特許第6972146号(P6972146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972146
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】共重合体およびこれを含む有機太陽電池
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20211111BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   C08G61/12
   H01L31/04 152B
【請求項の数】11
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2019-543362(P2019-543362)
(86)(22)【出願日】2018年6月22日
(65)【公表番号】特表2020-508368(P2020-508368A)
(43)【公表日】2020年3月19日
(86)【国際出願番号】KR2018007080
(87)【国際公開番号】WO2019009543
(87)【国際公開日】20190110
【審査請求日】2019年8月9日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0085866
(32)【優先日】2017年7月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ボギュ・リム
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ホン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソンリム・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥファン・チェ
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−084131(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/065136(WO,A1)
【文献】 WANG, X. et al.,Synthesis and photovoltaic properties of donor-acceptor conjugated polymers based on 4,7-dithienyl-2,1,3-benzothiadiazole functionalized silole,Synthetic Metals,2016年,V220,P433-439
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/12
H01L 51/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1−1で表される単位を含む共重合体:
【化1】
前記化学式1−1において、
m1、m2、m1’およびm2’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、0〜5の整数であり、
m1、m2、m1’およびm2’がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
q1、q2、q1’およびq2’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、1〜5の整数であり、
q1、q2、q1’およびq2’がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
X1、X2、X1’、X2’、Z1〜Z5およびZ1’〜Z5’は、Sであり、
E1は、第1共役単量体であり、
E2は、第2共役単量体であり、
R1、R4、R1’、およびR4’はハロゲン基であり、
R、R’、R11〜R18およびR11’〜R18’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
R2、R3、R2’、およびR3’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロ環基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;または置換もしくは非置換のアリールオキシ基であり、
fは、モル分率であって、0< f <1の実数であり、
gは、モル分率であって、0< g <1の実数であり、
f+g=1であり、
nは、単位の繰り返し単位数であって、1〜10,000の整数である。
【請求項2】
前記第1共役単量体および第2共役単量体は、それぞれ独立に、下記構造のうちのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせを含むものである、請求項1または2に記載の共重合体:
【化2】
前記構造において、
a、a’、bおよびb’は、それぞれ1〜5の整数であり、
a、a’、bおよびb’がそれぞれ2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
X11〜X30およびX33〜X40は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、S、O、Se、Te、NR、CR、SiR、PR、またはGeRであり、
X31およびX32は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、C、Si、またはGeであり、
R101〜R124、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【請求項3】
前記共重合体は、下記化学式1−2で表される単位を含むものである、請求項1に記載の共重合体:
【化3】
前記化学式1−2において、
f、g、n、m1、m2、m1’、m2’、q1、q2、q1’、q2’、X1、X2、X1’、X2’、Z1〜Z5、Z1’〜Z5’、E1、E2、R1、R4、R1’、R4’、R11〜R18およびR11’〜R18’は、化学式1−1で定義したものと同じであり、
R51、R51’、R52およびR52’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、 置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基。
【請求項4】
前記共重合体は、下記構造のうちのいずれか1つを含むものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の共重合体:
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
前記構造において、
fは、モル分率であって、0< f <1の実数であり、
gは、モル分率であって、0< g <1の実数であり、
f+g=1であり、
nは、単位の繰り返し単位数であって、1〜10,000の整数である。
【請求項5】
下記化学式1で表される第1化合物;
下記化学式2で表される第2化合物;および
下記化学式3で表される第3化合物を反応させるステップを含む共重合体の製造方法:
【化11】
前記化学式1〜3において、
m1およびm2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、0〜5の整数であり、
m1およびm2がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
q1およびq2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、1〜5の整数であり、
q1およびq2がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
A1、A1’、A2、A2’、A3およびA3’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲン基;置換もしくは非置換のホウ素基;または−SnRであり、
E1は、第1共役単量体であり、
E2は、前記第1共役単量体とは異なる第2共役単量体であり、
X1、X2およびZ1〜Z5は、Sであり、
R1およびR4はハロゲン基であり、
、R、R、R、R’、R2、R3およびR11〜R18は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【請求項6】
前記共重合体の製造方法は、溶媒に第1化合物;第2化合物;および第3化合物を溶解させるステップを含むものである、請求項5に記載の共重合体の製造方法。
【請求項7】
第1電極と、
前記第1電極に対向して備えられる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に備えられ、光活性層を含む1層以上の有機物層とを含み、
前記有機物層のうちの1層以上は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合体を含むものである有機太陽電池。
【請求項8】
前記有機物層は、正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送および正孔注入を同時に行う層を含み、
前記正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送および正孔注入を同時に行う層は、前記共重合体を含む、請求項7に記載の有機太陽電池。
【請求項9】
前記有機物層は、電子注入層、電子輸送層、または電子注入および電子輸送を同時に行う層を含み、
前記電子注入層、電子輸送層、または電子注入および電子輸送を同時に行う層は、前記共重合体を含む、請求項7に記載の有機太陽電池。
【請求項10】
前記光活性層は、電子供与体および電子受容体を含み、
前記電子供与体は、前記共重合体を含むものである、請求項7〜9のいずれか一項に記載の有機太陽電池。
【請求項11】
前記有機太陽電池は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電荷発生層、電子阻止層、電子注入層、および電子輸送層からなる群より選択される1または2以上の有機物層をさらに含むものである、請求項7〜10のいずれか一項に記載の有機太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2017年7月6日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2017−0085866号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、共重合体およびこれを含む有機太陽電池に関する。
【背景技術】
【0003】
有機太陽電池は、光起電力効果(photovoltaic effect)を応用することにより太陽エネルギーを直接電気エネルギーに変換できる素子である。太陽電池は、薄膜を構成する物質によって、無機太陽電池と、有機太陽電池とに分けられる。典型的な太陽電池は、無機半導体である結晶性シリコン(Si)をドーピング(doping)してp−n接合にしたものである。光を吸収して生じる電子と正孔は、p−n接合点まで拡散し、その電界によって加速されて電極に移動する。この過程の電力変換効率は、外部回路に与えられる電力と太陽電池に入った太陽電力との比で定義され、現在標準化された仮想太陽照射条件で測定する時、24%程度まで達成された。しかし、従来の無機太陽電池は、すでに経済性と材料上の需給で限界を見せていることから、加工が容易で安価で多様な機能性を有する有機物半導体太陽電池が長期的な代替エネルギー源として注目されている。
【0004】
太陽電池は、太陽エネルギーからできるだけ多くの電気エネルギーを出力できるように効率を高めることが重要である。このような太陽電池の効率を高めるためには、半導体の内部でできるだけ多くのエキシトンを生成することも重要であるが、生成された電荷を損失なく外部に引き出すことも重要である。電荷が損失する原因の一つが、生成された電子および正孔が再結合(recombination)によって消滅することである。生成された電子や正孔が損失なく電極に伝達されるための方法として多様な方法が提示されているが、ほとんど追加の工程が求められ、それによって製造費用が上昇しかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、共重合体およびこれを含む有機太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、下記化学式1で表される化合物に由来する繰り返し単位;
第1共役単量体;および
前記第1共役単量体とは異なる第2共役単量体を含む共重合体を提供する。
【0007】
【化1】
【0008】
前記化学式1において、
m1およびm2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、0〜5の整数であり、
m1およびm2がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
q1およびq2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、1〜5の整数であり、
q1およびq2がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
A1およびA1’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲン基;置換もしくは非置換のホウ素基;または−SnRであり、
X1、X2およびZ1〜Z5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、S、O、Se、Te、NR、CRR’、SiRR’、PR、またはGeRR’であり、
、R、R、R、R’、R1〜R4およびR11〜R18は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0009】
本明細書のもう一つの実施態様は、下記化学式1で表される第1化合物;
下記化学式2で表される第2化合物;および
下記化学式3で表される第3化合物を反応させるステップを含む共重合体の製造方法を提供する。
【0010】
【化2】
【0011】
前記化学式1〜3において、
m1およびm2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、0〜5の整数であり、
m1およびm2がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
q1およびq2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、1〜5の整数であり、
q1およびq2がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
A1、A1’、A2、A2’、A3およびA3’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲン基;置換もしくは非置換のホウ素基;または−SnRであり、
E1は、第1共役単量体であり、
E2は、前記第1共役単量体とは異なる第2共役単量体であり、
X1、X2およびZ1〜Z5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、S、O、Se、Te、NR、CRR’、SiRR’、PR、またはGeRR’であり、
、R、R、R1〜R4およびR11〜R18は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0012】
本明細書のもう一つの実施態様は、第1電極と、
前記第1電極に対向して備えられる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に備えられ、光活性層を含む1層以上の有機物層とを含み、
前記有機物層のうちの1層以上は、前記共重合体を含むものである有機太陽電池を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本明細書の一実施態様に係る共重合体は、平面性を示して、凝集(aggregation)特性および結晶性に優れる。
【0014】
本明細書の一実施態様に係る共重合体は、バンドギャップの減少および/または光の吸収量増加の効果を有することができる。これによって、有機太陽電池への適用時、高い電流値(Isc)を示すことにより、優れた効率を示すことができる。
【0015】
本明細書の一実施態様に係る共重合体は、高い効率の実現と同時に適切な溶解度を有していて、素子の作製時に時間および/または費用的に経済的な利点がある。
【0016】
本明細書の一実施態様に係る共重合体は、有機太陽電池において単独または他の物質と混合して使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書の一実施態様に係る有機太陽電池を示す図である。
図2】化合物1−dのNMRスペクトルを示す図である。
図3】化合物1−dのMSスペクトルを示す図である。
図4】化合物1−eのMSスペクトルを示す図である。
図5】化合物1−fのMSスペクトルを示す図である。
図6】化合物1−fのNMRスペクトルを示す図である。
図7】化合物1−gのMSスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本明細書について詳細に説明する。
【0019】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1で表される化合物に由来する繰り返し単位;第1共役単量体;および前記第1共役単量体とは異なる第2共役単量体を含む共重合体を提供する。
【0020】
前記化学式1で表される化合物に由来する繰り返し単位は、電子供与体性質を有するチオフェン(thiophene)と電子受容体性質を有するベンゾチアジアゾール(benzothiadiazole)構造を含む。したがって、前記チオフェンとベンゾチアジアゾールとの間の分子内相互作用(intramolecular interaction)で平面性に優れて結晶性が向上する。
【0021】
また、前記化学式1で表される化合物に由来する繰り返し単位は、R1およびR4が一定位置に置換される位置規則性(region−regular)を有することにより、結晶性に優れる。
【0022】
本明細書において、「位置規則性」とは、重合体内の構造で一定の方向に置換基が備えられることを意味する。例えば、前記化学式1において、R1およびR4がZ3を有するヘテロ環基と相対的に遠い位置に置換されることを意味する。
【0023】
本明細書において、前記「由来」とは、化合物内の隣接した少なくとも2個の元素間の結合が切れたり、水素または置換基が離れていくにつれて新しい結合が発生することを意味し、前記化合物に由来する単位は、共重合体の主鎖および側鎖のうちの1つ以上を形成する単位を意味することができる。前記単位は、共重合体内の主鎖に含まれて共重合体を構成することができる。
【0024】
本明細書において、「繰り返し単位」とは、単量体に由来する単位が共重合体に繰り返されて含まれる構造であって、1種の複数の単量体が重合によって共重合体内に結合した構造を意味する。
【0025】
本明細書の一実施態様において、「化学式1で表される化合物に由来する繰り返し単位」は、下記構造を主鎖に含むものであってもよい。
【0026】
【化3】
【0027】
前記構造において、Z1〜Z5、X1、X2、R1〜R4、R11〜R18、m1、m2、q1およびq2は、化学式1で定義したものと同じである。
【0028】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0029】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0030】
本明細書において、「組み合わせ」は、1つの構造を複数個連結したり、異なる種類の構造を連結することを意味する。
【0031】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、
【化4】
は、他の置換基、単量体、または結合部に結合する部位を意味する。
【0033】
本明細書において、単量体は、高分子内に含まれる繰り返し単位を意味することができる。
【0034】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0035】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子の置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一または異なっていてもよい。
【0036】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;カルボニル基;エステル基;ヒドロキシ基;アルキル基;シクロアルキル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;アルケニル基;シリル基;シロキサン基;ホウ素基;アミン基;アリールホスフィン基;ホスフィンオキシド基;アリール基;およびヘテロ環基からなる群より選択された1または2以上の置換基で置換されているか、前記例示された置換基のうちの2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、もしくはいずれの置換基も有しないことを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0037】
本明細書において、ハロゲン基は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素になってもよい。
【0038】
本明細書において、イミド基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜30のものが好ましい。
【0039】
本明細書において、アミド基は、アミド基の窒素が水素、炭素数1〜30の直鎖、分枝鎖もしくは環鎖アルキル基、または炭素数6〜30のアリール基で置換されていてもよい。
【0040】
本明細書において、カルボニル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜30のものが好ましい。
【0041】
本明細書において、エステル基は、エステル基の酸素が炭素数1〜25の直鎖、分枝鎖もしくは環鎖アルキル基、または炭素数6〜30のアリール基で置換されていてもよい。
【0042】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1〜30のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、1−メチル−ブチル、1−エチル−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n−オクチル、tert−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、1−エチル−プロピル、1,1−ジメチル−プロピル、イソヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3〜30のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3−メチルシクロペンチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,3−ジメチルシクロヘキシル、3,4,5−トリメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本明細書において、前記アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜30のものが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、i−プロピルオキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、3,3−ジメチルブチルオキシ、2−エチルブチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ、ベンジルオキシ、p−メチルベンジルオキシなどになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本明細書において、アミン基は、−NH;アルキルアミン基;N−アリールアルキルアミン基;アリールアミン基;N−アリールヘテロアリールアミン基;N−アルキルヘテロアリールアミン基およびヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよいし、炭素数は特に限定されないが、1〜30のものが好ましい。アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9−メチル−アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、N−フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、N−フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本明細書において、N−アルキルアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびアリール基が置換されたアミン基を意味する。
【0047】
本明細書において、N−アリールヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアリール基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。
【0048】
本明細書において、N−アルキルヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。
【0049】
本明細書において、アルキルアミン基、N−アリールアルキルアミン基、アルキルチオキシ基、アルキルスルホキシ基、N−アルキルヘテロアリールアミン基中のアルキル基は、前述したアルキル基の例示の通りである。具体的には、アルキルチオキシ基としては、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基、ヘキシルチオキシ基、オクチルチオキシ基などがあり、アルキルスルホキシ基としては、メシル、エチルスルホキシ基、プロピルスルホキシ基、ブチルスルホキシ基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本明細書において、前記アルケニル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2〜30のものが好ましい。具体例としては、ビニル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、アリル、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
本明細書において、シリル基は、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本明細書において、ホウ素基は、−BR100200であってもよいし、前記R100およびR200は、同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン;ニトリル基;置換もしくは非置換の炭素数3〜30の単環もしくは多環のシクロアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6〜30の単環もしくは多環のアリール基;および置換もしくは非置換の炭素数2〜30の単環もしくは多環のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。
【0053】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、具体的には、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本明細書において、アリール基は、単環式または多環式であってもよい。
【0055】
前記アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6〜30のものが好ましい。具体的には、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0056】
前記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10〜30のものが好ましい。具体的には、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0057】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されていてもよいし、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0058】
前記フルオレニル基が置換される場合、
【化5】
などになってもよい。ただし、これらに限定されるものではない。
【0059】
本明細書において、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、アリールスルホキシ基、N−アリールアルキルアミン基、N−アリールヘテロアリールアミン基、およびアリールホスフィン基中のアリール基は、前述したアリール基の例示の通りである。具体的には、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、3,5−ジメチル−フェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、3−ビフェニルオキシ基、4−ビフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチル−1−ナフチルオキシ基、5−メチル−2−ナフチルオキシ基、1−アントリルオキシ基、2−アントリルオキシ基、9−アントリルオキシ基、1−フェナントリルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基などがあり、アリールチオキシ基としては、フェニルチオキシ基、2−メチルフェニルチオキシ基、4−tert−ブチルフェニルチオキシ基などがあり、アリールスルホキシ基としては、ベンゼンスルホキシ基、p−トルエンスルホキシ基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
本明細書において、アリールアミン基の例としては、置換もしくは非置換のモノアリールアミン基、置換もしくは非置換のジアリールアミン基、または置換もしくは非置換のトリアリールアミン基がある。前記アリールアミン基中のアリール基は、単環式アリール基であってもよく、多環式アリール基であってもよい。前記アリール基が2以上を含むアリールアミン基は、単環式アリール基、多環式アリール基、または単環式アリール基と多環式アリール基を同時に含んでもよい。例えば、前記アリールアミン基中のアリール基は、前述したアリール基の例示の中から選択されてもよい。
【0061】
本明細書において、ヘテロ環基は、炭素でない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的には、前記異種原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。炭素数は特に限定されないが、炭素数2〜30のものが好ましく、前記ヘテロ環基は、単環式または多環式であってもよい。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリニル基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
本明細書において、ヘテロアリールアミン基の例としては、置換もしくは非置換のモノヘテロアリールアミン基、置換もしくは非置換のジヘテロアリールアミン基、または置換もしくは非置換のトリヘテロアリールアミン基がある。前記ヘテロアリール基が2以上を含むヘテロアリールアミン基は、単環式ヘテロアリール基、多環式ヘテロアリール基、または単環式ヘテロアリール基と多環式ヘテロアリール基を同時に含んでもよい。例えば、前記ヘテロアリールアミン基中のヘテロアリール基は、前述したヘテロ環基の例示の中から選択されてもよい。
【0063】
本明細書において、N−アリールヘテロアリールアミン基およびN−アルキルヘテロアリールアミン基中のヘテロアリール基の例示は、前述したヘテロ環基の例示の通りである。
【0064】
本明細書の一実施態様において、前記共重合体は、下記化学式1−1で表される単位を含む。
【0065】
【化6】
【0066】
前記化学式1−1において、
m1、m2、m1’およびm2’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、0〜5の整数であり、
m1、m2、m1’およびm2’がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
q1、q2、q1’およびq2’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、1〜5の整数であり、
q1、q2、q1’およびq2’がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
X1、X2、X1’、X2’、Z1〜Z5およびZ1’〜Z5’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、S、O、Se、Te、NR、CRR’、SiRR’、PR、またはGeRR’であり、
E1は、第1共役単量体であり、
E2は、第2共役単量体であり、
R、R’、R1〜R4、R1’〜R4’、R11〜R18およびR11’〜R18’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
fは、モル分率であって、0< f <1の実数であり、
gは、モル分率であって、0< g <1の実数であり、
f+g=1であり、
nは、単位の繰り返し単位数であって、1〜10,000の整数である。
【0067】
本明細書において、「共役(conjugated)単量体」は、化合物の構造内に2つ以上の多重結合が単結合1つを間に挟んで存在し、相互作用を示すものを意味する。この時、共役単量体は、第1共役単量体および第2共役単量体のすべてを意味する。
【0068】
本明細書において、共役単量体は、高分子内に含まれる共役単量体に由来する繰り返し単位を意味することができる。
【0069】
本明細書の一実施態様において、前記第1共役単量体および第2共役単量体は、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルケニレン基、置換もしくは非置換のアリーレン基、および置換もしくは非置換の2価のヘテロ環基のうち1または2以上の基の組み合わせであってもよい。
【0070】
本明細書において、前記アルケニレン基は、2価の基であることを除き、前述したアルケニル基に関する説明が適用可能である。
【0071】
本明細書において、前記アリーレン基は、2価の基であることを除き、前述したアリール基に関する説明が適用可能である。
【0072】
本明細書において、前記2価のヘテロ環基は、2価の基であることを除き、前述したヘテロ環基に関する説明が適用可能である。
【0073】
本明細書の一実施態様によれば、前記共役単量体は、電子供与体構造または電子受容体構造を含む。
【0074】
本明細書の一実施態様において、前記第1共役単量体および第2共役単量体は、それぞれ独立に、下記構造のうちのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせを含む。
【0075】
【化7】
【0076】
前記構造において、
a、a’、bおよびb’は、それぞれ1〜5の整数であり、
a、a’、bおよびb’がそれぞれ2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
X11〜X30およびX33〜X40は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、S、O、Se、Te、NR、CR、SiR、PR、またはGeRであり、
X31およびX32は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、C、Si、またはGeであり、
R101〜R124、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0077】
本明細書の一実施態様において、前記第1共役単量体および第2共役単量体は、それぞれ下記構造のうちのいずれか1つである。
【0078】
【化8】
【0079】
前記構造において、
X11〜X14、X19、X20、X33〜X40、X11’およびX11’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、S、O、Se、Te、NR、CR、SiR、PR、またはGeRであり、
R101〜R110、R117〜R124、R101’、R101’’、R102’、R102’’、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0080】
本明細書の一実施態様において、前記X11〜X14、X19、X20、X33〜X40、X11’およびX11’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、SまたはCRであり、RおよびRは、前述したものと同じである。
【0081】
本明細書の一実施態様において、前記X11〜X14、X19、X20、X33〜X36、X39、X40、X11’およびX11’’は、それぞれSである。
【0082】
本明細書の一実施態様において、前記X37およびX38は、CRであり、RおよびRは、置換もしくは非置換のアリール基である。
【0083】
本明細書の一実施態様において、前記R101〜R110、R117〜R124、R101’、R101’’、R102’、R102’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0084】
本明細書の一実施態様において、前記R101およびR102は、それぞれ水素である。
【0085】
本明細書の一実施態様において、前記R101、R101’、R101’’、R102、R102’およびR102’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0086】
本明細書の一実施態様において、前記R101、R101’、R101’’、R102、R102’およびR102’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;炭素数1〜15のアルキル基;または炭素数1〜15の置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0087】
本明細書の一実施態様において、前記R103〜R108は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0088】
本明細書の一実施態様において、前記R103およびR108は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0089】
本明細書の一実施態様において、前記R104およびR107は、水素である。
【0090】
本明細書の一実施態様において、前記R105およびR106は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0091】
本明細書の一実施態様において、前記R105およびR106は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、炭素数1〜15の置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0092】
本明細書の一実施態様において、前記R109およびR110は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0093】
本明細書の一実施態様において、前記R109およびR110は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、アルキル基で置換されたヘテロ環基である。
【0094】
本明細書の一実施態様において、前記R109およびR110は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、アルキル基で置換されたチオフェン基である。
【0095】
本明細書の一実施態様において、前記R121およびR122は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲン基である。
【0096】
本明細書の一実施態様において、前記R121およびR122は、フッ素である。
【0097】
本明細書の一実施態様において、前記R117〜R120は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0098】
本明細書の一実施態様において、前記R117およびR120は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0099】
本明細書の一実施態様において、前記R117およびR120は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、炭素数1〜15の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0100】
本明細書の一実施態様において、前記R117およびR120は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、炭素数1〜15の分枝鎖アルキル基である。
【0101】
本明細書の一実施態様において、前記R118およびR119は、水素である。
【0102】
本明細書の一実施態様において、前記R123およびR124は、水素である。
【0103】
本明細書の一実施態様において、前記第1共役単量体および第2共役単量体は、それぞれ下記構造のうちのいずれか1つである。すなわち、前記E1およびE2は、それぞれ下記構造のうちのいずれか1つである。
【0104】
【化9】
【0105】
本明細書の一実施態様において、前記共重合体は、下記化学式1−2で表される単位を含む。
【0106】
【化10】
【0107】
前記化学式1−2において、
f、g、n、m1、m2、m1’、m2’、q1、q2、q1’、q2’、X1、X2、X1’、X2’、Z1〜Z5、Z1’〜Z5’、E1、E2、R1、R4、R1’、R4’、R11〜R18およびR11’〜R18’は、化学式1−1で定義したものと同じであり、
R51、R51’、R52およびR52’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、 置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基である。
【0108】
本明細書の一実施態様において、前記R51、R51’、R52およびR52’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0109】
本明細書の一実施態様において、前記R51、R51’、R52およびR52’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基である。
【0110】
本明細書の一実施態様において、前記R51、R51’、R52およびR52’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基である。
【0111】
本明細書の一実施態様において、前記R51、R51’、R52およびR52’は、互いに同一であり、それぞれ独立に、炭素数1〜15のアルキル基である。
【0112】
本明細書の一実施態様において、前記R1〜R4およびR11〜R18は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0113】
本明細書の一実施態様において、前記R1〜R4およびR11〜R18は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;ハロゲン基;または置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0114】
本明細書の一実施態様において、前記R1およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲン基である。
【0115】
本明細書の一実施態様において、前記R1およびR4は、フッ素である。
【0116】
本明細書の一実施態様において、前記R2およびR3は、それぞれ置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0117】
本明細書の一実施態様において、前記R2およびR3は、それぞれ炭素数1〜30の置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0118】
本明細書の一実施態様において、前記R2およびR3は、それぞれ炭素数1〜20の置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0119】
本明細書の一実施態様において、前記R2およびR3は、それぞれ炭素数1〜15のアルコキシ基である。
【0120】
本明細書の一実施態様において、前記R11〜R18は、水素である。
【0121】
本明細書の一実施態様において、前記Z1〜Z5およびZ1’〜Z5’は、Sである。
【0122】
本明細書の一実施態様において、前記X1およびX2は、Sである。
【0123】
本明細書の一実施態様において、前記R1’〜R4’およびR11’〜R18’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0124】
本明細書の一実施態様において、前記R1’〜R4’およびR11’〜R18’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;ハロゲン基;または置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0125】
本明細書の一実施態様において、前記R1’およびR4’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲン基である。
【0126】
本明細書の一実施態様において、前記R1’およびR4’は、フッ素である。
【0127】
本明細書の一実施態様において、前記R2’およびR3’は、置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0128】
本明細書の一実施態様において、前記R2’およびR3’は、それぞれ炭素数1〜30の置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0129】
本明細書の一実施態様において、前記R2’およびR3’は、それぞれ炭素数1〜20の置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0130】
本明細書の一実施態様において、前記R2’およびR3’は、それぞれ炭素数1〜15のアルコキシ基である。
【0131】
本明細書の一実施態様において、前記R11’〜R18’は、水素である。
【0132】
本明細書の一実施態様において、前記m1、m2、m1’、m2’、q1、q2、q1’およびq2’は、それぞれ1である。
【0133】
本明細書の一実施態様において、前記共重合体は、下記構造のうちのいずれか1つを含む。
【0134】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【0135】
前記構造において、
fは、モル分率であって、0< f <1の実数であり、
gは、モル分率であって、0< g <1の実数であり、
f+g=1であり、
nは、単位の繰り返し単位数であって、1〜10,000の整数である。
【0136】
本明細書の一実施態様において、前記fおよびgは、互いに同一または異なり、それぞれ0.3〜0.7の実数であり、f+g=1である。
【0137】
本明細書の一実施態様において、前記fは、0.3であり、gは、0.7である。
【0138】
本明細書の一実施態様において、前記fは、0.7であり、gは、0.3である。
【0139】
本明細書の一実施態様において、前記共重合体の末端基は、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。具体的には、本明細書の一実施態様において、前記共重合体の末端基は、チオフェン基、または置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0140】
本明細書の一実施態様において、前記共重合体の数平均分子量は、2,000g/mol〜30,000,000g/molである。好ましくは、前記共重合体の数平均分子量は、5,000g/mol〜10,000,000g/molである。より好ましくは、前記共重合体の数平均分子量は、10,000g/mol〜5,000,000g/molである。
【0141】
本明細書の一実施態様において、前記共重合体は、1〜100の分子量分布(PDI)を有することができる。好ましくは、前記共重合体は、1〜3の分子量分布を有する。
【0142】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1で表される第1化合物;
下記化学式2で表される第2化合物;および
下記化学式3で表される第3化合物を反応させるステップを含む共重合体の製造方法を提供する。
【0143】
【化18】
【0144】
前記化学式1〜3において、
m1およびm2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、0〜5の整数であり、
m1およびm2がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
q1およびq2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、1〜5の整数であり、
q1およびq2がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
A1、A1’、A2、A2’、A3およびA3’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲン基;置換もしくは非置換のホウ素基;または−SnRであり、
E1は、第1共役単量体であり、
E2は、前記第1共役単量体とは異なる第2共役単量体であり、
X1、X2およびZ1〜Z5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、S、O、Se、Te、NR、CRR’、SiRR’、PR、またはGeRR’であり、
、R、R、R、R’、R1〜R4およびR11〜R18は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0145】
本明細書の一実施態様において、前記A1、A1’、A2、A2’、A3およびA3’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲン基;または−SnRであり、R、R、およびRは、前述した通りである。
【0146】
本明細書の一実施態様において、前記A1、A1’、A2、A2’、A3およびA3’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、臭素、または−SnRであり、R、R、およびRは、メチル基である。
【0147】
本明細書の一実施態様において、前記共重合体の製造方法の化学式1は、前述した共重合体の化学式1と同じである。
【0148】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2のE1および化学式3のE2は、前記共重合体で定義したものと同じである。例えば、前記E1およびE2は、互いに異なり、それぞれ下記構造のうちのいずれか1つである。
【0149】
【化19】
【0150】
本明細書の一実施態様において、前記共重合体の製造方法は、溶媒に第1化合物;第2化合物;および第3化合物を溶解させるステップを含む。
【0151】
本明細書の一実施態様において、前記溶媒は、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、またはトリクロロベンゼンであってもよい。
【0152】
本明細書の一実施態様において、前記溶液内の第2化合物の含有量は、第1化合物1mol対比、0.3mol〜0.7molである。
【0153】
本明細書の一実施態様において、前記溶液内の第3化合物の含有量は、第1化合物1mol対比、0.3mol〜0.7molである。
【0154】
本明細書の一実施態様において、前記溶液は、前記溶媒に第1化合物、第2化合物、および第3化合物が溶解しているものを意味する。
【0155】
本明細書の一実施態様において、前記共重合体の製造方法は、前記第1溶媒に第1化合物、第2化合物、および第3化合物を溶解させた後、90℃〜150℃で還流させるステップを含む。
【0156】
本明細書の一実施態様は、第1電極と、
前記第1電極に対向して備えられる第2電極と、
前記第1電極と第2電極との間に備えられ、光活性層を含む1層以上の有機物層とを含み、
前記有機物層のうちの1層以上は、前記共重合体を含むものである有機太陽電池を提供する。
【0157】
図1は、基板101と、第1電極102と、正孔輸送層103と、光活性層104と、第2電極105とを含む、本明細書の一実施態様に係る有機太陽電池を示す図である。
【0158】
本明細書の一実施態様において、前記有機太陽電池は、付加的な有機物層をさらに含んでもよい。前記有機太陽電池は、多様な機能を同時に有する有機物を用いることで、有機物層の数を減少させることができる。
【0159】
本明細書の一実施態様において、前記有機太陽電池は、第1電極と、光活性層と、第2電極とを含む。前記有機太陽電池は、基板、正孔輸送層、および/または電子輸送層がさらに含まれてもよい。
【0160】
本明細書の一実施態様において、前記光活性層は、前記共重合体を含む。
【0161】
本明細書の一実施態様において、前記有機物層は、正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送および正孔注入を同時に行う層を含み、前記正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送および正孔注入を同時に行う層は、前記共重合体を含む。
【0162】
もう一つの実施態様において、前記有機物層は、電子注入層、電子輸送層、または電子注入および電子輸送を同時に行う層を含み、前記電子注入層、電子輸送層、または電子注入および電子輸送を同時に行う層は、前記共重合体を含む。
【0163】
本明細書の一実施態様において、前記第1電極は、アノードであり、第2電極は、カソードである。本明細書の他の実施態様において、前記第1電極は、カソードであり、第2電極は、アノードである。
【0164】
本明細書の一実施態様において、有機太陽電池は、カソード、光活性層、およびアノードの順に配列されてもよく、アノード、光活性層、およびカソードの順に配列されてもよいが、これに限定されない。
【0165】
もう一つの実施態様において、前記有機太陽電池は、アノード、正孔輸送層、光活性層、電子輸送層、およびカソードの順に配列されてもよく、カソード、電子輸送層、光活性層、正孔輸送層、およびアノードの順に配列されてもよいが、これに限定されない。
【0166】
本明細書の一実施態様において、前記光活性層は、電子供与体および受容体を含み、前記電子供与体は、前記共重合体を含む。
【0167】
本明細書の一実施態様において、前記電子受容体物質は、フラーレン、フラーレン誘導体、バソクプロイン、半導体性元素、半導体性化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。具体的には、前記電子受容体物質は、PC60BM(phenyl C60−butyric acid methyl ester)、PC61BM(phenyl C61−butyric acid methyl ester)、またはPC71BM(phenyl C71−butyric acid methyl ester)になってもよい。
【0168】
本明細書の一実施態様において、前記電子供与体および電子受容体は、バルクヘテロジャンクション(BHJ)を構成する。電子供与体物質および電子受容体物質は、1:10〜10:1の比率(w/w)で混合される。具体的には、電子供与体物質および電子受容体物質は、1:1〜1:10の比率(w/w)で混合され、さらに具体的には、電子供与体物質および電子受容体物質は、1:1〜1:5の比率(w/w)で混合される。必要に応じて、電子供与体物質および電子受容体物質は、1:1〜1:3の比率(w/w)で混合されてもよい。
【0169】
本明細書の一実施態様において、前記光活性層は、n型有機物層およびp型有機物層を含む二層薄膜(bilayer)構造であり、前記p型有機物層は、前記共重合体を含む。
【0170】
本明細書において、前記基板は、透明性、表面平滑性、取扱容易性および防水性に優れたガラス基板または透明プラスチック基板になってもよいが、これに限定されず、有機太陽電池に通常用いられる基板であれば制限はない。具体的には、ガラス、またはPET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene naphthalate)、PP(polypropylene)、PI(polyimide)、TAC(triacetyl cellulose)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0171】
前記第1電極は、透明で導電性の優れた物質になってもよいが、これに限定されない。バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0172】
前記第1電極の形成方法は特に限定されないが、例えば、スパッタリング、E−ビーム、熱蒸着、スピンコーティング、スクリーンプリンティング、インクジェットプリンティング、ドクターブレード、またはグラビアプリンティング法を用いて基板の一面に塗布されるか、フィルム形態にコーティングされることにより形成される。
【0173】
前記第1電極を基板上に形成する場合、これは、洗浄、水分除去および親水性改質過程を経ることができる。
【0174】
例えば、パターニングされたITO基板を洗浄剤、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次に洗浄した後、水分除去のために、加熱板で100℃〜150℃で1分〜30分間、好ましくは、120℃で10分間乾燥し、基板が完全に洗浄されると、基板表面を親水性に改質する。
【0175】
前記のような表面改質により、接合表面電位を光活性層の表面電位に適した水準に維持することができる。また、改質時、第1電極上に高分子薄膜の形成が容易になり、薄膜の品質が向上することもできる。
【0176】
第1電極のための前処理技術としては、a)平行平板型放電を利用した表面酸化法、b)真空状態でUV紫外線を用いて生成されたオゾンを通して表面を酸化する方法、およびc)プラズマによって生成された酸素ラジカルを用いて酸化する方法などがある。
【0177】
第1電極または基板の状態によって、前記方法の一つを選択することができる。ただし、どの方法を利用しても、共通して、第1電極または基板表面の酸素離脱を防止し、水分および有機物の残留を最大限に抑制することが好ましい。この時、前処理の実質的な効果を極大化することができる。
【0178】
具体例として、UVを用いて生成されたオゾンを通して表面を酸化する方法を使用することができる。この時、超音波洗浄後、パターニングされたITO基板を加熱板(hot plate)でベーク(baking)してよく乾燥させた後、チャンバに投入し、UVランプを作用させて、酸素ガスがUV光と反応して発生するオゾンによってパターニングされたITO基板を洗浄することができる。
【0179】
しかし、本明細書におけるパターニングされたITO基板の表面改質方法は特に限定させる必要はなく、基板を酸化させる方法であればいかなる方法でも構わない。
【0180】
前記第2電極は、仕事関数の小さい金属になってもよいが、これに限定されない。具体的には、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/Al、LiO/Al、LiF/Fe、Al:Li、Al:BaF、Al:BaF:Baのような多層構造の物質になってもよいが、これに限定されるものではない。
【0181】
前記第2電極は、5×10−7torr以下の真空度を示す熱蒸着器の内部で蒸着されて形成されるが、この方法にのみ限定されるものではない。
【0182】
前記正孔輸送層および/または電子輸送層物質は、光活性層で分離された電子と正孔を電極に効率的に伝達させる役割を担い、物質を特に制限しない。
【0183】
前記正孔輸送層物質は、PEDOT:PSS(Poly(3,4−ethylenediocythiophene)doped with poly(styrenesulfonic acid))、モリブデン酸化物(MoO);バナジウム酸化物(V);ニッケル酸化物(NiO);およびタングステン酸化物(WO)などになってもよいが、これらにのみ限定されるものではない。
【0184】
前記電子輸送層物質は、電子抽出金属酸化物(electron−extracting metal oxides)になってもよいし、具体的には、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体;Alqを含む錯体;Liqを含む金属錯体;LiF;Ca;チタン酸化物(TiO);亜鉛酸化物(ZnO);およびセシウムカーボネート(CsCO)などになってもよいが、これらにのみ限定されるものではない。
【0185】
光活性層は、電子供与体および/または電子受容体のような光活性物質を有機溶媒に溶解させた後、溶液をスピンコーティング、ディップコーティング、スクリーンプリンティング、スプレーコーティング、ドクターブレード、ブラシペインティングなどの方法で形成することができるが、これらの方法にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0186】
製造例1.化合物1−gの製造
【0187】
(1)化合物1−bの製造
【0188】
【化20】
【0189】
150mLトルエン(toluenen)に、化合物1−a(10g、32.1mmol)と2−(トリメチルスタンニル)チオフェン(2−(trimethylstannyl)thiophene)(8.15g、33.0mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)触媒(Pd(PPh)(0.74g、0.64mmol)を入れて、110℃で24時間反応した。反応後、ジクロロメタンで抽出し、マグネシウムスルフェート(magnesium sulfate、MgSO)で残留物を除去した後、減圧下で溶媒を除去した。残留生成物をシリカカラム(silica column、溶離液:ヘキサン)を通して化合物1−bを9.51g得た。(収率:94%)
【0190】
(2)化合物1−dの製造
【0191】
【化21】
【0192】
120mLトルエン(toluenen)に、化合物1−b(9g、28.56mmol)と2−トリメチルスタンニル−5−トリメチルシラン−チオフェン(2−trimethylstannyl−5−trimethylsilane−thiophene)(9.41g、29.5mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)触媒(Pd(PPh)(0.65g、0.56mmol)を入れて、110℃で24時間反応した。反応後、ジクロロメタンで抽出し、マグネシウムスルフェート(magnesium sulfate、MgSO)で残留物を除去した後、減圧下で溶媒を除去した。残留生成物をシリカカラム(silica column、溶離液:ヘキサン)を通して化合物1−cを10.0g得た。(収率:90%)
【0193】
200mLテトラヒドロフラン(THF)に、化合物1−c(9.76g、25.00mmol)を溶かした後、−78℃で2Mリチウムジイソプロピルアミド(lithium diisopropylamide、LDA)(15.0mL、30.00mmol)を徐々に注入した後、2時間撹拌した。同一温度でトリメチルチンクロライド(trimethyltinchloride、MeSnCl)(33mL、33mmol)を入れて、常温に徐々に上げた後、常温で3時間反応した。反応後、ジクロロメタンで抽出し、マグネシウムスルフェート(magnesium sulfate、MgSO)で残留物を除去した後、減圧下で溶媒を除去し、ジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶して化合物1−dを12.2g得た。(収率88%)
【0194】
図2は、化合物1−dのNMRスペクトルを示す図である。
【0195】
図3は、化合物1−dのMSスペクトルを示す図である。
【0196】
(3)化合物1−eの製造
【0197】
【化22】
【0198】
75mLトルエン(toluenen)と25mLジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)に、化合物A(2.75g、4.5mmol)と化合物1−d(5.53g、10mmol)を溶かし、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)触媒(Pd(PPh)(0.2427g、0.21mmol)を入れて、漸進的に加熱して、90℃、100℃、110℃でそれぞれ48時間反応した。冷却時に生成された残留物をメタノールで沈澱させ、濾過した後、水で洗浄した。その後、乾燥過程により溶媒を蒸発させ、残留生成物はメチレンクロライド(methylene chloride)とクロロホルム(chloroform)を用いるフラッシュクロマトグラフィー(flash chromatography)により精製した後、メチレンクロライドとメタノールを用いて再結晶化して青色固体を得た。その後、前記固体をメタノールで洗浄し、真空条件で24時間乾燥して化合物1−eを4.71g得た。(収率:85%)
【0199】
図4は、化合物1−eのMSスペクトルを示す図である。
【0200】
(4)化合物1−fの製造
【0201】
【化23】
【0202】
常温で、窒素雰囲気下のテトラヒドロフラン(THF)300mLに、化合物1−e(4.5g、3.66mmol)を溶かし、テトラブチルアンモニウムフルオライド(tetrabutylammonium fluoride、TBAF)の溶けているテトラヒドロフラン溶液(1.0M、10mL、10mmol、5%HOを含む)を滴下して、生成された生成物を2時間リフラックス(reflux)した。その後、50mLのエーテル(ether)と炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液を添加し、10分間撹拌した。その後、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を用いて洗浄し、真空条件下で溶媒を蒸発させた。残留生成物はクロロホルムを用いるフラッシュクロマトグラフィー(flash chromatography)により精製した後、クロロホルムを用いて再結晶化して暗紫色固体を得た。その後、前記固体を水、メタノール、ヘキサン(hexane)、酢酸エチル(ethyl acetate)、アセトン(acetone)により洗浄した後、真空条件で24時間乾燥して化合物1−fを3.15g得た。(収率:79%)
【0203】
図5は、化合物1−fのMSスペクトルを示す図である。
【0204】
図6は、化合物1−fのNMRスペクトルを示す図である。
【0205】
(5)化合物1−gの製造
【0206】
【化24】
【0207】
0℃のクロロホルム(CHCl)300mLに、化合物1−f(2.95g、2.72mmol)とN−ブロモスクシンイミド(N−bromosuccinimide、NBS)(0.99g、5.58mmol)を入れて、常温で24時間撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、残留物を用いるフラッシュクロマトグラフィー(flash chromatography、eluent(ヘキサンtoヘキサン:メチレンクロライド))により精製して2.1gの化合物1−gを得た。(収率:62%)
【0208】
図7は、化合物1−gのMSスペクトルを示す図である。
【0209】
製造例2−1.共重合体1の製造
【0210】
【化25】
【0211】
窒素(N)雰囲気下、100mLのフラスコに、10mLのクロロベンゼン(chlorobenzene、CB)、化合物1−g(0.6217g、0.5mmol)、化合物A(0.2724g、0.35mmol)、および化合物B(0.061g、0.15mmol)を入れて、30分間窒素バブリングした。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)触媒(Pd(PPh)(0.11、0.01mmol)を入れて、110℃で72時間撹拌した。0.5mLのBr−ベンゾトリフルオライド(Br−Benzotrifluoride)を添加した後、24時間撹拌し、常温に冷却させた。その後、生成物をクロロホルムに注いで、短いシリカカラム(short column with silica)を通過させ、混合溶液(180mLメタノール+20mL HCl(2M濃度))に注いで沈殿物を濾過させた。その後、生成物をメタノール、アセトン、ヘキサン、メチレンクロライド、およびクロロホルムの順にソックスレー抽出(soxhlet extraction)をした。クロロホルムで抽出された抽出物をメタノールに入れて沈殿物を形成した。生成された沈殿物を集めて精製し、真空条件下で乾燥して共重合体1を0.52g得た。この時、数平均分子量を測定して、共重合体1が製造されたことを確認した。(数平均分子量:29,000g/mol、PDI:1.34、収率:73%)
【0212】
製造例2−2〜2−36
前記製造例2−1における化合物Aおよび化合物Bを下記表のように変更したことを除けば、製造例2−1と同様の方法で製造した。
【0213】
【表1】
【0214】
前記表1において、A〜Iは、それぞれ下記の化合物である。
【0215】
【化26】
【0216】
実施例1.
前記製造例1で製造した共重合体1をドナーとして用い、PCBMをアクセプタとして用いて、1:2の比率でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は2.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/ZnO/光活性層/MoO/Agの構造とした。ITOがコーティングされたガラス基板は、蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、ZnO前駆体溶液をスピンコーティングして、120℃で10分間熱処理した。その後、複合溶液を0.45μmのPPシリンジフィルタ(syringe filter)で濾過した後、スピンコーティングして光活性層を形成した。その後、熱蒸着器でMoOを0.4Å/sの速度で5nm〜20nmの厚さに前記光活性層上に蒸着して正孔輸送層を製造した。その後、熱蒸着器の内部でAgを1Å/sの速度で前記正孔輸送層上に10nmに蒸着して有機太陽電池を製造した。
【0217】
実施例2.
前記実施例1における共重合体1の代わりに、製造例2−3で製造された共重合体を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で有機太陽電池を製造した。
【0218】
実施例3.
前記実施例1における共重合体1の代わりに、製造例2−4で製造された共重合体を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で有機太陽電池を製造した。
【0219】
実施例4.
前記実施例1における共重合体1の代わりに、製造例2−5で製造された共重合体を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で有機太陽電池を製造した。
【0220】
実施例5.
前記実施例1における共重合体1の代わりに、製造例2−6で製造された共重合体を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で有機太陽電池を製造した。
【0221】
実施例6.
前記実施例1における共重合体1の代わりに、製造例2−9で製造された共重合体を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で有機太陽電池を製造した。
【0222】
実施例7.
前記実施例1における共重合体1の代わりに、製造例2−10で製造された共重合体を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で有機太陽電池を製造した。
【0223】
実施例8.
前記実施例1における共重合体1の代わりに、製造例2−14で製造された共重合体を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で有機太陽電池を製造した。
【0224】
実施例9.
前記実施例1における共重合体1の代わりに、製造例2−19で製造された共重合体を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で有機太陽電池を製造した。
【0225】
前記実施例1〜9で製造された有機太陽電池の光電変換特性を100mW/cm(AM1.5)の条件で測定し、下記表2にその結果を示した。
【0226】
【表2】
【0227】
表2中、Vocは開放電圧を、Jscは短絡電流を、FFは充填率(Fill factor)を、ηはエネルギー変換効率を意味する。開放電圧と短絡電流は、それぞれ電圧−電流密度曲線の4つの象限におけるX軸およびY軸切片であり、これら2つの値が高いほど、太陽電池の効率は好ましく高まる。また、充填率(Fill factor)は曲線内部に描ける長方形の広さを短絡電流と開放電圧との積で割った値である。これら3つの値を照射された光の強度で割るとエネルギー変換効率が求められ、高い値であるほど好ましい。
【符号の説明】
【0228】
101 基板
102 第1電極
103 正孔輸送層
104 光活性層
105 第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7