(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
端末装置からの画像形成指示に基づき記録媒体に画像を形成する画像形成実行部と、前記画像形成指示を発した端末装置の位置に画像が形成された前記記録媒体を配達する記録媒体配達部と、を含む画像処理装置において実行させる画像処理プログラムであって、
端末装置からの画像形成指示を受け付けて記憶する画像形成指示記憶ステップと、
記憶された前記画像形成指示のうち、優先順位が最も高い画像形成指示を選択する画像形成指示選択ステップと、
選択された前記画像形成指示に含まれるユーザー情報に基づいて前記端末装置の位置情報を外部装置から取得するユーザー位置情報取得ステップと、
前記端末装置が移動中か停止中かに応じて画像形成の実行開始を判断する画像形成判断ステップと、
前記画像形成判断ステップにおいて実行開始の判断がされた前記画像形成指示に基づき前記画像形成実行部に記録媒体への画像形成を実行させる画像形成実行ステップと、
前記記録媒体配達部において画像が形成された前記記録媒体を前記端末装置の位置に配達させる記録媒体配達ステップと、を含み、
前記画像形成判断ステップにおいて、
取得された前記端末装置の位置情報に基づき、当該端末装置が移動中か停止中かを判断する移動状態判断ステップと、
前記端末装置が停止中と判断されたとき、前記端末装置の位置が前記記録媒体の配達先であるか否かを判断するステップと、
停止中の前記端末装置の位置が前記配達先とは異なると判断されたときは前記画像形成の優先順位を低くして、前記端末装置の位置が前記配達先の位置と判断されるまで当該画像形成が実行されない状態にする優先順位変更ステップと、
を含み、
前記画像形成実行ステップにおいて、停止中の前記端末装置の位置が前記配達先と判断されたときに、前記画像形成指示に基づいて画像形成を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび画像処理システムの実施形態について説明する。本発明に係る画像処理装置は、「配達指示付きの画像形成指示」を受け付けたときに、当該指示をしたユーザーに対して、当該指示に係る画像形成が実行された記録媒体を配達する機能を備える。本発明に係る画像処理装置は、画像形成指示をしたユーザーの位置情報に基づいて、ユーザーが移動中か否かの判断をし、その判断結果に応じて画像形成の実行時期を制御する。より詳しくは、ユーザーが移動中の場合は画像形成の実行の優先度を下げて後回しにしつつ、他の画像形成を優先して実行し、ユーザーが止まっている場合はその提示場所が配達指定場所であれば画像形成を開始する。これによって、画像形成の指示をしたユーザーが移動しても、当該ユーザーに確実に印刷物を配達することができ、情報漏えいも防止できる。
【0010】
[システムの全体構成]
図1は、本発明の実施形態である画像処理システム1の利用シーンを説明するための図である。
図1に示すように、画像処理システム1は、本発明に係る画像処理装置の実施形態である画像形成装置500を備える。その他に、端末装置の実施形態であるモバイル端末300と、屋内位置情報システム400と、通信回線600と、を含んで構成される。画像形成装置500は、本体部100と配達部200から構成される。
【0011】
本体部100は、端末装置であるモバイル端末300から通信回線600を介して画像形成指示を受信し、画像形成指示に含まれるデータを解釈して形成すべき画像の画像データを生成し、その画像を紙等の記録媒体に形成して出力する機能を備える。この画像形成処理は、例えば印刷により行うことができる。
【0012】
配達部200は、記録媒体配達部に相当する自律走行が可能な移動装置である。配達指示付きの画像形成指示を処理した本体部100は、配達部200に対して配達指示をする。配達部200は、本体部100からの配達指示により本体部100から分離し、自律走行して、画像が形成された記録媒体を配達先に配達する。配達部200は、記録媒体を配達指示に基づく配達をした後、自律走行して再び本体部100の設置場所へ戻り、本体部100と接続して、次の配達指示に備える。また、配達部200は、本体部100で画像が形成された記録媒体に対し、ステープル処理やパンチ穴あけ処理等の後処理を行うフィニッシャとしての機能も備える。すなわち、本実施形態における配達部200は自走型のフィニッシャである。
【0013】
モバイル端末300は、スマートフォン、ノートPC(パーソナルコンピュータ)、タブレットコンピュータなど、ユーザーが持ち運び可能な端末装置である。モバイル端末300は、少なくとも、無線通信を行う機能と、画像形成装置500に対して画像形成を指示する機能、および画像形成装置500に対してユーザー位置情報を通知する機能を備える。
【0014】
屋内位置情報システム400は、モバイル端末300の位置を示すユーザー位置情報や、配達部200の位置を示す配達部位置情報を収集して管理する機能を備える。また、屋内位置情報システム400は、本体部100からの問い合わせに対してユーザー位置情報や配達部位置情報を本体部100に通知する機能を備える。
【0015】
通信回線600は、有線、無線を問わず、任意の規格のものを用いることができる。インターネットでも、LAN(ローカルエリアネットワーク)でも、ピアツーピアでも、これらを併用しても構わない。ただし、モバイル端末300は、容易に場所を移動しながら通信回線600を介して画像形成装置500と通信可能である。
【0016】
本体部100と配達部200は機械的及び電気的に接続および離脱可能な構成を備える。配達部200がホームポジションに戻って本体部100と接続している状態では、配達部200に搭載しているバッテリを本体部100から充電することや、信号を直接やり取りすることができるようになっている。
【0017】
図1では、1台の本体部100に3台の配達部200を直列に接続した画像形成装置500が例示されている。配達部200はそれぞれ異なるエリアに同時に移動することができ、配達先の異なる複数の画像形成要求を手分けして処理することができる。なお、画像形成装置500は、少なくとも1つの配達部200を備えていればよい。画像形成装置500の詳細については、後述する。
【0018】
[ハードウェア構成:本体部100]
次に、本体部100のハードウェア構成について
図2を用いて説明する。本実施形態に係る画像形成装置500は、MFP(Multi Function Peripheral)である。したがって、本体部100は、コントローラ10、操作パネル110、スキャナ部120、プリンタエンジン130、及び接続部140を備えている。
【0019】
コントローラ10は、予め設定されている制御モード及びモバイル端末300からの制御コードに従って、モバイル端末300から送られる画像形成ジョブに含まれる形成すべき画像のデータをビデオデータに変換してプリンタエンジン130へ出力する制御部である。このコントローラ10が、配達部200を制御する制御手段としての機能も果たす。
【0020】
コントローラ10は、次の各部から構成されている。ネットワークI/F101は、通信回線600を介してモバイル端末300外部装置と通信するためのインタフェース(I/Fと略称される)である。そして、モバイル端末300からの画像形成指示の制御信号及び画像形成ジョブ等の受信、モバイル端末300へのステータス信号等の送信を行う。
【0021】
CPU102は、プログラムROM103に格納された画像処理プログラムを実行することにより、モバイル端末300から受信する制御信号及びデータ等を処理するほか、
図5等を用いて説明するものをはじめとする各種の機能を実現する。
【0022】
プログラムROM103は、CPU102が実行する各種のプログラムを格納した読出し専用のメモリである。
【0023】
フォントROM104は、CPU102が印刷データを実際の印字パターンに変換する際に使用する種々の種類のフォントデータを格納している。
【0024】
RAM105は読み書き可能な揮発性メモリであり、CPU102が処理を実行する際のワークメモリや、バッファメモリ、ビットマップメモリ等として使用される。
【0025】
HDD106は、配達部200に供給する移動経路を作成する際に参照する地図データをはじめとする、電源を切った後も保持しておく必要があるデータを保持する不揮発性の大容量記憶手段である。
【0026】
パネルI/F111は、操作パネル110をCPU102から制御可能とするためのインタフェースである。
【0027】
操作パネル110は、画像形成装置500の状態や設定情報等を表示する液晶表示パネル等の表示部と、各種の選択及び指示をユーザーが入力するためのキーやスイッチを有する操作部とを備える。表示部の表示画面上に透明なタッチパネルを重ねて配置して、画面上でタッチ操作できるものも含む。
【0028】
スキャナI/F121は、原稿の画像を読み取るスキャナ部120をCPU102から制御可能とするためのインタフェースである。スキャナ部120には、一般に原稿を自動的に給送する原稿自動給送装置(ADF)を備えている。スキャナ部120はスキャナ機能、コピー機能、FAX送信機能などで使用される。
【0029】
エンジンI/F108は、プリンタエンジン130をCPU102から制御可能とするためのインタフェースである。プリンタエンジン130は、この実施形態では電子写真方式の画像形成部を構成する各機構部及びそれを駆動する駆動回路や駆動源、各種のセンサ等を備える。そして、このプリンタエンジン130は、コントローラ10から送られるビデオ信号及び制御信号によって、感光体上に静電潜像を作成してトナーで現像し、給紙部から記録媒体である記録紙を給紙してそのトナー画像を転写して定着させ、印刷物として出力する。
【0030】
また、
図2に示したように本体部100に配達部200が接続されている場合には、このプリンタエンジン130で画像が形成された記録媒体(印刷物)は接続部140を通して、配達部200の排紙機構部214へ送り込むこともできる。なお、この本体部100は商用電源から交流を受電するが、電源回路で直流する。この直流化した電力は接続部140を通して配達部200へ送られて、そこに搭載されている駆動用バッテリ219を充電することもできる。
【0031】
無線通信部109は、配達部200と無線通信を行うための通信インタフェースであり、機外に立てたアンテナ109aと配達部200のアンテナ206aとの間で電波を送受して、短距離無線通信を行う。
【0032】
[ハードウェア構成:配達部200]
次に、配達部200のハードウェア構成について
図3を用いて説明する。配達部200は、コントローラ20と、位置認識用センサ217と、障害物センサ218と、排紙機構部214と、駆動モータ215と、作業アーム216と、駆動用バッテリ219と、を備えている。
【0033】
コントローラ20は、配達部200の全体を制御する制御部であり、CPU201と、そのプログラム及び固定データを格納したROM202及び一時的なデータを記憶するRAM203によって、マイクロコンピュータを構成している。CPU201は、ROM202に格納された所要のプログラムを実行することにより、
図5等を用いて説明するものをはじめとする種々の機能を実現する。
【0034】
このコントローラ20にはさらに、記憶装置204、接続部I/F205、無線通信部206、位置認識用センサI/F207、障害物センサI/F208、排紙機構部制御部209、駆動モータ制御部210、作業アーム制御部211を備えている。
【0035】
記憶装置204は、プログラムや移動経路情報、モバイル端末300の位置データ等を格納するための不揮発性メモリである。
【0036】
接続部I/F205は、本体部100の接続部140との接続用インタフェース回路である。
【0037】
無線通信部206は、本体部100と無線通信を行うための通信インタフェースであり、機外に立てたアンテナ206aと本体部100のアンテナ109aとの間で電波を送受して前述した短距離無線通信を行う。
【0038】
位置認識用センサI/F207は、位置認識用センサ217を動作させて、その検知信号を受け取るためのインタフェース回路である。
【0039】
障害物センサI/F208は、障害物センサ218を動作させて、その検知信号を受け取るためのインタフェース回路である。
【0040】
位置認識用センサ217は、オフィスの天井等に設けられた位置認識用マーカ(ランドマークともいう)を検出して、配達部200の正確な移動位置及び移動姿勢を検知するためのセンサである。さらに、この位置認識用センサ217は、本体部100に設けたランドマークを検出して、配達部200がホームポジションを検知するのにも用いられる。
【0041】
配達部200は自律走行中、常時、位置認識用センサ217によって、オフィスの天井などに2ケ所以上設けられたランドマークを検出している。そして、コントローラ20のCPU201が、その固定された二点以上のランドマークを基準点とする三角測量方式の演算を行って、正確な移動位置を認識する。
【0042】
障害物センサ218は、配達部200の走行経路に障害物があった場合に、その障害物を検出するためのセンサである。
【0043】
排紙機構部制御部209は、排紙機構部214を制御して、本体部100から送り込まれる印刷物を単にスタックして保持したり、ソート、反転、ステープル留めなどの後処理をして保持したりさせる。排紙機構部制御部209は、配達先において、後処理が終了した記録媒体を排出するように、排紙機構部214の動作を制御する。
【0044】
駆動モータ制御部210は、駆動車輪を駆動する駆動モータ215を制御して、駆動車輪の回転/停止、回転時の回転方向及び回転速度を制御する。
【0045】
この配達部200は駆動用バッテリ219を動作電源とする。駆動用バッテリ219から供給される電力によって駆動モータ215が駆動車輪を駆動し、自律走行が可能になる。また、自律走行ロボットのように、2脚以上の足による歩行形態の移動手段を設けてもよい。駆動用バッテリ219は、排紙機構部214、駆動モータ215および作業アーム216に駆動用電力を供給するとともに、コントローラ20に所定の直流電圧を供給する。画像形成装置500は、配達部200が本体部100の接続部140を介して接続状態にある場合、その接続部140を通して駆動用バッテリ219を充電する。
【0046】
作業アーム制御部211は、配達部200の外部に設けた作業アーム216を駆動制御する。作業アーム216を設ければ、配達先で配達装置排紙部に排紙させた印刷物を、その作業アーム216で掴んで、ユーザーに手渡すかユーザーのデスク上に置いたりすることができる。また、走行中に障害物を検出した場合には、それが比較的小さければこの作業アーム216で排除することも可能である。
【0047】
そして、コントローラ20は、無線通信部206を介して、本体部100から配達指示と共に移動経路情報を受け取ると、その移動経路情報を記憶装置204に格納し、駆動モータ215を駆動して、この配達部200を移動経路情報に基づいて移動させる。この時、位置認識用センサ217による検知信号によって移動位置等を確認し、走行経路からずれていれば修正する。また、障害物センサ218によって障害物を検出すると、その障害物を迂回するよう走行する。
【0048】
配達部200が配達先に到着すると、排紙機構部制御部209が排紙機構部214に対して、保持していた記録媒体の排出を指示し、排紙機構部214は指示に基づいて記録媒体を排出する。その後、作業アーム制御部211が作業アーム216を制御して、排出された記録媒体をユーザーに渡すことも可能である。ユーザーが記録媒体を受けとると、駆動モータ制御部210が駆動車輪の駆動モータ215を、配達部200が移動経路を逆に移動するように制御して、本体部100の設置位置のホームポジションまで戻し、本体部100に接続させる。ユーザーが記録媒体を受け取った時点で、本体部100に対し、ホームポジションに戻るための移動経路情報を要求してもよい。
【0049】
[ハードウェア構成:モバイル端末300]
次に、モバイル端末300のハードウェア構成について
図4を用いて説明する。モバイル端末300は、コントローラ30と、操作パネル318とを備える。コントローラ30は、モバイル端末300の全体を制御する制御部であり、CPU302と、そのプログラム及び固定データを格納したプログラムROM303及び一時的なデータを記憶するRAM304によって、マイクロコンピュータを構成している。CPU302は、プログラムROM303に格納された所要のプログラムを実行することにより、
図5等を用いて説明するものをはじめとする種々の機能を実現する。
【0050】
コントローラ30にはさらに、ネットワークI/F301、NVRAM(不揮発性RAM)305、メモリ306、HDD307、パネルI/F308、および位置認識装置309を備える。
【0051】
ネットワークI/F301は、通信回線600を介して画像形成装置500等の外部装置と通信するためのインタフェースである。そして、画像形成装置500への画像形成指示の制御信号及び画像形成ジョブ等の送信、モバイル端末300の位置情報の送信等を行う。
【0052】
NVRAM305は、電源を切っても保持したいデータを格納する不揮発性記憶手段である。
【0053】
メモリ306は、プログラムや、モバイル端末300の位置を示す位置情報を記憶する記憶手段である。
【0054】
HDD307は、不揮発性の大容量記憶手段である。
【0055】
パネルI/F308は、操作パネル318をCPU302から制御可能とするためのインタフェースである。
【0056】
操作パネル318は、モバイル端末300の状態や設定情報等を表示する液晶表示パネル等の表示部と、各種の選択及び指示をユーザーが入力するためのキーやスイッチを有する操作部とを備える。表示部の表示画面上に透明なタッチパネルを重ねて配置して、画面上でタッチ操作できるものも含む。
【0057】
位置認識装置309は、GPS(Global Positioning System)や、モバイル端末300の利用環境に設置された位置センサあるいはランドマーク等を利用してモバイル端末300の位置を示す位置情報を取得する機能を備える。
【0058】
[第一実施形態]
次に、本発明に係る画像処理装置の第一実施形態について説明する。まず、画像形成装置500の本体部100および配達部200,モバイル端末300、屋内位置情報システム400が備える機能構成について
図5を用いて説明する。以下において説明する機能構成は、各装置が備えるハードウェアとソフトウェアが協働して実現されるものである。
【0059】
[第一実施形態の機能構成:本体部100]
本体部100は、画像形成指示受付部11と、画像形成指示記憶部12と、画像形成指示選択部13と、ユーザー位置情報取得部14と、画像形成判断部15と、画像形成実行部16と、配達処理部17と、を備える。
【0060】
画像形成指示受付部11は、モバイル端末300から画像形成指示を受け付けて画像形成指示記憶部12に渡す機能を備える。この画像形成指示には、形成すべき画像のデータと、集約、両面、後処理など、画像形成に関する設定とが含まれる。また、この設定の1つとして、画像形成済み記録媒体を指示元装置の位置まで配達するよう指示する配達指示を含めることが可能である。
【0061】
画像形成指示記憶部12は、モバイル端末300から受け付けた画像形成指示を順次記憶する機能を備える。画像形成指示は、受け付けた順に実行の優先順位が付与されて記憶される。画像形成指示記憶部12は、画像形成指示記憶手段に相当する。
【0062】
画像形成指示選択部13は、画像形成指示記憶部12に記憶されている画像形成指示のうち、優先順位が高いものから順に選択して取り出す機能を備える。画像形成指示選択部13は、取り出した画像形成指示から、ユーザー情報を取得してユーザー位置情報取得部14に渡す機能を備える。画像形成指示選択部13は、画像形成指示選択手段に相当する。
【0063】
ユーザー位置情報取得部14は、画像形成指示選択部13から渡されたユーザー情報に基づいて、モバイル端末300が保持しているユーザー位置情報、または、屋内位置情報システム400において保持されているユーザー位置情報を取得する。ユーザー位置情報には、画像形成指示を発したモバイル端末300の位置を示す情報が含まれている。したがって、ユーザー位置情報取得部14において、モバイル端末300の位置情報が取得される。言い換えると、画像形成指示をしたユーザーの位置を示す情報が取得される。ユーザー位置情報取得部14は、ユーザー位置情報取得手段に相当する。ユーザー位置情報の詳細は後述する。
【0064】
画像形成判断部15は、移動状態判断部151と、配達位置判断部152と、優先順位変更部153と、を備える。画像形成判断部15は、ユーザー位置情報取得部14において取得されたユーザー位置情報に基づいてもモバイル端末300が移動しているか否かに応じて画像形成の実行開始を判断する機能を備える。モバイル端末300が移動していないときは、画像形成の実行の開始を指示する機能を備える。画像形成判断部15は、画像形成判断手段に相当する。
【0065】
移動状態判断部151は、ユーザー位置情報取得部14において取得されたユーザー位置情報に含まれる「移動状態」が示す情報に基づいて、モバイル端末300が移動しているか否かを判断する機能を備える。モバイル端末300に係る移動状態が「移動中」であるとき、処理を配達位置判断部152に渡し、移動状態が「停止中」であるときは、処理を優先順位変更部153に渡す機能を備える。
【0066】
配達位置判断部152は、ユーザー位置情報取得部14において取得されたユーザー位置情報に含まれる「位置情報」が、画像形成指示に含まれるユーザー情報における「配達先」において示される位置と合致するときは、処理を画像形成実行部16に渡す機能を備える。また、ユーザー情報における「配達先」において示される位置と、ユーザー情報に含まれる「位置情報」が合致しないとき(配達先、と判断されないとき)は、処理を優先順位変更部153に渡す機能を備える。なお、配達位置判断部152は、「位置情報」と「配達先」が完全に一致しない場合であっても、「位置情報」が「配達先」に対して所定の距離内であることを示すものであれば、処理を画像形成実行部16に渡してもよい。
【0067】
優先順位変更部153は、移動状態判断部151において判断され、または、配達位置判断部152において判断され、処理が渡された画像形成指示の優先順位を変更して画像形成指示記憶部12に戻す機能を備える。ここで変更される優先順位は、画像形成指示記憶部12に記憶されている複数の画像形成指示よりも低い優先順位である。すなわち、本体部100は、モバイル端末300が移動していて配達の確実性が確保できない状態や、モバイル端末300が停止中であっても「配達先」とは異なる位置にあるときには、画像形成を行わない。
【0068】
画像形成実行部16は、画像形成判断部15において判断された画像形成の実行の開始に基づいて、画像形成指示に係る画像の形成を実行する機能を備える。すなわち、記録媒体への印刷処理を実行する。また、画像形成指示中に配達指示が含まれていた場合に、画像形成済みの記録媒体を配達部200に排出する機能を備える。なお、後処理の設定が含まれていた場合も、画像形成済みの記録媒体を配達部200に排出して、配達部200にて後処理を実行させる。画像形成実行部16は、画像形成実行手段に相当する。
【0069】
配達処理部17は、経路作成部171と、配達部位置情報取得部172と、移動指示部173と、を備える。配達処理部17は、画像形成実行部16において画像形成が開始された場合、配達部200に対して「配達先」に記録媒体を配達するための処理を実行する機能を備える。
【0070】
経路作成部171は、モバイル端末300の位置情報、配達部200の位置情報、画像形成装置500の位置情報等、必要な位置情報を用い、配達部200を移動させる経路を示す移動経路情報を作成する機能を備える。画像形成装置500の位置情報及び、配達可能エリア内の障害物(壁、柱、机など)の位置情報を含む地図情報は、経路作成部171が保持する。モバイル端末300及び配達部200の位置情報はそれぞれ、ユーザー位置情報取得部14や配達部位置情報取得部172に依頼して取得させることができる。
【0071】
配達部位置情報取得部172は、配達部200に対し、配達部200の現在位置を示す位置情報の送信を指示し、これを取得する機能を備える。
【0072】
移動指示部173は、経路作成部171が作成した移動経路情報を取得し、配達部200に送信して、その移動経路情報に従った移動を指示する機能を備える。1回の配達動作における初回の移動指示は、画像形成実行部16から、画像形成及び配達部200への記録媒体の排出が完了した旨の通知があった後で行う。
【0073】
[第一実施形態の機能構成:配達部200]
配達部200は、現在位置情報通知部21と、現在位置情報取得部22と、移動指示受付部23と、移動制御部24と、を備える。配達部200は、画像が形成された記録媒体を指定された位置に配達する記録媒体配達手段に相当する。
【0074】
現在位置情報通知部21は、配達部位置情報取得部172からの指示に応じて、現在位置情報取得部22から提供される配達部200の位置情報を、配達部位置情報取得部172へ送信する機能を備える。
【0075】
現在位置情報取得部22は、
図3に示した位置認識用センサ217の検出結果に基づき、配達部200の現在位置を示す位置情報を取得する機能を備える。
【0076】
移動指示受付部23は、移動指示部173からの移動指示及び移動経路情報を受け付ける機能を備える。
【0077】
移動制御部24は、移動指示受付部23が受け付けた移動指示及び移動経路情報に従い、配達部200を移動させるために駆動モータ215を制御する機能を備える。なお、障害物センサ218が障害物を検知した場合にこれを回避したり、回避後に配達部200を元の移動経路に復帰させたりする機能も備える。
【0078】
[第一実施形態の機能構成:モバイル端末300]
モバイル端末300は、画像形成指示部31と、位置情報取得部32と、位置情報通知部33と、を備える。
【0079】
画像形成指示部31は、ユーザーからの操作に従い、又はアプリケーション等からの要求に従い自動的に、本体部100に対して画像形成を指示する機能を備える。送信する指示の内容は上述したとおりである。
【0080】
位置情報取得部32は、
図4に示した位置認識装置309の検出結果に基づき、モバイル端末300の現在位置を示す位置情報を取得する機能を備える。位置情報通知部33は、ユーザー位置情報取得部14からの指示に応じて、位置情報取得部32から提供されるモバイル端末300の位置情報を、ユーザー位置情報として、本体部100および屋内位置情報システム400へ送信する機能を備える。
【0081】
[第一実施形態の機能構成:屋内位置情報システム400]
屋内位置情報システム400は、位置情報通信部41と、位置情報記憶部42と、を備える。
【0082】
位置情報通信部41は、モバイル端末300から送信された位置情報を受信する機能を備える。また、位置情報通信部41は、ユーザー位置情報取得部14からの指示に応じて、位置情報記憶部42に記憶されているモバイル端末300の位置情報を本体部100へ送信する機能を備える。
【0083】
位置情報記憶部42は、モバイル端末300の位置情報をユーザー位置情報として、一意に識別可能な形式をもって記憶する。ユーザー位置情報の詳細については後述する。
【0084】
[ユーザー情報およびユーザー位置情報]
ここで、ユーザー情報とユーザー位置情報について、
図11および
図12を用いて説明する。ユーザー情報は、モバイル端末300から本体部100に渡される画像形成指示に含まれる情報である。ユーザー位置情報は、モバイル端末300から本体部100に提供され、またはモバイル端末300から屋内位置情報システム400に提供されてさらに本体部100に提供される情報である。
図11は、ユーザー情報の例である。
図12はユーザー位置情報の例である。
【0085】
図11には三つのユーザー情報について例示している。
図11(a)、(b)、(c)に共通するように、ユーザー情報には、画像形成を指示したユーザーを一意識別するための情報が含まれている。ここでの例示は「ユーザー名」として、当該ユーザーのメールアドレスが含まれている。ユーザー名に限らず、画像形成を指示したユーザーを識別できる情報であればよい。また、ユーザー情報には「配達有無」を示す情報が含まれている。画像形成指示において「配達有り」であれば、配達部200における記録媒体の配達処理の実行対象となる。
【0086】
また、ユーザー情報には、
図11(a)に示すように「配達先」が指定されることがある。この場合、本体部100において画像形成が実行され、当該画像形成の指示に含まれるユーザー情報の「配達先」に示される情報に基づいて、配達部200の移動が制御されて記録媒体が配達される。「配達先」として指定される位置は、例えば屋内位置情報システム400が有する地図上の位置情報である。
【0087】
また、ユーザー情報には
図11(b)に示すように「配達時刻」が指定されることがある。この場合、本体部100は「配達時刻」が経過しているときは画像形成を実行し、「配達時刻」が経過していなければ画像形成を実行せず、他の画像形成指示の処理を行う。
【0088】
なお、ユーザー情報には
図11(c)に示すように、「配達時刻」と「配達先」の両方を含めてもよい。
【0089】
図12に示すように、ユーザー位置情報は、モバイル端末300の位置情報として、モバイル端末300のユーザーを一意に識別する情報として「ユーザー名」と、当該モバイル端末300の位置を示す「位置情報」と、を含む。また、ユーザー位置情報は、当該モバイル端末300が移動中であるか停止中であるかを示す情報として「移動状態」を含む。移動状態は、「移動中」または「停止中」のいずれかを示す情報が含まれる。また、停止中の場合の継続停止時間を示す「停止時間」含めてもよい。
【0090】
[第一実施形態の処理フロー]
次に、本発明に係る画像処理装置において実行される画像処理方法の実施形態について
図6のフローチャートを用いて説明する。
図6に示すように、まず、ユーザーがモバイル端末300を操作して画像形成の指示を行うと、画像形成指示部31から本体部100の画像形成指示受付部11に対して、画像形成指示が送信される。ここでは、「配達指示付きの画像形成指示」が送信されたこととする。この画像形成指示が画像形成指示記憶部12に記憶される画像形成指示記憶ステップが実行されて、当該画像処理方法の一連の処理が開始される。
【0091】
まず、画像形成指示選択部13が画像形成指示記憶部12に記憶されている「配達指示付きの画像形成指示」のうち、最も優先順位が高いものを選択する画像形成指示選択ステップを実行する(S601)。ここで「最も優先順位が高い」とは、最も古く画像形成指示記憶部12に記憶された画像形成指示、または、記憶された順番に関わらず、記憶されている画像形成指示のスタックの最上位にあるものであって、画像形成の実行対象となるものをいう。
【0092】
画像形成指示選択部13は、選択した画像形成指示に含まれる「ユーザー情報」を取得する(S602)。画像形成指示選択部13は、取得した「ユーザー情報」をユーザー位置情報取得部14に渡す。
【0093】
続いて、ユーザー位置情報取得部14は、ユーザー位置情報取得ステップを実行する。当該ステップにおいて、ユーザー位置情報取得部14は、S602において渡された「ユーザー情報」に含まれる「ユーザー名」を参照して、モバイル端末300または屋内位置情報システム400に対して、当該「ユーザー名」に関連付けられている「ユーザー位置情報」(
図12参照)を要求する(S603)。ユーザー位置情報取得部14は、モバイル端末300または屋内位置情報システム400から受け取った「ユーザー位置情報」を移動状態判断部151に渡す。
【0094】
続いて、移動状態判断部151は、S603において渡された「ユーザー位置情報」に含まれる「移動状態」を参照して、画像形成指示をしたモバイル端末300の移動状態を判断する(S604)。「移動状態」が「移動中」であるときは、処理を優先順位変更部153に渡す(S604:YES)。
【0095】
優先順位変更部153は、「移動中」と判断されたモバイル端末300に係る画像形成指示の優先順位を下げて、画像形成指示記憶部12に記憶し直す処理を実行する(S608)。「移動中」であるときは、ユーザーが配達先に移動完了していないので、選択された画像形成指示の優先順位を下げて次の処理に移る。
【0096】
「移動状態」が「停止中」であるときは、S602において取得された「ユーザー情報」とS603において取得された「ユーザー位置情報」とを配達位置判断部152に渡す(S604:NO)。
【0097】
配達位置判断部152は、S604において渡された「ユーザー位置情報」に含まれる「位置情報」と、S602において渡されてユーザー情報に含まれる「配達先」に係る位置情報とを比較し、これが合致するか否かの判断をする(S605)。合致しなければ、処理を優先順位変更部153に渡して(S605:NO)、優先順位変更部153がS608の処理を実行する。
【0098】
「配達先」に係る位置情報と、「ユーザー位置情報」に含まれる「位置情報」が合致すれば(S605:YES)、ユーザーが配達先に移動完了しているので、画像形成実行部16に処理を渡す画像形成
実行ステップを実行する。
【0099】
画像形成実行部16は、S601において選択された画像形成指示に基づいて画像形成を実行し記録媒体を生成する画像形成実行ステップを実行する(S606)。画像形成実行部16は、記録媒体の生成を実行しつつ、配達部200に対して配達指示を行い、その後、記録媒体配達ステップの処理(配達処理)が実行される(S607)。
【0100】
配達処理において、経路作成部171は、ユーザー位置情報取得部14から「ユーザー位置情報」を受け取り、この「ユーザー位置情報」に含まれる「位置情報」に基づいて、モバイル端末300の位置までの移動経路を作成する。続いて、配達部位置情報取得部172において、配達部200の現在の位置情報を取得し、これに基づいて移動指示部173に対して、移動経路と移動指示を通知する。
【0101】
配達部200は、本体部100からの通知される移動経路と移動指示に基づいて該当位置までの移動処理を実行する。移動しつつ、現在位置情報取得部22において自己の位置情報を取得し本体部100に通知する処理を継続し、「配達先」にまで移動を続ける。この処理を継続しているとき、モバイル端末300はすでに移動しておらず、かつ、画像形成指示に含まれていた「配達先」に移動した後である。したがって、画像形成が実行された記録媒体は、ユーザーに確実に配達でき、情報の漏えいも抑制することができる。
【0102】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る画像処理装置の第二実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係る画像形成装置500の本体部100および配達部200,モバイル端末300、屋内位置情報システム400の機能構成である。以下において説明する機能構成は、各装置が備えるハードウェアとソフトウェアが協働して実現されるものである。すでに説明をした第一実施形態と異なる部分について詳細に説明し、他の部分の説明は省略する。
【0103】
図7に示すように、第一実施形態と主に異なる点は、画像形成装置500の本体部100において、画像形成判断部15aの構成と、配達時刻判断部18を画像形成指示選択部13とユーザー位置情報取得部14の間に備える点である。
【0104】
[第二実施形態の機能構成:本体部100]
本体部100が備える配達時刻判断部18は、選択された画像形成指示に含まれる「ユーザー情報」において「配達時刻」が指示されている場合(
図11(b)参照)、処理を実行している時刻(現在)が「配達時刻」を経過している否かを判断する機能を備える。また、配達時刻判断部18は、「配達時刻」を経過していないときは、処理を優先順位変更部153に渡し、「配達時刻」を経過しているときは処理を移動状態判断部151に渡す。
【0105】
画像形成判断部15aは、第一実施形態に係る画像形成判断部15から配達位置判断部152を除いた構成を備える。
【0106】
第二実施形態に係るその他の機能構成は、第一実施形態のものと同様である。
【0107】
[第二実施形態の処理フロー]
次に、本発明に係る画像処理装置の第二実施形態に係る処理フローについて説明する。
図8に示すように、まず、ユーザーがモバイル端末300を操作して画像形成の指示を行うと、画像形成指示部31から本体部100の画像形成指示受付部11に対して、画像形成指示が送信される。ここでは、「配達指示付きの画像形成指示」が送信されたこととする。この画像形成指示が画像形成指示記憶部12に記憶されて当該処理が開始される。
【0108】
その後、画像形成指示選択部13が画像形成指示記憶部12に記憶されている「配達指示付きの画像形成指示」のうち、最も優先順位が高いものを選択する(S801)。画像形成指示選択部13は選択した画像形成指示に含まれる「ユーザー情報」を取得する(S802)。画像形成指示選択部13は、取得した「ユーザー情報」を配達時刻判断部18に渡す。
【0109】
続いて、配達時刻判断部18は、S802において渡された「ユーザー情報」に含まれる「配達時刻」(
図11(b)参照)が、現在の処理時刻(現在時刻)よりも後の時刻であるか否かを判断する(S803)。すなわち、現在時刻が「配達時刻」を経過していないときは、処理を優先順位変更部153に渡し(S803:NO、S808)、現在時刻が「配達時刻」を経過しているときは、処理をユーザー位置情報取得部14に渡す。
【0110】
処理を渡されたユーザー位置情報取得部14は、モバイル端末300または屋内位置情報システム400に対して、当該「ユーザー名」に関連付けられている「ユーザー位置情報」(
図12参照)を要求する(S804)。ユーザー位置情報取得部14は、モバイル端末300または屋内位置情報システム400から受け取った「ユーザー位置情報」を移動状態判断部151に渡す。
【0111】
続いて、移動状態判断部151は、S804において渡された「ユーザー位置情報」に含まれる「移動状態」を参照して、画像形成指示をしたモバイル端末300の移動状態を判断する(S805)。「移動状態」が「移動中」であるときは、処理を優先順位変更部153に渡す(S805:YES)。
【0112】
優先順位変更部153は、S803において現在時刻が配達時刻を経過していないとき、または、S805において「移動中」と判断されたモバイル端末300に係る画像形成指示の優先順位を下げて、画像形成指示記憶部12に記憶し直す処理を実行する(S808)。「移動中」であるときは、ユーザーが配達先に移動完了していないので、選択された画像形成指示の優先順位を下げて次の処理に移る。
【0113】
「移動状態」が「停止中」であるときは、画像形成実行部16に処理を渡す。画像形成実行部16は、S801において選択された画像形成指示に基づいて画像形成を実行し記録媒体を生成する(S806)。画像形成実行部16は、記録媒体の生成を実行しつつ、配達部200に対して配達指示を行い、その後、配達処理が実行される(S807)。
【0114】
配達部200は、本体部100からの通知される移動経路と移動指示に基づいて該当位置までの配達処理を継続する。この処理を継続しているとき、モバイル端末300はすでに移動しておらず、かつ、配達時刻も経過しているので、ユーザーが配達先に到着していることが推測される。したがって、画像形成が実行された記録媒体は、ユーザーに確実に配達でき、情報の漏えいも抑制することができる。
【0115】
[第三実施形態]
次に、本発明に係る画像処理装置の第三実施形態について説明する。
図9は、本実施形態に係る画像形成装置500の本体部100および配達部200,モバイル端末300、屋内位置情報システム400の機能構成である。以下において説明する機能構成は、各装置が備えるハードウェアとソフトウェアが協働して実現されるものである。すでに説明をした第一実施形態および第二実施形態と異なる部分について詳細に説明し、他の部分の説明は省略する。
【0116】
[第三実施形態の機能構成:本体部100]
次に、本発明に係る画像処理装置の第三実施形態について説明する。まず、画像形成装置500の本体部100および配達部200,モバイル端末300、屋内位置情報システム400が備える機能構成について図を用いて説明する。以下において説明する機能構成は、各装置が備えるハードウェアとソフトウェアが協働して実現されるものである。
【0117】
図9に示すように、第一実施形態と異なる主な点は、画像形成装置500の本体部100において、配達時刻判断部18を画像形成指示選択部13とユーザー位置情報取得部14の間に備える点である。また、第二実施形態と異なる主な点は、画像形成判断部15の構成である。すなわち、第三実施形態は、第一実施形態と第二実施形態を合わせた構成からなる。第三実施形態に係る本体部100は、すでに説明をした構成からなるので各部の詳細な説明を省略する。なお、第三実施形態に係るその他の機能構成は、第一実施形態および第二実施形態のものと同様である。
【0118】
[第三実施形態の処理フロー]
次に、本発明に係る画像処理装置の第三実施形態に係る処理フローについて説明する。
図10に示すように、まず、ユーザーがモバイル端末300を操作して画像形成の指示を行うと、画像形成指示部31から本体部100の画像形成指示受付部11に対して、画像形成指示が送信される。ここでは、「配達指示付きの画像形成指示」が送信されたこととする。この画像形成指示が画像形成指示記憶部12に記憶されて当該処理が開始される。
【0119】
その後、画像形成指示選択部13が画像形成指示記憶部12に記憶されている「配達指示付きの画像形成指示」のうち、最も優先順位が高いものを選択する(S1001)。画像形成指示選択部13は選択した画像形成指示に含まれる「ユーザー情報」を取得する(S1002)。画像形成指示選択部13は、取得した「ユーザー情報」を配達時刻判断部18に渡す。
【0120】
続いて、配達時刻判断部18は、S1002において渡された「ユーザー情報」に含まれる「配達時刻」(
図11(c)参照)が、現在の処理時刻(現在時刻)よりも後の時刻であるか否かを判断する(S1003)。すなわち、現在時刻が「配達時刻」を経過していないときは、処理を優先順位変更部153に渡し(S1003:NO、S1008)、現在時刻が「配達時刻」を経過しているときは、処理をユーザー位置情報取得部14に渡す。
【0121】
処理を渡されたユーザー位置情報取得部14は、モバイル端末300または屋内位置情報システム400に対して、当該「ユーザー名」に関連付けられている「ユーザー位置情報」(
図12参照)を要求する(S1004)。ユーザー位置情報取得部14は、モバイル端末300または屋内位置情報システム400から受け取った「ユーザー位置情報」を移動状態判断部151に渡す。
【0122】
続いて、移動状態判断部151は、S1004において渡された「ユーザー位置情報」に含まれる「移動状態」を参照して、画像形成指示をしたモバイル端末300の移動状態を判断する(S1005)。「移動状態」が「移動中」であるときは、処理を優先順位変更部153に渡す(S1005:YES)。
【0123】
優先順位変更部153は、S1003において現在時刻が配達時刻を経過していないとき、または、S805において「移動中」と判断されたモバイル端末300に係る画像形成指示の優先順位を下げて、画像形成指示記憶部12に記憶し直す処理を実行する(S1009)。「移動中」であるときは、ユーザーが配達先に移動完了していないので、選択された画像形成指示の優先順位を下げて次の処理に移る。
【0124】
「移動状態」が「停止中」であるときは、S1002において取得された「ユーザー情報」とS1004において取得された「ユーザー位置情報」とを配達位置判断部152に渡す(S1005:NO)。
【0125】
配達位置判断部152は、S1002において取得されたユーザー情報に含まれる「配達先」と、S1004において渡された「ユーザー位置情報」に含まれる「位置情報」とを比較し、これが合致するか否かの判断をする(S1006)。合致しなければ、処理を優先順位変更部153に渡して(S1006:NO)、優先順位変更部153がS1009の処理を実行する。
【0126】
「配達先」に係る位置情報と、「ユーザー位置情報」に含まれる「位置情報」が合致すれば(S1006:YES)、ユーザーが配達先に移動完了しているので、画像形成実行部16に処理を渡す。
【0127】
画像形成実行部16は、S1001において選択された画像形成指示に基づいて画像形成を実行し記録媒体を生成する(S1007)。画像形成実行部16は、記録媒体の生成を実行しつつ、配達部200に対して配達指示を行い、その後、配達処理が実行される(S1008)。
【0128】
配達部200は、本体部100からの通知される移動経路と移動指示に基づいて該当位置までの配達処理を継続する。この処理を継続しているとき、モバイル端末300はすでに移動しておらず、配達時刻も経過しているので、ユーザーが配達先に到着していることが推測される。さらに、画像形成指示に含まれていた「配達先」に移動した後である。したがって、画像形成が実行された記録媒体は、ユーザーに確実に配達でき、情報の漏えいも抑制することができる。