特許第6972948号(P6972948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972948
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20211111BHJP
   G05F 1/10 20060101ALI20211111BHJP
   G01R 19/175 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H02M3/28 Z
   G05F1/10 301D
   G01R19/175
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-218264(P2017-218264)
(22)【出願日】2017年11月13日
(65)【公開番号】特開2019-92253(P2019-92253A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】萩原 芳輝
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 崇彦
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−132189(JP,U)
【文献】 特開昭54−149858(JP,A)
【文献】 特開平04−021361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
G05F 1/10
G01R 19/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する交流/直流変換部を備えた電源装置であって、
前記交流/直流変換部により生成される直流電圧に含まれるリプル電圧の交流成分を通過させる交流カップリング回路と、
前記交流カップリング回路を通過したリプル電圧に基づいて、前記リプル電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出部と、を備え、
前記ゼロクロス点検出部は、
前記交流カップリング回路を通過したリプル電圧を半波整流する半波整流回路と、
前記半波整流回路により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力するゼロクロス点検出回路と、を備え
前記半波整流回路は、前記交流カップリング回路を通過したゼロレベルよりも低い負のリプル電圧のみを反転して正の半波信号として前記ゼロクロス点検出回路に与えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記交流/直流変換部により生成される直流電圧に含まれるリプル電圧は、前記交流電圧の2倍の周波数を有することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記半波整流回路は、前記交流カップリング回路を通過したゼロレベルよりも低い負のリプル電圧を入力する入力端子がオペアンプの反転入力端子に接続され、前記オペアンプの非反転入力端子が接地され、前記オペアンプの前記反転入力端子が第1ダイオードのアノードに接続され、前記第1ダイオードのカソードが前記オペアンプの出力端子に接続され、前記オペアンプの非反転入力端子が抵抗の一端に接続され、前記オペアンプの出力端子が第2ダイオードのアノードに接続され、前記抵抗の他端と前記第2ダイオードのカソードとが接続され、当該接続点から正の半波信号を前記ゼロクロス点検出回路に出力することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項4】
前記ゼロクロス点検出回路は、前記半波信号が入力される入力端子が第1トランジスタのベースに接続され、前記第1トランジスタのコレクタが第1抵抗を介して正電源に接続され、前記第1トランジスタのコレクタが第2抵抗を介して第2トランジスタのベースに接続され、前記第2トランジスタのベースが第3抵抗を介して接地され、前記第1トランジスタのエミッタと前記第2トランジスタのエミッタとが共通接続されて第4抵抗を介して接地され、前記第2トランジスタのコレクタが第5抵抗を介して前記正電源に接続され、前記第2トランジスタのコレクタと第5抵抗との接続点からゼロクロス点検出信号を出力するシュミットトリガ回路により構成されることを特徴とする請求項記載の電源装置。
【請求項5】
前記シュミットトリガ回路は、前記入力される前記半波信号の変化に対して出力状態がヒステリシスを持って変化することを特徴とする請求項記載の電源装置。
【請求項6】
前記ゼロクロス点検出回路は、前記半波信号が入力される入力端子が第1トランジスタのベースに接続され、第2トランジスタのベースが接地され、前記第1トランジスタのエミッタと前記第2トランジスタのエミッタとが共通接続されて第1抵抗を介して負電源に接続され、前記第1トランジスタのコレクタが第2抵抗を介して正電源に接続され、前記第2トランジスタのコレクタが第3抵抗を介して前記正電源に接続され、前記第2トランジスタのコレクタと第3抵抗との接続点からゼロクロス点検出信号を出力するカレントスイッチ回路により構成されることを特徴とする請求項記載の電源装置。
【請求項7】
前記ゼロクロス点検出回路は、前記半波信号が入力される入力端子が第1抵抗を介してオペアンプの反転入力端子に接続され、前記オペアンプの前記反転入力端子が第2抵抗を介して前記オペアンプの出力端子に接続され、前記オペアンプの非反転入力端子に基準電圧が供給され、オペアンプの出力端子が第3抵抗を介して接地され、前記オペアンプの出力端子からゼロクロス点検出信号を出力する反転増幅回路により構成されることを特徴とする請求項記載の電源装置。
【請求項8】
前記ゼロクロス点検出回路は、前記半波信号が入力される入力端子が第1抵抗を介してオペアンプの反転入力端子に接続され、前記オペアンプの前記反転入力端子がコンデンサを介して接地され、前記オペアンプの前記反転入力端子が第2抵抗を介して前記オペアンプの出力端子に接続され、前記オペアンプの出力端子が第3抵抗を介して前記オペアンプの非反転入力端子に接続され、前記オペアンプの非反転入力端子に第4抵抗を介して基準電圧が供給され、前記オペアンプの出力端子からゼロクロス点検出信号を出力するパルス発生回路により構成されることを特徴とする請求項記載の電源装置。
【請求項9】
前記パルス発生回路は、前記入力される前記半波信号の変化に対して出力状態がヒステリシスを持って変化することを特徴とする請求項記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、ヒータを用いてトナー画像を記録媒体に定着させる際に、ヒータ制御を行っている。
この際、例えば電源装置や交流制御基板では、ヒータの位相制御に必要な情報として、交流電源の位相を制御部へ伝達するためのゼロクロス点検出回路を備えている。
特許文献1には、交流電源のゼロクロス点を検出することを目的として、交流電源に対して絶縁性を有するフォトカプラを用いて、ゼロクロス点を検出するという技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1にあっては、安全上、交流電源との絶縁を確保することが可能なフォトカプラを使用していた。
しかしながら、フォトカプラを用いることに起因して、交流電源の実効電圧の変動に応じて、ゼロクロス点がばらつくといった問題があった。
すなわち、環境温度によりフォトカプラの電流伝達率(CTR:Current Transfer Ratio)が大きく変わり、さらに交流電源の電圧の変動によりフォトカプラに流れる電流も変わることから、ゼロクロス点の検出結果が大きく変動するといった問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するたに、請求項1記載の発明は、交流電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する交流/直流変換部を備えた電源装置であって、前記交流/直流変換部により生成される直流電圧に含まれるリプル電圧の交流成分を通過させる交流カップリング回路と、前記交流カップリング回路を通過したリプル電圧に基づいて、前記リプル電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出部と、を備え、前記ゼロクロス点検出部は、前記交流カップリング回路を通過したリプル電圧を半波整流する半波整流回路と、前記半波整流回路により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力するゼロクロス点検出回路と、を備え、前記半波整流回路は、前記交流カップリング回路を通過したゼロレベルよりも低い負のリプル電圧のみを反転して正の半波信号として前記ゼロクロス点検出回路に与えることを特徴とする。


【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明が適用される画像形成装置の概略的な機構構成を示す断面図である。
図2】従来の画像形成装置に用いる電源装置と制御部を示す図である。
図3】(a)(b)は、従来のゼロクロス点検出部に入力される交流電圧と、ゼロクロス点検出部から出力されるゼロクロス点検出信号を示すタイミングチャートである。
図4】(a)(b)は、従来のゼロクロス点検出部に採用されたフォトカプラによるゼロクロス点のばらつきの要因になる交流電源の交流電圧と電流伝達率との間の関係について説明するための表で示した図である。
図5】(a)(b)は、交流電源の交流電圧と電流伝達率との間の関係に示すグラフ図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に用いる電源装置と制御部を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に用いるフライバックコンバータの回路図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に用いる電源装置の回路図である。
図9】本発明の第1実施形態に係るゼロクロス点の検出法について説明する図である。
図10】(a)〜(e)は、カップリング回路及びゼロクロス点検出部について説明するためのタイミングチャートである。
図11】本発明の第1実施形態に係るゼロクロス点検出部の交流電源電圧による時間差について説明するためのタイミングチャートである。
図12】本発明の第1実施形態に係るゼロクロス点検出部の動作を示すタイミングチャートである。
図13】本発明の第2実施形態に係るゼロクロス点検出部の構成を示すブロック図である。
図14】本発明の第3実施形態に係るゼロクロス点検出部の構成を示すブロック図である。
図15】本発明の第4実施形態に係るゼロクロス点検出部の動作を示すタイミングチャートである。
図16】本発明の第4実施形態に係るゼロクロス点検出部の構成を示すブロック図である。
図17】本発明の第4実施形態に係るゼロクロス点検出部の入出力特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
本発明は、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上するために、以下の構成を有する。
すなわち、本発明の電源装置は、交流電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する交流/直流変換部を備えた電源装置であって、交流/直流変換部により生成される直流電圧に含まれるリプル電圧の交流成分を通過させる交流カップリング回路と、交流カップリング回路を通過したリプル電圧に基づいて、リプル電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出部と、を備え、ゼロクロス点検出部は、交流カップリング回路を通過したリプル電圧を半波整流する半波整流回路と、半波整流回路により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力するゼロクロス点検出回路と、を備えたことを特徴とする。
以上の構成を備えることにより、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することができる。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
上記の本発明の特徴に関して、以下、図面を用いて詳細に説明する。
【0008】
<第1実施形態>
<画像形成装置>
図1は、本発明が適用される画像形成装置の概略的な機構構成を示す断面図である。
図1を参照して、画像形成装置における複写モードでの動作について簡単に説明する。
複写モードでは、原稿束がADF2により、順に画像読み取り装置3に給送され、画像読み取り装置3により、各原稿から画像情報が読み取られる。
そして、原稿束から読み取られた画像情報は、画像処理手段を介して書き込みユニット4により光情報に変換され、感光体6は、帯電器により一様に帯電された後に書き込みユニット4からの光情報で露光されて静電潜像が形成される。
この感光体6上の静電潜像は、現像器7により現像されてトナー像となる。このトナー像は、中間転写ベルト8により記録媒体に転写され、定着装置9によりトナー像が記録媒体に定着されて、排出される。
画像形成装置1には、電源装置10が設けられており、外部電源である交流電源12から供給される電力を電源装置10が直流電力に変換して、上述した各部の負荷に直流電力を供給する。
【0009】
<従来技術>
図2は、従来の画像形成装置に用いる電源装置と制御部を示す図である。
従来の画像形成装置には、図2に示すように、電源装置1000、制御部14が備えられている。
電源装置1000は、電源スイッチSW1、直流電源部21、リレーRL1、ゼロクロス点検出部27を備えている。
直流電源部21は、ダイオードブリッジDB1、DC/DCコンバータ22を備え、電源スイッチSW1が投入されると、交流電源12から入力される交流電力をダイオードブリッジDB1とコンデンサC1により整流平滑して第1直流電力を得る。直流電源部21は、第1直流電力をDC/DCコンバータ22により電圧V1の第2直流電力に変換して制御部14に出力する。
【0010】
ここで、直流電源部21から第2直流電力が供給された制御部14は、コンデンサC3により電源ラインに発生する高周波ノイズをグランドGNDに流して高周波ノイズを低減し、電圧V1を負荷である各部に供給する。
制御部14は、定着装置9に対して位相制御を行う前段階として、リレー電源をリレーRL1、ゼロクロス点検出部27に供給する。次に、制御部14は、リレーON信号をHighにしてトランジスタTr1のベースに出力する。トランジスタTr1がオンすると、リレー電源がリレーRL1のソレノイドコイル、トランジスタTr1のコレクタからエミッタ、グランドに流れ、リレーRL1の各接点が開放状態から閉結状態に切り替わり、交流電源12がゼロクロス点検出部27に供給される。
【0011】
ゼロクロス点検出部27は、ダイオードブリッジDB3、フォトカプラPC1、同期パルス回路28を備え、交流電源12から供給される交流電圧がダイオードブリッジDB3において両波整流されて、交流電源12の1周期内において2半波を有する半波信号が生成される。この半波信号がフォトカプラPC1内のダイオードに供給されて光信号に変換され、フォトカプラPC1内のフォトランジスタに電流が伝達される。詳しくは、フォトカプラPC1の電流伝達率(CTR)に準じた電流でフォトカプラPC1の2次側に接続された同期パルス回路28が動作することで、ゼロクロス点検出信号が生成される。
【0012】
<従来の交流電圧とゼロクロス点検出信号>
図3(a)(b)は、従来のゼロクロス点検出部27に入力される交流電圧と、ゼロクロス点検出部27から出力されるゼロクロス点検出信号を示すタイミングチャートである。図3(a)(b)に示すタイミングチャートにおいて、横軸は時間軸であり、縦軸は電圧である。図3(b)は、図3(a)に示すタイミングt1〜t2を拡大した図である。
図3(b)に示すように、交流電圧30が降下して、タイミングt1において、ゼロクロス点検出信号31がHighからLowに切り替わり、さらに交流電圧30が降下すると、タイミングt2において、ゼロクロス点検出信号31がLowからHighに切り替わる。
ゼロクロス点検出信号31がLow期間の全幅T1において、交流電圧30が降下して電圧0Vになるまでの時間T2をフロントと呼び、フロントの時間差T2がゼロクロス点のずれとなる。
【0013】
<交流電源の交流電圧と電流伝達率との間の関係(図表)>
図4(a)(b)は、従来のゼロクロス点検出部27に採用されたフォトカプラによるゼロクロス点のばらつきの要因になる交流電源の交流電圧と電流伝達率(CTR)との間の関係について説明するための表で示した図である。
従来、ゼロクロス点検出部27においては、ゼロクロス点を検出するためにフォトカプラを用いており、交流電源12の交流電圧による変動や、環境温度によるフォトカプラPC1の電流伝達率CTRの変動を小さくするため、交流電源12の交流電圧についての種別に準じてフォトカプラPC1の電流伝達率(CTR)を指定している。
通常、フォトカプラPC1は、同一部品でも電流伝達率(CTR)は50〜600%まで分布する。
画像形成装置1の仕向け地により、下記のように電流伝達率(CTR)を指定する。
(1)100V系:80〜160%
(2)200V系:200〜400%
従来、電流伝達率(CTR)のばらつきを小さくするために、画像形成装置1の仕向地(交流電源100V系、200V系)に応じて、フォトカプラPC1の使い分けをしていた。
【0014】
<交流電源の交流電圧と電流伝達率との間の関係(グラフ図)>
図5(a)(b)は、交流電源の交流電圧と電流伝達率との間の関係に示すグラフ図である。
しかしながら、図5(a)(b)に示すグラフ図のように、電流伝達率は大きく変動する。なお、CTR列は常温でのCTR値を示す。
図4に示す図表の分布をわかりやすくするため、図5の縦軸をフロント値に、横軸を交流電源電圧(上下限)とし、各変動要因(周波数、環境温度、CTR)において比較すると、矢印35、36に示す範囲においてばらつくことが理解できる。
(1)100V系:0.077〜1.13ms
(2)200V系:0.253〜1.794ms
100V系と200V系を含む電圧の全範囲では、0.077ms〜1.794ms(0.08ms〜1.80msとする)の範囲においてばらつくことが理解できる。
【0015】
従来、ゼロクロス点検出部27に採用されたフォトカプラを用いることに起因して、ゼロクロス点がばらつくといった問題があった。
すなわち、環境温度によりフォトカプラの電流伝達率(CTR:Current Transfer Ratio)が大きく変わり、さらに交流電源の電圧の変動によりフォトカプラに流れる電流も変わることから、ゼロクロス点の検出結果が大きく変動するといった問題があった。
そこで、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することが求められる。
【0016】
<第1実施形態>
図6は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に用いる電源装置と制御部を示す図である。
本発明の画像形成装置には、図6に示すように、電源装置10、制御部50が備えられている。
電源装置10は、電源スイッチSW1、直流電源部40、カップリング回路43、ゼロクロス点検出部46を備えている。
直流電源部40は、ダイオードブリッジDB5、フライバックコンバータ41を備え、電源スイッチSW1が投入されると、交流電源12から入力される交流電力をダイオードブリッジDB5により整流して第3直流電力を得る。
直流電源部40は、第3直流電力をフライバックコンバータ(アクティブPFC搭載絶縁型フライバックコンバータ)41により電圧V2の第4直流電力に変換して制御部50に出力する。
ここで、直流電源部40から第4直流電力が供給された制御部50は、コンデンサC6により電源ラインに発生する高周波ノイズをグランドGNDに流して高周波ノイズを低減し、電圧V2を負荷である各部に供給する。
一方、直流電源部40から第4直流電力が供給されたカップリング回路43は、第4直流電力に重畳されているリプル電圧の交流成分を抽出して、ゼロクロス点検出部46に出力する。
【0017】
ゼロクロス点検出部46は、半波整流回路47、ゼロクロス点検出回路48を備える。半波整流回路47は、入力されたリプル電圧の交流成分のリプル信号を半波整流して半波信号を出力する。
ゼロクロス点検出回路48は、入力された半波信号に対する2つのしきい値を有し、半波信号の電位が高いしきい値を超えたときに論理H(V)のゼロクロス点信号を制御部50に出力し、逆に半波信号の電位が低いしきい値を下回ったときに論理L(V)のゼロクロス点信号を制御部50に出力する。
【0018】
制御部50は、DC/DCコンバータ42、CPU50b、ROM50c、RAM50dを備えている。
DC/DCコンバータ42は、電圧V1を電圧Vccの直流電力に変換して制御部50内に設けられた各部に出力する。
CPU24bは、ROM24cに予め記憶されるプログラムに従い、RAM24dをワークメモリとして用いて、画像形成装置1の全体の動作を制御する。
ROM24cは、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア、及び各種データが格納されている。
RAM24dは、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、ワークメモリとして利用可能である。
【0019】
<フライバックコンバータ>
図7は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に用いるフライバックコンバータ41の回路図である。
フライバックコンバータ41は、制御IC41a、トランスT5、トランジスタ(MOSFET)Tr5、ツエナーダイオードZD1、ダイオードD5〜D8、抵抗R5〜R16、コンデンサC11〜C17を備えている。
電源スイッチSW1が投入されると、交流電源12から入力される交流電力がダイオードブリッジDB5により整流され、脈流電圧が抵抗R6とダイオードD5を介して制御IC41aのVIN端子に入力される。
この際、制御IC41aにおいて、VIN端子が2.5Vを超えると、内部負荷とゲートドライバの安定化電流となるINTVCC端子に電流を供給し始め、VIN端子とINTVCC端子のコンデンサC14は抵抗R6からの電流によって充電される。VIN端子がターンオンしきい値を超え、INTVCC端子が10Vでレギュレーション状態になると、GATE端子からハイパルス信号をトランジスタTr5のゲート端子に出力し、制御IC41aはスイッチングを開始する。
【0020】
トランジスタTr5がオンすると、交流電源12から入力される交流電力がダイオードブリッジDB5により整流され、脈流電圧がトランスT5の1次巻線、トランジスタTr5のドレイン端子、ソース端子、抵抗R16を介してGNDに電流が流れる。
この際、トランスT5の1次巻線に電流が流れると、電磁エネルギが1次巻線に1次的に蓄積され、さらにトランジスタTr5のGATE端子に加えられたハイパルス信号がローレベルに切り替わると、トランジスタTr5がオフする。トランジスタTr5がオフすると、電磁エネルギが2次巻線に伝達されて電気エネルギが2次巻線に誘起し、ダイオードD8、コンデンサC15により整流平滑され、Vo端子に直流電力が出力される。
【0021】
同時に、トランジスタTr5がオフすると、電磁エネルギが3次巻線に伝達されて電気エネルギが3次巻線に誘起し、ダイオードD6、コンデンサC12により整流平滑され、VIN端子に直流電圧が入力される。
同時に、トランジスタTr5がオフすると、電磁エネルギが3次巻線に伝達されて電気エネルギが3次巻線に誘起し、3次巻線の電圧が分割抵抗R9、R10により分割された電圧がFB端子に入力されることにより、Vo端子から出力される出力電圧を安定化する。
直流電源部40にフライバックコンバータ41を利用することで、力率0.90〜0.99程度まで得ることができ、変換効率を向上することができる。しかし、2次側の出力に交流電源12の2倍の周波数のリプル電圧が発生し易くなる。
本実施形態では、フライバックコンバータ41から出力される直流電力を24V系の負荷に利用する一方、フライバックコンバータ41から出力される直流電力にはリプル電圧が重畳されているため、DC/DCコンバータ42によりリプル電圧が極めて少ないVccに変換して5V系の負荷(例えば、CPU、ROM、RAM)に安定化して利用する。
【0022】
<電源装置の回路図>
図8は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に用いる電源装置10の回路図である。
図10(a)〜(e)に示すタイミングチャートを参照して、カップリング回路43及びゼロクロス点検出部46について説明する。
<カップリング回路>
カップリング回路43は、コンデンサC21を備えている。カップリング回路43は、図10(a)に示すように、フライバックコンバータ41から出力される直流電圧V2は、例えば24Vのオフセット電圧にリプル電圧が重畳されており、コンデンサC21に入力する。直流電圧V2がコンデンサC21に入力すると、図10(b)に示すように、直流成分(DC24V)が除去されたリプル電圧V3のみが半波整流回路47に入力される。
【0023】
<半波整流回路>
半波整流回路47は、オペアンプOP1、ダイオードD11、D12、抵抗R21を備えている。
半波整流回路47では、リプル電圧V3がオペアンプOP1の反転入力端子(−)に入力すると、オペアンプOP1の出力端子に接続されたダイオードD12により半波整流され、図10(c)に示すように、リプル電圧V3の正側半波信号V4がシュミットトリガ回路49に出力される。
【0024】
<シュミットトリガ回路>
シュミットトリガ回路49は、トランジスタTr11、Tr12、抵抗R22〜R26を備えている。
シュミットトリガ回路49は、半波整流回路47から出力される半波信号V4が入力される入力端子がトランジスタTr11のベースに接続され、トランジスタTr11のコレクタが抵抗R22を介して正電源Vccに接続され、トランジスタTr11のコレクタが抵抗R23を介してトランジスタTr12のベースに接続され、トランジスタTr12のベースが抵抗R24を介してGNDに接地され、トランジスタTr11のエミッタとトランジスタTr12のエミッタとが共通接続されて抵抗R26を介してGNDに接地され、トランジスタTr12のコレクタが抵抗R25を介して正電源Vccに接続され、トランジスタTr12のコレクタと抵抗R25との接続点からゼロクロス点検出信号を出力する
【0025】
シュミットトリガ回路49では、まず始めに、トランジスタTr11がオフ状態、トランジスタTr12がオン状態であるとする。このとき、出力電圧はVになっている。
図10(c)に示す時刻t1において、入力電圧V4が増加する場合に、トランジスタTr11のベース・エミッタ間電圧が増加し、ベース電流が増加することで、トランジスタTr11のコレクタ電流IC11が増加する。これにより、トランジスタTr11のコレクタ電圧VC1、トランジスタTr12のベース電圧VB12が減少し、エミッタ電流Iが減少することでエミッタ電圧Vが減少する。エミッタ電圧Vの減少により、トランジスタTr11のベース・エミッタ間の電圧がさらに増加し、トランジスタTr11がオン状態になる。
一方、トランジスタTr12のベース・エミッタ間電圧は減少していくので、トランジスタTr12はオフ状態になり、図10(e)に示す時刻t1のように、出力電圧V5がVになる。
【0026】
次に、トランジスタTr11がオン状態、トランジスタTr12がオフ状態であるとする。
図10(c)に示す時刻t2において、入力電圧V4が減少する場合に、コレクタ電流IC11が減少し、VC11、ベース電圧VB12が増加する。これにより、トランジスタTR12のベース・エミッタ間電圧が増加するので、エミッタ電流Iが増加することでエミッタ電圧Vが増加する。
エミッタ電圧Vの増加により、トランジスタTr11のベース・エミッタ間電圧がさらに減少し、トランジスタTr11がオフ状態になる。
一方で、ベース電圧VB12が高くなることで、トランジスタTr12がオン状態になり、図10(e)に示す時刻t2のように、出力電圧はVになる。
【0027】
<シュミットトリガ回路のヒステリシス特性>
図10(d)を参照して、シュミットトリガ回路49の入出力特性について説明する。
入力電圧V4が増加する場合に、入力電圧V4が増加してVtbになると、トランジスタTr12の出力電圧V5がVからVに変化する。
逆に、入力電圧V4が減少する場合に、入力電圧V4が減少してVtaになったときに、トランジスタTr12の出力電圧V5がVからVに変化する。
ここで、VtaとVtbの値は異なるので、入力電圧増加時と入力電圧減少時では出力電圧V5の変化が異なることになる。このような特性をヒステリシス特性と呼ぶ。
【0028】
<ゼロクロス点の検出法>
図9は、本発明の第1実施形態に係るゼロクロス点の検出法について説明する図である。
図6に示す構成において、アクティブPFC搭載絶縁型のフライバックコンバータ41の出力電圧の波形特性からゼロクロス点を検出する。
アクティブPFC搭載絶縁型のフライバックコンバータ41は、その回路の特徴として電解コンデンサ又はフィルムコンデンサからなるC11の容量が小さいため、交流電源の周波数特徴がそのまま出力のリプル電圧として現れ、このリプル電圧を利用する。
周波数特徴として、交流電源の周波数(50、60Hz)の倍の周波数のリプル電圧が現れ、そのリプル電圧から交流カップリングして交流成分波形のみ取り出したとき、図9に示すように、位相としてリプル電圧の上から下へ交差する点で交流電源周波数と合致する。
これにより、交流電源電圧や周波数が変動してもゼロクロス点を精度よく検出できる。
【0029】
<ゼロクロス点の時間差>
図11は、本発明の第1実施形態に係るゼロクロス点検出部の交流電源電圧による時間差について説明するためのタイミングチャートである。
図11(a)には、交流電源の交流電圧波形と、電源装置10の出力リプルの波形を示している。
前述した上から下へ交差する点でゼロクロス点が合致する。この合致点の拡大波形において、時間差を観測すると、図11(b)(c)に示すように、交流電源の低電圧(83V)から高電圧(276V)に準じて時間差が大きくなり、最小差が0.25ms、最大差が0.63msとなる。この時間範囲(0.25ms〜0.63ms)においてゼロクロス点の時間差が発生する。
【0030】
<ゼロクロス点検出部の精度>
図12は、本発明の第1実施形態に係るゼロクロス点検出部の精度について説明するタイミングチャートである。
図12に示すように、交流電圧30のゼロクロス点とリプル電圧の時間差Δt2は、交流電源12の実効電圧値(83V〜276V)に応じて0.25ms〜0.63msの範囲にある。
加えて、半波整流回路47後のシュミットトリガ回路49から出力されるゼロクロス点検出信号は、本来のゼロクロス点からΔt1=0.2msだけ遅延するが、この遅延時間は交流電源12の電圧や環境温度でのばらつきが小さい。ゼロクロス点検出信号を受け付けた制御部50は、0.2msの固定値(予め発生する時間)として補正すればよい。
従来、フォトカプラを使用した場合、交流電源12の電圧や環境温度でフォトカプラを用いたゼロクロス点検出の誤差が0.08ms〜1.80msであった。
これに対して、第1実施形態によれば、ゼロクロス点の誤差を示す差分値Δt3として、0.05ms〜0.43msほどの時間だけ誤差が発生する。このため、従来の誤差と比較して、第1実施形態の方が格段に精度がよい。
【0031】
このように、フライバックコンバータ41により生成される直流電圧に含まれるリプル電圧の交流成分をカップリング回路43に通過させ、通過したリプル電圧を半波整流しておき、この半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力することで、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上する。
このように、カップリング回路43を通過したゼロレベルよりも低い負のリプル電圧のみを反転して正の半波信号として出力することで、半波整流した結果である半波信号が交流電圧と同じ周波数を有するように構成することができる。
このように、リプル電圧が交流電圧の2倍の周波数を有することで、半波整流回路47が半波整流した結果である半波信号が交流電圧と同じ周波数を有するように構成することができる。
【0032】
このように、半波整流回路47により、正の半波信号をゼロクロス点検出回路48に出力することができる。
このように、波整流回路47により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力することができる。
この結果、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することができる。
このように、シュミットトリガ回路49がヒステリシス特性を有することで、半波信号V4に含まれるノイズに起因したゼロクロス点検出信号の発振的な現象を防ぐことができる。
【0033】
<第2実施形態>
図13は、本発明の第2実施形態に係るゼロクロス点検出部の構成を示すブロック図である。なお、図13に示す符号のうち、図8に示す符号と同一のものについては同様の構成であるので、その説明を省略する。
図13に示すゼロクロス点検出部61は、半波整流回路47、カレントスイッチ回路63を備えている。
<カレントスイッチ回路>
カレントスイッチ回路63は、トランジスタTr21、Tr22、抵抗R31〜R33を備えている。
カレントスイッチ回路63は、半波整流回路47から出力された半波信号V4が入力される入力端子がトランジスタTr21のベースに接続され、トランジスタTr22のベースがGNDに接地され、トランジスタTr21のエミッタとトランジスタTr22のエミッタとが共通接続されて抵抗R31を介して負電源VBBに接続され、トランジスタTr21のコレクタが抵抗R32を介して正電源VDDに接続され、トランジスタTr22のコレクタが抵抗R33を介して正電源VDDに接続され、トランジスタTr22のコレクタと抵抗R33との接続点からゼロクロス点検出信号V5を出力する。
【0034】
カレントスイッチ回路63では、まず始めに、トランジスタTr21がオフ状態、トランジスタTr22がオン状態であるとする。このとき、出力電圧V5はVになっている。
図10(c)に示す時刻t1において、入力電圧V4が増加する場合に、トランジスタTr21のベース・エミッタ間電圧が増加し、ベース電流が増加することで、トランジスタTr21のコレクタ電流IC21が増加し、Tr21がオン状態になる。これにより、トランジスタTr21のコレクタ電圧VC21が減少し、エミッタ電圧VE21、VE22が減少する。エミッタ電圧VE22の減少により、トランジスタTr22のベース・エミッタ間の電圧がさらに減少し、トランジスタTr22がオフ状態になる。トランジスタTr22がオフ状態になると、図10(e)に示す時刻t1のように、出力電圧V5がVになる。
【0035】
次に、トランジスタTr21がオン状態、トランジスタTr22がオフ状態であるとする。このとき、出力電圧はVになっている。
図10(c)に示す時刻t2において、入力電圧V4が減少する場合に、トランジスタTr21のベース・エミッタ間電圧が減少し、ベース電流が減少することで、トランジスタTr21のコレクタ電流IC21が減少し、Tr21がオフ状態になる。これにより、トランジスタTr21のコレクタ電圧VC21が増加し、エミッタ電圧VE21、VE22が増加する。エミッタ電圧VE22の増加により、トランジスタTr22のベース・エミッタ間の電圧がさらに増加し、トランジスタTr22がオン状態になる。トランジスタTr22がオン状態になると、図10(e)に示す時刻t2のように、出力電圧V5がVになる。
【0036】
このように、波整流回路47により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力することができる。
この結果、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することができる。
【0037】
<第3実施形態>
図14は、本発明の第3実施形態に係るゼロクロス点検出部の構成を示すブロック図である。なお、図14に示す符号のうち、図8に示す符号と同一のものについては同様の構成であるので、その説明を省略する。
図14に示すゼロクロス点検出部65は、半波整流回路47、反転増幅回路67を備えている。
【0038】
<反転増幅回路>
反転増幅回路67は、オペアンプOP2、抵抗R35〜R37、ボリュームVR1を備えている。
反転増幅回路67は、半波整流回路47から出力された半波信号V4が入力される入力端子が抵抗R35を介してオペアンプOP2の反転入力端子に接続され、オペアンプOP2の反転入力端子が抵抗R36を介してオペアンプOP2の出力端子に接続され、オペアンプOP2の非反転入力端子に基準電圧Vref1が供給され、オペアンプOP2の出力端子が抵抗R37を介してGNDに接地され、オペアンプOP2の出力端子からゼロクロス点検出信号V5を出力する。
さらに、ボリュームVR1の一端が直流電源Vccに接続され、他端がGNDに接地され、電源可変端子からVref1レベルが出力される。
反転増幅回路67は、増幅率として例えば1×10程度を有し、非反転入力端子(+)に入力されるVref1レベルを基準にして、入力電圧V4がVref1未満で出力電圧V5が5Vになり、入力電圧V4がVref1以上で出力電圧V5が0Vになる。
【0039】
詳しくは、反転増幅回路67の入力電圧V4に対する出力電圧V5の関係は、
V5=−(R36/R35)V4 式(1)
となる。
ここで、反転増幅回路67に用いる抵抗R36、R35の比率(R36/R35)を1×10とし、Vref1を0.5Vとする。
反転増幅回路67では、まず始めに、時刻t20において、V5=5Vとする。
図15(a)に示す時刻t20〜t21において、例えばV4=0.05Vとすると、V4はVref1=0.5V以下になり、V5=5V(V)となる。
図15(b)に示す時刻t21〜t22において、V4が増加してVref1=0.5V以上になると、V5=0V(V)となる。
この結果、反転増幅回路67の出力電圧V5は、図10(e)と比較すると、図15(e)に示すような反転波形になる。
【0040】
このように、波整流回路47により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力することができる。
この結果、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することができる。
【0041】
<第4実施形態>
図16は、本発明の第4実施形態に係るゼロクロス点検出部の構成を示すブロック図である。なお、図16に示す符号のうち、図8に示す符号と同一のものについては同様の構成であるので、その説明を省略する。
図16に示すゼロクロス点検出部69は、半波整流回路47、パルス発生回路71を備えている。
【0042】
<パルス発生回路>
パルス発生回路71は、オペアンプOP3、コンデンサC22、抵抗R41〜R44、ボリュームVR2を備えている。
パルス発生回路71は、半波信号が入力される入力端子が抵抗R41を介してオペアンプOP3の反転入力端子に接続され、オペアンプOP3の反転入力端子がコンデンサC22を介してGNDに接地され、オペアンプOP3の反転入力端子が抵抗R42を介してオペアンプOP3の出力端子に接続され、オペアンプOP3の出力端子が抵抗R43を介してオペアンプOP3の非反転入力端子に接続され、オペアンプOP3の非反転入力端子に抵抗R44を介して基準電圧Vref3が供給され、オペアンプOP3の出力端子からゼロクロス点検出信号を出力する。
さらに、非反転入力端子(+)はR44を介してVR2の可変端子に接続されている。VR2の一端子は電源Vccに接続され、他端子はGNDに接続され、VR2の可変端子からVref3が抵抗R44を介してVref2に印加されている。オペアンプOP2は、出力端子から信号V5を出力する。
パルス発生回路71は、増幅率として例えば1×10程度を有し、非反転入力端子(+)に入力されるVref2レベルを基準にして、入力電圧V4がVref2未満で出力電圧V5が5Vになり、入力電圧V4がVref2以上で出力電圧V5が0Vになる。
【0043】
詳しくは、パルス発生回路71に用いる抵抗R41、R42の比率(R42/R41)を例えば1×10とする。
また、例えばR43=80KΩ、R44=2KΩとし、Vref3=0.5とすると、V5=5VのときVref2は0.61V、V5=0VのときVref2は0.39Vとなる。
パルス発生回路71では、まず始めに、時刻t20において、V5=5Vとし、Vref2は0.61Vとする。
図15(c)に示す時刻t20〜t21において、例えばV4=0.05Vとすると、V4はVref2=0.61V以下になり、V5=5V(V)となる。
図15(c)に示す時刻t21〜t22において、V4が増加してVref2=0.61V以上になると、V5=0V(V)となる。
この結果、反転増幅回路67の出力電圧V5は、図10(e)と比較すると、図15(b)に示すような反転波形になる。
【0044】
<パルス発生回路のヒステリシス特性>
図17は、本発明の第4実施形態に係るゼロクロス点検出部の入出力特性を示す図である。
図17を参照して、パルス発生回路71の入出力特性について説明する。
入力電圧V4が増加する場合に、入力電圧V4が増加してVtBになると、オペアンプOP3の出力電圧V5がVからVに変化する。
逆に、入力電圧V4が減少する場合に、入力電圧V4が減少してVtAになったときに、オペアンプOP3の出力電圧V5がVからVに変化する。
ここで、VtAとVtBの値は異なるので、入力電圧増加時と入力電圧減少時では出力電圧V5の変化が異なることになる。このような特性をヒステリシス特性と呼ぶ。
このように、ヒステリシス特性を有することで、半波信号V4に含まれるノイズに起因したゼロクロス点検出信号の発振的な現象を防ぐことができる。
【0045】
このように、波整流回路47により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力することができる。
この結果、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することができる。
このように、パルス発生回路71がヒステリシス特性を有することで、半波信号V4に含まれるノイズに起因したゼロクロス点検出信号の発振的な現象を防ぐことができる。
【0046】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様の電源装置10は、交流電源12から供給される交流電圧を直流電圧に変換するフライバックコンバータ41を備えた電源装置10であって、フライバックコンバータ41により生成される直流電圧に含まれるリプル電圧の交流成分を通過させるカップリング回路43と、カップリング回路43を通過したリプル電圧に基づいて、リプル電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出部46と、を備え、ゼロクロス点検出部46は、カップリング回路43を通過したリプル電圧を半波整流する半波整流回路47と、半波整流回路47により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力するゼロクロス点検出回路48と、を備えたことを特徴とする。
本態様によれば、フライバックコンバータ41により生成される直流電圧に含まれるリプル電圧の交流成分をカップリング回路43に通過させ、通過したリプル電圧を半波整流しておき、この半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力することで、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上する。
【0047】
<第2態様>
本態様の半波整流回路47は、カップリング回路43を通過したゼロレベルよりも低い負のリプル電圧のみを反転して正の半波信号としてゼロクロス点検出回路48に与えることを特徴とする。
本態様によれば、カップリング回路43を通過したゼロレベルよりも低い負のリプル電圧のみを反転して正の半波信号として出力することで、半波整流した結果である半波信号が交流電圧と同じ周波数を有するように構成することができる。
【0048】
<第3態様>
本態様のフライバックコンバータ41により生成される直流電圧に含まれるリプル電圧は、交流電圧の2倍の周波数を有することを特徴とする。
本態様によれば、リプル電圧が交流電圧の2倍の周波数を有することで、半波整流回路47が半波整流した結果である半波信号が交流電圧と同じ周波数を有するように構成することができる。
【0049】
<第4態様>
本態様の半波整流回路47は、カップリング回路43を通過したゼロレベルよりも低い負のリプル電圧を入力する入力端子がオペアンプOP1の反転入力端子に接続され、オペアンプOP1の非反転入力端子がGNDに接地され、オペアンプOP1の反転入力端子がダイオードD11のアノードに接続され、ダイオードD11のカソードがオペアンプOP1の出力端子に接続され、オペアンプOP1の非反転入力端子が抵抗R21の一端に接続され、オペアンプOP1の出力端子がダイオードD12のアノードに接続され、抵抗R21の他端とダイオードD12のカソードとが接続され、当該接続点から正の半波信号をゼロクロス点検出回路48に出力することを特徴とする。
本態様によれば、半波整流回路47により、正の半波信号をゼロクロス点検出回路48に出力することができる。
【0050】
<第5態様>
本態様のゼロクロス点検出回路48は、半波信号が入力される入力端子がトランジスタTr11のベースに接続され、トランジスタTr11のコレクタが抵抗R22を介して正電源Vccに接続され、トランジスタTr11のコレクタが抵抗R23を介してトランジスタTr12のベースに接続され、トランジスタTr12のベースが抵抗R24を介してGNDに接地され、トランジスタTr11のエミッタとトランジスタTr12のエミッタとが共通接続されて抵抗R26を介してGNDに接地され、トランジスタTr12のコレクタが抵抗R25を介して正電源Vccに接続され、トランジスタTr12のコレクタと抵抗R25との接続点からゼロクロス点検出信号を出力するシュミットトリガ回路49により構成されることを特徴とする。
本態様によれば、波整流回路47により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力することができる。
この結果、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することができる。
【0051】
<第6態様>
本態様のシュミットトリガ回路49は、入力される半波信号の変化に対して出力状態がヒステリシスを持って変化することを特徴とする。
本態様によれば、シュミットトリガ回路49がヒステリシス特性を有することで、半波信号V4に含まれるノイズに起因したゼロクロス点検出信号の発振的な現象を防ぐことができる。
【0052】
<第7態様>
本態様のゼロクロス点検出回路48は、半波信号が入力される入力端子がトランジスタTr21のベースに接続され、トランジスタTr22のベースがGNDに接地され、トランジスタTr21のエミッタとトランジスタTr22のエミッタとが共通接続されて抵抗R31を介して負電源VBBに接続され、トランジスタTr21のコレクタが抵抗R32を介して正電源VDDに接続され、トランジスタTr22のコレクタが抵抗R33を介して正電源VDDに接続され、トランジスタTr22のコレクタと抵抗R33との接続点からゼロクロス点検出信号を出力するカレントスイッチ回路63により構成されることを特徴とする。
本態様によれば、波整流回路47により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力することができる。
この結果、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することができる。
【0053】
<第8態様>
本態様のゼロクロス点検出回路48は、半波信号が入力される入力端子が抵抗R35を介してオペアンプOP2の反転入力端子に接続され、オペアンプOP2の反転入力端子が抵抗R36を介してオペアンプOP2の出力端子に接続され、オペアンプOP2の非反転入力端子に基準電圧Vref1が供給され、オペアンプOP2の出力端子が抵抗R37を介してGNDに接地され、オペアンプOP2の出力端子からゼロクロス点検出信号を出力する反転増幅回路67により構成されることを特徴とする。
本態様によれば、波整流回路47により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力することができる。
この結果、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することができる。
【0054】
<第9態様>
本態様のゼロクロス点検出回路48は、半波信号が入力される入力端子が抵抗R41を介してオペアンプOP3の反転入力端子に接続され、オペアンプOP3の反転入力端子がコンデンサC22を介してGNDに接地され、オペアンプOP3の反転入力端子が抵抗R42を介してオペアンプOP3の出力端子に接続され、オペアンプOP3の出力端子が抵抗R43を介してオペアンプOP3の非反転入力端子に接続され、オペアンプOP3の非反転入力端子に抵抗R44を介して基準電圧Vref3が供給され、オペアンプOP3の出力端子からゼロクロス点検出信号を出力するパルス発生回路71により構成されることを特徴とする。
本態様によれば、波整流回路47により生成された半波信号に基づいてゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点検出信号を出力することができる。
この結果、交流電源から供給される交流電圧に対して、ゼロクロス点を検出する際の精度を向上することができる。
【0055】
<第10態様>
本態様のパルス発生回路71は、入力される半波信号の変化に対して出力状態がヒステリシスを持って変化することを特徴とする。
本態様によれば、パルス発生回路71がヒステリシス特性を有することで、半波信号V4に含まれるノイズに起因したゼロクロス点検出信号の発振的な現象を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0056】
10…電源装置、12…交流電源、C21…コンデンサ、41…フライバックコンバータ、43…カップリング回路、46…ゼロクロス点検出部、47…波整流回路、47…半波整流回路、48…ゼロクロス点検出回路、49…シュミットトリガ回路、63…カレントスイッチ回路、67…反転増幅回路、71…パルス発生回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開平06‐110141号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図11
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図13
図14
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