合、マイナス溝212aの方向によっては、処理液がマイナス溝212aを通って保持部31の回転中心C側へ向けて液跳ねすることがあった。上記のように液跳ねした処理液は、保持部31の裏面31aにおいて乾燥し、結晶などの異物として付着する場合があった。
【0146】
そこで、第2の実施形態に係る第1固定部110にあっては、上記したような液跳ねの発生を抑制できる構成とした。具体的には、
図14Aに示すように、第1固定部110は、本体部111と、ネジ112とを備える。
【0147】
本体部111は、保持部31の他端311bの両側面を全体的に挟持する。すなわち、本体部111の保持部31を挟持する位置において、保持部31の他端311bが突出しないような形状とした。これにより、処理液が本体部111に当たって液跳ねすることを抑制することができる。
【0148】
また、本体部111において、飛散した処理液が当たり易い側面、すなわち、回転方向D側の側面には、処理液を保持部31の外側へ案内するための傾斜案内部111aが形成される。これにより、飛散した処理液は、傾斜案内部111aによって保持部31の外側へ流れ、よって処理液の液跳ねを抑制することができる。
【0149】
また、ネジ112としては、六角ネジを用いるようにした。これにより、処理液がネジ112の頭部の溝を通って保持部31側の回転中心C側へ液跳ねすることを抑制することができる。なお、ネジ112は、六角ネジに限定されるものではなく、処理液が流れるような溝が頭部に形成されていないネジであれば、どのような種類のネジであってもよい。
【0150】
なお、
図14Aに想像線で示すように、本体部111において、傾斜案内部111aが形成される側面とは反対側の側面にも、傾斜案内部111cを形成するようにしてもよい。これにより、飛散した処理液は、傾斜案内部111cによって保持部31の外側へ流れ、よって処理液の液跳ねをより一層抑制することができる。
【0151】
次いで、第2固定部120について
図16および
図17を参照して説明する。
図16は、第2固定部120を拡大して示す模式下面図であり、
図17は、
図13のXVII−XVII線断面図である。
【0152】
図17に示すように、ウェハWの支持ピン312は、ウェハWを下面側から支持する部材である。具体的には、支持ピン312は、保持部31の貫通孔31cに挿通されるように位置されるとともに、一端312a側でウェハWを支持する。また、支持ピン312は、他端312bが保持部31の裏面31a側に突出し、かかる他端312bが第2固定部120によって固定される。
【0153】
第2の実施形態に係る第2固定部120にあっては、上記したような液跳ねの発生を抑制できる構成とした。具体的には、
図16に示すように、第2固定部120は、本体部121と、ネジ122とを備える。
【0154】
本体部121は、下面視において四角形状とした。これにより、処理液が本体部121に当たって液跳ねすることを抑制することができる。
【0155】
また、本体部121において、飛散した処理液が当たり易い側面、すなわち、回転方向D側の側面には、処理液を保持部31の外側へ案内するための傾斜案内部121aが形成される。これにより、飛散した処理液は、傾斜案内部121aによって保持部31の外側へ流れ、よって処理液の液跳ねを抑制することができる。
【0156】
また、ネジ122としては、六角ネジを用いるようにした。これにより、保持部31側の回転中心C側へ液跳ねすることを抑制することができる。なお、ネジ122も、ネジ112と同様、六角ネジに限定されるものではない。
【0157】
なお、
図16に想像線で示すように、本体部121において、傾斜案内部121aが形成される側面とは反対側の側面にも、傾斜案内部121cを形成するようにしてもよい。これにより、飛散した処理液は、傾斜案内部121cによって保持部31の外側へ流れ、よって処理液の液跳ねをより一層抑制することができる。
【0158】
(第3の実施形態)
次いで、第3の実施形態に係る処理ユニット16の洗浄液供給部80について説明する。
図18は、第3の実施形態における第1周壁部54aの模式平面図である。
図18に示すように、第3の実施形態では、吐出口85は、溝部58の底面に所定範囲に亘って形成される開口である。吐出口85と溝部58との境界は、洗浄液供給路84c1の傾斜した部位の上端縁84d(後述する
図19,20参照)を含むが、これに限定されるものではない。また、吐出口85は、開口面積が洗浄液供給管84c(
図20参照)の流路の面積よりも大きくなるように形成される。
【0159】
そして、吐出口85と洗浄液供給管84cとの間に中間部400を設けることで、洗浄液供給管84cからの洗浄液の水勢を弱めるとともに、吐出口85の吐出方向を傾け、洗浄液供給管84cからの洗浄液の流路を溝部58へ向けるようにした。言い換えると、中間部400は、洗浄液供給管84cから供給される洗浄液の水勢を上面54a1や溝部58へ供給するのに適した水勢に弱めるバッファとしての機能と、洗浄液の流路の方向を変える機能とを備えるようにした。
【0160】
以下、中間部400の詳細な構成について、
図19および
図20を参照しつつ説明する。
図19は、
図18に一点鎖線で示す閉曲線E1付近を拡大した模式拡大平面図である。また、
図20は、
図19のXX−XX線断面図である。
【0161】
図19および
図20に示すように、洗浄液供給部80は、中間部400を備え、かかる中間部400は、凹部402と流路403とを備えた基部401によって構成される。
【0162】
基部401は、円柱状(柱状の一例)に形成されるが、これに限定されるものではなく、たとえば角柱状などその他の形状であってもよい。凹部402は、基部401の側面に周方向に沿って形成される。
図19,20に示す例では、凹部402は、基部401の側面の全周に亘って形成されるが、これに限られず、基部401の側面の一部に形成されるようにしてもよい。
【0163】
また、凹部402と第1周壁部54aとの間には、滞留部404が形成される。滞留部404は、中間部400が第1周壁部54aに取り付けられた状態のときに、凹部402と第1周壁部54aとによって形成される空間である。滞留部404にあっては、後述するように洗浄液供給管84cから供給される洗浄液が一旦滞留されることから、洗浄液の水勢を弱めることができるとともに、洗浄液が飛散することを防止することできる。また、滞留部404にあっては、洗浄液の滞留によって洗浄液の流量を増やすことが可能になり、洗浄液を短時間で溝部58全体に広げることができる。
【0164】
流路403は、基部401の内部に形成され、洗浄液供給管84cから供給された洗浄液が流れる。流路403において、一端には流入口403aが形成される一方、他端には流出口403bが形成される。
【0165】
流入口403aは、基部401の下面の中心付近に形成されるとともに、洗浄液供給管84cに接続されて洗浄液が流入される。流出口403bは、凹部402に形成され、流入口403aに流入した洗浄液を流出させる。言い換えると、流出口403bは、基部401の側面に形成される。このように、流入口403aは基部401の下面に、流出口403bは基部401の側面に形成されることから、流路403は、基部401の内部で屈曲した形状とされ、たとえば断面視逆L字状に形成されるが、形状等はこれに限定されるものではない。
【0166】
上記のように構成された中間部400は、
図20に示すように、第1周壁部54aに形成された取付穴86に取り付けられる。このとき、中間部400は、円柱状の基部401の軸方向がZ軸方向に沿うようにして取付穴86に取り付けられる。また、中間部400は、取付穴86に取り付けられた状態で、流入口403aが洗浄液供給管84cに接続されるとともに、流出口403bが洗浄液供給路84c1の傾斜した部位に向くように位置される。
【0167】
次に、洗浄液の流れについて説明すると、
図20に破線の矢印で示すように、洗浄液は、洗浄液供給管84cから流入口403aに流入し、続いて流路403を通って流出口403bから吐出される。このとき、洗浄液は、流路403の上端に当たってから流出口403bへ流れるため、水勢が適宜に弱められる。また、流出口403bは、凹部402に形成されることから、流出口403bから吐出された洗浄液は、洗浄液供給路84c1の傾斜した部位に当たって跳ね返るなどして、滞留部404で一旦滞留し、流量が増加した状態となる。
【0168】
そして、滞留部404にて流量が増加した洗浄液は、洗浄液供給路84c1の傾斜した部位から上端縁84dへ向けて流れて、吐出口85から溝部58に沿う方向(
図20では紙面左方向)へ吐出することとなる。すなわち、中間部400は、吐出口85の吐出方向をZ軸方向に対して傾け、洗浄液を吐出口85から溝部58に沿う方向へ向けて吐出させる。
【0169】
これにより、第3の実施形態にあっては、
図18に示すように、洗浄液を、第1周壁部54aの上面54a1において周方向に沿った一方向へと流すことができ、よって洗浄液を上面54a1においてより一層広範囲に広げて効率よく洗浄することができる。
【0170】
また、吐出口85の開口面積が洗浄液供給管84cの流路の面積よりも大きくなるように形成される。これにより、溝部58に対して比較的多くの洗浄液を供給することが可能となり、洗浄液を短時間で溝部58全体に広げることができる。また、洗浄液に過度な水勢がつかないようにすることもできる。なお、上記した中間部400は、第1周壁部54aとは別体とされるが、一体に構成されてもよい。
【0171】
(第4の実施形態)
次いで、第4の実施形態に係る処理ユニット16の洗浄液供給部80について説明する。第4の実施形態に係る中間部400にあっては、複数(たとえば2つ)の流出口403bを備えるようにした。
【0172】
図21は、第4の実施形態における第1周壁部54aの模式平面図である。
図21に示すように、第4の実施形態では、吐出口85は、第3の実施形態の吐出口85に比べ、平面視における開口面積が大きくなるように形成された開口とされる。
【0173】
また、吐出口85に接続される洗浄液供給路84c1は、第1洗浄液供給路84c11と、第2洗浄液供給路84c12とを備え、第1洗浄液供給路84c11と第2洗浄液供給路84c12との間に、中間部400が設けられる。
【0174】
図22は、
図21に一点鎖線で示す閉曲線E2付近を拡大した模式拡大平面図であり、
図23は、
図22のXXIII−XXIII線断面図である。
【0175】
図23に示す例では、第1洗浄液供給路84c11はZ軸方向に対してY軸負方向側へ傾斜する部位を備え、第2洗浄液供給路84c12はZ軸方向に対してY軸正方向側へ傾斜する部位を備える。すなわち、第1洗浄液供給路84c11と第2洗浄液供給路84c12とは、略左右対称となるように形成される。なお、上記した第1、洗浄液供給路84c11,84c12の傾斜する方向や略左右対称な形状とされることは、あくまでも例示であって限定されるものではない。また、吐出口85と溝部58との境界は、第1洗浄液供給路84c11の傾斜した部位の上端縁84d1および第2洗浄液供給路84c12の傾斜した部位の上端縁84d2を含むが、これに限定されるものではない。
【0176】
洗浄液供給部80の中間部400は、開口向きが異なる複数(たとえば2つ)の洗浄液の流出口403b1,403b2を備える。ここでは、一方の流出口403b1を「第1流出口403b1」、他方の流出口403b2を「第2流出口403b2」と記載する場合がある。
【0177】
詳しくは、中間部400において、流路403は途中で分岐され、分岐された流路403において下流側の一端に第1流出口403b1が、他端に第2流出口403b2が形成される。たとえば、第1流出口403b1の開口向きは
図23の紙面左方向、第2流出口403b2の開口向きは
図23の紙面右方向とされる。すなわち、第1、第2流出口403b1,403b2は、互いに対向する位置に形成されるようにしてもよい。
【0178】
言い換えると、第1、第2流出口403b1,403b2は、第1周壁部54aの周方向に沿った断面視において、左右対称形状または略左右対称形状となるように開口されるようにしてもよく、かかる場合、流路403は、基部401の内部においてたとえば断面視T字状に形成される。なお、上記した流路403や第1、第2流出口403b1,403b2の形状や数などは、例示であって限定されるものではない。
【0179】
中間部400は、取付穴86に取り付けられた状態で、第1流出口403b1が第1洗浄液供給路84c11の傾斜した部位に向くように、第2流出口403b2が第2洗浄液供給路84c12の傾斜した部位に向くように位置される。
【0180】
中間部400および第1、第2洗浄液供給路84c11,84c12が上記のように構成されることで、洗浄液は、中間部400から2方向に吐出されることとなる。すなわち、破線の矢印で示すように、流路403を通って第1流出口403b1から吐出される洗浄液は、第1洗浄液供給路84c11の傾斜した部位から上端縁84d1へ向けて流れて、吐出口85から溝部58に沿う方向(
図23では紙面左方向)へ吐出することとなる。
【0181】
一方、一点鎖線の矢印で示すように、流路403を通って第2流出口403b2から吐出される洗浄液は、第2洗浄液供給路84c12の傾斜した部位から上端縁84d2へ向けて流れて、吐出口85から溝部58に沿う方向(
図23では紙面右方向)へ吐出することとなる。
【0182】
従って、第4の実施形態にあっては、
図21に示すように、吐出口85は、平面視において両側に隣接する挿通孔59に向けて洗浄液を吐出できることから、吐出口85と隣接する挿通孔59との間の上面54a1を早期に効率よく洗浄することができる。
【0183】
なお、図示は省略するが、中間部400において、たとえば基部401の上面に洗浄液の流出口を形成し、かかる流出口から洗浄液を流出されることで、基部401の上面を洗浄するようにしてもよい。
【0184】
<6.洗浄処理の他の例>
次に、洗浄処理の他の例について説明する。洗浄処理について、上記では
図8を参照して説明したが、これに限られない。
図24は、洗浄処理の処理手順の他の例を示すフローチャートである。なお、
図24の処理は、たとえば第4の実施形態に係る処理ユニット16で行われるが、これに限定されるものではない。
【0185】
図24に示すように、制御装置4の制御部18は、第1昇降駆動部56bによって第1液受部55aを下降させて退避位置に移動させた後、洗浄液を供給する(ステップS20)。これにより、たとえば吐出口85や中間部400付近の洗浄を行うことができる。
【0186】
続いて、制御部18は、第1液受部55aを上昇させて処理位置に移動させた後、駆動部33によって保持部31を反時計回りに回転させつつ、洗浄液を供給する(ステップS21)。このように、保持部31を回転させることで、旋回流が生じるため、溝部58を伝って洗浄液を吐出口85から比較的離れた部位まで広範囲に行き渡らせて洗浄することができる。
【0187】
次に、制御部18は、第1液受部55aを下降させて退避位置に移動させた後、保持部31を反時計回りに回転させつつ、洗浄液を供給する(ステップS22)。これにより、第1液受部55aの下面55a1や第1周壁部54aの上面54a1を洗浄することができる。なお、制御部18は、上記したステップS20〜S22の処理を所定回数繰り返してもよい。
【0188】
次に、制御部18は、第1液受部55aを上昇させて処理位置に移動させた後、保持部31を反時計回りに回転させつつ、洗浄液を供給する(ステップS23)。
【0189】
次に、制御部18は、第1液受部55aを上昇させたままで、保持部31を時計回りに回転させつつ、洗浄液を供給する(ステップS24)。このように、本実施形態にあっては、保持部31が反時計周り(所定方向の一例)に回転させられた状態で洗浄液を供給した後、保持部31が時計回り(所定方向とは反対の方向の一例)に回転させられた状態で洗浄液を供給する。
【0190】
これにより、たとえば
図21に示すように、保持部31が反時計周りに回転するときは、洗浄液は一点鎖線の矢印方向に多く供給され、多く供給された部位を重点的に洗浄することができる。他方、保持部31が時計周りに回転するときは、洗浄液は破線の矢印方向に多く供給され、多く供給された部位を重点的に洗浄することができる。すなわち、保持部31の回転方向を洗浄処理の途中で切り替えることで、第1周壁部54aの上面54a1をより一層効率よく洗浄することができる。
【0191】
図24の説明を続けると、次に制御部18は、第1液受部55aを下降させて退避位置に移動させた後、保持部31を時計回りに回転させつつ、洗浄液を供給する(ステップS25)。なお、制御部18は、上記したステップS24,S25の処理を所定回数繰り返してもよい。
【0192】
次に、制御部18は、第1液受部55aを上昇させて処理位置に移動させた後、保持部31を時計回りに回転させつつ、洗浄液を供給する(ステップS26)。
【0193】
次に、第1液受部55aの外周側の洗浄が行われる。具体的には、制御部18は、第1液受部55aを下降させて退避位置に移動させるとともに、第2液受部55bを上昇させて処理位置に移動させる(
図3参照)。これにより、第1液受部55aと第2液受部55bとが離間する。
【0194】
そして、制御部18は、処理流体供給部40のノズル41を第1液受部55a付近まで移動させた後、DIWを洗浄液として吐出させる。これにより、洗浄液は、第1液受部55aと第2液受部55bとの隙間から、第1液受部55aの外周側に供給されることとなり、よって第1液受部55aの外周側の洗浄が行われる(ステップS27)。
【0195】
なお、第1液受部55aの内周側の洗浄については、たとえば
図7にステップS4で示す第2薬液処理の中で行っているため、本洗浄処理では行わないが、第1液受部55aの外周側の洗浄の前後で行うようにしてもよい。なお、第1液受部55aの内周側の洗浄の際、たとえば、第1液受部55aの内周側に第2薬液を数秒間供給して結晶などを洗い流しもよい。このとき、第1液受部55aを洗い流した第2薬液には結晶が含まれていることがあるため、回収ラインにはいれずに排液ラインへ流し、その後所定時間が経過して結晶が含まれなくなった時点で排液ラインから回収ラインへ切り替え、回収を開始するようにしてもよい。
【0196】
なお、上記した第1液受部55aの下面55a1や第1周壁部54aの上面54a1、第1液受部55aの外周側を洗浄すると、たとえばBHFの結晶などを含んだ洗浄液が、第2排液溝501b(
図3参照)に流れ込むこととなる。かかる第2排液溝501bは、アルカリ系処理液用の排液溝であるため、酸系処理液たるBHFの結晶を含んだ洗浄液が第2排液溝501bから排液管91bを通って排液ラインへ流れ込むことは好ましくない。
【0197】
そこで、本実施形態にあっては、BHFの結晶を含んだ洗浄液が第2排液溝501bへ流入する場合、図示は省略するが、バルブ62bを切り替え、流入した洗浄液を洗浄液の排液ラインである第2排液管91a2へ流すようにする。これにより、BHFの結晶などを含んだ洗浄液がバルブ62bの下流側へ流れ、アルカリ系処理液の排液ラインへ流れ込むことを防止することができる。
【0198】
図24の説明を続けると、次に制御部18は、乾燥処理を行う(ステップS28)。具体的には、制御部18は洗浄液の供給を停止するとともに、保持部31を時計回りに回転させて旋回流を生じさせ、第1周壁部54aや第1液受部55aを乾燥させる。かかる乾燥処理が終了すると、一連の洗浄処理が完了する。
【0199】
なお、上記した実施形態にあっては、洗浄液供給管84cの吐出口85から第1周壁部54aの上面54a1へ洗浄液を供給するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、たとえば上面54a1を臨む位置に洗浄液の供給ノズルを配置し、供給ノズルから上面54a1へ洗浄液を供給するように構成してもよい。
【0200】
また、上記では、洗浄液供給部80は、第1周壁部54aの上面54a1を洗浄するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、上面54a1の洗浄に代えてあるいは加えて、洗浄液供給部80が第2周壁部54bの上面54b1を洗浄するように構成してもよい。
【0201】
また、上記の処理ユニット16では、酸系処理液を第1排液管91a1を介して回収して再利用するようにしたが、これに限定されるものでなく、酸系処理液を再利用しない構成であってもよい。また、上記では、第1昇降駆動部56bと第2昇降駆動部57bとを別体としたが、これに限られず、たとえば第1、第2昇降駆動部56b,57bを共通化させるようにしてもよい。
【0202】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。