特許第6972595号(P6972595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972595
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】ライナーレス型感熱記録体の包装体
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/40 20060101AFI20211111BHJP
   B41M 5/42 20060101ALI20211111BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20211111BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B41M5/40 210
   B41M5/40 220
   B41M5/42 220
   G09F3/02 F
   G09F3/10 A
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-53299(P2017-53299)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-154041(P2018-154041A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】北野 亨
(72)【発明者】
【氏名】角田 朋尚
(72)【発明者】
【氏名】松井 宏明
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−301456(JP,A)
【文献】 特開2013−195889(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0234558(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/072410(WO,A1)
【文献】 特開2016−177282(JP,A)
【文献】 特開2000−158814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/28−5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナーレス感熱記録シートのロール体が内包されたライナーレス型感熱記録体の包装体であって、
前記ライナーレス感熱記録シートは、
支持体と、
前記支持体上の一方の面側に設けられた感熱発色層と、
前記感熱発色層上の剥離層と、
前記支持体の他方の面側に設けられた粘着剤層とを有し、
前記粘着剤層が前記支持体よりも内側となるように前記ライナーレス感熱記録シートがロール状に巻かれた状態であり、
前記ロール体から前記ライナーレス感熱記録シートを引き剥がすときの剥離力が50mN/50mm以上250mN/50mm以下であり、
前記ライナーレス感熱記録シートの下記数式で表される重量変化率が、4.5%以上6.5%以下であり、
前記ライナーレス感熱記録シートのロール体が密封包装されていることを特徴とするライナーレス型感熱記録体の包装体。
重量変化率(%)=[(乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量−乾燥後ライナーレス感熱記録シート重量)/乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量]×100
前記数式中、乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量はA4サイズにカットしたライナーレス感熱記録シートの乾燥前の重量であり、乾燥後ライナーレス感熱記録シート重量はA4サイズにカットしたライナーレス感熱記録シートを105℃で5時間乾燥後の重量である。
【請求項2】
前記感熱発色層と前記剥離層の間に保護層を有する請求項1に記載のライナーレス型感熱記録体の包装体。
【請求項3】
前記支持体と前記粘着剤層の間にバック層を有する請求項1から2のいずれかに記載のライナーレス型感熱記録体の包装体。
【請求項4】
前記バック層が、スチレン−アクリル酸エステル共重合体及びスチレン−ブタジエン共重合体の少なくともいずれかを含む請求項3に記載のライナーレス型感熱記録体の包装体。
【請求項5】
前記支持体と前記感熱発色層の間に中空粒子を含むアンダー層を有する請求項1から4のいずれかに記載のライナーレス型感熱記録体の包装体。
【請求項6】
前記密封包装が、ピロー包装である請求項1から5のいずれかに記載のライナーレス型感熱記録体の包装体。
【請求項7】
前記ピロー包装のヒートシール部分がロール体の胴面側である請求項6に記載のライナーレス型感熱記録体の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライナーレス型感熱記録体の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、粘着剤層を有する感熱記録シートを、価格表示用ラベル、商品表示(バーコード)用ラベル、品質表示用ラベル、計量表示用ラベル、広告宣伝用ラベル(ステッカー)等のラベル用途として使用することが増加している。その記録方式としてもインクジェット記録方式、感熱記録方式等の様々な方式がある。
【0003】
ライナーレス感熱記録シートは、表面に離型性を有する剥離層を形成することによって、剥離紙がなくても、ロールに巻いた状態で使用することが可能となり、ロール状のライナーレス型感熱記録体を得ることが可能となる。これにより、廃棄される剥離紙がなくなるため、環境負荷低減へとつながる。
また、前記ライナーレス感熱記録シートのプリンタでの搬送時の紙詰まりを改善するため、ロール体から引き剥がされる時の剥離性は低いものがよいが、剥離性が低い場合、ライナーレス感熱記録シートのロール体において、形状が変化しやすくなるという課題がある。
ライナーレス感熱記録シートのロール体は、保管環境が低湿の場合、ロール端面に多数の隙間が発生して、ロール体の形状が円形でなくなることがある。その場合、プリンタで搬送できないばかりか、プリンタへセットできないこともある。
また、高湿環境の場合は、ロール体が端面方向へ竹の子状(テレスコープ)に、ずれてしまい、プリンタへセットできないという問題がある。
【0004】
例えば、積み重ねた状態の複数個の台紙なしラベルを、互いに貼り付きにくくし、包装、運送、管理、及び取扱いなどが容易な台紙なしラベルの包装方法、及びロールセットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、感熱記録紙の包装方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
更に、逆ピロー包装機及び包装方法(例えば、特許文献3参照)、横ピロー包装機及び包装方法等に関する技術(例えば、特許文献4及び5参照)などが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、長期保管時のロール形状の安定性に優れるライナーレス型感熱記録体の包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としての本発明のライナーレス型感熱記録体の包装体は、ライナーレス感熱記録シートのロール体が内包されたライナーレス型感熱記録体の包装体であって、
前記ライナーレス感熱記録シートは、
支持体と、
前記支持体上の一方の面側に設けられた感熱発色層と、
前記感熱発色層上の剥離層と、
前記支持体の他方の面側に設けられた粘着剤層とを有し、
前記粘着剤層が前記支持体よりも内側となるように前記ライナーレス感熱記録シートがロール状に巻かれた状態であり、
前記ロール体から前記ライナーレス感熱記録シートを引き剥がすときの剥離力が50mN/50mm以上250mN/50mm以下であり、
前記ライナーレス感熱記録シートの下記数式で表される重量変化率が、4.5%以上6.5%以下であり、
前記ライナーレス感熱記録シートのロール体が密封包装されている。
重量変化率(%)=[(乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量−乾燥後ライナーレス感熱記録シート重量)/乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量]×100
前記数式中、乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量はA4サイズにカットしたライナーレス感熱記録シートの乾燥前の重量であり、乾燥後ライナーレス感熱記録シート重量はA4サイズにカットしたライナーレス感熱記録シートを105℃で5時間乾燥後の重量である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、長期保管時のロール形状安定性に優れるライナーレス型感熱記録体の包装体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(ライナーレス型感熱記録体の包装体)
本発明のライナーレス型感熱記録体の包装体は、ライナーレス感熱記録シートのロール体が内包されたライナーレス型感熱記録体の包装体であって、前記ライナーレス感熱記録シートは、支持体と、前記支持体上の一方の面側に設けられた感熱発色層と、前記感熱発色層上の剥離層と、前記支持体の他方の面側に設けられた粘着剤層とを有し、
前記粘着剤層が前記支持体よりも内側となるように前記ライナーレス感熱記録シートがロール状に巻かれた状態であり、
前記ロール体から前記ライナーレス感熱記録シートを引き剥がすときの剥離力が50mN/50mm以上250mN/50mm以下であり、
前記ライナーレス感熱記録シートの下記数式で表される重量変化率が、4.5%以上6.5%以下であり、
前記ライナーレス感熱記録シートのロール体が密封包装されている。
重量変化率(%)=[(乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量−乾燥後ライナーレス感熱記録シート重量)/乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量]×100
前記数式中、乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量はA4サイズにカットしたライナーレス感熱記録シートの乾燥前の重量であり、乾燥後ライナーレス感熱記録シート重量はA4サイズにカットしたライナーレス感熱記録シートを105℃で5時間乾燥後の重量である。
【0009】
本発明のライナーレス型感熱記録体の包装体は、従来技術では、製造後包装された後、環境影響によるロール体の保管時の巻きずれを防止できることについては記載されていない。また、ライナーレス型感熱記録体の包装体におけるロール形状の安定性について、湿度の影響をより受け易いため、ミシン目があると環境影響による巻きずれが経時で生じてしまうという問題がある。また、従来技術では、特定の剥離力と重量変化率のライナーレス感熱記録シートのロール体を密封包装することについては記載されていないという知見に基づくものである。
【0010】
したがって、本発明においては、剥離力が50mN/50mm以上250mN/50mm以下であるライナーレス感熱記録シートのロール体を密封包装した状態で長期保管時のロール形状安定性を向上させることを技術的課題としている。
更に、剥離力が160mN/50mmを超えると、プリンタの種類によっては、紙詰まりが発生しやすく、一方、剥離力が140mN/50mm以下の場合、ロール状のライナーレス型感熱記録体において、巻きズレ、ロール形状の変化といった不具合が顕著となるため、剥離力が140mN/50mm以上160mN/50mm以下となるように、ライナーレス感熱記録シートのロール体を作製することが好ましいことを、本発明の発明者等が知見し、このような技術課題を解決するに至った。
前記剥離力は、例えば、作製したライナーレス感熱記録シートを2枚重ねた状態(ロール作製後24時間以上経過(貼り合わせ時間))で、縦300mm×横50mmの大きさにカットして、このカットした2枚のライナーレス感熱記録シートを180°の引張り角度と、剥離速度0.3m/minの条件で剥離させた時の剥離力を、23℃で50%RHの環境下、引張り試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフ)で測定することができる。
【0011】
重量変化率
前記ライナーレス感熱記録シートの重量変化率は、4.5%以上6.5%以下であり、5.0%以上6.0%以下が好ましい。
前記重量変化率が4.5%以上6.5%以下であると、プリンタでの搬送時の紙詰まりを改善することができ、ライナーレス感熱記録シートのロール体において、形状が変化し難いという利点がある。
前記重量変化率は、単位重量当たりの値であり、ライナーレス感熱記録シートをA4サイズにカットし、重量を測定する。その後、105℃で5時間乾燥後、重量を測定する。次に、下記数式から、乾燥前後の重量から重量変化率を求めることができる。
重量変化率(%)=[(乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量−乾燥後ライナーレス感熱記録シート重量)/乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量]×100
【0012】
<包装>
ライナーレス感熱記録シートをロール状に巻取り、スリットした小巻のロール体について、ロール体の形状を安定させるため、個別包装が行われている。
前記個別包装としては、例えば、ビニル袋に入れる包装、フィルム状の包材を使用したピロー包装、シュリンク包装、真空包装などが挙げられる。これらの中でも、密封包装が実現できるのは、ピロー包装、真空包装であり、簡便に連続包装できる点から、ピロー包装が特に好ましい。
【0013】
本発明においては、ライナーレス感熱記録シートのロール体が密封包装されている。
前記密封包装は、フィルム状の包材でロール体を包み、空気や水が遮断されるように開口部を熱溶融により封止された包装を意味する。
前記包材としては、例えば、空気や水との反応が起こらないように開口部を密封可能なものが好ましく、単層であってもよく、積層体であってもよいが、アルミニウム層を少なくとも有する積層体であることが好ましい。
前記積層フィルムの層構成としては、アルミニウム層を有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルミニウム層の内側に熱可塑性樹脂層を有することが好ましい。また、アルミニウム層の外側に紙などの外層を有することが好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記包材の平均厚みとしては、10μm以上300μm以下が好ましく、30μm以上150μm以下がより好ましい。前記包材の平均厚みが、10μm以上300μm以下であると、密封性及びヒートシール効率が良好となるという利点がある。
【0014】
本発明において、ライナーレス感熱記録シートのロール体の包装には、密封性に優れるピロー包装が用いられる。
前記ピロー包装は、1枚のフィルムの両端部を合掌させて熱接着して筒状にした後、更に、開口部を熱接着する包装方法であり、ピロー包装機により実施することができる。
前記ピロー包装には、正ピロー包装と逆ピロー包装とがある。
前記正ピロー包装は、上部の巻取からフィルムが供給され、ロール体が乗ったコンベアを上から包むように背中シールをし、筒の中にロール体が並んだ状態で前に進み、エンドシールとカットが同時に行われる方式である。
前記逆ピロー包装は、フィルムが下から供給され、背中シールがロール体より上部でシールする方式である。
前記ピロー包装において、熱接着部分がロール体の端面ではなく、ロール体の胴面にあると、端面の段差が無く、ロール体を段積みする際に、ロール形状が安定するので好ましい。端面に段差があると、段積みしたロール体の上のロール体が重力によって下方向にズレしてしまうことがあり、ズレが大きい場合には、プリンタにセットできなくなってしまうことがある。
【0015】
<ライナーレス感熱記録シート>
前記ライナーレス感熱記録シートは、支持体と、前記支持体上の一方の面側に設けられた感熱発色層と、前記感熱発色層上の剥離層と、前記支持体の他方の面側に設けられた粘着剤層とを有し、前記感熱発色層と前記剥離層の間に保護層、前記支持体と前記粘着剤層の間にバック層、及び前記支持体と前記感熱発色層の間にアンダー層の少なくともいずれかを有することが好ましく、更に必要に応じてその他の層を有する。
【0016】
−支持体−
前記支持体の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、構造としては、単層構造でも積層構造でもよく、大きさとしては、ライナーレス感熱記録シートの大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、種々の無機材料や有機材料を用いることができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、金属などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、合成紙等の紙;三酢酸セルロース等のセルロース誘導体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等からなる高分子フィルムなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、上質紙、アート紙、コート紙、高分子フィルムが好ましい。
【0017】
前記支持体は、塗布層の接着性を向上させる目的で、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理等により表面改質することが好ましい。
前記支持体には、酸化チタン等の白色顔料などを添加して白色にすることが好ましい。
前記支持体の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、プリンタ内での搬送性、及びロール形状への巻き取り加工性の点から、40μm以上100μm以下が好ましい。
【0018】
−剥離層−
前記剥離層に用いる剥離剤としては、例えば、紫外線硬化型のシリコーン樹脂、熱硬化型のシリコーン樹脂、フッ素系の剥離剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化速度が速く、経時での剥離安定性に優れる点から、紫外線硬化型のシリコーン樹脂が好ましい。
前記紫外線硬化型のシリコーン樹脂としては、カチオン重合により硬化するシリコーン樹脂、ラジカル重合により硬化するシリコーン樹脂があるが、ラジカル重合により硬化するシリコーン樹脂の場合、硬化時に体積収縮が大きく、支持体がカールしてしまうことがある。
前記剥離層の乾燥後の付着量は、0.2g/m以上2.0g/m以下であることが好ましい。前記乾燥後の付着量が、0.2g/m以上2.0g/m以下の範囲において、剥離力が適正であり、プリンタでの搬送時の紙詰まりを改善することができる。
【0019】
−保護層−
前記ライナーレス感熱記録シートは、前記感熱発色層上に、更に保護層を設ける。
前記保護層を設けることにより、通常、ロール形状で保管又は使用されるライナーレス感熱記録シート中の発色性阻害要因が、前記感熱発色層に悪影響を及ぼすことを防止できる。一方、前記感熱発色層上に保護層がないと十分なバリア性が得られず、使用環境によっては、発色性の低下を起こす原因となる。
【0020】
前記保護層は、樹脂、及びフィラーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0021】
−樹脂−
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、澱粉又はその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、ゼラチン、カゼイン等の水溶性ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
前記ポリビニルアルコール樹脂は、酢酸ビニルモノマーを重合したポリ酢酸ビニルの鹸化物であり、ポリ酢酸ビニルの鹸化物以外に、他のビニルエステルと共重合しうる単量体を含有していてもよい。前記単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、又はその塩、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、又はその塩などが挙げられる。
【0022】
前記フィラーとしては、例えば、ホスフェートファイバー、チタン酸カリウム、針状水酸化マグネシウム、ウィスカー、タルク、マイカ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、板状炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、板状水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、ハイドロタルサイト等の無機フィラー;架橋ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、架橋ポリメタクリル酸メチル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂等の有機フィラーなどが挙げられる。
更に、前記保護層には上記の樹脂及びフィラーの他に、従来から用いられている補助添加成分、例えば、界面活性剤、熱可融性物質、滑剤、圧力発色防止剤などを併用することができる。
【0023】
前記保護層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂、前記フィラー、及び必要に応じてその他の成分と共に、分散機により分散させて保護層塗布液を調製し、該保護層塗布液を前記感熱発色層上に塗布し、乾燥させることにより、形成することができる。
前記保護層の乾燥後の付着量は、1.0g/m以上5.0g/m以下であることが好ましい。前記乾燥後の付着量が、1.0g/m以上5.0g/m以下の範囲において、保存安定性及び発色感度が良好である。
【0024】
−感熱発色層−
前記感熱発色層は、ロイコ染料及び顕色剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0025】
−−ロイコ染料−−
前記ロイコ染料は、電子供与性を示す化合物であり、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができ、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチジアン系、チオフェルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系などが挙げられる。
【0026】
前記ロイコ染料としては、発色特性、耐湿熱光による画像部の褪色、及び地肌部の地肌かぶりの品質の点から、例えば、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−3−メチル−2−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−s−ブチル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−メチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−ブロモアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(o−フロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロル−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロル−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−3−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロルアニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−パルミチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−ベンゾイルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシカルボニルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、4−メトキシ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−クロル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジル−p−トリフロロメチルアニリノ)−4−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フルオラン、2−メシジノ−4’,5’−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−(α−ナフチルアミノ)−3,4−ベンゾ−4’−ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−ピペリジノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−n−プロピル−p−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、2−(ジ−N−p−クロルフェニル−メチルアミノ)−6−ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロピル−m−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジアリルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラン、ベンゾロイコメチレンブルー、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)]−6−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)]−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−2’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピランなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ロイコ染料の含有量は、感熱発色層全量に対して、5質量%以上20質量%以下が好ましく、10質量%以下15質量%以下がより好ましい。
【0027】
−−顕色剤−−
前記顕色剤としては、前記ロイコ染料に対して加熱時に反応して、これを発色させる種々の電子受容性物質が適用され、その具体例としては、以下に示すようなフェノール性化合物、有機又は無機の酸性化合物、あるいはそれらのエステルや塩などが挙げられる。
前記顕色剤としては、例えば、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、没食子酸、サリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−シクロヘキシルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,1’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、4,4’−イソプロピリンビス(2,6−ジブロモフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジクロロフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノール)、4−tert−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、α−ナフトール、β−ナフトール、3,5−キシレノール、チモール、メチル−4−ヒドエロキシベンゾエート、4−ヒドロキシアセトフェノン、ノボラック型フェノール樹脂、2,2’−チオビス(4,6−ジクロロフェノール)、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログリシン、フロログリシンカルボン酸、4−tert−オクチルカテコール、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ジヒドロキシジフェニル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−p−クロロベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−o−クロロベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−p−メチルベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−n−オクチル、安息香酸、サリチル酸亜鉛、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸亜鉛、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−クロロジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2−ヒドロキシ−p−トルイル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸スズ、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、ステアリン酸、4−ヒドロキシフタル酸、ホウ酸、チオ尿素誘導体、4−ヒドロキシチオフェノール誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸エチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸−n−プロピル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸−n−ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸フェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸フェネチル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸−n−プロピル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)3−オキサペンタン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ−4’−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−sec−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−tert−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ベンジロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−(m−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−(p−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−(o−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−(p−クロロベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−オキシアリルジフェニルスルホンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記感熱発色層中における前記ロイコ染料と前記顕色剤との混合比は、前記ロイコ染料1質量部に対し、顕色剤0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましい。
【0029】
前記感熱発色層には、前記ロイコ染料と前記顕色剤の他に、水溶性樹脂及び水性樹脂エマルジョン、フィラー、熱可融性物質、架橋剤、顔料、界面活性剤、蛍光増白剤、滑剤等の、ライナーレス感熱記録シートの感熱発色層に一般的に用いられている公知のものを用いることができる。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等の無機系微粉末;尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系微粉末などが挙げられる。
【0030】
前記熱可融性物質としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸アミド、パルチミン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類;p−ベンジルビフェニル、m−ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、グアヤコールカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジロキシナフタレン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ジフェノキシ−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ジフェニルチオブタン、1,4−ジフェニルチオ−2−ブテン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−ベンジルオキシベンジルアルコール、1,3−フェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)プロパン、1,5−ビス(4−メトキシフェノキシ)−3−オキサペンタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ビス(4−クロロベンジル)エステル、4−アセトトルイジドなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記感熱発色層は、特に制限はなく、一般に知られている方法により形成することができ、例えば、前記ロイコ染料、前記顕色剤を、樹脂、及びその他の成分と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が0.1μm〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて填料、熱可融性物質分散液等と共に、混合して感熱発色層塗布液を調製し、感熱発色層塗布液を前記支持体又は前記アンダー層上に塗布し、乾燥させることによって感熱発色層を形成することができる。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、などが挙げられる。
前記感熱発色層の乾燥後の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1g/m以上20g/m以下が好ましく、3g/m以上10g/m以下がより好ましい。
【0032】
−アンダー層−
前記ライナーレス感熱記録シートは、前記支持体と前記感熱発色層との間に、粘着剤の感熱発色層へのマイグレート防止、発色感度、平滑性、接着性の向上などの目的で、必要に応じて、中空粒子を含有するアンダー層を更に設けることが好ましい。
前記中空粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中空率は30%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。前記中空率が、30%以上であると、発色感度、及び発色精細性が良好となる。
前記中空率とは、中空粒子の体積と空隙の比であり、百分率(%)で表される。前記中空粒子はほぼ球形とみなせるため、前記中空率は下記式で表される。
中空率(%)=[(空隙の体積)/(中空粒子の体積)]×100
【0033】
前記中空粒子は、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に空気、その他の気体を含有し、既に発泡状態となっている非発泡中空粒子であり、その体積平均粒子径は0.4μm以上10μm以下が好ましい。前記体積平均粒子径(粒子外径)が、0.4μm以上10μm以下であると、良好な感度向上効果が得られる。したがって、前記中空粒子は、体積平均粒子径が前記範囲にあると共に、バラツキの少ない分布ピークの均一なものが好ましい。
前記中空粒子の殻を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、又はこれらの共重合体などが挙げられる。これらの中でも、塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体が特に好ましい。
前記中空粒子の前記アンダー層における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、35質量%以上80質量%以下が好ましい。
【0034】
前記アンダー層は、バインダー及び熱可融性物質を含有することが好ましい。前記バインダー及び熱可融性物質としては、前記感熱発色層と同様のものを用いることができる。
前記アンダー層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記中空粒子、前記バインダー、熱可融性物質、及び必要に応じてその他の成分と共に、分散機により分散させてアンダー層塗布液を調製し、該アンダー層塗布液を前記支持体上に塗布し、乾燥させることにより、形成することができる。
前記アンダー層は、乾燥後の付着量が2g/m以上10g/m以下となるように設けることが好ましく、乾燥後の付着量が2.5g/m以上7g/m以下の範囲がより好ましい。前記付着量の範囲において、画像印字時の感度が高いライナーレス感熱記録シートを提供することができる。
【0035】
−バック層−
前記バック層は、樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体及びスチレン−ブタジエン共重合体の少なくともいずれかを含有することが好ましい。
他の樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等のラテックスや酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記バック層において、バック層塗布液の塗布性向上や、ライナーレス感熱記録シート製造時において保護層とのブロッキングを防止する目的でカオリンや水酸化アルミニウム等のフィラーを用いてもよい。その他にも下記に示すような無機フィラー又は有機フィラーを用いることができる。
前記無機フィラーとしては、例えば、炭酸塩、ケイ酸塩、金属酸化物、硫酸化合物などが挙げられる。
前記有機フィラーとしては、例えば、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などが挙げられる。
前記バック層の乾燥後の付着量は、0.5g/m以上5.0g/m以下が好ましい。前記乾燥後の付着量が、0.5g/m以上5.0g/m以下の範囲であると、粘着剤塗布時のバリア機能が適正となり、粘着剤が支持体へ染み込み、ライナーレス感熱記録シートの重量変化率が適正となるという利点がある。
【0037】
−粘着剤層−
前記粘着剤層に用いられる粘着剤としては、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも1種を主体とする単量体を乳化重合して得られるアクリル樹脂、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記成分以外に、必要に応じてカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体の各不飽和単量体と共重合可能なラジカル重合性不飽和単量体を加えてもよい。
【0038】
前記粘着剤は、バーコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法等により、塗布することができ、乾燥炉で乾燥することで、ライナーレス感熱記録シートの重量変化率を調整することができる。
前記粘着剤の乾燥後の付着量は、8g/m以上25g/m以下であることが好ましい。
前記乾燥後の付着量が、8g/m以上25g/m以下であると、十分な粘着力が得られ、ロール形状にした場合でも、ロール端面から粘着剤がはみ出すことがない。
【0039】
−その他の層−
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間層、磁気記録層などが挙げられる。
【0040】
前記ライナーレス感熱記録シートは、ロール状に巻回し、得られたロール体からシートを繰り出し、該シート体を所定の大きさに切断してライナーレス感熱記録ラベルとして用いることができるが、シート体のままで用いることもできる。
【0041】
<ロール体>
前記ロール体は、前記粘着剤層が前記支持体よりも内側となるように前記ライナーレス感熱記録シートをロール状に巻回したものである。前記ロール体は、芯材上に巻回しても、芯材なしで巻回してもよい。
【0042】
本発明のライナーレス型感熱記録体の包装体におけるライナーレス感熱記録シートを用いた記録方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サーマルヘッド、レーザーなどが挙げられる。
前記サーマルヘッドとしては、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記レーザーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、9.3μm以上10.6μm以下の波長を有するCOレーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。
【0043】
本発明のライナーレス型感熱記録体の包装体は、例えば、生鮮食料品、弁当、惣菜用等のPOS分野;図書、文書等の複写分野;ファクシミリ等の通信分野;券売機、レシート、領収書等の発券分野;航空機業界のバッゲージ用タグ、ピルケース、ピルボトルなどの多方面に用いることができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
<保護層塗布液の調製>
下記組成についてサンドミルを用いて、24時間分散して、[A液]を調製した。
[A液]
・水酸化アルミニウム(平均粒径0.6μm、昭和電工株式会社製、ハイジライトH−43M)・・・20質量部
・イタコン酸変性ポリビニルアルコールの10質量%水溶液・・・20質量部
・水・・・60質量部
【0046】
続いて、下記組成を混合し、攪拌して、保護層塗布液[B液]を調製した。
・上記[A液]・・・75質量部
・ジアセトン変性ポリビニルアルコールの10質量%水溶液・・・100質量部
・N−アミノポリアクリルアミド(重量平均分子量10,000、ヒドラジド化率50%)の10質量%水溶液・・・15質量部
・アンモニアの1質量%水溶液・・・5質量部
・水・・・105質量部
【0047】
<感熱発色層塗布液の調製>
[C液]
・2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン・・・20質量部
・イタコン酸変性ポリビニルアルコール(変性率1モル%)の10質量%水溶液・・・20質量部
・水・・・60質量部
【0048】
[D液]
・4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン・・・20質量部
・イタコン酸変性ポリビニルアルコール(変性率1モル%)の10質量%水溶液・・・20質量部
・シリカ・・・10質量部
・水・・・50質量部
【0049】
上記組成からなる[C液]、[D液]を、それぞれ平均粒径が1.0μm以下になるようにサンドミルを用いて分散し、ロイコ染料分散液[C液]、及び顕色剤分散液[D液]を調製した。
続いて、前記[C液]と前記[D液]を1:7の割合で混合し、固形分を25質量%に調整し、攪拌して、感熱発色層塗布液[E液]を調製した。
【0050】
<アンダー層塗布液の調製>
下記組成を混合し、攪拌して、アンダー層塗布液[F液]を調製した。
[F液]
・焼成カオリン(エンゲルハード社製、ウルトラホワイト90)・・・36質量部
・スチレン−ブタジエン共重合体(日本エイアンドエル株式会社製、スマーテックスPA−8076、固形分濃度47.5質量%)・・・10質量部
・水・・・54質量部
【0051】
<バック層塗布液の調製>
[G−1液]
下記組成を混合し、攪拌して、バック層塗布液[G−1液]を調製した。
・スチレン−アクリル酸エステル共重合体(BASF社製、JONCRYL PDX7630A、固形分濃度33質量%)・・・75質量部
・水・・・25質量部
【0052】
<剥離層塗布液の調製>
下記組成を混合し、攪拌して、剥離層塗布液[H−1液]を調製した。
[H−1液]
・カチオン硬化型UVシリコーン樹脂(荒川化学工業株式会社製、シリコリースUV POLY215)・・・100質量部
・軽剥離調整剤(荒川化学工業株式会社製、シリコリースRCA200)・・・40質量部
・反応開始剤(荒川化学工業株式会社製、シリコリースUV CATA211)・・・5質量部
【0053】
−ライナーレス感熱記録シートの作製−
まず、支持体(坪量約60g/mの上質紙)の表面に、アンダー層塗布液[F液]を、乾燥後の付着量が3.0g/mになるように、塗布し乾燥してアンダー層を形成した。
次に、前記アンダー層上に、感熱発色層塗布液[E液]、及び保護層塗布液[B液]を、乾燥後の付着量がそれぞれ3.0g/m、及び2.0g/mとなるように順次積層塗布し乾燥し、感熱発色層、及び保護層を形成した。
次に、支持体のアンダー層とは反対面にバック層塗布液[G−1液]を2.0g/mとなるように塗布し、乾燥させてバック層を形成した。
次に、キャレンダー掛けにより、表面の王研式平滑度が約2,000秒間になるように処理次に、前記保護層上に前記剥離層塗布液[H−1液]を質量が0.8g/mとなるように塗布し、積算照度110mJ/cmのUV照射を行い、剥離層塗布液を硬化させた。
次に、前記支持体裏面のバック層上に感圧粘着剤としてのアクリルエマルジョン(ヘンケルジャパン株式会社製、AQUENCE PS AQ590 NACOR、固形分濃度54質量%)を乾燥後の質量が20g/mとなるように塗布し、粘着剤層を形成した。以上により、ライナーレス感熱記録シートを作製した。
【0054】
−ライナーレス感熱記録シートのロール体の作製−
次に、作製したライナーレス感熱記録シートの重量変化率が5.5%となるように乾燥し、ロール状に310m巻き取り、ライナーレス感熱記録シートの剥離層と貼り合わせ、ロール体を作製した。
【0055】
−ライナーレス型感熱記録体の包装体の作製−
次に、得られたライナーレス感熱記録シートのロール体を、ピロー包装機(大森機械工業株式会社製)を用い逆ピロー包装(包材としてポリプロピレン、厚み:30μm)により、ヒートシール部分がロール体の端面側になるように包装して、実施例1のライナーレス型感熱記録体の包装体を得た。
【0056】
(実施例2)
実施例1において、剥離層塗布液[H−1液]を、以下に示す剥離層塗布液[H−2液]に代えた以外は、実施例1と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
[H−2液]
・カチオン硬化型UVシリコーン樹脂(荒川化学工業株式会社製、シリコリースUV POLY215)・・・100質量部
・軽剥離調整剤(荒川化学工業株式会社製、シリコリースRCA200)・・・15質量部
・反応開始剤(荒川化学工業株式会社製、シリコリースUV CATA211)・・・5質量部
【0057】
(実施例3)
実施例1において、剥離層塗布液[H−1液]を、以下に示す剥離層塗布液[H−3液]に代えた以外は、実施例1と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
[H−3液]
・カチオン硬化型UVシリコーン樹脂(荒川化学工業株式会社製、シリコリースUV POLY215)・・・100質量部
・軽剥離調整剤(荒川化学工業株式会社製、シリコリースRCA200)・・・7質量部
・反応開始剤(荒川化学工業株式会社製、シリコリースUV CATA211)・・・5質量部
【0058】
(実施例4)
実施例2において、ライナーレス感熱記録シートの重量変化率が4.5%になるように乾燥した以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0059】
(実施例5)
実施例2において、ライナーレス感熱記録シートの重量変化率が6.5%になるように乾燥した以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0060】
(実施例6)
実施例2において、バック層塗布液[G−1液]を、以下に示すバック層塗布液[G−2液]に代えた以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
[G−2液]
・スチレン−ブタジエン共重合体(日本ゼオン株式会社製、LX407ST5674、固形分濃度48.5質量%、ガラス転移温度(Tg)=10℃)・・・50質量部
・水・・・50質量部
【0061】
(実施例7)
実施例2において、アンダー層塗布液[F液]を塗布しなかった以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0062】
(実施例8)
実施例2において、バック層塗布液[G−1液]を塗布しなかった以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0063】
(実施例9)
実施例2において、アンダー層塗布液[F液]及びバック層塗布液[G−1液]を塗布しなかった以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0064】
(実施例10)
実施例2において、実施例1におけるアンダー層塗布液[F液]中の焼成カリオンを、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体粒子(塩化ビニリデン/アクリロニトリルのモル比=6/4)、固形分濃度27.5質量%、平均粒径3μm、中空率90%)に代えた以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0065】
(実施例11)
実施例2において、逆ピロー包装のヒートシール部分がロール体の胴面側になるようにした以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0066】
(比較例1)
実施例2において、逆ピロー包装を行わなかった以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シートを作製した。
【0067】
(比較例2)
実施例1において、感圧粘着剤としてのアクリルエマルジョン(ヘンケルジャパン株式会社製、AQUENCE PS AQ590 NACOR、固形分濃度54質量%)の付着量を乾燥後の質量が11g/mとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0068】
(比較例3)
実施例1において、剥離層塗布液[H−1液]を、以下に示す剥離層塗布液[H−4液]に代えた以外は、実施例1と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
[H−4液]
・カチオン硬化型UVシリコーン樹脂(荒川化学工業株式会社製、シリコリースUV POLY215)・・・100質量部
・軽剥離調整剤(荒川化学工業株式会社製、シリコリースRCA200)・・・3質量部
・反応開始剤(荒川化学工業株式会社製、シリコリースUV CATA211)・・・5質量部
【0069】
(比較例4)
実施例1において、剥離層塗布液[H−1液]を、以下に示す剥離層塗布液[H−4液]に代えた以外は、実施例1と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0070】
[H−5液]
・カチオン硬化型UVシリコーン樹脂(荒川化学工業株式会社製、シリコリースUV POLY215)・・・100質量部
・軽剥離調整剤(荒川化学工業株式会社製、シリコリースRCA200)・・・3質量部
・反応開始剤(荒川化学工業株式会社製、シリコリースUV CATA211)・・・6.5質量部
【0071】
(比較例5)
実施例2において、ライナーレス感熱記録シートの重量変化率が4.3%になるように乾燥した以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0072】
(比較例6)
実施例2において、ライナーレス感熱記録シートの重量変化率が7.0%になるように乾燥させた以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0073】
(比較例7)
実施例2において、ライナーレス感熱記録シートのロール体の包装を、ビニル袋に入れて行った(非密封包装)以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0074】
(比較例8)
実施例2において、ライナーレス感熱記録シートのロール体の包装を、シュリンク包装(非密封包装、包材としてポリエチレンテレフタレート、厚み:30μm)とした以外は、実施例2と同様にして、ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体を作製した。
【0075】
次に、得られた各ライナーレス感熱記録シート及びライナーレス型感熱記録体の包装体について、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表1及び表2に示した。
【0076】
重量変化率
前記重量変化率は、単位重量当たりの値であり、ライナーレス感熱記録シートをA4サイズにカットし、重量を測定した。その後、105℃で5時間乾燥後、重量を測定した。次に、下記数式から、乾燥前後の重量から重量変化率を求めた。
重量変化率(%)=[(乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量−乾燥後ライナーレス感熱記録シート重量)/乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量]×100
【0077】
<剥離力>
前記剥離力は、作製したライナーレス感熱記録シートを2枚重ねた状態(ロール作製後24時間以上経過(貼り合わせ時間))で、縦300mm×横50mmの大きさにカットして、このカットした2枚のライナーレス感熱記録シートを180°の引張り角度と、剥離速度0.3m/minの条件で剥離させた時の剥離力を、23℃で50%RHの環境下、引張り試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフ)で測定した。
【0078】
<ロールの保管>
各ライナーレス感熱記録シートを310m巻いたロール体を作製し、表1の包装に示すように、このロール体を包装したライナーレス型感熱記録体の包装体を、2ロール積み重ね、下記の2つの保管環境下で7日間放置した後、包装を剥がして1日間放置した。なお、比較例1は未包装である。
−保管環境−
・5℃で30%RH
・40℃で90%RH
【0079】
<ロール体の最大径変化量>
上記ロール保管前後のロール体の最大径の変化量を下記数式1から求め、下記基準で評価した。なお、ロール体の最大径はノギスで測定した。
[数式1]
ロール体の最大径変化量=保管後の最大径−保管前の最大径
[最大径の変化量の判定基準]
◎:初期+0.2mm未満
○:初期+0.2mm以上0.5mm以下
△:初期+0.6mm以上0.9mm以下
×:初期+1.0mm以上
【0080】
<ロール体の巻きずれ>
各ライナーレス感熱記録シートを310m巻いたロール体を作製し、ロール幅をノギスで測定した。上記保管条件下でロール体を保管し、保管前後のロール幅の差(巻きずれ変化量=保管後の幅−保管前の幅)を求め、下記基準で評価した。なお、比較例1は未包装である。
[巻ずれ変化量の判定基準]
◎:初期+0.2mm未満
○:初期+0.2mm以上1mm以下
△:初期+1.1mm以上2mm以下
×:初期+2.1mm以上
【0081】
<プリンタ搬送性>
40℃で90%RH環境下において、株式会社イシダ製プリンタIP−UNIで各ライナーレス感熱記録シートからラベルを500枚印字発行した時の紙詰まりの発生回数を測定し、下記基準でプリンタ搬送性を評価した。
[評価基準]
○:紙詰まり無し
△:紙詰まり発生1回以上2回以下
×:紙詰まり発生3回以上
【0082】
<総合評価>
各試験の結果に基づき、下記基準で総合評価を行った。実施例2、6、10及び11が他の実施例及び比較例と比べ、品質のバランスが取れており、ロールの形状安定性に優れ、かつプリンタマッチング性に優れている。
[評価基準]
○:各試験で○以上のもの
△:各試験で×が無く、△が1つ以上存在するもの
×:各試験で×が1つ以上存在するもの
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表1及び表2の結果から、実施例1〜11は、比較例1、2及び比較例5〜8と比べて、5℃で30%RH保管及び40℃で90%RH保管してもロール形状の変化(最大径、巻ずれ)が少なかった。
また、プリンタ搬送性において、実施例1〜11は、比較例3と比べて、紙詰まりの発生が少なかった。
【0086】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> ライナーレス感熱記録シートのロール体が内包されたライナーレス型感熱記録体の包装体であって、
前記ライナーレス感熱記録シートは、
支持体と、
前記支持体上の一方の面側に設けられた感熱発色層と、
前記感熱発色層上の剥離層と、
前記支持体の他方の面側に設けられた粘着剤層とを有し、
前記粘着剤層が前記支持体よりも内側となるように前記ライナーレス感熱記録シートがロール状に巻かれた状態であり、
前記ロール体から前記ライナーレス感熱記録シートを引き剥がすときの剥離力が50mN/50mm以上250mN/50mm以下であり、
前記ライナーレス感熱記録シートの下記数式で表される重量変化率が、4.5%以上6.5%以下であり、
前記ライナーレス感熱記録シートのロール体が密封包装されていることを特徴とするライナーレス型感熱記録体の包装体である。
重量変化率(%)=[(乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量−乾燥後ライナーレス感熱記録シート重量)/乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量]×100
前記数式中、乾燥前ライナーレス感熱記録シート重量はA4サイズにカットしたライナーレス感熱記録シートの乾燥前の重量であり、乾燥後ライナーレス感熱記録シート重量はA4サイズにカットしたライナーレス感熱記録シートを105℃で5時間乾燥後の重量である。
<2> 前記感熱発色層と前記剥離層の間に保護層を有する前記<1>に記載のライナーレス型感熱記録体の包装体である。
<3> 前記感熱発色層が、ロイコ染料及び顕色剤を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載のライナーレス型感熱記録体の包装体である。
<4> 前記支持体と前記粘着剤層の間にバック層を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のライナーレス型感熱記録体の包装体である。
<5> 前記バック層が、スチレン−アクリル酸エステル共重合体及びスチレン−ブタジエン共重合体の少なくともいずれかを含む前記<4>に記載のライナーレス型感熱記録体の包装体である。
<6> 前記支持体と前記感熱発色層の間に中空粒子を含むアンダー層を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のライナーレス型感熱記録体の包装体である。
<7> 前記中空粒子の中空率が80%以上である前記<6>に記載のライナーレス型感熱記録体の包装体である。
<8> 前記密封包装が、ピロー包装である前記<1>から<7>のいずれかに記載のライナーレス型感熱記録体の包装体である。
<9> 前記ピロー包装のヒートシール部分がロール体の胴面側である前記<8>に記載のライナーレス型感熱記録体の包装体である。
<10> 前記粘着剤層が前記支持体よりも内側となるように前記ライナーレス感熱記録シートが芯材上にロール状に巻かれた状態である前記<1>から<9>のいずれかに記載のライナーレス型感熱記録体の包装体である。
【0087】
前記<1>から<10>のいずれかに記載のライナーレス型感熱記録体の包装体によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開2014−51300号公報
【特許文献2】特許第3420678号公報
【特許文献3】特許第5465561号公報
【特許文献4】特開2005−47596号公報
【特許文献5】特開2005−47597号公報