(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、一実施の形態によるデジタルカメラ1(以下、カメラ1と呼ぶ)を示す斜視図である。カメラ1は、カメラボディ2と交換レンズ3とで構成され、カメラボディ2に対して交換レンズ3が着脱可能に構成されている。
【0007】
カメラボディ2には、交換レンズ3が取り付けられるボディ側マウント部201が設けられている。また、
図1に示すように、ボディ側マウント部201の内面側には、接続部202が設けられている。この接続部202には、複数の電気接点が設けられている。
【0008】
一方、交換レンズ3には、カメラボディ2に取り付けられるレンズ側マウント部301が設けられている。また、
図1に示すように、レンズ側マウント部301の内面側には、接続部302が設けられている。この接続部302には、複数の電気接点が設けられている。交換レンズ3の鏡筒の外周面に設けられている操作環は、ズーム操作環35である。
【0009】
カメラボディ2に交換レンズ3が装着されると、ボディ側マウント部201に設けられた接続部202の電気接点と、レンズ側マウント部301に設けられた接続部302の電気接点とが、電気的かつ物理的に接続される。これにより、接続部202および接続部302を介して、カメラボディ2から交換レンズ3への電力供給や、カメラボディ2および交換レンズ3間の通信が可能となる。
【0010】
<交換レンズ>
図2は、
図1に例示したカメラ1の要部構成図である。
図2に示すように、交換レンズ3には、複数のレンズ31〜33、および絞り34を含む光学系と、レンズ制御部37と、レンズメモリ38と、通信部39とが内蔵されている。交換レンズ3は、さらに、ズームレンズ駆動モータ321、フォーカシングレンズ駆動モータ331、絞り駆動モータ341などを備えている。ズームレンズ駆動モータ321、フォーカシングレンズ駆動モータ331、および絞り駆動モータ341は、光学系を駆動する駆動部を構成する。
【0011】
レンズ33は、フォーカスを調整可能なフォーカシングレンズである。フォーカシングレンズ33が光軸L1方向に進退移動することにより、光学系の焦点位置を調節する。フォーカシングレンズ33は、フォーカシングレンズ駆動モータ331によって駆動される。フォーカシングレンズの位置は、レンズ制御部37によって管理される。例えば、フォーカシングレンズ駆動モータ331への信号に基づいてフォーカシングレンズ33の位置を検出するようにしてもよいし、不図示のエンコーダを設けることにより位置を検出するようにしてもよい。
【0012】
フォーカシングレンズ駆動モータ331は、例えば超音波モータによって構成される。フォーカシングレンズ駆動モータ331に対する駆動指示は、レンズ制御部37によって行われる。例えば、カメラボディ2のボディ制御部21によってフォーカシングレンズ33の移動方向および移動速度が決定され、決定された移動方向および移動速度を示す制御信号がレンズ制御部37へ送信される。レンズ制御部37は、ボディ制御部21からの制御信号に基づき、フォーカシングレンズ駆動モータ331へ駆動指示を送る。
【0013】
レンズ32は、ズーミングを調整可能なズームレンズである。ズームレンズ32が光軸L1方向に進退移動することにより、光学系の焦点距離を変化させる。ズームレンズ32は、ズームレンズ駆動モータ321によって駆動され、ズームレンズ用エンコーダ322によってその位置が検出される。ズームレンズ駆動モータ321に対する駆動指示は、レンズ制御部37によって行われる。例えば、
図1のズーム操作環35の回転操作に応じて、レンズ制御部37がズームレンズ32の移動方向および移動速度を決定し、ズームレンズ駆動モータ321へ駆動指示を送る。
【0014】
絞り34は、光束を調整可能な光束制限部材である。絞り34は、光軸L1を中心に開口径を変化させることにより、上記光学系を通過して撮像素子22に至る光束を制限する。絞り34は、絞り駆動モータ341によって駆動される。絞り駆動モータ341に対する駆動指示は、レンズ制御部37によって行われる。絞り34の開口径は、絞り開口センサ342によって検出される。絞り34の開口径は、レンズ制御部37によって管理される。
【0015】
レンズ制御部37は、例えば自動露出モードにおいて演算した開口径(絞り値)を示す制御信号を、ボディ制御部21から受信する。また、レンズ制御部37は、操作部材28(例えば絞り環)に対するマニュアル操作によって設定された開口径(絞り値)を示す制御信号を、ボディ制御部21から受信する。
【0016】
レンズメモリ38には、例えば、像面移動係数などのレンズ情報が記録される。像面移動係数とは、フォーカシングレンズ33の移動量と像面の移動量との対応関係を示す値である。レンズメモリ38には、さらに、駆動部による光学系の駆動により生じる音に関する音情報が記憶される。音情報は、例えば、フォーカシングレンズ駆動モータ331によってフォーカシングレンズ33を駆動する際に発するレンズ駆動音を示す情報である。レンズメモリ38は、不揮発性の記憶媒体などで構成される。レンズメモリ38に記録される音情報については、後から詳述する。
【0017】
通信部39は、カメラボディ2の通信部29との間で所定の通信を行う。これにより、カメラボディ2側の情報や指示が交換レンズ3のレンズ制御部37へ伝えられ、交換レンズ3側の情報がカメラボディ2のボディ制御部21へ伝えられる。
【0018】
<カメラボディ>
カメラボディ2は、ボディ制御部21と、撮像素子22と、シャッター23と、メモリ24と、マイク25と、液晶表示器27と、操作部材28と、通信部29とを含む。
【0019】
ボディ制御部21は、不図示のマイクロコンピュータやメモリ21A等を含み、内蔵されている制御プログラムに基づいて、カメラ1の各部の動作を統括的に制御する。例えば、ボディ制御部21は、撮像素子22から出力されたデータに対して所定の画像処理(色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整など)を施す。
【0020】
また、ボディ制御部21は、撮像素子22から出力されたデータを用いて所定の露出演算を行うとともに、この露出演算によって求めた露出量に基づいてカメラ1の露出制御を行う。自動露出演算の一例を説明すると、ボディ制御部21は、撮影画面を複数の領域に分割し、分割した各領域に対応するデータを、測光信号として撮像素子22から読み出す。ボディ制御部21は、読み出した測光信号に基づいて露出を演算する。
さらにまた、ボディ制御部21は、光学系の焦点検出処理を行う。焦点検出処理については後述する。
【0021】
ボディ制御部21は、判定部21B、制御信号生成部21Cを機能的に有する。判定部21Bは、交換レンズ3から受信する音情報に基づいて、音の大きさが閾値より小さいか否かを判定する。制御信号生成部21Cは、交換レンズ3の光学系の駆動を制御する制御信号を生成する。
【0022】
撮像素子22は、複数の光電変換素子が二次元状に配置されたものであって、後述する静止画像、動画像、ライブビュー画像(スルー画像とも呼ばれる)を撮像する。ライブビュー画像は、撮像素子22によって所定のフレームレートで逐次取得される観察用の画像である。
【0023】
シャッター23は、ボディ制御部21によって開閉制御される。メモリ24は、着脱可能に構成された記録媒体である。メモリ24は、ボディ制御部21によって画像データや音声データの書き込みおよび読み出しが制御される。マイク25は、集音した音を音声信号に変換する。音声信号は、ボディ制御部21によって増幅、A/D変換され、デジタル音声データとしてメモリ24に記録される。
【0024】
液晶表示器27は、カメラボディ2の背面に設けられている。液晶表示器27は、ボディ制御部21の指示に応じて画像を再生表示したり、シャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報や、カメラボディ2に各種設定を行うためのメニュー画面を表示したりする。
【0025】
操作部材28は、レリーズボタン、録画ボタン、各種設定スイッチなどを含む。カメラ1は、操作部材28の操作により、静止画撮影モード、動画撮影モード、オートフォーカス(以下、AFと呼ぶ)モード、マニュアルフォーカス(以下、MFと呼ぶ)モードなどの各種モードの切り換えが可能となっている。カメラ1は、さらに、AFモードの中でも、シングルAFモードや常時AFモードなどに切り換えを行うことが可能となっている。操作部材28は、操作に応じた操作信号をボディ制御部21へ送出する。なお、操作部材28には、レリーズボタンが半押し操作されるとオンする第1スイッチSW1と、レリーズボタンが全押し操作されるとオンする第2スイッチSW2とが含まれる。
【0026】
シングルAFモードは、レリーズボタンが半押し操作されて焦点検出結果に基づきフォーカシングレンズ33を移動させた後は、半押ししている間はフォーカシングレンズ33の位置を固定しておく撮影モードである。シングルAFモードは、例えば、静止画撮影を行う際に用いられる。常時AFモード(フルタイムAFモード)は、焦点検出結果に基づきフォーカシングレンズ33を移動させた後も、焦点状態の検出を繰り返し行って、焦点状態が変化した場合にフォーカシングレンズ33を駆動する撮影モードである。常時AFモードは、例えば、ライブビュー撮影や動画撮影などを行う際に選択される。
【0027】
上記カメラ1は、静止画撮影と動画撮影とが可能に構成されている。
<ライブビュー画像>
ボディ制御部21は、例えば、撮影待機状態においてライブビューモードにする。ライブビューモードにおける動作の一例を説明すると、ボディ制御部21が、シャッター23を開いたままで、交換レンズ3の絞り34を被写体の明るさに応じた開口径へ制御させるとともに、撮像素子22によりライブビュー画像を所定のフレームレートで取得させる。ボディ制御部21は、取得されたライブビュー画像を液晶表示器27に逐次表示させる。ボディ制御部21は、例えば、ライブビューモードにおいては、常時AFモードに設定することで、動く被写体に追従してフォーカシングレンズ33を駆動させる。
【0028】
<静止画像>
ボディ制御部21は、例えば、ユーザーによって操作部材28を構成するレリーズボタンが全押し操作されると、静止画撮影を開始させる。動作の一例を説明すると、シャッター23を一旦閉じ、交換レンズ3の絞り34を、被写体の明るさに応じた開口径へ制御させるとともに、シャッター23を開いて被写体からの光束を撮像素子22へ導く。ボディ制御部21は、所定のシャッター秒時が経過するとシャッター23を閉じ、撮像素子22によって光電変換された画像のデータに対して所定の画像処理を施す。ボディ制御部21は、ライブビューモードへ戻るために再びシャッター23を開くとともに、画像処理後の画像データをメモリ24に記録する。ボディ制御部21は、例えば、静止画撮影モードにおいては、シングルAFモードに設定する。ボディ制御部21は、レリーズボタンの半押し操作時の焦点検出結果に基づきフォーカシングレンズ33を移動させた後は、フォーカシングレンズ33の位置を固定させる。
【0029】
<動画像>
また、ボディ制御部21は、例えば、ユーザーによって操作部材28を構成する録画ボタンが押下操作されると、静止画撮影モードから動画撮影モードに切り替えられて、動画撮影を開始させる。動作の一例を説明すると、交換レンズ3の絞り34の開口径を、被写体の明るさに応じた開口径へ制御させ、撮像素子22により動画の撮像を所定のフレームレートで行わせる。このとき、上述したマイク25により集音された音声の録音も行う。ボディ制御部21は、動画の撮影中に再び録画ボタンが押下操作されると、動画の撮像および音声の録音を終了させる。動画像のデータおよびデジタル音声データは、ボディ制御部21によってメモリ24に記録される。ボディ制御部21は、例えば、動画撮影モードにおいては、常時AFモードに設定し、動く被写体に追従してフォーカシングレンズ33を駆動させる。
【0030】
上記カメラ1は、以下のような焦点検出が可能に構成されている。
<コントラストAF>
ボディ制御部21は、撮像素子22から読み出したデータに基づき、コントラスト検出方式による光学系の焦点調節状態の検出(コントラストAF)を行う。例えば、ボディ制御部21からレンズ制御部37へ制御信号を送出してフォーカシングレンズ33を所定のサンプリング間隔(距離)で移動させながら、フォーカシングレンズ33のそれぞれの位置において撮像素子22で取得されたデータを撮像素子22から読み出す。ボディ制御部21は、読み出したデータに基づいて焦点評価値演算を行う。そして、焦点評価値が最大となるフォーカシングレンズ33の位置を合焦位置として求める。
【0031】
一般に、コントラストAFでは、フォーカシングレンズ33の移動速度が所定速度を超えることによって焦点評価値のサンプリング間隔が大きくなり過ぎると、合焦精度の低下を招くおそれがある。そこで、ボディ制御部21は、焦点評価値を検出するためにフォーカシングレンズ33を移動させる探索制御において、合焦位置を適切に検出することができるサンプリング間隔に応じた像面駆動速度が得られるようにフォーカシングレンズ33の移動速度を決定し、フォーカシングレンズ33を移動させる。探索制御とは、例えば、ウォブリング、所定位置の近傍のみを探索する近傍サーチ(近傍スキャン)、フォーカシングレンズ33の可動範囲の全域を探索する全域サーチ(全域スキャン)を含む。
【0032】
ボディ制御部21は、動画撮影モードにおいては、例えば、常にウォブリングを行う常時ウォブリングを行わせると共に、焦点評価値が所定の閾値を超えて変化した場合にコントラストAFを行わせる。また、ボディ制御部21は、例えば、動画撮影モードにおけるレンズ駆動制御では、フォーカシングレンズ33を低速で駆動させる。ボディ制御部21は、例えば、静止画撮影モードにおけるレンズ駆動制御では、フォーカシングレンズ33を高速で駆動させて、高速にコントラストAFを行わせる。
【0033】
<位相差AF>
また、ボディ制御部21は、位相差検出方式による焦点検出(位相差AF)を行うこともできる。位相差検出方式は、光学系の異なる瞳領域を介して入射された一対のフォーカス検出用光束による像の位相差に基づいてデフォーカス量を検出する方式である。この方式では、ボディ制御部21が、位相差検出用センサの異なる位置に設けられたフォーカス検出用画素列でそれぞれ撮像される一対の像の相対位置ズレ量(相対間隔)に基づいて、合焦に必要なフォーカシングレンズ33の移動方向および移動量を算出する。ボディ制御部21は、例えば、焦点状態が合焦状態から大きく外れている場合は、位相差AFを行う。
【0034】
具体的には、ボディ制御部21が、上記一対の像の強度分布に対して像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、一対の像の像ズレ量を算出する。ボディ制御部21はさらに、像ズレ量に所定の変換係数を乗算することによって、交換レンズ3の焦点調節状態を表すデフォーカス量を算出する。このような位相差AFにおけるデフォーカス量演算は公知であるので、位相差AFについての詳細な説明は省略する。
【0035】
なお、位相差検出用センサは、あらかじめ撮像素子22に含められているフォーカス検出用画素列を用いてもよいし、フォーカス検出用画素列を備えた専用センサを撮像素子22とは別に備えるように構成してもよい。
【0036】
<AF制御の決定>
本実施の形態では、交換レンズ3が駆動部の駆動音を示す音情報を記憶し、交換レンズ3がカメラボディ2に装着された後、音情報をカメラボディ2に送信する。そのため、カメラボディ2は、音情報に基づいて、交換レンズ3の駆動部を制御することができる。その結果、駆動音を考慮した交換レンズ3の駆動を行うことができる。
【0037】
図3を用いて、フォーカシングレンズ駆動モータ331による駆動を行う際に発生するレンズ駆動音について説明する。
図3は、レンズ駆動音の測定結果を示す説明図である。フォーカシングレンズ駆動モータ331は、超音波モータにより構成され、低速駆動させている。
図3において、横軸は時間を、縦軸は駆動音の音圧レベル(単位は、例えばdB)を示している。超音波モータでは、駆動を開始する際の突発的な音、駆動中の音、駆動を停止する際の突発的な音が発生する。本明細書では、光学系の駆動を開始する際に生じる突発的な音を開始時突発音と呼び、光学系を駆動しているときに生じる音を定常音と呼び、光学系の駆動を停止する際に生じる突発的な音を停止時突発音と呼ぶ。
【0038】
レンズ制御部37は、駆動開始の信号を受信すると、フォーカシングレンズ駆動モータ331に通電を行わせる。
図3に示すように、レンズ駆動を開始する場合においては、開始時突発音Aが発生する。開始時突発音Aは、例えば、超音波モータの振動子に通電する等により発生する。レンズ制御部37は、フォーカシングレンズ駆動モータ331の駆動周波数の掃引を行って所定の駆動周波数に移行させると共に、フォーカシングレンズ駆動モータ331にフォーカシングレンズ33の駆動を行わせる。フォーカシングレンズ33の駆動中は、定常音Bが発生する。定常音Bは、超音波モータが回転して光学系を駆動しているときの音であり、超音波モータの摩擦等により発生する。
【0039】
レンズ制御部37は、駆動停止の信号を受信すると、フォーカシングレンズ駆動モータ331の駆動周波数の掃引を行って、所定の停止用の周波数に移行させる。レンズ駆動を停止する際は、停止時突発音Cが発生する。停止時突発音Cは、例えば、超音波モータの振動子への通電を停止する等により発生する。なお、
図3において、駆動開始前および駆動停止後に生じている音は、フォーカシングレンズ33の駆動前および駆動後の環境音(暗騒音)である。開始時f掃引音および停止時f掃引音は、フォーカシングレンズ駆動モータ331の駆動周波数の掃引を行う際に発生する音である。
【0040】
レンズ駆動音は、例えば、カメラの製造工程等において所定の測定環境で測定される。例えば、開始時突発音と停止時突発音のうち音圧レベルが大きい方の突発音についての音情報と定常音を示す音情報がレンズメモリ38に記憶される。交換レンズ3は、カメラボディ2に装着されると、音情報をカメラボディ2に送信する。
【0041】
ボディ制御部21の判定部21Bは、交換レンズ3から受信した音情報に基づいて、駆動音の音圧レベルの大きさの判定を行う。判定部21Bは、例えば、駆動音の音圧レベルが所定の閾値よりも大きい場合は音圧レベルを「大」と判定し、駆動音の音圧レベルが所定の閾値よりも小さい場合は音圧レベルを「小」と判定する。ボディ制御部21は、判定結果を示す判定情報をメモリ21Aに記憶させる。
【0042】
ボディ制御部21のメモリ21Aは、カメラボディ2におけるマイク25の位置を示す位置情報を記憶している。位置情報は、例えば、マイク25とカメラボディ2に装着される交換レンズ3との距離やカメラボディの形状等に基づく情報である。ボディ制御部21は、位置情報に基づいて、レンズ駆動音の大きさの判定を行うための閾値を調整する。例えば、マイク25の配置位置が交換レンズ3に近い場合に閾値を小さくし、マイク25の配置位置が交換レンズ3に遠い場合に閾値を大きくする。
【0043】
ボディ制御部21の制御信号生成部21Cは、音圧レベルの判定情報と駆動部の制御内容を決定するための制御テーブル200Aに基づいて、駆動部を制御するための制御信号を生成する。交換レンズ3は、音情報に基づいて生成された制御信号により光学系の駆動を行うことができる。以下、AF制御の際にコントラストAFを用いる場合について説明する。
【0044】
図4は、メモリ21Aに記憶されている制御テーブル200Aの一例を示す表である。
図4に示す例では、制御テーブル200Aは、音圧レベルの判定情報とAFの制御情報との対応情報を示している。ボディ制御部21は、定常音の大きさが「小」であり、突発音の大きさが「小」である場合は、常にウォブリングを行う常時ウォブリングを設定可能とする。ボディ制御部21は、例えば、常時ウォブリングを行って焦点評価値を取得させると共に、焦点評価値が所定の閾値を超えて変化した場合にコントラストAFを行わせる制御を行う。これにより、AFの追従性を向上させることができる。
図4に示すように、定常音の大きさが「小」および突発音の大きさが「小」以外の場合は、ボディ制御部21は、常時ウォブリングの設定を禁止する。例えば、ボディ制御部21は、間欠的にウォブリングを行わせる制御を行う。これにより、動画撮影時に記録されるレンズ駆動音を抑制することができる。
【0045】
<フローチャートの説明>
図5は、第1の実施の形態に係る交換レンズ3とカメラボディ2における初期設定時の動作例を示すフローチャートである。
図5(a)はカメラボディ2における処理の一例を示すフローチャートであり、
図5(b)は交換レンズ3における処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS100において、ユーザーによって電源スイッチがオンされると、カメラボディ2の各部に電力が供給されて、ステップS110へ進む。ステップS110において、カメラボディ2は、接続部202および接続部302を介して、交換レンズ3に電力を供給して、ステップS120へ進む。
【0047】
ステップS200において、交換レンズ3は、カメラボディ2から電力が供給されて、ステップS210へ進む。ステップ210において、交換レンズ3は、レンズメモリ38から音情報を読み出す。交換レンズ3は、接続部202および接続部302を介して、カメラボディ2に音情報を送信して、
図5(b)に示す処理を終了する。
【0048】
ステップS120において、カメラボディ2は、交換レンズ3から音情報を受信して、ステップS130へ進む。ステップS130において、カメラボディ2は、メモリ21Aに音情報を記憶させて、
図5(a)に示す処理を終了する。
【0049】
図6は、第1の実施の形態に係る交換レンズ3とカメラボディ2における動画撮影時の動作例を示すフローチャートである。
図6(a)はカメラボディ2における処理の一例を示すフローチャートであり、
図6(b)は交換レンズ3における処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示す処理は、例えば、動画撮影モードで常時AFモードに設定されている場合に実行される。
【0050】
ステップS300において、カメラボディ2は、メモリ21Aに記憶された音情報を参照して、駆動音の音圧レベルの大きさの判定を行う。カメラボディ2は、音圧レベルの判定結果をメモリ21Aに記憶させて、ステップS310へ進む。ステップS310において、カメラボディ2は、ステップS300での判定結果とメモリ21Aに記憶される制御テーブル200Aに基づいて、制御信号を生成する。カメラボディ2は、接続部202および接続部302を介して、カメラボディ2に制御信号を送信して、
図6(a)に示す処理を終了する。
【0051】
ステップS400において、交換レンズ3は、カメラボディ2から制御信号を受信して、ステップS410へ進む。ステップS410において、交換レンズ3は、制御信号に基づいて光学系を駆動して、
図6(b)に示す処理を終了する。
【0052】
なお、上述した例では、突発音と定常音に基づいてAF制御内容を決定する例について説明したが、音情報に基づいてAF制御内容を決定する態様であればよい。例えば、開始時突発音、停止時突発音、および定常音のいずれか1つに基づいてAF制御内容を決定するようにしてもよい。
【0053】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)交換レンズ3は、カメラボディ2に装着可能な交換レンズであって、光学系を駆動する駆動部と、駆動部による光学系の駆動により生じる音に関する音情報を記憶する記憶部(レンズメモリ38)と、記憶部に記憶された音情報をカメラボディ2に送信する通信部39と、を備える。本実施の形態では、交換レンズ3は、光学系の駆動により生じる音に関する音情報をカメラボディ2に送信する。そのため、光学系の制御に利用可能な音情報を送信可能な交換レンズを提供することができる。
(2)通信部39は、音情報に基づいて生成された制御信号を受信し、駆動部は、制御信号に基づいて光学系を駆動する。本実施の形態では、交換レンズ3は音情報に基づいて光学系の駆動を行うことができる。そのため、動画撮影において、常時AFモード時の性能(合焦率)が向上し、レンズ駆動音の記録が抑制される。その結果、動画像の質を向上させることができる。
【0054】
(3)音情報は、駆動部による光学系の駆動を開始および/または停止する際の突発音に関する音情報、および、定常音に関する音情報を含む。本実施の形態では、音情報は、突発音を示す音情報および定常音を示す音情報を含む。そのため、突発音の大きさおよび定常音の大きさに基づいて、光学系の駆動を制御することができる。例えば、「(突発音×α)<定常音」の場合は光学系の微小な駆動停止を行う指示をしてよいと判断し、「(突発音×α)>定常音」の場合は大きな駆動を行う指示をするのがよいと判断することが可能となる。
(4)音情報は、駆動部が光学系の駆動を開始する際の突発音に関する音情報、駆動部が光学系の駆動を停止する際の突発音に関する音情報、および、駆動部が光学系を駆動しているときに生じる定常音に関する音情報のうちの少なくともいずれか1つを含む。このようにしたので、開始時突発音、停止時突発音、および定常音のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、交換レンズ3の光学系を駆動することができる。
【0055】
(5)カメラボディ2は、交換レンズ3に装着可能なカメラボディであって、交換レンズ3の光学系の駆動により生じる音に関する音情報を受信する通信部29と、音情報に基づいて、音の大きさが閾値より小さいか否かを判定する判定部21Bと、を備える。このようにしたので、カメラボディ2は、音情報に基づいて、交換レンズ3の駆動部の制御内容を決定することができる。
(6)本実施の形態では、カメラボディ2は、駆動部による光学系の駆動により生じる音に関する音情報を取得する。そのため、例えばマイク25を交換レンズ3近傍にしか配置できなかった場合に、そのカメラボディ2では駆動音の音圧レベルが小さいレンズでなければ、積極的にフォーカシングレンズ33を駆動させないといった制御が可能となる。
【0056】
(7)カメラボディ2は、光学系の駆動を制御する制御信号を生成する制御信号生成部21Cを備える。制御信号生成部21Cは、判定部21Bによる判定結果に基づいて制御信号を生成し、通信部29は、制御信号を交換レンズ3に送信する。カメラボディ2は、音情報に基づき生成された制御信号を、交換レンズ3に送信する。そのため、音情報に基づいて、交換レンズ3の光学系の駆動を制御することができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態によるカメラは、音情報に基づいて決定される駆動部の制御内容が異なることを除き、第1の実施の形態に係るカメラ1と同様の構成を有する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一である点については説明を省略する。
【0058】
図7は、第2の実施の形態に係るカメラボディ2のメモリ21Aに記憶されている制御テーブル200Bの一例を示す表である。ボディ制御部21は、定常音の大きさが「小」および突発音の大きさが「小」である場合は、フォーカシングレンズ33を駆動する頻度が多くなるような制御を行う。例えば、AF処理を実行するためのAF起動条件を緩和させる。AF起動条件は、例えば、焦点評価値またはその変化量が所定の閾値を超えた場合である。ボディ制御部21は、閾値を下げることで、フォーカシングレンズ33を積極的に動かすことが可能な状態とする。
【0059】
定常音の大きさが「小」であり、突発音の大きさが「大」である場合は、レンズ駆動開始時および停止時において、レンズ駆動音が雑音として記録される可能性が高くなる。そこで、ボディ制御部21は、定常音の大きさが「小」および突発音の大きさが「大」の場合は、駆動開始時および停止時のレンズ駆動の加速度を小さくする。例えば、ボディ制御部21は、超音波モータの駆動周波数の掃引速度を遅くして加速度を小さくすることにより、レンズ駆動音を低減させる。
【0060】
定常音の大きさが「大」であり、突発音の大きさが「小」である場合は、レンズ駆動中にレンズ駆動音が記録される可能性が高くなる。そこで、ボディ制御部21は、定常音の大きさが「大」および突発音の大きさが「小」の場合は、レンズ駆動中の駆動速度に制限をかける。ボディ制御部21は、例えば、レンズの最大速度の50%の速度を上限速度として設定する。例えば、超音波モータの駆動周波数に上限をもたせることにより、レンズの駆動速度に制限をかける。ボディ制御部21は、定常音の大きさが「大」および突発音の大きさが「大」の場合は、レンズ駆動の加速度を小さくすると共に、レンズ駆動中の駆動速度に制限をかける。
【0061】
上述した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
【0062】
(8)制御信号生成部21Cは、音の大きさが閾値より小さい場合に、音の大きさが閾値より大きい場合よりも、光学系を駆動する頻度を多くする制御信号を生成する。本実施の形態では、ボディ制御部21は、フォーカシングレンズ33を駆動する頻度を多くするような制御信号を生成して、交換レンズ3に送信する。そのため、駆動音の大きさに基づいて、光学系の駆動を制御することができる。
(9)制御信号生成部21Cは、音の大きさが閾値より小さい場合に、音の大きさが閾値より大きい場合よりも、光学系を駆動する速度を上げる制御信号を生成する。このようにしたので、駆動音を考慮した駆動速度によって光学系を駆動することができる。
【0063】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形
態と組み合わせることも可能である。
【0064】
(変形例1)
上述した実施の形態では、音情報に基づいてフォーカシングレンズ駆動モータ331を制御する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。ズームレンズ駆動モータ321によるズームレンズ32の駆動音を示す音情報に基づいて、ズームレンズ駆動モータ321を制御するようにしてもよい。また、絞り駆動モータ341による絞り34の駆動音を示す音情報に基づいて、絞り駆動モータ341を制御するようにしてもよい。
【0065】
(変形例2)
上述した実施の形態では、フォーカシングレンズ駆動モータ331として超音波モータを例に説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ステッピングモータを用いることもできる。
図8は、ステッピングモータを用いた場合のレンズ駆動音の測定結果を示す説明図である。超音波モータに代えてステッピングモータを用いることで、超音波モータを用いた場合よりもレンズ駆動音を低減できる。
図8に示すように、超音波モータを用いた場合のような開始時突発音および停止時突発音が生じない場合は、定常音のみに基づいてAFの制御内容を決定するようにしてもよい。なお、フォーカシングレンズ駆動モータ331には、DCモータ、ボイスコイルモータ等、他のモータを用いることもできる。
【0066】
(変形例3)
上述した実施の形態では、動画撮影時のAF制御内容を決定する例について説明したが、静止画撮影時のAF制御内容を決定する場合に本発明を適用することもできる。例えば、駆動部を低速駆動させた場合の駆動音を示す音情報と、駆動部を高速駆動させた場合の駆動音を示す音情報と、をレンズメモリ38に記憶させる。
【0067】
レンズ制御部37は、ボディ制御部21から撮影モードに関する撮影モード情報を受信し、撮影モード情報に基づいて音情報を読み出すようにしてもよい。例えば、レンズ制御部37は、動画撮影モードの場合は駆動部を低速駆動させた場合の駆動音を示す音情報をカメラボディ2に送信し、静止画撮影モードの場合は駆動部を高速駆動させた場合の駆動音を示す音情報をカメラボディ2に送信する。
【0068】
(変形例4)
上述した実施の形態では、カメラボディ2におけるマイク25の位置に基づいて、駆動音の大きさを判定するための閾値を変更する例について説明した。閾値は、他の要件(例えば、撮影をするときに設定される撮影モード、環境音、マイク25の集音性能、ユーザー設定、外部マイクの装着の有無、外部機器の接続の有無)に基づいて変更するようにしてもよい。
【0069】
(変形例5)
上述した実施の形態では、カメラにおける初期設定時において、音情報をカメラボディ2に送信する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、交換レンズ3は、音情報を所定の周期毎に送信するようにしてもよい。
【0070】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。