特許第6972545号(P6972545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972545防曇性多層フィルム、これを用いる積層体、及び包装材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972545
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】防曇性多層フィルム、これを用いる積層体、及び包装材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20211111BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20211111BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B32B27/32 E
   B32B27/18 C
   B65D65/40 D
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-247855(P2016-247855)
(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-99842(P2018-99842A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】小橋 一範
(72)【発明者】
【氏名】薄井 達彦
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−070191(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/148129(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/148130(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/046131(WO,A1)
【文献】 特開2004−345130(JP,A)
【文献】 特開平06−340044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 65/00−65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂(a)を含有し、防曇剤を含有しないラミネート層(A)、直鎖状ポリエチレン(b11)と防曇剤(b12)とを含有する中間層(B1)、及び直鎖状ポリエチレン(c11)と防曇剤(c12)とを含有するヒートシール層(C)とが、(A)/(B1)/(C)の順で積層されてなり、前記防曇剤(b12)及び(c12)の合計質量が、前記多層フィルムの全質量に対して0.2〜1.0質量%である防曇性多層フィルム。
【請求項2】
更に直鎖状ポリエチレン(b2)を含有する中間層(B2)を有し、(A)/(B2)/(B1)/(C)の順で積層されてなる請求項1に記載の防曇性多層フィルム。
【請求項3】
前記多層フィルム全体の厚さが20〜100μmである請求項1又は2に記載の防曇性多層フィルム。
【請求項4】
前記多層フィルムの全体の厚さに対するヒートシール層(C)の厚さの比率が5〜30%である請求項1〜の何れか1項に記載の防曇性多層フィルム。
【請求項5】
前記多層フィルム全体の厚さに対するラミネート層(A)の厚さの比率が10〜60%である請求項1〜の何れか1項に記載の防曇性多層フィルム。
【請求項6】
前記防曇剤(b12)及び(c12)がノニオン系界面活性剤である請求項1〜の何れか1項に記載の防曇性多層フィルム。
【請求項7】
請求項1〜の何れか1項記載の防曇性多層フィルムのラミネート層(A)側に熱可塑性樹脂フィルム積層してなることを特徴とする積層体。
【請求項8】
請求項記載の積層体を用いることを特徴とする包装材。
【請求項9】
食品包装容器の蓋材である請求項記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装容器の蓋材として好適に用いることができる、優れたラミネート強度と防曇性と易開封性とを兼備する多層フィルム及びこれを用いた積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品パッケージ市場では、例えば青果物、惣菜、食肉等の内容物の視認性を高めるために、包装材には防曇性が求められている。これは、容器内の青果物、惣菜、食肉からの水分の蒸散で包装材内表面に曇りが生じてしまうと、内容物が見えにくく、商品価値の低下、すなわち食品の安全と安心を求める消費者の要求に応えることができなくなることに起因する。
【0003】
現在、包装材に防曇性を付与する方法として、防曇剤を包装材料に用いる樹脂中に練り込んだ原料を用いて開封する蓋材フィルムを作製する方法(特許文献1)や、樹脂をフィルム状に成形したのちに、少なくとも内容物に接する面に防曇剤を塗布する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−047936号公報
【特許文献2】特開平09−248880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防曇剤を樹脂に練り込む方法では、単層フィルムの場合や、多層フィルムの全層に防曇剤を練り込んだ場合、これの表面に印刷を施したり、他の基材フィルムと貼り合わせたりするときに、表面にブリードアウトした防曇剤が印刷インキや接着剤と反応して、印刷面の剥がれや、接着不良を起こすことがある。多層フィルムの場合に、特定の層のみに防曇剤を練り込む例も提供されているが、防曇剤が多層フィルム中で移動しやすい性質を有することから、防曇性の効果が一定ではなく、効果に持続性がない、また、防曇剤量を増量させると吐出不良となる問題がある。
【0006】
上記実情を鑑み、本発明の課題は、フィルム作製時の吐出安定性に優れており、内容物からの水蒸気による曇りを防止する防曇性の持続性、安定性が良好であると共に優れたラミネート強度を有し、包装容器の蓋材等の用途に好適な多層フィルムと、この多層フィルムを基材フィルムにラミネートしてなる積層体、及びこれを用いる包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意研究した結果、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を積層してなる少なくとも3層の多層フィルムであって、防曇剤の練り込みを行う層の選択を適切に行うことによって得られる多層フィルムが、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、ポリプロピレン系樹脂(a)を含有し、防曇剤を含有しないラミネート層(A)、直鎖状ポリエチレン(b11)と防曇剤(b12)とを含有する中間層(B1)、及び直鎖状ポリエチレン(c11)及び防曇剤(c12)とを含有するヒートシール層(C)とが、(A)/(B1)/(C)の順で積層されてなる防曇性多層フィルム、さらには、前記多層フィルムの全質量に対して前記防曇剤(b12)と前記防曇剤(c12)との合計質量が0.2〜1.0質量%の範囲で含まれている多層フィルム、これと基材フィルムとを積層してなる積層体、及びこれを用いる包装材を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の防曇性多層フィルム及びこれを用いた積層体は、優れたラミネート強度と防曇性を同時に有することから、青果物や惣菜、食肉等の包装材として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の防曇性多層フィルムとこれを用いてなる積層体を構成する各部分について詳述する。
【0011】
[ラミネート層(A)]
本発明のラミネート層(A)は、ポリプロピレン系樹脂(a)を含有するものであって、且つ当該層には防曇剤を含有しないことを特徴とする。
【0012】
本発明においてラミネート層(A)は、当該層を形成する樹脂成分全量に対してポリプロピレン系樹脂(a)を65質量%以上で含有することが好ましく、80質量%以上で含有することがより好ましい。
【0013】
前記ポリプロピレン系樹脂(a)としては、中間層(B)と積層できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、プロピレン単独重合体や、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体及びプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、さらには、メタロセン触媒系ポリプロピレンなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。
【0014】
また、ポリプロピレン系樹脂(a)は、MFR(230℃)が0.5〜30.0g/10分で、融点が110〜165℃であるものが好ましく、より好ましくは、MFR(230℃)が2.0〜15.0g/10分で、融点が115〜162℃のものである。MFR及び融点がこの範囲であれば、加工安定性や他の層と共押出加工する際の加工性、更にフィルムの成膜性も向上する。
【0015】
前述のように、ラミネート層(A)は前記ポリプロピレン系樹脂(a)を主成分とするものであるが、他の基材と接着剤を用いてラミネートする際や、印刷を施す等の際に、接着剤や印刷インキとの密着性を向上させる等の目的の観点から、その他の樹脂を併用してもよい。この時併用できるその他の樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や低密度ポリエチレン(LDPE)等の直鎖状ポリエチレン、分岐状ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;更にはエチレン−アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体のアイオノマー等や、ノルボルネン系モノマー等の環状オレフィン構造を有するモノマーとエチレン等との共重合体が挙げられ、単独でも、2種以上を混合して使用しても良い。
【0016】
これら他の樹脂を使用する場合には、ラミネート層(A)を形成する樹脂成分全量に対して35質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましい。また下限は特に制限されるものではないが、所望する特性に応じて1質量%以上の含有量にて適宜使用すればよい。
【0017】
[中間層(B1)]
本発明の多層フィルムにおける中間層(B1)は、直鎖状ポリエチレン(b11)と防曇剤(b12)とを含有する層であり、後述するヒートシール層(C)と直接積層される層である。
【0018】
直鎖状ポリエチレン(b11)としては、シングルサイト触媒を用いた低圧ラジカル重合法により、エチレン単量体を主成分として、これにコモノマーとしてブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン等のα−オレフィンを共重合したものである。直鎖状ポリエチレン(b11)中のコモノマー含有率としては、0.5〜20モル%の範囲であることが好ましく、1〜18モル%の範囲であることがより好ましい。
【0019】
前記シングルサイト触媒としては、周期律表第IV又はV族遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組合せ等のメタロセン触媒系などの種々のシングルサイト触媒が挙げられる。また、シングルサイト触媒は活性点が均一であるため、活性点が不均一なマルチサイト触媒と比較して、得られる樹脂の分子量分布がシャープになるため、フィルムに成膜した際に低分子量成分の析出が少なく、シール強度の安定性や耐ブロッキング適性に優れた物性の樹脂が得られるので好ましい。
【0020】
直鎖状ポリエチレン(b11)の密度は0.900〜0.945g/cmであることが好ましく、0.910〜0.940g/cmであることがより好ましい。密度がこの範囲であれば、適度な剛性を有し、ヒートシール強度や耐ピンホール性等の機械強度も優れ、フィルム成膜性、押出適性が向上する。また、好適な防曇性等を得やすいことから、中間層(B1)に使用する直鎖状ポリエチレン(b11)の密度が、ヒートシール層(C)に使用する直鎖状ポリエチレン(c11)よりも高いことが好ましい。また、融点は、一般的には60〜130℃の範囲であることが好ましく、70〜120℃がより好ましい。融点がこの範囲であれば、加工安定性や層(A)との共押出加工性が向上し、更に柔軟性もあることから、耐ピンホール性も良好となる。また、エチレン樹脂のMFR(190℃、21.18N)は2〜20g/10分であることが好ましく、3〜10g/10分であることがより好ましい。MFRがこの範囲であれば、フィルムの押出成形性が向上する。
【0021】
中間層(B1)中における前記直鎖状ポリエチレン(b11)の使用割合としては、当該樹脂を主成分としていることが好ましく、中間層(B1)に含まれる樹脂成分中の70質量%以上で含有していることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0022】
また、中間層(B1)中には、直鎖状ポリエチレン(b11)以外の他の樹脂を併用してもよい。その他の併用できる樹脂種としては、ラミネート層(A)に使用できる直鎖状ポリエチレン以外のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂や併用可能な樹脂として例示したものを好ましく使用できる。
【0023】
これら他の樹脂を使用する場合には、中間層(B1)に含まれる樹脂成分中の30質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましく、10質量%以下とすることがより好ましい。また下限は特に制限されるものではないが、所望する特性に応じて1質量%以上の含有量にて適宜使用すればよい。
【0024】
前記防曇剤(b12)としては、一般的にオレフィン系樹脂へ添加され防曇性を付与するものとして知られているものであれば、とくに限定されるものではなく、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができ、ノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
【0025】
具体的には、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンジベヘネート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート等のソルビタン系界面活性剤;グリセリンモノラウレート、グリセリンジラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンジラウレート等のグリセリン系界面活性剤;ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミネート等のポリエチレングリコール系界面活性剤;トリメチロールプロパンモノステアレート等のトリメチロールプロパン系界面活性剤;ラウリルジエタノールアミン、オレイルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミド、オレイルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミド等のジエタノールアルキルアミン系およびジエタノールアルキルアミド系界面活性剤;ペンタエリスリトールモノパルミテート等のペンタエリスリトール系界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ソルビタン−ジグリセリン縮合体のモノおよびジステアレートなどが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0026】
前記中間層(B1)中の防曇剤(b12)の使用割合としては、当該層の全質量に対して0.5〜3.5質量%の範囲であることが好ましく、特に1.0〜3.0質量%の範囲であることが好ましい。この範囲で防曇剤(b2)を用いることにより、前述のラミネート層(A)への過剰な移行が起こらずに、フィルムとしての防曇性を良好にすることが容易となる。また、好適な吐出安定性を確保しやすくなる。
【0027】
[中間層(B2)]
本発明の多層フィルムは、更に直鎖状ポリエチレン(b21)を含有する中間層(B2)を有し、(A)/(B2)/(B1)/(C)の順で積層されてなるものも好ましい。
【0028】
2層以上の中間層(B)を有する場合において、前記層(B1)に含有される直鎖状ポリエチレンの密度が0.900〜0.945g/cmの範囲であり、前記層(B2)に含有される直鎖状ポリエチレン(b21)の密度が0.900〜0.930g/cmの範囲であることが、多層フィルムとしての防曇性と、ラミネート層との密着性及びラミネート層への防曇剤の移行抑制のバランスに優れる点から好ましい。中間層(B2)を使用する場合には、各層間の好適な密着性や良好な防曇性を得やすいことから、中間層(B2)の樹脂密度が、中間層(B1)に使用する樹脂密度より小さく、ヒートシール層(C)に使用する樹脂密度より大きいことが好ましい。当該各層の樹脂密度とは、使用する全樹脂の平均密度をいう。なお、直鎖状ポリエチレン(b21)の好ましい条件としては、当該密度条件以外は、前記中間層(B1)に用いる直鎖状ポリエチレン(b11)にて例示した条件と同様である。
【0029】
また、中間層(B2)中における前記直鎖状ポリエチレン(b21)の使用割合や、中間層(B2)中に併用できる他の樹脂やその含有量の好ましい条件としては、上記中間層(B1)の例示した条件と同様である。
【0030】
中間層(B2)中には、より高い防曇性を得る際には、上記中間層(B1)と同様に防曇剤を含有してもよいが、防曇剤を含有する場合には、当該中間層(B2)の全質量に対して2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。また、ラミネート強度を向上させたい場合には、中間層(B2)中には防曇剤を含有しないことも好ましい。
【0031】
[ヒートシール層(C)]
本発明の多層フィルムにおけるヒートシール層(C)としては、直鎖状ポリエチレン(c11)と防曇剤(c12)とを含有する。
【0032】
前記直鎖状ポリエチレン系樹脂(c11)としては、良好な防曇性を確保しつつ、好適なシール性を実現しやすいことから、直鎖状ポリエチレンの密度が0.880〜0.930g/cmの範囲のものを好ましく使用でき、0.890〜0.930g/cmの範囲のものがより好ましい。なお、直鎖状ポリエチレン(b21)の好ましい条件としては、当該密度条件以外は、前記中間層(B1)に用いる直鎖状ポリエチレン(b11)にて例示した条件と同様である。
【0033】
ヒートシール層(C)における前記直鎖状ポリエチレン系樹脂(c11)の使用割合としては、当該樹脂を主成分としていることが好ましく、特にヒートシール層(C)に含まれる樹脂成分中の80質量%以上で含有していることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましいい。その他の併用できる樹脂種としては、ラミネート層(A)で併用できる直鎖状ポリエチレン以外のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂として例示したものを好ましく使用できる。
【0034】
ヒートシール層(C)に用いる防曇剤(c12)としては、前記中間層(B)で用いる防曇剤(b12)として例示したものを何れも用いることができ、好適なものも同様である。
【0035】
中間層(B1)に用いる防曇剤(b12)と、ヒートシール層(C)に用いる防曇剤(c12)としては、同一であっても、異なっていてもよい。マスターバッチ化された防曇剤を使用する場合には、相溶性の観点より、ベース樹脂がポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
【0036】
ヒートシール層(C)における防曇剤(c12)の使用割合としては、当該層の全質量に対して1.0〜3.5質量%の範囲であることが好ましく、特に1.5〜3.0質量%の範囲であることが好ましい。この範囲で防曇剤(c12)を用いることにより、フィルムとしての防曇性、防曇持続性が良好なものを得ることが容易となる。また、吐出安定性に優れる。
【0037】
[多層フィルム]
本発明の防曇性多層フィルムは、上記のポリプロピレン系樹脂を含有するラミネート層(A)を一方の表層とし、他方の表層が直鎖状ポリエチレンと防曇剤を含有するヒートシール層(C)であり、当該ヒートシール層(C)と隣接した層として防曇剤を含有する中間層(B1)を有する構成である。本発明の防曇性多層フィルムは、当該構成により好適な防曇性及び防曇持続性を有しながらも良好なラミネート強度を保持できることから、包装容器の蓋材等の用途に好適に適用できる。
【0038】
本発明の防曇性多層フィルムは、上記ラミネート層(A)、中間層(B1)及びヒートシール層(C)が、(A)/(B1)/(C)の順で積層された構成や、中間層(B2)をさらに有する(A)/(B2)/(B1)/(C)の順で積層された構成を好ましく例示できる。本発明の防曇性多層フィルムにおいては、これら各層が直接積層された構成を好ましく使用できるが、(A)/(B1)の層間や、(A)/(B2)/(B1)の層間に他の機能層が積層されていてもよい。当該他の機能層としては、ガスバリア層や(I)接着性層等を例示できる。
【0039】
本発明の多層フィルムの全体の厚さとしては、これを他の基材と積層して用いる場合のラミネートが容易である観点から、20〜100μmの範囲であることが好ましく、特に20〜50μmの範囲であることが、成膜が容易である観点より好ましい。
【0040】
また、多層フィルムにおける各層の比率としては、シール性、易開封性、及びラミネート性の観点より、ラミネート層(A)の厚み比率が多層フィルムの総厚の10〜60%の範囲であることが好ましく、20〜50%であることがより好ましい。また、ヒートシール層(C)の厚み比率が5〜30%の範囲であることが好ましく、5〜20%の範囲であることがより好ましい。また、中間層(B1)の厚み比率としては10〜85%であることが好ましく、10〜75%であることがより好ましい。なお、中間層(B2)を使用する場合には、中間層(B1)と中間層(B2)の総厚みを当該厚み比率とすることが好ましく、中間層(B1)/(B2)の比が1/1〜1/5の範囲であることが好ましい。
【0041】
具体的な厚みとしては、ラミネート層(A)の厚みとしては、2〜60μmであることが好ましく、4〜50μmであることがより好ましい。中間層(B1)の厚みは2〜45μmであることが好ましく、2〜40μmであることがより好ましい。中間層(B2)の厚みは2〜30μmであることが好ましく、5〜25μmであることがより好ましい。ヒートシール層(C)の厚みは1〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
【0042】
本発明の防曇性多層フィルム全体に含まれる防曇剤の総量としては、0.2〜1.0質量%であり、特に0.3〜0.8質量%の範囲であることが、成膜性が良好である点と、防曇性、防曇持続性の観点から好ましい。特に、防曇剤が中間層(B1)及びヒートシール層(C)のみに当該含有量で含有していることが好ましく、中間層(B1)中の防曇剤の含有量とヒートシール層(C)中の防曇剤の含有量の質量比(B1)/(C)が、1/3〜2/1であることが好ましく、1/2〜1/1であることがより好ましい。
【0043】
本発明の防曇性多層フィルムの各層(A)、(B1)、(B2)及び(C)には、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤、着色剤等の成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。特に、フィルム成形時の加工適性、充填機の包装適性を付与するため、フィルム表面の摩擦係数は1.5以下、中でも1.0以下であることが好ましいので、多層フィルムの表面層に相当する樹脂層には、滑剤やアンチブロッキング剤や帯電防止剤を適宜添加することが好ましい。なお、防曇性多層フィルムの各層中のこれら添加剤の含有量は、5質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下とすることがより好ましい。このため、各層においては樹脂成分の含有量(防曇剤を含有する場合には樹脂成分と防曇剤の総含有量)が、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましい。
【0044】
また、本発明の防曇性多層フィルムにおいて、フィルムの両外面を処理し、表面の濡れ張力35〜45mN/mの範囲、好ましくは38〜42mN/mの範囲とする。この様な処理方法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理を挙げることができるが、好ましくはコロナ放電処理である。この様な表面処理を行なうことにより、当該多層フィルムのラミネート層(A)に印刷や接着剤を塗布して基材と積層する等の後工程を施す場合の、インキや接着剤の塗工性が良好となり、インキやアルミ、アンカーコート剤等との密着性に優れ、インキや蒸着アルミの脱落やデラミ等の問題を回避することが容易となる。また、ヒートシール層(C)の表面を処理することにより、防曇剤を外表面に比較的長期にわたって固定することが可能となり、防曇性及び防曇持続性に優れたフィルムとなる。ラミネート層(A)とヒートシール層(C)の処理方法、及び処理度は同一であっても異なっていてもよいが、生産性の観点からは、同一の方法で処理することが好ましい。
【0045】
コロナ放電処理の方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、特公昭39−12838号、特開昭47−19824号、特開昭48−28067号、特開昭52−42114号の各公報に記載等の処理方法によって行うことができる。コロナ放電処理装置は、Pillar社製ソリッドステートコロナ処理機、LEPEL型表面処理機、VETAPHON型処理機等を用いることができる。処理は空気中での常圧にて行うことができる。処理時の放電周波数は、5kV〜40kV、より好ましくは10kV〜30kVであり、波形は交流正弦波が好ましい。電極と誘電体ロールのギャップ透明ランスは0.1mm〜10mm、より好ましくは1.0mm〜2.0mmである。放電は、放電帯域に設けられた誘電サポートローラーの上方で処理し、処理量は、0.34kV・A・分/m〜0.4kV・A・分/m、より好ましくは0.344kV・A・分/m〜0.38kV・A・分/mである。
【0046】
本発明の防曇性多層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ラミネート層(A)、中間層(B1)、ヒートシール層(C)に用いる各樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で(A)/(B1)/(C)、または(A)/(B2)/(B1)/(C)の順で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。また、本発明で用いる直鎖状ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂には、両者間で融点あるいはTgの差を有するため、共押出加工時にフィルム外観が劣化したり、均一な層構成形成が困難になったりする場合がある。このような劣化を抑制するためには、比較的高温で溶融押出を行うことができるTダイ・チルロール法が好ましい。
【0047】
本発明の防曇性多層フィルムは、上記の製造方法によって、実質的に無延伸の多層フィルムとして得られるため、真空成形による深絞り成形やエンボス加工等の二次成形も可能となる。
【0048】
本発明の防曇性多層フィルムを、他の基材と貼りあわせて使用することもできる。この時使用することができる他の基材としては、特に限定されるものではないが、本発明の効果を容易に発現させる観点から、高剛性、高光沢を有する熱可塑性樹脂フィルム、特には二軸延伸された樹脂フィルムを用いることが好ましい。また透明性を必要としない用途の場合はアルミ箔を単独あるいは組み合わせて使用することもできる。
【0049】
延伸された樹脂フィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエステル(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリアミド(PA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を中心層とした共押出二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)をコートした共押出二軸延伸ポリプロピレン等が挙げられる。これらは、単独あるいは複合化して使用しても良い。
【0050】
本発明の積層体は、上記によって得られた防曇性多層フィルムに前記熱可塑性樹脂フィルムを積層してなるラミネートフィルムであり、積層方法としては、例えば、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、ノンソルベントラミネーション、押出ラミネーション等の方法が挙げられる。
【0051】
前記ドライラミネーションで用いる接着剤としては、例えば、ポリエステル−ポリウレタン系接着剤等が挙げられる。また各種の粘着剤を使用することもできるが、感圧性粘着剤を用いることが好ましい。感圧性粘着剤としては、例えば、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、これらの混合物をベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンのような有機溶剤に溶解したゴム系粘着剤、或いは、これらゴム系粘着剤にアビエチレン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体などの粘着付与剤を配合したもの、或いは、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体などのガラス転移点が−20℃以下のアクリル系共重合体を有機溶剤で溶解したアクリル系粘着剤などを挙げることができる。
【0052】
本発明の防曇性多層フィルムの用途としては特に限定されないが、食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装容器の蓋材等に好適に用いることが可能である。特に当該包装容器の最外層(本発明の多層フィルムのヒートシール層と接着する部分)が各種エチレン系樹脂を含有するものであることが、易開封性とシール強度とのバランスの観点から好ましい。
【実施例】
【0053】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳しく説明する。以下、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0054】
(実施例1)
ヒートシール層(C)用の樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン〔密度:0.920g/cm、MFR:5g/10分(190℃、21.18N);以下、「LLDPE(1)」と言う。〕85質量%と防曇剤マスターバッチ(竹本油脂製 LM−590/防曇剤量15質量%)15質量%との混合物を用い、中間層(B1)の樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン〔密度:0.935g/cm、MFR:5g/10分(190℃、21.18N);以下、「LLDPE(2)」と言う。〕90質量%及び防曇剤マスターバッチ10質量%の混合物を用い、中間層(B2)としてLLDPE(1)50質量%とLLDPE(2)50質量%の樹脂組成物を用い、ラミネート層(A)用の樹脂として、プロピレン単独重合体〔密度:0.90g/cm、MFR:7.5g/10分〕を用いた。多層フィルム全層の防曇剤濃度((多層フィルム全体に含まれる防曇剤の総量)は0.44質量%である。
【0055】
ヒートシール層(C)用押出機(口径40mm)、中間層(B2)用押出機(口径40mm)、中間層(B1)用押出機(口径50mm)、とラミネート層(A)用押出機(口径50mm)とのそれぞれに樹脂を供給し、共押出法により押出温度250℃でTダイから(A)/(B2)/(B1)/(C)の各層の厚さが9μm/10μm/3.5μm/2.5μmになるように押出し、40℃の水冷金属冷却ロールで冷却し、コロナ放電処理をラミネート層に実施し、ロールに巻き取り、38℃の熟成室で24時間熟成させて、全厚が25μmの本発明の多層フィルムを得た。この後、二軸延伸ポリエステルフィルム12μmをディックドライLX510/KR90接着剤で貼り合わせた
【0056】
(実施例2)
中間層(B1)の樹脂として、LLDPE(2)87質量%と防曇剤マスターバッチ13質量%となる混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.50質量%である。
【0057】
(実施例3)
ヒートシール層(C)用の樹脂として、LLDPE(1)87重量%と防曇剤マスターバッチ13重量%となる混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.41質量%である。
【0058】
(実施例4)
(A)/(B2)/(B1)/(C)の各層の厚さが9μm/11.25μm/3.5μm/1.25μmになるように押出した以外は、実施例2と同様にして、実施例4の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.39質量%である。
【0059】
(実施例5)
ヒートシール層(C)用の樹脂として、LLDPE(1)87重量%と防曇剤マスターバッチ13重量%となる混合物を用い、中間層(B1)の樹脂として、LLDPE(2)92重量%と防曇剤マスターバッチ8重量%の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.36質量%である。
【0060】
(実施例6)
ヒートシール層(C)用の樹脂として、LLDPE(1)80重量%と防曇剤マスターバッチ20重量%となる混合物を用い、中間層(B1)の樹脂として、LLDPE(2)80重量%と防曇剤マスターバッチ20重量%の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.72質量%である。
【0061】
(比較例1)
ラミネート層(A)用の樹脂として、LLDPE(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.44質量%である。
【0062】
(比較例2)
ラミネート層(A)用の樹脂として、LLDPE(2)を用いた以外は、実施例2と同様にして、比較例2の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.50質量%である。
【0063】
(比較例3)
中間層(B1)の樹脂として、LLDPE(2)100重量%を用い、(A)/(B2)/(B1)/(C)の各層の厚さが9μm/7.5μm/5μm/3.5μmになるように押出した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.32質量%である。
【0064】
(比較例4)
中間層(B1)の樹脂として、LLDPE(2)100重量%を用い、(A)/(B2)/(B1)/(C)の各層の厚さが9μm/7.5μm/3.5μm/5μmになるように押出した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.45質量%である。
【0065】
(比較例5)
中間層(B1)の樹脂として、LLDPE(2)100質量%を用い、ヒートシール層(C)用の樹脂として、LLDPE(1)80質量%と防曇剤マスターバッチ20質量%との混合物を用い、(A)/(B2)/(B1)/(C)の各層の厚さが9μm/7.5μm/5μm/3.5μmになるように押出した以外は、実施例1と同様にして、比較例5の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.42質量%である。
【0066】
(比較例6)
中間層(B1)の樹脂として、LLDPE(2)100質量%を用い、ヒートシール層(C)用の樹脂として、LLDPE(1)75質量%と防曇剤マスターバッチ25質量%との混合物を用い、(A)/(B2)/(B1)/(C)の各層の厚さが9μm/7.5μm/5μm/3.5μmになるように押出した以外は、実施例1と同様にして、比較例6の多層フィルムを得た。フィルム全層の防曇剤濃度は0.53質量%である。
【0067】
上記実施例及び比較例において、下記評価を行った。得られた結果は表中に示した。
【0068】
<成膜時の吐出安定性>
多層フィルム製造時の吐出安定性を下記基準にて評価した。
○:吐出量安定
×:サージングにより吐出不安定
【0069】
<防曇性>
実施例及び比較例にて得られた多層フィルムを、ポリウレタン系ドライラミネート接着剤(ディックドライLX510/KR90)で二軸延伸ポリエステルフィルム12μmと貼り合わせて、38℃環境下24時間エージングを実施した。得られたラミネートフィルムを8cm×8cmに切り出し、オートカップシーラーで100mlの71φインジェクション容器に60℃の水50mlを入れて、ヒートシールした後(圧力64kgf/cup、温度150℃、時間1.0秒)、目視により以下の判定基準を利用して低温室3℃で3時間保管し、防曇効果を確認した。
○:フィルム表面に連続的な水膜が形成され、視認性良好
×:水滴付着有、視認性悪化
【0070】
<ラミネート強度>
上記防曇性評価にて得られたラミネートフィルムのラミネート強度を下記基準にて評価した。ポリエステルフィルムと実施例及び比較例にて得られた多層フィルム間のラミネート強度の挙動について、引張試験機(株式会社エー・アンド・ディー製)を用いて、300mm/minの速度で剥離したときの状態を以下の基準で評価した。
○:十分なラミネート強度の保持により、ポリエステルフィルムと多層フィルム間で強固な接着を確認。
×:ラミネート強度の不足により、ポリエステルフィルムと多層フィルム間で容易な剥離を確認。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
上記表から明らかなとおり、本発明の防曇性多層フィルムは、良好な成膜性を実現しつつ、好適な防曇性やラミネート強度を有するものであった。一方、比較例1〜5の多層フィルムは、好適な防曇性が得られないものであった。また、比較例6の多層フィルムは良好な吐出安定性が得られないものであった。