(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態に係る基板処理装置の構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置の外観を示す。
図2は、本実施形態に係る基板処理装置の基板処理部の内部を示す平面図である。
図1に示すように、本例の基板処理装置は、EFEM(Equipment Front End Module)10、ロードポート11及び基板処理部12を備えている。
【0011】
EFEM10は、複数枚の基板(ウエハ)を収容した搬送容器を構成するキャリアCが載置されたロードポート11を備え、基板処理部12に接続する。EFEM10には、ロードポート11から基板処理部12に対してウエハの受け渡しを行う受け渡し機構を備えた図示しない搬送室が設けられている。搬送室の上面側には、図示しないファンフィルタユニットが設けられ、搬送室内は陽圧の清浄空気雰囲気の空間となっている。EFEM10は、受け渡し機構を介してキャリアCから受け取ったウエハを基板処理部12に受け渡す。
【0012】
基板処理部12は、
図2、
図4に示すように、基板搬送室20、処理ユニットU、及び接続部23を備えている。基板搬送室20は、長手方向に対向する一方の側面21にEFEM10が接続され、長手方向と直交する方向に対向する両側面22に複数の処理ユニットUが多段に接続されている。なお、基板搬送室20、処理ユニットU、及び接続部23は、本発明の基板処理装置における搬送室、処理ユニット、接続部の一例である。
【0013】
基板処理部12は、
図3に示すように、さらにアウターフレーム7を備え、処理ユニットUは、基板搬送室20に接続されたアウターフレーム7に収容されている。なお、基板搬送室20やアウターフレーム7は、例えば基板処理部12内に収容されている(
図1、
図9参照)。基板処理部12は、複数の処理ユニットUが多段に配置される場合に、多段に配置された複数の処理ユニットUに対して接続することが可能な高さを有する。
【0014】
基板搬送室20は、EFEM10から受け取ったウエハを大気雰囲気(陽圧雰囲気)下で複数の処理ユニットUに搬送する。基板搬送室20の上面側には、ファンフィルタユニットFが設けられ、基板搬送室20内は、陽圧の清浄空気雰囲気の空間となっている(
図4、
図8A、
図8B参照)。
【0015】
また、
図2に示すように、基板搬送室20の底部には、長手方向に沿って伸びる移動路を構成する走行レール20Bが設けられている。さらに基板搬送室20内には、走行レール20Bに案内されながら前後方向に移動自在に構成された支柱部20Cが設けられ、この支柱部20CのEFEM10側の側面に、支柱部に沿って昇降自在に構成された基板搬送機構20Aが設けられている。
【0016】
基板搬送機構20Aは、例えば前面が開口した筐体内に、ウエハを1枚ずつ保持する図示しないウエハ保持部を多段に設けた構造となっている。また基板搬送機構20Aは、筐体を鉛直軸周りに回転させる図示しない回転駆動部を介して支柱部に支持されている。この構成により基板搬送機構20Aは、筐体の開口面をEFEM10側、及びアウターフレーム7が設けられている基板搬送室20の左右の両側面側に向けることができる。
【0017】
なお、基板搬送機構20Aの構成は、ウエハを多段に収容可能な筐体によって構成することに限定されるものではない。例えば、伸縮、回転自在な1本、または複数本の関節アームを走行レールに沿って移動自在、支柱部に沿って昇降自在に設けてもよい。この場合には、EFEM10と基板搬送室20との間に、受け渡し対象のウエハを一時的に載置するための棚段状のウエハ載置部を設けることができる。
【0018】
図2に示すように、基板搬送室20の長手方向の両側には、処理ユニットUを収容するアウターフレーム7が、複数基ずつ(本例では3基ずつ)配置されている。なお、アウターフレーム7の配置方法は、
図2に示す例に限定されない。例えば、平面形状が多角形の基板搬送室20の一面にEFEM10を接続し、他の面にアウターフレーム7を放射状に接続する構成にしてもよい。
【0019】
アウターフレーム7は、例えば
図9に示すように、骨組み構造の枠体に、上下方向に間隔を開けて棚板部71、72を設けた棚段構造となっている。アウターフレーム7において、基板処理部12内の床面と下段側の棚板部72との間の空間、下段側の棚板部72と上段側の棚板部71との間の空間、上段側の棚板部71の上方の空間は、各々、処理ユニットUを収容するための収容空間70A〜70Cとなっている。
【0020】
なお、上下方向に多段に並べて処理ユニットUを収容するアウターフレーム7における処理ユニットUの収容段数は、
図9に示すような3段に限られるものではなく、2段であってもよく、4段以上であってもよい。そして、基板搬送室20の側面22に配置されるアウターフレーム7の配置基数についても、
図2に示すように3つずつに限定されるものではなく、2つずつ、または4つ以上ずつであってもよい。
【0021】
この他、例えばEEFM10に、1つのアウターフレーム7を直接接続してもよい。この場合は、EFEM10が基板搬送室に相当し、受け渡し機構が基板搬送機構に相当する。
【0022】
各処理ユニットUは、
図2に示すように、真空雰囲気下でウエハに処理を施す処理室40と該処理室40に接続されて大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替えるロードロック室30とを備えている。処理ユニットUは、ロードロック室30を介して基板搬送室20に接続されている。各処理ユニットUは、2つの処理室40A、40Bで構成され、2つの処理室40A、40Bは、ロードロック室30を介して基板搬送室20との間でウエハの受け渡しが行われる。
【0023】
図2、
図3に示すように、ロードロック室30は、平面形状が五角形で、内部に基板搬送機構32を設けた構造となっている。ロードロック室30には、ウエハの搬入出が行われる搬送口31が設けられている。ロードロック室30の一側面には連結口部34が設けられ、連結口部34の内側には搬送口31を開閉するためのゲートバルブG1が設けられている。
【0024】
図4に示すように、基板搬送室20の側面22には接続部23が設けられ、ロードロック室30側の連結口部34は接続部23に接続される。なお、接続部23の下部には、連結口部34と接続部23との接続を解除する際に安全装置として機能するインターロック機構36が収納されている(
図7参照)。
【0025】
また、基板搬送室20との接続面から見て、ロードロック室30の背面側に位置する2つの面には、各々、ゲートバルブG2、G3により開閉自在な搬送口35が設けられている。そして、これら搬送口35が設けられたロードロック室30の側面には、処理室40が気密に接続されている。
【0026】
ロードロック室30には、図示しない排気管が接続され、この排気管を介してロードロック室30内を真空排気することにより、常圧の大気雰囲気(常圧雰囲気)と真空雰囲気との間で内部雰囲気を切り替えることができる。ロードロック室30内に設けられた基板搬送機構32は、例えば、伸縮自在、及び鉛直軸周りに回転自在に構成された関節アームによって構成され、基板搬送室20と処理室40との間でウエハの受け渡しを行う。
【0027】
処理室40は、ウエハに対して成膜等の真空処理を行うことができる。処理室40には、処理対象のウエハが載置される載置台や、処理室40内に成膜用の処理ガスの供給を行う図示しない各種処理ガス供給部や、プラズマを利用した成膜を行う場合の図示しないプラズマ発生機構などが設けられている。
【0028】
このような構成を有する処理ユニットUは、
図3、
図9に示すように、骨組み構造の枠体として構成されたインナーフレーム6によって下面側から支持されている。インナーフレーム6の内側(処理ユニットUの下方側)の空間には、ロードロック室30内の基板搬送機構32を駆動する駆動機構や、処理室40内に設けられた載置台と、ロードロック室30側の基板搬送機構32との間でウエハの受け渡しを行うための受け渡し機構等の図示しない付帯機器が収容されている。
【0029】
図3、
図9に示すように、処理ユニットUは、インナーフレーム6に支持された状態にて、アウターフレーム7内の収容空間70A〜70Cに収容され、各処理ユニットUのロードロック室30が基板搬送室20に接続される。この結果、本実施形態の基板処理装置では、6基のアウターフレーム7内に収容された合計18台の処理ユニットUが基板搬送室20に接続され、36台の処理室40を用いてウエハに対する成膜を行うことができる。
【0030】
図3に示すように、基板搬送室20に対してアウターフレーム7の左手側には、各処理ユニットUの処理室40に対して成膜用の各種処理ガスや、不要な処理ガスを排出するためのパージガスなどを供給するためのガスボックス81が設けられている。さらに基板搬送室20に対してガスボックス81の後方には、ロードロック室30や処理室40に設けられた各種の駆動機器やプラズマ発生機構などに電力を供給するための電源ボックス82が設けられている。
【0031】
本実施形態の基板処理装置において、ガスボックス81や電源ボックス82は各アウターフレーム7内に多段に収容された複数台の処理ユニットU(本例では3台の処理ユニットU)に共通に設けられている。そして
図2に示すようにガスボックス81や電源ボックス82は、基板処理部12内に設けられた各々のアウターフレーム7の側方に配置される。
【0032】
このとき、
図2に示すように、アウターフレーム7に対してガスボックス81、電源ボックス82の配置位置を共通化することができる。これにより、ガスボックス81から処理室40に供給される処理ガスなどの供給配管や、電源ボックス82からロードロック室30、処理室40に供給される電力の供給線の構成や配置経路を、全ての処理ユニットUで共通化することができる。
【0033】
このように、各アウターフレーム7、ガスボックス81、電源ボックス82のレイアウト、処理ユニットU内のロードロック室30、処理室40のレイアウトを共通化しておくことにより、共通の構成を備えたロードロック室30、処理室40、アウターフレーム7、インナーフレーム6を用いて基板処理装置を構成することが可能となる。
【0034】
本実施形態の基板処理装置では、
図2、
図9に示すように、基板搬送室20を挟んで3基ずつ配置されたアウターフレーム7やこれに付設されたガスボックス81、電源ボックス82の配置レイアウトが、基板搬送室20を挟んで回転対称に配置された構成となっている。
【0035】
また、上述のガスボックス81や電源ボックス82のほか、アウターフレーム7の最上段の収容空間70Cに収容された処理ユニットUの上方側には、各処理室40内をドライクリーニングするためのクリーニングガス供給部が設けられているが、本例ではクリーニングガス供給部の記載は省略してある。
【0036】
また、アウターフレーム7とインナーフレーム6との間には、図示しない移動機構が設けられており、収容空間70A〜70Cでは、各々の収容空間70A〜70C内で、インナーフレーム6に支持された処理ユニットU(ロードロック室30及び処理室40)を一体として横方向に移動させることができる。
【0037】
各処理ユニットUにおいて、ロードロック室30に接続する処理室40の数は2つに限られるものではなく、3つ以上の処理室40を接続してもよい。また、各処理ユニットUに2つのロードロック室30を設け、一方のロードロック室30に対して処理室40Aを接続し、他方のロードロック室30に対して処理室40Bを接続する構成にしてもよい。この他、1つのロードロック室30と1つの処理室40とにより処理ユニットUを構成してもよい。
【0038】
また、処理ユニットUの処理室40で実施される処理の種類は、成膜に限られるものではなく、エッチング、アッシング、アニール等の処理を行うことができる。
【0039】
図7に示すように、基板搬送室20と接続されるロードロック室30の先端部には、連結口部34が設けられている。この連結口部34は、下辺に比べて上辺が短く、両側辺が傾斜した傾斜縁部となっていて、正面視した形状が台形である筒型の部材として構成されている。
【0040】
接続部23は、基板搬送室20と処理ユニットUのロードロック室30との間に設けられている。接続部23は、処理ユニットUが着脱可能に、基板搬送室20と処理ユニットUのロードロック室30とを接続することができる。すなわち、処理ユニットUのロードロック室30が接続部23に接続されることにより、処理ユニットUが基板搬送室20に装着され、処理ユニットUのロードロック室30を接続部23から切り離すことにより、処理ユニットUの基板搬送室20に対する装着を解除することができる。
【0041】
接続部23は、開口部23Aを有する。開口部23Aは、基板搬送室20とロードロック室30とを連通する。開口部23Aの形状、寸法は、特に限定されるものではなく、基板搬送室20と処理ユニットUとの間でウエハの受け取りが可能な形状、寸法になっている。
【0042】
本実施形態では、
図7に示すように、開口部23Aは、ロードロック室30側の連結口部34に対応して、正面視形状が等脚台形である枠体で構成されている。この開口部23Aの内側に、ウエハの搬入出口が開口している。詳細には、開口部23Aは連結口部34の上辺及び傾斜縁部の内側に嵌合するように段差が形成されている。また開口部23Aの下辺側の部材は、その上面に連結口部34の下辺側の部材を載置することが可能なように、連結口部34側へ向けて突出している。
【0043】
接続部23には、開口部23Aを開閉する開閉機構90が設けられている。開閉機構90は、開口部23Aを開閉することができる。開閉機構90の態様は、開口部23Aの開閉ができる限り、特に限定されるものではない。開閉機構90は、開口部23Aが開状態のときに、基板搬送室20と処理ユニットUとの間でウエハの受け取りを可能とし、開口部23Aが閉状態のときに、基板搬送室20と処理ユニットUとの間でウエハの受け取りができないようになっている。
【0044】
なお、開口部23Aおよび開閉機構90は、本発明の基板処理装置における開口部及び開閉機構の一例である。
【0045】
この他、本例の基板処理装置には、図示しない制御部が設けられている。制御部としては、例えばCPU(Central Processing Unit)と記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には各処理ユニットUの処理室40で実施される成膜の内容や基板搬送室におけるウエハの搬送順などの制御を行うステップ(命令)群が組込まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカードなどの記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールすることができる。
【0046】
次に、基板処理装置の作用について説明する。
図2などに示すように、基板処理装置の通常の運転時において、処理ユニットUはインナーフレーム6に支持された状態で各アウターフレーム7の収容空間70A〜70C内に収容され、それぞれの処理ユニットUのロードロック室30は基板搬送室20に接続されている。
【0047】
そして、処理対象のウエハを収容したキャリアCがEFEM10のロードポート11に載置されると、受け渡し機構によってキャリアCからウエハが取り出され、基板搬送室20の基板搬送機構に搬送される。予め設定された枚数だけ処理対象のウエハが基板搬送室20の基板搬送機構に収容されたら、これらのウエハに対して成膜を行う処理ユニットUが収容されている位置まで基板搬送機構を移動させる。そして基板搬送機構を構成する筐体の開口面を処理ユニットU側に向けると共に、当該処理ユニットU内のロードロック室30内の基板搬送機構32との間でウエハを受け渡し可能な高さに、取り出されるウエハの高さ位置を合わせる。
【0048】
一方、処理ユニットU側では、ロードロック室30内が常圧雰囲気の状態にて基板搬送室20側のゲートバルブG1を開き、基板搬送機構32の関節アームを延伸させて基板搬送室20内に進入させ、関節アームのフォークを、受け取るウエハの下方側に位置させる。その後、基板搬送室20内の基板搬送機構の筐体を少し降下させることにより、基板搬送室20内の保持部材からフォークへとウエハを受け取る。
【0049】
なお、上記ウエハの受け渡し動作に先行して、処理ユニットU内での成膜が終了したウエハを基板搬送室20内の基板搬送機構の空いているウエハ保持部に受け渡す動作を実施してもよい。ウエハを受け取った基板搬送機構32は、関節アームを縮小させ、ゲートバルブG1を閉じてロードロック室30内を真空雰囲気に切り替える。
【0050】
次いで、処理室40のゲートバルブG2またはゲートバルブG3を開き、処理室40内にウエハを搬入して成膜を実施する。処理ユニットUに設けられている2つの処理室40は、例えば一方側の処理室40にて成膜を行っている期間中、他方側の処理室40にクリーニングガスを供給してクリーニングを実施してもよい。また、2つの処理室40にて並行してウエハへの成膜を行ってもよい。
【0051】
所定の処理ユニットUにウエハを受け渡した基板搬送室20内の基板搬送機構は、収容する他のウエハに対して成膜を行う処理ユニットUの配置位置へと順次、移動してウエハの受け渡しを行う。この動作により、基板処理装置に設けられている複数の処理ユニットUにて並行してウエハに対する成膜を行うことができる。
【0052】
処理ユニットUにおける成膜が終了したら、基板搬送室20内の基板搬送機構を移動させて処理ユニットUから成膜後のウエハを受け取る。その後、基板搬送室20内の基板搬送機構の筐体に、成膜後のウエハを所定枚数だけ収容したら、基板搬送室20内の基板搬送機構をEFEM10側へ移動させ、搬入時とは反対の経路にて、成膜後のウエハを元のキャリアCに戻す。これにより、ウエハに対する一連の処理が完了する。
【0053】
次に、各処理ユニットUのメンテナンスを行う場合について説明する。まず、メンテナンスの対象となる処理ユニットUを基板搬送室20の基板搬送機構によるウエハの搬送先から外されるように制御部の設定を行い、ロードロック室30内を常圧状態とし、また処理室40の真空状態を解除して開放可能な状態とする。また、制御部では、メンテナンスの対象ではない他のアウターフレーム7内に設けられた処理ユニットUを用いて、ウエハの処理を継続する設定を行うことができる。
【0054】
一方、メンテナンス対象の処理ユニットUのロードロック室30が接続する接続部23では、開閉機構90により開口部23Aを開状態から閉状態にする。これにより、開閉機構90(後述するシャッター91)が開口部23Aを閉じた状態となり(
図4、
図5参照)、処理ユニットUのメンテナンスが可能な状態となる。
【0055】
所定の処理ユニットUがメンテナンス可能な状態となったら、当該処理ユニットUについて、
図10に示すように、作業者Pが処理室40を開放する準備を行う。このとき、本例の基板処理装置は、処理ユニットUを収容する収容空間70A〜70Cの位置に応じて準備の内容が異なる。
【0056】
まず、最下段の収容空間70Cに収容された処理ユニットUについては、図示しない各種配管を取り外し、また、図示しない各種配管の連結部材の締結を解除する。その後、ジャッキ等によりインナーフレーム6(処理ユニットU)を上昇させ、各種配管を切り離す。次いで、基板搬送室20から離間させる方向へとインナーフレーム6及びインナーフレーム6に支持された処理ユニットUを引き出す。上記操作により処理室40を開放することが可能な状態となり、作業者Pによって必要なメンテナンスが実施される。
【0057】
次に、中段の収容空間70Bに収容された処理ユニットUについては、処理ユニットUが引き出される位置に、インナーフレーム6を載置する載置台MTを設ける。載置台MTの上面側に設けられた天板は、アウターフレーム7側の棚板部72と連続した面が形成されるように配置され、また当該天板面には棚板部72側の図示しない移動機構が形成されている。
【0058】
また、最下段の処理ユニットUの場合と同様に、クリーニングガスの供給配管を取り外すと共に、各種配管の連結を解除し、ジャッキ等を用いてインナーフレーム6(処理ユニットU)を上昇させる。次いで、棚板部72及び載置台MTの天板の移動機構により、基板搬送室20から離間させる方向へとインナーフレーム6及びインナーフレーム6に支持された処理ユニットUを引き出す。
図10に示すように作業者Pは踏み台PLに乗って処理室40を開放し、必要なメンテナンスを行う。
【0059】
さらに、最上段の収容空間70Aに収容された処理ユニットUについては、当該処理ユニットUよりも上段側に処理ユニットUが配置されていないため、基板処理部12を収容する筐体の一部、及びクリーニングガスの供給配管を取り外すことにより、直接、処理室40にアクセスすることができる。そのため、作業者Pは踏み台PLに乗って基板処理部12の筐体の一部を取り外し、処理ユニットUの取り外しを行わずに処理室40を開放し、必要なメンテナンスを行うことができる。
【0060】
次に、収容空間70B、70Cから引き出された処理ユニットUを基板搬送室20に接続する動作について説明する。まず、基板搬送室20から離間した所定のメンテナンス位置まで引き出された処理ユニットUについて、メンテナンスが終了したら、処理室40を閉じて開放状態から復旧する。
【0061】
次いで、棚板部72の移動機構に沿ってインナーフレーム6を移動させ、基板搬送室20にロードロック室30を接続する位置(ロードロック室30が基板搬送室20に接続される接続位置よりも上方側の切り離し位置)まで、横方向にインナーフレーム6を押し戻す。その後、ジャッキ等によりインナーフレーム6を降下させ、処理ユニットUを接続位置まで移動させて、ロードロック室30の連結口部34と接続部23の開口部23Aとを嵌合させることにより、ロードロック室30を基板搬送室20に接続する。
【0062】
上記切り離し位置から接続位置までの降下動作において、インナーフレーム6を切り離し位置まで移動させ、さらに接続位置まで降下させると、アウターフレーム7の枠体部材の内側面及びインナーフレーム6の枠体部材の外側面に設けられた図示しない案内機構により、アウターフレーム7に対してインナーフレーム6が位置決めされる。
【0063】
また上記切り離し位置から接続位置までの降下動作に伴って、後述する嵌合構造に示すように、ロードロック室30に設けられた連結口部34と接続部23側の開口部23Aとが嵌合し、基板搬送室20側から見て前後方向の位置決めも行われる。なお、連結口部34と接続部23との位置決めは、図示しないピンを介して行われる。
【0064】
このとき連結口部34と開口部23Aにおいて、横方向に伸びる上辺、下辺同士を互いに嵌合させることにより、ロードロック室30の降下動作にてこれらの部材間に密着面を形成することができる。また、連結口部34、開口部23Aの両側辺が傾斜縁部となっていることによっても、これらの辺同士を互いに嵌合させることにより、ロードロック室30の降下動作にてこれらの部材間に容易に密着面を形成することができる。これに対して、連結口部34及び開口部23Aの両側辺が垂直方向に伸びる縁部となっている場合には、ロードロック室30の降下動作のみで気密な密着面を形成すると共に密着面同士の擦れによるパーティクルの発生を防止することは困難である。
【0065】
以上に説明した構成により処理ユニットUが正確な接続位置に配置されると、図示しない各種配管は、切り離される前の位置に配置され、各種配管の連結部材を締結することにより、処理ユニットUは再稼働の準備を開始可能な状態となる。なお、本例では、中段の収容空間70Bに収容された処理ユニットU及びインナーフレーム6の例を示したが、最下段の収容空間70Cに収容された処理ユニットU、インナーフレーム6についての動作も同様である。
【0066】
本実施形態では、上述の開閉機構90を設けることにより、各処理ユニットUのメンテナンスを行う際に、開口部23Aを閉状態にすることができる。そのため、各処理ユニットUのメンテナンス時に各処理ユニットUが基板搬送室20から切り離される際に、開口部23Aを閉じることができるため、メンテナンス時における基板処理装置内へのパーティクルの混入を防ぐことができる。また、各処理ユニットUのメンテナンスを行う際に、メンテナンスが必要な処理ユニットUが連通する開口部23Aを閉じることができ、各処理ユニットUのメンテナンス中も基板処理装置の稼働を継続することができる。
【0067】
本実施の形態では、開閉機構90には、
図4、
図5に示すように、開口部23Aを開閉可能に覆うシャッター91を用いることができる。シャッター91の形状、寸法は、開口部23Aを覆うことができるものであれば、特に限定されるものではない。また、シャッターの材質は、金属等の剛性を有する材質であるのが好ましい。このようなシャッターを用いることにより、開口部23Aの開閉を確実に行うことができる。
【0068】
本実施形態では、
図4〜
図7に示すように、接続部23は、基板搬送室20側に突出する凸部CPを有する。そして、開口部23Aは、凸部CPの底部24に形成されている。処理ユニットU側には、この凸部CPに対応して処理ユニットU側に形成された凹部DPが形成されている。
【0069】
このような構成により、処理ユニットUと基板搬送室20との接続部分の位置を基板搬送室20の内側に寄せることができる。そのため、基板処理部12の寸法を小さくすることができ、基板処理装置全体としてフットプリントを小さくすることができる。
【0070】
本実施形態では、
図4〜
図6に示すように、接続部23の凸部CPは、テーパー状傾斜面25、26を備える。傾斜面25、26は、
図8Bに示すように、基板搬送室20の上下方向に沿う断面の幅寸法が基板処理室の側面22から開口部23Aに向かって徐々に小さくなるように傾斜している。このような傾斜面25、26の存在により、開口部23Aにシャッター等の開閉機構を設けた場合でも、基板搬送室20内でファンフィルタユニットFからの気流が乱れるのを防ぐことができる。
【0071】
具体的には、
図8Aに示すように基板搬送室20の側面に直接シャッター等の開閉機構を取り付けると、ファンフィルタユニットFからの気流により基板搬送室20内で乱流が発生し(
図8Aの矢印参照)、基板搬送室20の側面等からパーティクルが剥がれ落ちウエハが汚染されるおそれがある。これに対して、
図8Bに示すように、傾斜面25、26を有する接続部23に設けられた開口部23Aにシャッター91(開閉機構90)を取り付けることにより、基板搬送室20内で乱流が発生しにくくなるため(
図8Bの矢印参照)、基板搬送室20の側面等からパーティクルが剥がれ落ちることによるウエハの汚染を防止することができる。
【0072】
本実施形態では、シャッター91に、シール部91Aが設けられている。シール部91Aは、開口部23Aが閉状態のときに開口部23Aの開口端部23Bに密着するように、シャッター91の周縁部90Aに配置されている。シール部91Aの材質は、特に限定されるものではないが、エチレンプロピレンゴム製のスポンジ等を用いることにより、開口部23Aが閉状態のときに開口部23Aの開口端部23Bに確実に密着することができる。このようなシール部91Aをシャッター91に設けることにより、シャッター91で開口部23Aを閉じた状態で開口部23Aを密閉することができる。
【0073】
本実施形態では、シャッター91は、開口部23Aが開状態のときに、接続部23の上部(傾斜面25上)または接続部23の下部(傾斜面26上)に配置するのが好ましい。開口部23Aが開状態のときに、シャッター91を傾斜面25上または傾斜面26上に配置することにより、基板搬送室20内で搬送されるウエハや基板搬送室20とロードロック室30との間で開口部23Aを介して出し入れされるウエハに対してシャッター91が干渉するのを防ぐことができる。
【0074】
本実施形態では、傾斜面25に、シャッター91を収納する収納部29が形成されている。この収納部29には、開口部23Aが開状態のときに、シャッター91が収納される。このような収納部29を設けることにより、基板処理装置の稼働時にシャッター91がウエハに干渉するのを確実に防ぐことができる。また、開口部23Aが開状態のときに、シャッター91をこのような収納部29に収納することにより、接続部23の傾斜面上に配置されるシャッター91によって、基板搬送室20内で気流が乱れるのを防ぐことができる。
【0075】
本実施形態では、開閉機構90に、シャッター等を回転させる回転機構92が設けられている。回転機構92が配置される位置は特に限定されないが、基板搬送室20内で搬送されるウエハや搬送機構と干渉しないように、接続部の凹部DP(処理ユニットU)側に設けるのが好ましい。回転機構92の態様は、特に限定されないが、シャッター91への取り付けが容易で開閉動作を容易である観点から、モーターやロータリーアクチュエータ等の回転機構92を用いることができる。
【0076】
ロータリーアクチュエータ92は、接続部23の凹部DP内の開口部23Aを除く部分に設置することにより、搬送されるウエハの障害にならないようにすることができる。シャッター91は、ロータリーアクチュエータ92の回転軸93に回転自在に固定されており、ロータリーアクチュエータ92の回転動作により回転することができる。また、
図7に示すように、開口部23Aの開口端部23Bの側面には、回転軸93を挿通する貫通孔が形成されており、該貫通孔と回転軸93の隙間にはO−リング等のシール部材93Aが設けられている。
【0077】
なお、ロータリーアクチュエータ92の下部には、回転軸93を駆動する際に安全装置として機能するインターロック機構94が設けられている。また、接続部23には、ロータリーアクチュエータ92の設置またはメンテナンスを行う際に利用する作業口が設けられている。この作業口は、ロータリーアクチュエータ92の設置等が行われない場合は蓋Bで閉じられている。
【0078】
本実施形態では、
図7に示すように、接続部23は、ロードロック室30(連結口部34)の嵌合部34Aが嵌合する被嵌合部23Cを有する。すなわち、ロードロック室30と接続部23とは、嵌合部34Aと被嵌合部23Cとの嵌合構造により接続されている。このような嵌合構造により、ロードロック室30と接続部23との位置決めが容易である上に、ロードロック室30と接続部23とを確実に接続することができる。
【0079】
また、接続部23の被嵌合部23Cには、シール部23Dが設けられている。シール部23Dは、ロードロック室30が接続部23に接続した状態で、ロードロック室30の嵌合部34Aに密着するように、接続部23の被嵌合部23Cに配置されている。シール部23Dの材質は、特に限定されるものではないが、シャッター91のシール部91Aと同様に、エチレンプロピレンゴム製のスポンジ等を用いることができる。このようなシール部23Dを接続部23に設けることにより、ロードロック室30と接続部23との接続部分を確実に密着することができる。
【0080】
本実施形態では、
図9、
図10に示すように、処理ユニットUが基板搬送室20の上下方向に沿って多段に配置されている。このように複数の処理ユニットUを多段に配置することにより、フットプリントを大きくせずに基板処理装置のスループットを高くすることができる。
【0081】
また、複数の処理ユニットUを多段に配置した場合、上段に配置された処理ユニットをメンテナンスする際に、基板搬送室20内で上段の処理ユニット側から下段の処理ユニット側にパーティクルが落下して、下段の処理ユニットUで処理されるウエハや下段の処理ユニット内が汚染される傾向がある。しかしながら、本実施形態では、上段の処理ユニットをメンテナンスする際に開口部23Aを閉じることができるため、メンテナンスされている上段の処理ユニット側からメンテナンスされていない下段の処理ユニット側にパーティクルが落下するのを防ぐことができる。
【0082】
次に、本発明の別の実施形態に係る基板処理装置の構成について説明する。
図11は、本発明の別の実施形態に係る基板処理装置の外観の一例を示す斜視図である。
図12は、本発明の別の実施形態に係る基板処理装置の一例を示す平面図である。
【0083】
図11に示すように、本発明の別の実施形態の基板処理装置は、EFEM110、大気搬送室120、ロードロック室130、真空搬送室140、第1処理ユニット150、及び第2処理ユニット160を備えている。
【0084】
EFEM110は、複数枚のウエハを収容した搬送容器を構成するキャリアCが載置されるロードポート111を備え、大気搬送室120に接続する。EFEM110には、ロードポート111から大気搬送室120に対してウエハの受け渡しを行う受け渡し機構(図示せず)を備えた搬送室112が設けられている。搬送室112の上面側には、例えばファンフィルタユニット(図示せず)が設けられ、搬送室112内は陽圧の清浄空気雰囲気(例えば不活性ガス雰囲気)の空間となっている。EFEM110は、受け渡し機構を介してキャリアCから受け取ったウエハを大気搬送室120に受け渡す。
【0085】
大気搬送室120は、EFEM110の搬送室112に接続されている。大気搬送室120は、略直方体形状であり、例えばEFEM110と同様の高さを有する。大気搬送室120のEFEM110と対向する側には、ロードロック室130(例えば2つのロードロック室130A,130B)が接続されている。また、大気搬送室120のEFEM110及びロードロック室130が接続されていない側には、第1処理ユニット150(例えば4つの処理ユニット150A,150B,150C,150D)が接続されている。大気搬送室120は、EFEM110、ロードロック室130、及び第1処理ユニット150の間でウエハを搬送する搬送機構(図示せず)を有する。搬送機構は、EFEM110、ロードロック室130、及び第1処理ユニット150の間でウエハを搬送することが可能であればその構成は限定されず、例えば1本又は複数本の多関節アームであってよい。大気搬送室120の上面側には、例えばファンフィルタユニット(図示せず)が設けられ、大気搬送室120内は、陽圧の清浄空気雰囲気(例えば不活性ガス雰囲気)の空間となっている。
【0086】
ロードロック室130は、大気搬送室120と真空搬送室140との間に設けられている。ロードロック室130は、内部雰囲気を常圧の大気雰囲気(常圧雰囲気)と真空雰囲気との間で切り替えることが可能な内圧可変室である。ロードロック室130の内部には、例えばウエハを載置する載置台(図示せず)が設けられている。ロードロック室130は、ウエハを大気搬送室120から真空搬送室140へ搬送する際、内部雰囲気を大気雰囲気に維持して大気搬送室120からウエハを受け取った後、内部雰囲気を減圧して真空搬送室140へウエハを搬送する。一方、ウエハを真空搬送室140から大気搬送室120へ搬送する際、内部雰囲気を真空雰囲気に維持して真空搬送室140からウエハを受け取った後、内部雰囲気を大気雰囲気まで昇圧して大気搬送室120へウエハを搬送する。ロードロック室130と大気搬送室120とは、開閉自在なゲートバルブ(図示せず)で仕切られている。また、ロードロック室130と真空搬送室140とは、開閉自在なゲートバルブ(図示せず)で仕切られている。
【0087】
真空搬送室140は、平面視において略四角形状を有する。真空搬送室140は、真空室からなり、内部にロードロック室130と第2処理ユニット160(例えば8つの処理ユニット160A〜160H)との間でウエハを搬送する搬送機構(図示せず)が配置されている。搬送機構は、ロードロック室130と第2処理ユニット160との間でウエハを搬送することが可能であればその構成は限定されない。搬送機構は、例えば真空搬送室140の底部に長手方向に沿って延びる移動を構成する走行レールと、走行レールに案内されながら上記長手方向に移動自在に支柱部と、支柱部に設けられた例えば1本又は複数本の多関節アームとを含む構成であってよい。
【0088】
第1処理ユニット150は、大気搬送室120に接続されている。第1処理ユニット150は、
図11及び
図12に示す例では、大気搬送室120のEFEM110及びロードロック室130が接続されていない側の一方の側面に高さ方向に2段に配置された2つの処理ユニット150A,150Bと、他方の側面に高さ方向に2段に配置された2つの処理ユニット150C,150Dと、を有する。但し、第1処理ユニット150の数は4つに限定されるものではなく、3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。第1処理ユニット150は、大気雰囲気下でウエハに対して、洗浄、後処理、膜厚測定等の大気処理を施す処理室(図示せず)を有する。
【0089】
大気搬送室120と第1処理ユニット150の処理室との間には、接続部123が設けられている。接続部123は、
図4から
図8を参照して説明した接続部23と同様の構成であってよい。すなわち、接続部123は、第1処理ユニット150が着脱可能に、大気搬送室120と第1処理ユニット150の処理室とを接続することができる。言い換えると、第1処理ユニット150の処理室が接続部123に接続されることにより、第1処理ユニット150が大気搬送室120に装着され、第1処理ユニット150の処理室を接続部123から切り離すことにより、第1処理ユニット150の大気搬送室120に対する装着を解除することができる。また、接続部123は、大気搬送室120と第1処理ユニット150の処理室とを連通する開口部23Aと、開口部23Aを開閉する開閉機構90とを有する(
図4〜
図7を参照)。
【0090】
第2処理ユニット160は、真空搬送室140に接続されている。第2処理ユニット160は、
図11及び
図12に示す例では、真空搬送室140の長手方向に沿った一方の側面に4つの処理ユニット160A,160B,160C,160Dが接続され、他方の側面に4つの処理ユニット160E,160F,160G,160Hが接続されている。但し、第2処理ユニット160の数は8つに限定されるものではなく、7つ以下であってもよく、9つ以上であってもよい。また、第2処理ユニット160は、前述した処理ユニットUと同様に高さ方向に複数段に配置されていてもよい。第2処理ユニット160は、真空雰囲気下でウエハに対して成膜、エッチング等の真空処理を施す処理室(図示せず)を有する。処理室には、処理対象のウエハが載置される載置台や、処理室内に成膜やエッチングに用いられる処理ガスの供給を行う各種処理ガス供給部やプラズマを利用した成膜を行う場合のプラズマ発生機構等(いずれも図示せず)が設けられている。また、第2処理ユニット160と真空搬送室140とは、開閉自在なゲートバルブ(図示せず)で仕切られている。
【0091】
以上に説明した本発明の別の実施形態に係る基板処理装置によれば、
図1から
図10を参照して説明した実施形態と同様の効果が奏される。
【0092】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
本国際出願は、2017年3月24日に出願した日本国特許出願第2017−059814号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。