(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971726
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】半導体アプリケーション用希土類酸化物系耐食性コーティング
(51)【国際特許分類】
C23C 4/11 20160101AFI20211111BHJP
C04B 35/505 20060101ALI20211111BHJP
C04B 41/87 20060101ALI20211111BHJP
C23C 4/02 20060101ALI20211111BHJP
C23C 4/134 20160101ALI20211111BHJP
【FI】
C23C4/11
C04B35/505
C04B41/87 J
C23C4/02
C23C4/134
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-172741(P2017-172741)
(22)【出願日】2017年9月8日
(62)【分割の表示】特願2016-244991(P2016-244991)の分割
【原出願日】2014年5月20日
(65)【公開番号】特開2018-40058(P2018-40058A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年9月8日
【審判番号】不服2019-17138(P2019-17138/J1)
【審判請求日】2019年12月19日
(31)【優先権主張番号】61/831,424
(32)【優先日】2013年6月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/954,808
(32)【優先日】2013年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】サン ジェニファー ワイ
(72)【発明者】
【氏名】カヌンゴ ビラジャ ピー
(72)【発明者】
【氏名】チョー トム
【合議体】
【審判長】
粟野 正明
【審判官】
市川 篤
【審判官】
祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−68066(JP,A)
【文献】
特開2017−100938(JP,A)
【文献】
特開2002−1865(JP,A)
【文献】
特開2007−217779(JP,A)
【文献】
特開2001−226773(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/009509(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 4/00- 4/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造チャンバ用のチャンバコンポーネントであって、
チャンバコンポーネントの本体と、
本体の少なくとも1つの面上の耐プラズマ性セラミックスコーティングとを含み、耐プラズマ性セラミックスコーティングは、37.5モル%〜53モル%の範囲内のY2O3と、0モル%超〜12モル%の範囲内のZrO2と、37モル%〜62.5モル%の範囲内のAl2O3とを含み、耐プラズマ性セラミックスコーティングは、0.15μm〜0.3μmの表面粗さを有するチャンバコンポーネント。
【請求項2】
チャンバコンポーネントは、蓋、シャワーヘッド、チャンバライナ、及びノズルからなる群から選択される、請求項1記載のチャンバコンポーネント。
【請求項3】
本体は、アルミニウム、銅、又はマグネシウムのうちの少なくとも1つを含み、本体の前記少なくとも1つの面は、3.0〜4.6μmの表面粗さを有する、請求項1記載のチャンバコンポーネント。
【請求項4】
本体は、セラミックスを含み、本体の前記少なくとも1つの面は、3.6〜6.1μmの表面粗さを有する、請求項1記載のチャンバコンポーネント。
【請求項5】
耐プラズマ性セラミックスコーティングは、0.2mm〜0.25mmの研磨後の厚さを有し、前記表面粗さは研磨後の表面粗さである、請求項1記載のチャンバコンポーネント。
【請求項6】
耐プラズマ性セラミックスコーティングは、プラズマ溶射セラミックスコーティングである、請求項1記載のチャンバコンポーネント。
【請求項7】
本体は、セラミックス本体又は金属本体を含み、金属本体はアルミニウム、銅、又はマグネシウムのうちの少なくとも1つを含み、
本体の前記少なくとも1つの面は粗面化されない表面領域と粗面化された表面領域を含み、粗面化された表面領域は、セラミックス本体で3.6μm〜6.1μm又は金属本体で3.0μm〜4.6μmの第1の表面粗さを有し、粗面化されない表面領域は、第1の表面粗さよりも小さい第2の表面粗さを有し、
耐プラズマ性セラミックスコーティングは、本体の粗面化されない表面領域上ではなく、粗面化された表面領域上にあり、耐プラズマ性セラミックスコーティングは、粗面化された表面領域と粗面化されない表面領域との間の界面に、テーパのついたエッジ部又は面取りされたエッジ部のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載のチャンバコンポーネント。
【請求項8】
製造チャンバ用のチャンバコンポーネントであって、
チャンバコンポーネントの本体であって、本体はセラミックス本体又は金属本体を含み、本体はさらに粗面化されない表面領域と粗面化された表面領域を含む平坦な表面域を備え、粗面化された表面領域は、セラミックス本体で3.6μm〜6.1μm又は金属本体で3.0μm〜4.6μmの第1の表面粗さを有し、粗面化されない表面領域は、第1の表面粗さよりも小さい第2の表面粗さを有し、金属本体はアルミニウム、銅、又はマグネシウムのうちの少なくとも1つを含む本体と、
本体の平坦な表面域の粗面化されない表面領域上ではなく、本体の平坦な表面域の粗面化された表面領域上の耐プラズマ性セラミックスコーティングであって、耐プラズマ性セラミックスコーティングは、37.5モル%〜53モル%の範囲内のY2O3と、0モル%超〜12モル%の範囲内のZrO2と、37モル%〜62.5モル%の範囲内のAl2O3とを含むプラズマ溶射コーティングであり、耐プラズマ性セラミックスコーティングは、0.2mm〜0.25mmの研磨後の厚さと0.15μm〜0.3μmの研磨後の表面粗さを有し、耐プラズマ性セラミックスコーティングは、粗面化された表面領域と粗面化されない表面領域との間の界面に、テーパのついたエッジ部又は面取りされたエッジ部のうちの少なくとも1つを含む耐プラズマ性セラミックスコーティングとを含むチャンバコンポーネント。
【請求項9】
耐プラズマ性セラミックスコーティングは、2%〜10%の空孔率を有する、請求項8記載のチャンバコンポーネント。
【請求項10】
チャンバコンポーネントは、蓋、シャワーヘッド、チャンバライナ、及びノズルからなる群から選択される、請求項8記載のチャンバコンポーネント。
【請求項11】
本体は、前記金属本体を含む、請求項8記載のチャンバコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、セラミックスコーティングされた物品及び基板にセラミ
ックスコーティングを塗布するためのプロセスに関する。
【0002】
半導体産業では、ますます減少するサイズの構造を作る多くの製造プロセスによって、
デバイスは製造される。いくつかの製造プロセス(例えば、プラズマエッチング及びプラ
ズマ洗浄プロセス)は、基板をエッチング又は洗浄するために、プラズマの高速流に基板
を曝露させる。プラズマは、非常に浸食性がある可能性があり、処理チャンバ及びプラズ
マに曝露される他の表面を浸食する可能性がある。この浸食は、処理される基板をしばし
ば汚染し、デバイスの欠陥に寄与する粒子を生成する可能性がある。
【0003】
デバイスの幾何学的構造が縮小するにつれて、欠陥への感受性は増大し、粒子汚染物質
への要件(すなわち、オンウェハ性能)は、より厳しくなる。プラズマエッチング及び/
又はプラズマ洗浄プロセスによって導入される粒子汚染を最小限にするために、プラズマ
に耐性のあるチャンバの材料が開発されてきた。このような耐プラズマ性材料の例は、A
l
2O
3、AlN、SiC、Y
2O
3、石英、及びZrO
2から構成されるセラミックス
を含む。異なるセラミックスは、異なる材料特性(例えば、耐プラズマ性、剛性、曲げ強
度、耐熱衝撃性など)を提供する。また、異なるセラミックスは、異なる材料コストを有
する。したがって、いくつかのセラミックスは、優れた耐プラズマ性を有し、他のセラミ
ックスは、より低いコストを有し、更に他のセラミックスは、優れた曲げ強度及び/又は
耐熱衝撃性を有する。
【0004】
一実施形態では、物品は、本体を提供する工程と、約45モル%〜約99モル%の範囲
内のY
2O
3と、約0モル%〜約55モル%の範囲内のZrO
2と、約0モル%〜約10
モル%の範囲内のAl
2O
3を含むセラミックスコーティングで、本体の少なくとも1つ
の表面をコーティングする工程とによって製造される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明は、添付図面の図の中で、限定としてではなく、例として示され、同様の参照符
号は同様の要素を示す。この開示における「一」又は「1つの」実施形態への異なる参照
は、必ずしも同じ実施形態への参照ではなく、そのような参照は、少なくとも1つを意味
することに留意すべきである。
【
図1】本発明の一実施形態に係る、製造システムの例示的な基本設計概念を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係る、セラミックスコーティングを有する物品の製造プロセスを示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係る、製造プロセスの異なる段階中の物品の側断面図を示す。
【
図4】本発明の実施形態に係る、コーティングのトップダウン・断面顕微鏡写真図を示す。
【
図5】本発明の実施形態に係る、様々な倍率レベルでのセラミックスコーティングの表面の顕微鏡写真を示す。
【
図6】本発明の実施形態に係る、様々な倍率レベルでのセラミックスコーティングの表面の顕微鏡写真を示す。
【
図7】本発明の実施形態に係る、様々な倍率レベルでのセラミックスコーティングの表面の顕微鏡写真を示す。
【
図8】本発明の実施形態に係る、セラミックスコーティングの正規化された浸食速度を示す。
【0006】
本発明の実施形態は、セラミックスコーティングを有する基板又は本体をコーティング
するためのプロセス、及びそのようなコーティングプロセスを用いて作られた物品(例え
ば、プラズマエッチングリアクタ用の蓋、シャワーヘッド、チャンバライナ等)を対象と
している。一実施形態では、物品は、モル濃度が、約45モル%〜約100モル%の範囲
内のY
2O
3と、約0モル%〜約55モル%の範囲内のZrO
2と、約0モル%〜約10
モル%の範囲内のAl
2O
3を含むセラミックスコーティングでコーティングされた本体
を含む。一実施形態では、物品は、約30モル%〜約60モル%の範囲内のY
2O
3と、
約0モル%〜約20モル%の範囲内のZrO
2と、約30モル%〜約60モル%の範囲内
のAl
2O
3を含むセラミックスコーティングでコーティングされた本体を含む。一例で
は、コーティングは、約5ミル〜約25ミルの間の厚さを有することができる。
【0007】
物品の本体は、金属(いくつか例を挙げると、アルミニウム、銅、又はマグネシウムな
ど)を含むことができる。あるいはまた、物品用の本体は、セラミックス(例えば、Al
2O
3、AlNなど)を含むことができる。いくつかの実施形態では、コーティングの前
に、物品の表面は、約100マイクロインチ〜約300マイクロインチの粗さに粗面化さ
れる、及び/又は約70℃〜約200℃の温度に加熱されることができる。
【0008】
物品のセラミックスコーティングは、プラズマエッチングに対して高耐性であることが
でき、物品は、優れた機械的特性(例えば、高い曲げ強度及び/又は高い耐熱衝撃性)を
有することができる。例えば、Al
2O
3は、高い熱機械的強度を有するが、比較的高い
アルミニウム汚染レベルと低いプラズマ耐性もまた有する。対照的に、Y
2O
3含有セラ
ミックスは、プラズマ耐性と低いオンウェハレベルのアルミニウム汚染を向上させるが、
比較的低い熱機械的強度を有する。したがって、物品は、第1のセラミックス物質(例え
ば、Al
2O
3)の有利な特性と第2のセラミックス物質(例えば、Y
2O
3含有セラミ
ックス)の有利な特性を、どちらのセラミックス物質の弱点なしに有することができる。
【0009】
コーティングされたセラミックス物品の性能特性は、比較的高い加熱能力(例えば、最
大約150℃の動作温度に耐える能力)、比較的長い寿命(例えば、プラズマ環境中で使
用された場合、約2年以上)、低いオンウェハ粒子及び金属汚染、及び安定した静電チャ
ック(ESC)のリーク電流特性(例えば、物品がESCの場合)を含むことができる。
【0010】
例えば、導電体の蓋は、高温アプリケーション用半導体製造で使用される部品であり、
ここでAl
2O
3製の蓋を形成することは、高い熱伝導率及び曲げ強度を提供する。しか
しながら、フッ素化学の下では、曝露されたAl
2O
3は、AlF粒子ならびにオンウェ
ハのAl金属汚染を形成する。蓋のプラズマに面する側上の一実施形態に係るセラミック
スコーティングは、著しく浸食を低減させ、Al金属汚染を低減させることができる。
【0011】
別の一例では、半導体製造チャンバ内で使用するための誘電体シャワーヘッドは、Si
Cのフェースプレートに接合された陽極酸化Alベースから形成することができる。Si
Cのフェースプレートは、ウェハエッチングの均一性に影響を与える高い浸食速度を有す
る可能性があった。更に、陽極酸化Alベースへのフェースプレートの接合は、プラズマ
照射によって損傷する可能性があり、これによってフェースプレートは、陽極酸化Alベ
ースに不均一に接合され、シャワーヘッドの熱均一性を低減させる可能性があった。一実
施形態に係るセラミックスコーティングは、無垢のAlベース上に直接塗布され、これに
よって接合及び浸食の問題を改善することができる。
【0012】
別の一例では、半導体製造チャンバライナ(例えば、チャンバライナキット)は、プラ
ズマ曝露面を一実施形態に係るセラミックスコーティングでコーティングされ、非プラズ
マ曝露面を陽極酸化AlでコーティングされたAl基板から形成することができる。その
結果、セラミックスコーティングは、オンウェハ特性を向上させ、ならびにコーティング
の空孔率レベルに基づいてクリーニングウィンドウを広げることができる。
【0013】
用語「約」又は「およそ」は、本明細書で使用される場合、これらは、提示された公称
値が±10%以内で正確であることを意味することを意図している。半導体製造用プラズ
マエッチング装置内で使用される導電体の蓋、誘電体シャワーヘッド、及びチャンバライ
ナを参照して、いくつかの実施形態が本明細書中に記載されることにも留意すべきである
。しかしながら、このようなプラズマエッチング装置は、マイクロ電気機械システム(M
EMS))デバイスを製造するために使用されてもよいことを理解すべきである。また、
本明細書に記載のセラミックス物品は、プラズマに曝露される他の構造であってもよい。
例えば、セラミックス物品は、プラズマエッチング装置、プラズマ洗浄装置、及びプラズ
マ推進システムなどの、セラミックスリング、壁、ベース、ガス分配板、シャワーヘッド
、基板保持フレームなどとすることができる。
【0014】
更に、実施形態は、プラズマリッチプロセス用の処理チャンバ内で使用された場合に、
低減された粒子汚染をもたらす物品を参照して、本明細書中に記載される。しかしながら
、本明細書で説明される物品は、他の処理用の処理チャンバ(例えば、プラズマ強化化学
蒸着(PECVD)チャンバ、プラズマ強化物理蒸着(PEPVD)チャンバ、プラズマ
強化原子層堆積(PEALD)チャンバ、ならびに非プラズマエッチング装置、非プラズ
マ洗浄装置、化学蒸着(CVD)炉、物理蒸着(PVD)炉など)の中で使用された場合
に、低減された粒子欠陥及び金属汚染を提供することもできることを理解すべきである。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る製造システム100の例示的な基本設計概念を示す。
製造システム100は、セラミックス製造システムとすることができる。一実施形態では
、製造システム100は、機器自動化層115に接続された処理機器101を含む。処理
機器101は、ビーズブラスター102、1以上の湿式洗浄装置103、セラミックスコ
ーティング装置104及び/又は1以上のグラインダ105を含むことができる。製造シ
ステム100は、機器自動化層115に接続された1以上のコンピューティングデバイス
120を更に含むことができる。代替実施形態では、製造システム100は、より多く又
はより少ないコンポーネントを含むことができる。例えば、製造システム100は、機器
自動化層115又はコンピューティングデバイス120無しに、手動操作(例えば、オフ
ライン)の処理機器101を含んでもよい。
【0016】
ビーズブラスター102は、物品(例えば、半導体製造チャンバ内で使用するための部
品)の表面を粗面化するように構成された機械である。ビーズブラスター102は、ビー
ズブラスティングキャビネット、ハンドヘルドビーズブラスター、又は他のタイプのビー
ズブラスターとすることができる。ビーズブラスター102は、ビーズ又は粒子を物品に
衝突させることによって物品を粗面化することができる。一実施形態では、ビーズブラス
ター102は、物品にセラミックスビーズ又は粒子を発射する。ビーズブラスター102
によって達成される粗さは、ビーズを発射するのに使用した力、ビーズ材料、ビーズのサ
イズ及び/又は処理時間に基づくことができる。一実施形態では、ビーズブラスターは、
物品を粗面化するために、ある範囲のビーズサイズを使用する。
【0017】
別の実施形態では、ビーズブラスター102ではなく他のタイプの表面粗面化装置を使
用することができる。例えば、電動砥粒パッドは、物品の表面を粗面化するために使用す
ることができる。サンダーは、砥粒パッドを物品の表面に押し付けながら、砥粒パッドを
回転又は振動させることができる。砥粒パッドによって達成される粗さは、印加される圧
力に、振動又は回転速度に、及び/又は砥粒パッドの粗さに依存する可能性がある。
【0018】
湿式洗浄装置103は、湿式洗浄プロセスを使用して物品(例えば、半導体の製造用に
使用される物品)を洗浄する洗浄装置である。湿式洗浄装置103は、物品を洗浄するた
めに物品が内部に浸漬される、液体で満たされた湿式浴を含む。湿式洗浄装置103は、
洗浄効率を向上させるために、洗浄中に超音波を用いて湿式浴を撹拌することができる。
これを、本明細書内では、湿式浴の超音波処理と呼ぶ。
【0019】
一実施形態では、湿式洗浄装置103は、脱イオン(DI)水浴を用いて物品を洗浄す
る第1湿式洗浄装置と、アセトン浴を用いて物品を洗浄する第2湿式洗浄装置を含む。両
方の湿式洗浄装置103は、洗浄プロセス中に浴槽を超音波処理することができる。湿式
洗浄装置103は、処理中に、複数の段階で物品を洗浄することができる。例えば、湿式
洗浄装置103は、物品が粗面化された後、セラミックスコーティングが物品に塗布され
た後、物品が処理内で使用された後等に、物品を洗浄することができる。
【0020】
他の実施形態では、代替タイプの洗浄装置(例えば、乾式洗浄装置)が使用され、これ
によって物品を洗浄することができる。乾式洗浄装置は、熱を印加する、ガスを印加する
、プラズマを印加するなどによって、物品を洗浄することができる。
【0021】
セラミックスコーター104は、半導体製造内で使用するための基板又は物品の表面に
セラミックスコーティングを塗布するように構成された機械である。一実施形態では、セ
ラミックスコーター104は、物品上にセラミックスコーティングをプラズマ溶射するプ
ラズマ溶射装置である。
【0022】
代替の実施形態では、セラミックスコーター104は、他の溶射技術を適用することが
できる。例えば、爆発溶射、ワイヤーアーク溶射、高速酸素燃料(HVOF)溶射、フレ
ーム溶射、ウォームスプレー、及びコールドスプレーを使用することができる。更に、セ
ラミックスコーター104は、他のコーティングプロセスを実行することができる。セラ
ミックスコーティングを形成するために、例えば、エアロゾルデポジション法、電気メッ
キ、物理蒸着(PVD)、イオンアシスト蒸着(IAD)、及び化学蒸着(CVD)を使
用することができる。
【0023】
グラインダ105は、物品の表面を研削及び/又は研磨する砥粒ディスクを有する機械
である。グラインダ105は、研磨/研削システム(例えば、粗ラッピングステーション
、化学機械平坦化(CMP)装置など)を含むことができる。グラインダ105は、物品
と、回転させながら物品に押し付けられる砥粒ディスク又は研磨パッドとを保持するプレ
ートを含むことができる。これらのグラインダ105は、セラミックスコーティングの表
面を研削し、これによってセラミックスコーティングの粗さを減少させる、及び/又はセ
ラミックスコーティングの厚さを減少させる。グラインダ105は、各ステップがわずか
に異なる粗さ及び/又は異なるスラリー(例えば、CMPが使用される場合)を有する砥
粒パッドを使用して、多段階にセラミックスコーティングを研削/研磨することができる
。例えば、高い粗さを有する第1の砥粒パッドを用いて、迅速に所望の厚さにセラミック
スコーティングを研削することができ、低い粗さを有する第2の砥粒パッドを用いて、所
望の粗さにセラミックスコーティングを研磨することができる。一例では、ライナーキッ
ト上のセラミックスコーティングの厚さは、約8〜12ミルであり、約180〜250μ
inのコーティング粗さを有することができる。別の一例では、蓋上のセラミックスコー
ティングの厚さは、約8〜10ミルであり、約6〜12μinのコーティング粗さを有す
ることができる。更に別の一実施形態では、セラミックスコーティングの厚さは、シャワ
ーヘッド用に約25ミルであり、約180〜250μinのコーティング粗さを有する。
一実施形態では、セラミックスコーティングは、約8〜12ミル(1000分の1インチ
)の研磨後の厚さと、約6〜12μinの研磨後の粗さを有する。
【0024】
グラインダ105は、ある角度でセラミックスコーティングを研削するアングルグライ
ンダを更に含むことができる。アングルグラインダは、物品へある角度で保持された研磨
ディスク又はパッドを有する。アングルグラインダは、セラミックスコーティングをトリ
ミングし、セラミックスコーティングと物品との間に、面取り、丸みを帯びたエッジ、又
は他の傾斜した遷移部を生成することができる。
【0025】
機器自動化レイヤー115は、製造機械101の一部又は全部をコンピューティングデ
バイス120と、他の製造機械と、計測ツール及び/又は他のデバイスと相互接続するこ
とができる。機器自動化レイヤー115は、ネットワーク(例えば、位置エリアネットワ
ーク(LAN))、ルータ、ゲートウェイ、サーバ、データストアなどを含むことができ
る。製造機械101は、SEMI Equipment Communications
Standard/Generic Equipment Model(SECS/G
EM)インタフェースを介して、イーサネット(登録商標)インタフェースを介して、及
び/又は他のインタフェースを介して、機器自動化レイヤー115に接続することができ
る。一実施形態では、機器自動化レイヤー115は、プロセスデータ(例えば、プロセス
実行中に製造機械101によって収集されたデータ)をデータストア(図示せず)に保存
可能にする。代替の一実施形態では、コンピューティングデバイス120は、1以上の製
造機械101に直接接続する。
【0026】
一実施形態では、一部又は全部の製造機械101は、プロセスレシピをロード、ストア
、及び実行することができるプログラマブルコントローラを含む。プログラマブルコント
ローラは、製造機械101の温度設定、ガス及び/又は真空の設定、時間の設定等を制御
することができる。プログラマブルコントローラは、メインメモリ(例えば、リードオン
リーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DR
AM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及び/又は二次メモ
リ(例えば、データ記憶装置(例えば、ディスクドライブ))を含むことができる。メイ
ンメモリ及び/又は二次メモリは、本明細書に記載の熱処理プロセスを実行するための命
令を記憶することができる。
【0027】
プログラマブルコントローラはまた、メインメモリ及び/又は二次メモリに(例えば、
バスを介して)結合された処理デバイスを含み、これによって命令を実行することができ
る。処理デバイスは、汎用処理デバイス(例えば、マイクロプロセッサ、中央処理装置等
)であってもよい。処理デバイスはまた、専用処理デバイス(例えば、特定用途向け集積
回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号
プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等)であってもよい。一実施形態では、
プログラマブルコントローラは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)である
。
【0028】
一実施形態では、製造機械101は、製造機械に物品を粗面化させる、物品をコーティ
ングさせる、及び/又は、物品を機械加工(例えば、研削又は研磨)させるレシピを実行
するようにプログラムされる。一実施形態では、製造機械101は、
図2を参照して説明
したように、セラミックスコーティングされた物品を製造するための多段階プロセスの操
作を実行するレシピを実行するようにプログラムされる。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る、セラミックスコーティングされた物品を製造するた
めのプロセス200を示すフローチャートである。プロセス200の操作は、
図1に記載
されたように、様々な製造機械によって実行することができる。
【0030】
ブロック202では、物品が提供される。例えば、物品は、導電性材料(例えば、Al
2O
3)で形成された半導体製造チャンバ用の蓋とすることができる。別の一例では、物
品は、半導体製造チャンバ内で使用するためのシャワーヘッド(例えば、SiCフェース
プレートに結合された陽極酸化Alベースから形成された誘電体シャワーヘッド)とする
ことができる。更に別の一例では、物品は、Alから形成されたチャンバライナ(例えば
、半導体製造チャンバ用チャンバライナキット)とすることができる。
【0031】
物品は、バルクセラミックス(例えば、Y
2O
3(イットリア)、Y
4Al
2O
9(Y
AM)、Al
2O
3(アルミナ)、Y
3Al
5O
12(YAG)、石英、YAlO
3(Y
AP)、SiC(炭化ケイ素)、Si
3N
4(窒化ケイ素)、AlN(窒化アルミニウム
)、ZrO
2(ジルコニア)、AlON(酸窒化アルミニウム)、TiO
2(チタニア)
、TiC(炭化チタン)、ZrC(炭化ジルコニウム)、TiN(窒化チタン)、TiC
N(炭窒化チタン)、Y
2O
3安定化ZrO
2(YSZ)など)から形成することができ
る。あるいはまた、物品は、金属(例えば、アルミニウム、銅、マグネシウムなど)から
形成することができ、それは陽極酸化されてもされなくてもよい。物品はまた、セラミッ
クス複合材料(例えば、Al
2O
3−YAGセラミックス複合材料又はSiC−Si
3N
4セラミックス複合材料)とすることができる。物品はまた、酸化イットリウム(イット
リア又はY
2O
3としても知られる)含有固溶体を含むセラミックス複合材料とすること
ができる。例えば、物品は、化合物Y
4Al
2O
9(YAM)と固溶体Y
2−xZr
xO
3(Y
2O
3−ZrO
2固溶体)で構成される高機能材料(HPM)とすることができる
。純酸化イットリウムならびに酸化イットリウム含有固溶体は、ZrO
2、Al
2O
3、
SiO
2、B
2O
3、Er
2O
3、Gd
2O
3、Nd
2O
3、Nb
2O
5、CeO
2、S
m
2O
3、Yb
2O
3、又は他の酸化物のうちの1以上をドープしてもよいことに留意す
べきである。一実施形態では、物品は、セラミックス焼結に基づいて形成された可能性の
あるバルクAl
2O
3である。
【0032】
ブロック204では、提供された物品は、粗面化されない部分又は領域を覆うためにマ
スクされる。セラミックスコーティングで最終的にコーティングされない任意の領域は、
マスクされることが可能である。しかしながら、一実施形態では、ハードマスク(例えば
、金属マスク)が、その領域をマスクするために使用される。一実施形態では、物品は、
マスクされない。
【0033】
ブロック206では、物品は、ビーズブラスター(又は他のセラミックス粗面化装置)
によって粗面化される。一実施形態では、ビーズブラスターは、物品の表面をブラストす
るためにセラミックスビーズを使用する。セラミックスビーズは、約0.2〜2mmのビ
ーズサイズを有することができる。一実施形態では、セラミックスビーズは、約0.2〜
2mmのサイズ範囲を有する。ビーズブラスターは、約30〜90psiの空気圧と約5
0〜150mmの作動距離で物品をビーズブラストすることができ、本体へのブラスト角
は、約90度又は90度よりもわずかに小さくする必要がある。ビーズブラスターは、物
品の本体の露出部分(マスクで覆われていない部分)を粗面化することができる。
【0034】
一実施形態では、加工された物品は、セラミックス基板上で約140〜240μin、
金属基板上で120〜180μinのブラスト後粗さを有する。物品を最適な粗さに粗化
すると、セラミックスコーティングの物品への密着強度を向上させることができる。しか
しながら、一実施形態では、物品は、粗面化されない。
【0035】
ブロック208では、物品は洗浄される。物品は、1以上の湿式洗浄装置を使用して洗
浄される。各湿式洗浄装置は、種々の液体(例えば、脱イオン(DI)水及びアセトン)
を有する1以上の湿式浴を含むことができる。一実施形態では、第1の湿式洗浄装置は、
最大100%の周波数及び電力(例えば、約20kW)でDI水浴を超音波攪拌しながら
、DI水浴中で最大10分間、物品を洗浄する洗浄レシピを実行する。一実施形態では、
第2の湿式洗浄装置は、最大100%の周波数及び電力(例えば、約20kW)でアセト
ン浴を超音波攪拌しながら、アセトン浴中で最大10分間、物品を洗浄する洗浄レシピを
実行する。物品は、その後、同じ又は異なる処理パラメータを用いて、第1の湿式洗浄装
置で2度目の洗浄をすることができる。これは、アセトン浴に起因する任意の残留物を除
去することができ、更に粒子を除去することができる。一実施形態では、物品は、両方の
湿式洗浄装置によって複数回洗浄される。例えば、物品は、DI浴中で洗浄され、次にア
セトン浴中で、次にDI浴中で、次にアセトン浴中で、次にDI浴中で洗浄することがで
きる。
【0036】
ブロック212では、物品は、セラミックスコーティングでコーティングされる。物品
のプラズマ環境に曝される側をコーティングすることができる。一実施形態では、プラズ
マ溶射装置が、物品上にセラミックスコーティングをプラズマ溶射するために使用される
。一実施形態では、コーティングされるべきではない物品の部分は、コーティングする前
にマスクされる。
【0037】
混合セラミックス原料粉末が、物品上に溶射される。物品は、プラズマ溶射中、約50
〜70℃の温度に加熱することができる。一実施形態では、約35〜36.5ワット(W
)のプラズマ電力が、物品をプラズマ溶射するために使用されるが、他のプラズマ電力を
使用してもよい。プラズマ溶射プロセスは、複数の溶射パスで実行することができる。一
実施形態では、約35〜40回の溶射パスが、セラミックスコーティングを生成するため
に適用される。一例では、コーティングは、約5〜50ミルの厚さを有することができる
。
【0038】
一実施形態では、セラミックスコーティングは、溶射技術(例えば、プラズマ溶射技術
)を使用してセラミックス本体上に堆積された酸化イットリウム含有セラミックス又は他
のイットリウム含有酸化物である。溶射技術(例えば、プラズマ溶射技術)は、材料(例
えば、セラミックス粉末)を溶融し、物品上に溶融した材料を噴霧することができる。熱
溶射又はプラズマ溶射されたセラミックスコーティングは、約20マイクロメートル(μ
m)〜約数ミリメートル(mm)の厚さを有する。セラミックスコーティングは、バルク
セラミックス材料とは異なる構造特性を有することができる。
【0039】
一実施形態では、セラミックスコーティングは、一緒に混合されたY
2O
3、Al
2O
3、及びZrO
2の原料セラミックス粉末から製造される。これらの原料セラミックス粉
末は、一実施形態では、99.9%以上の純度を有することができる。原料セラミックス
粉末は、例えば、ボールミルを用いて混合することができる。原料セラミックス粉末は、
約0.5〜5μmの粉末サイズを有することができる。一実施形態では、原料セラミック
ス粉末は、約1μmの粉末サイズを有する。セラミックス粉末が混合された後、それらは
、約1200〜1600℃(例えば、一実施形態では1400℃)の焼成温度で、約5〜
10日間(例えば、一実施形態では3日間)の焼成時間で焼成することができる。混合粉
末用のスプレー乾燥された顆粒の粒径は、約3〜50μmのサイズ分布を有することがで
きる。一実施形態では、平均サイズは、約15μmである。別の一実施形態では、平均サ
イズは、約25μmである。
【0040】
一実施形態では、セラミックスコーティングは、約45モル%〜約100モル%の範囲
内のY
2O
3と、約0モル%〜約55モル%の範囲内のZrO
2と、約0モル%〜約10
モル%の範囲内のAl
2O
3から形成される。一実施形態では、セラミックスコーティン
グは、約30モル%〜約60モル%の範囲内のY
2O
3と、約0モル%〜約20モル%の
範囲内のZrO
2と、約30モル%〜約60モル%の範囲内のAl
2O
3から形成される
。
【0041】
例えば、セラミックスコーティングCC1は、約37.5モル%のY
2O
3と、約62
.5モル%のAl
2O
3から形成することができる。別の一例のセラミックスコーティン
グCC2は、約53モル%のY
2O
3と、約37モル%のAl
2O
3と、約10モル%の
ZrO
2から形成することができる。別の一例では、セラミックスコーティングCC3は
、約41モル%のY
2O
3と、約47モル%のAl
2O
3と、約12モル%のZrO
2か
ら形成することができる。更に別の一例では、セラミックスコーティングCC4は、約7
3.13モル%のY
2O
3と、約26.87モル%のZrO
2から形成することができる
。
【0042】
表1は、一実施形態に係るセラミックスコーティングCC1、CC2、及びCC3の特
性を示す。
【表1】
【0043】
表2は、一実施形態に係る、質量ppm内の不純物値を含むセラミックスコーティング
のCC1、CC2、CC3、CC4に対する純度データを示す。
【表2】
【0044】
セラミックスコーティングは、約2〜10%の空孔率(例えば、一実施形態では約5%
未満)、約3〜8ギガパスカル(GPa)の硬度(例えば、一実施形態では約4GPaよ
りも大きい)、及び約8〜20メガパスカル(MPa)の耐熱衝撃性(例えば、一実施形
態では約10メガパスカルよりも大きい)を有することができる。また、セラミックスコ
ーティングは、約4〜20MPaの接着強度(例えば、一実施形態では約14MPaより
も大きい)を有することができる。接着強度は、セラミックスコーティングが物品から剥
離するまで(例えば、メガパスカルで測定される)力をセラミックスコーティングに印加
することによって決定することができる。
【0045】
一実施形態では、ブロック212で、セラミックスコーティングは、トリミングされる
。一実施形態では、セラミックスコーティングの縁部はトリミングされ、そこでセラミッ
クスコーティングは物品と接合する。セラミックスコーティングは、界面でセラミックス
コーティングを面取りするために(例えば、アングルグラインダを使用して)ある角度で
研削することができる。トリミングは、物品の非粗面化部分から任意のセラミックスコー
ティングを除去することができる。これは、剥離を最小限に抑えることができる。
【0046】
一実施形態では、ブロック214で、セラミックスコーティングは、研削、ラッピング
及び/又は研磨される。研削/研磨は、セラミックスコーティングの厚さを減少させる、
及び/又はセラミックスコーティングの粗さを低減させることができる。(セラミックス
コーティングを含む)物品は、導体のエッチングを実行するために使用される(プラズマ
エッチングリアクタとしても知られている)プラズマエッチング装置用のチャンバ内のチ
ャンバ部品(例えば、蓋)として使用することができる。セラミックスコーティングされ
た物品の表面粗さを最小化することによって、露出される表面積を低減し、低減されたオ
ンウェハの金属汚染をもたらす。一実施形態では、セラミックスコーティングは、約8〜
10ミルの研磨後の厚さと、約6〜12μinの研磨後の粗さを有する。
【0047】
ブロック216では、コーティングされた物品は、洗浄される。物品は、1以上の湿式
洗浄装置を使用して洗浄することができる。一実施形態では、第1の湿式洗浄装置は、最
大100%の周波数と電力(例えば、20kW)でDI水浴を超音波攪拌しながら、DI
水浴中で最大10分間、物品を洗浄する洗浄レシピを実行する。一実施形態では、第2の
湿式洗浄装置は、最大100%の周波数と電力(例えば、20kW)でアセトン浴を超音
波攪拌しながら、アセトン浴中で最大10分間、物品を洗浄する洗浄レシピを実行する。
その後、物品は、第1の湿式洗浄装置で2度目の洗浄をしてもよい。
【0048】
洗浄後、物品は、粒子に対して試験することができる。粒子数を表す測定パラメータは
、テープ剥離試験の粒子数及び液体粒子数(LPC)である。テープ試験は、セラミック
スコーティングに接着テープを付着させ、テープを剥離し、テープに付着した粒子の数を
数えることによって実行することができる。LPCは、水浴(例えば、脱イオン(DI)
水浴)中に物品を配置し、水浴を超音波処理することによって決定することができる。そ
の後、溶液中の脱落粒子数は、例えば、レーザカウンタを用いて数えることができる。
【0049】
図3は、本発明の実施形態に係る、製造プロセスの異なる段階中の物品の側断面
図31
0〜350を示す。一実施形態では、側断面図は、製造プロセス200の異なる段階中の
物品の状態に対応する。
【0050】
側面
図310は、提供された物品の保護された部分の上に配置されたハードマスク35
3を示す。提供された物品は、金属本体(例えば、アルミニウム本体)又はセラミックス
本体(例えば、Al
2O
3本体)を有することができる。側面
図310は、方法200の
ブロック202の完了後の物品の状態を示す。ハードマスク353は、保護された部分が
ビーズブラスト中に粗面化されるのを防ぐことができる。
【0051】
側面
図320は、ビーズブラストが実行された後の物品352を示す。物品352は、
ビーズブラスト中に保護されなかった物品の部分に対応する粗面358を有する。物品3
52は、粗面化されなかった物品の部分に対応する平滑面357を更に有する。図示され
るように、ソフトマスク356は、物品352が粗面化された後、平滑面357上の物品
352上に配置される。ソフトマスク356は、ハードマスク353によって以前に保護
された物品352の同じ領域を覆うために使用することができる。側面
図320は、ブロ
ック212の完了後の物品の状態を示す。
【0052】
側面
図330は、物品352上の(例えば、本明細書に記載の実施形態のうちの1つに
係る)セラミックスコーティング360を示す。図示されるように、セラミックスコーテ
ィング360は、粗面362を有する。この粗面は、セラミックス物品が処理中に使用さ
れた場合に、粒子汚染の源となる可能性がある。また、導体のエッチングを実行するプラ
ズマエッチング装置内の蓋として物品を使用することができるならば、粗面362は、(
例えば、誘導結合に起因して)スパッタリングが発生する原因となる可能性がある。また
、セラミックスコーティングは、リップ363及び/又はソフトマスク352があった粗
いエッジ部を有する可能性がある。このリップ363は、セラミックスコーティング36
0が処理中に物品352から剥離する原因となる可能性がある。また、このリップは、粒
子汚染の源となる可能性がある。側面
図330は、ブロック215の完了後の物品の状態
を示す。
【0053】
側面
図340は、セラミックスコーティング360のエッジ部がトリミングされた後の
物品352上のセラミックスコーティング360を示す。側面
図340は、ブロック22
0の完了後の物品の状態を示す。図示されるように、セラミックスコーティング360は
、テーパのついた又は面取りされたエッジ部366を有する。
【0054】
側面
図350は、セラミックスコーティング360が研削及び研磨された後の物品35
2上のセラミックスコーティング360を示す。側面
図350は、ブロック222の完了
後の物品の状態を示す。図示されるように、セラミックスコーティング360の粗面36
2は平滑化され、セラミックスコーティング360の厚さは、低減されている。
【0055】
図4は、本発明の実施形態に係る、セラミックスコーティングを有する物品のサンプル
の顕微鏡写真を示す。顕微鏡写真402は、セラミックスコーティングCC1の表面を示
し、顕微鏡写真404は、セラミックスコーティングCC2の表面を示し、顕微鏡写真4
06は、セラミックスコーティングCC3の表面を示し、顕微鏡写真408は、セラミッ
クスコーティングCC4の表面を示す。顕微鏡写真410は、セラミックスコーティング
CC1の断面のサンプルを示し、顕微鏡写真412は、セラミックスコーティングCC2
の断面のサンプルを示し、顕微鏡写真414は、セラミックスコーティングCC3の断面
のサンプルを示し、顕微鏡写真415は、セラミックスコーティングCC4の断面のサン
プルを示す。
【0056】
図5は、本発明の実施形態に係る、セラミックスコーティングが使用される前と、浸食
が発生するようにセラミックスコーティングが使用された後の、様々な倍率レベルでの物
品上のセラミックスコーティングCC1の表面の追加的な顕微鏡写真502〜512を示
す。顕微鏡写真502は、物品が使用される前の1000倍の倍率でのセラミックスコー
ティングCC1を示す。顕微鏡写真504は、物品が使用される前の4000倍の倍率で
のセラミックスコーティングCC1を示す。顕微鏡写真506は、物品が使用される前の
10000倍の倍率でのセラミックスコーティングCC1を示す。
【0057】
顕微鏡写真508は、浸食が発生するように物品が使用された後における1000倍の
倍率でのセラミックスコーティングCC1を示す。顕微鏡写真510は、浸食が発生する
ように物品が使用された後における4000倍の倍率でのセラミックスコーティングCC
1を示す。顕微鏡写真512は、浸食が発生するように物品が使用された後における10
000倍の倍率でのセラミックスコーティングCC1を示す。
【0058】
図6は、本発明の実施形態に係る、セラミックスコーティングが使用される前と、浸食
が発生するようにセラミックスコーティングが使用された後の、様々な倍率レベルでの物
品上のセラミックスコーティングCC2の表面の追加的な顕微鏡写真602〜612を示
す。顕微鏡写真602は、物品が使用される前の1000倍の倍率でのセラミックスコー
ティングCC2を示す。顕微鏡写真604は、物品が使用される前の4000倍の倍率で
のセラミックスコーティングCC2を示す。顕微鏡写真606は、物品が使用される前の
10000倍の倍率でのセラミックスコーティングCC2を示す。
【0059】
顕微鏡写真608は、浸食が発生するように物品が使用された後における1000倍の
倍率でのセラミックスコーティングCC2を示す。顕微鏡写真610は、浸食が発生する
ように物品が使用された後における4000倍の倍率でのセラミックスコーティングCC
2を示す。顕微鏡写真612は、浸食が発生するように物品が使用された後における10
000倍の倍率でのセラミックスコーティングCC2を示す。
【0060】
図7は、本発明の実施形態に係る、セラミックスコーティングが使用される前と、浸食
が発生するようにセラミックスコーティングが使用された後の、様々な倍率レベルでの物
品上のセラミックスコーティングCC3の表面の追加の顕微鏡写真702〜712を示す
。顕微鏡写真702は、物品が使用される前における1000倍の倍率でのセラミックス
コーティングCC3を示す。顕微鏡写真704は、物品が使用される前における4000
倍の倍率でのセラミックスコーティングCC3を示す。顕微鏡写真706は、物品が使用
される前における10000倍の倍率でのセラミックスコーティングCC3を示す。
【0061】
顕微鏡写真708は、浸食が発生するように物品が使用された後における1000倍の
倍率でのセラミックスコーティングCC3を示す。顕微鏡写真710は、浸食が発生する
ように物品が使用された後における4000倍の倍率でのセラミックスコーティングCC
3を示す。顕微鏡写真712は、浸食が発生するように物品が使用された後における10
000倍の倍率でのセラミックスコーティングCC3を示す。
【0062】
図8は、CC1、CC2、CC3、及び対照群に対する正規化された浸食速度を示し、
ここでCC2は、最低の正規化された浸食速度を示している。
【0063】
表3は、セラミックスコーティングCC1、CC2、CC3と、対照群のセラミックス
コーティングに対する浸食速度の比較を示し、概してCC2は、より低い浸食速度を示す
。
【表3】
【0064】
本明細書に記載のセラミックスコーティングは、他のセラミックスコーティングと比較
して、H
2化学下での高い耐食性、低い空孔率、耐食性における大幅な改善(例えば、H
Clバブル時間)、コーティングの表面粗さの減少、及び絶縁破壊電圧の上昇を提供する
。
【0065】
前述の説明は、本発明のいくつかの実施形態の良好な理解を提供するために、具体的な
システム、構成要素、方法等の例などの多数の具体的な詳細を説明している。しかしなが
ら、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施するこ
とができることが当業者には明らかであろう。他の例では、周知の構成要素又は方法は、
本発明を不必要に不明瞭にしないために、詳細には説明しないか、単純なブロック図形式
で提示されている。したがって、説明された具体的な詳細は、単なる例示である。特定の
実装では、これらの例示的な詳細とは異なる場合があるが、依然として本発明の範囲内に
あることが理解される。
【0066】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」又は「一実施形態」への参照は、その実施形
態に関連して記載された特定の構成、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含ま
れることを意味している。したがって、本明細書を通じて様々な場所における「1つの実
施形態では」又は「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を
指すものではない。また、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく包含的な「又は」
を意味することを意図している。
【0067】
本明細書内の本方法の操作が、特定の順序で図示され説明されているが、特定の操作を
逆の順序で行うように、又は特定の操作を少なくとも部分的に他の操作と同時に実行する
ように、各方法の操作の順序を変更することができる。別の一実施形態では、異なる操作
の命令又は副操作は、断続的及び/又は交互の方法とすることができる。
【0068】
なお、上記の説明は例示であり、限定的ではないことを意図していることが理解される
べきである。上記の説明を読み理解することにより、多くの他の実施形態が当業者にとっ
て明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、その
ような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲と共に参照して決定されるべきであ
る。