(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着剤層における前記(d)光によって塩基を発生する硬化剤の含有量が、(b)エポキシ化合物又はオキセタン化合物と(c)チオール化合物との合計100質量部に対して0.5〜30質量部である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の異方導電性フィルム。
前記接着剤層が導電粒子を、前記(a)フィルム形成材と前記(b)エポキシ化合物又はオキセタン化合物と前記(c)チオール化合物との合計100体積部に対して、0.1〜50体積部含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の異方導電性フィルム。
請求項1〜7のいずれか一項に記載の異方導電性フィルムの硬化物を用いて、バンプ電極が設けられた第一の回路部材と、前記バンプ電極に対応する回路電極が設けられた第二の回路部材とを接着するとともに、前記バンプ電極と前記回路電極とを電気的に接続した、接続構造体。
バンプ電極が設けられた第一の回路部材の主面と、前記バンプ電極に対応する回路電極が設けられた第二の回路部材の主面との間に請求項1〜7のいずれか一項に記載の異方導電性フィルムを配置し、前記第一の回路部材及び第二の回路部材を介して前記異方導電性フィルムを加熱及び加圧し、更に紫外線を第二の回路部材の裏面から照射して硬化させ、前記異方導電性フィルムの硬化物を介して前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接着するとともに、前記バンプ電極と前記回路電極とを電気的に接続する、接続構造体の製造方法。
回路電極が設けられた第二の回路部材上に請求項1〜7のいずれか一項に記載の異方導電性フィルムを配置し、紫外線を異方導電性フィルム上から照射した後、前記回路電極に対応するバンプ電極が設けられた第一の回路部材を前記異方導電性フィルム上に配置し、前記第一の回路部材及び第二の回路部材を介して前記異方導電性フィルムを加熱及び加圧して硬化させ、前記異方導電性フィルムの硬化物を介して前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接着するとともに、前記バンプ電極と前記回路電極とを電気的に接続する、接続構造体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る異方導電性フィルム及び接続構造体、並びに接続構造体の製造方法の好適な実施形態について説明する。
【0027】
[接続構造体の構成]
図1は、本発明に係る接続構造体の一実施形態を示す模式的断面図である。同図に示すように、接続構造体1は、互いに対向する第一の回路部材2及び第二の回路部材3と、これらの回路部材2,3を接続する異方導電性フィルムの硬化物4とを備えて構成されている。
【0028】
第一の回路部材2は、例えばテープキャリアパッケージ(TCP)、プリント配線板、半導体シリコンチップ等である。第一の回路部材2は、本体部5の実装面5a側に複数のバンプ電極6を有している。バンプ電極6は、例えば平面視で矩形状をなしており、厚みは例えば3μm以上18μm未満となっている。バンプ電極6の形成材料には、例えばAu等が用いられ、異方導電性フィルムの硬化物4に含まれる導電粒子Pよりも変形し易くなっている。なお、実装面5aにおいて、バンプ電極6が形成されていない部分には、絶縁層が形成されていてもよい。
【0029】
第二の回路部材3は、例えば液晶ディスプレイに用いられるITO、IZO、若しくは金属等で回路が形成されたガラス基板又はプラスチック基板、フレキシブルプリント基板(FPC)、セラミック配線板などである。第二の回路部材3は、
図1に示すように、本体部7の実装面7a側にバンプ電極6に対応する複数の回路電極8を有している。回路電極8は、バンプ電極6と同様に、例えば平面視で矩形状をなしており、厚みは例えば100nm程度となっている。回路電極8の表面は、例えば金、銀、銅、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、インジウム錫酸化物(ITO)、及びインジウム亜鉛酸化物(IZO)から選ばれる1種或いは2種以上の材料で構成されている。なお、実装面7aにおいても、回路電極8が形成されていない部分に絶縁層が形成されていてもよい。
【0030】
異方導電性フィルムの硬化物4は、後述の異方導電性フィルム11(
図2参照)を用いて形成された層であり、導電性接着剤層13を硬化してなる第1の領域9と、絶縁性接着剤層14を硬化してなる第2の領域10とを有している。本実施形態では、第1の領域9が第二の回路部材3側に位置し、第2の領域10が第一の回路部材2側に位置している。なお、本実施形態では、説明の便宜上、導電粒子Pが分散された層を導電性接着剤層と称し、導電粒子Pが分散されていない層を絶縁性接着剤層と称するが、両層を構成している接着剤成分自体は非導電性である。
【0031】
導電粒子Pは、圧着によって僅かに扁平に変形した状態でバンプ電極6と回路電極8との間に介在している。これにより、バンプ電極6と回路電極8との間の電気的な接続が実現されている。また、隣接するバンプ電極6,6間及び隣接する回路電極8,8間では、導電粒子Pが離間した状態となっており、隣接するバンプ電極6,6間及び隣接する回路電極8,8間の電気的な絶縁が実現されている。
【0032】
[異方導電性フィルムの構成]
図2は、本発明に係る異方導電性フィルムの一実施形態を示す模式的断面図であり、
図1に示した接続構造体に用いられる異方導電性フィルムを示したものである。同図に示すように、異方導電性フィルム11は、剥離フィルム12と、導電粒子Pが分散された接着剤層からなる導電性接着剤層13と、導電粒子Pが分散されていない接着剤層からなる絶縁性接着剤層14とがこの順で積層されている。
【0033】
また、
図3は、本発明に係る異方導電性フィルムの他の一実施形態を示す模式的断面図である。
図3に示すように、異方導電性フィルム21は、剥離フィルム12と、導電粒子Pが分散された接着剤層からなる導電性接着剤層13から構成されている。本発明の異方導電性フィルムは、
図3に示すように、接着剤層として絶縁性接着剤層14を有さず導電性接着剤層13の1層のみを有するものであってもよい。ここで、
図3に示した異方導電性フィルム21における導電性接着剤層13の組成は、
図2に示した異方導電性フィルム11における導電性接着剤層13の組成と同様である。但し、
図3に示した異方導電性フィルム21における導電性接着剤層13の厚みは、
図2に示した異方導電性フィルム11における導電性接着剤層13と絶縁性接着剤層14の合計の厚みと同様である。また、
図3に示した異方導電性フィルム21を用いて接続構造体を形成した場合、
図1に示した異方導電性フィルムの硬化物4は、導電性接着剤層13を硬化してなる第1の領域9のみで構成される。
【0034】
以下、
図2及び
図3に示した異方導電性フィルムの各構成要素について詳しく説明する。
【0035】
剥離フィルム12は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等によって形成されている。剥離フィルム12には、任意の充填剤を含有させてもよい。また、剥離フィルム12の表面には、離型処理又はプラズマ処理等が施されていてもよい。
【0036】
導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14を形成する接着剤層は、いずれも、少なくとも、(a)フィルム形成材(以下、「(a)成分」ともいう)と、(b)エポキシ化合物又はオキセタン化合物(以下、「(b)成分」ともいう)と、(c)チオール化合物(以下、「(c)成分」ともいう)と、(d)光によって塩基を発生する硬化剤(以下、「(d)成分」ともいう)と、を含有している。
【0037】
(a)フィルム形成材は、上記の(b)エポキシ化合物又はオキセタン化合物、(c)チオール化合物、(d)光によって塩基を発生する硬化剤を含む粘度の低い組成物の取り扱いを容易にする作用を有するポリマーである。フィルム形成材を用いることによって、フィルムが容易に裂けたり、割れたり、べたついたりすることを抑制し、取り扱いが容易な異方導電性フィルムが得られる。
【0038】
(a)成分のフィルム形成材としては、熱可塑性樹脂が好適に用いられ、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等が挙げられる。さらに、これらのポリマー中には、シロキサン結合又はフッ素置換基が含まれていてもよい。これらの樹脂は、単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。上記の樹脂の中でも、接着強度、相溶性、耐熱性、及び機械強度の観点から、フェノキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0039】
(a)成分として用いる熱可塑性樹脂の分子量が大きいほどフィルム形成性が容易に得られ、また、異方導電性フィルムの流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。熱可塑性樹脂の分子量は、重量平均分子量で5000〜150000であることが好ましく、10000〜80000であることが特に好ましい。重量平均分子量を5000以上とすることで良好なフィルム形成性が得られやすく、150000以下とすることで他の成分との良好な相溶性が得られやすい。
【0040】
なお、本発明において、重量平均分子量は、下記の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値をいう。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC−8020
検出器:東ソー株式会社製 RI−8020
カラム:日立化成株式会社製 Gelpack GLA160S+GLA150S
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:2.94×106Pa(30kgf/cm
2)
流量:1.00mL/min
【0041】
また、(a)フィルム形成材の含有量は、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14でそれぞれ独立に、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分の総量を基準として5質量%〜80質量%であることが好ましく、15質量%〜70質量%であることがより好ましい。この含有量を5質量%以上とすることで良好なフィルム形成性が得られやすく、また、80質量%以下とすることで接着剤層を形成する際の接着剤組成物が良好な流動性を示す傾向にある。
【0042】
(b)成分のエポキシ化合物としては、エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールAD等からなる群より選択される少なくとも一種とから誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラック及びクレゾールノボラックの一方又は双方とから誘導されるエポキシノボラック樹脂、ナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、並びにグリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。エポキシ樹脂は、エレクトロマイグレーション防止の観点から、不純物イオン(Na
+、Cl
−等)及び加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが好ましい。
【0043】
上記エポキシ樹脂の中でも、良好な硬化性が得られる点で、二官能以上の多官能エポキシ樹脂が好ましい。この中でも、分子量の制御、及び得られる硬化物の硬化物性の観点から、ビスフェノール型エポキシ、及び、三官能以上のエポキシ樹脂が特に好ましい。
【0044】
また、(b)成分のオキセタン化合物としては、分子中に1〜4個のオキセタン環を有しているオキセタン化合物を含むことが好ましい。
【0045】
1個のオキセタン環を有するオキセタン化合物としては、下記一般式(5)で示される化合物が挙げられる。
【0047】
一般式(5)において、R
5は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基若しくはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基である。R
6は、メチル基、エチル基、プロピル基若しくはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基若しくは3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基若しくはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基若しくはブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基若しくはブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、又はエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基若しくはペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。
【0048】
2個のオキセタン環を有するオキセタン化合物としては、下記一般式(6)で示される化合物等が挙げられる。
【0050】
一般式(6)において、R
5は、上記一般式(5)におけるものと同様の基である。R
7は、例えば、エチレン基、プロピレン基若しくはブチレン基等の線状若しくは分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基若しくはポリ(プロピレンオキシ)基等の線状若しくは分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基若しくはブテニレン基等の線状若しくは分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基又はカルバモイル基を含むアルキレン基等である。
【0051】
また、R
7は、下記一般式(7)〜(19)で示される基から選択される多価基であってもよい。この中でも、硬化性、はく離抑制の観点から式(14)で示される基が好ましい。
【0053】
一般式(7)において、R
8は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基若しくはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基若しくはブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子若しくは臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基である。
【0055】
一般式(8)において、R
9は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、アミノ基、スルホニル基、ビス(トリフルオロメチル)メチレン基、又はジメチルメチレン基である。
【0057】
一般式(9)において、R
10は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基若しくはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基若しくはブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子若しくは臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基である。
【0059】
一般式(10)において、R
11は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、アミノ基、スルホニル基、ビス(トリフルオロメチル)メチレン基、ジメチルメチレン基、フェニルメチルメチレン基、又はビフェニルメチレン基である。
【0062】
一般式(11)及び一般式(12)において、R
12は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基若しくはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基若しくはブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子若しくは臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基又はカルバモイル基である。さらに、R
12は、ナフタレン環の2〜4箇所が置換されていてもよい。
【0064】
2個のオキセタン環を有するオキセタン化合物について上記した化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(20)で示される化合物が挙げられる。なお、一般式(20)において、R
5は、上記一般式(5)におけるものと同様の基である。
【0066】
3〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物としては、下記一般式(21)で示される化合物等が挙げられる。
【0068】
一般式(21)において、R
5は、上記一般式(5)におけるものと同様の基であり、mは3又は4である。R
13としては、例えば、下記一般式(22)、式(23)及び式(24)で示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記一般式(25)で示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基が挙げられる。
【0069】
【化16】
一般式(22)において、R
14はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。
【0072】
【化19】
一般式(25)において、pは1〜10の整数である。
【0073】
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、下記式(26)に示す化合物が挙げられる。
【0075】
また、オキセタン化合物としては、上述したもの以外にも、分子量1,000〜5,000程度の比較的高分子量の1〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物も挙げられる。さらにオキセタンを含むポリマーとして、側鎖にオキセタン環を有するポリマー等も同様に用いることができる。なお、本発明においてオキセタン化合物は、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0076】
オキセタン化合物のオキセタン当量は、43〜1000が好ましく、50〜800がより好ましく、73〜600が特に好ましい。オキセタン当量が43未満又は1000を超えると、電極間の接着強度が低下する傾向がある。これらのオキセタン化合物は、不純物イオン(Na
+、Cl
−等)及び加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、腐食防止の観点から好ましい。
【0077】
エポキシ化合物及びオキセタン化合物の含有量は、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14でそれぞれ独立に、各接着剤層の全質量100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、20〜40質量部であることがより好ましい。エポキシ樹脂及びオキセタン化合物の含有量が5質量部以上の場合、回路部材同士を圧着する際に異方導電性フィルムの流動性の低下を抑制できる傾向があり、50質量部以下の場合、長期保管時に異方導電性フィルムの変形を抑制できる傾向がある。また、エポキシ化合物とオキセタン化合物とは併用してもよく、それぞれ2種類以上を選択して配合することもできる。
【0078】
(c)成分のチオール化合物としては、チオール基を2個以上有するポリチオール化合物を使用することが好ましく、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、4,4’−チオビスベンゼンチオール、4,4’−ビフェニルジチオール、1,5−ジメルカプトナフタレン、4,5−ビス(メルカプトメチル)−オルト−キシレン、1,3,5−ベンゼントリチオール、1,4−ブタンジオールビス(チオグリコレート)、ジチオエチトリトール、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、3,7−ジチア−1,9−ノナンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、エチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(メルカプトアセテート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリトリトールトリ(メルカプトアセテート)、ペンタエリトリトールトリ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールトリ(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリトリトールトリ(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールエタン(メルカプトアセテート)、トリメチロールエタン(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタン(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタン(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトプロピルオキシ)ブタン、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)等のチオール基を2〜5個有するポリチオール化合物を挙げることができる。これらのうち反応性等及び扱いやすさを考慮して、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレートを使用することが好ましい。これらのチオール化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0079】
チオール化合物の含有量は、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14でそれぞれ独立に、(b)エポキシ化合物又はオキセタン化合物に対して、チオール当量(SH当量):エポキシ当量(あるいはオキセタン当量)=2:8〜8:2となるようにすることが好ましく、3:7〜7:3の比となるようにすることがより好ましい。この比が、2:8〜8:2の範囲内であれば、未反応のチオール基及びエポキシ基(あるいはオキセタン基)が硬化物中に多量に残存することを防止でき、硬化物の機械特性の低下を抑制できる傾向がある。
【0080】
(d)成分である光によって塩基を発生する硬化剤は、下記一般式(1)で示されるカルボン酸塩を含む。
【0081】
【化21】
一般式(1)中、RはCH
3又はHを示し、Xはアミジン類、グアニジン類、又はホスファゼン誘導体から選ばれる塩基類を示す。
【0082】
上記一般式(1)で示されるカルボン酸塩は、下記一般式(27)で示される光照射により脱炭酸するカルボン酸と、アミジン類、グアニジン類、ホスファゼン誘導体のいずれかからなる塩基類から構成される、カルボン酸塩からなる化合物である。
【化22】
一般式(27)中のRはCH
3又はHを示す。本実施形態で用いるカルボン酸の例としては、式(27)の化合物のRがCH
3である、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸を好適に用いることができる。この化合物は、光照射によって脱炭酸を引き起こすカルボン酸の中で高い光脱炭酸効率を有しており、365nmにおいても波長吸収領域を有している。よって、カルボン酸として、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸を用いることで、極めて高効率に塩基を発生させることができる。
【0083】
塩基類として使用することができるアミジン類としては、例えば、下記式(2)で表される化合物を用いることができる。
【化23】
【0084】
また、塩基類として使用することができるグアニジン類としては、例えば、下記式(3−1)又は式(3−2)で示される化合物を用いることができる。
【化24】
【0085】
更に、塩基類として使用することができるホスファゼン誘導体としては、例えば、下記式(4−1)、式(4−2)、式(4−3)、又は式(4−4)で示される化合物を用いることができる。
【化25】
【0086】
これらの塩基は、酸解離定数(pKa)が高く、式(2)で示される化合物は概ね12〜13、式(3−1)〜(3−2)、及び、式(4−1)〜(4−4)で示される化合物は13.5を超えており、塩基性が非常に高く、高い反応性が期待できる。
【0087】
よって、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸と式(2)、式(3−1)〜(3−2)、又は、式(4−1)〜(4−4)で示される塩基との塩からなる硬化剤は、光を照射させることで高い反応性を得ることができる。
【0088】
(d)光によって塩基を発生する硬化剤の含有量は、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14でそれぞれ独立に、(b)エポキシ化合物又はオキセタン化合物と(c)チオール化合物との合計100質量部に対して0.5〜30質量部であることが好ましい。(d)成分の含有量が0.5質量部以上であると、(b)エポキシ化合物又はオキセタン化合物を十分に反応させることができ、良好な硬化物を安定して得ることができる傾向がある。(d)成分の含有量が30質量部以下であると、硬化物の良好な物性を得ることができる傾向がある。なお、(d)成分の含有量が30質量部を超えると高い反応性は得られるものの、硬化物の物性の点から30質量部以下とすることが好ましい。硬化性と良好な硬化物性を両立するには、(d)成分の含有量は1〜30質量部とすることがより好ましく、3〜25質量部とすることが更に好ましく、5〜15質量部とすることが特に好ましい。
【0089】
また、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14を形成する接着剤層は、塩基増殖剤、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート類等を更に含有していてもよい。
【0090】
接着剤層が充填剤を含有する場合、接続信頼性の向上が更に期待できる。充填剤の最大径は、導電粒子の粒径未満であることが好ましい。充填剤の含有量は、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14でそれぞれ独立に、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計100体積部に対して、5体積部〜60体積部であることが好ましい。この含有量が60体積部を超えると信頼性向上の効果が飽和することがあり、5体積部未満では添加の効果が少ない。
【0091】
異方導電性フィルムは、導電粒子Pを含有していてもよい。異方導電性フィルム11,21においては、導電粒子Pは導電性接着剤層13に含有される。
【0092】
導電粒子Pとしては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子、及びカーボン等が挙げられ、十分な保存安定性を得るためには、表層はNi、Cu等の遷移金属類ではなくAu、Ag、白金族の貴金属類が好ましく、Auがより好ましい。また、Ni等の遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよい。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を上記金属等の導電物質で被覆したものも使用でき、この場合にも最外層を貴金属類としたものが好ましい。
【0093】
導電粒子Pとして非導電性のプラスチック等を導電物質で被覆したもの、又は、熱溶融金属粒子を用いると、加熱加圧によりこれらの導電粒子は変形するため、接続時に電極との接触面積が増加し、回路部材の回路端子の厚みばらつきを吸収し接続信頼性が向上する傾向があるので好ましい。
【0094】
貴金属類の被覆層の厚みは、良好な抵抗を得る観点から、10nm以上が好ましい。一方、Ni等の遷移金属の上に貴金属類の層を設ける場合は、貴金属類層の欠損及び導電粒子Pの混合分散時に生じる貴金属類層の欠損等により生じる酸化還元作用で遊離ラジカルが発生し、保存安定性の低下を引き起こす傾向があるため、これを防止する観点から、被覆層の厚みは30nm以上が好ましい。なお、被覆層の厚みの上限は特に制限されないが、得られる効果が飽和してくるため、1μm以下とすることが好ましい。
【0095】
導電粒子Pの含有量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計100体積部に対して、0.1〜50体積部とすることが好ましく、この範囲内で用途に応じて適宜調節することが好ましい。なお、導電粒子が過剰に存在することによる隣接回路の短絡等を防止する観点から、含有量は0.1〜40体積部とすることがより好ましい。
【0096】
本実施形態の異方導電性フィルムの接着剤層には、感光波長領域を拡大し、感度を高めるべく、増感剤を添加することができる。使用できる増感剤としては、特に限定はないが、例えば、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p’−テトラエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3’−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)またはコロネン等が挙げられる。これらの増感剤は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0097】
本実施形態の異方導電性フィルムの接着剤層には、回路基板の接着性向上の観点から、シランカップリング剤を添加することができる。シランカップリング剤としては、ケチミン基、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。接着剤層にシランカップリング剤を含有させる場合、その含有量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計100質量部に対して、添加効果と接着剤層の形成能力の両立の観点から、0.5〜30質量部とすることが好ましく、1〜20質量部とすることがより好ましい。
【0098】
異方導電性フィルムにおいて、導電性接着剤層13の厚みは、対向回路間に捕捉される粒子により良好な接続信頼性を得る観点から、2μm〜10μmであることが好ましく、3μm〜8μmであることがより好ましい。
【0099】
また、絶縁性接着剤層14の厚みは、適宜設定可能である。導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14の厚みの合計は、例えば5μm〜30μmであることが好ましい。また、通常、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14の厚みの合計と、接続構造体1における第一の回路部材2の実装面5aから第二の回路部材3の実装面7aまでの距離との差(上記厚みの合計から上記距離を引いた値)は、0μm〜10μmであることが好ましい。第一及び第二の回路部材2,3間を異方導電性フィルムの硬化物4で充填する観点からは、上記の差を0.5μm〜8.0μmとすることが好ましく、1.0μm〜5.0μmとすることがより好ましい。
【0100】
[接続構造体の製造方法]
次に、本発明の接続構造体の製造方法の一実施形態について説明する。以下の説明では、
図1に示した接続構造体1を、
図2に示した異方導電性フィルム11を用いて製造する場合を例に説明する。
【0101】
図4は、
図1に示した接続構造体の製造工程を示す模式的断面図である。接続構造体1の形成にあたっては、まず、異方導電性フィルム11から剥離フィルム12を剥離し、導電性接着剤層13側が実装面7aと対向するようにして異方導電性フィルム11を第二の回路部材3上にラミネートする。次に、
図5に示すように、バンプ電極6と回路電極8とが対向するように、異方導電性フィルム11がラミネートされた第二の回路部材3上に第一の回路部材2を配置する。そして、異方導電性フィルム11を加熱しながら第一の回路部材2と第二の回路部材3とを厚み方向に加圧し、更に紫外線を第二の回路部材3の裏面(第二の回路部材3の異方導電性フィルム11とは反対側の面)から照射する。
【0102】
これにより、異方導電性フィルム11の接着剤成分が流動し、バンプ電極6と回路電極8との距離が縮まって導電粒子Pが噛合した状態で、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14が硬化する。導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14の硬化により、バンプ電極6と回路電極8とが電気的に接続され、かつ隣接するバンプ電極6,6同士及び隣接する回路電極8,8同士が電気的に絶縁された状態で異方導電性フィルムの硬化物4が形成され、
図1に示した接続構造体1が得られる。得られた接続構造体1では、異方導電性フィルムの硬化物4によってバンプ電極6と回路電極8との間の距離の経時的変化が十分に防止されると共に、電気的特性の長期信頼性も確保できる。
【0103】
なお、異方導電性フィルム11の加熱温度は、紫外線によって発生した塩基によって、エポキシ化合物又はオキセタン化合物、及びチオール化合物の重合が進行する温度以上であることが好ましい。この加熱温度は、例えば30℃〜200℃であり、好ましくは40℃〜180℃である。また、加熱時間は、例えば0.1秒〜30秒、好ましくは1秒〜20秒である。加熱温度が30℃未満であると硬化速度が遅くなり、180℃を超えると望まない副反応が進行しやすい。また、加熱時間が0.1秒未満では硬化反応が十分に進行せず、30秒を超えると硬化物の生産性が低下し、更に望まない副反応も進みやすい。
【0104】
紫外線の照射は、第一の回路部材2と第二の回路部材3とを厚み方向に加圧するのと同時に開始してもよいが、異方導電性フィルム11の接着剤成分を流動させる点で、照射開始時間は、加熱加圧開始時間よりも後であって、かつ、加熱加圧開始時間から0.1〜4秒遅延させることが好ましい。照射開始時間を4秒以上遅延させた場合は、樹脂が過剰に流動し第一の回路部材2と第二の回路部材3の間に隙間が生じることがあり、接着性の低下、接続信頼性の低下の原因となる場合がある。更に、照射開始時間は加熱加圧開始時間から1〜3秒遅延させることが好ましく、この場合、導電粒子の噛合状態が良好となる。また、紫外線照射量は、(d)光によって塩基を発生する硬化剤から塩基が十分に発生する照射量であれば特に限定されず、上記硬化剤の種類及び含有量によっても異なるため一概には言えないが、通常、50〜2000mJ/cm
2であり、好ましくは100〜1000mJ/cm
2である。
【0105】
次に、本発明の接続構造体の製造方法の他の実施形態について説明する。本実施形態の製造方法により
図1に示した接続構造体1を形成する場合、まず、
図4に示すように、異方導電性フィルム11から剥離フィルム12を剥離し、導電性接着剤層13側が実装面7aと対向するようにして異方導電性フィルム11を第二の回路部材3上にラミネートした後、紫外線を照射する。紫外線の照射によって、異方導電性フィルム11中の(d)光によって塩基を発生する硬化剤から塩基が発生するが、加熱を実施していないため、この状態では、異方導電性フィルム11の硬化は進行しない。次に、
図5に示すように、バンプ電極6と回路電極8とが対向するように、異方導電性フィルム11がラミネートされた第二の回路部材3上に第一の回路部材2を配置する。そして、異方導電性フィルム11を加熱しながら第一の回路部材2と第二の回路部材3とを厚み方向に加圧する。
【0106】
これにより、異方導電性フィルム11の接着剤成分が流動し、バンプ電極6と回路電極8との距離が縮まって導電粒子Pが噛合した状態で、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14が硬化する。導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14の硬化により、バンプ電極6と回路電極8とが電気的に接続され、かつ隣接するバンプ電極6,6同士及び隣接する回路電極8,8同士が電気的に絶縁された状態で異方導電性フィルムの硬化物4が形成され、
図1に示した接続構造体1が得られる。得られた接続構造体1では、異方導電性フィルムの硬化物4によってバンプ電極6と回路電極8との間の距離の経時的変化が十分に防止されると共に、電気的特性の長期信頼性も確保できる。
【0107】
なお、異方導電性フィルム11の加熱温度は、紫外線によって発生した塩基によって、エポキシ化合物又はオキセタン化合物、及びチオール化合物の重合が進行する温度以上であることが好ましい。この加熱温度は、例えば30℃〜200℃であり、好ましくは40℃〜180℃である。また、加熱時間は、例えば0.1秒〜30秒、好ましくは1秒〜20秒である。加熱温度が30℃未満であると硬化速度が遅くなり、180℃を超えると望まない副反応が進行しやすい。また、加熱時間が0.1秒未満では硬化反応が十分に進行せず、30秒を超えると硬化物の生産性が低下し、更に望まない副反応も進みやすい。
【0108】
また、紫外線照射量は、(d)光によって塩基を発生する硬化剤から塩基が十分に発生する照射量であれば特に限定されず、上記硬化剤の種類及び含有量によっても異なるため一概には言えないが、通常、50〜2000mJ/cm
2であり、好ましくは100〜1000mJ/cm
2である。
【0109】
[異方導電性フィルムの製造方法]
異方導電性フィルムは、剥離フィルム12上に導電性接着剤層13の形成材料となる接着剤ペーストを塗布し、乾燥することによって作製することができる。
【0110】
接着剤ペーストの粘度は、用途、塗布方法に応じて変動させることができるが、通常は、10mPa・s〜10000mPa・sとすることが好ましい。接着剤ペースト中の配合物の分離の抑制及び相溶性向上の観点から、50mPa・s〜5000mPa・sとすることがより好ましい。また、異方導電性フィルムの外観向上のためには、100mPa・s〜3000mPa・sとすることが好ましい。
【0111】
接着剤ペーストの塗工方法は、公知の方法を利用することができる。例えばスピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ディップコート法、マイクログラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法、フローコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法等が挙げられる。バーコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート法等が異方導電性フィルムの作製に適しており、フィルム膜厚の精度の観点からは、ダイコート法が特に好適である。
【0112】
接着剤ペーストの乾燥温度は、例えば20℃〜100℃であることが好ましい。20℃よりも低い温度では、乾燥が不十分になる恐れがあり、100℃よりも高い温度では、異方導電性フィルム中の配合物が想定外の反応を起こす場合がある。
【0113】
導電性接着剤層13の形成の後、別途作製した絶縁性接着剤層14を導電性接着剤層13上にラミネートした二層構成の異方導電性フィルムとしてもよい。絶縁性接着剤層14のラミネートには、例えばホットロールラミネータを用いることができる。また、ラミネートに限られず、絶縁性接着剤層14の材料となる接着剤ペーストを導電性接着剤層13上に塗布・乾燥してもよい。
【0114】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0115】
例えば、
図2に示した異方導電性フィルム11において、導電性接着剤層13と絶縁性接着剤層14との配置は逆であってもよい。すなわち、剥離フィルム12上に絶縁性接着剤層14及び導電性接着剤層13がこの順で積層されたものであってもよい。
【0116】
また、
図2に示した異方導電性フィルム11において、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14のうちの一方の接着剤層のみが、上述した(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含む層であってもよい。
【0117】
また、異方導電性フィルムは、剥離フィルム12と、剥離フィルム12上に形成された絶縁性接着剤層14とからなるものであってもよい。
【実施例】
【0118】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0119】
<光によって塩基を発生する硬化剤(光塩基発生剤)の合成>
(合成例1)
2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸(東京化成社製)5.36g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)に、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(東京化成社製)3.04g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)を滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、溶剤を減圧留去し、貧溶媒にジエチルエーテル、良溶媒にテトラヒドロフランを用いて不純物を抽出除去して、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン塩(光塩基発生剤1)を4.38g(収率52%)得た。
【0120】
(合成例2)
2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸(東京化成社製)5.36g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)に、1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン(東京化成社製)2.78g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)を滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、溶剤を減圧留去し、貧溶媒にジエチルエーテル、良溶媒にテトラヒドロフランを用いて不純物を抽出除去して、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン塩(光塩基発生剤2)を5.06g(収率62%)得た。
【0121】
(合成例3)
2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸(東京化成社製)5.36g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)に、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン(東京化成社製)3.06g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)を滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、溶剤を減圧留去し、貧溶媒にジエチルエーテル、良溶媒にテトラヒドロフランを用いて不純物を抽出除去して、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン塩(光塩基発生剤3)を4.12g(収率49%)得た。
【0122】
(合成例4)
2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸(東京化成社製)5.36g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)に、tert−ブチルイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン(SIGMA−ALDRICH製)2.34g(10.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)を滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、溶剤を減圧留去し、貧溶媒にジエチルエーテル、良溶媒にテトラヒドロフランを用いて不純物を抽出除去して、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸tert−ブチルイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン塩(光塩基発生剤4)を1.90g(収率38%)得た。
【0123】
(合成例5)
2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸(東京化成社製)5.08g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)に、1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン(東京化成社製)2.78g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)を滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、溶剤を減圧留去し、貧溶媒にジエチルエーテル、良溶媒にテトラヒドロフランを用いて不純物を抽出除去して、2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン塩(光塩基発生剤5)を4.56g(収率58%)得た。
【0124】
<異方導電性フィルムの作製>
(実施例1)
フィルム形成材として、フェノキシ樹脂(製品名:YP−70、新日鐵住金化学社製)、エポキシ化合物として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(製品名:828、三菱化学社製)、チオール化合物として、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(製品名:カレンズMT PE1、昭和電工社製)、光塩基発生剤として、合成例1で合成した光塩基発生剤1、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(製品名:KBM−503、信越化学工業社製)を用いた。導電粒子としてNiめっきポリスチレン粒子(平均粒径3μm)35体積部を用いた。表1に示した混合比となるように各成分を配合し接着剤組成物を調製した。接着剤組成物を、厚み50μmの片面を表面処理したPETフィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃で5分間熱風乾燥することにより、接着剤層(導電性接着剤層)の厚みが20μmの異方導電性フィルムを得た。
【0125】
(実施例2)
チオール化合物として、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(製品名:カレンズMT NR1、昭和電工製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0126】
(実施例3)
エポキシ化合物として、多官能エポキシ樹脂(製品名:1032H60、三菱化学社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0127】
(実施例4)
チオール化合物として、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(製品名:カレンズMT NR1、昭和電工製)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0128】
(実施例5)
オキセタン化合物として、ビフェニレンビスオキセタン(製品名:OXBP、宇部興産社製)用いたこと以外は、実施例2と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0129】
(実施例6)
光塩基発生剤として、合成例2で合成した光塩基発生剤2を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0130】
(実施例7)
光塩基発生剤として、合成例3で合成した光塩基発生剤3を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0131】
(実施例8)
光塩基発生剤として、合成例4で合成した光塩基発生剤4を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0132】
(実施例9〜12)
エポキシ化合物を表1に記載の配合量としたこと以外は、実施例4と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0133】
(比較例1)
エポキシ化合物として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(製品名:828、三菱化学社製)を50質量部用いて、チオール化合物を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0134】
(比較例2)
チオール化合物として、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(製品名:カレンズMT PE1、昭和電工製)を50質量部用いて、エポキシ化合物を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0135】
(比較例3)
光塩基発生剤として、合成例5で合成した光塩基発生剤5を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0136】
(比較例4)
光塩基発生剤の代わりに、光酸発生剤として4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(製品名;PI−2074、ローディア社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、異方導電性フィルムを得た。
【0137】
【表1】
【0138】
表1中、導電粒子を除き、各数値は質量部を表す。導電粒子の数値は、フィルム形成材、エポキシ化合物又はオキセタン化合物、及び、チオール化合物の合計100体積部に対する体積部を表す。
【0139】
(保存安定性の評価)
実施例1〜12、並びに比較例1〜4の異方導電性フィルムを、40℃の恒温装置に5日間放置した。放置後、それぞれの異方導電性フィルムの赤外吸収スペクトルを測定し、エポキシ化合物(或いはオキセタン化合物)の環状エーテルの転化率を算出した。結果は、環状エーテルの転化率が5%未満を◎、5%以上10%未満を○、10%以上を×として表2〜4に示す。
【0140】
(接続構造体の作製(作製方法A))
第一の回路部材として、バンプ電極を一列に配列したストレート配列構造を有するICチップ(外形2mm×20mm、厚み0.55mm、バンプ電極の大きさ100μm×30μm、バンプ電極間距離8μm、バンプ電極厚み15μm)を準備した。また、第二の回路部材として、ガラス基板(コーニング社製:#1737、38mm×28mm、厚み0.3mm)の表面にITOの配線パターン(パターン幅21μm、電極間スペース17μm)を形成したものを準備した。
【0141】
ICチップとガラス基板との接続には、セラミックヒータからなる石英ステージ(150mm×150mm)及びツール(3mm×20mm)、波長365nmの紫外線を発生するLED光源から構成される熱圧着装置を用いた。まず、実施例1〜12及び比較例1〜4に係る異方導電性フィルム(2.5mm×25mm)の導電性接着剤層側の面をガラス基板に80℃、0.98MPa(10kgf/cm
2)の条件で2秒間加熱及び加圧して貼り付けた。
【0142】
次に、異方導電性フィルムの導電性接着剤層上の剥離フィルムを剥離し、ICチップのバンプ電極とガラス基板の回路電極との位置合わせを行った後、異方導電性フィルムの実測最高到達温度80℃、紫外線強度200mW/cm
2、及びバンプ電極での面積換算圧力70MPaの条件で5秒間加熱、加圧、及びガラスステージ側からの紫外線照射を行い、導電性接着剤層をICチップに貼り付けた。ここで、紫外線照射は、加熱加圧開始時間から2秒後に開始して3秒間行った。
【0143】
(接続構造体の作製(作製方法B))
第一の回路部材として、バンプ電極を一列に配列したストレート配列構造を有するICチップ(外形2mm×20mm、厚み0.55mm、バンプ電極の大きさ100μm×30μm、バンプ電極間距離8μm、バンプ電極厚み15μm)を準備した。また、第二の回路部材として、ガラス基板(コーニング社製:#1737、38mm×28mm、厚み0.3mm)の表面にアルミニウムの配線パターン(パターン幅21μm、電極間スペース17μm)を形成したものを準備した。
【0144】
ICチップとガラス基板との接続には、セラミックヒータからなる石英ステージ(150mm×150mm)及びツール(3mm×20mm)、波長365nmの紫外線を発生するLED光源から構成される熱圧着装置を用いた。まず、実施例1〜12及び比較例1〜4に係る異方導電性フィルム(2.5mm×25mm)の導電性接着剤層側の面をガラス基板に80℃、0.98MPa(10kgf/cm
2)の条件で2秒間加熱及び加圧して貼り付けた。
【0145】
次に、異方導電性フィルムの導電性接着剤層上の剥離フィルムを剥離し、異方導電性フィルム上面から300mJ/cm
2の紫外線を照射した後、ICチップのバンプ電極とガラス基板の回路電極との位置合わせを行った。その後、異方導電性フィルムの実測最高到達温度80℃、バンプ電極での面積換算圧力70MPaの条件で5秒間加熱及び加圧をして絶縁性接着剤層をICチップに貼り付けた。
【0146】
(接続構造体の作製(作製方法C))
第一の回路部材として、バンプ電極を一列に配列したストレート配列構造を有するICチップ(外形2mm×20mm、厚み0.55mm、バンプ電極の大きさ100μm×30μm、バンプ電極間距離8μm、バンプ電極厚み15μm)を準備した。また、第二の回路部材として、フィルム基材上にポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン50EN)が貼り付け、SiO
2酸化膜処理を施した基板(38mm×28mm、基材厚み0.125mm)の表面にアルミニウムの配線パターン(パターン幅21μm、電極間スペース17μm)を形成したものを準備した。
【0147】
ICチップとフィルム基板との接続には、セラミックヒータからなる石英ステージ(150mm×150mm)及びツール(3mm×20mm)、波長365nmの紫外線を発生するLED光源から構成される熱圧着装置を用いた。まず、実施例1〜12及び比較例1〜4に係る異方導電性フィルム(2.5mm×25mm)の導電性接着剤層側の面をガラス基板に80℃、0.98MPa(10kgf/cm
2)の条件で2秒間加熱及び加圧して貼り付けた。
【0148】
次に、異方導電性フィルムの導電性接着剤層上の剥離フィルムを剥離し、異方導電性フィルム上面から300mJ/cm
2の紫外線を照射した後、ICチップのバンプ電極とガラス基板の回路電極との位置合わせを行った。その後、異方導電性フィルムの実測最高到達温度80℃、バンプ電極での面積換算圧力70MPaの条件で5秒間加熱及び加圧をして絶縁性接着剤層をICチップに貼り付けた。
【0149】
(接続抵抗の評価)
実施例1〜12及び比較例1〜4の各異方導電性フィルムを用いて得られた接続構造体において、バンプ電極と回路電極との間の抵抗値を評価した。抵抗値の評価は、四端子測定法にて実施し、14箇所の測定の平均値を用いた。接続不良は×とした。また、85℃、85%RHの条件で500時間負荷を掛けた高温高湿試験後の抵抗値(14端子測定した中の最大値)も測定した。結果を表2〜4に示す。
【0150】
(接着力の測定)
実施例1〜12及び比較例1〜4の異方導電性フィルムを用いて上記作製方法Aにより作製した接続構造体について、ダイシェア強度試験を行った。接続不良は×とした。結果を表2〜4に示す。ダイシェア強度は、Dage社製ボンドテスタDage−Series−4000、ロードセルDS100を用いて測定した。
【0151】
【表2】
【0152】
【表3】
【0153】
【表4】
【0154】
表2〜4に示すように、実施例1〜12で得られた異方導電性フィルムは、低温硬化性と保存安定性とを両立し、良好な接着力、接続信頼性が得られた。
【0155】
一方、比較例1及び2に示すように、エポキシ化合物又はチオール化合物を配合しない場合は、第一の回路部材と第二の回路部材とを接続することができなかった。
【0156】
また、比較例3に示すように、光塩基発生剤の化学構造が異なる場合は、第一の回路部材と第二の回路部材とを接続することができなかった。
【0157】
更に、比較例4に示すように、酸発生剤を用いた場合は、接続構造体の作製において紫外線照射と加熱・加圧とを同時に行う場合(作製方法A)は、接続構造体を作製できるものの、接着力が低く、耐湿試験後には抵抗値が上昇した。紫外線照射後に加熱・加圧して作製(作製方法B及びC)した接続構造体は、第一の回路部材と第二の回路部材とを接続することができなかった。さらに、保存安定性が悪化した。