(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物は、(110)面のXRD回折ピークが2θにおいて27.25°乃至29.00°の範囲であり、そして(101)面のXRD回折ピークが2θにおいて35.43°乃至37.00°の範囲であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の触媒組成物。
【背景技術】
【0002】
車両のような移動源及び発電所のような固定源からの排ガスとして排出されるNO
xは、環境及び人体に有害である。排ガスからのNO
xを除去するために、これまでに触媒還元方法が開発されてきた。触媒還元方法は、大量の排ガスの処理に適しており、そしてこれらのうち、還元剤としてアンモニアを添加することを含む、触媒的にNO
xを選択的にN
2に還元する方法が、より優れていると報告された。そのような選択的触媒還元(SCR)に使用される触媒は、広範な温度範囲に亘り、そして特に可能な限り300℃よりも低い温度において、NO
xを還元することが必要である。
【0003】
V/Sb/TiO
2のような、支持体ベースのバナジウム(V)/アンチモン(Sb)2成分系のSCR触媒は、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示されている。従来のV含有触媒中に促進剤としてSbを配合することは、SCR触媒の性能に改善をもたらし得ると考えられる。
【0004】
特許文献4は、XVO
4/S(式中、XVO
4はBi−、Sb−、Ga−及び/又はAl−バナジウム酸塩、そしてSはTiO
2を含む支持体を表す。)で表される、バナジウム酸塩を含む触媒組成物を開示している。とりわけ、TiO
2/WO
3/SiO
2上に支持されたVSbO
4は、実施例として示されており、V及びSb源溶液を混合し、120℃において乾燥させそして550℃において20時間焼成することにより製造され、TiO
2/WO
3/SiO
2上に支持されたVSbO
4が得られている。本特許においては、バナジウム酸塩、特にVSbO
4の構造を示すXRDパターンは開示されていない。
【0005】
特許文献5は、ウォールフローフィルターの形態の基材及び該基材上に担持された触媒を含むSCRフィルターであって、該触媒は支持体及びバナジウム酸塩成分を含む、フィルターを開示している。 該バナジウム酸塩は、式(A
x)(T
y)(R
z)VO
4、(式中、“A”はアルカリ土類金属を表し、“T”は遷移金属を表し、“R”は希土類金属を表し、そして“x”、“y”、及び“z”はそれぞれの金属のバナジウムに対するモル比を表し、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、及びx+y+z=1で表される。)で定義される構造を有する。本特許出願は、バナジウム酸塩成分としてFeVO
4のみを開示している。基材上に担持されたFeVO
4を含むウォールフローフィルターのSCR性能は、本出願において議論されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既知のSCR触媒によっても、特に移動型の又は固定された排ガス放出への適用において、NOx除去のための優れた活性を示すSCR触媒の必要性が未だ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明の目的は、NOx除去を改善した新規のSCR触媒を、特に移動型の又は固定された型の排ガス放出に適用する場合に提供することにある。本目的は、触媒組成物、その製造方法、窒素酸化物の選択的触媒還元のための触媒組成物の使用によって達成され得る。特に、本発明は下記局面に関する。
【0009】
1.窒素酸化物の選択的触媒還元のための、
・TiO
2を含む支持体
・CuのKα線照射を用いたX線回折(XRD)分析により決定される、VSbO
4及びV
0.92Sb
0.92O
4とは異なるルチル型構造を有する、バナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物、及び
・任意に、ケイ素の酸化物、バナジウムの酸化物及びアンチモンの酸化物からなる群より選択される1つ以上
を含む触媒組成物の使用方法。
【0010】
2. バナジウム及びアンチモンを含む前記複合酸化物が、XRD回折ピークの(110)又は(101)面でVSbO
4及びV
0.92Sb
0.92O
4のものより少なくとも0.1°高い2θであることを特徴とする、上記1の局面に記載の使用方法。
【0011】
3. バナジウム及びアンチモンを含む前記複合酸化物が、XRD回折ピークの(101)面でVSbO
4及びV
0.92Sb
0.92O
4のものより少なくとも0.2°、好ましくは少なくとも0.3°、そしてより好ましくは少なくとも0.5°高い2θであることを特徴とする、上記2の局面に記載の使用方法。
【0012】
4. バナジウム及びアンチモンを含む前記複合酸化物が、XRD回折ピークの(110)面の2θにおいて27.25°乃至29.00°の範囲であり、そしてXRD回折ピークの(101)面の2θにおいて35.43°乃至37.00°の範囲であることを特徴とする、上記1乃至3の局面の何れかに記載の使用方法。
【0013】
5. バナジウム及びアンチモンの複合酸化物及び任意のバナジウムの酸化物(類)の両方を含む前記バナジウムが、元素Vとして計算される0.5乃至6質量%、好ましくは1乃至4.5質量%、そしてより好ましくは2乃至4質量%の範囲で触媒組成物中に存在し;そして、バナジウム及びアンチモンの複合酸化物及び任意のアンチモンの酸化物(類)の両方を含む前記アンチモンが、元素Sbとして計算される0.8乃至16質量%、好ましくは3.5乃至14質量%、そしてより好ましくは5乃至10質量%の範囲で触媒組成物中に存在する、上記1乃至4の局面の何れかに記載の使用方法。
【0014】
6. 前記触媒組成物が、成形物の形態、好ましくは押出し成形物の形態であるか、又は基材上に担持される、上記1乃至5の局面の何れかに記載の使用方法。
【0015】
7. 前記窒素酸化物が、ディーゼルエンジン、発電所又は焼却炉のような内燃機関からの排ガス中に存在する、上記1の局面に記載の使用方法。
【0016】
8. 下記段階:
(i)バナジウム/アンチモン酸化物及び任意にケイ素源を、TiO
2を含む支持体と共に溶媒中で混合し、懸濁液を得る段階;
(ii)任意に、懸濁液を基材上に適用する段階;
(iii)80乃至250℃の範囲の温度において乾燥させる段階;
(iv)少なくとも500℃の温度において焼成する段階;
を含む、上記1乃至6の局面の何れかに記載の触媒組成物を製造する方法。
【0017】
9. 前記段階(iv)の焼成が、500℃乃至700℃、より好ましくは550℃乃至700℃、更に好ましくは600℃乃至700℃、そして最も好ましくは650℃乃至700℃よりも高い範囲の温度において行われる、上記8の局面に記載の方法。
【0018】
10. 前記段階(i)で用いられるバナジウム/アンチモン酸化物が、下記:
(a)バナジウム酸化物(類)及びアンチモン酸化物(類)を含む懸濁液を準備する段階;
そして
(b)前記懸濁液を80℃乃至250℃の範囲の温度において乾燥させバナジウム/アンチモン酸化物を得る段階;
により製造される、上記8又は9の局面に記載の方法。
【0019】
11. 前記段階(i)で用いられるバナジウム/アンチモン酸化物が、下記:
(a’)バナジウム源及びアンチモン源を含む懸濁液又は溶液を準備する段階;
(b’)前記懸濁液又は溶液からバナジウム/アンチモン酸化物を沈殿させそして分離する段階;
(c’)任意に、80℃乃至250℃の温度において乾燥させる段階;
により製造される、上記8又は9の局面に記載の方法。
【0020】
12. 前記段階(ii)を含まず、そして成形物の触媒組成物を得るために成形の段階を任意に含む、上記8乃至11の局面の何れかに記載の方法。
【0021】
13. 上記8乃至12の局面の何れかに記載の方法により得られる/得られ得る触媒組成物。
【0022】
14. 窒素酸化物の選択的触媒還元のための上記13の局面に記載の触媒組成物の使用方法。
【0023】
15. 前記窒素酸化物が、ディーゼルエンジン、発電所又は焼却炉のような内燃機関からの排ガス中に存在する、上記14の局面に記載の使用方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な記載
<触媒組成物>
本発明は、
・TiO
2を含む支持体
・CuKα線照射を用いたX線回折(XRD)分析により決定される、VSbO
4及びV
0.92Sb
0.92O
4とは異なるルチル型構造を有する、バナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物、及び
・任意に、ケイ素の酸化物、バナジウムの酸化物及びアンチモンの酸化物からなる群より選択される1つ以上
を含む触媒組成物を提供する。
【0026】
本発明による触媒組成物に有用な支持体は、TiO
2を含むいずれの支持体でもあり得る。好ましくは、支持体は、TiO
2、TiO
2及びSiO
2、TiO
2及びWO
3、TiO
2及びSiO
2及びWO
3、TiO
2及びAl
2O
3、若しくはTiO
2及びZrO
2からなる。より好ましくは、支持体はTiO
2からなる。
【0027】
本発明において使用されるTiO
2は、商業上入手可能であり得るか、又は従来既知の慣用の製造方法により製造され得る。本発明のさらなる態様において、本発明において使用されるTiO
2は、アナターゼの形態である。
【0028】
1つの態様において、バナジウム及びアンチモンを含む前記複合酸化物は、CuKα線照射を用いたXRD分析により決定される、(110)又は(101)面のXRD回折ピークがルチル型VSbO
4及びV
0.92Sb
0.92O
4のものより少なくとも0.1°、好ましくは0.2°高い2θであることを示す。
【0029】
本発明に関して、VSbO
4及びV
0.92Sb
0.92O
4の如何なる2θ値も、2014 PDF4データベース(国際回折データセンター、米国、ペンシルベニア州、ニュートンスクエア)から入手可能な、VSbO
4についてPDF 00−016−0600及び対照V
0.92Sb
0.92O
4についてPDF 04−007−9467によるものを指す。
【0030】
本発明に関して、使用されるXRD回折解析は、他に言及の無い限り、CuKα線照射を用いたXRD回折を指す。
【0031】
好ましい態様において、バナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物は、(101)面のXRD回折ピークがVSbO
4及びV
0.92Sb
0.92O
4のものより少なくとも0.1°、好ましくは少なくとも0.2°、そしてより好ましくは少なくとも0.3°、更により好ましくは少なくとも0.5°、そして最も好ましくは少なくとも0.7°高い2θを示す。
【0032】
特に好ましい態様において、バナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物は、(110)面のXRD回折ピークが2θにおいて27.25°乃至29.00°の範囲であり、そして(101)面のXRD回折ピークが2θにおいて35.43°乃至37.00°の範囲であることを特徴とする。
【0033】
如何なる理論によっても拘束されずに、バナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物は、実証的な式VSb
aTi
bO
c(式中、aはVに対するSbのモル比を表しそして0を超え1未満の値を有し、bはVに対するTiのモル比を表しそして0を超え1未満の値を有し、そしてcはVに対するOのモル比を表し、存在する元素に必要な原子価により決定される。)によって表され得る。特別な態様において、チタンは、ルチル型構造、即ち、b>0を有する複合酸化物中において、バナジウム及びアンチモンと共に存在する。更なる態様において、式VSb
aTi
bO
c中の指数a及び指数bの合計は、≦1である。
【0034】
さらに特別な態様において、バナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物は、ケイ素を含まない。換言すれば、ケイ素は、複合酸化物のルチル型構造中に存在しない。
【0035】
本発明による触媒組成物中に存在するバナジウムの含有量は、バナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物及び任意のバナジウム酸化物(類)の両方のものを含み、元素Vとして計算して好ましくは0.5乃至6質量%の範囲、好ましくは1乃至4.5質量%、そしてより好ましくは2乃至4質量%である。本発明による触媒組成物中に存在するアンチモンの含有量は、バナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物及び任意のアンチモン酸化物(類)の両方のものを含み、元素Sbとして計算して好ましくは0.8乃至16質量%の範囲、好ましくは3.5乃至14質量%、そしてより好ましくは5乃至10質量%である。
【0036】
本発明による触媒組成物中の(存在する場合の)ケイ素の含有量は、元素Siとして計算して好ましくは0.2乃至9.5質量%の範囲、好ましくは0.4乃至7質量%、そしてより好ましくは0.9乃至4.6質量%である。
【0037】
TiO
2として計算されるチタンの含有量は、支持体中に存在するもの及びバナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物中に存在し得るものを含み、本発明による触媒組成物の総質量に基づき、好ましくは50乃至97.5質量%の範囲、好ましくは61乃至93質量%、そしてより好ましくは73乃至90質量%である。
【0038】
本発明による触媒組成物は、粉末形態又は成形物の形態で使用され得る。例えば、本発明による触媒組成物は、従来既知の種々の技術によりビーズ、球状物、ペレット又は粉砕された粒子等に成形されていてもよい。如何なる慣用のマトリックス材料又は助剤も、必要に応じて成形プロセス中に取りこまれ得、そしてそのようにして本発明による触媒組成物の成形物中に含まれ得ると理解される。
【0039】
あるいは、本発明による触媒組成物は、基材上に適用され得る。基材は、特に限定されるものではないが、例えば、ハニカム構造の基材又はウォール−フロー基材である。該基材は、セラミック又は金属のような触媒の製造に典型的に使用されるような材料の何れかであり得る。
【0040】
好ましい態様において、本発明は、ウォシュコートとしての基材上に担持される触媒組成物を提供し、該触媒組成物は、
・TiO
2を含む支持体
・CuKα線照射を用いたX線回折(XRD)分析により決定される、VSbO
4及びV
0.92Sb
0.92O
4とは異なるルチル型構造を有する、バナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物、そして
・任意に、ケイ素の酸化物、バナジウムの酸化物及びアンチモンの酸化物からなる群より選択される1つ以上
を含む。
【0041】
好ましい態様において、基材は、セラミック又は金属のハニカム構造を含む。基材の吸気面又は排気面から通して延びる微細な並列のガス流路を有する型の一体型の基材のような、いかなる適切な基材も採用され得る。それらの吸気面からそれらの排気面まで本質的に直線路である流路は、該流路を流れるガスが触媒組成物と接触するように、触媒組成物がウォシュコートとして担持されるウォールによって定義される。一体型の基材の流路は、台形、矩形、正方形、正弦曲線形、六角形、長円形、円形等のようないかなる適切な断面の形状及び寸法のものでもあり得る薄壁の流路である。
【0042】
そのような一体型の基材は、断面の平方インチあたり約900以上までの流路(又は“セル”)を含み得るが、ずっと少ないものも使用され得る。例えば、該基材は、平方インチあたり約50乃至600、より通常では約200乃至400のセル(“cpsi”)を有し得る。該セルは、矩形、正方形、円形、長円形、三角形、六角形、又はその他の多角形の形のものである断面を有し得る。
【0043】
好ましくは、該触媒組成物は、1乃至10g/in
3、そして好ましくは、1乃至7g/in
3、そしてより好ましくは2乃至5.5g/in
3の量で、基材上に適用され得る。
【0044】
本発明による触媒組成物は、特に、以下に記載されるように、内燃機関から又は発電所からの排ガス中の窒素酸化物(NO
x)を還元するために、使用され得る。
【0045】
ぞれぞれの場合における支持体及び成分の含有量は、本発明による触媒組成物の総質量に対して計算され、他に言及の無い限り、存在する場合でも基材は該総質量中に含まれないものと理解されるべきである。
【0046】
<触媒組成物の製造方法>
本発明の更なる目的において、本発明による触媒組成物の製造方法は、下記段階:
(i)バナジウム/アンチモン酸化物及び任意にケイ素源を、TiO
2を含む支持体と共に溶媒中で混合し、懸濁液を得る段階;
(ii)任意に、懸濁液を基材上に適用する段階;
(iii)80乃至250℃の範囲の温度において乾燥させる段階;
(iv)少なくとも500℃の温度において焼成する段階;
を含む方法が提供される。
【0047】
本発明に関して、バナジウム/アンチモン酸化物は、バナジウム酸化物(類)及びアンチモン酸化物(類)の混合物、バナジウム及びアンチモンの酸化物、又はバナジウム酸化物(類)及びアンチモン酸化物(類)とバナジウム及びアンチモンの酸化物(類)の組み合わせを意味している。
【0048】
本発明による方法において、ケイ素源は、使用された場合には特に限定されるものではなく、好ましくは、ケイ酸、シリカゾル、石英、石英ガラス又は非晶質シリカ、ケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩、アルコキシシラン、シリコン樹脂等又は任意のこれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される。
【0049】
触媒組成物のための支持体に関する以上の記載は、本発明による方法に適用される。
【0050】
本発明による方法の1つの態様において、段階(i)で用いられるバナジウム/アンチモン酸化物は、
(a)バナジウム酸化物(類)及びアンチモン酸化物(類)を含む懸濁液を準備する段階;
及び
(b)前記懸濁液を80℃乃至250℃の範囲の温度において乾燥させて、バナジウム/アンチモン酸化物を得る段階;
により製造される。
【0051】
この態様において、段階(a)において使用されるバナジウム酸化物(類)及びアンチモン酸化物(類)は、特に限定されるものではないが、例えばV
2O
5及びSb
2O
3が使用され得る。
【0052】
本発明による方法のさらなる態様において、 段階(i)で用いられるバナジウム/アンチモン酸化物は、
(a’)バナジウム源及びアンチモン源を含む懸濁液又は溶液を準備する段階;
(b’)前記懸濁液又は溶液からバナジウム/アンチモン酸化物を沈殿させ、そして分離する段階;及び
(c’)任意に、80℃乃至250℃の温度において乾燥させる段階;
により製造される。
【0053】
本発明に関して、バナジウム源及びアンチモン源は、該方法中においてバナジウム/アンチモン酸化物に変換され得るバナジウムを含む化合物及びアンチモンを含む化合物をそれぞれ意味する。
【0054】
この態様において、バナジウム源は、好ましくは、バナジウム酸アンモニウム、シュウ酸バナジル、五酸化バナジウム、バナジウムモノエタノールアミン、塩化バナジウム、三塩化酸化バナジウム、硫酸バナジル、バナジウムアンチモナイト、アンチモン酸バナジウム及びバナジウム酸化物から成る群より選択される。アンチモン源は、好ましくは、酢酸アンチモン、エチレングリコールアンチモン、硫酸アンチモン、硝酸アンチモン、塩化アンチモン、硫化アンチモン、アンチモン酸化物及びバナジウム酸アンチモンからなる群より選択される。
【0055】
本発明の方法において、段階(i)において使用される溶媒及び段階(a)及び(a’)における懸濁液又は溶液中の溶媒は、互いに独立して、従来既知のいかなる適切な溶媒でも、好ましくは水を含む溶媒、好ましくはDI水(脱イオン水)である溶媒であり得る。
【0056】
本発明による方法の段階(ii)において、懸濁液は従来既知の如何なる方法によっても基材へ任意に適用される。例えば、基材の下端が懸濁液に浸され得、そして、懸濁液が所望の長さまで基材の通路内に引き込まれるように、基材の上端に真空が適用される。触媒組成物を担持させる基材に関する上記に記載した説明は、本発明による方法に適用される。
【0057】
本発明による方法の段階(iii)において、段階(i)からの懸濁液又は段階(ii)から得られた基材は、80℃乃至250℃、好ましくは100℃乃至200℃、より好ましくは100℃乃至150℃の範囲の温度において乾燥される。乾燥は、特に限定することなく従来既知の如何なる方法によっても行われる。
【0058】
上記で議論された好ましい温度範囲はまた、本発明による方法のそれぞれの態様の段階(b)及び段階(c')においてもまた適用可能である。それら段階における乾燥はまた、特に限定することなく従来既知の如何なる方法によっても行われ得るが、スプレードライが好ましい。
【0059】
本発明による方法の段階(iv)において、焼成は、500℃乃至700℃の範囲の温度において、好ましくは500℃よりも高い温度乃至700℃範囲の温度において、より好ましくは550℃乃至700℃の範囲の、さらにより好ましくは600℃乃至700℃の範囲の、そして最も好ましくは650℃乃至700℃の範囲の温度において好ましく行われる。
【0060】
本発明による方法の態様によれば、適切な場合には、段階(b’)における沈殿は、沈殿剤、例えば、アンモニア、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の存在下で行われる。
【0061】
必要に応じて、分散剤、結合剤及び/又は増粘剤のような如何なるその他の慣用の添加剤も、本発明による方法中に使用され得る。
【0062】
更なる態様において、本発明による方法は、段階(i)からの懸濁液を基材に適用することを含まず、成形物中に触媒組成物を得るために、代わりの成形段階を任意に含む。成形が必要な場合は、焼成段階(iv)の前に、好ましくは乾燥段階(iii)の前に行われる。如何なる慣用のマトリックス材又は補助剤も必要に応じて成形プロセスの間に取り入れられることが理解されるべきである。
【0063】
<排ガス中の窒素酸化物(NO
x)の選択的触媒還元方法>
更なる局面において、本発明は、NO
x、特に排ガス中のNO
xの選択的触媒還元のための、本発明による触媒組成物又は本発明による方法により得られる/得られ得る触媒組成物の使用方法に関する。
【0064】
本発明による触媒組成物又は本発明による方法により得られる/得られ得る触媒組成物により処理され得る排ガスは、除去されるべき又は還元されるべきNO
xを含むあらゆる排ガスである。排ガスは、例えば、内燃機関、発電所又は焼却炉からのものであるが、それらに限定されない。
【0065】
したがって、排ガスを、本発明による触媒組成物又は本発明による方法により得られる/得られ得る触媒組成物と接触させることを含む、内燃機関からの排ガス中のNO
xを還元するための方法が提供される。
【0066】
特別な実施態様において、排ガスは、150℃乃至650℃、又は180℃乃至600℃、又は200℃乃至550℃の範囲の温度において、本発明による触媒組成物又は本発明による方法により得られた/得られ得る触媒組成物と接触させられる。
【0067】
排ガスと、本発明による触媒組成物又は本発明により得られた/得られ得る触媒組成物との接触は、還元剤の存在下において行われる。本発明において使用され得る還元剤は、それ自体でNO
xを還元する従来既知の如何なる還元剤でもあり得るが、例えばNH
3である。NH
3は、尿素から誘導され得る。
【0068】
排ガスの流れ方向における上流又は下流に、その他の触媒(類)が存在し得る。
【0069】
本発明の好ましい態様において、内燃機関はディーゼルエンジンである。
【0070】
本発明は、特に有利な態様を説明する以下の実施例により更に詳細に説明される。実施例は、本発明を詳細に説明するために提供されるが、これらは限定を意図するものではない。
【実施例】
【0071】
バナジウム/アンチモン酸化物の製造−化合物1
V
2O
5 40.0g及びSb
2O
3 64.1gをDI水300g中で混合し、そして攪拌し懸濁液を生成させた。この懸濁液を200℃においてスプレードライし、V:Sbが1:1のモル比の酸化物の混合物を形成させた。
【0072】
実施例1
化合物1の10.4gをDI水100.0gに添加し、そしてその後30分間攪拌し、次いでTiO
2粉末84.6g及び水性コロイド状SiO
2溶液16.7g(30%のSiO
2固形分)を加えた。このようにして得られた懸濁液を400/6のハニカム型コーディライト基材(数字400は、平方インチ当たりのセル数(cpsi)を表し、6は、チャネル間の壁厚ミルで表す。)に適用し、120℃の温度において終夜乾燥させ、次いで空気中で500℃にて3時間焼成を行った。室温に冷却した後、触媒1を得た。基材上のウォシュコートの総負荷量は、3.0g/in
3であった。
【0073】
実施例2
焼成を650℃において3時間行った以外は実施例1を繰り返して、触媒2を得た。
【0074】
実施例3
焼成を700℃において3時間行った以外は実施例1を繰り返して、触媒3を得た。
【0075】
実施例4
化合物1の13.0gをDI水100.0gに添加し、そして30分間攪拌し、次いでTiO
2粉末82.0g及び水性コロイド状SiO
2溶液16.7g(30%のSiO
2固形分)を加えた。このようにして得られた懸濁液を400/6のハニカム型コーディライト基材に適用し、120℃の温度において終夜乾燥させ、次いで空気中で500℃にて3時間焼成を行った。室温に冷却した後、触媒4を得た。基材上のウォシュコートの総負荷量は、3.0g/in
3であった。
【0076】
実施例5
焼成を650℃において3時間行った以外は実施例4を繰り返して、触媒5を得た。
【0077】
実施例6
焼成を700℃において3時間行った以外は実施例4を繰り返して、触媒6を得た。
【0078】
上記実施例において得られた触媒1乃至3のウォシュコートを、CuKα線照射を用い、ステップサイズ0.02°、D8アドバンスシリーズII、ブルカーAXS社製を用いたXRD分析により解析を行った。触媒1、2及び3のXRDパターンを
図1、2及び3にそれぞれ示す。触媒1乃至3のウォシュコートのセルパラメータ(cell parameter)並びにVSbO
4及びV
0.92Sb
0.92O
4のものと共にルチル型構造のXRDデータを表1に纏めた。
【0079】
【表1】
【0080】
TiO
2アナターゼの(101)面の2θ値は、触媒1乃至3の間では同様であり、そしてTiO
2アナターゼの(101)面の既知の2θ値と一致した。触媒1乃至3のルチル型構造に関するXRDパターン及びデータは信頼性があるものと考えられた。
【0081】
図1乃至3に示されたXRDパターン及び表1に示されたデータから、触媒1のウォシュコートは、対照V
0.92Sb
0.92O
4と同様のXRD回折(2θ値)及びセルパラメータ(a,c値)を示した。これに対し、触媒2及び触媒3のウォシュコートの(101)面の回折ピークは、対照VSbO
4のもの及び対照V
0.92Sb
0.92O
4のものよりも少なくとも0.5°高い2θ値にシフトし、そして触媒2及び触媒3のルチル系のセルパラメータc値は明らかに対照VSbO
4及び対照V
0.92Sb
0.92O
4より小さいものであった。このことは、触媒2及び触媒3が、TiO
2のアナターゼ構造並びにV
0.92Sb
0.92O
4及びVSbO
4とは異なるルチル型構造の複合酸化物を含むことを示すものである。
【0082】
また、触媒2を、X−Max
N 80mm
2のEDS検出器(オクスフォードインスツルメンツ社製)を備えたFEI Magellan400走査型電子顕微鏡(FEI社製)を用いた走査型透過電子顕微鏡法−エネルギー分散分光法(STEM−EDS)により分析した。試料をエタノール中で超音波によって分散させ、炭素膜で被覆された銅製板材上に滴下し、そしてその後、30kVの電圧下でSTEM微細構造分析にかけた。
図4に示されるSETM−EDS画像には、TiO
2上のV及びSbの分布が描かれ、そしてSiO
2の分布が異なっているか又は独立しているのに対して、ほぼ同様の画像であった。このことは、Siはルチル型構造中に取り込まれていないことを示唆するものである。
【0083】
触媒1乃至6のSCR活性試験
触媒1乃至6について、SCR活性の観点からNO
x除去を試験した。全ての触媒を試験用の固定床の模擬実験装置に置いた。直径1インチ及び長さ3インチの円筒形中の触媒7gを、それぞれの試験に用いた。供給ガスは、NH
3が500ppm、NOが500ppm、H
2Oが5%、O
2が10%そして残りがN
2からなる。空間速度は、60,000h
−1であった。活性試験結果を表2に纏める。
【0084】
【表2】
【0085】
触媒1乃至3を同じ出発材料の処方から製造したが、製造中の焼成温度においてのみ互いに差別化した。より高い焼成温度(それぞれ650℃及び700℃)のもとで得られた触媒2及び3は、触媒1と比べて優位に高いNO
x変換率を示した。500℃より高い焼成温度のもとで得られた触媒は、XRD分析により特徴付けられるように、V
0.92Sb
0.92O
4及びVSbO
4と異なるルチル型構造を有する複合酸化物を含むと考えられた。触媒4対5及び6の比較でもまた、触媒のSCR活性においてより高い焼成温度のもとで得られた複合酸化物の好ましい効果が認められた。
【0086】
比較例
比較のため、追加の触媒組成物を製造した。
【0087】
比較例1
550℃で20時間前処理を行った化合物1の10.4gをDI水100.0gに添加し、そしてその後30分間攪拌し、次いでTiO
2粉末84.6g及び水性コロイド状SiO
2溶液16.7g(30%のSiO
2固形分)を加えた。このようにして得られた懸濁液を400/6のハニカム型コーディライト基材に適用し、120℃の温度において終夜乾燥させ、次いで空気中で650℃にて3時間焼成を行った。室温に冷却した後、比較触媒1を得た。基材上のウォシュコートの総負荷量は、3.0g/in
3であった。
【0088】
比較例2
焼成を700℃において3時間行った以外は比較例1を繰り返し、比較触媒2を得た。
【0089】
比較例3
典型的な合成方法において、シュウ酸バナジル溶液(11%V
2O
5固形分)22.73gをDI水100.1gに添加し、そしてその後水性コロイド状SiO
2溶液(30%SiO
2固形分)と混合した。この混合物を30分間攪拌し、次いでWO
3/TiO
2粉末92.5gを添加した。得られたペーストをDI水で希釈した。その後、このようにして得られたスラリーを400/6のハニカム型コーディライト基板に塗布し、120℃の温度において終夜乾燥させ、次いで空気中で450℃において3時間焼成を行った。室温に冷却した後、比較触媒3を得た。
【0090】
比較触媒1乃至6のSCR活性試験
比較触媒を上記の手順を経て試験し、その活性試験結果を表3に纏めた。
【0091】
【表3】
【0092】
比較触媒1の製造は、化合物1をその他の化合物と混合する前に550℃において20時間前処理したことのみ触媒2の製造方法と異なる。触媒2は、比較触媒1よりも非常に高いNO
x変換率を示した。同様に、触媒3は比較触媒2よりも高いNO
x変換を示した。支持体としてのTiO
2は、高温焼成中にバナジウム及びアンチモンを含む複合酸化物の形成過程を促進又はそれに関与し、複合酸化物が触媒組成物の改善されたSCR活性を可能にすることが考えられた。
【0093】
更にまた、本発明による触媒組成物又は本発明による方法により得られる/得られ得る触媒組成物は、典型的な商業上入手できるSCR触媒である比較触媒3よりもSCR活性に関しても優れた性能を示した。
【0094】
本発明を実際の典型的な実施態様であると現在考えられるものに関して説明してきたが、本発明は開示された実施態様に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲に記載の精神と範囲に含まれる種々の変更及び同等の配列の変更を含むことを目的とすることが理解されるべきである。