特許第6973021号(P6973021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973021
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   G01R15/20 C
   G01R15/20 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-241949(P2017-241949)
(22)【出願日】2017年12月18日
(65)【公開番号】特開2019-109126(P2019-109126A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2020年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健
(72)【発明者】
【氏名】秋元 克弥
(72)【発明者】
【氏名】二口 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】駒野 晴保
(72)【発明者】
【氏名】梅津 潤
(72)【発明者】
【氏名】冨田 雄二朗
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−194472(JP,A)
【文献】 特開2017−026317(JP,A)
【文献】 特開2003−215171(JP,A)
【文献】 特開2017−187301(JP,A)
【文献】 特開2016−099292(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/030129(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成されると共に、その板幅方向に離間して整列配置されており、三相交流における各相の電流が流れる3本のバスバと、
前記3本のバスバを、前記板幅方向と垂直な厚さ方向に一括して挟み込むように配置されている磁性材料からなる第1シールド板及び第2シールド板と、
前記各バスバと前記第1シールド板との間にそれぞれ配置され、対応する前記バスバを流れる電流により発生する磁界の強度を検出する3つの磁気検出素子と、
前記各磁気検出素子と前記第1シールド板との間に配置されると共に、前記第2シールド板との間で前記3本のバスバを一括して挟み込むように配置されており、非磁性の導電材料からなる複数の導電板と、を備え、
前記複数の導電板が厚さ方向に離間して配置されており、かつ互いに電気的に絶縁されている、
電流センサ。
【請求項2】
3枚以上の前記導電板を備える、
請求項に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記導電板が、基板に形成された導体パターンからなる、
請求項1または2に記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電流センサとして、測定対象となる電流により発生する磁界の強度を検出する磁気検出素子を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。磁気検出素子により磁界の強度を検出することで、その磁界の強度を基に、電流を演算により求めることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−14477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インバータとモータ間では三相交流が伝送される。PWM(Pulse Width Modulation)制御を行うインバータでは、各相にパルス状の電流が出力される。よって、例えばPWM制御を行うインバータとモータ間で伝送される三相交流の各相の電流を測定する電流センサにおいては、電流に対する応答性、すなわちパルス応答性が良好であることが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、パルス応答性が良好な電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、板状に形成されると共に、その板幅方向に離間して整列配置されており、三相交流における各相の電流が流れる3本のバスバと、前記3本のバスバを、前記板幅方向と垂直な厚さ方向に一括して挟み込むように配置されている磁性材料からなる第1シールド板及び第2シールド板と、前記各バスバと前記第1シールド板との間にそれぞれ配置され、対応する前記バスバを流れる電流により発生する磁界の強度を検出する3つの磁気検出素子と、前記各磁気検出素子と前記第1シールド板との間に配置されると共に、前記第2シールド板との間で前記3本のバスバを一括して挟み込むように配置されており、非磁性の導電材料からなる導電板と、を備えた、電流センサを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パルス応答性が良好な電流センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る電流センサを示す図であり、(a)は第2シールド板を透視した斜視図、(b)はそのA−A線断面図である。
図2】本発明の実施例及び従来例におけるパルス応答特性を示すグラフ図である。
図3】(a)は本発明の比較対象となる比較例の電流センサの断面図であり、(b)は、本発明の実施例、従来例、及び比較例におけるパルス応答特性を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る電流センサを示す図であり、(a)は第2シールド板を透視した斜視図、(b)はそのA−A線断面図である。
【0011】
電流センサ1は、3本のバスバ2と、第1シールド板3と、第2シールド板4と、3つの磁気検出素子5と、導電板6と、を備えている。
【0012】
バスバ2は、銅やアルミニウム等の電気良導体からなる板状の導体であり、電流を流す電流路となるものである。バスバ2は、例えば電気自動車やハイブリッド車におけるモータとインバータ間の電源ラインとして用いられるものである。本実施の形態では、三相交流に対応した3本のバスバ2a〜2cを用いる場合を説明する。3本のバスバ2a〜2cは、その板幅方向に離間して整列配置されている。
【0013】
以下、図1(b)の左右方向を幅方向、上下方向を厚さ方向、紙面方向を長さ方向という。電流センサ1では、幅方向の一方から他方にかけて(図1(b)の右側から左側にかけて)、バスバ2a,バスバ2b、バスバ2cが順次配置されている。各バスバ2a〜2cには、三相交流における各相の電流が流れている。本実施の形態では、バスバ2aにはU相、バスバ2bにはV相、バスバ2cにはW相の電流が流れている。バスバ2a〜2cの厚さは、3mmとした。
【0014】
各バスバ2a〜2cには、それぞれ2つの切欠き21が形成されている。2つの切欠き21は、各バスバ2a〜2cの幅方向における両側方へとそれぞれ開口するように形成されると共に、長さ方向における略同じ位置で幅方向に対向するように形成されている。各バスバ2a〜2cに2つの切欠き21を形成することにより、バスバ2a〜2cの長手方向の一部が幅狭となった狭幅部22が形成されている。本実施の形態では、この狭幅部22と厚さ方向に対向するように、磁気検出素子5が配置される。
【0015】
狭幅部22は、高周波における表皮効果の影響を抑制する役割を果たし、検出精度の向上に寄与する。より詳細には、バスバ2に高周波の電流が流れると、表皮効果により電流分布がバスバ2の表面に偏る。周波数によって表皮厚さが異なり、バスバ2内部の電流分布が変わるため、磁気検出素子5の位置における磁束密度が変化してしまう。バスバ2の幅方向における中央部と対向するように磁気検出素子5を配置する場合、磁気検出素子5側から見て、バスバ2の通電面の断面形状のアスペクト比が小さい方が電流分布の広がり(すなわち電流分布の周波数依存性)が小さくなり、表皮効果の影響が小さくなると考えられる。
【0016】
磁気検出素子5は、各バスバ2a〜2cと第1シールド板3との間にそれぞれ配置され、対応するバスバ2a〜2cを流れる電流により発生する磁界の強度を検出するものである。磁気検出素子5としては、例えば、ホール素子やGMR(Giant Magneto Resistive effect)素子、AMR(Anisotropic Magneto Resistive)素子、TMR(Tunneling Magneto Resistive)素子等を用いることができる。
【0017】
磁気検出素子5は、検出軸に沿った方向の磁界の強度(磁束密度)に応じた電圧の出力信号を出力するように構成されている。本実施の形態では、各磁気検出素子5は、検出軸がバスバ2の幅方向(図1(b)の左右方向)と一致するように配置されている。
【0018】
第1シールド板3及び第2シールド板4は、外部からの磁界が磁気検出素子5の検出結果に影響を及ぼさないように、外部からの磁界を遮蔽するためのものである。第1シールド板3及び第2シールド板4は、磁性材料からなる。第1シールド板3及び第2シールド板4は、幅方向に対向する2つの辺と、長さ方向に対向する2つの辺とを有する矩形の板状に形成されている。
【0019】
第1シールド板3及び第2シールド板4は、3本のバスバ2a〜2cを厚さ方向に一括して挟み込むようにバスバ2と離間して配置されている。また、第1シールド板3及び第2シールド板4は、その表面がバスバ2の表面に対して平行となるように(第1シールド板3及び第2シールド板4の厚さ方向とバスバ2の厚さ方向とが一致するように)配置されている。
【0020】
この電流センサ1では、第1シールド板3及び第2シールド板4の磁気検出素子5からの距離(厚さ方向に沿った距離)が略等しくなっている。つまり、電流センサ1では、第1シールド板3と第2シールド板4間の略中間の位置(第1シールド板3及び第2シールド板4との距離が略等しくなる位置)に、磁気検出素子5が配置されている。
【0021】
導電板6は、自身に生じる渦電流の影響により、磁気検出素子5で検出される磁界の強度の周波数特性を変化させ、それによりパルス応答性の改善を図るためのものである。導電板6は、銅やアルミニウム等の非磁性の導電材料からなる。導電板6は、幅方向に対向する2つの辺と、長さ方向に対向する2つの辺とを有する矩形の板状に形成されている。また、導電板6は、その表面がバスバ2の表面に対して平行となるように配置されている。
【0022】
なお、導電板6として磁性材料を用いた場合には、導電板6がシールドとして機能することになり、シールド板3,4を含めたシールド構造の再設計が必要になる。導電板6として非磁性材料を用いることで、シールド構造を既存のものから変更することなく、導電板6を追加するのみで、パルス応答性の改善を図ることが可能になる。
【0023】
導電板6は、各磁気検出素子5と第1シールド板3との間に配置されている。また、導電板6は、第2シールド板4との間で3本のバスバ2を一括して挟み込むように配置されている。導電板6の幅方向における両端部は、バスバ2a,2cの幅方向における外側の端部と一致しているか、あるいはそれよりも外側に突出するようにされる。導電板6の幅方向における端部が、バスバ2aまたは2cの幅方向外側の端部よりも内側に位置していると、導電板6に生じる渦電流の分布が変化してしまい、十分なパルス応答性が得られない場合がある。
【0024】
導電板6は1枚でも効果が得られるが、複数の導電板6を用いることで、パルス応答性をより向上することができる。本実施の形態では、3枚(3層)の導電板6を用いる場合を示している。複数の導電板6を用いる場合、各導電板6を厚さ方向に離間して配置し、かつ互いに電気的に絶縁するとよい。例えば、各導電板6の間にフィルム状あるいは板状の絶縁体を配置してもよいし、各導電板6を空気層を介して離間して配置してもよい。
【0025】
本実施の形態では、導電板6として、厚さ0.1mmの銅板を用いた。ただし、導電板6は、これに限定されず、例えば、基板に形成された導体パターンであってもよい。磁気検出素子5を搭載する基板(不図示)として多層基板を用い、この多層基板の1つ以上の層に形成された導体パターンを導電板6として用いることもできる。これにより、組立が容易となり、部品点数の削減、及び低コスト化に寄与する。
【0026】
図示していないが、両シールド板3,4の間には、モールド樹脂が充填され、両シールド板3,4、バスバ2、磁気検出素子5、及び導電板6が、モールド樹脂により一体に構成されている。モールド樹脂は、両シールド板3,4、バスバ2、磁気検出素子5、及び導電板6の位置関係を一定に保ち振動等による検出誤差を抑制する役割と、シールド板3,4間に異物が侵入することによる検出誤差を抑制する役割とを兼ねている。
【0027】
(シミュレーション結果の説明)
幅方向における中央に配置されたバスバ2bにパルス状の電流を流した際に、幅方向中央に配置された磁気検出素子5で検出される磁界の強度(磁束密度)の波形をシミュレーションにより求めた。なお、ここでは、各バスバ2の厚さを3mm、各バスバ2の幅を15mm、隣り合うバスバの間隔を5.5mmとした。また、シールド板3,4の厚さを1mm、シールド板3,4の幅を76mm、両シールド3,4の間隔を10mmとした。バスバ2と第2シールド板4との距離は1mmとした。また、導電板6は厚さ0.1mmの銅板とした。
【0028】
銅板からなる導電板6を1層用い、バスバ2と導電板6との距離dを3.5mmとした実施例1、銅板からなる導電板6を1層用い距離dを2.0mmとした実施例2、銅板からなる導電板6を2層とし距離dを3.5mmとした実施例3、銅板からなる導電板6を3層とし距離dを3.5mmとした実施例4、及び、導電板6を省略した従来例について、それぞれ同様にシミュレーションを行った。結果をまとめて図2に示す。図2では、立ち上がり時間が0.01msecのパルス状電流波形を示し、縦軸は最大値で規格化している。また、この電流波形に対する、磁気検出素子5の位置における磁束密度の時間変化を同図に併記している。磁束密度においては、0.05msec時の値を基準に規格化して示している。また、導電板6を複数層とする場合、距離dは、最もバスバ2に近い導電板6とバスバ2との距離とした。
【0029】
図2に示すように、導電板6を有さない従来例では、太線実線で示される電流の波形に対して十分に追従しておらず、反応が遅れている。この従来例と比較して、1層の導電板6を用いた実施例1,2では、多少のオーバーシュートが発生するものの、電流への追従性が良好となっており、パルス応答性が改善されている。また、この実施例1,2と比較して、導電板6を2層とした実施例3のパルス応答性が良好となっている。さらに、この実施例3よりも、導電板6を3層とした実施例4のパルス応答性が良好となっている。
【0030】
図2の結果から、導電板6を多層とするとパルス応答性が改善するといえる。ただし、導電板6を3層とした実施例4においてほぼ電流の挙動に追従していることから、4層以上としてもパルス応答性改善の効果は小さくなると考えられる。よって、パルス応答性改善の観点からは、導電板6は3層(3枚)以上とするのが望ましく、さらにコスト低減を考慮すると、導電板6は3層(3枚)とするのがより望ましいといえる。
【0031】
また、実施例1と実施例2との比較より、導電板6の位置(距離d)を変化させることによっても、パルス応答性を改善できることがわかる。導電板6の位置については、シールド板3,4の材質や板厚、バスバ2の材質や板厚、シールド板3,4とバスバ2との位置関係等により、パルス応答性が良好となる位置が変わる。よって、他部材の材質や位置関係等を考慮し、適宜な位置に導電板6の位置を決定するとよい。なお、ここでは言及しなかったが、導電板6の板厚を変えることでも、パルス応答性の改善が可能と考えられる。
【0032】
より詳細には、渦電流の大きさは、導電板6の導電率が高い程大きい。そのため、導電板6の材質によって渦電流の大きさは異なる。したがって、導電率によって、導電板6の適切な位置(距離d)が異なる。また、導電率が高い程表皮厚さが小さくなるため、導電板6内に生じる渦電流は、導電板6の表面(厚さ方向における上下の面)、かつ、エッジに偏ろうとする。そのため、導電板6における渦電流の分布は、導電板の外形形状にも依存したものとなる。このことから、導電板6の付与においては、導電板6の導電率を考慮した上で、導電板6の設置位置、厚さ、形状の適正化が重要となる。例えば、導電板6の厚さに着目すると、厚さが小さい(薄い)場合に比べて、厚さが大きい(厚い)場合には、低周波において磁束が通る体積が大きくなるため、低周波での渦電流による効果が大きいと考えられ、電流波形がフラットな部分(例えば図2における0.01ms以降の部分)における追従性の向上に寄与する。導電板6を多層にすることで、低周波では厚さを大きくした場合と同様の効果(すなわち体積が増えることによる効果)が得られる。さらに、導電板6を多層にすることで、高周波成分に対しては、表皮厚相当の渦電流発生箇所が増え、その効果(渦電流による影響の大きさ)を高めることができ、電流波形の立ち上がり部分における追従性の向上に寄与する。
【0033】
次に、図3(a)に示すように、図1の電流センサ1において、導電板6を3分割して、バスバ2毎に個別に導電板6を設けた比較例の電流センサ10について、同様にシミュレーションを行った。結果を図3(b)に示す。なお、図3(b)では、参考のため、図2における実施例4と従来例もあわせて示している。
【0034】
図3(b)に示すように、比較例の電流センサ10では、従来例よりもパルス応答性が向上しているものの、本発明の実施例4と比較するとパルス応答性が劣っていることが確認された。これは、導電板6を分割することにより、渦電流の電流分布(特に表皮効果の影響を受けやすい高周波成分の分布)が変化してしまい、その結果周波数特性が劣化して、パルス応答性が劣化したためと考えられる。このように、各バスバ2に共通の導電板6を用いることで、バスバ2毎に個別に導電板6を設けた場合と比較して、パルス応答性が改善する。
【0035】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように本実施の形態に係る電流センサ1では各磁気検出素子5と第1シールド板3との間に配置されると共に、第2シールド板4との間で3本のバスバ2を一括して挟み込むように配置されており、非磁性の導電材料からなる導電板6を備えている。
【0036】
磁気検出素子5によって検知される磁界は、バスバ2を通過電流により生じる磁界だけではなく、シールド板3,4中の渦電流により生じる磁界や、バスバ2中の渦電流による磁界が含まれる。そのため、磁気検出素子5によって検知される磁界の強度の周波数特性(周波数依存性)には、バスバ2を流れる電流の表皮効果による影響のほか、渦電流による影響があると考えられる。
【0037】
導電板6を備えることで、導電板6中の渦電流による磁界を発生させ、この発生させる磁界を適宜調整することによって、磁気検出素子5を設けた位置における他部材で生じた渦電流による磁界の影響を抑制し、周波数依存性(特に高周波における感度の劣化)を抑制することが可能になる。その結果、パルス応答性を改善することが可能になる。
【0038】
また、各バスバ2に共通の導電板6を備えることで、バスバ2毎に個別に導電板6を設ける場合と比較して、パルス応答性を改善することが可能になり、検出精度の高い電流センサ1を実現できる。本発明の電流センサ1を用いることで、インバータ出力波形を精度よくモニタすることが可能になる。
【0039】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0040】
[1]板状に形成されると共に、その板幅方向に離間して整列配置されており、三相交流における各相の電流が流れる3本のバスバ(2)と、前記3本のバスバ(2)を、前記板幅方向と垂直な厚さ方向に一括して挟み込むように配置されている磁性材料からなる第1シールド板(3)及び第2シールド板(4)と、前記各バスバ(2)と前記第1シールド板(3)との間にそれぞれ配置され、対応する前記バスバ(2)を流れる電流により発生する磁界の強度を検出する3つの磁気検出素子(5)と、前記各磁気検出素子(5)と前記第1シールド板(3)との間に配置されると共に、前記第2シールド板(4)との間で前記3本のバスバ(2)を一括して挟み込むように配置されており、非磁性の導電材料からなる導電板(6)と、を備えた、電流センサ(1)。
【0041】
[2]複数の前記導電板(6)を備え、複数の前記導電板(6)が厚さ方向に離間して配置されており、かつ互いに電気的に絶縁されている、[1]に記載の電流センサ(1)。
【0042】
[3]3枚以上の前記導電板(6)を備える、[2]に記載の電流センサ。
【0043】
[4]前記導電板(6)が、基板に形成された導体パターンからなる、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の電流センサ(1)。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…電流センサ
2…バスバ
3…第1シールド板
4…第2シールド板
5…磁気検出素子
6…導電板
図1
図2
図3