(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シリコン含有膜のエッチングとは別で行われる他の工程の後の、当該シリコン含有膜の状態に基づいて、前記エッチングガスの流速を制御することを特徴とする、請求項1に記載のシリコン含有膜のエッチング方法。
前記エッチングガスの流速の制御は、前記エッチングガスの流量又はエッチングが行われる処理空間の圧力を制御して行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコン含有膜のエッチング方法。
前記基板の上方から前記前記シリコン含有膜に対して前記エッチングガスを供給すると共に、前記基板の側方且つ下方から前記エッチングガスを排出することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシリコン含有膜のエッチング方法。
請求項1〜10のいずれか一項に記載のエッチング方法をエッチング装置によって実行させるように、当該エッチング装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エッチングの前の工程を行った後のシリコン含有膜の状態によっては、当該シリコン含有膜をエッチングする際に、エッチング量の面内分布の制御が必要な場合がある。例えば前の工程を行った後のシリコン含有膜の膜厚に偏りがある場合、例えばシリコン含有膜の中心部のエッチング量を、外周部のエッチング量に比べて増減させるなど、エッチング量の面内分布を制御することで、エッチングの面内均一性の向上が図れる。
【0006】
また、エッチングの後の工程を行った後にも同様に、シリコン含有膜の状態に応じて、エッチング量の面内分布の制御が必要な場合がある。特に、近年の半導体デバイスの微細化に伴い、パターンも微細化しており、このようなエッチング量の制御は有用である。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたエッチング方法では、エッチングと別工程(前の工程や後の工程)を行った後の、シリコン含有膜の状態は考慮されていない。したがって、従来のシリコン含有膜のエッチング方法には改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基板上のシリコン含有膜をエッチングする際に、当該シリコン含有膜のエッチング量の面内分布を適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明者が鋭意検討した結果、シリコン含有膜をエッチングするに際し、ClF
3の分子量未満のフッ素含有ガスを含むエッチングガスを用い、当該エッチングガスの流速を制御してシリコン含有膜に供給すると、シリコン含有膜の中心部と外周部のエッチング量を制御できることが分かった。すなわち、シリコン含有膜のエッチングガスとしてClF
3ガスを用いた場合、シリコン含有膜のエッチング量の面内分布の制御はできなかった。なお、上述したフッ素含有ガスを含むエッチングガスの流速を制御して、エッチング量の面内分布を制御できることは、後述の実施形態において詳細に説明する。
【0010】
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、本発明は、基板上のシリコン含有膜をエッチングする方法であって、
前記基板に対向する面が平面形状を有し、且つ、前記基板の径より大きい径を有するシャワーヘッドから前記シリコン含有膜に対して、ClF
3の分子量未満のフッ素含有ガスを含むエッチングガスを
、前記シリコン含有膜の中心部と外周部に同一流量で、且つ、当該シリコン含有膜の表面全面に均一に供給し、前記エッチングガスの流速を制御することで、前記シリコン含有膜の中心部と外周部のエッチング量を制御することを特徴としている。
別な観点による本発明は、基板上のシリコン含有膜をエッチングする方法であって、前記シリコン含有膜に対して、ClF3の分子量未満のフッ素含有ガスを含むエッチングガスを供給し、前記シリコン含有膜のエッチングとは別で行われ、且つ、エッチングの後に行われる他の工程の後の、前記シリコン含有膜の状態に基づいて、前記エッチングガスの流速をフィードバック制御することで、前記シリコン含有膜の中心部と外周部のエッチング量を制御することを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、上述したフッ素含有ガスを含むエッチングガスの流速を制御してシリコン含有膜に供給することで、シリコン含有膜のエッチング量を制御することができる。その結果、例えばエッチングと別工程(前の工程や後の工程)を行った後の、シリコン含有膜の状態に基づいて、シリコン含有膜のエッチング量を面内で適切に制御することができる。そして、エッチングの面内均一性を向上させることも可能となる。
【0012】
エッチング条件設定用の基板上の前記シリコン含有膜に対して、前記エッチングガスを供給して当該シリコン含有膜をエッチングし、その後、エッチングされた前記シリコン含有膜のエッチング量の面内分布を測定し、その後、測定された前記エッチング量の面内分布に基づいて、前記エッチングガスの流速を設定してもよい。
【0013】
前記シリコン含有膜のエッチングとは別で行われる他の工程の後の、当該シリコン含有膜の状態に基づいて、前記エッチングガスの流速を制御してもよい。
【0014】
前記他の工程は、エッチングの前に行われる工程であって、前記シリコン含有膜の状態に基づいて、前記エッチングガスの流速をフィードフォワード制御してもよい。
【0016】
前記エッチングガスの流速の制御は、前記エッチングガスの流量又はエッチングが行われる処理空間の圧力を制御して行ってもよい。
【0017】
前記フッ素含有ガスの分子量は38以下であってもよい。
【0018】
前前記シリコン含有膜はシリコンゲルマニウム膜であり、前記エッチングガスは、前記シリコンゲルマニウム膜をエッチングするF
2ガスを含んでいてもよい。
【0019】
前記シリコン含有膜はシリコン膜であり、前記エッチングガスは、前記シリコン膜をエッチングするF
2ガスと塩基性ガスを含んでいてもよい。
【0020】
前記基板の上方から前記前記シリコン含有膜に対して前記エッチングガスを供給すると共に、前記基板の側方且つ下方から前記エッチングガスを排出してもよい。
【0021】
別な観点による本発明によれば、前記エッチング方法をエッチング装置によって実行させるように、当該エッチング装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0022】
別な観点による本発明は、基板上のシリコン含有膜をエッチングする装置であって、前記基板を収容するチャンバと、前記シリコン含有膜に対して、ClF
3の分子量未満のフッ素含有ガスを含むエッチングガスを供給する給気部と、前記チャンバ内の前記エッチングガスを排出する排気部と、前記給気部と前記排気部を制御する制御部と、を有し、
前記給気部は、前記基板に対向する面が平面形状を有し、且つ、前記基板の径より大きい径を有するシャワーヘッドを有し、前記シャワーヘッドは、前記シリコン含有膜の中心部と外周部に同一流量で、且つ、当該シリコン含有膜の表面全面に均一に前記エッチングガスを供給し、前記制御部は、前記エッチングガスの流速を制御して、前記シリコン含有膜の中心部と外周部のエッチング量を制御することを特徴としている。
別な観点による本発明は、基板上のシリコン含有膜をエッチングする装置であって、前記基板を収容するチャンバと、前記シリコン含有膜に対して、ClF3の分子量未満のフッ素含有ガスを含むエッチングガスを供給する給気部と、前記チャンバ内の前記エッチングガスを排出する排気部と、前記給気部と前記排気部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記シリコン含有膜のエッチングとは別で行われ、且つ、エッチングの後に行われる他の工程の後の、前記シリコン含有膜の状態に基づいて、前記エッチングガスの流速をフィードバック制御して、前記シリコン含有膜の中心部と外周部のエッチング量を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、基板上のシリコン含有膜をエッチングする際に、ClF
3の分子量未満のフッ素含有ガスを含むエッチングガスの流速を制御することで、シリコン含有膜のエッチング量の面内分布を適切に制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
<エッチング装置>
先ず、本発明の実施形態に係るエッチング装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るエッチング装置1の構成の概略を示す縦断面図である。本実施形態においては、エッチング装置1において、基板としてのウェハW上に形成された、シリコン含有膜としてのシリコンゲルマニウム(SiGe)膜をエッチングする場合について説明する。また、エッチング装置1で行われるエッチングは、プラズマを用いないガスエッチングである。
【0027】
図1に示すようにエッチング装置1は、ウェハWを収容するチャンバ10と、チャンバ10内でウェハWを載置する載置台11と、載置台11の上方から載置台11に向けて処理ガスを供給する給気部12と、チャンバ10内の処理ガスを排出する排気部13と、を有している。
【0028】
チャンバ10は、チャンバ本体20と蓋体21を有している。チャンバ本体20の上部は開口し、この開口が蓋体21で閉止される。そして、チャンバ本体20の側壁上面と蓋体21の下面とは、シール材(図示せず)により密閉されて、チャンバ10内の気密性が確保されている。そして、チャンバ10内に気密なエッチング処理空間が形成される。なお、チャンバ本体20の側壁には、ウェハWを搬入出するための搬入出口(図示せず)が設けられ、この搬入出口はゲートバルブ(図示せず)により開閉自在になっている。
【0029】
載置台11は、ウェハWを載置する上部台30と、チャンバ本体20の底面に固定され、上部台30を支持する下部台31とを有している。上部台30の内部には、ウェハWの温度を調節する温度調節器32が設けられている。温度調整器23は、例えば水などの温度調節媒体を循環させることにより載置台11の温度を調整し、載置台11上のウェハWの温度を所定温度に制御する。
【0030】
給気部12は、載置台11に載置されたウェハWに処理ガスを供給するシャワーヘッド40を有している。シャワーヘッド40は、チャンバ10の蓋体21の下面において、載置台11に対向して設けられている。シャワーヘッド40の下面(シャワープレート)には、処理ガスを供給する供給口41が複数設けられている。なお、シャワーヘッド40は、載置台11に載置されたウェハWの表面全体に均一に処理ガスを供給するため、少なくともウェハWの径よりも大きい径を有していることが好ましい。
【0031】
また、給気部12は、F
2ガスを供給するF
2ガス供給源50と、NH
3ガスを供給するNH
3ガス供給源51と、HFガスを供給するHFガス供給源52と、Arガスを供給するArガス供給源53とを有している。F
2ガス供給源50にはF
2ガス供給配管54が接続され、NH
3ガス供給源51にはNH
3ガス供給配管55が接続され、HFガス供給源52にはHFガス供給配管56が接続され、Arガス供給源53にはArガス供給配管57が接続されている。これら供給配管54〜57は集合配管58に接続され、集合配管58は上述したシャワーヘッド40に接続されている。そして、F
2ガス、NH
3ガス、HFガス、Arガスはそれぞれ、供給配管54〜57及び集合配管58を経てシャワーヘッド40からチャンバ10へ供給されるようになっている。
【0032】
F
2ガス供給配管54、NH
3ガス供給配管55、HFガス供給配管56及びArガス供給配管57には、それぞれ当該供給配管54〜57の開閉動作、及び処理ガスの流量を調節する流量調節器59が設けられている。流量調節器59は、例えば開閉弁およびマスフローコントローラにより構成されている。
【0033】
この給気部12から供給される処理ガスのうち、F
2ガスはメインのエッチングに用いられるエッチングガスである。また、NH
3ガスとHFガスは自然酸化膜除去やエッチング処理後の膜の終端処理に用いられる。また、Arガスは、希釈ガスやパージガスとして用いられる。Arガスの代わりにN
2ガス等の他の不活性ガスを用いてもよく、2種以上の不活性ガスを用いてもよい。
【0034】
なお、本実施形態の給気部12では、シャワーヘッド40からウェハWに処理ガスを供給するようにしたが、処理ガスの供給方法はこれに限定されない。例えばチャンバ10の蓋体21の中央部にガス供給ノズル(図示せず)を設け、当該ガス供給ノズルから処理ガスを供給するようにしてもよい。
【0035】
排気部13は、載置台11の外側方において、チャンバ10のチャンバ本体20の底部に設けられた排気管60を有している。排気管60には、チャンバ10内を真空引きして排気する排気機構61が接続されている。また、排気管60には、自動圧力制御弁(APC)62が設けられている。これら排気機構61と自動圧力制御弁62により、チャンバ10内の圧力が制御される。
【0036】
エッチング装置1には、制御部70が設けられている。制御部70は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、エッチング装置1におけるエッチング処理を制御するプログラムが格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されたものであって、その記憶媒体から制御部70にインストールされたものであってもよい。
【0037】
<エッチング方法>
次に、以上のように構成されたエッチング装置1におけるエッチング方法について説明する。上述したように本実施形態のエッチング装置1では、ウェハW上に形成されたSiGe膜をエッチングする。
【0038】
先ず、ゲートバルブを開放した状態で、チャンバ10内にウェハWを搬入し、載置台11に載置する。載置台11は温度調節器32で温調されており、載置台11に載置されたウェハWの温度が所定温度に制御される。また、ウェハWが載置台11に載置されると、ゲートバルブを閉じてチャンバ10内を密閉状態にし、当該チャンバ10内にエッチング処理空間を形成する。
【0039】
その後、チャンバ10内の圧力を調節しつつ、NH
3ガス及びHFガスをチャンバ10内へ供給し、ウェハWに形成された自然酸化膜を除去する。このとき、NH
3ガス及びHFガスの他、希釈ガスとしてArガスを供給してもよい。また、NH
3ガスを先にチャンバ10内に供給して圧力を安定させた後にHFガスを導入することが好ましい。
【0040】
その後、チャンバ10内にパージガスとしてArガスを供給しつつ真空排気してチャンバ10内のパージを行う。
【0041】
その後、チャンバ10内にエッチングガスとしてF
2ガスを供給する。このとき、希釈ガスとしてArガスを加えてもよい。そして、エッチングガスによって、ウェハW上のSiGe膜がエッチングされる。
【0042】
<エッチング制御>
エッチング装置1では、以上のようにウェハW上のSiGe膜がエッチングされる。次に、このSiGe膜のエッチングに際し、エッチング量の面内分布の制御方法について説明する。
【0043】
本発明者は、様々なエッチング条件で検証を行った結果、SiGe膜をエッチングするに際し、F
2ガスを含むエッチングガスの流速を制御すると、SiGe膜の中心部と外周部のエッチング量を制御できるという知見を得るに至った。ここでいうエッチングガスの流速は、チャンバ10内のSiGe膜に供給されるエッチングガスの流速である。そして、エッチングガスの流速の制御は、チャンバ10内のSiGe膜に供給されるエッチングガスの流量、又はチャンバ10内の圧力を制御することで行われる。以下、検証結果に基づいて、上記知見について説明する。
【0044】
SiGe膜のエッチングガスには通常、F
2ガス又はClF
3ガスを用いることが多い。そこで、本発明者は、これらF
2ガス又はClF
3ガスを用いたそれぞれの場合に、エッチングガスの流量を変化させ、エッチング量の面内分布の比較を行った。エッチングガスの流量の制御は、例えば流量調節器59によって行われる。また、エッチングガスには希釈ガスとしてArガスが含まれており、本検証においてはArガスの流量を変化させて、エッチングガス全体の流量を変化させた。なお、F
2ガス又はClF
3ガスを用いたそれぞれの検証において、チャンバ10内の圧力は150〜250mTで一定である。
【0045】
本検証結果を
図2及び
図3に示す。
図2は、ClF
3ガスを用いた場合の検証結果であり、
図3は、F
2ガスを用いた場合の検証結果を示している。
【0046】
図2(a)〜(c)に示すように、ClF
3ガスの流量を1〜50sccmで一定とし、Arガスの流量を150〜250sccm、400〜600sccm、700〜1000sccmに変化させた。かかる場合、エッチングガスの流量をいずれに変化させても、中心部のエッチング量が外周部のエッチング量に比べて大きくなり、エッチング量の面内分布の傾向に変化はなかった。換言すれば、エッチングガスにClF
3ガスを用いた場合には、エッチング量の面内分布を制御することができなかった。
【0047】
一方、
図3(a)〜(c)に示すように、F
2ガスの流量を50〜100sccmで一定とし、Arガスの流量を50〜100sccm、200〜300sccm、300〜500sccmに変化させた。かかる場合、
図3(a)に示すようにエッチングガスの流量が少ない場合、外周部のエッチング量が中心部のエッチング量よりも大きかった。一方、
図3(c)に示すようにエッチングガスの流量が多い場合、中心部のエッチング量が外周部のエッチング量よりも大きかった。なお、
図3(b)に示すようにエッチングガスの流量が中間の場合、エッチング量を面内でほぼ均一にすることもできた。このように、エッチングガスにF
2ガスを用いた場合、エッチングガスの流量を制御することで、エッチング量の面内分布を制御することができた。そして、エッチングの面内均一性を向上させることも可能となる。
【0048】
なお、上記
図3に示した検証においては、エッチングガスに希釈ガスであるArガスを混合していたが、
図4に示すようにエッチングガスとしてF
2ガス単独で用いた場合でも、同様の傾向が得られた。
図4に示す検証においては(a)〜(d)に示すように、F
2ガスの流量を10〜50sccm、50〜100sccm、100〜200sccm、200〜300sccmに変化させた。なお、チャンバ10内の圧力は50〜200mTで一定である。
【0049】
図4(a)、(b)に示すようにエッチングガスの流量が少ない場合、外周部のエッチング量が中心部のエッチング量よりも大きかった。一方、
図4(d)に示すようにエッチングガスの流量が多い場合、中心部のエッチング量が外周部のエッチング量よりも大きかった。なお、
図4(c)に示すようにエッチングガスの流量が中間の場合、エッチング量を面内でほぼ均一にすることもできた。このようにエッチングガスとしてF
2ガス単独で用いた場合でも、当該F
2ガスの流量を制御することで、エッチング量の面内分布を制御することができた。
【0050】
また、上記
図3に示した検証においては、エッチングガスの流量を制御してエッチング量の面内分布を制御したが、
図5に示すようにチャンバ10内の圧力を制御してもエッチング量の面内分布を制御することができた。
図5に示す検証においては、例えば排気部13の排気機構61と自動圧力制御弁62により、チャンバ10内の圧力が制御される。そして、
図5(a)〜(c)に示すように、チャンバ10内の圧力を50〜100mT、150〜250mT、300〜500mTに変化させた。なお、エッチングガスであるF
2ガスの流量は50〜100sccmで一定であり、Arガスの流量は200〜400sccmで一定である。
【0051】
図5(a)に示すようにチャンバ10内の圧力が小さい場合、中心部のエッチング量が外周部のエッチング量よりも大きかった。一方、
図5(c)に示すようにチャンバ10内の圧力が大きい場合、外周部のエッチング量が中心部のエッチング量よりも大きかった。なお、
図5(b)に示すようにチャンバ10内の圧力が中間の場合、エッチング量を面内でほぼ均一にすることもできた。このように、エッチングガスにF
2ガスを用いた場合、チャンバ10内の圧力を制御することで、エッチング量の面内分布を制御することができた。
【0052】
以上のとおり、
図2〜
図5に示した検証結果によれば、SiGe膜をエッチングするに際し、F
2ガスを含むエッチングガスの流速(エッチングガスの流量又はチャンバ10内の圧力)を制御すると、SiGe膜の中心部と外周部のエッチング量を制御できる。
【0053】
<エッチング制御のメカニズム>
次に、以上のように、F
2ガスを含むエッチングガスの流速を制御することで、SiGe膜の中心部と外周部のエッチング量を制御できることのメカニズムについて説明する。
図6は、エッチングガスとしてF
2ガスを用いた場合のエッチング状態を示す説明図である。
【0054】
図6(a)は、エッチングガスの流速が低速の場合であり、エッチングガスの流量が少ない、及び/又は、チャンバ10内の圧力が大きい場合である。かかる場合、エッチングガスはその流速が遅いため、排気部13の方に引っ張られる傾向がある。このため、F
2ガスはSiGe膜の外周部(図中の点線箇所)に供給されやすくなるが、中心部には供給されにくくなる。その結果、SiGe膜の外周部のエッチング量が中心部のエッチング量よりも大きくなる。
【0055】
一方、
図6(c)は、エッチングガスの流速が高速の場合であり、エッチングガスの流量が多い、及び/又は、チャンバ10内の圧力が小さい場合である。かかる場合、エッチングガスはその流速が速いため、排気部13に排気される前に、SiGe膜に供給される傾向がある。このため、F
2ガスはSiGe膜の中心部(図中の点線箇所)に供給されやすくなるが、外周部には供給されにくくなる。その結果、SiGe膜の中心部のエッチング量が外周部のエッチング量よりも大きくなる。
【0056】
なお、
図6(b)は、エッチングガスの流速が中速の場合である。かかる場合、エッチングガスはSiGe膜に対し、ほぼ面内均一に供給される。その結果、SiGe膜のエッチング量を中心部と外周部でほぼ均一にすることができる。
【0057】
以上のように、エッチングガスの流速の高低によって、SiGe膜の中心部と外周部のエッチング量が変化するのは、当該エッチングガスに含まれるF
2の分子量が38と小さいためである。すなわち、後述するようにF
2は、その分子量が小さく、インキュベーション時間も長く、また反応性も適度であるため、エッチングガスの流速に応じて、エッチング量の面内分布が変化する。
【0058】
これに対して、ClF
3のように分子量が92.45と大きい場合、エッチングガスの流速に関わらず、SiGe膜の中心部に供給されやすくなる。このため、ClF
3ガスを含むエッチングガスでは、中心部のエッチング量が外周部のエッチング量に比べて大きくなり、エッチング量の面内分布を制御することができない。
【0059】
また、
図7に示すように、ClF
3はF
2に比べてインキュベーション時間が短い。インキュベーション時間は、エッチングガスが供給されてからエッチングが始まるまでの時間である。
図7は、F
2とClF
3のインキュベーション時間の違いを示すグラフであって、横軸は分子量であり、縦軸はインキュベーション時間である。F
2とClF
3を比較すると、分子量の大きいClF
3の方が分子量の小さいF
2に比べて、インキュベーション時間が短い。しかも、この傾向は分圧に依存せず、高分圧であっても低分圧であっても同じ傾向になる。このため、ClF
3ガスを含むエッチングガスでは、エッチングガスの流速を変化させても、ClF
3がSiGeとすぐに反応し、エッチング量の面内分布を制御することが難しい。
【0060】
さらに、
図8に示すように、ClF
3はF
2に比べて反応性が高い。
図8は、F
2とClF
3の反応性の違いを示すグラフであって、横軸はエッチング時間であり、縦軸はエッチング量である。F
2とClF
3を比較すると、ClF
3の方がF
2に比べてグラフの傾きが大きく、すなわち反応が早い。このため、ClF
3ガスを含むエッチングガスでは、エッチングガスの流速を変化させても、ClF
3がSiGeと反応しやすく、エッチング量の面内分布を制御することが難しい。
【0061】
以上のとおり、ClF
3はF
2に比べて分子量が大きく、この分子量の違いに伴いインキュベーション時間も短い。しかも、ClF
3はF
2に比べて反応性が高い。したがって、ClF
3ガスを含むエッチングガスでは、エッチング量の面内分布を制御することができない。
【0062】
換言すれば、F
2はClF
3に比べて分子量が小さく、この分子量の違いに伴いインキュベーション時間も長い。また、反応性も適度である。このため、F
2ガスを含むエッチングガスを用いた場合、上記
図6に示したように、エッチング量の面内分布を制御することができる。
【0063】
さらに、本発明者が検討したところ、エッチングガスが、ClF
3の分子量未満のフッ素系ガスを含んでいれば、インキュベーション時間が長くなり、また反応性も適度になることも見出した。このため、エッチング量の面内分布に、上記
図6に示した傾向と同様の傾向を得ることができる。したがって、ClF
3の分子量未満のフッ素系ガスを含むエッチングガスの流速を制御することで、SiGe膜のエッチング量の面内分布を制御することが可能となる。
【0064】
<エッチング制御の適用例>
次に、以上のエッチング制御の適用例について説明する。適用例としては、エッチングの条件設定に適用した場合(適用例1)、エッチングの前の工程を行った後のシリコン含有膜の状態に基づくフィードフォワード制御に適用した場合(適用例2)、エッチングの後の工程を行った後のシリコン含有膜の状態に基づくフィードバック制御に適用した場合(適用例3)、エッチング直後のシリコン含有膜の状態に基づくフィードバック制御に適用した場合(適用例4)について説明する。
【0065】
(適用例1)
適用例1のエッチング条件設定について説明する。本適用例1では、先ず、エッチング条件設定用のウェハWcに対し、F
2ガスを含むエッチングガスを供給してSiGe膜をエッチングする。このウェハWcは、インラインで製造される製品用のウェハWではなく、エッチングの条件設定をするためだけに用いられるウェハである。その後、エッチングされたSiGe膜のエッチング量の面内分布を測定する。このエッチング量の測定には、公知の任意の方法を用いることができる。その後、測定結果に基づいて、エッチング後のSiGe膜が面内で所望の寸法になるように、SiGe膜のエッチング量が面内で設定され、これに基づいて、エッチングガスの流速が設定される。例えばSiGe膜の中心部のエッチング量を外周部のエッチング量より大きくしたい場合、エッチングガスの流速が速くなるように、エッチングガスの流量とチャンバ10内の圧力を設定する。そして、この設定された条件で、製品用のウェハWに対してエッチングが行われる。
【0066】
(適用例2)
適用例2のフィードフォワード制御について説明する。本適用例2では、インラインで製造されるウェハWに対し、エッチングの前の工程を行う。その後、エッチング装置1に搬入される直前において、ウェハW上に形成されたSiGe膜の状態、例えばSiGe膜の膜厚を測定する。この膜厚の測定には、公知の任意の方法を用いることができる。その後、測定結果に基づいて、エッチングの流速を補正する。例えば測定結果が、SiGe膜の中心部の膜厚が外周部の膜厚より大きい場合、エッチング工程では、中心部のエッチング量を外周部のエッチング量よりも大きく設定する。かかる場合、エッチングガスの流速が速くなるように、エッチングガスの流量とチャンバ10内の圧力を設定する。一方、例えば測定結果が、SiGe膜の外周部の膜厚が中心部の膜厚より小さい場合、エッチング工程では、外周部のエッチング量を中心部のエッチング量よりも大きく設定する。かかる場合、エッチングガスの流速が遅くなるように、エッチングガスの流量とチャンバ10内の圧力を設定する。そして、この補正された設定された条件で、当該ウェハWに対してエッチングが行われる。
【0067】
(適用例3)
適用例3のフィードバック制御について説明する。本適用例3では、インラインで製造されるウェハWに対し、エッチングの後の工程を行った後、ウェハW上に形成されたSiGe膜の状態、例えばSiGe膜の膜厚を測定する。その後、測定結果に基づいて、エッチングの流速を補正する。例えば測定結果が、SiGe膜の中心部の膜厚が外周部の膜厚より大きい場合、エッチング工程では、中心部のエッチング量を外周部のエッチング量よりも大きく設定する。かかる場合、エッチングガスの流速が速くなるように、エッチングガスの流量とチャンバ10内の圧力を設定する。一方、例えば測定結果が、SiGe膜の外周部の膜厚が中心部の膜厚より小さい場合、エッチング工程では、外周部のエッチング量を中心部のエッチング量よりも大きく設定する。かかる場合、エッチングガスの流速が遅くなるように、エッチングガスの流量とチャンバ10内の圧力を設定する。そして、この補正された設定された条件で、次のウェハWに対してエッチングが行われる。
【0068】
(適用例4)
適用例4のフィードバック制御について説明する。本適用例4では、インラインで製造されるウェハWに対し、エッチング直後において、ウェハW上に形成されたSiGe膜の状態、例えばSiGe膜の膜厚を測定する。その後、測定結果に基づいて、エッチングの流速を補正する。例えばSiGe膜の中心部のエッチング量を外周部のエッチング量より大きくしたい場合、エッチングガスの流速が速くなるように、エッチングガスの流量とチャンバ10内の圧力を設定する。一方、例えばSiGe膜の外周部のエッチング量を中心部のエッチング量より大きくしたい場合、エッチングガスの流速が遅くなるように、エッチングガスの流量とチャンバ10内の圧力を設定する。そして、この補正された設定された条件で、次のウェハWに対してエッチングが行われる。
【0069】
<他の実施形態>
以上の実施形態では、SiGe膜をエッチングする際のエッチング制御について説明したが、本発明のエッチング制御は、他のシリコン含有膜にも適用できる。
【0070】
例えばシリコン(Si)膜をエッチングする場合、エッチングガスには、例えばF
2ガスとNH
3ガスの混合ガスが用いられる。なお、F
2ガスに混合されるガスは、NH
3ガスに限定されず、塩基性ガスであればよい。
【0071】
そして、上記実施形態と同様に、F
2ガスとNH
3ガスを含むエッチングガスの流速を制御することで、Si膜のエッチング量の面内分布を制御することができる。すなわち、エッチングガスの流速を高速にすることで、Si膜の中心部のエッチング量を外周部のエッチング量よりも大きくすることができる。また、エッチングガスの流速を低速にすることで、Si膜の外周部のエッチング量を中心部のエッチング量よりも大きくすることができる。なお、このSi膜のエッチング制御のメカニズムは、上記実施形態のSiGe膜のエッチング制御のメカニズムと同様であるので詳細な説明を省略する。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。