(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0012】
実施例1は、液量を測定するセンサにより流路系に発生した異常を検知する自動分析装置100である。
【0013】
図1は、自動分析装置100における各種液体を送液する流路系を概略的に示す図である。自動分析装置100の流路系は、液体を収容する容器101と、容器101の液量を測定する液量センサ102と、流路内の圧力を変化させることで液体を吸引または吐出させるシリンジ103と、常時開(ノーマルオープン:通電時に流路を閉じる)の第1電磁弁104及び第2電磁弁105と、容器101から液体を吸引または吐出するノズル112と、ノズル112と第1電磁弁104とを繋ぐ流路106と、分岐部107と、分岐部107と第1電磁弁104を繋ぐ流路120と、第2電磁弁105と分岐部107とを繋ぐ流路109と、分岐部107とシリンジ103とを繋ぐ流路110と、第2電磁弁105と排液部108とを繋ぐ流路111とを有し、容器101中の液体を排液部108に送液することができる。
【0014】
なお、ここでは容器101と排液部108とがほぼ同じ高さとされることで、ノズル112の先端の圧力と排液部108につながる流路111の先端の圧力とが等しくなり、電磁弁104,105を開いていても、シリンジ103により作用を加えなければ流路系では液体が流れないようにされている。このため、この例では第1電磁弁104、第2電磁弁105として常時開の電磁弁を用いている。しかし電磁弁の役割としては流路の流れを止めるか、流すかを制御できればよく、流路の構造によっては常時閉(ノーマルクローズ:通電時に流路を開く)でもよく、また弁の構造も問わない。ピンチバルブやダイヤフラムバルブ、非ダイヤフラムバルブなどでもよい。
【0015】
第1流路113は、容器101から分岐部107までの、ノズル112、流路106、第1電磁弁104、流路120からなる流路をさすものとする。また、第2流路114は、排液部108から分岐部107までの、流路109、第2電磁弁105、流路111からなる流路をさすものとする。
【0016】
制御部115は第1電磁弁104、第2電磁弁105、シリンジ103を制御する。また、ユーザとのインタフェースを構成する出力部117、入力部118を備える。例えば、入力部118はキーボードやマウスを含み、出力部117はディスプレイやプリンタを含んでいる。制御部115はさらに記憶部116を備え、例えば、液量センサ102の出力結果を保存する。
【0017】
液量センサ102は、容器101の液量を測定できればよく、測定方法は静電容量式、電極式、光学式、超音波式、フロート式等任意であり、また重量センサであってもよい。液量センサ102は、元来、容器101に収容している液体が不足し、吸引量不足が発生しないように備えられているものである。液量センサ102が容器101中の液量が所定量以下になったことを検知すると、制御部115は分析動作を終了し、出力部117に液体の補充や容器101の交換を伝えるアラームを付与することにより、ユーザに液体の補充を促す。
【0018】
また、排液部108は容器の形態などでもよく、液量センサ102を容器101に備える代わりに、排液部108に備える構成であってもよい。
【0019】
なお、容器内の液体を流路に送る動作を吸引、流路内の不要な液体を取り除く(排液部108に送る)動作を排出、流路内の液体を容器に送る動作を吐出と呼ぶものとする。
【0020】
図2は、自動分析装置100において流路系の異常検知を行うフローチャートの例である。
【0021】
まず、制御部115は液量センサ102によって容器101の液量A0を測定する(ステップS200)。ここで、液量センサ102が取得する情報は、容器101に備えられたセンサの種類によって異なる。例えば、液面検知センサであれば液面の高さ、重量センサであれば液体の重さとなる。制御部115は、液量センサ102の出力情報を、容器101の液量に換算し、記憶部116に保存する。また、予め容器101の液量が決まっていれば、ステップS200を省略できる。この場合、制御部115は液量A0として容器101の液量にあたる初期値を代入するのでもよい。
【0022】
ついで、制御部115は、第1電磁弁104を開き、第2電磁弁105を閉じ、シリンジ103により負の圧力を流路内に発生させることで、ノズル112から容器101の液体を吸引し、第1流路113に液体を満たす(ステップS201)。
【0023】
ついで、シリンジ103により負の圧力を流路にさらに発生させることにより、流路110内に液体を送る。さらに、第2電磁弁105を開き、第1電磁弁104を閉じた状態で、シリンジ103により正の圧力を流路内に発生させる。これにより、流路110内の液体を、第2流路114を経て排液部108に排出する(ステップS202)。
【0024】
ついで、制御部115はステップS201とS202の動作を、所定の回数、実施したかを判断する(ステップS203)。所定の回数以下である場合は、制御部115はステップS201とS202の動作を繰り返す。ステップS201とS202の動作を所定回数実施することにより想定される容器101からの液体の吸引量の目標値をB1とする。
【0025】
ついで、制御部115は液量センサ102によって容器101の液量A1を測定する(ステップS204)。液量A1は記憶部116に保存される。制御部115は、液量A0から液量A1を引いた液量A3を計算する(ステップS205)。これは、ステップS201で容器101から吸引された実際の液量である。実際に吸引された液量A3から目標の液量B1を引き、装置のばらつきや液量センサ102の計測ばらつき等を考慮して定めた閾値C1と比較する(ステップS206)。制御部115は、|A3−B1|<C1である場合、正常な吸引量であり、流路系は正常と判断する(ステップS207)。一方、|A3−B1|≧C1である場合、すなわち実際に吸引された液量A3が目標値B1と乖離がある場合、制御部115は流路系に異常が発生したと判断し(ステップS208)、出力部117にアラームを表示して(ステップS209)、流路系の異常検知を終了する。
【0026】
なお、ステップS206における流路系の異常判断方法に上記に限られない。例えば、予め決められた閾値C2、C3を用いて、C2<A1<C3であれば正常と判断してもよい。この場合、A1≦C2または、C3≦A1である場合には異常と判断する。
【0027】
ここで、ステップS206で制御部115が流路系の異常に判断に使用する閾値C1、C2、C3は、例えば、予め定められた固定値であっても、統計量であってもよい。例えば、液量センサ102が液面センサであって、液量として液面高さを用いる場合、これまでの液面高さの測定値を元に算出される標準偏差の4倍といった定め方も可能である。また、異常の判断には、閾値による判別方法に限られるものではなく、MT(マハラノビス・タグチ)法や線形判別法などによる統計処理を用いてもよい。
【0028】
自動分析装置100の流路系に異常発生させる原因として、第1電磁弁104や第2電磁弁105の開閉故障、シリンジ103の故障、ノズル112や排液部108のつまり、第1流路113や第2流路114の液漏れなどが考えられる。いずれの故障が発生しても、正常な液量を容器101から排液部108に送液できなくなるため、自動分析装置の基本的な機能を保証できなくなる。上述したそれぞれの故障が発生した場合の影響を説明する。
【0029】
まず、第1電磁弁104の故障とは、閉動作ができないということである。したがって、第1電磁弁104が開放状態のまま、ステップS202において、液体が容器101に逆流する。第2電磁弁105の故障も閉動作ができないことであるから、第2電磁弁105が開放状態のまま、ステップS201において、第2流路114から液体を吸引してしまうことになり、容器101から所定量の液体を吸引できない。
【0030】
また、シリンジ103が故障した場合、ステップS201において所定量の液体を吸引することができない。排液部108のつまりは、ステップS202において第2流路114に過剰な圧力を発生させ、再度ステップS201で第1電磁弁104を開放する際に、容器101に液体が逆流する。このように流路系の異常は、最終的に容器101から吸引した液体の量に反映される。したがって、異常発生原因に関わらず、流路系の異常の判定が可能である。
【0031】
なお、電磁弁が常時閉(ノーマルクローズ)の場合は、常時開の電磁弁とは逆に、故障すると流路を開放することができない。このため、第1電磁弁104の故障により、容器101からの吸引時に吸引量不足が発生することになる。同様に、第2電磁弁105の故障により、液体を排出できないため、第2流路114に正常以上の圧力が加わり、先に説明した排液部108のつまりの場合と同様に、再度第1電磁弁104を開放したときに、液体が容器101に逆流してしまう。このように、電磁弁が常時閉の場合であっても、
図2のフローチャートにより流路系の異常が判断できる。
【0032】
図3に流路系の異常箇所を特定するためのフローチャートの例を示す。
図2のフローチャートで流路系に異常ありと判定された場合やユーザが流路系に関わるユニットの動作確認を行う場合に実施する。
【0033】
まず、事前準備動作として、制御部115は、
図2のフローチャートのステップS201とS202とを行い、第1流路113及び第2流路114に液体を満たす(ステップS300)。
【0034】
次いで、ステップS200と同様に、容器101の液量A30を測定し、液量センサ102の出力情報を記憶部116に保存する(ステップS301)。
【0035】
次いで、制御部115は、第1電磁弁104と第2電磁弁105とを開放した状態で、シリンジ103により正の圧力をかけることで、容器101に液体を逆流させるとともに、排液部108に液体を排出する(ステップS302)。先に述べたように、排液部108と吸引ノズル112とは同じ高さとされることで、大気圧の圧力差による液体の流れは発生しないようになっている。
【0036】
次いで、制御部115は、ステップS200と同様に、吐出後の容器101の液量A31を測定し、逆流前の液量A30を引くことで、逆流した液量(吐出量)A32を求め、記憶部116に保存する(ステップS303)。
【0037】
次いで、制御部115は、実際に逆流した液量A32と、正常な状態で逆流が発生したとした場合の目標液量B31との差を求め、装置のばらつきや液量センサ102の計測ばらつき等を考慮として定めた閾値C31と比較する(ステップS304)。|A32−B31|≧C31である場合(目標値と実測値とに乖離が生じた場合)、電磁弁以外の故障、すなわちシリンジ103の故障に起因する圧力不足による吐出量不足か、第1流路113または第2流路114のつまりや液漏れと判断し(ステップS312)、出力部117にアラームを表示して測定を終了する(ステップS315)。また、|A32−B31|<C31である場合、制御部115は正常な吐出と判断し、続いて電磁弁の異常判定を行う。
【0038】
制御部115は、
図2のフローチャートのステップS201と同様に、第2電磁弁105を閉じ、シリンジ103により容器101から液体を吸引する(ステップS305)。次いで、制御部115は、ステップS200と同様に、吸引後の容器101の液量A33を測定し、吸引前の液量A31から引くことで、吸引した液量A34を求め、記憶部116に保存する(ステップS306)。
【0039】
次いで、制御部115は、
図2のフローチャートのステップS206と同様に、正常な状態で吸引された場合の目標液量B32と、実際に吸引した液量A34との差を求め、閾値C32と比較する(ステップS307)。|A34−B32|≧C32である場合(目標値と実測値とに乖離が生じた場合)、制御部115は第2電磁弁105の故障と判断し(ステップS313)、出力部117にアラームを表示して測定を終了する(ステップS315)。これは、ノーマルオープンの第2電磁弁105が故障すると、常に開放状態となり、意図せず第2流路114の液体もシリンジ103が吸引することになるためである。一方、|A34−B32|<C32である場合、制御部115は、第2電磁弁105が正常と判断し、続いて第1電磁弁104の異常判定を行う。
【0040】
制御部115は、
図2のフローチャートのステップS202と同様に、第1電磁弁104を閉じ、シリンジ103により排液部108に液体を排出する(ステップS308)。次いで、制御部115は、ステップS200と同様に、排液後の容器101の液量A35を測定し、排液前の液量A33を引くことで、変化した液量A36を求め、記憶部116に保存する(ステップS309)。正常に第1電磁弁104が閉じているならば、排液前後で容器101の液量は変わらないため、変化液量A36はほぼ0になる。
【0041】
そこで、制御部115は各種ばらつきを考慮して定めた閾値C33と、変化液量A36とを比較する(ステップS310)。|A36|≧C33である場合は、容器101に意図せず吐出されていると考えられるため、制御部115は第1電磁弁104の故障と判断し(ステップS314)、出力部117にアラームを表示して測定を終了する(ステップS315)。また、|A36|<C33である場合、制御部115は、流路系は正常と判断し、動作を終了する(ステップS311)。
【0042】
また、制御部115はステップS300〜S311の動作回数iをカウントし、予め指定された回数nになるまで繰り返してもよい。繰り返し検査することで電磁弁の故障の検出精度を高めることができる。
【0043】
また、それぞれの異常判断においては、閾値をさらに詳細に分類し、微小な変化量であれば液漏れ、相対的に大きな変化量であれば電磁弁の故障と判別する処理を追加しても良い。また、第1電磁弁104と第2電磁弁105とを開放し、シリンジ103を静止させた状態で、容器101の液量変化を測定して、液漏れを判断するステップを付加してもよい。
【0044】
このように電磁弁の故障を含めた異常原因を特定することにより迅速な修理が可能になり、顧客先での装置の使用停止期間を短縮化でき、故障による臨床検査業務への影響を最小限に抑えられる。
【実施例2】
【0045】
実施例2は、液量を測定するセンサにより流路系に発生した異常を検知する、免疫測定法を用いた自動分析装置200である。図中、実施例1で説明したものと同一の部材には同じ符号を付し説明を省略するものとする。
【0046】
図4には、免疫自動分析装置200のうち、免疫測定法が行われる検出部とそれに関連する構成を抽出して示している。免疫自動分析装置200は、患者由来の血液や尿などの生体サンプル(以下、検体と称する)を測定する。
【0047】
フローセル検出部201は、ノズル112で吸引した反応液、検出を補助する発光補助試薬または洗浄試薬が流れる流路202と、測定対象物質の発光の検出を行う検出器213とを備えている。反応容器203内では、抗原と抗体の反応を利用して、測定対象物質は磁性粒子及び発光物質により修飾された複合体を形成する。検出器213には、図示しない磁性粒子保持手段を設けており、磁性粒子保持手段は、検出器213に達した複合体をフローセル検出部201に保持・吸着する。そして、複合体の溶媒である反応液を除去し、発光補助試薬により、複合体に結合されている発光物質を誘起させ、検出器213で発光量を検出する。検出器213で検出された結果から、制御部115は測定対象物質の濃度を算出する。算出した測定対象物質の濃度は出力部117から出力する。フローセル検出部201で行われるこの一連の工程は、免疫測定法と呼ばれる。
【0048】
自動分析装置200は、反応容器203と、発光補助試薬容器204と、洗浄試薬容器205とをパルスモータによって上下方向や左右に移動できる容器交換機構206を備える。パルスモータの回転量は指令するパルス数によって決まり、モータの回転量は容器の移動距離に比例するため、正確な位置決めが可能である。ノズル112は移動することなく、容器交換機構206によって配置された容器内の液体を吸引することができる。
【0049】
第1流路113は、容器205等から分岐部107までの、ノズル112、ノズル112と流路202とを繋ぐ流路130、流路202、流路202と第1電磁弁104とを繋ぐ流路106、第1電磁弁104、流路120からなる流路をさすものとする。また、第2流路114は、排液部108から分岐部107までの、流路109、第2電磁弁105、大気圧開放部217、流路111からなる流路をさすものとする。第2流路114に大気圧開放部217を備え、ノズル112と大気圧開放部217に作用する静水圧が一定となることにより、第1電磁弁104と第2電磁弁105の開放時にも流路に流体を保持することができる。
【0050】
なお、洗浄試薬容器205には、流路212、電磁弁207、シリンジ208及び電磁弁209を含む分注機210により試薬供給ボトル211から洗浄試薬が洗浄試薬容器205に適宜供給される。図示していないが、発光補助試薬容器204にも、同様の構成で試薬が供給される。実施例2では第1電磁弁104と第2電磁弁105は、常時開(ノーマルオープン:通電時に流路を閉じる)のピンチバルブで、電磁弁207,209は常時閉のソレノイドバルブである。
【0051】
図5は、自動分析装置200において流路系の異常検知を行うフローチャートの例である。
【0052】
測定の開始前の準備動作として、制御部115は、分注機210により発光補助試薬容器204に発光補助試薬を分注し、洗浄試薬容器205に洗浄試薬を、次の測定に必要な液量を分注する(ステップS500)。
【0053】
まず、容器交換機構206は反応容器203を回転および上下動作させることにより、ノズル112を反応容器203に挿入する。次に、第1電磁弁104を開き、第2電磁弁105を閉じ、シリンジ103により負の圧力を第1流路113内に発生させることで、ノズル112から反応容器203の反応液を吸引する(ステップS501)。図示していない磁性粒子保持手段により複合体の磁性粒子を吸着・保持することにより測定対象物を検出部201の流路202に保持する。
【0054】
次いで、容器交換機構206により発光補助試薬容器204をノズル112が吸引可能な位置に設置し、発光補助試薬容器204の発光補助試薬を吸引する(ステップS502)。これにより、発光補助試薬を流路202内に吸引する。
【0055】
次いで、検出部201において、反応液の未反応成分が除去され、発光補助試薬に置換されて測定対象物の複合体における発光標識の発光反応が誘起され、その発光を検出することにより、測定対象物を検出して定性・定量分析を行う(ステップS503)。フローセル検出部201では磁性粒子保持手段を開放することにより、磁性粒子を吸着・保持された複合体を発光補助試薬中に分散させる。第1電磁弁104を閉じ、第2電磁弁105を開き、シリンジ103を吐出に動作させる。これはシリンジのプランジャをホームポジションに戻し、再度吸引動作を可能にするためのものである。これに伴って、測定に使用した、反応液及び発光補助試薬の一部は、排液部108に排出される(ステップS504)。
【0056】
次いで、容器交換機構206は洗浄試薬容器205をノズル112の下に移動させた後に、ノズル112に向けて上昇させる。ノズル112と平行に、先端が同じ高さに設置された液面検知センサ102bが洗浄試薬容器205の液面を検知したら、上昇を停止する。制御部115は、液面を検知したパルスモータの移動上限の位置までの残りのパルス数(以下、残パルス)から容器205の液量を算出し記憶部116に保存する。保存する物理量は、残パルスでも、移動パルスでもよく、液量を把握できる値であれば良い(ステップS505)。
【0057】
制御部115は、洗浄試薬容器205の液量を基に流路系の状態を判断し(ステップS506)、装置ばらつきや計測ばらつきを考慮して定めた閾値の範囲外である場合には流路系に故障が発生したと判断し(ステップS514)、出力部117にアラームを表示して測定を終了する(ステップS515)。流路系の故障の判断手法の詳細は後述する。
【0058】
次いで、制御部115は、第1電磁弁104を開き、第2電磁弁105を閉じた状態で、シリンジ103を吸引動作させる(ステップS507)。このとき、容器交換機構206により洗浄試薬容器205を上昇させることにより、ノズル112の先端が液面に常に浸っている状態を維持し、気泡の吸引を防ぐ。次いで、第1電磁弁104を閉じ、第2電磁弁105を開き、シリンジ103を吐出に動作させる(正の圧力を流路内に発生させる)。これにより、測定に使用した反応液及び発光補助試薬、及び洗浄試薬を排液部108に排出する(ステップS508)。
【0059】
次いで、液面検知センサ102bは、ステップS505と同様に、発光補助試薬容器204の液面を測定し、結果を記憶部116に保存する。制御部115は、発光補助試薬容器204の液量を基に流路系の状態を判断し(ステップS510)、装置ばらつきや計測ばらつきを考慮して定めた閾値の範囲外である場合には流路系に故障が発生したと判断し(ステップS514)、出力部117にアラームを表示して測定を終了する(ステップS515)。流路系の故障の判断手法の詳細は後述する。
【0060】
次いで、ステップS502と同様に発光補助試薬を吸引し、発光補助試薬を検出部201の流路202に満たす(ステップS511)。これは、次の測定に備えて検出部201に発光補助試薬を予め満たすことで、検出部201の流路202の電気化学的な条件を安定させるためである。
【0061】
次いで、制御部115は、記憶部116に保存された発光補助試薬容器204と洗浄試薬容器205の液量をもとに、それぞれの容器に目標値まで発光補助試薬又は洗浄試薬を分注機210により分注する(ステップS512)。
【0062】
そして、所定の回数の分析が終了するまでステップS501〜S512を繰り返す(ステップS513)。
【0063】
このフローチャートでは、ステップ507及びステップ511における液体の吸引動作のために液面検知を行うとともに、この液面検知を利用して容器の液量を検出する(ステップS505,S509)。このため、1回の測定サイクル(ステップS501〜S512)において、液量を測定するのは洗浄試薬及び発光補助試薬に対してそれぞれ1回であるため、流路系の故障の判断は、1回前の測定サイクルでの測定結果と比較することによって行う。容器の液量を検出するためのみのステップを新たに追加しないことにより、自動分析装置のシーケンスの再定義が不要であり、かつ1サイクルに要する時間を伸びるのを防止することができる。一方、流路系の故障を検知できるのは、流路系の故障が発生した次の測定サイクルとなるため、制御部115は1サイクル前の測定結果に遡ってアラームを付与する。さらに、後述する故障箇所を特定するためのメンテナンス動作(
図6のフローチャート)の実施をユーザに勧める。なお、アラームの出力後、自動的に
図6のメンテナンス動作を実施するシステム構成としてもよい。
【0064】
ステップS506及びステップS510における流路系の異常判定方法について説明する。流路系の故障が生じると容器の液量変化は次のようになる。第1電磁弁104が故障して常開放状態になった場合、シリンジ103が排液部108に液体を排出させる動作(ステップS504,S508)において、第1流路113に液体が逆流する。この結果、発光補助試薬容器204や洗浄試薬容器205の液量が、正常状態よりも増加することになる。また、第2電磁弁105が故障した場合、発光補助試薬や洗浄試薬を吸引する動作(ステップS505,S509)において、意図せず第2流路114に含まれる液体を吸引してしまう。その結果、第1流路113から指定量の液体を吸引できないため、発光補助試薬容器204や洗浄試薬容器205の液量において、正常状態と比べて吸引不足が発生する。また、シリンジ103の液漏れなどの故障により流路内の圧力が低下した際や、流路113につまりや漏れが発生した場合にもノズル112の吸引不足が発生するため、発光補助試薬容器204や洗浄試薬容器205の液量において、正常状態と比べて吸引不足が発生する。したがって、このような吸引不足を検出することで流路系の故障が判断できる。
【0065】
流路系の異常の判断で用いる統計量は液量に関する値であればよく、残パルスや残パルスから計算された液量、センサの種類によっては液面の高さや液体の重量でもよい。また、流路系の異常の判断手法として、予め定めた固定の範囲(閾値)を用いた判定法だけでなく、前回の測定値との差分や、目標値と実測値との差分を閾値で判断する方法、記憶部に保存された過去の数値と比較して統計処理する手法などを採用することも可能である。例えば、閾値をこれまでの液面高さの測定値を元に算出される平均値と標準偏差の4倍を足し合わせた可変の閾値としてもよい。
【0066】
なお、本フローチャートでは、洗浄試薬と発光補助試薬の両方で流路系の異常を検出するようにしている。検出回数を増やすことで検出精度を高めることができるためである。いずれか一方だけで行うようにしてもよい。
【0067】
図6に流路系の異常箇所を特定するためのフローチャートの例を示す。
図5のフローチャートで流路系に異常ありと判定された場合や分析動作開始前後に実施してもよい。
【0068】
まず、制御部115は、分注機210によって空の洗浄試薬容器205に洗浄試薬を予め定められた量を分注する(ステップS600)。なお、ここでは洗浄試薬容器205を例として説明するが、発光補助試薬容器204、さらにそれ以外の液体を保持できる容器であってもよい。このため、
図6では、これらの容器を「容器*」と表記した。次いで、液面検知センサ102bは、洗浄試薬容器205の液面を測定する。制御部115は、洗浄試薬容器205の液面すなわち分注量が正常か判断する(ステップS601)。分注量が閾値以下の場合、分注機210の故障、または洗浄試薬容器205の破損、または液面検知センサ102bの異常である判断し(ステップS609)、出力部117にアラームを表示して測定を終了する(ステップS613)。分注機210の電磁弁207と209は、常時閉のソレノイドバルブであるので故障時には開かない。従って、電磁弁207と電磁弁209の故障時には試薬供給ボトル211から正常な量を吸引できないため、洗浄試薬容器205の液量不足となる。また、洗浄試薬容器205の破損、または分注機210の流路212のつまりや液漏れ、シリンジ208の故障によっても、液量不足となる。
【0069】
液面検知センサ102bが検出できる液量の変化は液面検知の時間分解能に依存する。液漏れのような微量な液量の変化を検出するには、液面検知の時間分解能を高める必要がある。通常、液面検知センサのサンプリング間隔は3msec程度であり、このサンプリング間隔を狭めるには、センサの制御基板を変更する必要がある。しかしながら、液面検知センサのサンプリング間隔を変えなくても、液面検知の時間分解能を高めることは可能である。すなわち、液面検知センサ102bのサンプリング周期と容器の液面への突込み速度により、液面検知センサにより容器の液量変化を検知する分解能、すなわち判別可能な液量が決まることを利用する。具体的には、通常の分析動作時(
図5のフローチャート)では吸引ノズルを180mm/sec程度の速度で移動させているとすれば、メンテナンス動作時(
図6のフローチャート)では、吸引ノズルの移動速度を18mm/sec程度まで遅くする。これにより、液面検知センサ102bによる液量検出分解能を10倍に向上させ、10μlの液量変化を判別でき、微量な液漏れでも検出できる。
【0070】
図6におけるステップS602以降の処理は、
図3のフローチャートのステップS302以降の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0071】
実施例3は、液量を測定するセンサにより流路系に発生した異常を検知する、電解質濃度を測定する自動分析装置300(
図7)である。図中、実施例1または実施例2で説明したものと同一の部材には同じ符号を付し説明を省略するものとする。
【0072】
フロー型電解質濃度測定装置300では、分注ユニット301の分注ノズル303によって試験管(図示せず)内の15μlの検体を分取し、希釈槽313に吐き出す。分注ユニット301は駆動機構302とノズル303と液面検知センサ102bを有している。液面検知センサ102bは、分注ノズル303に電荷を帯電させて、ノズル303が液面に付着すると静電容量が変化することを利用した静電容量式センサである。自動分析装置の測定に用いられる血液は、血清とよばれる検体の上澄みの層を分注ノズル303に吸引させるため、分注ノズル303には液面を検知する静電容量式センサが必要とされる。
【0073】
自動分析装置300は、第1検出器304と第2検出器305とを備えている。第1検出器304は、塩素イオン電極、カリウムイオン電極、ナトリウムイオン電極の3種類の電極を構成するイオン選択性電極部であり、内部に流路306を備える。第2検出器305は比較電極であり、内部に流路307を備える。シリンジ103と常時閉の第2電磁弁308、第3電磁弁309及び第4電磁弁310を適宜動作させることで、第2検出器305の流路307に比較電極液ボトル311の比較電極液が導入される。分注機210は試薬供給ボトル211から内部標準液や希釈液を希釈槽313に補充する。第1検出器304の各イオン選択性電極と第2検出器305の比較電極との電位差(起電力)は、各流路に導入された液中の分析対象イオン濃度によって変化するため、その起電力を電位測定部314で測定し、イオン濃度を制御部115にて算出し、出力部117に出力する。
【0074】
なお、第1電磁弁104はノーマルオープンのピンチバルブで、第2電磁弁308、第3電磁弁309、第4電磁弁310はノーマルクローズの電磁弁である。全ての電磁弁は流路の切替えや開閉を行うことができ、液を導入する方向やタイミングに従って適宜動作する。
【0075】
本実施例では、分注ノズル303の検体の液面を測定する液面検知センサ102bを、希釈槽313の液面を測定するように流用することで、流路系に関わる不具合を検知する。このため、追加の装置を必要とすることなく、流路系の異常を検知する機能を実装することができる。なお、希釈槽313の液面を測定できれば、センサの種類は問わず、分注ノズル303の液面検知センサは電極式センサであってもよい。なお、分注ノズル303の液面検知センサ102bを流用することなく、希釈槽313に、その液量を測定する光式、超音波式、フロート式の液量センサを設けてもよい。また、希釈槽313の液量を測定するため希釈槽に重量センサを取り付けることでもよい。
【0076】
図8に流路系の異常を検知するフローチャートの例を示す。フロー型電解質濃度測定装置300で通常行われる電解質濃度測定動作とは異なっている。
【0077】
まず、事前準備動作として、希釈槽313に分注機210によって、所定量の検体と希釈液とを分注する(ステップS800)。次に、分注ノズル303の液面検知センサ102bにより希釈槽313の液量を測定する(ステップS801)。制御部115は、希釈槽313の液面すなわち分注量が正常か判断する(ステップS801)。正常か否かの判断方法は
図6のフローチャートにおけるステップS601と同様である。希釈槽313の液量が少ない場合は、希釈槽313の破損、分注機210のシリンジ208、電磁弁207、電磁弁209の故障や、液面検知センサ102bの故障などが考えられる(ステップS811)。故障の場合はアラームを出力し、測定を終了する(ステップS815)。
【0078】
次に、第1電磁弁104と第3電磁弁309を開き、第2電磁弁308と第4電磁弁310を閉じる。次に、シリンジ103が流路に負の圧力を加えることで、希釈槽313から第1検出器304の流路306に希釈検体を吸引する。その後、第3電磁弁309を閉じて第4電磁弁310を開いて、シリンジ103を吐出に動作させる。これはシリンジのプランジャをホームポジションに戻し、再度吸引動作を可能にするためのものである。(ステップS803)。
【0079】
ここで、制御部115は、分注ノズル303の液面検知センサ102bにより吸引後の液量を測定する。ステップS804の吸引量の判別方法は
図3のフローチャートのステップS307と同様な手法を用いる。ここで吸引された液量が少ない場合は、シリンジ103の故障や第3電磁弁309、第4電磁弁310の故障、流路113の液漏れやつまりなどと判断する(ステップS812)。故障の場合はアラームを出力し、測定を終了する(ステップS815)。
【0080】
次に、第2電磁弁308と第3電磁弁309とを開き、第1電磁弁104と第4電磁弁310とを閉じる。次に、シリンジ103が流路に負の圧力を加えることで、比較電極液ボトル311内から第2検出器305の流路307に比較電極液を導入する(ステップS805)。
【0081】
ここで、制御部115は、分注ノズル303の液面検知センサ102bにより希釈液の変化量を測定する(ステップS806)。ステップS807の変化量の判別方法は
図3のフローチャートのステップS310と同様な手法を用いる。ここで液量が変化した場合は、第1電磁弁104の故障が考えられる(ステップS813)。
【0082】
次に、第1電磁弁104と第2電磁弁308と第3電磁弁309を開き、第4電磁弁310を閉じ、シリンジ103は流路に正の圧力を加えることで、比較電極液ボトル311と希釈槽313に逆流を発生させる(ステップS808)。
【0083】
次に、分注ノズル303の液面検知センサ102bによりに吐出後の希釈槽313の液量を測定する。ステップS809の吐出の判別方法は
図3のフローチャートのステップS304と同様の手法を用いる(ステップS809)。ここで液量が増加した場合は、第2電磁弁308の故障が考えられる。以上のステップが正常に完了したら、流路系は正常であると判断し、測定を終了する(ステップS810)。
【0084】
なお、本実施例においても実施例1の
図2のフローチャートのように、故障を判定するための動作を分析処理時のフローチャートに追加してもよい。
【0085】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。