(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のファセットのうちの前記少なくとも1つのファセットが、前記反射表面に対して実質的に接する方向に前記隣接ファセットに重なって、隣接ファセット間に開放空間を形成する、請求項10に記載の反射EUV光学部品。
【背景技術】
【0002】
[0002] 極端紫外光、例えば、50nm辺り又はそれ未満の波長を有し、約13.5nmの波長の光を含む電磁放射(時には軟X線ともいう)は、シリコンウェーハなどの基板内に極端に小さいフィーチャを生成するためにフォトリソグラフィプロセスにおいて使用することができる。ここで並びに本明細書の他の箇所では、「光」という用語を使用して記載されている放射線がスペクトルの可視部内にない可能性があると理解される場合でも、この用語を使用する。
【0003】
[0003] EUV光を生成するための方法は、ターゲット材料を液体状態からプラズマ状態に変換することを含む。ターゲット材料は、好ましくは、スペクトルのEUV部に1つ以上の輝線を有する少なくとも1つの元素、例えば、キセノン、リチウム、スズ、又は何らかのその他の材料を含む。しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる、このような方法の1つでは、レーザビームを使用して、照射領域内でプラズマを形成するために必要なライン放出元素を有するターゲット材料を照射し、蒸発させることによって必要なプラズマが生成される。
【0004】
[0004] ターゲット材料は多くの形態を取ることができる。それは、固体である場合もあれば、溶融物である場合もある。溶融物である場合、連続流れ又は不連続小滴の流れなどの数通りの方式で投入することができる。一例として、以下の考察におけるターゲット材料は、不連続小滴の流れとして投入される溶融スズである。しかしながら、その他のターゲット材料、ターゲット材料のその他の物理相、及びターゲット材料のその他の送り出しモードを使用できることは当業者によって理解されるであろう。
【0005】
[0005] プラズマ内のイオンの脱励起及び再結合中に生成されたエネルギ放射は全方向にプラズマから伝搬する。1つの一般的な配置では、光を収集し、誘導し、配置によっては中間位置に集束させるように近垂直入射ミラー(しばしば「コレクタミラー」又は単純に「コレクタ」と呼ばれる)の形のEUV光学素子が位置決めされる。収集された光は次に、中間位置からそれが使用される場所に、例えば、1組のスキャナ光学機器に、そしてEUV放射が半導体フォトリソグラフィに使用される場合は最終的にウェーハにリレーすることができる。
【0006】
[0006] ターゲット材料は、ターゲット材料ディスペンサによって照射領域内に導入される。ターゲット材料ディスペンサには液体又は固体の形のターゲット材料が供給される。固体の形のターゲット材料が供給される場合、ターゲット材料ディスペンサはターゲット材料を溶解する。次にターゲット材料ディスペンサは、照射領域を含む真空チャンバ内に溶融ターゲット材料を投入する。
【0007】
[0007] ターゲット材料を蒸発させるプロセスはデブリを創出する。このデブリは、コレクタ表面に到達可能である場合、コレクタの反射率を劣化させる可能性がある。いくつかのシステムでは、デブリ緩和のために0.5〜3mbarの範囲内の圧力のH
2ガスが真空チャンバ内で使用される。真空圧でガスがない場合、プラズマから射出されたターゲット材料デブリからコレクタを十分に保護することは、不可能ではない場合でも困難なものになるであろう。水素は、約13.5nmの波長を有するEUV放射に対して比較的透過的であり、従って、約13.5nmの波長でより高い吸収作用を発揮するHe、Ar、又はその他のガスなどのその他の候補ガスより好ましい。
【0008】
[0008] H
2ガスは、プラズマによって創出されたターゲット材料のエネルギデブリ(イオン、原子、及びクラスタ)を減速するために真空チャンバ内に導入される。デブリはガス分子との衝突によって減速される。このために、デブリ軌道とは反対のH
2ガスの流れが使用される。これは、コレクタのオプティカルコーティング上の及びオプティカルコーティング内へのターゲット材料の付着、注入、及び/又はスパッタリングによって引き起こされる損傷を低減する働きをする。この方法を使用すると、プラズマ箇所とコレクタ表面との間の距離にわたりこれらの圧力で行われる多くのガス衝突により、数keVのエネルギを有するエネルギ粒子をガスの熱エネルギまで減速することが可能であると考えられる。
【0009】
[0009] H
2ガスを真空チャンバ内に導入するもう1つの理由は、コレクタ表面の清掃を容易にすることである。H
2ガスは水素ラジカルH
*に解離することができる。次に水素ラジカルH
*は、コレクタ表面からターゲット材料付着物を除去するのに役立つ。例えば、ターゲット材料としてのスズの場合、水素ラジカルは、ポンプで汲み出すことができる揮発性のガス状スタンナン(SnH
4)の形成に至るコレクタ表面上の反応に関与する。この化学的経路を効率的なものにするために、Snと結合してSnH
4を形成するために水素ラジカルが使用可能になるようにコレクタ表面上に低いH再結合率(ラジカルが再結合してH
2分子を形成する割合)が存在することが好ましい。一般に、窒化物、炭化物、ホウ化物、及び酸化物のような非金属化合物は、純粋金属と比べると、より低いH再結合率を有する。
【0010】
[0010] 上述のように、照射箇所28からのデブリからコレクタ30(
図2)の表面を保護するための対策の1つは、コレクタ表面の全域で分子状水素などのガスの流れを引き起こすことを伴う。このガス流は、コレクタ30の表面上へのデブリのフラックスが低減されるように、デブリを偏向する。コレクタ表面全体がガス流によってもたらされる保護から実質的に等しく恩恵を受けられるように、ガス流がコレクタ表面の全域で均一であることが好ましい。ガス流がコレクタの中心及び外周の両方から分散される設計では、コレクタ表面の全域で流れを維持するために、ガスが300mmより長く移動することが必要である。この要件は、均一な流れを維持することを困難にするものである。「シャワーヘッド」コレクタなどのその他の設計は、コレクタ表面に対して垂直なガス流を送り出し、従って、均一な平行流を維持する必要がないが、コレクタ表面に対して接するか又は平行な流れの恩恵も提供しない。
【0011】
[0011] 従って、コレクタ表面の全域で均一な流れを容易にするようにコレクタの表面に対して平行なガスの流れを導入するガスデリバリシステムが必要である。
【発明の概要】
【0012】
[0012] 以下の説明では、1つ以上の実施形態について基本的な理解を提供するために、これらの実施形態の簡略な要約を提示する。この要約は、企図されているすべての実施形態に関する広範な概要ではなく、すべての実施形態の主要な又は重大な要素を識別するためのものではなく、任意又はすべての実施形態の範囲について制限を設定するためのものでもない。その唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明に対する前置きとして、1つ以上の実施形態のいくつかの概念を簡略な形で提示することである。
【0013】
[0013] 本発明の一態様により、コレクタは、隣接ファセット(facet)同士の間にギャップを形成するために間隔を開けて配置された複数ファセットの集合として構成される。ギャップは、ガス流がコレクタ表面に対して平行に導入されるようにコレクタ表面全域のガス流のための入口として使用される。ガス分散の局所化に関連する反射領域損失を最小限にすることができるように、ファセットは垂直(z軸)方向に変動するオフセットを設けて作成することができる。
【0014】
[0014] 本発明の他の態様により、反射EUV光学部品(reflective EUV optic)の反射表面の第1の部分を含む第1のファセットと、反射EUV光学部品の反射表面の第2の部分を含む第2のファセットと、を含み、第1のファセットがギャップによって第2のファセットから分離される反射EUV光学部品が提供される。第1のファセットは反射EUV光学部品の光軸に対して平行な方向に第2のファセットから分離することができ、第1のファセットは、第1のファセットが第2のファセットに重なる反射表面に対して実質的に接する方向に第2のファセットに重なることができる。反射EUV光学部品は中心光軸の周りで実質的に軸対称にすることができ、その場合、第1のファセット及び第2のファセットは実質的に環状である。また、反射EUV光学部品は、ギャップと流体で連絡しているプレナムも含むことができる。
【0015】
[0015] 本発明の更に他の態様により、反射表面を有し、当該反射表面が複数のファセットからなり、隣接ファセット同士がそれぞれのギャップによって分離される反射EUV光学部品が提供される。複数のファセットのうちの少なくとも1つのファセットは、EUV光学部品の光軸に対して平行な方向に隣接ファセットから分離され、当該ファセットが隣接ファセットに重なる反射表面に対して実質的に接する方向に隣接ファセットに重なる。反射EUV光学部品は中心光軸の周りで実質的に軸対称にすることができ、その場合、ファセットは実質的に環状である。複数の環状ファセットはまとまって実質的に反射表面全体を構成する。また、反射EUV光学部品は、ギャップと流体で連絡しているプレナムも含むことができる。
【0016】
[0016] 本発明の更に他の態様により、反射EUV光学部品の反射表面の第1の部分を構成する第1のファセットと、反射EUV光学部品の反射表面の第2の部分を構成する第2のファセットとを含み、第1のファセットがギャップによって第2のファセットから分離される反射EUV光学部品を含むEUV光源が提供される。また、EUV光源は、ギャップと流体で連絡しているガス供給部(gas supply)も含む。第1のファセットは反射EUV光学部品の光軸に対して平行な方向に第2のファセットから分離することができ、第1のファセットは、第1のファセットが第2のファセットに重なる反射表面に対して実質的に接する方向に第2のファセットに重なることができる。反射EUV光学部品は中心光軸の周りで実質的に軸対称にすることができ、その場合、第1のファセット及び第2のファセットは実質的に環状である。また、反射EUV光学部品は、ギャップと流体で連絡しているプレナムも含むことができる。
【0017】
[0017] 本発明の更に他の態様により、チャンバとチャンバ内の反射EUV光学部品とを含むEUV光源が提供される。反射EUV光学部品は、中心光軸の周りで実質的に軸対称であり、反射EUV光学部品の反射表面の第1の部分を構成する第1の環状ファセットと、反射EUV光学部品の反射表面の第2の部分を構成する第2の環状ファセットとを含み、第1のファセットは環状入口によって第2のファセットから分離され、反射EUV光学部品は環状入口と流体で連絡しているプレナムを更に含む。ここで並びに本明細書の他の箇所で使用するように、全面的に妨げられないか又は制約を受けるかのいずれでもガスなどの流体が2つの要素の一方から他方に流れることができるように2つの要素が配置されるか又は両者間の物理的ハードウェア接続部を有する場合、それらの要素は流体で連絡している。また、反射EUV光学部品は、プレナムと流体で連絡し、チャンバ内の圧力より高い圧力のガスの供給部も含む。第1の環状ファセットは反射EUV光学部品の中心光軸に対して平行な方向に第2の環状ファセットから分離することができ、第1の環状ファセットは、環状入口を作成するように第1の環状ファセットが第2の環状ファセットに重なる反射表面に対して実質的に接する方向に第2の環状ファセットに重なることができる。環状入口は、第1の環状ファセットが第2の環状ファセットに重なる反射表面に対して接する方向に供給部からのガスを誘導するように構成される。
【0018】
[0018] 本発明の更に他の態様により、チャンバとチャンバ内の反射EUV光学部品とを含み、反射EUV光学部品が中心光軸の周りで実質的に軸対称であり、反射EUV光学部品の反射表面のそれぞれの部分を含む複数の環状ファセットを含み、複数の環状ファセットがまとまって実質的に反射表面全体を構成し、環状ファセットのそれぞれが反射EUV光学部品の中心光軸に対して平行な方向に複数の環状入口のそれぞれ1つによって隣接環状ファセットから間隔を開けて配置され、複数の環状入口と流体で連絡し、ガスが環状入口を通って供給部からチャンバ内に流れるようにチャンバ内の圧力より高い圧力のガスの供給部を更に含み、環状ファセットのそれぞれが、複数の環状入口のうちの1つを作成するように環状ファセットが少なくとも1つの隣接環状ファセットに重なる反射表面に対して実質的に接する方向にその隣接環状ファセットに重なり、従って、複数の環状入口が環状ファセット同士が重なる反射表面に対して接する方向に供給部からのガスを誘導するように構成される、EUV光源が提供される。
【0019】
[0019] 本発明の更に他の態様により、EUV光を生成する方法であって、反射EUV光学部品の反射表面の第1の部分を含む第1のファセットと反射EUV光学部品の反射表面の第2の部分を含む第2のファセットとを有し、第1のファセットがギャップによって第2のファセットから分離される反射EUV光学部品を提供するステップと、反射EUV光学部品の反射表面の第2の部分を通り越してガス供給部から接線方向にギャップを通ってガスを流すステップとを含む方法が提供される。
【0020】
[0020] 本発明の更に他の態様により、反射EUV光学部品のためのガスシース(gas sheath)を作成する方法であって、EUV光学部品が中心光軸の周りで実質的に軸対称であり、光軸上に中心が置かれ、入口から流れ出すガスをEUV光学部品の反射表面の全域に流すように向けられた複数の実質的に円形の入口をEUV光学部品に設けるステップと、複数の実質的に円形の入口にガスを供給するステップとを含む方法が提供される。
【0021】
[0021] 本発明の更に他の態様により、反射EUV光学部品を構築する方法であって、支持体を設けるステップと、それぞれが他のリング状反射要素(reflective element)の内径とは異なる内径と他のリング状反射要素の外径とは異なる外径とを有する複数の実質的に円形のリング状反射要素を設けるステップと、複数の実質的に円形のリング状反射要素が共通の中心及び共通の焦点を有するように、しかも任意の2つの隣接円形リング状反射要素について、それを通ってガスが流れるように光軸のより近くに取り付けられた円形リング状反射要素の外部エッジと光軸からより遠くに取り付けられた円形リング状反射要素の内部エッジとの間にギャップを創出するために、光軸のより近くに取り付けられた円形リング状反射要素の外径が光軸からより遠くに取り付けられた円形リング状反射要素の内径より大きくなり、光軸のより近くに取り付けられた円形リング状反射要素の外部エッジが光軸からより遠くに取り付けられた円形リング状反射要素の内部エッジに光軸の方向に重なるように、ブルズアイ配置(bull’s−eye arrangement)に支持体上に複数の実質的に円形のリング状反射要素を取り付けるステップと、を含む方法が提供される。
【0022】
[0022] 本発明の更に他の態様により、複数の反射ファセットからなる第1の反射光学素子を含み、第1の光学素子がEUV光学システム内のコレクタミラーとして及びEUV光学システム内のフィールドファセットミラー(field facet mirror)として機能するように、第1の光学素子のファセットが構成され配置され、十分な数である、EUV光学システムが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0029] 次に、図面に関連して様々な実施形態について説明するが、図面全体を通して同様の要素を指すために同様の参照番号を使用する。以下の説明では、説明のために、1つ以上の実施形態について徹底的な理解を促進するために多数の特定の詳細が明記されている。しかし、いくつかの又はすべての事例では、以下に記載されている特定の設計詳細を採用せずに以下に記載されているいずれかの実施形態を実践できることは明白である可能性がある。その他の事例では、1つ以上の実施形態の説明を容易にするために周知の構造及び装置がブロック図形式で示されている。以下の説明では、1つ以上の実施形態について基本的な理解を提供するために、これらの実施形態の簡略な要約を提示する。この要約は、企図されているすべての実施形態に関する広範な概要ではなく、すべての実施形態の主要な又は重大な要素を識別するためのものではなく、任意又はすべての実施形態の範囲について制限を設定するためのものでもない。
【0025】
[0030]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、放射ビームBを調節するように構成された照明システムILを備える。装置はまた、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続される支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)にパターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを投影するように構成された投影システム(例えば、屈折又は反射投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0026】
[0031] 照明システムILは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0027】
[0032] 支持構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどのその他の条件に応じた形で、パターニングデバイスを保持する。支持構造MTは、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスを保持することができる。支持構造MTは、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造MTは、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
【0028】
[0033]
図1に示すように、照明システムILは、放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SO及び照明システムILは、必要に応じてビームデリバリシステムとともに、放射システムと呼ぶことができる。
【0029】
[0034] 照明システムILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタを備えていてもよい。通常、照明システムの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲を調整することができる。また、照明システムILは、一般に、インテグレータ及びコンデンサなどの他の様々なコンポーネントを備えていてもよい。照明システムを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0030】
[0035] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサIF1を使用して、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。
【0031】
[0036]
図2は、
図1の装置で使用可能な光源SOの一実施形態をより詳細に示している。光源SOは、プラズマ形成箇所又は照射領域28で形成されたプラズマからEUV放射を生成する。プラズマは、ターゲット材料ディスペンサ24によってチャンバ26内に導入されるSn、In、Gd、又は何らかのその他の材料などの適切なターゲット材料上にレーザビームを誘導することによって創出される。レーザビームはターゲット材料を蒸発させ、それによりプラズマを生成する。上述のように、このタイプの光源はレーザ生成プラズマ又はLPP光源とも呼ぶことができる。LPP光源SOは、光パルスの列を生成し、その光パルスをチャンバ26内に送り出すためのシステム22を含むことができる。以下に詳述するように、それぞれの光パルスは、ビーム経路に沿ってシステム22からチャンバ26内に移動して、照射領域28でそれぞれのターゲット小滴を照らすことができる。本明細書で使用する照射領域は、ターゲット材料照射が行われる領域であり、実際に照射が全く行われない時でも照射領域であることに留意されたい。以下の例では、ターゲット材料の小滴の形でターゲット材料を投入するターゲット材料ディスペンサ24の例を使用する。しかしながら、ターゲット材料ディスペンサ24は、ターゲット材料の連続流れを含むその他の形でターゲット材料を投入できることも認識されるであろう。
【0032】
[0037]
図2に示されているシステムSOで使用するための適切なレーザは、パルスレーザ装置、例えば、9.3μm又は10.6μmで放射線を発生し、DC又はRF励起を備え、例えば10kW以上の比較的高い電力と例えば50kHz以上の高いパルス繰り返し率で動作するパルスガス放電CO
2レーザ装置を含むことができる。特定の一実施形態では、レーザは、複数の増幅ステージを備え、例えば、100kHzの動作が可能な比較的低いエネルギ及び高い繰り返し率でQスイッチ発振器によって開始されるシードパルスを有する、発振器−増幅器構成(例えば、主発振器/電力増幅器(MOPA)又は電力発振器/電力増幅器(POPA))を有する軸流RFポンプCO
2レーザにすることができる。次に、発振器からのレーザパルスは、照射領域28に到達する前に、増幅し、整形し、及び/又は合焦させることができる。連続ポンプCO
2増幅器をシステムSOに使用することができる。例えば、1つの発振器と3つの増幅器を有する適切なCO
2レーザ装置(O−PA1−PA2−PA3構成)は2008年10月21日に発行された米国特許第7439530号に開示されており、同特許の内容全体は参照により本明細書に取り入れられる。代替的に、レーザは、小滴が光共振器の1つのミラーとして働く、いわゆる「セルフターゲティング」レーザシステムとして構成することができる。いくつかの「セルフターゲティング」配置では、発振器は必要ではない可能性がある。セルフターゲティングレーザシステムは2009年2月17日に発行された米国特許第7491954号に開示され請求されており、同特許の内容全体は参照により本明細書に取り入れられる。
【0033】
[0038] 適用例次第で、その他のタイプのレーザ、例えば、高電力及び高パルス繰り返し率で動作するエキシマ又はフッ素分子レーザも適切である可能性がある。その他の例としては、例えば、ファイバ、ロッド、スラブ、又はディスク形活性媒質を有する固体レーザ、例えば、1つの発振器チャンバと1つ以上の増幅チャンバ(増幅チャンバは並列又は直列である)などの1つ以上のチャンバを有するその他のレーザアーキテクチャ、主発振器/電力発振器(MOPO)配置、主発振器/電力リング増幅器(MOPRA)配置、あるいは1つ以上のエキシマ又はフッ素分子増幅器又はCO
2増幅器又は発振器チャンバをシーディングする固体レーザを含み、これらは適切である可能性がある。その他の設計も適切である可能性がある。
【0034】
[0039]
図2に更に示されているように、ターゲット材料ディスペンサ24はターゲット材料をチャンバ26の内部に照射領域又はプラズマ箇所28まで送り出し、そこでターゲット材料は1つ以上の光パルス、例えば、ゼロ又は1つ以上の前パルスとその後の1つ以上の主パルスと相互作用して、最終的にプラズマを生成し、EUV放出を発生することになる。例えば、スズ、リチウム、キセノンなどのEUV放出元素は、液体小滴及び/又は液体小滴内に含有される固体粒子である場合もある。例えば、スズ元素は、純粋スズとして、SnBr
4、SnBr
2、SnH
4などのスズ化合物として、スズ−ガリウム合金、スズ−インジウム合金、又はスズ−インジウム−ガリウム合金などのスズ合金として、あるいはこれらの組み合わせとして、使用することができる。使用される材料次第で、ターゲット材料は、室温又は室温付近(例えば、スズ合金、SnBr
4)、高温(例えば、純粋スズ)、あるいは室温より低い温度(例えば、SnH
4)を含む様々な温度で照射領域28に提示することができ、場合によっては、SnBr
4など、比較的揮発性である場合もある。LPP EUV光源におけるこれらの材料の使用に関する詳細は2008年12月16日に発行された米国特許第7465946号に提供されており、同特許の内容全体は参照により本明細書に取り入れられる。場合によっては、ターゲット材料を照射領域28に向けるか又はそれから離すことができるようにターゲット材料上に電荷が置かれる。
【0035】
[0040]
図2について続けると、光源SOはEUV光学部品30などの1つ以上のEUV光学素子も含むことができる。EUV光学部品30は、例えば、多層膜反射鏡(MLM)、即ち、熱誘起層間拡散を効果的に阻止するために追加の薄いバリア層がそれぞれの境界面に付着しているMo/Si多層でコーティングされたSiC基板として実現された垂直入射レフレクタの形のコレクタミラーにすることができる。Al又はSiなどのその他の基板材料も使用することができる。EUV光学部品30は、レーザ光が通過して照射領域28に到達できるようにするためのアパーチャ35を備えた長球面の形にすることができる。EUV光学部品30は、例えば、照射領域28にある第1の焦点と、いわゆる中間点40にある第2の焦点(中間焦点40とも呼ばれる)と、を有する楕円の形にすることができ、その場合、EUV光は、EUV光源SOから出力し、例えば、上記のように集積回路リソグラフィツールに入力することができる。
【0036】
[0041] EUV光源20はEUV光源コントローラシステム60も含むことができ、このコントローラシステム60は例えばレーザビーム位置決めシステム(図示せず)とともにレーザ発射制御システム65も含むことができる。また、EUV光源20はターゲット位置検出システムも含むことができ、このターゲット位置検出システムは、例えば照射領域28に対するターゲット小滴の絶対位置又は相対位置を示す出力を生成し、この出力をターゲット位置検出フィードバックシステム62に提供する1つ以上の小滴結像器(drop imager)70を含むことができる。ターゲット位置検出フィードバックシステム62はこの出力を使用してターゲット位置及び軌道を計算することができ、それらからターゲットエラーを計算することができる。ターゲットエラーは、小滴ごとに、平均して、又は何らかのその他の基準で計算することができる。次にターゲットエラーは光源コントローラ60への入力として提供することができる。応答として、光源コントローラ60は、レーザ位置、方向、又はタイミング補正信号などの制御信号を生成し、この制御信号をレーザビーム位置決めコントローラ(図示せず)に提供することができる。レーザビーム位置決めシステムはこの制御信号を使用して、レーザタイミング回路を制御するか及び/又はレーザビーム位置及び整形システム(図示せず)を制御し、例えば、チャンバ26内のレーザビームフォーカルスポットの位置及び/又は集光力を変更することができる。
【0037】
[0042]
図2に示されているように、ターゲット材料ディスペンサ24はターゲットデリバリ制御システム90を含むことができる。ターゲットデリバリ制御システム90は、例えば上記のターゲットエラー又はシステムコントローラ60によって提供されるターゲットエラーから導出された何らかの数量などの信号に応答して、照射領域28内のターゲット小滴の位置のエラーを補正するように動作可能である。これは、例えば、ターゲットデリバリメカニズム92がターゲット小滴を放出するポイントを再位置決めすることにより達成することができる。ターゲットデリバリメカニズム92は、チャンバ26内に伸び、加圧されたターゲットデリバリメカニズム92内にターゲット材料を入れるためにターゲット材料及びガスが外部から供給される。
図2は、チャンバ26に入るガスがそれを通って排出されるガス出口160も示している。
【0038】
[0043] 図示の通り、光源SOからの光は中間焦点40を通過し、照明システムILに入る。当然のことながら、中間焦点40は、光源SO内にあるか、照明システムIL内にあるか、又は光学的にそれらの間に挿入することができ、即ち、光源SOを出た光は照明システムILに入る前に中間焦点を通過する。照明システムILはフィールドファセットミラー42と瞳ファセットミラー(pupil facet mirror)47とを含むことができる。フィールドファセットミラー42と瞳ファセットミラー47はファセット付きミラーとして構成することができる。例えば、これらのミラーは約400個の薄い長方形のミラーセグメント(ファセット)を有することができる。これらのミラーの製造過程において、これらのファセットは個々に研磨し整形することができる。
【0039】
[0044]
図3aは、コレクタ30の1つのバージョンをより詳細に示している。コレクタ30は、それに対して同心のファセットエレメント(facet element)110、112、114、116、及び118の集合が取り付けられた支持体100を含む。
図3aの実施形態は5つのファセットエレメントを示しているが、当業者であれば、その他の数のファセットエレメントを使用できることを容易に認識するであろう。
図3aの実施形態では、ファセットエレメントは、それぞれのファセットエレメントの環又はリングの中心がコレクタミラー30の光軸120上にある環状である。また、ファセットエレメントは、照射領域28に対応する共通の焦点Fを有するように配置される。
【0040】
[0045]
図3aはファセットエレメントが平らである一実施形態を示しているが、当業者であれば、ファセットエレメントが湾曲してもよいことを容易に認識するであろう。ファセットエレメントの前面、即ち、焦点に面する表面には、当技術分野で既知のやり方で多層反射コーティングが施されている。
【0041】
[0046] ファセットエレメントは、光軸120の方向に互いにオフセットになるように配置される。また、ファセットエレメントは、重なり合うそれぞれの表面に対して接する方向に互いに重なるようにも配置される。このようにして、焦点Fで発生した光は常に、ファセット配置において反射率の損失が全くないように反射表面に当たる。
【0042】
[0047] ファセットエレメントのこの配置はファセットエレメント同士の間にギャップを創出し、そのうちの1つはギャップ130として表示されている。見て分かるように、ギャップ130及びその他のギャップは通路又は入口を形成する。また、
図3aの配置は、ギャップと流体で連絡しているプレナム140も含む。
図3aの構成は、プレナム140と流体で連絡しているガス供給部150も含む。ここで並びに特許請求の範囲では、2つの要素が「流体で連絡している」と言われる場合、ガスなどの流体がそれらの間を直接的に又は間接的に流れることができることを意味する。
【0043】
[0048] ガス供給部150は、加圧されたガスをプレナム130に供給する。現在好ましい一実施形態では、ガスは分子状水素H
2である。ガス供給部の目的は、プレナム140を通り、ギャップから出るガスの流れをもたらすことである。コレクタ30は通常、チャンバ26内に配置されるので、ガス供給部150からのガスの圧力はチャンバ26内の圧力より上に維持される。ギャップを通って流れるガスは、ギャップに隣接するファセットの表面に対して平行な方向又は接する方向にギャップの幾何学によって誘導される。このようにして、全体的なガス流は、コレクタ30の表面に対して平行に又は接する方向に流れるガスのシート又はシースを作成する。このガスシースは、上記のように照射箇所28で発生したイオンを含むデブリからコレクタ30の反射表面を保護する。加えて、ガスの量を正確に制御するために、ガス供給部150とプレナム140との間にガスフローコントローラ155が存在する可能性がある。
【0044】
[0049]
図3aに示されている配置は、プレナム140からガスを抜き取り、プレナム140を通るガスの均一な流れを促進するために、ガス排出口160(
図2に示されている)も含む。
【0045】
[0050]
図3aの配置は、1つのファセットが中心により近い隣接ファセットに重なる「内側の上に外側(outer over inner)」配置と呼ぶことができる。この結果、
図3aに示されているように周縁から中心に向かうガス流が発生する。また、1つのファセットが中心からより遠い隣接ファセットに重なる「外側の上に内側(inner over outer)」配置を備えることも可能である。このような配置は
図3bに示されている。この結果、
図3bに示されているように周縁から中心に向かうガス流が発生する。
【0046】
[0051]
図4aは、
図3aのコレクタ30内のギャップ130の精細図である。見て分かるように、ギャップ130は、矢印Aによって示されるコレクタ30の光軸に対して平行な方向に隣接ファセット112と114との間のオフセットによって創出される。「光軸に対して平行な方向に」とは、(1)光軸に対して平行かつ光軸と同じ方向に向けられることと、(2)光軸に対して平行かつ光軸と反対の方向に向けられることと、の両方を含む。
図4にはファセット112及び114の一部分のみが示されていることが理解されるであろう。ファセット112と114との間のオフセットは、矢印Bによって示される方向にコレクタ30の焦点Fに向かう(従って、照射領域28にも向かう)方向に対して平行であると考えることもできる。ファセット112及び114は、プレナム140とチャンバ26の内部との間にガスバリアをもたらすものである。従って、チャンバ26の内部より高い圧力でプレナム140内に導入されたガスは、ファセット114の表面に対して実質的に接する矢印Cによって示される方向にギャップ130を通って流れる。その他のファセット同士の間のオフセットによって創出される他のギャップについても同じことが当てはまる。
図4bは、
図3bのコレクタ30内のギャップ130の精細図である。容易に理解されるように、「外側の上に内側」というギャップの幾何学によりコレクタ30の中心から離れる方向にガスがギャップから出ることを除き、同じ考慮事項がすべて適用される。
【0047】
[0052]
図5aは、
図3aのコレクタ30として機能する可能性のあるファセット付きミラーの平面図である。図示の通り、ファセットエレメントのそれぞれはコレクタ30の光軸120の周りに同心円状に配置される。また、それぞれのファセットエレメントは少なくとも1つの隣接ファセットエレメントと重なる。ファセットエレメント112を特定の例として挙げると、これは平面図ではリング状である。これは内部エッジ111と外部エッジ113とを有する。外部エッジは、ファセットエレメント114の内部エッジによって覆い隠されているので、透視図で示されている。ファセットエレメント112は、内部エッジ111の幅、即ち、ファセットエレメント112を構成するリングの中央の穴の幅として取られるD1として指定された内径と、ファセットエレメント112の外部エッジ113の幅として取られるD2として指定された外径と、を有する。ファセットエレメント112の内径D1は隣接ファセットエレメント110の外径より小さい。また、ファセットエレメント112の外径D2は隣接ファセットエレメント114の内径より大きい。
図5aから分かるように、ファセットエレメントの外径は、光軸120からのファセットエレメントの距離につれて次第に大きくなる。内径についても同じことが当てはまる。
【0048】
[0053] 上記では、外側のエレメントが内側のエレメントに重なるという隣接ファセットエレメントの重なりのパターンが記載されている。隣接ファセットエレメントの重なりのパターンがこれとは異なるものになり得ることは、当業者にとって明らかになるであろう。例えば、内側のエレメントが外側のエレメントに重なる可能性がある。これは
図5bに示されている。しかしながら、どのような重なりパターンを使用する場合でも、照射領域28から発生する光から見てファセットエレメントの集合によって提示される反射表面に破断が全くないこと、換言すれば、ここから見て重なりによってギャップが覆い隠されることが好ましい。
【0049】
[0054] 上述のように、EUV光学部品30は、ある範囲の数のファセットで構成することができる。少なくとも1つのギャップができるように少なくとも2つのファセットが存在することが現在好ましいことである。ファセットの数は理論的に任意の数まで可能であるが、ファセットの数が増加するとEUV光学部品30を構築する複雑さを増すという制限がある。例えば、上述のように、フィールドファセットミラーは400個のファセットで構成することができる。ファセットの数に関するもう1つの制限は、ファセット同士を重ねた時でも入射光線又は反射光線に対する陰影効果が発生するので、上述の対策を行ってもファセットの数につれて反射率の損失が増加することである。
【0050】
[0055] ファセットは必ずしもすべてが同じ形状であるわけではなく、必ずしもすべてが同じ放射幅を有するわけではないことにも留意されたい。
【0051】
[0056] コレクタ30にファセット付きミラーを使用することの潜在的な利点の1つは、ファセット付きミラーのファセットの数が増加し、フィールドファセットミラー42に使用されるファセットの数、例えば、約400個に近づき始めると、コレクタ30として機能するファセット付きミラーはコレクタ30とフィールドファセットミラー42の両方の光学機能を実行するように構成することができ、従って、別個のフィールドファセットミラー42の必要性が解消されることである。1つのミラーから反射するごとに光の量を30%削減する可能性があり、従って、1つのミラーを除去すると同じ量だけ全体的な光の損失を低減できるので、これは潜在的に重要な利点である。ここで使用するように、ファセット付きミラーを構成できるという場合、コレクタ30として使用された時にそのミラーが別個のフィールドファセットミラー42の機能を更に実行し、その必要性を解消できるように、ミラーの個々のファセットを整形し、サイジングし、方向付けることができることを意味する。
【0052】
[0057] それぞれのファセットは、その上に複層反射表面(multiple layer reflective surface)が置かれた基板を含む。複層反射表面は、関心のある波長、約13.5nmの光を反射するように最適化される。また、ファセットは、当技術分野で既知のやり方で基板と複層反射表面との間の平滑化層(smoothing layer)及び複層反射表面の上のキャッピング層も含むことができる。
【0053】
[0058] ファセット同士の間のギャップは、ギャップから出るガスが隣接ファセットの表面の上を均一に流れるように誘導されるように整形される。ガスは2原子水素H
2を含むことができ、この水素は解離した水素ラジカルH
*になる可能性がある。また、ガスは水素ラジカルH
*も含むことができる。次に水素ラジカルH
*はコレクタ表面上でターゲット材料、ここではスズと反応してSnH
4(スタンナン)を形成する。ギャップは好ましくは、それぞれのファセットの前面の近くに新鮮なガスの供給部が存在するように配置され分散される。また、ギャップは好ましくは、すべての領域がギャップによって画定されるガス入口から実質的に同じ距離になるように配置され分散される。
【0054】
[0059] 隣接ファセット同士の重なりの量は、ファセット同士の間のギャップが照射領域28から見て覆い隠されるように選択される。また、重なりの量は、ギャップが隣接ファセットの表面に対して接する方向にガスを効果的に誘導するように、そのギャップのために十分な横方向の広がりを提供するように選択される。重なりの量が位置ごとに変動する可能性があること、即ち、重なりは必ずしもすべてが同じ程度ではないことも当業者によって理解されるであろう。
【0055】
[0060]
図6は、使用可能なファセット幾何学のもう1つの例として平行ストリップのアレイとして構成されたコレクタミラー30を示している。具体的には、
図6には、第2のストリップ状ファセット210に隣接する第1のストリップ状ファセット200を有し、第2のストリップ状ファセット210が第3のストリップ状ファセット220に隣接するミラーが示されている。図示の例では、第1のストリップ状ファセット200は第2のストリップ状ファセット210に重なり、同図の平面に対して垂直な方向に第2のストリップ状ファセット210から間隔を開けて配置されて、両方のファセット間にギャップを創出し、それを通ってガスは矢印230によって示されるようにストリップ状ファセット210の表面全域を流れることができる。
【0056】
[0061]
図4aの幾何学的考慮事項は
図6の構成に適用される。ギャップは隣接ファセット同士の間のそれぞれのオフセットによって創出されるが、そのファセットの横方向のエッジに対して垂直な方向に創出される。また、それぞれのファセットエレメントは少なくとも1つの隣接ファセットエレメントと重なる。隣接ファセットエレメントの重なりのパターンがこれとは異なるものになり得ることは、当業者にとって明らかになるであろう。例えば、内側のエレメントが外側のエレメントに重なる場合もあれば、交互に重なるパターンが使用される場合もある。しかしながら、どのような重なりパターンを使用する場合でも、照射領域28から発生する光から見てファセットエレメントの集合によって提示される反射表面に破断が全くないこと、換言すれば、ここから見て重なりによってギャップが覆い隠されることが好ましい。
【0057】
[0062] 上述のように、EUV光学部品30は、ある範囲の数のファセットで構成することができる。少なくとも1つのギャップができるように少なくとも2つのファセットが存在することが現在好ましいことである。ファセットの数は理論的に任意の数まで可能であるが、ファセットの数が増加するとEUV光学部品30を構築する複雑さを増すという制限がある。例えば、上述のように、フィールドファセットミラーは400個のファセットで構成することができる。ファセットの数に関するもう1つの制限は、ファセット同士を重ねた時でも入射光線又は反射光線に対する陰影効果が発生するので、上述の対策を行ってもファセットの数につれて反射率の損失が増加することである。
【0058】
[0063] ファセットは必ずしもすべてが同じ形状であるわけではなく、必ずしもすべてが同じ放射幅を有するわけではないことにも留意されたい。
【0059】
[0064]
図3aの構成のように、コレクタ30に
図6に示されているファセット付きミラーを使用することの潜在的な利点の1つは、ファセット付きミラーのファセットの数が増加し、フィールドファセットミラー42に使用されるファセットの数、例えば、約400個に近づき始めると、コレクタ30として機能するファセット付きミラーはコレクタ30とフィールドファセットミラー42の両方の光学機能を実行するように構成することができ、従って、別個のフィールドファセットミラー42の必要性が解消されることである。1つのミラーから反射するごとに光の量を約40%削減する可能性があり、従って、1つのミラーを除去すると同じ量だけ全体的な光の損失を低減できるので、これは潜在的に重要な利点である。ここで使用するように、ファセット付きミラーを構成できるという場合、コレクタ30として使用された時にそのミラーが別個のフィールドファセットミラー42の機能を更に実行し、その必要性を解消できるように、ミラーの個々のファセットを整形し、サイジングし、方向付けることができることを意味する。
【0060】
[0065] それぞれのファセットは、その上に複層反射表面が置かれた基板を含む。複層反射表面は、関心のある波長、約13.5nmの光を反射するように最適化される。また、ファセットは、当技術分野で既知のやり方で基板と複層反射表面との間の平滑化層及び複層反射表面の上のキャッピング層も含むことができる。ファセット同士の間のギャップは、ギャップから出るガスが隣接ファセットの表面の上を均一に流れるように誘導されるように整形され、プラズマからのEUV放射が2原子水素H
2を水素ラジカルH
*に解離し、次にこの水素ラジカルH
*が表面上でターゲット材料、ここではスズと反応してSnH
4(スタンナン)を形成することを保証する。ギャップは好ましくは、それぞれのファセットの前面の近くに新鮮なH
2の供給部が存在するように配置され分散される。また、ギャップは好ましくは、すべての領域がギャップによって画定されるH
2入口から実質的に同じ距離になるように配置され分散される。
【0061】
[0066] 隣接ファセット同士の重なりの量は、ファセット同士の間のギャップが照射領域28から見て覆い隠されるように選択される。また、重なりの量は、ギャップが隣接ファセットの表面に対して接する方向にガスを効果的に誘導するように、そのギャップのために十分な横方向の広がりを提供するように選択される。重なりの量が位置ごとに変動する可能性があること、即ち、重なりは必ずしもすべてが同じ程度ではないことも当業者によって理解されるであろう。
【0062】
[0067] 従って、開示されているものは、反射EUV光学部品30の反射表面の第1の部分を構成する第1のファセットと、反射EUV光学部品30の反射表面の第2の部分を構成する第2のファセット114と、を含む反射EUV光学部品30である。第1のファセット112はギャップ130によって第2のファセット114から分離される。第1のファセット112は第2のファセット114から分離され、第1のファセット112は、第1のファセット110が第2のファセット112に重なる反射表面に対して実質的に接する方向に第2のファセット114に重なる。
【0063】
[0068] 開示されている一実施形態では、反射EUV光学部品30は好ましくは中心光軸120の周りで実質的に軸対称であり、第1のファセット112と第2のファセット114は実質的に環状である。また、この配置は、ギャップ130と流体で連絡しているプレナム140も含む。開示されている他の実施形態では、反射EUV光学部品30は好ましくは平行ストリップ状ファセットのアレイである。
【0064】
[0069] 他の点について考慮すると、開示されているものは、反射表面を有する反射EUV光学部品30であり、その反射表面は複数のファセット110〜118からなり、隣接ファセット同士はそれぞれのギャップによって分離されている。複数のファセットのうちの少なくとも1つのファセットは、EUV光学部品30の光軸120に対して平行な方向に隣接ファセットから分離され、そのファセットが隣接ファセットに重なる反射表面に対して実質的に接する方向に隣接ファセットに重なる。複数の環状ファセットは好ましくはまとまって実質的に反射EUV光学部品30の反射表面全体を構成する。
【0065】
[0070] 上述のように、EUV光学部品30は光源SOの動作中にチャンバ26内に置かれる。EUV光学部品30は、ファセット同士の間のギャップと流体で連絡しているプレナム140を含む。次にプレナム140はガス供給部150と流体で連絡し、その結果、ガス供給部をギャップと流体で連絡させる。ガス供給部からの圧力はチャンバ26内の圧力より高くなるように確立される。このようにして、ギャップはチャンバ26内にガスを放出するガス入口として機能する。これらのギャップの全体的な形状は、ファセット自体が環状又はリング状である配置では環状又はリング状になる。ギャップの一般的な構成は、隣接ファセットの表面に対してほぼ平行又は接する方向に向けられた入口又は通路のようになる。このように、ギャップ又は環状入口は、ギャップに隣接する反射表面に対して接する方向に供給部150からのガスを誘導するように構成される。
【0066】
[0071] また、開示されているものは、上記の反射EUV光学部品30を提供するステップと、ギャップに隣接する反射EUV光学部品30の反射表面の一部分を通り越してガス供給部150から接線方向に反射EUV光学部品30内のギャップを通ってガスを流すステップと、を含む、EUV光を生成する方法である。
【0067】
[0072] また、開示されているものは、EUV光学部品30の光軸120上に中心が置かれ、入口から流れ出すガスをEUV光学部品30の反射表面の全域に流すように向けられた複数の実質的に円形の入口の集合を有するものとして上記のEUV光学部品30を提供するステップを含む、反射EUV光学部品30のためのガスシースを作成する方法である。
【0068】
[0073] 上記の
図5a及び
図5bのEUV光学部品30は、支持体100を設け、それぞれが他のリング状反射要素の内径とは異なる内径(リングの中央における円形の穴の直径)及び他のリング状反射要素の外径とは異なる外径(リングの全径)を有する、ファセット110〜118などの複数の実質的に円形のリング状反射要素を設けることにより、構築することができる。
【0069】
[0074] 複数の実質的に円形のリング状反射要素は、複数の実質的に円形のリング状反射要素が共通の中心及び共通の焦点を有するように、「ブルズアイ」配置に支持体上に取り付けられる。また、複数の実質的に円形のリング状反射要素は、任意の2つの隣接円形リング状反射要素について、光軸のより近くに取り付けられた円形リング状反射要素の外径が光軸からより遠くに取り付けられた円形リング状反射要素の内径より大きくなるように、支持体上に取り付けられる。これは
図5aに示されている。
【0070】
[0075] 上記のように、本発明による配置の潜在的な利点の1つは、反射光学素子を構成するために十分な数の反射ファセットが使用される場合、第1の光学素子がEUV光学システム内でコレクタミラーとして及びフィールドファセットミラーとして機能するように、ファセットを構成し配置できることである。
【0071】
[0076] 光軸のより近くに取り付けられた円形リング状反射要素の外部エッジは光軸からより遠くに取り付けられた円形リング状反射要素の内部エッジに光軸の方向に重なる。これにより、光軸のより近くに取り付けられた円形リング状反射要素の外部エッジと光軸からより遠くに取り付けられた円形リング状反射要素の内部エッジとの間にギャップが創出され、それを通ってガスが流れることができる。
【0072】
[0077] 上記の
図6のEUV光学部品30は、支持体100を設け、ファセット200〜210などの複数の実質的にストリップ状の反射要素を設けることにより、構築することができる。複数の実質的にストリップ状の反射要素は、複数の実質的にストリップ状の反射要素が共通の焦点を有するように、並行配置で支持体上に取り付けられる。
【0073】
[0078] 上記の説明は複数の実施形態の例を含む。当然のことながら、上述の諸実施形態を記述するためにコンポーネント又は方法について考えられるすべての組み合わせを記述することは不可能であるが、当業者であれば、様々な実施形態について更に多くの組み合わせ及び順列が可能であることを認識できるであろう。従って、記載されている諸実施形態は、特許請求の範囲の精神及び範囲内に該当するこのようなすべての改変、変更、及び変形を包含するためのものである。更に、「含む(comprising)」という用語は使用される時に請求項内で過渡的な単語として解釈されるので、「含む(include)」という用語が詳細な説明又は特許請求の範囲のいずれかで使用されている範囲内で、このような用語は「含む(comprising)」という用語と同様に包括的なものである。更に、記載されている諸態様及び/又は諸実施形態の要素は単数形で記述又は請求することができるが、単数形への制限が明示的に指定されない限り、複数形も企図されている。追加的に、いずれかの態様及び/又は実施形態の全部又は一部分は、他の指定がない限り、任意のその他の態様及び/又は実施形態の全部又は一部分とともに使用することができる。