(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、
図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、を示す。
また、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は転写搬送ベルト8を介して感光体ドラム5に当接して転写ニップを形成する転写ローラ、8は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートPに転写して搬送する転写搬送ベルト、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部(自動原稿搬送装置)、を示す。
また、12、13は用紙等のシートPが収納された給紙カセット(給送装置)、17は転写ニップに向けてシートPを搬送するレジストローラ(タイミングローラ)、を示す。
また、20はシートP上に担持されたトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、31は装置本体1から排紙されたシートPが積載される排紙トレイ、70は大容量のシートPが収納される給送装置(大容量給送装置)、100は装置における種々の情報が表示されたり操作をおこなうための操作ボタンが表示される操作パネル、を示す。
【0012】
図1を参照して、画像形成装置1における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送(給送)されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0013】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は
図1の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写ニップ(転写ローラ7が転写搬送ベルト8を介して感光体ドラム5に当接する位置である。)で、レジストローラ17により搬送されたシートP上に転写される。
【0014】
一方、転写ニップに搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙カセット12、13のうち、1つの給紙カセットが自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙カセット12が選択されたものとする。)。そして、給紙カセット12に収納されたシートPの最上方の1枚が、給紙機構52(フィードローラ、ピックアップローラ、バックアップローラ、等で構成されている。)によって給送されて、搬送経路に向けて搬送される。その後、シートPは、複数の搬送ローラが配設された搬送経路を通過して、レジストローラ17の位置に達する。
なお、装置本体1の側方に設置された大容量の給送装置70(大容量給送装置)が選択された場合には、給送装置70の載置部72(
図2参照)に積載された複数のシートPのうち最上方のシートPが、搬送装置90の搬送ベルト91(
図2参照)によって、搬送ローラ55が設置された搬送経路に向けて給送されて、その後にレジストローラ17の位置に達することになる。
【0015】
レジストローラ17の位置に達したシートPは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写ニップに向けて搬送される。
そして、転写工程後のシートPは、転写ニップの位置を通過した後に、転写搬送ベルト8によって搬送されて、定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによってトナー像が定着される(定着工程である)。トナー像が定着された定着工程後のシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップである。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出されて、出力画像として排紙トレイ31上に積載されることになる。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0016】
次に、本実施の形態における給送装置70(大容量給送装置)について詳述する。
図2〜
図4等を参照して、給送装置70は、所定の給送方向(
図2の矢印方向である。)にシートPを給送するためのものであって、シート収納部71、搬送装置90、送風装置76、79、などで構成されている。
シート収納部71は、載置部72(底板)、基準フェンス73、規制板80、エンドフェンス74、サイドフェンス75、などで構成されている。
搬送装置90は、2つのローラ部材(駆動ローラ93と従動ローラ92とである。)に張架・支持された搬送手段としての搬送ベルト91や、吸引装置95(ベルト吸引装置)などで構成されている。そして、シート収納部71に収容されたシートPが、搬送装置90によって
図2、
図3(D)の矢印で示す給送方向に搬送されることになる。
【0017】
詳しくは、基準フェンス73は、シート収納部71(載置部72)の搬送方向下流側において上方に向けて垂直方向に起立するように形成されている。
載置部72は、基準フェンス73に複数のシートPを当接させた状態で積載可能に形成されている。また、載置部72は、積載されるシートPの枚数に関わらず最上方のシートP1の高さ方向の位置が所定の高さ位置(
図3(A)に示す位置であって、シート検知センサによって検知される位置である。)になるように昇降可能に構成されている。すなわち、載置部72は、複数のシートPを積載するためのものであって、積載されたシートPの高さ(積載枚数)に応じて、昇降機構によって基準フェンス73に沿って上下方向(
図2の白両矢印方向である。)に昇降することになる。
【0018】
なお、載置部72を昇降する昇降機構は、昇降モータ、プーリ、タイミングベルト、ワイヤ、定滑車などで構成されている。
制御部の制御によって昇降モータが正方向(時計方向)に回転駆動されると、その駆動がタイミングベルトを介してプーリに伝達されて、プーリによって定滑車に巻架されたワイヤが巻取部に巻取られて、載置部72が上昇することになる。
これに対して、制御部の制御によって昇降モータが逆方向(反時計方向)に回転駆動されると、その駆動がタイミングベルトを介してプーリに伝達されて、プーリによってワイヤの巻取りが開放されて、載置部72が下降することになる。
【0019】
ここで、本実施の形態にける給送装置70(大量給送装置)は、ユーザーにとって使用頻度が多い予め定められたサイズ(例えば、A4縦サイズである。)のシートPを大量に積載できるように構成されたものである。
したがって、
図2、
図4を参照して、エンドフェンス74は、シートPの給送方向(
図2の左右方向、
図4の左右方向である。)のサイズに応じて、その給送方向の位置(基準フェンス73との間隔である。)が定められている。
同様に、
図4を参照して、一対のサイドフェンス75は、シートPの幅方向(給送方向に直交する方向であって、
図2の紙面垂直方向、
図4の上下方向である。)のサイズに応じて、その幅方向の間隔が定められている。
【0020】
なお、サイドフェンス75には、後述する送風装置79(第1送風装置)の送風タイミングに同期させて、載置部72に積載された最上方のシートPに向けて側方から空気を吹き付けて、そのシートPを浮上させる送風装置76(第2送風装置)が設けられている。この送風装置76(第2送風装置)は、設置位置が異なる点を除いて、後述する送風装置79(第1送風装置)とほぼ同様に構成されている。
ユーザーは、把持したシートP(シート束)を基準フェンス73に突き当てるように載置部72上の設置スペース(基準フェンス73、一対のサイドフェンス75、エンドフェンス74で四方が囲まれたスペースである。)に載置して、シート収納部71へのシートP(シート束)のセットが完了することになる。
【0021】
なお、シート収納部71には、基準フェンス73の上部に、規制板80が設置されている。
規制板80は、基準フェンス73から上方に向けて起立するように設置されている。この規制板80は、送風装置76、79(第1送風ノズル76a、79aから送風された空気)によって浮上された最上方のシートP1以外の下方のシートP2に対して給送方向の動作を規制するものである。すなわち、規制板80は、搬送ベルト91による吸着・搬送を予定されていない下方のシートP2が、搬送ベルト91による吸着・搬送を予定されている最上方のシートP1とともに、給送(重送)されてしまう不具合を防止するためのものである。具体的に、下方のシートP2が重送されそうになると、そのシートP2が規制板80に干渉して、その搬送方向の動作(給送)が制限されることになる。
【0022】
送風装置79(第1送風装置)は、
図2〜
図4に示すように、載置部72(シート収納部71)に対して給送方向下流側(
図2〜
図4の左方である。)に設置されている。送風装置79は、載置部72に載置されたシートP1に向けて空気を吹き付けて、そのシートP1を浮上させるためのものである(
図3(B)を参照できる)。
詳しくは、送風装置79は、送風ファン、送風ダクト、第1送風ノズル79a、第2送風ノズル79b、2つの送風ノズル79a、79bをそれぞれ別々に開閉するシャッタ、等で構成されている。そして、送風ファンから取り入れられた空気が送風ダクトを介して第1送風ノズル79aから噴出されて、その空気が最上方のシートP1(及び、その下方に重なるシートP2)に吹き付けられることで、空気の正圧によって最上方のシートP1が分離されて上方に浮上することになる。そして、上方では吸引装置95による吸引がおこなわれているため、最上方のシートP1は、搬送ベルト91に向けての吸着が促進されることになる。なお、送風装置79(第1送風ノズル79a)が最上方のシートP1に向けて空気を噴出するタイミングは、吸引装置95による吸引動作が開始されるのと同時のタイミングであるか、それよりも少し早いタイミングであることが好ましい。
【0023】
ここで、本実施の形態における送風装置79には、載置部72(シート収納部71)に対して給送方向下流側に設置されて、第1送風ノズル79aによって浮上された最上方のシートP1とその下方のシートP2との間に向けて空気を吹き付けて下方のシートP2を分離させる第2送風ノズル79bが設けられている。
具体的に、送風装置79には、第1送風ノズル79aを開閉する第1シャッタと、第2送風ノズル79bを開閉する第2シャッタと、が設置されている。そして、これらのシャッタの開閉動作を制御して、第1送風ノズル79aを開放して第2送風ノズル79bを閉鎖したときには、
図3(B)に示すように、送風装置79は最上方のシートP1に向けて空気を吹き付けてシートP1を浮上させるように機能して、第1送風ノズル79aを閉鎖して第2送風ノズル79bを開放したときには、
図3(C)に示すように、送風装置79は最上方のシートP1とその下方のシートP2との間に向けて空気を吹き付けて下方のシートP2を分離させるように機能することになる。
【0024】
このように、第1送風装置79は、載置部72に載置されたシートPに向けて給送方向下流側から空気を吹き付けてシートPを浮上させるものである。
これに対して、第2送風装置76は、載置部72に載置されたシートPに向けて幅方向端部側から空気を吹き付けてシートPを浮上させるものである。本実施の形態において、第2送風装置76は、幅方向両端部にそれぞれ設置されている。また、
図3等を参照して、第2送風装置76は、第1送風装置79と同様に、送風ファン、送風ダクト、第1送風ノズル76a、第2送風ノズル76b、2つの送風ノズル76a、76bをそれぞれ別々に開閉するシャッタ、等で構成されている。そして、第2送風装置76において、第1送風ノズル76aからの送風と、第2送風ノズル76bからの送風と、の切替は、第1送風装置79とほぼ同様におこなわれる。
【0025】
図2、
図3等を参照して、吸引装置95は、載置部72(シート収納部71)に対して上方に設置されている。吸引装置95は、送風装置76、79によって浮上されたシートP1を吸引するためのものである。具体的に、吸引装置95は、載置部72に積載された複数のシートPの上方において、空気の負圧を生じさせて最上方のシートP1を吸引するものである。
詳しくは、吸引装置95は、吸引ファン、吸引ダクト、吸引チャンバ、等で構成されている。吸引チャンバは、搬送ベルト91の内部に設置されていて、その底部に形成された開口が搬送ベルト91に形成された複数の小径孔部を介して下方の空間に連通するように形成され、その幅方向一端側に形成された穴部が吸引ダクトを介して吸引ファンに接続されている。そして、吸引ファンが稼働することで、搬送ベルト91の底部から
図2の白矢印方向に空気が吸引されることになる。
【0026】
搬送装置90は、吸引装置95による吸引によってシートP(最上方のシートP1である。)を搬送ベルト91に吸着した状態で、そのシートPを給送方向に搬送するものである。
詳しくは、
図2、
図3等を参照して、搬送ベルト91は、シート収納部71の上方の給送方向最下流側であって、給送装置70の排出口に跨るように設置されている。搬送ベルト91は、2つのローラ部材92、93によって張架・支持されていて、駆動モータによって駆動ローラ93が回転駆動されることにより
図2の時計方向に回転(走行)する。搬送ベルト91のベルト表面には、全域にわたって小径の孔部が複数形成されている。
【0027】
以下、
図3(A)〜(D)を用いて、本実施の形態における給送装置70の通常時の動作について説明する。
ここでは、
図3(A)に示すように、充分な枚数のシートP1、P2が載置部72(シート収納部71)にセットされているものとする。
ユーザーによって画像形成装置1のコピーボタンが押されると、まず、
図3(B)に示すように、送風装置79(及び、第2送風装置76)の第1送風ノズル79a(及び、第1送風ノズル76a)から最上方のシートP1に向けて空気が吹き付けられて、その最上方のシートP1が搬送装置90に向けて浮上する。そして、これとほぼ同時に、吸引装置95による吸引が開始されて、
図3(C)に示すように、最上方のシートP1が搬送ベルト91に吸着される。なお、
図3(B)の状態のとき、下方のシートP2も僅かながら浮上した状態になる。
その後、
図3(C)に示すように、送風装置79(及び、第2送風装置76)の第2送風ノズル79b(及び、第2送風ノズル76b)から、最上方のシートP1と下方のシートP2との間に向けて空気を吹き付けられて、その最上方のシートP1から下方のシートP2が分離されて、分離された下方のシートP2が載置部72に向けて落下することになる。
そして、
図3(D)に示すように、搬送ベルト91の矢印方向の回転(走行)が開始されて、搬送ベルト91に吸着された状態のシートP1が、搬送ローラ55の位置に向けて搬送(給送)されることになる。このとき、下方のシートP2が重送しそうになっても、下方のシートP2は規制板80に規制されることになるため、不給送(ジャム)や重送などの給送不良が生じないことになる。
その後、最上方のシートP1が矢印方向に搬送されて、その後端部が吸引装置95の位置を通過した後に、次のシートP2(新たに最上方のシートとなったものである。)に対して、
図3(B)〜(D)の動作が繰り返されることになる。
【0028】
以下、本実施の形態における給送装置70(大容量給送装置)において、特徴的な構成・動作について詳述する。
先に
図2〜
図4等を用いて説明したように、本実施の形態における給送装置70には、載置部72、送風装置(第1送風装置79、第2送風装置76)、吸引装置95、搬送装置90、などが設けられている。
載置部72(底板)は、複数のシートPを積載可能に形成されていて、昇降可能に形成されている。
送風装置76、79は、載置部72に載置されたシートPに向けて給送方向下流側や幅方向端部側から空気を吹き付けて、そのシートを浮上させるものである。
吸引装置95は、載置部72に対して上方に設置されていて、送風装置76、79によって浮上されたシートPを吸引するものである。
搬送装置90は、吸引装置95による吸引によってシートPを吸着した状態で、そのシートPを給送方向に搬送するものである。
【0029】
ここで、
図4、
図5に示すように、載置部72(底板)には、その内部(厚み分の内部である。)に、空気を流動するための流路72a、72bが形成されている。
この流路72a、72bは、載置部72が所定高さ(
図5(B)に示す位置である。)を超えた位置まで上昇しているときに、送風装置76、79から送出された空気が流入口72a1、72b1から流入されて、流出口72a2、72b2から流出するためのものである。換言すると、流路72a、72bは、載置部72が所定高さを超えた位置まで上昇しているときに、複数の送風装置76、79のうち少なくとも1つの送風装置から送出された空気が流入されるものである。
【0030】
詳しくは、本実施の形態において、載置部72には、第1流路72bと第2流路72aとが設けられている。
第1流路72bは、第1送風装置79(第1送風ノズル79a)から送出された空気が基準フェンス73の開口73aを介して流入口72b1から流入され、その空気が2つの流出口72b2から流出されるものである。
第2流路72aは、第2送風装置76(第1送風ノズル76a)から送出された空気がサイドフェンス75の開口75aを介して流入口72a1から流入され、その空気が流出口72a2から流出されるものである。第2流路72aは、一対の第2送風装置76(サイドフェンス75)に対応して幅方向両端部にそれぞれ形成されている。
また、
図4に示すように、流出口72a2、72b2は、幅方向(
図4の上下方向である。)に複数並設されている。具体的に、第1流路72bにおける2つの流出口72b2は、幅方向中央部において幅方向に間隔をあけて並設されている。また、2つの第2流路72aの流出口72a2は、第1流路72bにおける2つの流出口72b2を挟むように、幅方向両端部にそれぞれ配置されている。
【0031】
ここで、流出口72a2、72b2は、載置部72が
図5(B)に示す所定高さに達して、載置部72に積載されたシートPの枚数が少ないときに、流路72a、72bに流入された空気を載置部72に載置されたシートPに向けて下方から吹き付けるためのものである。
図5(A)に示すように、載置部72上に充分に多くのシートPが積載されているときには、載置部72が、上方に位置する送風装置76、79(開口73a、75a)に対して、下方に離れた位置にあるため、載置部72の流路72a、72bが送風装置76、79に繋がっていない状態である。このとき、載置部72に積載されたシート束のうち最上方のシートPが、先に
図3を用いて説明した手順(送風装置76、79による浮上と、搬送装置90による吸引・搬送と、である。)によって給送されることになる。
これに対して、
図5(B)に示すように、載置部72上に積載されたシートPが少なくなると(普通紙で2〜10枚程度である。)、載置部72が、送風装置76、79(開口73a、75a)の高さにまで上昇して、載置部72の流路72a、72bが送風装置76、79に繋がった状態になる。これにより、載置部72に載置された残り少ないシートPに対して、下方の流出口72a2、72b2から空気を吹き付けることが可能になる。
【0032】
ここで、本実施の形態において、流出口72a2、72b2は、載置部72における給送方向下流側(
図4、
図5の左方である。)であって、吸引装置95の下方(本実施の形態では真下である。)に配置されている。
すなわち、
図4を参照して、給送装置70を上方から投影してみたときに、吸引装置95によって空気が吸引される範囲内に、流出口72a2、72b2が配置されている。さらに換言すると、流出口72a2、72b2は、少なくともその1つが、載置部72における給送方向下流側であって、上方から見て吸引装置95と重なる位置に配置されている。
【0033】
このように構成することにより、
図5(B)に示すように、載置部72に積載されたシートPの枚数が少なくなってきたときに、送風装置76、79から最上方のシートの給送方向下流側や幅方向両端部に向けて吹き付けた空気が、シートPの積載枚数の減少にともない上昇した載置部72に遮られてしまっても、送風装置76、79から送出された空気を流路72a、72bを介して流出口72a2、72b2からシートPの給送方向下流側の下方に向けて吹き付けることができる。さらに、その流出口72a2、72b2の真上に相当する位置から、吸引装置95によってシートPを上方に吸引している。そのため、
図5(B)に示すように、載置部72に積載されたシートPは、その先端部(給送方向下流側)が載置部72から浮上して、ある程度分離した状態になる。したがって、載置部72上のシートPがうまく分離して浮上しなくて不給送や重送などの給送不良が生じることなく、搬送装置90によって最後の1枚まで良好に給送されることになる。
また、本実施の形態では、載置部72が所定高さまで上昇した状態を検知するセンサの設置や、流出口72a2、72b2から空気を吹き付けるための専用の送風装置の設置、が不要であるため、給送装置70を小型化・低コスト化することができる。
【0034】
ここで、本実施の形態において、載置部72に載置されたシートPの坪量が大きい場合に、シートPの坪量が小さい場合に比べて、
図5(B)に示すように載置部72が所定高さを超えた位置まで上昇しているときにシートPに向けて流出口72a2、72b2を介して吹き付ける空気の単位時間当たりの風量を大きくするように制御することもできる。
詳しくは、シートPの坪量を、操作パネル100に入力されたシートPに関する情報から検知して、その坪量が大きくなるほど、
図5(B)の状態で送風装置76、79における単位時間当たりの風量が大きくなるように制御する。
このような制御をおこなうことで、シートPの坪量が大きくなって、シートPの1枚当たりの重量が大きくなっても、流出口72a2、72b2から吹き付ける空気量が増加して、シートPの先端部を良好に浮上させることができる。
なお、同じような理由で、載置部72に載置されたシートPの坪量が大きい場合に、シートPの坪量が小さい場合に比べて、
図5(B)に示すように載置部72が所定高さを超えた位置まで上昇しているときにシートPを吸引する吸引装置95の単位時間当たりの吸引量を大きくするように制御することもできる。
【0035】
<変形例1>
図6は、変形例1としての給送装置70の要部を示す上面図であって、本実施の形態における
図4に対応する図である。また、
図7は、変形例1における給送装置70において、小サイズのシートPが積載されるときの要部を示す上面図である。
図6、
図7に示すように、変形例1における給送装置70は、サイズの異なるシートPをセットできるように構成されている点が、本実施の形態のものと相違する。
詳しくは、エンドフェンス74は、シートPの給送方向のサイズに応じて、その給送方向の位置(基準フェンス73との間隔である。)を、手動(又は、自動)で可変できるように構成されている。エンドフェンス74は、載置部72に形成された切欠き72dの範囲内で、給送方向に移動することになる。
また、サイドフェンス75は、その一部(サイドフェンス可動部75b)が、シートPの幅方向のサイズに応じて、その幅方向の間隔を、手動(又は、自動)で可変できるように構成されている。サイドフェンス可動部75bは、載置部72に形成された切欠き72cの範囲内で、幅方向に移動することになる。本実施の形態では、一対のサイドフェンス可動部75bが連動して幅方向の間隔を増減するように構成されている。このような一対のサイドフェンス可動部75bを連動させる移動機構としては、一方のサイドフェンス可動部75bに直交して幅方向に延在するように一体的に形成されたラックギア部と、他方のサイドフェンス可動部75bに直交して幅方向に延在するように一体的に形成されたラックギア部と、双方のラックギア部の間に挟まれて噛合するピニオンギアと、からなるピニオン・ラック機構を用いることができる。
なお、載置部72において、切欠き72c、72dは、流路72a、72bや、後述するシャッタ85に干渉しない位置に形成されている。
ユーザーは、把持したシートP(シート束)を基準フェンス73に突き当てるように載置部72上に載置した後に、載置したシートPに突き当たるようにサイドフェンス可動部75bとエンドフェンス74とを移動操作して、シート収納部71へのシートP(シート束)のセットが完了することになる。
【0036】
ここで、変形例1における給送装置70は、載置部72が
図5(B)に示すように所定高さを超えた位置まで上昇しているときに、複数の流出口72a2、72b2のうち、載置部72に載置されたシートPの幅方向のサイズに応じてシートPの下方に位置しない流出口からの空気の流出が停止されるように構成されている。
詳しくは、
図6を参照して、給送装置70には、載置部72に載置されたシートPの幅方向のサイズを検知するサイズ検知手段としてのサイズ検知センサ130が設置されている。このサイズ検知センサ130は、CIS(コンタクト・イメージ・センサ)であって、載置部72に載置されたシートPの幅方向の位置を光学的に検知することにより、シートPの幅方向サイズを検知するものである。
また、載置部72の内部には、流出口72a2、72b2からの空気の流出を遮断可能に構成された遮断部材としてのシャッタ85が設けられている。シャッタ85は、制御部110による移動機構120の制御によって、給送方向に移動して第2流路72aの流入口72a1を開閉可能に構成されている。シャッタ85の移動機構120としては、例えば、ソレノイドを用いた機構を用いることができる。
【0037】
そして、
図7を参照して、変形例1では、載置部72が
図5(B)に示すように所定高さを超えた位置まで上昇しているときに、サイズ検知センサ130(サイズ検知手段)の検知結果に基づいて、4つの流出口72a2、72b2のうち、載置部72に載置されたシートPの下方に位置しない流出口(幅方向両端部の第2流路72a用の2つの流出口72a2である。)からの空気の流出が停止されるように、シャッタ85(移動機構120)が制御される。すなわち、
図6に示すように、大サイズのシートPがセットされているときにはシャッタ85が開放されて4つの流出口72a2、72b2のすべてからシートPに向けて空気が吹き付けられ、
図7に示すように、小サイズのシートPがセットされているときにはシャッタ85が閉鎖されて4つの流出口72a2、72b2のうち中央の2つの流出口72b2のみからシートPに向けて空気が吹き付けられる。
このように構成・制御することで、シートPの下方に位置しない流出口72a2から送出された空気によって、シートPの下方に位置する流出口72b2から送出された空気によって浮上・分離されるシートPが、スムーズに浮上・分離しなくなる不具合が軽減されることになる。
なお、変形例1では、載置部72に載置されたシートPの幅方向のサイズを検知するサイズ検知手段として、載置部72に載置されたシートPの幅方向サイズを直接的に検知するサイズ検知センサ130を用いた。これに対して、ユーザーによって操作パネル100に入力されたシートPに関する情報に基づいて、載置部72に載置されたシートPの幅方向サイズを間接的に検知することもできる。さらには、サイドフェンス可動部75bの幅方向の位置を検知する位置検知センサ140(例えば、測距センサである。)の検知結果に基づいて、載置部72に載置されたシートPの幅方向サイズを間接的に検知することもできる。
【0038】
また、変形例1において、載置部72に載置されたシートPのサイズ又は坪量が大きい場合に、シートPのサイズ又は坪量が小さい場合に比べて、載置部72が
図5(B)に示す所定高さを超えた位置まで上昇しているときにシートPに向けて流出口を介して吹き付ける空気の単位時間当たりの風量(又は、吸引装置95の単位時間当たりの吸引量)を大きくすることもできる。シートPのサイズが大きくなるときも、シートPの坪量が大きくなるときと同様に、シートPの1枚当たりの重量が大きくなるため、先に説明したように、このような制御をおこなうことで、シートPの先端部を良好に浮上させることができる。
【0039】
<変形例2>
図8は、変形例2としての給送装置70の要部を示す上面図であって、前記変形例1における
図6、
図7に対応する図である。また、
図9は、その給送装置70におけるサイドフェンス75とシャッタ85との動作を示す図である。
図8、
図9に示すように、変形例2における給送装置70は、サイズの異なるシートPがセットされたときのサイドフェンス75の移動操作に連動してシャッタ85が流出口を開閉する点が、前記変形例1のものと相違する。
図8(A)、(B)に示すように、変形例2における給送装置70は、サイドフェンス75が切欠き72cの範囲内で幅方向に移動可能に構成されていて、エンドフェンス74が切欠き72dの範囲内で移動可能に構成されている。変形例2における給送装置70は、前記変形例1のものとは異なり、載置部72に第2流路72aが形成されておらず、第1送風装置79から第1流路72bを介して4つの流出口72b2から空気が流出されるように構成されている。そのため、変形例2では、切欠き72cの範囲を大きく設定することができて、サイドフェンス75の全体を幅方向に移動できるようになっている。
そして、変形例2では、遮断部材としてのシャッタ85が、載置部72に載置されたシートPの幅方向のサイズに応じて幅方向に移動されるサイドフェンス75の動作に連動して、4つの流出口72b2のうち、載置部72に載置されたシートPの下方に位置しない流出口からの空気の流出を遮断するように幅方向に移動する。すなわち、載置部72上に載置されたシートPの枚数が少ない場合であって、
図8(A)に示すように、大サイズのシートPがセットされているときにはシャッタ85が開放されて4つの流出口72b2のすべてからシートPに向けて空気が吹き付けられ、
図8(B)に示すように、小サイズのシートPがセットされているときにはシャッタ85が閉鎖されて4つの流出口72b2のうち中央の2つの流出口72b2のみからシートPに向けて空気が吹き付けられる。
サイドフェンス75の移動に連動してシャッタ85を移動させる機構としては、
図9に示すように、ピニオン・ラック機構を用いることができる。詳しくは、サイドフェンス75には、幅方向に延在するようにラックギア75b10が形成されたラックギア部75b1が一体的に設けられている。他方、シャッタ85にも、幅方向に延在するようにラックギア85a1が形成されたラックギア部85aが一体的に設けられている。そして、双方のラックギア部75b1、85aに挟まれて、ラックギア75b10、85a1に噛合するピニオンギア87が、載置部72に固定設置されている。なお、双方のラックギア75b10、85a1とピニオンギア87とは、載置部72が
図5(B)の位置を超えて上昇している状態で噛合するように、高さ方向の位置が定められている。このような構成により、
図9において、サイドフェンス75が
図9の下方に移動すると、ラックギア75b10の移動によってピニオンギア87が時計方向に回転して、ラックギア部85a(ラックギア85a1)とともにシャッタ85が
図9の上方に移動して流出口72b2を閉鎖することになる。これに対して、サイドフェンス75が
図9の上方に移動すると、ラックギア75b10の移動によってピニオンギア87が反時計方向に回転して、ラックギア部85a(ラックギア85a1)とともにシャッタ85が
図9の下方に移動して流出口72b2を開放することになる。
このように構成した場合であっても、前記変形例1のものと同様の効果を得ることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態における給送装置70には、載置部72に載置されたシートに向けて給送方向下流側や幅方向端部側から空気を吹き付けてシートPを浮上させる送風装置76、79や、吸引装置95による吸引によってシートPを上方から吸着した状態で搬送する搬送装置90、が設けられている。そして、載置部72には、載置部72が所定高さを超えた位置まで上昇しているときに、送風装置76、79から送出された空気が流入されて、載置部72に載置されたシートPに向けて下方から吹き付ける流出口72a2、72b2が形成された流路72a、72bが設けられている。そして、この流出口72a2、72b2は、載置部72における給送方向下流側であって、吸引装置95の下方に配置されている。
これにより、載置部72に積載されたシートPの枚数が少なくなってきたときであっても、不給送や重送などの給送不良を生じにくくすることができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置される給送装置70に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置される給送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される給送装置70に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に設置される給送装置に対しても本発明を適用することができる。さらに、画像形成装置以外の装置(例えば、プリプレグを搬送して検査するプリプレグ搬送検査装置などである。)に設置される給送装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、画像形成装置1における大容量の給送装置70に対して本発明を適用したが、給送装置としての給紙カセット12、13に対してもエア吸着方式のものであれば当然に本発明を適用することができるし、給送装置としての原稿搬送部10(自動原稿搬送装置)に対してもエア吸着方式のものであれば当然に本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、シートPを浮上させる送風装置として、載置部72に載置されたシートPに向けて給送方向下流側から空気を吹き付ける第1送風装置79と、載置部72に載置されたシートPに向けて幅方向端部側から空気を吹き付ける第2送風装置76と、が設置された給送装置70に対して本発明を適用した。これに対して、第1送風装置のみが設置された給送装置や、第2送風装置のみが設置された給送装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、複数の送風装置76、79のすべてにそれぞれ対応する流路72a、72b(流出口72a2、72b2)を設けたが、複数の送風装置のうち一部の送風装置にのみ対応する流路(流出口)を設けることもできる。
また、本実施の形態では、載置部72に4つの流出口72a、72b2を幅方向に並設したが、流出口の数や配置はこれに限定されることはない。また、本実施の形態では、載置部72に設けた複数の流出口72a、72b2のすべてが吸引装置95の下方に配置されるように構成したが、載置部72に設けた複数の流出口のうち一部の流出口のみが吸引装置の下方に配置されるように構成することもできる。
そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0044】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、通常の用紙(紙)の他に、コート紙、ラベル紙、OHPシート、金属シート、フィルム、プリプレグ、布、等のシート状部材を含み、さらには給送装置としての自動原稿搬送装置において給送される原稿をも含むものと定義する。