(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記原料ガス供給部及び前記クリーニングガス供給部は、前記回転テーブルの半径方向に沿って延びた直線的な平面形状を有するとともに、略平行に並んで、前記原料ガス吸着領域内に設けられている請求項6に記載の成膜方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0011】
[成膜装置]
まず、本発明の実施形態に係る成膜装置について説明する。
図1から
図3までを参照すると、成膜装置は、ほぼ円形の平面形状を有する扁平な真空容器1と、真空容器1内に設けられ、真空容器1の中心に回転中心を有する回転テーブル2と、を備えている。真空容器1は、内部に収容したウェハの表面上に成膜処理を行うための処理室である。真空容器1は、有底の円筒形状を有する容器本体12と、容器本体12の上面に対して、例えばOリングなどのシール部材13(
図1)を介して気密に着脱可能に配置される天板11とを有している。
【0012】
回転テーブル2は、中心部にて円筒形状のコア部21に固定され、このコア部21は、鉛直方向に伸びる回転軸22の上端に固定されている。回転軸22は真空容器1の底部14を貫通し、下端が回転軸22(
図1)を鉛直軸回りに回転させる駆動部23に取り付けられている。回転軸22及び駆動部23は、上面が開口した筒状のケース体20内に収納されている。ケース体20はその上面に設けられたフランジ部分が真空容器1の底部14の下面に気密に取り付けられており、ケース体20の内部雰囲気と外部雰囲気との気密状態が維持されている。
【0013】
回転テーブル2の表面部には、
図2及び
図3に示すように回転方向(周方向)に沿って複数(図示の例では5枚)の基板である半導体ウェハ(以下「ウェハ」という)Wを載置するための円形状の凹部24が設けられている。なお、
図3には便宜上1個の凹部24だけにウェハWを示す。この凹部24は、ウェハWの直径よりも僅かに例えば4mm大きい内径と、ウェハWの厚さにほぼ等しい深さとを有している。したがって、ウェハWが凹部24に収容されると、ウェハWの表面と回転テーブル2の表面(ウェハWが載置されない領域)とが同じ高さになる。凹部24の底面には、ウェハWの裏面を支えてウェハWを昇降させるための例えば3本の昇降ピンが貫通する貫通孔(いずれも図示せず)が形成されている。
【0014】
図2及び
図3は、真空容器1内の構造を説明するための図であり、説明の便宜上、天板11の図示を省略している。
図2及び
図3に示すように、回転テーブル2の上方には、原料ガス吸着領域P1を構成するシャワーヘッド30の底面板31、各々例えば石英からなるクリーニングガスノズル60、反応ガスノズル50、及び分離ガスノズル41、42が真空容器1の周方向(回転テーブル2の回転方向(
図3の矢印A))に互いに間隔をおいて配置されている。図示の例では、後述の搬送口15から時計回り(回転テーブル2の回転方向)に、反応ガスノズル50、分離ガスノズル41、底面板31、分離ガスノズル42、クリーニングガスノズル60がこの順番で配列されている。シャワーヘッド30の底面板31には、主原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33、外周側原料ガス供給部34、クリーニングガス供給部35が形成されている。主原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33、外周側原料ガス供給部34は、各々、原料ガス(プリカーサ)を供給するための原料ガス供給手段であり、各々の底面には、図示しない複数のガス吐出孔が形成され、回転テーブル2の径方向に沿って原料ガスを供給する。主原料ガス供給部32は、ウェハWの中心を含む主要部分を覆うことができるように回転テーブル2の半径方向に沿って半径の大半を覆うように延在している。一方、軸側原料ガス供給部33は、回転テーブル2の半径の軸側の1/4程度の所定領域にのみ延在しており、外周側原料ガス供給部34は、回転テーブル2の半径の外周側の1/4程度の所定領域にのみ延在している。いずれの原料ガス供給部32〜34も、回転テーブル2の半径方向に沿って延在して配置されている。そして、原料ガス供給部32〜34全体で、凹部24を含む回転テーブル2の半径の略全体を覆っている。なお、本実施形態においては、原料ガス供給部32〜34が軸側、中心、外周側の3つの領域に分割された構成を有するが、回転テーブル2の半径の略全体を覆うことができれば、原料ガス供給部32〜34は1つの直線状の形状を有して構成されてもよいし、2分割で構成されてもよい。なお、以後、主原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34をまとめて、原料ガス供給部32〜34と呼んでもよいこととする。
【0015】
本実施形態においては、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34が、主原料ガス供給部32から供給される原料ガスの流れを妨げることなく面内均一性を高める膜厚調整用の原料ガスを供給することも可能な構成としているが、かかる構成は必須ではなく、用途に応じて原料ガス供給部32〜34を構成することができる。
【0016】
ガスノズル50、60、41、42は、各ノズル50、60、41、42の基端部であるガス導入ポート50a、60a、41a、42a(
図3)を容器本体12の外周壁に固定することにより、真空容器1の外周壁から真空容器1内に導入され、容器本体12の半径方向に沿って回転テーブル2に対して水平に伸びるように取り付けられている。
【0017】
一方、原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34は、図示しないシャワーヘッド30の底面板31に設けられているので、シャワーヘッド30に導入された原料ガス及び原料ガスが原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34を介して真空容器1内に導入されることになる。
【0018】
本実施形態においては、
図3に示されるように、主原料ガス供給部32は、配管112及び流量制御器122などを介して、原料ガスの供給源132に接続されている。軸側原料ガス供給部33は、配管113及び流量制御器123などを介して、軸側原料ガスの供給源133に接続されている。更に、外周側原料ガス供給部34は、配管114及び流量制御器124などを介して、外周側原料ガスの供給源134に接続されている。なお、原料ガスは、例えば、有機アミノシランガス等のシリコン含有ガスや、TiCl
4等のチタン含有ガス等である。また、軸側原料ガス及び外周側原料ガスは、基本的には原料ガスと同じガスであるが、キャリアガスとして用いられる窒素ガス等の不活性ガス、He、Ar等の希ガスとの混合比を主原料ガス供給部32と異ならせて供給してもよい。このように、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部から供給される原料ガスは、用途及びプロセスに応じて、膜厚の調整等、面内均一性を高めるのに好ましいガスの供給態様を適宜選択することができる。
【0019】
なお、各原料ガス供給源132〜134は、原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34に個別に1対1で接続された構成が示されているが、混合ガスを供給する場合には、更に配管を増加させて供給路同士を接続し、適切な混合比で原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34に最終的に個別にガスを供給する構成としてもよい。つまり、原料ガス供給部32及び軸側原料ガス供給部33の双方に同一のガスを含んだ混合ガスを供給する場合には、共通のガス供給源132〜134から、同一種類のガスを導入し、各々に最終的な混合ガスを個別に供給する構成としてもよい。即ち、最終的に原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34の各々に個別にガスを供給できる構成であれば、途中のガス供給路の接続構成は問わない。また、このような3分割ではなく、1つの原料ガス供給部を構成する場合には、原料ガス供給源132〜134、流量制御器122〜124も1つとすることができる。
【0020】
また、クリーニングガス供給部35は、配管115及び流量制御器125などを介して、クリーニングガスの供給源135に接続されている。クリーニングガスは、回転テーブル2の表面上に堆積した薄膜をエッチングにより除去可能なガスが用いられ、例えば、ClF
3、CF
4、C
2F
6、C
3F
8、CHF
3、NF
3、F
2等、フッ素含有ガスを含む種々のクリーニングガスを用いることができる。
【0021】
反応ガスノズル50は、配管111及び流量制御器121等を介して、反応ガスの供給源131に接続されている。反応ガスは、原料ガスと反応して反応生成物を生成するガスであり、例えば、シリコン含有ガスに対してはO
3等の酸化ガス、チタン含有ガスに対してはNH
3等の窒化ガス等が該当する。即ち、酸化膜を成膜する場合には、O
2、O
3、H
2O、H
2O
2等の酸化ガスが用いられ、窒化膜を成膜する場合には、NH
3等の窒化ガスが用いられる。
【0022】
なお、必要に応じて、反応ガスノズル50の上方に誘導結合型(ICP、Inductively-Coupled Plasma)のプラズマ発生器を設け、活性化した酸素やアンモニアをウェハWに供給してもよい。例えば、
図3の破線80で示した領域に、真空容器1の天板11上にICPプラズマ発生器を設けてもよい。酸化及び窒化に改質効果を加えることができる。この場合、酸化ガスとしては酸素が用いられ、窒化ガスとしてはアンモニアの他、窒素も用いることができる。
【0023】
クリーニングガスノズル60は、配管116及び流量制御器126等を介して、クリーニングガスの供給源136に接続されている。クリーニングガスノズル60から供給されるクリーニングガスは、原則としてクリーニングガス供給部35から供給されるクリーニングガスと同一のガスが用いられ、上述ように、例えばClF
3、CF
4、C
2F
6、C
3F
8、CHF
3、NF
3、F
2等、フッ素含有ガスを含む種々のクリーニングガスを用いることができる。
【0024】
また、反応ガスノズル50及びクリーニングガスノズル60は、必要に応じて、シャワーヘッドとして構成してもよい。例えば、
図3の破線80で示した領域にシャワーヘッドと設けてもよい。このように、ガス供給部の構成及び供給態様は、用途に応じて種々の形態を採用することができる。
【0025】
分離ガスノズル41、42は、いずれも不図示の配管及び流量制御バルブなどを介して、分離ガスの供給源(図示せず)に接続されている。分離ガスとしては、窒素(N
2)ガスなどの不活性ガスや、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを用いることができる。本実施形態では、N
2ガスを用いる例を挙げて説明する。
【0026】
反応ガスノズル50及びクリーニングガスノズル60には、回転テーブル2に向かって開口する複数のガス吐出孔が、処理ガスノズル60、61の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列されている。シャワーヘッド30の底面板31の下方領域は、第1の反応ガスをウェハWに吸着させるための第1の処理領域P1となる。反応ガスノズル50の下方領域は、第1の処理領域P1においてウェハWに吸着した第1の反応ガスと反応する反応ガスを供給し、反応生成物の分子層を生成する第2の処理領域P2となる。なお、反応生成物の分子層が、成膜される薄膜を構成する。ここで、第1の処理領域P1は、原料ガスをウェハW上に吸着させる領域であるので、原料ガス吸着領域P1と呼んでもよいこととする。同様に、第2の処理領域P2は、原料ガスと反応して反応生成物を生成可能な反応ガスを供給する領域であるので、反応領域P2と呼んでもよいこととする。
【0027】
再び
図2及び
図3を参照すると、真空容器1内には2つの凸状部4が設けられている。立体形状の詳細は後述するが、凸状部4は、分離ガスノズル41、42とともに分離領域Dを構成するため、回転テーブル2に向かって突出するように天板11の裏面に取り付けられている。また、凸状部4は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有し、本実施形態においては、内円弧が突出部5(後述)に連結し、外円弧が、真空容器1の容器本体12の内周面に沿うように配置されている。
【0028】
図4は、シャワーヘッド30の底面板31からクリーニングガスノズル60まで回転テーブル2の同心円に沿った真空容器1の断面を示している。図示のとおり、天板11の裏面に凸状部4が取り付けられているため、真空容器1内には、凸状部4の下面である平坦な低い天井面44(第1の天井面)と、この天井面44の周方向両側に位置する、天井面44よりも高い天井面45(第2の天井面)とが存在する。天井面44は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有している。また、図示のとおり、凸状部4には周方向中央において、半径方向に伸びるように形成された溝部43が形成され、分離ガスノズル42が溝部43内に収容されている。もう一つの凸状部4にも同様に溝部43が形成され、ここに分離ガスノズル41が収容されている。また、高い天井面45の下方の空間に、シャワーヘッド30の底面板31及び処理ガスノズル60がそれぞれ設けられている。処理ガスノズル60は、天井面45から離間したウェハWの近傍に設けられている。なお、
図4に示すように、高い天井面45の下方の右側の空間481に底面板31が設けられ、高い天井面45の下方の左側の空間482にクリーニングガスノズル60が設けられる。
【0029】
また、凸状部4の溝部43に収容される分離ガスノズル41、42には、回転テーブル2に向かって開口する複数のガス吐出孔42h(
図4参照)が、分離ガスノズル41、42の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列されている。
【0030】
また、クリーニングガスノズル60も、回転テーブル2に対向して開口するガス吐出孔63が、クリーニングガスノズル60の長手方向に沿って、例えば、10mmの間隔で配列されている。
【0031】
シャワーヘッド30の底面板31に設けられた主原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34は、ガス吐出孔32a、33a(
図4には図示せず)、34aを各々有する。
図4に示されるように、例えば、主原料ガス供給部32のガス吐出孔32a及び外周側原料ガス供給部のガス吐出孔34aは、クリーニングガスノズル60、分離ガスノズル42のガス吐出孔63、42hとほぼ同じ高さに設けられてもよい。また、主原料ガス供給部32のガス吐出孔32aと、外周側原料ガス供給部34のガス吐出孔34aとの高さを異ならせてもよく、原料ガス供給部32〜34の形状は、用途に応じて種々の構成とすることができる。なお、主原料ガス供給部32のガス吐出孔32aは、ガス導入路32bを介して、天板11の上面に設けられたガス導入部32cに接続されている。同様に、外周側原料ガス供給部34のガス吐出孔34aも、ガス導入路34bを介して、天板11の上面に設けられたガス導入部34cに接続されている。
【0032】
天井面44は、狭い空間である分離空間Hを回転テーブル2に対して形成している。分離ガスノズル42の吐出孔42hからN
2ガスが供給されると、このN
2ガスは、分離空間Hを通して空間481及び空間482へ向かって流れる。このとき、分離空間Hの容積は空間481及び482の容積よりも小さいため、N
2ガスにより分離空間Hの圧力を空間481及び482の圧力に比べて高くすることができる。すなわち、空間481及び482の間に圧力の高い分離空間Hが形成される。また、分離空間Hから空間481及び482へ流れ出るN
2ガスが、第1の処理領域P1からの原料ガスと、第2の処理領域P2からの反応ガスとに対するカウンターフローとして働く。したがって、第1の領域P1からの原料ガスと、第2の処理領域P2からの反応ガスとが分離空間Hにより分離される。よって、真空容器1内において原料ガスと反応ガスとが混合し、反応することが抑制される。
【0033】
なお、回転テーブル2の上面に対する天井面44の高さh1は、成膜時の真空容器1内の圧力、回転テーブル2の回転速度、供給する分離ガス(N
2ガス)の供給量などを考慮し、分離空間Hの圧力を空間481及び482の圧力に比べて高くするのに適した高さに設定することが好ましい。
【0034】
一方、天板11の下面には、回転テーブル2を固定するコア部21の外周を囲む突出部5(
図2及び
図3)が設けられている。この突出部5は、本実施形態においては、凸状部4における回転中心側の部位と連続しており、その下面が天井面44と同じ高さに形成されている。
【0035】
図5は、天井面44が設けられている領域を示す断面図である。
図5に示すように、扇型の凸状部4の周縁部(真空容器1の外縁側の部位)には、回転テーブル2の外端面に対向するようにL字型に屈曲する屈曲部46が形成されている。この屈曲部46は、凸状部4と同様に、分離領域Dの両側から反応ガスが侵入することを抑制して、両反応ガスの混合を抑制する。扇型の凸状部4は天板11に設けられ、天板11が容器本体12から取り外せるようになっていることから、屈曲部46の外周面と容器本体12との間には僅かに隙間がある。屈曲部46の内周面と回転テーブル2の外端面との隙間、及び屈曲部46の外周面と容器本体12との隙間は、例えば回転テーブル2の上面に対する天井面44の高さと同様の寸法に設定されている。
【0036】
容器本体12の内周壁は、分離領域Dにおいては
図5に示すように屈曲部46の外周面と接近して垂直面に形成されているが、分離領域D以外の部位においては、
図1に示すように例えば回転テーブル2の外端面と対向する部位から底部14に亘って外方側に窪んでいる。以下、説明の便宜上、概ね矩形の断面形状を有する窪んだ部分を排気領域と記す。具体的には、第1の処理領域P1に連通する排気領域を第1の排気領域E1と記し、第2の処理領域P2に連通する領域を第2の排気領域E2と記す。これらの第1の排気領域E1及び第2の排気領域E2の底部には、
図1から
図3に示すように、それぞれ、第1の排気口610及び第2の排気口620が形成されている。第1の排気口610及び第2の排気口620は、
図1及び
図3に示すように各々排気管630、631を介して真空排気手段である例えば真空ポンプ640、641に接続されている。また、第1の排気口610と真空ポンプ640との間の排気管630には圧力調整手段である自動圧力制御機器(APC、Auto Pressure Controller)650が設けられている。同様に、第2の排気口620と真空ポンプ641との間の排気管631には圧力調整手段である自動圧力制御器651が設けられ、第1の排気口610及び第2の排気口620の排気圧力が、各々独立して制御可能に構成されている。
【0037】
回転テーブル2と真空容器1の底部14との間の空間には、
図1及び
図5に示すように加熱手段であるヒータユニット7が設けられ、回転テーブル2を介して回転テーブル2上のウェハWが、プロセスレシピで決められた温度(例えば450℃)に加熱される。回転テーブル2の周縁付近の下方側には、回転テーブル2の上方空間から排気領域E1、E2に至るまでの雰囲気とヒータユニット7が置かれている雰囲気とを区画して回転テーブル2の下方領域へのガスの侵入を抑えるために、リング状のカバー部材71が設けられている(
図5)。このカバー部材71は、回転テーブル2の外縁部及び外縁部よりも外周側を下方側から臨むように設けられた内側部材71aと、この内側部材71aと真空容器1の内壁面との間に設けられた外側部材71bと、を備えている。外側部材71bは、分離領域Dにおいて凸状部4の外縁部に形成された屈曲部46の下方にて、屈曲部46と近接して設けられ、内側部材71aは、回転テーブル2の外縁部下方(及び外縁部よりも僅かに外側の部分の下方)において、ヒータユニット7を全周に亘って取り囲んでいる。
【0038】
ヒータユニット7が配置されている空間よりも回転中心寄りの部位における底部14は、回転テーブル2の下面の中心部付近におけるコア部21に接近するように上方側に突出して突出部12aをなしている。この突出部12aとコア部21との間は狭い空間になっており、また底部14を貫通する回転軸22の貫通穴の内周面と回転軸22との隙間が狭くなっていて、これら狭い空間はケース体20に連通している。そしてケース体20にはパージガスであるArガスを狭い空間内に供給してパージするためのパージガス供給管72が設けられている。また真空容器1の底部14には、ヒータユニット7の下方において周方向に所定の角度間隔で、ヒータユニット7の配置空間をパージするための複数のパージガス供給管73が設けられている(
図5には一つのパージガス供給管73を示す)。また、ヒータユニット7と回転テーブル2との間には、ヒータユニット7が設けられた領域へのガスの侵入を抑えるために、外側部材71bの内周壁(内側部材71aの上面)から突出部12aの上端部との間を周方向に亘って覆う蓋部材7aが設けられている。蓋部材7aは例えば石英で作製することができる。
【0039】
また、真空容器1の天板11の中心部には分離ガス供給管51が接続されていて、天板11とコア部21との間の空間52に分離ガスであるArガスを供給するように構成されている。この空間52に供給された分離ガスは、突出部5と回転テーブル2との狭い空間50を介して回転テーブル2のウェハ載置領域側の表面に沿って周縁に向けて吐出される。空間50は分離ガスにより空間481及び空間482よりも高い圧力に維持され得る。したがって、空間50により、第1の処理領域P1に供給されるSi含有ガスと第2の処理領域P2に供給される酸化ガスとが、中心領域Cを通って混合することが抑制される。すなわち、空間50(又は中心領域C)は分離空間H(又は分離領域D)と同様に機能することができる。
【0040】
真空容器1の側壁には、
図2、
図3に示すように、外部の搬送アーム10と回転テーブル2との間で基板であるウェハWの受け渡しを行うための搬送口15が形成されている。この搬送口15は図示しないゲートバルブにより開閉される。また回転テーブル2におけるウェハ載置領域である凹部24はこの搬送口15に臨む位置にて搬送アーム10との間でウェハWの受け渡しが行われることから、回転テーブル2の下方側において受け渡し位置に対応する部位に、凹部24を貫通してウェハWを裏面から持ち上げるための受け渡し用の昇降ピン及びその昇降機構(いずれも図示せず)が設けられている。
【0041】
また、本実施形態による基板処理装置には、
図1に示すように、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部100が設けられており、この制御部100のメモリ内には、制御部100の制御の下に、後述する基板処理方法を基板処理装置に実施させるプログラムが格納されている。このプログラムは後述の基板処理方法を実行するようにステップ群が組まれており、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記録媒体102に記憶されており、所定の読み取り装置により記憶部101へ読み込まれ、制御部100内にインストールされる。
【0042】
制御部100は、後述する本実施形態に係る成膜方法を実施するため、シャワーヘッド30の原料ガス供給部32〜34及びクリーニングガス供給部35に接続されるバルブ、流量制御器122〜125等も制御する。
【0043】
次に、本発明の実施形態に係る成膜装置の底面板31を含むシャワーヘッド30の構成についてより詳細に説明する。
【0044】
図6は、シャワーヘッド30の底面板31の底面(下面)の構成の一例を示した図である。
図6に示されるように、底面板31の下面には、主原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33、外周側原料ガス供給部34及びクリーニングガス供給部35が形成されている。底面板31は、全体として、軸側を中心として全体として略扇形の平面形状を有する。
【0045】
主原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34は総て、扇形の左右対称の中心よりも回転テーブル2の回転方向の上流側寄りに設けられている。これにより、原料ガスがウェハWの表面に供給されてから、ウェハWの表面に吸着するために十分な距離と時間を確保することができ、吸着効率が良好となる。よって、原料ガス供給部32〜34は、第1の処理領域P1の上流側に設けられることが好ましい。なお、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34は、原料ガス供給部32の近傍に設けられ、原料ガス供給部32から供給される原料ガスの濃度調整を行うことが可能な位置に設けられている。
【0046】
原料ガス供給部32〜34よりも更に上流側には、クリーニングガス供給部35が設けられている。クリーニングガス供給部35は、真空容器1内をクリーニングする際にクリーニング用のガスを供給するガス供給手段であり、メインテナンスの際に用いられる。クリーニングガス供給部35は、ドライクリーニング時に真空容器1内にクリーニングガスを供給することにより、回転テーブル2をクリーニングするだけでなく、シャワーヘッド30の底面板31もクリーニングする。底面板31には、原料ガス供給部32〜34も形成されており、クリーニング時にこれらもクリーニングした方が当然に好ましいため、クリーニングガス供給部35は、原料ガス供給部32〜34よりも上流側に設けられることが好ましい。ここで、上流側とは、回転テーブル2の回転方向の上流側であるとともに、ドライクリーニング時に排気する排気口610の上流側でもある。即ち、ドライクリーニングは、排気孔610から真空ポンプ640で排気をしながら、かつ、回転テーブル2を回転させながら行う。排気口610の方にクリーニングガスは流れてゆくので、クリーニングガスの排気方向の上流側にクリーニングガス供給部35を設ければ、広範囲に亘りクリーニングが可能となる。よって、クリーニングガス供給部35は、ドライクリーニング時における排気方向の上流側に設けられることが好ましく、原料ガス供給部32〜34よりも更に上流側に設けられることがより好ましい。そして、排気方向の上流側は、回転テーブル2の回転方向の上流側と一致する。
【0047】
上述のように、原料ガス供給部32〜34も第1の処理領域P1内で回転テーブル2の回転方向の上流側に設けられることが好ましく、クリーニングガス供給部35は、原料ガス供給部32〜34よりも排気方向上流側、即ち、回転テーブル2の回転方向の上流側に配置されることが好ましいので、クリーニングガス供給部35は、第1の処理領域P1の上流側端部と、原料ガス供給部32〜34との間の狭い領域に設けられることになる。よって、クリーニングガス供給部35は、原料ガス供給部32〜34の近傍に設けられる。
図6においては、原料ガス供給部32〜34と隣り合うように、原料ガス供給部32〜34と略平行に並んで配置されている。このような配置の場合、成膜処理中において、クリーニングガス供給部35から窒素等のパージガスを供給すると、原料ガス供給部32〜34からの原料ガス供給に影響を与えるおそれがある。即ち、原料ガス供給部32〜34から供給された原料ガスが、上流側の近傍から供給された窒素ガスの影響を受け、均一な原料ガスのウェハW上への吸着が行われず、面内均一性が低下するおそれがある。
【0048】
そこで、本実施形態に係る成膜装置及び成膜方法では、成膜処理時には、クリーニングガス供給部35からのパージガスの供給は行わないようにする。これにより、成膜処理の面内均一性を向上させることができる。なお、クリーニングガス供給部35内に、原料ガスが付着し、パーティクルとなるおそれもあるが、成膜時以外のタイミングでクリーニングガス供給部35内にパージガスを供給し、そのようなパーティクル発生も防ぐ。このような成膜方法の詳細については後述する。
【0049】
図7は、シャワーヘッド30の底面板31の上面の構成の一例を示した図である。
図7に示されるように、
図6と対応する位置に原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33、外周側原料ガス供給部34及びクリーニングガス供給部35が設けられる。また、
図7において、主原料ガス供給部32の底面には原料ガス吐出孔32a、軸側原料ガス供給部33の底面には軸側原料ガス吐出孔33aが設けられる。更に、外周側原料ガス供給部34の底面には外周側原料ガス吐出孔34aが設けられ、クリーニングガス供給部35の底面にも、クリーニングガス吐出孔35aが設けられている。
【0050】
なお、各ガス吐出孔32a、33a、34a、35aは、直線状に形成されたガス供給部32、33、34、35の底面に、やはり直線状に配列されて設けられている。
【0051】
図8は、シャワーヘッド30の全体構成の一例を示した斜視図である。
図8に示されるように、シャワーヘッド30は、底面板31と、中段部36と、上段部37と、中央部38と、ガス導入路32b〜35bと、ガス導入部32c〜35cとを有する。なお、シャワーヘッド30は、底面板31を含めて、例えば、アルミニウム等の金属材料で構成されてもよい。
【0052】
ガス導入部32c〜34c、35cは、外部から原料ガス及びクリーニングガスをそれぞれ導入するための導入口であり、例えば、継手として構成される。ガス導入部32c〜35cは、4つのガス導入路32b〜35bに対応して4個設けられており、個別にガスの供給が可能な構成となっている。なお、ガス導入部32c〜35cの下方には、ガス導入路32b〜32cが形成され、
図7で説明した原料ガス供給部32〜34及びクリーニングガス供給部35に直接的に接続が可能な構成となっている。
【0053】
中央部38は、ガス導入部32c〜35c及びガス導入路32b〜35bを有するとともに、回転可能に構成されている。これにより、シャワーヘッド30の角度を調整することができ、プロセスに応じて主原料ガス供給部32、軸側原料ガス供給部33及び外周側原料ガス供給部34の位置を微調整することができる。
【0054】
上段部37は、上部のフレームとして機能し、天板11に設置可能な構造を有する。また、中段部36は、上段部37と底面板31とを接続する役割を果たすとともに、クリーニングガス供給部35のクリーニングガス供給路が内部に形成されており、クリーニングガスの供給路としても機能する。
【0055】
このように、シャワーヘッド30においては、真空容器1の上面の天板11から原料ガス及びクリーニングガスが導入される。
【0056】
図9は、原料ガス供給部及びクリーニングガス供給部をノズルで構成した場合の実施形態を示した平面図である。
図10は、原料ガス供給部及びクリーニングガス供給部をノズルで構成した場合の実施形態を示した断面図である。
【0057】
図9において、第1の処理領域P1内に、原料ガスノズル320と、クリーニングガスノズル350が設けられている。原料ガスノズル320及びクリーニングガスノズル350の上方側には、原料ガスをウェハWに沿って通流させるために、且つ分離ガスがウェハWの近傍を避けて真空容器1の天板11側を通流するように、ノズルカバー230が設けられている。
【0058】
図10に示すように、ノズルカバー230は、原料ガスノズル320及びクリーニングガスノズル350を収納するために下面側が開口する概略箱形のカバー体231と、このカバー体231の下面側開口端における回転テーブル2の回転方向上流側及び下流側に各々接続された板状体である整流板232とを備えている。なお、回転テーブル2の回転中心側におけるカバー体231の側壁面は、原料ガスノズル320及びクリーニングガスノズル350の先端部に対向するように回転テーブル2に向かって伸び出している。また、回転テーブル2の外縁側におけるカバー体231の側壁面は、原料ガスノズル320及びクリーニングガスノズル350に干渉しないように切り欠かれている。
【0059】
このように、シャワーヘッド30ではなく、原料ガスノズル320及びクリーニングガスノズル350を用いた構成であってもよい。この場合にも、ノズルカバー230の下面(特に整流板232の下面)及び原料ガスノズル320を効果的にクリーニングする観点からは、クリーニングガスノズル350は、原料ガスノズル320の排気方向における上流側に、原料ガスノズル320に接近して隣り合うように平行に配置されることが好ましい。このような配置の場合にも、成膜処理時にクリーニングガスノズル350からパージガスを供給すると、成膜の面内均一性に影響を与えるおそれがあるので、本実施形態に係る成膜装置及び成膜方法を好適に適用できる。
【0060】
[成膜方法]
以下、本発明の実施形態に係る成膜方法について説明する。本実施形態に係る成膜方法では、上述の本実施形態に係る成膜装置を用いた例を挙げて説明する。本実施形態に係る成膜方法は、原料ガス及び反応ガスの種類は問わず、種々の薄膜を成膜するプロセスに適用可能であるが、説明の容易のため、原料ガスとしてSi含有ガスを供給し、反応ガスとして酸化ガスを供給した例を挙げて説明する。
【0061】
まず、ウェハWを真空容器1内に搬入する。ウェハW等の基板の搬入に際しては、先ず、ゲートバルブGを開放する。そして、回転テーブル2を間欠的に回転させながら、搬送アーム10により搬送口15を介して回転テーブル2上に載置する。
【0062】
次いで、ゲートバルブGを閉じて、真空ポンプ64及び圧力調整部65により真空容器1内を所定の圧力にした状態で、回転テーブル2を回転させながら、ヒータユニット7によりウェハWを所定の温度に加熱する。この時、分離ガスノズル41、42からは、分離ガス、例えば、N
2ガスが供給される。このような真空容器1内の成膜条件の調整を、成膜前処理工程と呼ぶ。
【0063】
続いて、シャワーヘッド30の原料ガス供給部32〜34からはシリコン含有ガスを供給し、反応ガスノズル50からは酸化ガスを供給する。この時、シャワーヘッド30のクリーニングガス供給部35からは、パージガスを含む何れのガスも供給しない。これにより、原料ガス供給部32〜34からの原料ガスの流れに何ら影響を与えず、原料ガスの均一なウェハW表面への吸着が可能となる。
【0064】
ウェハWの表面では、回転テーブル2の回転によって第1の処理領域P1においてSi含有ガスが吸着し、次いで、第2の処理領域P2においてウェハW上に吸着したSi含有ガスが、酸素ガスによって酸化される。これにより、薄膜成分であるシリコン酸化膜の分子層が1層又は複数層形成されて反応生成物が形成され、ウェハWの表面上に堆積する。
【0065】
この時、第2の処理領域P2におけるクリーニングガスノズル60からは、パージガスを含む何れのガスを供給しなくてもよいし、少量のパージガスを供給してもよい。第2の処理領域P2で反応ガスノズル50から供給されるガスは酸化ガスであり、原料ガスよりも遥かに大流量で供給され、また、Si含有ガスのような吸着をしないため、空間的なガス流の影響を受け難いためである。よって、第2の処理領域P2におけるクリーニングガスノズル60からパージガスを供給するか否かは、プロセス、用途に応じて定めてよい。
【0066】
本実施形態においては、回転テーブル2の回転を続けることにより、ウェハW表面への原料ガスの吸着、ウェハW表面に吸着した原料ガス成分の酸化がこの順番で多数回に亘って行われる。即ち、ALD法による成膜処理が、回転テーブル2の回転よって、多数回に亘って行われる。
【0067】
なお、本実施形態に係る成膜装置における第1の処理領域P1と第2の処理領域P2との間には、回転テーブル2の周方向に沿って分離領域Dを配置している。そのため、分離領域Dにおいて、Si含有ガスと酸化ガスとの混合が阻止されながら、各ガスが排気口610、620に向かって排気されていく。この排気方向は、上述のように、回転テーブル2の回転方向と同一である。
【0068】
成膜処理により堆積した薄膜が所定膜厚に到達したら、原料ガス供給部32〜34からのSi含有ガスの供給を停止する。その後、十分に酸化を行うため、反応ガスノズル50
から酸化ガスを供給した状態で、回転テーブル2の回転を継続する成膜後処理工程を行う。これにより、未反応のSi含有ガスが酸化ガスと反応し、シリコン酸化膜が緻密化され、品質が向上する。その後は、酸化ガスの供給も停止するとともに、パージガス(N
2)の供給も停止し、回転テーブル2の回転を停止させる。真空容器1内の温度、圧力等の条件も元に戻してよい。このような成膜後の処理を成膜後処理工程と呼ぶ。
【0069】
この後は、搬出工程が行われ、ウェハWを真空容器1から搬出する。ウェハWの搬出は、複数枚のウェハWを順次搬出し、総てのウェハWが真空容器1から搬出し、その後に新たなウェハWを真空容器1内に搬入してもよい。一方、1枚のウェハWを搬出したら、搬出して空いた凹部24に新たなウェハWを搬入するというように、1枚毎にウェハWを差し替えるような搬出方法であってもよい。差替え搬出の場合には、次のウェハWの搬入工程と処理済みのウェハWの搬出工程が同時に行われることになる。
【0070】
このように、成膜処理では、基板搬入工程、成膜前処理工程、成膜工程、成膜後処理工程、及び基板搬出工程(基板差替え工程を含む)とからなる。このうち、成膜工程は、原料ガスがウェハWに供給される工程であるが、他の工程は、原料ガスがウェハWに供給されない工程である。よって、成膜工程以外の工程では、クリーニングガス供給部35からパージガスを供給し、クリーニングガスラインをパージすることが可能である。即ち、本実施形態に係る成膜方法では、成膜工程において、クリーニングガス供給部35からパージガスを供給することなく原料ガスをウェハWに供給して吸着させる原料ガス吸着工程と、クリーニングガス供給部35からパージガスを供給することなく反応ガスをウェハWに供給して、ウェハWの表面に吸着した原料ガスとの反応生成物を堆積させる反応工程とを含む。これにより、成膜処理の面内均一性を向上させることができる。
【0071】
そして、必要に応じて、成膜工程以外の基板搬入工程、成膜前処理工程、成膜後処理工程、及び基板搬出工程(基板差替え工程を含む)の一部又は総ての工程において、クリーニングガス供給部35からパージガス(例えばN
2)を供給する工程を有する。これにより、成膜処理に影響を与えることなくクリーニングラインのパージを行い、原料ガスの付着に起因するパーティクルを低減させることができる。
【0072】
以下、本実施形態に係る成膜方法の具体的なシーケンスについて説明する。なお、供給するガスは一般化して説明する。
【0073】
図11は、本実施形態に係る成膜方法の第1のシーケンスを示した図である。
図11において、シーケンス・ステップ番号と、具体的な工程との関係が示されている。
【0074】
まず、ステップS1において、基板搬入工程が行われる。具体的には、真空容器1内に複数枚のウェハWが搬入され、凹部24上に各々載置される。
【0075】
ステップS2では、成膜前処理工程が行われる。具体的には、真空容器1内の圧力、温度が成膜条件に合致するように調整され、分離ガス(パージガス)が真空容器1内に供給される。また、回転テーブル2の回転も開始する。
【0076】
この、ステップS1及びステップS2の基板搬入工程及び成膜前処理工程では、クリーニングガス供給部35からパージガスを供給し、パージガスラインのパージが可能である。よって、必要に応じて、パージガスラインのパージを行ってもよい。
【0077】
ステップS3では、成膜工程が行われる。具体的には、クリーニングガス供給部35からはパージガスを含む何れのガスも供給せずに、原料ガス供給部32〜34から原料ガスを供給するとともに、反応ガス供給部から反応ガス(酸化ガス又は窒化ガス)を供給し、回転テーブル2の回転を継続する。これにより、原料ガスのウェハWへの吸着、吸着した原料ガスの酸化又は窒化が行われ、反応生成物の分子層が堆積する。原料ガスの供給の際、クリーニングガス供給部35からはパージガスを含む何れのガスも供給されていないので、原料ガスの吸着は他のガスの影響を受けず、均一のウェハWの表面に吸着する。これにより、成膜処理の均一性が向上する。なお、クリーニングガスノズル60からのパージガスの供給は、必要に応じて行ってもよい。膜厚が所定の膜厚となるまで、ステップS3の成膜工程を繰り返す。所定の膜厚に到達したら、成膜工程を終了する。
【0078】
ステップS4では、成膜後処理工程が行われる。成膜後処理工程では、原料ガスの供給は停止し、反応ガス及び分離ガスの供給を継続する。又は、反応ガスの供給は行わずに、分離ガスのみを供給した状態で、回転テーブル2を継続的に回転させる。その後、回転テーブル2の回転を停止し、必要に応じて、圧力等の条件も変更し、真空容器1内の状態を調整する。即ち、ウェハWを真空容器1から搬出するための準備を行う。この段階では、原料ガスの供給は停止しており、クリーニングガスラインのパージは可能な状態であるので、必要に応じてクリーニングガス供給部35からパージガスを供給する。
【0079】
ステップS5では、基板差替え工程が行われる。具体的には、成膜処理がなされたウェハWを真空容器1から搬出し、ウェハWが搬出されて空になった凹部24に新たなウェハWを載置する。つまり、ウェハWの搬出と搬入がウェハW毎(凹部24毎)に順次行われる。基板差替え工程においても、クリーニングガスラインのパージは可能であるので、必要に応じて、クリーニングガス供給部35からパージガスを供給する。
【0080】
ステップS6からは、ステップS2と同様に、成膜前処理工程を行う。内容は、ステップS2と同様であるので、その説明を省略する。成膜前処理工程においても、クリーニングガスラインのパージは可能であるので、必要に応じて、クリーニングガス供給部35からパージガスを供給する。このように、ステップS4の成膜後処理工程から、ステップS6の成膜前処理工程までの期間において、連続的にクリーニングガスラインをパージすることも可能である。勿論、このうちの一部の工程で実施してもよい。更に、クリーニングガスラインのパージは、一部の工程の総ての期間でなくてもよく、一部の工程の一部の機関であってもよい。このように、クリーニングガスラインのパージは、成膜工程以外の任意の期間に行うことができる。
【0081】
ステップS7〜S9まで、ステップS3〜5と同様に、成膜工程、成膜後処理工程、基板差替え工程を繰り返す。以後、同様の繰り返しを行う。
【0082】
ステップSnにおいて、ウェハWの搬出が行われる。この時は、ウェハWを差し替えるのではなく、総てのウェハWを順次搬出する。総てのウェハWを搬出したら、ドライクリーニングを行う。具体的には、クリーニングガス供給部35及びクリーニングガスノズル60からClF
3等のクリーニングガスを供給し、回転テーブル2、シャワーヘッド30に付着した原料ガス及び反応生成物をエッチングにより除去する。
【0083】
ドライクリーニングが終了したら、再びステップS1からシーケンスを繰り返す。このように、本実施形態に係る成膜方法の第1のシーケンスによれば、成膜工程以外の種々の工程においてクリーニングガス供給部35をパージすることができ、成膜処理の面内均一性を向上させることができるとともに、パーティクルの発生も確実に抑制することができる。
【0084】
図12は、本実施形態に係る成膜方法の第2のシーケンスを示した図である。表示形式に関しては、
図11と同様である。
【0085】
ステップS1の搬入工程から、ステップS4の成膜後処理工程までは、
図11のステップS1〜S4と同様であるので、その説明を省略する。なお、成膜工程でクリーニングガス供給部35から何れのガスも供給しない点も、第1のシーケンスと同じであることは言うまでもない。
【0086】
但し、これらのステップS1〜S4において、クリーニングガス供給部35のパージは一切行っていない点で、第1のシーケンスとは異なっている。
【0087】
ステップS5では、基板搬出工程が行われる。基板搬出工程では、成膜処理済みの総てのウェハWが真空容器1から搬出される。
【0088】
ステップS6では、クリーニングラインパージ工程が行われる。具体的には、クリーニングガス供給部35からパージガスが供給され、クリーニングガスラインがパージされる。この時、クリーニングガスノズル60も同時にパージを行ってもよい。
【0089】
このように、第2のシーケンスでは、真空容器1内にウェハWが存在しない状態でクリーニングガスラインのパージが行われる。ウェハWが真空容器1内に存在しない時にパージが行われるので、パーティクルがウェハW上に散布されることを完全に防止することができ、より確実なパージを行うことができる。
【0090】
ステップS7〜S12では、ステップS1〜S6と同様のシーケンスを繰り返す。また、必要に応じて、ウェハWが真空容器1内に存在しないときに、ドライクリーニングを行うようにしてもよい。
【0091】
このように、本実施形態に係る成膜方法の第2のシーケンスによれば、成膜処理の面内均一性を向上させることができるとともに、ウェハW上にパーティクルが散布されるおそれを完全になくしつつ、クリーニングガスラインをパージすることができる。
【0092】
なお、シャワーヘッド30のクリーニングガス供給部35を、
図9、10で示したクリーニングガスノズル350に置き換えてよいことは言うまでもない。
【0093】
また、本実施形態では、クリーニングガス供給部35及びクリーニングガスノズル350がそれぞれ原料ガス供給部32〜34及び原料ガスノズル320の上流側の近傍に配置された例を挙げて説明したが、その点は必須ではなく、クリーニングガス供給部35及びクリーニングガスノズル350からの成膜中のパージガスが面内均一性に影響を及ぼす場合には、種々の構成に適用可能である。即ち、クリーニングガス供給部35及びクリーニングガスノズル350が、原料ガス供給部32〜34及び原料ガスノズル320と離間していたり、下流側に配置されていたりする場合でも適用可能である。いかなる構成であっても、クリーニングガス供給部からのパージガスの供給が成膜処理に影響を与えることは十分考えられるからである。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。