(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の正極、複数の負極及び複数のセパレータを有する電極群と、前記電極群を収容するケースとを備え、複数の前記正極のタブに電気的に接続されると共に正極端子と電気的に接続され、複数の前記正極の配列方向に沿って延在する正極接続部材と、複数の前記負極のタブに電気的に接続されると共に負極端子と電気的に接続され、複数の前記負極の配列方向に沿って延在する負極接続部材と、が設けられている蓄電池に用いられる短絡防止部材であって、
電気絶縁性を有すると共に、前記正極接続部材及び前記負極接続部材の少なくとも一方に着脱可能であり、
前記正極接続部材及び/又は前記負極接続部材に取り付けられた状態において、前記正極接続部材及び/又は前記負極接続部材の延在方向の少なくとも一方の端部、及び、当該端部に最も近い位置の前記正極の前記タブ及び/又は前記負極の前記タブを少なくとも覆う、短絡防止部材。
前記第1部材は、前記正極接続部材及び/又は前記負極接続部材の延在方向から見て、前記端部側において前記セパレータの周縁部と重なると共に、前記周縁部に接触する重畳部分を有する、請求項2に記載の短絡防止部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電池は、正極、負極及びセパレータの配列方向が上下方向となるように配置、すなわち正極接続部及び負極接続部の延在方向が上下方向となるように配置されて使用されることがある。蓄電池では、充放電が繰り返されると、正極活物質の粒子間の結合力が弱くなり、正極から活物質が脱落し得る。脱落した活物質は、電解液に浮遊して、蓄電池のケースの下部に堆積する。これにより、蓄電池のケースの下部に堆積した活物質が、ケースの最下部に配置された電極(例えば、負極)と、当該電極とセパレータを介して隣接する電極(例えば、正極)のタブとにわたって存在することがある。この場合、正極と負極とが、活物質によって電気的に接続され、短絡し得る。
【0005】
本発明の一側面は、正極と負極との短絡を防止できる短絡防止部材、蓄電池、蓄電装置及び蓄電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る短絡防止部材は、複数の正極、複数の負極及び複数のセパレータを有する電極群と、電極群を収容するケースとを備え、複数の正極のタブに電気的に接続されると共に正極端子と電気的に接続され、複数の正極の配列方向に沿って延在する正極接続部材と、複数の負極のタブに電気的に接続されると共に負極端子と電気的に接続され、複数の負極の配列方向に沿って延在する負極接続部材と、が設けられている蓄電池に用いられる短絡防止部材であって、電気絶縁性を有すると共に、正極接続部材及び負極接続部材の少なくとも一方に着脱可能であり、正極接続部材及び/又は負極接続部材に取り付けられた状態において、正極接続部材及び/又は負極接続部材の延在方向の少なくとも一方の端部、及び、当該端部に最も近い位置の正極のタブ及び/又は負極のタブを少なくとも覆う。
【0007】
本発明の一側面に係る短絡防止部材では、正極接続部材及び/又は負極接続部材に取り付けられた状態において、正極接続部材及び/又は負極接続部材の延在方向の少なくとも一方の端部、及び、当該端部に最も近い位置の正極のタブ及び/又は負極のタブを少なくとも覆う。これにより、正極接続部材及び負極接続部材の延在方向が上下方向となるように蓄電池が配置されて使用される場合において、活物質がケースの下部に堆積した場合であっても、上記端部及び上記タブが電気絶縁性を有する短絡防止部材によって覆われているため、ケースの最下部に配置された電極(正極及び負極の一方)と、当該電極とセパレータを介して隣接する電極(正極及び負極の他方)のタブとが、活物質によって電気的に接続されることを防止できる。したがって、短絡防止部材では、正極と負極との短絡を防止できる。
【0008】
一実施形態においては、正極接続部材及び/又は負極接続部材の延在方向において、端部の端面、及び、タブの一方の主面と対向する第1部材と、端部の少なくとも端面に隣接する側面及びタブの側面と対向する第2部材と、を備えていてもよい。この構成では、正極接続部材及び/又は負極接続部材の端部と、正極のタブ及び/又は負極のタブと、に堆積した活物質が接触することを防止できる。
【0009】
一実施形態においては、第1部材は、正極接続部材及び/又は負極接続部材の延在方向から見て、端部側においてセパレータの周縁部と重なると共に、周縁部に接触する重畳部分を有していてもよい。この構成では、セパレータの周縁部の一部も覆うことができるため、セパレータの周縁部から活物質が正極又は負極に侵入することを抑制できる。したがって、正極と負極との短絡をより一層防止できる。
【0010】
一実施形態においては、蓄電池の電極群では、配列方向の端部に負極が配置されており、正極接続部材の端部及び正極のタブを覆うように取り付けられていてもよい。この構成では、負極と正極のタブとが、堆積した活物質によって短絡することを防止できる。
【0011】
一実施形態においては、蓄電池のケースは半透明であり、ケースの外部から視認可能に着色されていてもよい。この構成では、ケースの蓋を開ける作業を行わなくても、ケースの外部から、短絡防止部材が取り付けられているか否かを確認できる。そのため、短絡防止部材の取り付けの有無を、容易に確認できる。したがって、確認の作業性の向上が図れる。
【0012】
本発明の一側面に係る蓄電池は、上記の短絡防止部材が取り付けられている。
【0013】
本発明の一側面に係る蓄電池では、短絡防止部材が取り付けられているため、正極接続部材及び負極接続部材の延在方向が上下方向となるように蓄電池が配置されて使用される場合において、活物質がケースの下部に堆積した場合であっても、ケースの最下部に配置された電極(正極及び負極の一方)と、当該電極とセパレータを介して隣接する電極(正極及び負極の他方)のタブとが、活物質によって電気的に接続されることを防止できる。したがって、蓄電池では、正極と負極との短絡を防止できる。
【0014】
本発明の一側面に係る電池装置は、上記の蓄電地と、複数の蓄電池を収容する筐体と、を備え、複数の蓄電池のぞれぞれは、正極接続部及び負極接続部の延在方向が上下方向となるように、筐体に配置されている。
【0015】
本発明の一側面に係る電池装置では、蓄電池において、活物質がケースの下部に堆積した場合であっても、短絡防止部材が取り付けられているため、ケースの最下部に配置された電極(正極及び負極の一方)と、当該電極とセパレータを介して隣接する電極(正極及び負極の他方)のタブとが、活物質によって電気的に接続されることを防止できる。したがって、蓄電装置の蓄電池では、正極と負極との短絡を防止できる。
【0016】
本発明の一側面に係る蓄電システムは、上記の蓄電装置と、再生可能エネルギーによる発電装置と、発電装置によって生成された電力を供給する供給部と、を備える。
【0017】
本発明の一側面に係る蓄電システムでは、蓄電装置の蓄電池において、短絡防止部材が取り付けられているため、正極と負極との短絡を防止できる。そのため、蓄電システムでは、蓄電池での短絡により、システムに不具合が生じることを抑制できる。そのため、蓄電システムでは、発電装置から出力される電力の変動を蓄電装置からの電力の供給によって安定化させたり、発電装置での余剰電力を蓄電装置に充電し、必要なときに蓄電装置から電力を供給したりすることを、安定的に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一側面によれば、正極と負極との短絡を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
図1に示されるように、蓄電システム100は、太陽電池102と、風力発電装置104と、蓄電装置106と、商用電源(供給部)108と、を備えている。太陽電池102及び風力発電装置104は、再生可能エネルギーによる発電装置である。蓄電システム100では、例えば、太陽電池102及び/又は風力発電装置104から出力される電力に変動が生じた場合、蓄電装置106から電力を供給することにより、商用電源108の安定化を図っている。
【0022】
太陽電池102で発生した直流電力は、パワーコンディショナー110に出力される。パワーコンディショナー110は、直流電力を交流電力に変換して、商用電源108に出力する。風力発電装置104で発生した直流電力は、パワーコンディショナー112に出力される。パワーコンディショナー112は、直流電力を交流電力に変換して、商用電源108に出力する。
【0023】
蓄電装置106は、制御装置(図示省略)の制御に応じて、直流電力をパワーコンディショナー114に出力する。具体的には、蓄電装置106は、太陽電池102及び/又は風力発電装置104から出力される電力に変動が生じた場合、直流電力を出力する。パワーコンディショナー114は、直流電力を交流電力に変換して、商用電源108に出力する。蓄電装置106は、制御装置の制御に応じて、均等充電される。
【0024】
図2に示されるように、蓄電装置106は、筐体118と、複数の蓄電池120と、を備えている。蓄電装置106では、複数(ここでは4個)の蓄電池120は、図示しない接続部材(バスバー)によって、例えば、電気的に直列に接続されている。筐体118は、複数の蓄電池120を収容する。
【0025】
複数の蓄電池120は、筐体118において、左右方向に並んで配置されている。蓄電装置106では、蓄電池120は、正極端子132及び負極端子136が上下方向において位置するように、筐体118に配置される。具体的には、一の蓄電池120では、正極端子132が上側に位置し、負極端子136が下側に位置するように配置されている。一の蓄電池120に隣接する他の蓄電池120では、負極端子136が上側に位置し、正極端子132が下側に位置するように配置されている。
【0026】
図3に示されるように、各蓄電池120は、例えば、制御弁式鉛蓄電池である。各蓄電池120は、電極群122と、電極群122を収容するケース124と、を備えている。
【0027】
電極群122は、複数の正極126と、複数の負極128と、複数のセパレータ130と、を含んで構成されている。電極群122では、正極126と負極128との間にセパレータ130が介在しており、正極126と負極128とが交互に配置されている。本実施形態では、電極群122において、正極126、負極128及びセパレータ130の配列方向(以下、単に「配列方向」と称することもある)の端部には、負極128が配置されている。すなわち、電極群122では、負極128が、ケース124の側面部140a(後述)と対向して配置される。
【0028】
正極126は、正極集電体126aを有している。正極集電体126aは、正極集電タブ126bを有している。正極集電体126aには、正極材(図示省略)が設けられている。正極材は、正極活物質と、添加剤と、を含み得る。正極活物質は、例えば、鉛粉等である。添加剤としては、炭素材料、又は、補強用短繊維等が挙げられる。
【0029】
負極128は、負極集電体128aを有している。負極集電体128aは、負極集電タブ128bを有している。負極集電体128aには、負極材(図示省略)が設けられている。負極材は、負極活物質と、添加剤と、を含み得る。負極活物質は、例えば、海綿状鉛等である。添加剤としては、硫酸バリウム、炭素材料、又は、補強用短繊維等が挙げられる。
【0030】
セパレータ130は、正極126及び負極128間を電子的には絶縁する一方でイオンを透過させ、かつ、正極126側における酸化性及び負極128側における還元性に対する耐性を備えるものであれば、特に制限されない。このようなセパレータ130の材料(材質)としては、樹脂、無機物等が挙げられる。本実施形態では、配列方向から見て、セパレータ130の周縁部130aは、正極126の正極集電体126a及び負極128の負極集電体128aよりも突出している。
【0031】
各正極126のそれぞれは、正極端子132と電気的に接続されている。各正極126と正極端子132とは、正極ストラップ134によって電気的に接続されている。正極ストラップ134は、正極接続部材134aと、端子接続部材134bと、を有している。
【0032】
正極接続部材134aは、複数の正極126の各正極集電タブ126bと接続されている。正極集電タブ126bは、正極接続部材134aの延在方向において互いに対向する一対の主面(一方の主面及び他方の主面)と、一対の主面を連結する一対の側面と、を有している。正極接続部材134aは、断面が略矩形状を呈している角柱状の部材である。すなわち、正極接続部材134aは、略矩形状を呈すると共に、互いに対向する一対の端面と、長方形状を呈すると共に、一対の端面を接続するように延在する4つの側面と、を有している。正極接続部材134aは、配列方向に沿って延在する。
【0033】
端子接続部材134bは、正極端子132を支持する。端子接続部材134bは、正極接続部材134aと電気的に接続されている。端子接続部材134bには、正極端子132が立設されている。端子接続部材134bは、正極接続部材134aの延在方向の一端部側に配置されており、正極接続部材134aと一体的に形成されている。端子接続部材134bは、例えば、略三角形状を呈している。
【0034】
各負極128のそれぞれは、負極端子136と電気的に接続されている。各負極128と負極端子136とは、負極ストラップ138によって電気的に接続されている。負極ストラップ138は、負極接続部材138aと、端子接続部材138bと、を有している。
【0035】
負極接続部材138aは、複数の負極128の各負極集電タブ128bと接続されている。負極集電タブ128bは、負極接続部材138aの延在方向において互いに対向する一対の主面(一方の主面及び他方の主面)127a(
図6参照)と、一対の主面を連結する一対の側面127b,127c(
図6参照)と、を有している。負極接続部材138aは、断面が矩形状を呈している角柱状の部材である。すなわち、負極接続部材138aは、略矩形状を呈すると共に、互いに対向する一対の端面135a(
図6参照)と、長方形状を呈すると共に、一対の端面を接続するように延在する4つの側面135b,135c,135d,135e(
図6参照)と、を有している。負極接続部材138aは、配列方向に沿って延在する。
【0036】
端子接続部材138bは、負極端子136を支持する。端子接続部材138bは、負極接続部材138aと電気的に接続されている。端子接続部材138bには、負極端子136が立設されている。端子接続部材138bは、負極接続部材138aの延在方向の他端部側に配置されており、負極接続部材138aと一体的に形成されている。端子接続部材138bは、例えば、略三角形状を呈している。
【0037】
ケース124は、本体140と、蓋142と、を有している。本体140は、箱状を呈している電槽である。本体140は、ポリプロピレン等の材料で形成されている。本実施形態では、本体140は、乳白半透明(乳白色)である。本体140は、4つの側面部140aと、底部(図示省略)と、により構成されている。
【0038】
蓋142は、本体140の開口部を覆う。蓋142は、正極端子132が配置される第1端子部144と、負極端子136が配置される第2端子部146と、制御弁148と、が設けられている。
【0039】
図3及び
図4に示されるように、上記構成を有する蓄電池120には、短絡防止部材1が取り付けられている。本実施形態では、短絡防止部材1は、正極ストラップ134の正極接続部材134aに配置されている。具体的には、短絡防止部材1は、正極接続部材134aに取り付けられた状態において、正極接続部材134aの延在方向の端部、及び、当該端部に最も近い位置の正極126の正極集電タブ126bを少なくとも覆う。本実施形態では、短絡防止部材1は、正極接続部材134aの延在方向の両方の端部に配置されている。以下、短絡防止部材1について、詳細に説明する。
【0040】
図5に示されるように、短絡防止部材1は、例えば、ポリプロピレン等の電気絶縁性を有する樹脂で形成されている。短絡防止部材1は、例えば、射出成形により形成されている。短絡防止部材1は、蓄電池120のケース124の外部から視認可能に着色されている。短絡防止部材1は、例えば、赤色に着色されている。短絡防止部材1は、正極接続部材134aに対して、着脱可能である。
【0041】
短絡防止部材1は、本体部(第1部材)3と、側面部(第2部材)5と、を有している。本体部3及び側面部5は、例えば、同じ厚みを有している。本体部3及び側面部5の厚みは、適宜設定されればよい。短絡防止部材1の着脱性の観点からは、本体部3及び側面部5の厚みは、柔軟性を有する程度に設定されることが好ましい。短絡防止部材1の説明においては、説明の便宜上、
図5に示すX方向、Y方向及びZ方向を用いる。
【0042】
本体部3は、短絡防止部材1が正極接続部材134aに取り付けられた状態において、正極接続部材134aの延在方向(Z方向)から見て、正極接続部材134aの延在方向の端部の端面135a(
図6参照)、及び、正極126の正極集電タブ126bの一方の主面127a(
図6参照)と対向する(端面及び正面を覆う)。本体部3は、板状である。本実施形態では、本体部3は、正面から見て、略H字状を呈している。すなわち、本体部3には、X方向において対向する位置に一対の凹部が設けられている。
【0043】
図6に示されるように、本体部3は、正極接続部材134aの延在方向から見て、セパレータ130の周縁部130aの一部と重なる重畳部分3aを有する。
図4に示されるように、本体部3は、負極128とは接触しない。
【0044】
側面部5は、正極接続部材134aの端部の少なくとも端面135aに隣接する(端面135aと共に端部の角部を形成する)側面135b〜135e(
図6参照)及び正極集電タブ126bの側面125b,127c(
図6参照)と対向する。側面部5は、第1側面部5aと、第2側面部5bと、第3側面部5cと、第4側面部5dと、第5側面部5eと、第6側面部5fと、第7側面部5gと、第8側面部5hと、第9側面部5iと、第10側面部5jと、第11側面部5kと、を含んでいる。
【0045】
第1側面部5a、第2側面部5b、第3側面部5c、第4側面部5d及び第5側面部5eは、正極接続部材134aの延在方向の端部の端面135aに隣接する側面135b〜135e(
図6参照)の一部を覆う。第1側面部5aは、本体部3のY方向の上端部に配置されている。第1側面部5aは、本体部3からZ方向(本体部3の面に直交する方向)沿って延在している。また、第1側面部5aは、X方向に沿って延在している。第2側面部5bと第3側面部5cとは、X方向において対向して配置されている。第2側面部5b及び第3側面部5cは、第1側面部5aのX方向の端部にそれぞれ接続されている。第2側面部5b及び第3側面部5cは、本体部3からZ方向に沿って延在している。また、第2側面部5b及び第3側面部5cは、Y方向に沿って延在している。第2側面部5b及び第3側面部5cのY方向における長さは、正極接続部材134aの厚み以上である。
【0046】
第4側面部5dは、第2側面部5bのY方向の下端部に接続されている。第4側面部5dは、本体部3からZ方向に沿って延在している。また、第4側面部5dは、第1側面部5aとY方向において対向するように(第2側面部5bよりも内側に入り込むように)、X方向に沿って延在している。第5側面部5eは、第3側面部5cのY方向の下端部に接続されている。第5側面部5eは、本体部3からZ方向に沿って延在している。また、第5側面部5eは、第1側面部5aとY方向において対向するように(第3側面部5cよりも内側に入り込むように)、X方向に沿って延在している。第4側面部5d及び第5側面部5eは、Y方向において、同じ高さ位置に配置されている。
【0047】
第6側面部5f及び第7側面部5gは、正極126の正極集電タブ126bの側面を覆う。第6側面部5fと第7側面部5gとは、X方向において対向して配置されている。第6側面部5fは、第4側面部5dに接続されている。第6側面部5fは、本体部3からZ方向に沿って延在している。また、第6側面部5fは、Y方向に沿って延在している。第6側面部5fのZ方向の端部(本体部3とは反対側の端部)には、第1爪部7aが設けられている。第1爪部7aは、第6側面部5fの内面よりもX方向において内側に突出している。
【0048】
第7側面部5gは、第5側面部5eに接続されている。第7側面部5gは、本体部3からZ方向に沿って延在している。また、第7側面部5gは、Y方向に沿って延在している。第7側面部5gのZ方向の端部(本体部3とは反対側の端部)には、第2爪部7bが設けられている。第2爪部7bは、第7側面部5gの内面よりもX方向において内側に突出している。
【0049】
第8側面部5hは、第6側面部5fのY方向の下端部に接続されている。第8側面部5hは、本体部3からZ方向に沿って延在している。また、第8側面部5hは、第4側面部5dとY方向において対向するように(第6側面部5fよりも外側に張り出すように)、X方向に沿って延在している。第9側面部5iは、第7側面部5gのY方向の下端部に接続されている。第9側面部5iは、本体部3からZ方向に沿って延在している。また、第9側面部5iは、第5側面部5eとY方向において対向するように(第7側面部5gよりも外側に張り出すように)、X方向に沿って延在している。第8側面部5h及び第9側面部5iは、Y方向において、同じ高さ位置に配置されている。
【0050】
第10側面部5j及び第11側面部5kは、正極126の正極集電タブ126bの側面を覆う。第10側面部5jと第11側面部5kとは、X方向において対向して配置されている。第10側面部5jは、第8側面部5hに接続されている。第10側面部5jは、本体部3からZ方向に沿って延在している。また、第10側面部5jは、Y方向に沿って延在している。第11側面部5kは、第9側面部5iに接続されている。第11側面部5kは、本体部3からZ方向に沿って延在している。また、第11側面部5kは、Y方向に沿って延在している。第10側面部5j及び第11側面部5kの下端部は、本体部3の重畳部分3aよりも上側に位置する。すなわち、本体部3の重畳部分3aは、第10側面部5j及び第11側面部5kよりもY方向において張り出している(突出している)。また、第10側面部5j及び第11側面部5kの下端部は、所定の曲率半径を有して湾曲している。
【0051】
側面部5は、Z方向において、所定の長さを有している。具体的には、側面部5は、正極接続部材134aの端部に最も近い位置の正極集電タブ126bの側面127b,127c(
図6参照)と少なくとも対向する長さを有している。側面部5のZ方向における長さは、正極ストラップ134の端子接続部材134bに接触しない長さに設定されることが好ましい。また、短絡防止部材1の着脱性の観点からは、上記のように、正極接続部材134aの端部に最も近い位置の正極集電タブ126bの側面127b,127c(
図6参照)と少なくとも対向する長さであることが好ましい。側面部5のZ方向における長さは、設計に応じて適宜設定されればよい。
【0052】
図3及び
図4に示されるように、短絡防止部材1が正極接続部材134aに取り付けられると、本体部3によって、正極接続部材134aの延在方向の端部の端面、及び、正極126の正極集電タブ126bの一方の主面が覆われる。また、側面部5によって、正極接続部材134aの延在方向の端部側の側面135b〜135e(
図6参照)、及び、正極126の正極集電タブ126bの側面127b,127c(
図6参照)が覆われる。短絡防止部材1は、正極126の正極集電タブ126bの他方の正面は覆わない。そのため、本実施形態において、正極接続部材134aに取り付けられた状態において、正極接続部材134aの延在方向の端部、及び、当該端部に最も近い位置の正極集電タブ126bを少なくとも覆うとは、正極集電タブ126bの全面を覆うことではなく、蓄電池120の使用形態において下側に位置する正極集電タブ126bの一方の主面127a及び側面127b,127cを覆うことを意味する。
【0053】
短絡防止部材1の第1爪部7a及び第2爪部7bは、正極集電タブ126bの他方の主面に係止される。これにより、短絡防止部材1が正極接続部材134a及び正極集電タブ126bから脱落することを防止できる。
【0054】
短絡防止部材1の本体部3の重畳部分3aは、セパレータ130と対向すると共に、セパレータ130の一方の主面と接触する。重畳部分3aの下端部は、負極128には接触しない。短絡防止部材1の第10側面部5j及び第11側面部5kの下端部は、セパレータ130の周縁部130aの上端部に接触する。第10側面部5j及び第11側面部5kの下端部は、湾曲している。そのため、第10側面部5j及び第11側面部5kとセパレータ130の周縁部130aとの接触によって、セパレータ130が破損する等といった不具合の発生を回避できる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る短絡防止部材1は、正極ストラップ134の正極接続部材134aに取り付けられた状態において、正極接続部材134aの延在方向の端部、及び、当該端部に最も近い位置の正極126の正極集電タブ126bを少なくとも覆う。これにより、
図7に示されるように、正極ストラップ134の正極接続部材134a及び負極ストラップ138の負極接続部材138aの延在方向が上下方向となるように蓄電池120が配置されて使用される場合において、
図8に示されるように、活物質AMがケース124の下部(側面部140a)に堆積した場合であっても、正極接続部材134aの端部及び正極集電タブ126bが電気絶縁性を有する短絡防止部材1によって覆われているため、ケース124の最下部に配置された負極128と、負極128とセパレータ130を介して隣接する正極126の正極集電タブ126bとが、活物質AMによって電気的に接続されることを防止できる。したがって、短絡防止部材1では、正極126と負極128との短絡を防止できる。
【0056】
本実施形態に係る短絡防止部材1では、正極接続部材134aの延在方向において、正極接続部材134aの端部の端面135a、及び、正極集電タブ126bの一方の主面127aと対向する本体部3と、正極接続部材134aの端部の少なくとも端面135aに隣接する側面135b〜135e及び正極集電タブ126bの側面127b,127cと対向する側面部5と、を備えている。この構成では、正極接続部材134aの端部と、正極集電タブ126bと、に堆積した活物質が接触することを防止できる。
【0057】
本実施形態に係る短絡防止部材1では、本体部3は、正極接続部材134aの延在方向から見て、正極接続部材134aの端部側においてセパレータ130の周縁部130aと重なると共に、周縁部130aに接触する重畳部分3aを有している。この構成では、
図9(a)に示されるように、セパレータ130の周縁部130aの一部も覆うことができるため、セパレータ130の周縁部130aから活物質が正極126に侵入することを抑制できる。したがって、短絡防止部材1では、正極126と負極128との短絡をより一層防止できる。
【0058】
また、本体部3の重畳部分3aは、セパレータ130の周縁部130aと接触しているため、
図9(b)に示されるように、セパレータ130の周縁部130aが下方向に撓むことを防止できる。したがって、正極126と負極128とが活物質によって短絡することをより一層防止できる。
【0059】
本実施形態に係る蓄電池120では、電極群122の配列方向の端部に負極128が配置されている。短絡防止部材1は、正極接続部材134aの端部及び正極集電タブ126bを覆うように取り付けられている。この構成では、負極128と正極集電タブ126bとが、堆積した活物質によって短絡することを防止できる。
【0060】
本実施形態に係る蓄電池120では、ケース124の本体140の側面部140aは半透明である。短絡防止部材1は、側面部140a外部から視認可能に着色されていている。この構成では、ケース124の蓋142を開ける作業を行わなくても、ケース124の外部から、短絡防止部材1が取り付けられているか否かを確認できる。そのため、短絡防止部材1の取り付けの有無を、容易に確認できる。したがって、確認の作業性の向上が図れる。
【0061】
本実施形態に係る短絡防止部材1は、蓄電池120において、負極ストラップ138の負極接続部材138aには取り付けられていない。本実施形態では、電極群122において、配列方向の端部には、負極128が配置されている。そのため、電極群122では、負極128が、ケース124の側面部140aと対向して配置される。側面部140aと負極128との間には、隙間がほとんど形成されない。この構成において、短絡防止部材1を負極ストラップ138の負極接続部材138aには取り付けると、電極群122をケース124に収容するときに、短絡防止部材1がケース124の側面部140aと接触し得る。そのため、電極群122をケース124に収容するための作業の作業性が低下する可能性がある。
【0062】
また、蓄電池120において均等充電等を行った場合、電解液に活物質が浮遊し得る。短絡防止部材1が負極ストラップ138の負極接続部材138aに取り付けられている場合、浮遊した活物質が当該短絡防止部材1に溜まるおそれがある。この場合、短絡防止部材1に堆積した活物質が、正極126と負極128とを短絡させるおそがある。そのため、本実施形態のように、電極群122において、端部に負極128が配置されている構成では、負極接続部材138aに短絡防止部材1を取り付けないことが好ましい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0064】
上記実施形態では、短絡防止部材1が
図5に示されるような構成を有する形態を一例に説明した。しかし、短絡防止部材は、正極接続部材134aに取り付けられた状態において、正極接続部材134aの延在方向の端部、及び、当該端部に最も近い位置の正極集電タブ126bを少なくとも覆う構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【0065】
上記実施形態では、短絡防止部材1が赤色に着色されている形態を一例に説明した。しかし、短絡防止部材1は、他の色で着色されていればよい。短絡防止部材1は、蓄電池120のケース124の外部から視認可能に着色されていればよい。また、短絡防止部材1は、無色(透明、半透明等)であってもよい。
【0066】
上記実施形態では、短絡防止部材1が負極ストラップ138の負極接続部材138aには取り付けられない形態を一例に説明した。しかし、短絡防止部材1は、負極ストラップ138の負極接続部材138aには取り付けられてもよい。
【0067】
上記実施形態では、正極端子132及び負極端子136のそれぞれが1個設けられている形態を一例に説明した。しかし、正極端子及び負極端子のそれぞれは、複数設けられていてもよい。