【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年6月1日(火)10:00〜令和3年6月11日(金)18:00に、以下のウェブサイトのアドレス(URL)で公開 https://www.unicharm−events.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、吸収コア、吸収コアよりも肌面側に配置された肌側シート、及び前記吸収コアよりも非肌面側に配置された非肌側シートを有する。吸収性物品は、前記吸収性物品の非肌面に向けて配置され、暗所において表示される暗所表示部を有する。本態様によれば、着用者は、暗所表示部を視認できる楽しみを得ることができ、暗所である就寝場所に対する抵抗が少なくなる。より詳細には、着用者は、暗所表示部を視認することを楽しみにとして、明るい就寝場所に行った後に当該就寝場所を暗所にすることを怖がらなくなったり、暗所表示部を視認することをご褒美であると考え、就寝場所に行くことを嫌がなくなったりする。よって、着用者が入眠への一連の流れを日々円滑に行い易くなる。その結果、着用者の良質な睡眠を得やすくなり、また装着補助者の精神的及び身体的な負担を低減して、装着補助者のストレスを低減できる。
【0010】
好ましい一態様によれば、記暗所表示部の少なくとも一部には、蓄光剤が付されている。本態様によれば、暗所表示部が暗所において発光し、着用者等が暗所表示部を認識できる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記暗所表示部の少なくとも一部には、波長315−400nmの長波長の紫外線の照射によって蛍光する蛍光剤が付されている。本態様によれば、波長315−400nmの長波長の紫外線の照射によって暗所表示部が暗所において発光し、着用者等が暗所表示部を認識できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記暗所表示部は、前記吸収コアの非肌面又は前記非肌側シートに設けられている。本態様によれば、吸収性物品の非肌面側から暗所表示部を視認し易い。着用者及び装着補助者は、吸収性物品の装着操作中及び着用時に暗所表示部をより視認し易くなる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記非肌側シートは、液不透過性のフィルムを有する。前記暗所表示部は、前記フィルムの非肌面に設けられている。吸収性物品を構成するシートにおいて比較的剛性の高いフィルムに暗所表示部を設けることで、暗所表示部のたくれやよれを抑制し、暗所表示部の視認性を確保できる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記暗所表示部は、前記吸収性物品の廃棄時に前記吸収性物品を丸めた状態で維持する後処理部材に設けられている。後処理部材は、吸収性物品の最も非肌面に配置されており、着用者等の注意を引きやすい。また、後処理部材は、丸めた状態の吸収性物品の形状を維持するために、一般的に剛性の高い資材によって構成されることが多い。当該剛性の高い資材からなる後処理部材に暗所表示部を設けることにより、暗所表示部の視認性を高めることができる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記暗所表示部は、前記吸収コアと重なる領域に設けられている本態様によれば、吸収性物品において比較的剛性が高い吸収コアと重なる領域に暗所表示部を設けることで、暗所表示部のたくれやよれを抑制し、暗所表示部の視認性を確保できる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記暗所表示部は、股下域の前後方向の中心よりも前側に位置する前側域に配置されている。本態様によれば、着用者が着用状態で暗所表示部を視認しやすい。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記暗所よりも明るい環境において、前記暗所表示部と、前記暗所表示部の周囲に配置された周囲領域と、の色差ΔEは、20.0以下である。本態様によれば、暗所よりも明るい環境において、暗所表示部と周囲領域の色差が20以下であるため、着用者等は、暗所表示部と周囲領域を別々の領域として認識せずに、暗所表示部と周囲領域を一体化して認識し易い。そのため、暗所において、暗所表示部がいきなり現れたような心証を得ることができ、暗所表示部に対する興味や楽しみをより高めることができる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記暗所表示部は、前記吸収性物品から分離可能である。本態様によれば、暗所表示部を吸収性物品から分離することにより、吸収性物品に着用した状態で暗所表示部を楽しむだけでなく、別の場所に暗所表示部を配置して暗所表示部を楽しむことも可能となる。暗所表示部の利用方法の選択肢が増え、着用者に適した方法で入眠への一連の流れを円滑に行い易くなる。
【0019】
好ましい一態様によれば、分離された前記暗所表示部を取り付け可能な取り付け部材と関連する図柄を有する。本態様によれば、取り付け部材に暗所表示部を取り付けることにより、分離した暗所表示部を収集したり、暗所表示部を取り付けたりする楽しみを得ることができる。また、吸収性物品の使用後に暗所表示部を収集して溜めていくこともできる。暗所における暗所表示部の視認性を楽しみ続けられる。また、特に乳幼児の着用者に対しては、一連の入眠への流れを持続した頑張りを実感させ易くなり、着用者の自信に繋がり、より安心して入眠への流れを行いやすくなる。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記暗所表示部の塗料と異なる塗料を有する通常表示部を有する。暗所表示部は、前記通常表示部の図柄と関連性のある図柄を含む。本態様によれば、通常表示部は、暗所表示部と異なる塗料を有しており、暗所表示部と視認性(例えば、発光度)が異なる。そのため、着用者等は、異なる視認性の通常表示部と暗所表示部によって楽しみを得ることができる。例えば、暗所においては、暗所表示部を視認し、暗所以外の場所では、通常表示部を視認して楽しみを得たり、通常表示部と暗所表示部の両方が見える環境にあっては、図柄の組み合わせによって飽きずに楽しんだりできる。
【0021】
一態様に係るパッケージは、吸収性物品と、前記吸収性物品を複数収容した収容体と、を含む。前記複数の吸収性物品は、第1吸収性物品と、前記第2吸収性物品と、を有する。前記第1吸収性物品の前記暗所表示部の図柄と、前記第2吸収性物品の前記暗所表示部の図柄と、は異なる。当該パッケージによれば、複数の図柄を有することにより、着用者は暗所表示部に飽きずに興味を持ち続け易くなり、毎日の入眠への流れを繰り返し行い易くなる。
【0022】
他態様に係るパッケージは、吸収性物品と、前記吸収性物品を複数収容した収容体と、を含む。収容体は、暗所において表示される収容暗所表示部を有する。本態様によれば、収容体を就寝場所においておくことで、収容暗所表示部による楽しみを得ることができる。
【0023】
好ましい一態様によれば、収容暗所表示部は、前記暗所表示部と関連する図柄を有する。本態様によれば、収容暗所表示部と暗所表示部が関連する図柄であるため、それぞれ独立した装飾効果のみならず、相乗的な装飾効果を発揮したり、同一の世界観を表現したり、着用者がより楽しみやすい。
【0024】
(2)第1実施形態に係る吸収性物品
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
図1は、第1実施形態に係る吸収性物品1の模式背面図である。
図2は、実施形態に係る吸収性物品1の展開状態の非肌面側T2から見た模式平面図である。
図2に示す模式平面図は、後述するサイド接合部70を展開した状態において吸収性物品1を皺が形成されない状態まで伸長させた伸長状態を示している。
図3は、
図2に示すA−A線に沿った模式断面図である。模式断面図において、説明の便宜上、各部材が厚さ方向Tにおいて離間していることがあるが、実際の製品においては厚さ方向Tに接している。ここで、「肌面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。吸収性物品1は、互いに直交する前後方向L、幅方向W、及び厚さ方向Tを有する。
【0025】
本発明に係る吸収性物品は、着用対象が着用し、着用対象の体液を吸収できる吸収性物品である。着用対象は、乳幼児に限られず、高齢者等、種々の世代であってよい。吸収性物品は、尿を吸収するおむつ、トレーニングパンツ、及び失禁パッドであってもよい。本実施の形態に係る吸収性物品は、パンツ型の使い捨ておむつであるが、吸収性物品は、テープ型の吸収性物品であってもよい。吸収性物品1は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用対象の前胴回り(腹部)に対向する領域である。後胴回り域S2は、着用対象の後胴回り(背部)に対向する領域である。股下域S3は、着用対象の股下に位置し、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域である。
図1に示すように、幅方向Wにおける前胴回り域S1の端部と、幅方向Wにおける後胴回り域S2の端部と、を接合したサイド接合部70が設けられていてよい。サイド接合部70は、前胴回り域S1の外側部と、後胴回り域S2の外側部とを互いに係止した部分によって規定される。
図1に示すように、サイド接合部70が形成された状態で、吸収性物品1には、着用対象の胴が通され、着用象の胴回り囲むウエスト開口62と、着用対象の脚がそれぞれ挿入され、着用対象の脚回り囲む一対の脚回り開口66と、が形成される。ウエスト開口62は、前胴回り域S1の前端縁S1Fと、後胴回り域S2の後端縁S2Rとによって規定されていてよい。
【0026】
ここで、
図2は、サイド接合部70における接合を解除し、吸収性物品1を展開した状態を示している。サイド接合部70は、後述する前外装体51及び後外装体52のそれぞれにおいて、前後方向Lに沿って延びていてよい。パンツ型の吸収性物品1においては、前胴回り域S1と股下域S3との境界は、前外装体51に設けられたサイド接合部70の後端縁によって規定されていてよい。同様に、後胴回り域S2と股下域S3との境界は、後外装体52に設けられたサイド接合部70の前端縁によって規定されていてよい。なお、股下域S3は、脚回り開口66が設けられた領域であってもよい。
【0027】
なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外縁である。本発明における内側部とは、幅方向Wにおける内縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Lにおける縁を含む前後方向Lに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Lにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。
【0028】
吸収性物品1は、吸収コア21、吸収コア21よりも肌面側T1に配置された肌側シート30、及び吸収コア21よりも非肌面側T2に配置された非肌側シート40を有する。肌側シート30は、吸収コア21と重なる領域においては、吸収コア21の肌面側T1に配置されてよく、吸収コア21と重ならない領域においては、着用者に当接するように配置されていてよい。非肌側シート40は、吸収コア21と重なる領域においては、吸収コア21の非肌面側T2に配置されてよく、吸収コア21と重ならない領域においては、吸収性物品1の非肌面を構成してよい。
【0029】
吸収性物品1は、吸収コア21を有する吸収性本体15と、外装体50と、を有していてよい。外装体50は、吸収コア21よりも非肌面側T2において、少なくとも着用対象の胴回りを覆う。外装体50は、吸収性本体15と厚さ方向Tに重なっている。外装体50は、前胴回り域S1に配置された前外装体51と、後胴回り域S2に配置された後外装体52と、を有してよい。
図3に示すように、前外装体51及び後外装体52は、例えば不織布のような外装シートを複数有してよい。外装シートは、第1外装シート55と、第1外装シート55の非肌面側T2に位置する第2外装シート56と、を有してよい。第1外装シート55と第2外装シート56は、折り返された同一のシートによって構成されていてもよいし、別体のシートによって構成されていてもよい。外装シートは、吸収性本体15よりも非肌面側T2に配置されてよい。第1外装シート55と第2外装シート56の間には、幅方向Wに伸縮可能な弾性部材57が配置されてよい。外装シート(第1外装シート55と第2外装シート56)は、本発明の非肌側シート40を構成してよい。
【0030】
吸収性本体15は、前胴回り域S1、後胴回り域S2及び股下域S3にわたって配置されてよい。吸収性本体15は、前外装体51及び後外装体52とは別体として構成され、前胴回り域S1及び後胴回り域S2において、それぞれ前外装体51及び後外装体52と接合されていてよい。吸収性本体15は、吸収コア21と、吸収コア21よりも肌面側T1に配置されたトップシート25と、吸収コア21よりも非肌面側T2に配置されたバックシート27と、を少なくとも有してよい。吸収コア21は、例えば粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物を含んでいてよい。吸収コア21は、吸収コア21とは別体のコアラップシート22によって覆われていてよい。コアラップシート22としては、ティッシュを例示できる。コアラップシート22は、吸収コア21の肌面側に配置された第1コアラップシート22Aと、吸収コア21の非肌面側T2に配置された第2コアラップシート22Bと、を有してよい。トップシート25は、液透過性のシートであってよい。バックシート27は、液不透過性の防漏シート27Aと、防漏シート27Aよりも非肌面側T2に配置された本体外側シート27Bと、を有してよい。防漏シート27Aは、フィルムによって構成され、本体外側シート27Bは、不織布によって構成されてよい。トップシート25及び第1コアラップシート22Aは、本発明の肌側シート30を構成し、バックシート27及び第2コアラップシート22Bは、本発明の非肌側シート40を構成してよい。
【0031】
吸収性物品1は、就寝場所である暗所に対する着用者の抵抗を低減し、入眠への一連の流れを日々円滑に行い易く構成されている。次いで、入眠への一連の流れを円滑に行い易くするための構成について詳細に説明する。吸収性物品1は、暗所において表示される暗所表示部80を備えている。一般に、室内の明るさは、月明りで約0.1〜1ルクス、豆電球で10ルクス以下、リビング照明で400〜500ルクスである。よって、本発明における「暗所」は、豆電球による明るさの環境とし、具体的には10ルクス以下の明るさの環境とする。暗所表示部80は、吸収性物品1の非肌面に向けて配置されている。吸収性物品1の非肌面は、吸収性物品1が包装体によって包装された状態にあっては、包装体から取り出した状態で、着用者と反対側に配置される面である。ここで「吸収性物品の非肌面に向けて配置された」構成は、「吸収性物品の非肌面」自体に付された構成のみならず、吸収性物品の非肌面を構成する部材とは別の部材を介して、吸収性物品の非肌面を構成する部材に対向して配置された状態を含む。本実施の形態において、吸収性物品の非肌面を構成する部材は、第2外装シート56と、本体外側シート27Bと、を含む。
【0032】
暗所表示部80を有する吸収性物品1によれば、着用者は、暗所表示部80を視認できる楽しみを得ることができ、暗所である就寝場所に対する抵抗が少なくなる。より詳細には、着用者は、暗所表示部80を視認することを楽しみにとして、明るい状態の就寝場所に行った後に、就寝場所を暗所にすることを怖がり難くなったり、暗所表示部80を視認することをご褒美であると考え、就寝場所に行くことを嫌がり難くなったりする。よって、着用者が入眠への一連の流れを日々円滑に行い易くなる。その結果、着用者の良質な睡眠を得やすくなり、また装着補助者の精神的及び身体的な負担を低減して、装着補助者のストレスを低減できる。
【0033】
なお、良質な睡眠であるか否かの判断の一例として、メラトニンデータに基づく判断を例示でき、より詳細には、着用者の尿に含まれるメラトニンの分泌結果を検証することによって判断できる。メラトニンの分泌結果の検証は、例えば、以下の方法によって行うことができる。試験者が、実施例に係る吸収性物品(暗所表示部を有する吸収性物品)と、比較例に係る吸収性物品(暗所表示部を有しない吸収性物品)と、着用し、尿に含まれるメラトニンの分泌量を比較する。より詳細には、試験者は、第1週目(1日目から7日目)に比較例に係る吸収性物品を着用して就寝し、第2週目(8日目から14日目)及び第3週目(15日目から21日目)に実施例に係る吸収性物品を着用して就寝する。すなわち、試験者は、連続して21日間吸収性物品を着用して就寝する。起床時に吸収性物品を確認し、就寝中に尿をしていない日に、起床後の最初の尿を採取し、メラトニンの分泌量を測定する。尿の採取は、各週(第1週、第2週、及び第3週)において2回とし、合計6回の尿のメラトニンの分泌結果を取得する。1回目のメラトニンの分泌量と6回目のメラトニンの分泌量と差、及び1回目のメラトニンの分泌量に対する6回目のメラトニンの分泌量の変化率を検証する。本出願人が検証したところ、好適な結果(変化率が167%)を得ることができた。21日間のうち、14日に亘って暗所表示部を有する吸収性物品を着用することによって、円滑な入眠が促され、良好な睡眠を得た結果と推察できる。
【0034】
暗所表示部80は、吸収コア21よりも非肌面側T2に配置されてよい。暗所表示部80は、暗所において、吸収性物品の非肌面から視認可能に構成されてよい。なお、本発明における「暗所において視認可能」とは、10ルクス以下の室内で約30〜50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する被験者が対象物を見たときに視認できる事を意味している。暗所表示部80は、暗所において視認可能であればよく、種々の構成を採用できる。一例として、暗所表示部80の少なくとも一部には、蓄光剤が付されてよい。当該構成によれば、暗所表示部80が暗所において発光し、着用者等が暗所表示部80を認識できる。蓄光剤とは、太陽光や人工光などに含まれる紫外線や可視光といった所定の波長領域(第1波長領域)の励起光成分を吸収して、その励起光成分の照射後も所定の時間に亙って励起光成分より長波長である第2波長領域の燐光成分を放射するものであってよい。蓄光剤としては、亜鉛、カドミウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、イットリウム、ストロンチウムなどの金属酸化物、硫化物、又は珪酸塩若しくはタングステン酸塩などの無機塩が挙げられ、必要に応じてアルミニウム、マンガン、銀、銅、鉛、ビスマス、セリウム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ジスプロシウム、テルビウム、ツリウム、イッテルビウム、塩素などの賦活剤が加えられてよい。
【0035】
他の例として、暗所表示部80の少なくとも一部には、波長315−400nmの長波長の紫外線の照射によって蛍光する蛍光剤が付されてよい。波長315−400nmの長波長の紫外線は、いわゆるブラックライトである。本態様によれば、波長315−400nmの長波長の紫外線の照射によって暗所表示部80が暗所において発光し、着用者等が暗所表示部80を認識できる。また、暗所表示部80の全体に蛍光剤が付されてよい。また、暗所表示部80の全体に蓄光剤又は蛍光剤が付されてよい。蓄光剤又は蛍光剤は、暗所表示部80を設ける部材(例えば、後処理テープ、外装シート)に塗布されていてもよいし、暗所表示部80を設ける部材に練り込まれていてもよい。暗所表示部80が蓄光剤又は蛍光剤を有する形態にあっては、暗所表示部80は、暗所よりも明るい場所では目立ち難く、暗所において目立つ。そのため、着用者は、暗所に行くことによって今まで見えていなかった絵柄等を見られるため、突如出現する暗所表示部80の楽しみがより高まる。
【0036】
暗所表示部80は、吸収性物品1において少なくとも一つ設けられてよく、複数設けられてよい。本実施の形態においては、第1暗所表示部81、第2暗所表示部82及び第3暗所表示部83を説明する。しかし、吸収性物品1は、第1暗所表示部81、第2暗所表示部82及び第3暗所表示部83の少なくともいずれかを有していればよい。なお、以下の説明において、単に暗所表示部80としての説明は、第1暗所表示部81、第2暗所表示部82及び第3暗所表示部83のいずれにも共通で採用できる構成の説明である。
【0037】
第1暗所表示部81は、吸収性物品1の廃棄時に吸収性物品1を丸めた状態で維持する後処理部材90に設けられている。後処理部材90は、吸収性物品1の最も非肌面に配置されており、着用者等の注意を引きやすい。また、後処理部材90は、丸めた状態の吸収性物品1の形状を維持するために、一般的に剛性の高い資材によって構成されることが多い。当該剛性の高い資材からなる後処理部材90に暗所表示部80を設けることにより、暗所表示部80の視認性を高めることができる。後処理部材90は、周知の構成を採用することができ、例えば、特許第6236569に開示されたテープ部材とシール部材によって構成されてもよい。シール部材は、テープ部材に対して接着され、再接着可能な接着部を有している。当該シール部材に第1暗所表示部81が設けられてよい。
【0038】
暗所表示部80は、吸収コア21の非肌面又は非肌側シート40に設けられてよい。当該構成によれば、吸収性物品1の非肌面側T2から暗所表示部を視認しやすい。着用者及び装着補助者は、吸収性物品1の装着操作中及び着用時に、暗所表示部80をより視認し易い。第2暗所表示部82は、前外装体51の第2外装シート56に設けられている。第2外装シート58は、ミシン目を介して一部切り取り可能に構成されており、当該切り取り可能な領域に、第2暗所表示部82が付されている。第3暗所表示部83は、バックシート27を構成する防漏シート27Aの非肌面に設けられている。第3暗所表示部83は、吸収性物品1の非肌面側から本体外側シート27Bを介して視認可能に構成されている。吸収性物品1を構成するシートにおいて比較的剛性の高い防漏シート27A(フィルム)に暗所表示部80を設けることで、暗所表示部80のたくれやよれを抑制し、暗所表示部80の視認性を確保できる。
【0039】
暗所表示部80は、吸収コア21と重なる領域に設けられてよい。暗所表示部80の少なくとも一部が、吸収コア21に重なっていてよく、暗所表示部80の全域が、吸収コア21に重なっていてもよい。吸収性物品1において比較的剛性が高い吸収コア21と重なる領域に暗所表示部80を設けることで、暗所表示部80のたくれやよれを抑制し、暗所表示部80の視認性を確保できる。
【0040】
暗所表示部80は、股下域S3の前後方向Lの股下中心S3CLよりも前側に位置する前側域に配置されてよい。前側域は、股下中心S3CLと、前胴回り域の前端縁S1Fと、の間の領域であり、着用者が着用時に視認し易い領域である。当該前側域に暗所表示部80を設けることで、着用者は、特段意識しなくも着用状態で暗所表示部80が視界に入るため、暗所表示部80を視認し易い。本実施の形態では、第2暗所表示部82が前側域に配置されている。変形例において、暗所表示部80は、股下中心S3CLよりも後側に位置する後側域に配置されてよい。後側域は、股下中心S3CLと、後胴回り域の後端縁S2Rと、の間の領域である。本実施の形態では、第1暗所表示部81及び第3暗所表示部83が後側域に配置されている。
【0041】
第1暗所表示部81及び第2暗所表示部82のように、暗所表示部80は、吸収性物品1から分離可能であってよい。暗所表示部80を吸収性物品1から分離することにより、吸収性物品1に着用した状態で暗所表示部80を楽しむだけでなく、別の場所に暗所表示部80を配置して暗所表示部80を楽しむことも可能となる。具体的には、暗所表示部80を収集する台紙等の取り付け部材120(
図4(b)参照)を提供し、当該取り付け部材120に暗所表示部80に取り付けてもよい。取り付け部材120に暗所表示部80を取り付けることにより、分離した暗所表示部80を収集したり、暗所表示部80を取り付けたりする楽しみを得ることができる。また、吸収性物品1の使用後に暗所表示部80を収集して溜めていくこともできる。暗所における暗所表示部80の視認性を楽しみ続けられる。また、特に乳幼児の着用者に対しては、一連の入眠への流れを持続した頑張りを実感させ易くなり、着用者の自信に繋がり、より安心して入眠への流れを行いやすくなる。暗所表示部80の利用方法の選択肢が増え、着用者に適した方法で入眠への一連の流れを円滑に行い易くなる。なお、暗所表示部80が吸収性物品1に対して分離可能な構成は、第1暗所表示部81のようにシール部材の接着部を介して分離可能な構成のみならず、第2暗所表示部82のように、吸収性物品1を構成する部材の一部がミシン目等の脆弱部を介して分離可能に構成されていてもよい。
【0042】
暗所よりも明るい環境において、暗所表示部80と、暗所表示部80の周囲に配置された周囲領域85と、の色差ΔEは、20.0以下であってよい。ここで、暗所よりも明るい環境は、10ルクスよりも高い環境である。周囲領域85は、平面視にて暗所表示部80の周りに配置された領域であり、暗所表示部80に隣接する領域であってよい。後述の実施例のように、出願が鋭意研究を行った結果、2つの領域の色差ΔEが20.0以下の場合、同色と認識され易く、2つの領域の色差ΔEが12.0以下の場合、同色とより認識され易いことがわかった。また、2つの領域の色差ΔEが20.0よりも大きい場合、同色として認識せずに、異なる色の領域と認識され易いことがわかった。暗所よりも明るい環境において、暗所表示部と周囲領域の色差が20以下であるため、着用者等は、暗所表示部と周囲領域を別々の領域として認識せずに、暗所表示部と周囲領域を一体化して認識し易い。そのため、暗所において、暗所表示部がいきなり現れたような心証を得ることができ、暗所表示部に対する興味や楽しみをより高めることができる。なお、色差ΔEは、測定対象となる2点(2つの領域)について市販の測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8729に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。具体的に、測定対象たる2点間のL*値の差がΔL*、a*の差がΔa*、b*値の差がΔb*であるときに、色差ΔE=[(ΔL*)
2+(Δa*)
2+(Δb*)
2]
1/2によって求められる。また、暗所よりも明るい環境において、暗所表示部を目立ち難くする構成として、周囲領域の色は、白色であってよい。当該構成によれば、暗所表示部が周囲領域の白色に同化し易く、暗所において暗所表示部がいきなり現れたような心証を得ることができる。
【0043】
次いで、パッケージ100について説明する。
図4(a)は、パッケージ100を示した図であり、
図4(b)は、変形例にかかる取り付け部材を示した図である。パッケージ100は、複数の吸収性物品1と、吸収性物品1を複数収容した収容体110と、を少なくとも含み、取り付け部材120を有してもよい。収容体110は、フィルム等のシートによって構成されてよく、吸収性物品1を出し入れする開口を形成するための脆弱部(例えば、ミシン目)を有する。収容体110は、暗所において表示される収容暗所表示部115を有してよい。収容暗所表示部115は、収容体110の外面に配置されてよい。本態様によれば、収容体110を就寝場所においておくことで、収容暗所表示部115による楽しみを得ることができる。
【0044】
好適には、収容暗所表示部115は、吸収性物品1の暗所表示部80と関連する図柄を有してよい。収容暗所表示部115と暗所表示部80が関連する図柄であるため、それぞれ独立した装飾効果のみならず、相乗的な装飾効果を発揮したり、同一の世界観を表現したり、着用者がより楽しみやすい。ここで、本発明において「関連する図柄」は、例えば、概念が関連する図柄、形状が関連する図柄を例示できる。概念が関連する図柄は、共通の概念を想起させる図柄である。例えば、「夜」を想起させる月、星、夜景、照明、寝具を関連図柄に含めることができ、「自然」を想起させる花、草、木、空を関連図柄に含めることができる。また、形状が関連する図柄は、見た目の統一感を得ることができる図柄である。例えば、三角形、四角形、五角形等の多角形を関連図柄に含めることができ、相似形を関連図柄に含めることができる。また、本発明において「図柄」は、絵、図形のみならず、文字、記号、数字を含む概念である。
【0045】
収容暗所表示部115と暗所表示部80は、視認性を異ならせてもよい。例えば、収容暗所表示部115の発光度と、暗所表示部80の発光度と、を異ならせてもよい。当該構成によれば、着用者の楽しみがより高まり、着用者が入眠への一連の流れを日々円滑に行い易くなる。収容暗所表示部115は、収容体110から分離可能に構成されてよく、暗所表示部80と共に取り付け部材120に取り付け可能に構成されていてもよい。
【0046】
取り付け部材120は、分離された暗所表示部80を取り付け可能に構成されてよく、収容暗所表示部115も取り付け可能に構成されてよい。取り付け部材120に暗所表示部80等を取り付ける形態にあっては、暗所表示部80等に取り付け部材に取り付け可能な接合手段(例えば、接着剤)を設けてもよいし、取り付け部材120側に暗所表示部80等を取り付けるための手段(ポケット、切り込み)を設けてもよい。取り付け部材120は、
図4(a)に示すように、収容体110の一部であってもよいし、
図4(b)に示すように、吸収性物品1及び収容体110とは別体で設けられていてもよいし。収容体110の一部が取り付け部材120を構成することにより、着用者は、日々の吸収性物品1の交換時に、取り付け部材120を視認したり、取り付け部材120に暗所表示部80を取り付けたりできる。また、別体の取り付け部材120によれば、着用者等は、収容体110を廃棄する際等、収容体110の使用に影響されずに取り付け部材を保管しておくことができ、暗所表示部80等による楽しみ方の多様性を高めることができる。
【0047】
複数の吸収性物品1は、第1吸収性物品1Xと、第2吸収性物品1Yと、を有してよい。第1吸収性物品1Xの暗所表示部80の図柄と、第2吸収性物品1Yの暗所表示部80の図柄と、は異なってよい。具体的には、第1吸収性物品1Xの暗所表示部80は、星柄であり、第2吸収性物品1Yの暗所表示部80は、月柄である。なお、各暗所表示部80が複数の図柄を有する形態にあっては、少なくとも一の図柄が異なっていればよい。複数の図柄を有することにより、着用者は暗所表示部80に飽きずに興味を持ち続け易くなり、毎日の入眠への流れを繰り返し行い易くなる。
【0048】
暗所表示部80は、取り付け部材120と関連する図柄を有してよい。同様に、収容暗所表示部115は、取り付け部材120と関連する図柄を有してよい。換言すると、取り付け部材120は、暗所表示部80と関連する図柄を備えてよく、収容暗所表示部115と関連する図柄を備えてよい。互いに関連する図柄であるため、それぞれ独立した装飾効果のみならず、相乗的な装飾効果を発揮したり、同一の世界観を表現したり、着用者がより楽しみやすい。
【0049】
図2に示すように、吸収性物品1は、暗所表示部80の塗料と異なる塗料を有する通常表示部130を有してよい。また、
図4に示すように、収容体110は、収容暗所表示部115の塗料と異なる塗料を有する通常表示部130を有してよい。通常表示130部は、暗所表示部80等の塗料と異なり、蛍光剤及び蓄光剤を含まない塗料によって構成されている。暗所表示部80及び収容暗所表示部115は、通常表示部130の図柄と関連性のある図柄を含んでよい。通常表示部130は、暗所表示部80等と異なる塗料を有しており、暗所表示部80等と視認性(例えば、発光度)が異なる。そのため、着用者等は、異なる視認性の通常表示部130と暗所表示部80等によって楽しみを得ることができる。例えば、暗所においては、暗所表示部80等を視認し、暗所以外の場所では、通常表示部130を視認して楽しみを得たり、通常表示部130と暗所表示部80等の両方が見える環境にあっては、図柄の組み合わせによって飽きずに楽しんだりできる。
【0050】
(3)官能評価
次いで、2つの領域が同色であるか否かの評価について説明する。実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2に係るサンプルを用いて、同色であるか否かの評価を行った。各サンプルの色差は、サンプルの非肌面から測定機器を当てて測定した。評価は、第1領域と第2領域を有する吸収性物品を非肌面側から視認し、6人の試験者が第1領域と第2領域を同色に見えるか否かを評価した。試験者1から3は、男性であり、試験者4から6は女性である。評価は、昼白色(色温度目安 4600〜5400 K(ケルビン))で明るく照明された室内(目安:500〜750 lx(ルクス))で約30〜50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する6人の被験者が3段階で評価した。同色と認識した場合は、評価「〇」として、かろうじて同色と判断した場合は、評価「△」とし、同色でないと判断した場合は、評価「×」とした。評価結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1、及び実施例2及び実施例3において、同色と判断できるため、色差ΔEは、20.0以下であってよいことがわかった。また、色差ΔEが12.0以下であると明確に同色として認定されることがわかり、より好適には、色差ΔEが12.0以下であってよい。
【表1】
【0051】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
吸収性物品(1)は、吸収コア(21)、吸収コアよりも肌面側に配置された肌側シート(30)、及び吸収コアよりも非肌面側に配置された非肌側シート(40)を有する。吸収性物品は、吸収性物品の非肌面に向けて配置され、暗所において表示される暗所表示部(80)を有する。暗所表示部の少なくとも一部には、蓄光剤が付されている。または、暗所表示部の少なくとも一部には、波長315−400nmの長波長の紫外線の照射によって蛍光する蛍光剤が付されている。