特許第6973532号(P6973532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973532フロースループリントヘッド用のフレキシブル膜を備える流体タンク
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973532
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】フロースループリントヘッド用のフレキシブル膜を備える流体タンク
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20211118BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20211118BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20211118BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   B41J2/175 171
   B41J2/175 151
   B41J2/175 153
   B41J2/175 169
   B41J2/01 303
   B41J2/14 603
   B41J2/175 141
   B41J2/175 503
   B41J2/18
【請求項の数】18
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-40416(P2020-40416)
(22)【出願日】2020年3月10日
(65)【公開番号】特開2020-147040(P2020-147040A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年3月10日
(31)【優先権主張番号】16/351,182
(32)【優先日】2019年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】寒川 哲幹
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−066689(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0273063(US,A1)
【文献】 特開2009−143067(JP,A)
【文献】 特開2017−159561(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0304640(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1990253(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント流体を収容するように構成される第1のリザーバと、
前記プリント流体を収容するように構成される第2のリザーバと、
前記プリント流体が前記第1のリザーバに流入するか或いは前記第1のリザーバから流出することを可能にするようプリントヘッドと流体的に連結するように構成される第1の入出力(I/O)ポートと、
前記プリント流体が前記第2のリザーバに流入するか或いは前記第2のリザーバから流出することを可能にするよう前記プリントヘッドと流体的に連結するように構成される第2の入出力(I/O)ポートと、
屈曲して、前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間に圧力差を作り出すように構成される、前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間のフレキシブル膜とを含み、
前記フレキシブル膜の屈曲を引き起こすよう前記フレキシブル膜に取り付けられる変形部材を更に含む、
流体タンク。
【請求項2】
前記変形部材は、前記フレキシブル膜と同一平面にある、当該流体タンクにある封止された開口を通じて配置される、細長い部材であり、
前記変形部材の第1の端が、前記フレキシブル膜に取り付けられ、前記変形部材の第2の端が、当該流体タンクから外向きに延び、
前記変形部材は、前記封止された開口内で枢動して、前記フレキシブル膜の屈曲を引き起こすように構成される、
請求項に記載の流体タンク。
【請求項3】
前記変形部材は、前記フレキシブル膜を通じて横方向に配置される細長い部材であり、中央部で前記フレキシブル膜に取り付けられ、
前記変形部材は、前記第1のリザーバの側壁にある第1の封止された開口及び前記第2のリザーバの側壁にある第2の封止された開口を通じて更に配置され、
前記変形部材は、前記第1の封止された開口及び前記第2の封止された開口内をスライドして、前記フレキシブル膜の屈曲を引き起こすように構成される、
請求項に記載の流体タンク。
【請求項4】
前記変形部材は、前記フレキシブル膜を通じて横方向に配置される細長い部材であり、中央部で前記フレキシブル膜に取り付けられ、
前記第1のリザーバは、前記変形部材の第1の端に向かって前記変形部材に取り付けられる第1のフレキシブル側壁を含み、
前記第2のリザーバは、前記変形部材の第2の端に向かって前記変形部材に取り付けられる第2のフレキシブル側壁を含み、
前記変形部材は、横方向に移動して、前記フレキシブル膜、前記第1のフレキシブル側壁、及び前記第2のフレキシブル側壁の屈曲を引き起こすように構成される、
請求項に記載の流体タンク。
【請求項5】
前記フレキシブル膜は、当該流体タンクの頂壁と底壁との間に配置される第1のフレキシブル膜と、前記第1のリザーバの側壁と前記第2のリザーバの側壁との間に配置される第2のフレキシブル膜とを含み、
前記変形部材は、前記第1のフレキシブル膜と前記第2のフレキシブル膜との間の交差部に取り付けられる重み付け部材を含み、
前記変形部材は、捩れて、前記第1のフレキシブル膜及び前記第2のフレキシブル膜の屈曲を引き起こすように構成される、
請求項に記載の流体タンク。
【請求項6】
前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとに接続される弁を更に含む、請求項1に記載の流体タンク。
【請求項7】
媒体に対して副走査方向において往復動するように構成されるキャリッジアセンブリに取り付けられるフロースループリントヘッドと、
流体タンクとを含み、
前記フロースループリントヘッドは、プリント流体の滴を噴射するように構成される一列の噴射チャネルと、該一列の噴射チャネルに流体的に連結される供給マニホルドと、前記一列の噴射チャネルに流体的に連結される還流マニホルドとを有し、
前記流体タンクは、
前記供給マニホルドに流体的に連結される第1のリザーバと、
前記還流マニホルドに流体的に連結される第2のリザーバと、
前記キャリッジアセンブリの移動に応答して振動して、前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間に圧力差を作り出すように構成される、前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間のフレキシブル膜とを含み、
前記流体タンクは、前記フレキシブル膜の振動を引き起こすよう前記フレキシブル膜に取り付けられる変形部材を更に含む、
装置。
【請求項8】
前記変形部材は、前記フレキシブル膜と同一平面にある、前記流体タンクにある封止された開口を通じて配置される、細長い部材であり、
前記変形部材の第1の端が、前記フレキシブル膜に取り付けられ、前記変形部材の第2の端が、前記流体タンクから外向きに延び、
前記変形部材は、前記キャリッジアセンブリの前記移動に応答して前記封止された開口内で枢動して、前記フレキシブル膜の前記振動を引き起こすように構成される、
請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記変形部材は、前記フレキシブル膜を通じて横方向に配置される細長い部材であり、中央部で前記フレキシブル膜に取り付けられ、
前記変形部材は、前記第1のリザーバの側壁にある第1の封止された開口及び前記第2のリザーバの側壁にある第2の封止された開口を通じて更に配置され、
前記変形部材は、前記キャリッジアセンブリの前記移動に応答して前記第1の封止された開口及び前記第2の封止された開口内でスライドして、前記フレキシブル膜の前記振動を引き起こすように構成される、
請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記変形部材は、前記フレキシブル膜を通じて横方向に配置される細長い部材であり、中央部で前記フレキシブル膜に取り付けられ、
前記第1のリザーバは、前記変形部材の第1の端に向かって前記変形部材に取り付けられる第1のフレキシブル側壁を含み、
前記第2のリザーバは、前記変形部材の第2の端に向かって前記変形部材に取り付けられる第2のフレキシブル側壁を含み、
前記変形部材は、前記キャリッジアセンブリの前記移動に応答して横方向に移動して、前記フレキシブル膜、前記第1のフレキシブル側壁、及び前記第2のフレキシブル側壁の前記振動を引き起こすように構成される、
請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記フレキシブル膜は、前記流体タンクの頂壁と底壁との間に配置される第1のフレキシブル膜と、前記第1のリザーバの側壁と前記第2のリザーバの側壁との間に配置される第2のフレキシブル膜とを含み、
前記変形部材は、前記第1のフレキシブル膜と前記第2のフレキシブル膜との間の交差部に取り付けられる重み付け部材を含み、
前記変形部材は、前記キャリッジアセンブリの前記移動に応答して捩れて、前記第1のフレキシブル膜及び前記第2のフレキシブル膜の前記振動を引き起こすように構成される、
請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記重み付け部材は、前記第1のリザーバの対角チャンバを接続する第1の流路を含み、前記第2のリザーバの対角チャンバを接続する第2の流路を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記フレキシブル膜は、前記第1のリザーバの側壁を形成する第1のフレキシブル膜と、該第1のフレキシブル膜からある距離だけ離間させられる前記第2のリザーバの側壁を形成する第2のフレキシブル膜とを含み、
前記変形部材は、
第1の端で前記第1のフレキシブル膜に取り付けられ、第2の端で前記第2のフレキシブル膜に取り付けられる、接続部材と、
該接続部材から吊り下げられ、前記キャリッジアセンブリの前記移動に応答して揺動して、前記第1のフレキシブル膜及び前記第2のフレキシブル膜の前記振動を引き起こすように構成される、振り子部材とを含む、
請求項に記載の装置。
【請求項14】
媒体に対して副走査方向において往復動するように構成されるキャリッジアセンブリに取り付けられるフロースループリントヘッドと、
流体タンクとを含み、
前記フロースループリントヘッドは、プリント流体の滴を噴射するように構成される一列の噴射チャネルと、該一列の噴射チャネルに流体的に連結される供給マニホルドと、前記一列の噴射チャネルに流体的に連結される還流マニホルドとを含み、
前記流体タンクは、
前記供給マニホルドに流体的に連結される第1のリザーバと、
前記還流マニホルドに流体的に連結される第2のリザーバと、
前記第1のリザーバと前記第2のリザーバとの間の剛性の仕切りとを含み、
前記第1のリザーバは、第1のフレキシブル側壁を含み、前記第2のリザーバは、第2のフレキシブル側壁を含む、
装置。
【請求項15】
前記キャリッジアセンブリが前記副走査方向の第1の端にあるときに、前記第1のフレキシブル側壁に対して押圧力を加えるように構成される、第1の押圧部材を更に含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記キャリッジアセンブリが前記副走査方向の第2の端にあるときに、前記第2のフレキシブル側壁に対して押圧力を加えるように構成される、第2の押圧部材を更に含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記流体タンクは、
前記剛性の仕切りにある封止された開口を通じて横方向に配置される細長い部材である変形部材を更に含み、
該変形部材の第1の端が、前記第1のフレキシブル側壁に取り付けられ、
前記変形部材の第2の端が、前記第2のフレキシブル側壁に取り付けられ、
前記変形部材は、前記キャリッジアセンブリの移動に応答して横方向に移動して、前記第1のフレキシブル側壁及び前記第2のフレキシブル側壁を変形させるように構成される、
請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記流体タンクは、変形部材を更に含み、
該変形部材は、
水平バーと、
該水平バーの両端から突出する垂直バーと、
前記水平バーに取り付けられる重りとを含み、
前記垂直バーの第1のものは、前記第1のフレキシブル側壁に取り付けられ、前記垂直バーの第2のものは、前記第2のフレキシブル側壁に取り付けられ、
前記変形部材は、前記キャリッジアセンブリの移動に応答して揺動して、前記第1のフレキシブル側壁及び前記第2のフレキシブル側壁を変形させるように構成される、
請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、画像形成(image formation)の分野に関し、特に、プリントヘッド(印字ヘッド)(printheads)へのプリント流体(印刷流体)(print fluid)の供給に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成は、紙、プラスチック、3D印刷用基板等のような媒体上に、インク又は他のタイプのプリント流体の滴を推進させること(propelling)によって、デジタル画像を媒体上に複製する手順である。画像形成は、一般的には、プリンタ(例えば、インクジェットプリンタ)、ファクシミリ機、複写機、製図機、多機能周辺機器等のような装置において使用される。典型的な噴射装置(jetting apparatus)又は画像形成装置の核心は、液滴を吐出するノズルと、プリントヘッド及び/又は媒体を互いに対して移動させる機構と、液体がピクセルの形態でプリントヘッドの個々のノズルから媒体上にどのように吐出されるかを制御するコントローラとを有する、(本明細書では一般的に「プリントヘッド」と呼ぶ)1つ又はそれよりも多くの液滴射出ヘッド(liquid-droplet ejection heads)である。
【0003】
典型的なプリントヘッドは、プリントヘッドの吐出面に沿って1つ又はそれよりも多くの列において整列させられる複数のノズルを含む。各ノズルは、ノズル、圧力チャンバ、及び圧電アクチュエータのようなアクチュエータによって駆動されるダイヤフラムを含む、「噴射チャネル(jetting channel)」の一部である。プリントヘッドは、各個々の噴射チャネルが画像データに基づいて発射するときを制御する駆動回路も含む。噴射チャネルから噴射するために、駆動回路は、アクチュエータに噴射パルスを提供し、噴射パルスは、ダイヤフラムを介して、アクチュエータに圧力チャンバの壁を変形させる。圧力チャンバの変形は、ノズルからプリント流体(例えば、インク)の滴を射出する圧力チャンバ内の圧力波を生み出す。
【0004】
シャトル型プリンタは、媒体を横断して前後に往復動する可動シャトル又はキャリッジアセンブリを有するプリンタの種類である。プリントヘッドは、キャリッジアセンブリ上に取り付けられ、プリントヘッドからの噴射は、所望の画像を印刷するために、キャリッジアセンブリの移動と同期される。キャリッジアセンブリの移動は、プリンタを通じて媒体を前進させる媒体移送機構(medium transfer mechanism)とも同期される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シャトル型プリンタのような噴射装置においてインク又は別のプリント流体をプリントヘッドに供給する効果的な方法を見出すことは、依然として製造業者にとっての課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載する実施形態は、プリント流体を収容し且つプリントヘッドにプリント流体を供給するリザーバ(貯槽)を有する流体タンクを含む。プリントヘッドは、プリント流体が供給マニホルドから噴射チャネルを通じて還流マニホルドに流れることができる或いはその逆に流れることができる、フロースルー(flow-through)型のプリントヘッドである。流体タンクは、例えば、キャリッジアセンブリの移動に応答して、屈曲又は変形するように構成される、フレキシブル膜(可撓性膜)又は(複数の)フレキシブル側壁(可撓性側壁)を有する。フレキシブル膜又はフレキシブル側壁の変形は、リザーバ間で圧力差を生み、プリントヘッドを通じてプリント流体をリザーバ間で流動させる。これは、プリントヘッドが休止しているときに、プリント流体が乾燥又は凝固するのを有利に防止する。
【0007】
1つの実施形態が、プリント流体を収容するように構成される第1のリザーバと、プリント流体を収容するように構成される第2のリザーバとを含む、流体タンクを含む。流体タンクは、プリント流体が第1のリザーバに流入するか或いは第1のリザーバから流出することを可能にするようプリントヘッドと流体的に連結するように構成される第1の入出力(I/O)ポートと、プリント流体が第2のリザーバに流入するか或いは第2のリザーバから流出することを可能にするようプリントヘッドと流体的に連結するように構成される第2の入出力(I/O)ポートとを更に含む。流体タンクは、屈曲して、第1のリザーバと第2のリザーバとの間に圧力差を作り出すように構成される、第1のリザーバと第2のリザーバとの間のフレキシブル膜を更に含む。
【0008】
別の実施蹴板において、流体タンクは、フレキシブル膜の屈曲を引き起こすようフレキシブル膜に取り付けられる変形部材を更に含む。
【0009】
別の実施蹴板において、変形部材は、フレキシブル膜と同一平面にある、流体タンクにある封止された開口を通じて配置される、細長い部材である。変形部材の第1の端が、フレキシブル膜に取り付けられ、変形部材の第2の端が、当該流体タンクから外向きに延びる。変形部材は、封止された開口内で枢動して、フレキシブル膜の屈曲を引き起こすように構成される。
【0010】
別の実施蹴板において、変形部材は、フレキシブル膜を通じて横方向に配置される細長い部材であり、中央部でフレキシブル膜に取り付けられる。変形部材は、第1のリザーバの側壁にある第1の封止された開口及び第2のリザーバの側壁にある第2の封止された開口を通じて更に配置される。変形部材は、第1の封止された開口及び第2の封止された開口内をスライドして、フレキシブル膜の屈曲を引き起こすように構成される。
【0011】
別の実施蹴板において、変形部材は、フレキシブル膜を通じて横方向に配置される細長い部材であり、中央部でフレキシブル膜に取り付けられる。第1のリザーバは、変形部材の第1の端に向かって変形部材に取り付けられる第1のフレキシブル側壁を含み、第2のリザーバは、変形部材の第2の端に向かって変形部材に取り付けられる第2のフレキシブル側壁を含む。変形部材は、横方向に移動して、フレキシブル膜、第1のフレキシブル側壁、及び第2のフレキシブル側壁の屈曲を引き起こすように構成される。
【0012】
別の実施蹴板において、フレキシブル膜は、流体タンクの頂壁と底壁との間に配置される第1のフレキシブル膜と、第1のリザーバの側壁と第2のリザーバの側壁との間に配置される第2のフレキシブル膜とを含む。変形部材は、第1のフレキシブル膜と第2のフレキシブル膜との間の交差部(intersection)に取り付けられる重み付け部材(weighted member)を含む。変形部材は、捩れて、第1のフレキシブル膜及び第2のフレキシブル膜の屈曲を引き起こすように構成される。
【0013】
別の実施蹴板において、流体タンクは、第1のリザーバと第2のリザーバとに接続される弁を更に含む。
【0014】
別の実施形態が、媒体に対して副走査方向において往復動するように構成されるキャリッジアセンブリに取り付けられるフロースループリントヘッドを含む、装置を含む。フロースループリントヘッドは、プリント流体の滴を噴射するように構成される一列の噴射チャネルと、一列の噴射チャネルに流体的に連結される供給マニホルドと、一列の噴射チャネルに流体的に連結される還流マニホルドとを有する。装置は、流体タンクを更に含み、流体タンクは、供給マニホルドに流体的に連結される第1のリザーバと、還流マニホルドに流体的に連結される第2のリザーバと、キャリッジアセンブリの移動に応答して振動して、第1のリザーバと第2のリザーバとの間に圧力差を作り出すように構成される、第1のリザーバと第2のリザーバとの間のフレキシブル膜とを含む。
【0015】
別の実施形態において、流体タンクは、フレキシブル膜の振動を引き起こすようフレキシブル膜に取り付けられる変形部材を更に含む。
【0016】
別の実施形態において、変形部材は、フレキシブル膜と同一平面にある、流体タンクにある封止された開口を通じて配置される、細長い部材である。変形部材の第1の端が、フレキシブル膜に取り付けられ、変形部材の第2の端が、流体タンクから外向きに延びる。変形部材は、キャリッジアセンブリの移動に応答して封止された開口内で枢動して、フレキシブル膜の振動を引き起こすように構成される。
【0017】
別の実施形態において、変形部材は、フレキシブル膜を通じて横方向に配置される細長い部材であり、中央部でフレキシブル膜に取り付けられる。変形部材は、第1のリザーバの側壁にある第1の封止された開口及び第2のリザーバの側壁にある第2の封止された開口を通じて更に配置される。変形部材は、キャリッジアセンブリの移動に応答して第1の封止された開口及び第2の封止された開口内でスライドして、フレキシブル膜の振動を引き起こすように構成される。
【0018】
別の実施形態において、変形部材は、フレキシブル膜を通じて横方向に配置される細長い部材であり、中央部でフレキシブル膜に取り付けられる。第1のリザーバは、変形部材の第1の端に向かって変形部材に取り付けられる第1のフレキシブル側壁を含み、第2のリザーバは、変形部材の第2の端に向かって変形部材に取り付けられる第2のフレキシブル側壁を含む。変形部材は、キャリッジアセンブリの移動に応答して横方向に移動して、フレキシブル膜、第1のフレキシブル側壁、及び第2のフレキシブル側壁の振動を引き起こすように構成される。
【0019】
別の実施形態において、フレキシブル膜は、流体タンクの頂壁と底壁との間に配置される第1のフレキシブル膜と、第1のリザーバの側壁と第2のリザーバの側壁との間に配置される第2のフレキシブル膜とを含む。変形部材は、第1のフレキシブル膜と第2のフレキシブル膜との間の交差部に取り付けられる重み付け部材を含む。変形部材は、キャリッジアセンブリの移動に応答して捩れて、第1のフレキシブル膜及び第2のフレキシブル膜の振動を引き起こすように構成される。
【0020】
別の実施形態において、重み付け部材は、第1のリザーバの対角チャンバ(diagonal chambers)を接続する第1の流路を含み、第2のリザーバの対角チャンバを接続する第2の流路を含む
【0021】
別の実施形態において、フレキシブル膜は、第1のリザーバの側壁を形成する第1のフレキシブル膜と、第1のフレキシブル膜からある距離だけ離間させられる第2のリザーバの側壁を形成する第2のフレキシブル膜とを含む。変形部材は、第1の端で第1のフレキシブル膜に取り付けられ、第2の端で第2のフレキシブル膜に取り付けられる、接続部材を含む。振り子部材が、接続部材から吊り下げられ、キャリッジアセンブリの移動に応答して揺動して、第1のフレキシブル膜及び第2のフレキシブル膜の振動を引き起こすように構成される。
【0022】
別の実施形態が、媒体に対して副走査方向において往復動するように構成されるキャリッジアセンブリに取り付けられるフロースループリントヘッドを含む、装置を含む。フロースループリントヘッドは、プリント流体の滴を噴射するように構成される一列の噴射チャネルと、一列の噴射チャネルに流体的に連結される供給マニホルドと、一列の噴射チャネルに流体的に連結される還流マニホルドとを含む。装置は、流体タンクを更に含み、流体タンクは、供給マニホルドに流体的に連結される第1のリザーバと、還流マニホルドに流体的に連結される第2のリザーバと、第1のリザーバと第2のリザーバとの間の剛性の仕切りとを含む。第1のリザーバは、第1のフレキシブル側壁を含み、第2のリザーバは、第2のフレキシブル側壁を含む。
【0023】
別の実施形態において、装置は、キャリッジアセンブリが副走査方向の第1の端にあるときに、第1のフレキシブル側壁に対して押圧力を加えるように構成される、第1の押圧部材を更に含む。
【0024】
別の実施形態において、装置は、キャリッジアセンブリが副走査方向の第2の端にあるときに、第2のフレキシブル側壁に対して押圧力を加えるように構成される、第2の押圧部材を更に含む。
【0025】
別の実施形態において、流体タンクは、剛性の仕切りにある封止された開口を通じて横方向に配置される細長い部材である変形部材を更に含む。変形部材の第1の端が、第1のフレキシブル側壁に取り付けられ、変形部材の第2の端が、第2のフレキシブル側壁に取り付けられる。変形部材は、キャリッジアセンブリの移動に応答して横方向に移動して、第1のフレキシブル側壁及び第2のフレキシブル側壁を変形させるように構成される。
【0026】
別の実施形態において、流体タンクは、変形部材を更に含み、変形部材は、水平バーと、水平バーの両端から突出する垂直バーと、水平バーに取り付けられる重りとを含む。垂直バーの第1のものは、第1のフレキシブル側壁に取り付けられ、垂直バーの第2のものは、第2のフレキシブル側壁に取り付けられる。変形部材は、キャリッジアセンブリの移動に応答して揺動して、第1のフレキシブル側壁及び第2のフレキシブル側壁を変形させるように構成される。
【0027】
上記要約は、本明細書の幾つかの側面の基本的な理解を提供する。この要約は、本明細書の広範な概要ではない。それは、本明細書の鍵となる要素又は重要な要素を特定することも、本明細書の特定の実施形態の如何なる範囲又は請求項の如何なる範囲を境界付けることも意図していない。その唯一の目的は、本明細書の幾つかの概念を、後に提示するより詳細な記述の序文として、簡略化した形態で提示することである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
ここで、添付の図面を参照して、ほんの一例として、本開示の幾つかの実施形態を記載する。同じ参照番号は、全ての図面で同じ要素又は同じタイプの要素を表している。
【0029】
図1】例示的な実施形態における噴射装置の概略図である。
【0030】
図2】例示的な実施形態におけるプリントヘッドの斜視図である。
【0031】
図3】例示的な実施形態におけるプリントヘッド内の噴射チャネルの概略図である。
【0032】
図4】例示的な実施形態におけるプリントヘッド内の噴射チャネルの概略図である。
図5】例示的な実施形態におけるプリントヘッド内の噴射チャネルの概略図である。
【0033】
図6】例示的な実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
【0034】
図7】例示的な実施形態における流体タンクを例示している。
【0035】
図8】例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図9】例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図10】例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
【0036】
図11】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図12】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図13】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
【0037】
図14】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図15】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図16】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
【0038】
図17】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図18】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図19】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
【0039】
図20】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図21】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図22】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
【0040】
図23】別の例示的な実施形態における流体タンクを例示している。
【0041】
図24】例示的な実施形態におけるプリントヘッド及び流体タンクの走査を例示している。
【0042】
図25】別の例示的な実施形態におけるプリントヘッド及び流体タンクの走査を例示している。
【0043】
図26】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図27】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図28】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
【0044】
図29】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図30】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
図31】別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンクを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図面及び以下の記述は、特定の例示的な実施形態を例示している。よって、当業者は、本明細書に明示的に記載されておらず或いは示されていないが、実施形態の原理を具現し、実施形態の範囲内に含まれる、様々な構成を考案し得ることが理解されるであろう。更に、本明細書に記載するあらゆる例は、実施形態の原理を理解することを助けることを意図し、そのような具体的に列挙される例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。その結果、本発明の(複数の)概念は、以下に記載する特定の実施形態又は例に限定されず、請求項及びそれらの均等物によって限定される。
【0046】
図1は、例示的な実施形態における噴射装置100(jetting apparatus)の概略図である。この実施形態において、噴射装置100は、キャリッジアセンブリ102を含むシャトル型装置である。キャリッジアセンブリ102は、動作中に走査ライン又は副走査方向(サブスキャン方向)に沿って前後に(即ち、印刷媒体に対して横方向に)往復動する搬送構造103を含む。1つ又はそれよりも多くのプリントヘッド104(印字ヘッド)(printheads)が、搬送構造103に取り付けられている。プリントヘッド104は、(図1では見えない)複数のオリフィス又はノズルを通じて、インク(例えば、水、溶剤、オイル、又はUV硬化性)のようなプリント流体(印刷流体)(print fluid)の滴106を射出する(eject)ように構成された、デバイス、装置、又は構成要素(コンポーネント)である。プリントヘッド104のノズルから射出される滴106は、媒体112に向かって方向付けられる。媒体112は、インク又は他のプリント流体がプリントヘッドによって塗布される、紙、プラスチック、カードストック、透明シート、3D印刷用基板、布等のような、任意のタイプの材料を含む。典型的には、プリントヘッド104のノズルは、プリントヘッド104及び/又は媒体112が互いに対して移動させられるときに、ノズルからのプリント流体の射出が、媒体112上に、キャラクタ、シンボル、画像、物体の層等の形成を引き起こすように、1つ又はそれよりも多くの列に配置される。媒体輸送機構114(media transport mechanism)は、媒体112をプリントヘッド104に対して移動させるように構成される。噴射装置100は、噴射装置100の全体的な動作を制御する噴射装置コントローラ122も含む。噴射装置コントローラ122は、画像データを受信するためにデータソースに接続し、各プリントヘッド104を制御して、媒体112上の所望の画素グリッド上にプリント流体を吐出する(discharge)ことがある。噴射装置100は、搬送構造103上に取り付けられ、プリント流体を収容するように構成される、リザーバ110〜111(貯槽)も含む。図1には示されていないが、リザーバ110〜111は、ホース又は同等物を介してプリントヘッド104に接続されてよい。搬送構造103は、プリントヘッド104及びリザーバ110〜111を取り付けるための任意の所望の構造を備えてよい。
【0047】
この実施形態において、キャリッジアセンブリ102は、媒体112の表面に亘って前後に往復動する。キャリッジアセンブリ102の移動をもたらすために、噴射装置100は、キャリッジアセンブリ102を媒体112に対して移動させて印刷動作を実行する、キャリッジ移動機構120を含む。例えば、キャリッジ移動機構120は、1つ又はそれよりも多くの細長いロッドを含んでよく、キャリッジアセンブリ102は、媒体112上で両方向に移動するように細長いロッドにスライド可能に取り付けられてよい。キャリッジ移動機構120は、細長いロッドに沿ってキャリッジアセンブリ102をスライドさせるアクチュエータを含んでもよい。
【0048】
図2は、例示的な実施形態におけるプリントヘッド200の斜視図である。プリントヘッド200は、噴射装置100において使用されるプリントヘッド104の一例である。プリントヘッド200は、ヘッド部材202と、電子機器204(エレクトロニクス)(electronics)とを含む。ヘッド部材202は、プリントヘッド200の噴射チャネル(噴射路)を形成する細長い構成要素である。典型的な噴射チャネルは、ノズルと、圧力チャンバと、圧電アクチュエータのようなアクチュエータによって駆動されるダイヤフラムとを含む。電子機器204は、制御信号に応答して、プリントヘッド200のノズルが滴をどのように噴射するかを制御する。図2では見えないが、電子機器204は、噴射チャネルのダイヤフラムに接触する複数のアクチュエータ(例えば、圧電アクチュエータ)を含んでよい。電子機器204は、制御信号を受信するためにコントローラ(例えば、噴射装置コントローラ122)に接続される、リボンケーブルのようなケーブル配線206も含む。プリントヘッド200は、噴射装置に、例えば、図1に例示するように、搬送構造103に、プリントヘッド200を固定するように構成される、取付け部材208も含む。取付け部材208は、プリントヘッド200が、ネジ、ボルト、ピン等によって、噴射装置内に取り付けられることがあるように、1つ又はそれよりも多くの穴209を含んでよい。
【0049】
ヘッド部材202の底面220は、噴射チャネルのノズルを含み、プリントヘッド200の吐出面を表す。ヘッド部材202の頂面222は、プリントヘッド200内にプリント流体を受け入れるための及び/又はプリントヘッド200から外にプリント流体(例えば、噴射されない流体)を搬送するための入出力(I/O)部分を表す。I/O面とも呼ぶ頂面222は、複数のI/Oポート211〜212を含む。頂面222は、電子機器204によって隔てられる2つの端226−227を有する。I/Oポート211は、端226に向かって配置され、I/Oポート212は、端227に向かって配置される。I/Oポート211〜212は、リザーバ110/111の供給ホース、カートリッジ、又は同等物との連結のための、ホース継手、ホースバーブ(hose barb)等を含んでよい。
【0050】
ヘッド部材202は、ハウジング230と、プレートスタック232(プレート積重ね)とを含む。ハウジング230は、ステンレス鋼又は別のタイプの材料から作られた剛性部材である。ハウジング230は、アクチュエータが噴射チャネルのダイヤフラムとインタフェース接続することがあるよう、電子機器204がハウジング230を通過する通路を提供する、アクセス穴234を含む。プレートスタック232は、ハウジング230のインタフェース面(図示せず)に取り付けられる。(積層プレートスタックとも呼ぶ)プレートスタック232は、積層スタックを形成するために互いに固定又は結合される一連のプレートである。プレートスタック232は、以下のプレート、即ち、1つ又はそれよりも多くのノズルプレート、1つ又はそれよりも多くのチャンバプレート、1つ又はそれよりも多くのレストリクタプレート(制限器プレート)(restrictor plate)、及びダイヤフラムプレートを含んでよい。ノズルプレートは、1つ又はそれよりも多くの列(例えば、2列、4列など)に配置される複数のノズルを含む。チャンバプレートは、噴射チャネルの圧力チャンバを形成する複数の開口を含む。レストリクタプレートは、噴射チャネルの圧力チャンバをマニホルドと流体的に接続する複数のレストリクタを含む。ダイヤフラムプレートは、アクチュエータ(例えば、圧電アクチュエータ)による作動に応答して振動する、部分的にフレキシブルな(semi-flexible)材料のシートである。
【0051】
圧電プリントヘッド200が図2には示されているが、サーマルプリントヘッドのような他のタイプのプリントヘッド104が噴射装置100において使用されてよい。
【0052】
図3は、例示的な実施形態におけるプリントヘッド200内の噴射チャネル300の概略図である。この図は、プリントヘッド200の長さに沿う図を表している。噴射チャネル300は、プリント流体を噴射又は射出するプリントヘッド200内の構造要素である。各噴射チャネル300は、ダイヤフラム310と、圧力チャンバ312と、ノズル314とを含む。アクチュエータ316は、ダイヤフラム310に接触して、噴射チャネル300からの噴射を制御する。噴射チャネル300は、プリントヘッド200の長さに沿って1つ又はそれよりも多くの列に形成されてよく、各噴射チャネル300は、図3に示すように、類似の構成を有してよい。
【0053】
図4図5は、例示的な実施形態におけるプリントヘッド200内の噴射チャネル300の概略図である。図4図5の図は、プリントヘッド200の一部の幅に亘る噴射チャネル300の断面図である。供給マニホルド418は、第1のレストリクタ420を通じてプリント流体を噴射チャネル300に供給するように構成される。レストリクタ420は、圧力チャンバ312を供給マニホルド418と流体的に連結し、圧力チャンバ312内へのプリント流体の流れを制御する。還流マニホルド422は、第2のレストリクタ424を通じて噴射チャネル300からプリント流体を搬送するように構成される。レストリクタ424は、圧力チャンバ312を還流マニホルド422に流体的に連結し、圧力チャンバ312からのプリント流体の流れを制御する。プリントヘッド200は、「フロースルー(flow-through)」プリントヘッド又は再循環プリントヘッドであり、それはプリント流体がプリントヘッド200を通じて各ノズル314を越えて再循環される場合があることを意味する。フロースルー設計を有することによって、プリント流体は、供給マニホルド418から、プリントヘッド200内の噴射チャネル300を通じて、還流マニホルド422に流れることができる。
【0054】
図4の矢印は、1つの方向における噴射チャネル300を通じるプリント流体の流路を例示している。図4には示されていないが、供給マニホルド418は、リザーバ110に連結され、還流マニホルド422は、リザーバ111に連結される。プリント流体は、プリントヘッド200内の供給マニホルド418から第1のレストリクタ420を通じて圧力チャンバ312に流入する。圧力チャンバ312の1つの壁は、アクチュエータ316と物理的にインタフェース接続し、アクチュエータ316による作動に応答して振動する、ダイヤフラム310と共に形成される。プリント流体は、圧力チャンバ312を通じて流れ、アクチュエータ316による作動に応答して滴の形態でノズル314から流出する。アクチュエータ316は、駆動波形を受け取って、駆動波形上の噴射パルスに応答して作動又は「発射(fire)」するように構成される。噴射チャネル300内のアクチュエータ316の発射は、ノズル314からの滴の噴射を引き起こす圧力チャンバ312内の圧力波を生み出す。ノズル314から噴射されないプリント流体は、圧力チャンバ312から、第2のレストリクタ424を通じて、還流マニホルド422内に流入する。プリント流体は、供給マニホルド418に連結されたリザーバ110と還流マニホルド422に連結されたリザーバ111との間の圧力差の故に、噴射チャネル300を通じて流れることがある。
【0055】
図5の矢印は、逆方向における噴射チャネル300内のプリント流体の流路を例示している。プリント流体は、還流マニホルド422から、第2のレストリクタ424を通じて、圧力チャンバ312に流入する。プリント流体は、圧力チャンバ312を通じて流れ、アクチュエータ316による作動に応答して滴の形態でノズル314から流出する。ノズル314から噴射されないプリント流体は、圧力チャンバ312から、第1のレストリクタ420を通じて供給マニホルド418に流入する。第1のレストリクタ420の長さは、このように流れの反転を可能にするために、第2のレストリクタ424の長さと同じであってよい。
【0056】
図3図5に示すような噴射チャネル300は、ダイヤフラム、圧力チャンバ、及びノズルのような、噴射チャネルの基本構造を例示する一例である。他のタイプの噴射チャネルも本明細書において考慮される。例えば、幾つかの噴射チャネルは、図3図5に例示される形状とは異なる形状を有する圧力チャンバを有してよい。また、供給マニホルド418、還流マニホルド422、及び/又はレストリクタ420/424の位置は、他の実施形態において異なってよい。
【0057】
図6は、例示的な実施形態におけるプリントヘッド200の概略図である。プリントヘッド200の噴射チャネル300は、2つのノズル列におけるノズルとして図6概略的に例示されている。ノズルは、図6において互い違いであるように示されているが、2つのノズル列におけるノズルは、他の実施形態では整列させられてよい。また、他の実施形態では、2つよりも多い又は少ないノズル列があってよい。プリントヘッド200のヘッド部材202は、噴射チャネル300に/噴射チャネル300からプリント流体を搬送又は供給するように構成されるヘッド部材202内に、溝、ダクト、導管などである、供給マニホルド418を含む。供給マニホルド418は、I/Oポート211に流体的に連結され、流路602を介してノズル314によって示される噴射チャネル300にも流体的に連結される。流路602は、レストリクタ(例えば、レストリクタ420)の形態で提供され、レストリクタは、マニホルドを圧力チャンバに流体的に連結して、プリント流体の逆流を防止する、通路である。プリント流体がI/Oポート211に供給されるとき、プリント流体は、供給マニホルド418を通じて流れ、噴射チャネル300に引き込まれる。供給マニホルド418の主要部分又は区画は、一列の噴射チャネル300と流体的に連結するよう、プリントヘッド200内に長手方向に配置される。
【0058】
プリントヘッド200のヘッド部材202は、噴射チャネル300にプリント流体を搬送する/噴射チャネル300からプリント流体を受け取るように構成されたヘッド部材202内に、溝、ダクト、導管などである、還流マニホルド422も含む。還流マニホルド422は、I/Oポート212に流体的に連結され、流路604を介してノズル314によって示される噴射チャネル300にも流体的に連結される。流路604は、レストリクタ(例えば、レストリクタ424)の形態で提供される。プリント流体は、噴射チャネル300から、還流マニホルド422を通じて流れ、I/Oポート212から流出してよい。還流マニホルド422の主要部分又は区画は、一列の噴射チャネル300と流体的に連結するよう、プリントヘッド200内に長手方向に配置される。プリントヘッド200を通じるプリント流体の流れは反転されることがあるので、供給マニホルド418は、還流マニホルドとして作用することがあり、還流マニホルド422は、プリントヘッド200を通じるプリント流体の流れの方向に依存して、供給マニホルドとして作用することがある。
【0059】
以下の実施形態には、フロースループリントヘッド又は別のタイプのプリントヘッドにプリント流体を提供する流体タンク(例えば、インクタンク)が記載されている。従来的な噴射装置の1つの問題は、特にプリントヘッド又は個々の噴射チャネルが休止しているときに、プリント流体がプリントヘッド内で乾燥又は凝固し始めることである。よって、乾燥を避けるために、プリント流体の動きを作り出すことが有益な場合がある。以下に記載する実施形態において、流体タンクの構造は、タンク及び/又はプリントヘッド内の乾燥を防止するために、プリント流体の移動を作り出す。
【0060】
図7は、例示的な実施形態における流体タンク700を例示している。流体タンクは、プリント流体のためのレセプタクル又は貯蔵チャンバを含む。図7は、流体タンク700の側面図であり、頂壁702と、底壁703と、側壁714〜715とを示している。流体タンク700は、四角形、円筒形、又は別の形状であってよく、よって、側壁714〜715の数は、形状に依存する。頂壁702及び底壁703は、プラスチックのような、剛性材料から形成されてよい。側壁714〜715は、幾つかの実施形態において剛性材料から形成されてよく、他の実施形態ではフレキシブル材料(可撓性材料)から形成されてよい。流体タンク700は、プリント流体を収容するように構成された、頂壁702と底壁703との間に配置された2つの一体化されたリザーバ110〜111を有する。流体タンク700は、プリントヘッドと流体的に連結するように構成された入出力(I/O)ポート705を含み、プリント流体は、リザーバ110に流入してよく、或いはリザーバ110から流出してよい。流体タンク700は、プリントヘッドと流体的に連結するように構成されたI/Oポート706も含み、プリント流体は、リザーバ111に流入してよく、或いはリザーバ111から流出してよい。流体タンク700は、リザーバ110とリザーバ111との間にフレキシブル膜720(可撓性膜)又は複数のフレキシブル膜も含む。フレキシブル膜720は、リザーバ110とリザーバ111との間の障壁(barrier)、壁、分割器(divider)、又は境界を形成する、材料の薄い柔軟なシート(又は複数のシート)である(即ち、不透過性である)。フレキシブル膜720は、頂壁702と底壁703との間に延在してよく、或いは頂壁702と底壁703との間の距離の少なくとも一部に延在してよい。フレキシブル膜720は、例えば、キャリッジアセンブリの動きに応答して、湾曲し(curve)、捩れ(twist)、撓み(bow)、シフトし(shift)、屈曲し(flex)、或いは他の方法で変形して、リザーバ110とリザーバ111との間に圧力差を作り出すように構成される。図7において、リザーバ110〜111の容積は、フレキシブル膜720が変形されないときと同じである。フレキシブル膜720が変形すると、一方のリザーバの容積は増加し、他方のリザーバの容積は減少し、それは圧力差を作り出す。流体タンク700は、リザーバ110及びリザーバ111に連結された弁730も含み、弁730は、リザーバ110〜111の一方又は両方の圧力を解放するように構成される。
【0061】
1つの実施形態において、リザーバ110〜111内のプリント流体の移動は、フレキシブル膜720を変形させるのに十分なことがある。他の実施形態では、フレキシブル膜720を所望の方法で変形させるために、変形部材がフレキシブル膜720に何らかの方法で取り付けられてよい。図8図10は、例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンク700を例示している。この実施形態において、変形部材802は、円筒状ロッド又はバーのような、細長い部材である。変形部材802は、流体タンク700内の(即ち、底壁703内の)封止された開口804を通じて配置され、フレキシブル膜720と概ね同一平面に方向付けられる。フレキシブル膜720は、頂壁702と底壁703との間に概ね延在する。変形部材802の一端810は、フレキシブル膜720に取り付けられ、変形部材802の他端811は、流体タンク700から外向きに延び、拘束されない。変形部材802は、例えば、キャリッジアセンブリの移動に応答して、封止された開口804内で枢動するように構成される。封止された開口804は、変形部材802のための枢動点を定める。変形部材802の前後の枢動運動は、フレキシブル膜720の対応する前後の運動、屈曲運動、又は振動を生み出す。図9図10は、変形部材802の前後の枢動運動に応答するフレキシブル膜720の振動を例示している。図9において、変形部材802の端811は右にシフトし、それはフレキシブル膜720を左にシフトさせる。図10において、変形部材802の端811は左にシフトし、それはフレキシブル膜720を右にシフトさせる。変形部材802のこの移動又は枢動は、副走査方向に沿うキャリッジアセンブリ102の振動に応答して、フレキシブル膜720の振動を生み出す。プリントヘッド104は図9図10に示されていないが、フレキシブル膜720が図9におけるように左にシフトすると、リザーバ110の容積は減少し、リザーバ111の容積は増加する。これは、矢印によって示すように、プリント流体をリザーバ110から流出させ、(プリントヘッド104を通じて)リザーバ111へ流入させる。フレキシブル膜720が図10におけるように右にシフトすると、リザーバ110の容積は増加し、リザーバ111の容積は減少する。これは、矢印によって示すように、プリント流体をリザーバ111から流出させ、(プリントヘッド104を通じて)リザーバ110へ流入させる。
【0062】
図11図13は、別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンク700を例示している。この実施形態において、変形部材802は、再び、円筒状ロッド又はバーのような、細長い部材である。変形部材802は、頂壁702と底壁703との間に延在するフレキシブル膜720に対して概ね横方向に方向付けられている。変形部材802は、フレキシブル膜720を通じて配置され、中央部1114でフレキシブル膜720に封止式に取り付けられる。変形部材802は、リザーバ110の側壁714(剛性)にある封止された開口1104を通じて並びにリザーバ111の側壁715(剛性)にある封止された開口1105を通じて更に配置される。変形部材802は、例えば、キャリッジアセンブリの移動に応答して、封止された開口1104〜1105内をスライドするように構成される。変形部材802の前後のスライド運動は、フレキシブル膜720の対応する前後の運動又は振動を生み出す。図12図13は、変形部材802の前後のスライド運動に応答するフレキシブル膜720の振動を例示している。図12において、変形部材802は左にシフトし、それはフレキシブル膜720を左にシフトさせる。図13において、変形部材802は右にシフトし、それはフレキシブル膜720を右にシフトさせる。変形部材802のこの移動又はスライドは、副走査方向に沿うキャリッジアセンブリ102の往復動に応答して、フレキシブル膜720の振動を生み出す。
【0063】
図14図16は、別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンク700を例示している。この実施形態において、変形部材802は、再び、円筒状ロッド又はバーのような、細長い部材である。変形部材802は、頂壁702と底壁703との間に部分的に延在するフレキシブル膜720に対して概ね横方向に方向付けられる。変形部材802は、フレキシブル膜720を通じて配置され、中央部1414でフレキシブル膜720に取り付けられる。この実施形態において、側壁714〜715は、フレキシブルな材料(可撓な材料)から作られる。変形部材802は、リザーバ110の側壁714を通じて配置され、端1410に向かって側壁714に封止式に取り付けられる。変形部材802は、リザーバ111の側壁715を通じて更に配置され、端1411に向かって側壁715に封止式に取り付けられる。変形部材802は、例えば、キャリッジアセンブリの移動に応答して、横方向に移動し、シフトし、或いは並進するように構成される。変形部材802の前後の運動は、フレキシブル膜720及び側壁714〜715の対応する前後の運動又は振動を生み出す。図15〜16は、変形部材802の前後の運動に応答する、フレキシブル膜720及び側壁714〜715の振動を例示している。図15において、変形部材802は左にシフトし、それはフレキシブル膜720及び側壁714〜715を左にシフトさせる。図16において、変形部材802は右にシフトし、それはフレキシブル膜720及び側壁714〜715を右にシフトさせる。変形部材802のこの移動は、副走査方向に沿うキャリッジアセンブリ102の往復動に応答して、フレキシブル膜720及び側壁714〜715の振動を生み出す。
【0064】
図17図19は、別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンク700を例示している。この実施形態において、変形部材802は、ボール、球形の塊、又は他の所望の形状の塊のような、流体タンク700内に配置される重み付け部材である。この実施形態において、側壁714〜715は、剛性であってよい。フレキシブル膜720が、頂壁702と底壁703との間に概ね延在し、別のフレキシブル膜720は、側壁714〜715の間に概ね延在する。よって、リザーバ110は、フレキシブル膜720によって対角チャンバに分離され、リザーバ111も、フレキシブル膜720によって対角チャンバに分離される。変形部材802は、フレキシブル膜720の中央に向かって或いはフレキシブル膜720の間の交差部で、フレキシブル膜720に封止式に取り付けられる。変形部材802は、リザーバ110の対角チャンバと流体的に連結するように構成された流路1710を含み、リザーバ111の対角チャンバと流体的に連結するように構成された流路1711を含む。変形部材802は、例えば、キャリッジアセンブリの移動に応答して、捩れる、回る、或いは回転するように構成される。変形部材802の捩れ運動は、フレキシブル膜720の対応する振動を生み出す。図18図19は、変形部材802の捩れ運動に応答するフレキシブル膜720の振動を例示している。図18において、変形部材802は左に向かって捩れ、これはフレキシブル膜720を変形させ、矢印によって示すように、プリント流体をリザーバ111から流出させ、(プリントヘッド104を通じて)リザーバ110に流入させる。図19において、変形部材802は右に捩れ、これはフレキシブル膜720を変形させ、矢印によって示すように、プリント流体をリザーバ110から流出させ、(プリントヘッド104を通じて)リザーバ111に流入させる。変形部材802のこの移動は、副走査方向に沿うキャリッジアセンブリ102の往復動に応答して、フレキシブル膜720の振動を生み出す。
【0065】
図20図22は、別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンク700を例示している。この実施形態において、リザーバ110〜111の間のフレキシブル膜720は、リザーバ110の側壁を形成する第1のフレキシブル膜2002と、リザーバ111の側壁を形成する第2のフレキシブル膜2003とから構成されている。フレキシブル膜2002−2003は、ある距離だけ離間させられている。変形部材802は、一端でフレキシブル膜2002に取り付けられ、他端でフレキシブル膜2003に取り付けられる、接続部材2010を含む。変形部材802は、接続部材2010から吊り下げられた振り子部材2012も含む。振り子部材2012は、例えば、キャリッジアセンブリの移動に応答して、揺動(スイング)するように構成される。振り子部材2012の前後の揺動運動は、フレキシブル膜2002〜2003の対応する前後の運動又は振動を生み出す。図21図22は、振り子部材2012の前後の揺動運動に応答するフレキシブル膜2002〜2003の振動を例示している。図21において、振り子部材2012は右に揺動し、それはフレキシブル膜2002〜2003を左にシフトさせる。図22において、振り子部材2012は左に揺動し、それはフレキシブル膜2002〜2003を右にシフトさせる。振り子部材2012のこの移動又は揺動は、副走査方向に沿うキャリッジアセンブリ102の往復動に応答して、フレキシブル膜2002〜2003の振動を生み出す。
【0066】
図23は、別の例示的な実施形態における流体タンク2300を例示している。図23は、流体タンク2300の側面図であり、頂壁2302と、底壁2303と、側壁2314〜2315とを示している。流体タンク2300は、四角形、円筒形、又は別の形状であることがあり、よって、側壁2314〜2315の数は、形状に依存する。頂壁2302及び底壁2303は、剛性材料から形成され、側壁2314〜2315(少なくとも2つ)は、フレキシブルな材料から形成される。側壁2314〜2315をフレキシブル側壁(可撓性側壁)と呼ぶ。流体タンク2300は、プリント流体を収容するように構成される、頂壁2302と底壁2303との間に配置される2つの一体化されたリザーバ110〜111を有する。流体タンク2300は、プリントヘッドと流体的に連結するように構成されたI/Oポート705を含み、プリント流体は、リザーバ110に流入してよく、或いはリザーバ110から流出してよい。流体タンク2300は、プリントヘッドと流体的に連結するように構成されたI/Oポート706も含み、プリント流体は、リザーバ111に流入してよく、或いはリザーバ111から流出してよい。流体タンク2300は、剛性材料から形成される、リザーバ110とリザーバ111との間の仕切り2320も含む。フレキシブル側壁2314〜2315は、仕切り2320の両側にある。フレキシブル側壁2314〜2315は、キャリッジアセンブリの移動又はリザーバ110とリザーバ111との間に圧力差を作り出す押圧力の外部適用に応答して、湾曲し、捩れ、撓み、シフトし、或いはその他の方法で変形するように構成される。図23において、リザーバ110〜111の容積は、フレキシブル側壁2314〜2315が変形されないときには同じである。フレキシブル側壁2314〜2315の一方又は両方が変形すると、リザーバの一方又は両方の容積が変化し、それは圧力差を生む。流体タンク2300は、リザーバ110とリザーバ111とに連結された弁730も含み、弁730は、リザーバ110〜111の一方又は両方の圧力を解放するように構成される。
【0067】
図24は、例示的な実施形態におけるプリントヘッド104及び流体タンク2300の走査を例示している。上述のように、キャリッジアセンブリ102は、副走査方向に沿って往復動するように構成される。図24は、副走査方向の第1の端2401(図24の左側)でのプリントヘッド104及び流体タンク2300を示している。副走査方向の第1の端2401で、押圧部材2410がフレキシブル側壁2314に対して押圧力を加えるよう、押圧部材2410が噴射装置100内に配置される。押圧部材2410は、所望の押圧力を加える任意の構造要素を含んでよい。例えば、丸いポストが、副走査方向の第1の端2401又はその付近で噴射装置100内に装着されてよい。プリントヘッド104及び流体タンク2300が副走査方向の第1の端2401に向かって移動すると、流体タンク2300のフレキシブル側壁2314は、丸いポストに接触させられる。よって、丸いポストは、流体タンク2300の移動に関連する噴射装置100におけるその位置決めに基づいて、フレキシブル側壁2314に対して押圧力を加える。フレキシブル側壁2314の変形は、矢印によって示すように、リザーバ110の容積を減少させ、(プリントヘッド104を通じて)プリント流体をザーバ110から流出させ、リザーバ111に流入させる。プリントヘッド104が副走査方向に沿って(左から右に)移動すると、流体タンク2300は、プリントヘッド104にプリント流体を供給する。
【0068】
流体タンク2300が副走査方向の第1の端2401に位置付けられるとき、弁730が能動弁であるならば、弁730は閉じられてよい。弁730は、プリントヘッド104及び流体タンク2300が副走査方向に沿って第2の端2402に向かって移動するときに、閉じたままであってよい。第2の端2402にあるとき、弁730が能動弁であるならば、弁730は開かれてよい。代替的に、弁730が一方向弁であるならば、負圧が閾値を超えるときにはいつでも、弁は開いてよい。
【0069】
図25は、別の例示的な実施形態におけるプリントヘッド104及び流体タンク2300の走査を例示している。図25は、副走査方向の第2の端2402(図25の右側)でプリントヘッド104及び流体タンク2300を示している。副走査方向の第2の端2402で、押圧部材2510がフレキシブル側壁2315に対して押圧力を加えるよう、押圧部材2510が噴射装置100内に配置される。押圧部材2410と同様に、押圧部材2510は、所望の押圧力を加える任意の構造要素を含んでよい。例えば、丸いポストが、副走査方向の第2の端2402又はその付近で噴射装置100内に装着されてよい。プリントヘッド104及び流体タンク2300が副走査方向の第2の端2402に向かって移動するときに、流体タンク2300のフレキシブル側壁2315は、丸いポストと接触させられる。よって、丸いポストは、流体タンク2300の移動に関連する噴射装置100におけるその位置決めに基づいて、フレキシブル側壁2315に対して押圧力を加える。フレキシブル側壁2315の変形は、矢印によって示すように、リザーバ111の容積を減少させ、(プリントヘッド104を通じて)プリント流体をリザーバ111から流出させ、リザーバ110に流入させる。プリントヘッド104が副走査方向に沿って(右から左に)移動すると、流体タンク2300は、プリントヘッド104にプリント流体を供給する。
【0070】
他の実施形態では、変形部材をフレキシブル壁2314〜2315(可撓性壁)に取り付けて、フレキシブル壁2314〜2315を所望の方法で変形させてよい。図26図28は、別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンク2300を例示している。この実施形態において、変形部材802は、円筒状ロッド又はバーのような、細長い部材である。変形部材802は、仕切り2320及びフレキシブル壁2314〜2315に対して概ね横方向に方向付けられる。変形部材802は、仕切り2320内の封止された開口2602を通じて配置される。変形部材802は、リザーバ110の側壁2314を通じて配置され、端2610に向かって側壁2314に封止式に取り付けられる。変形部材802は、リザーバ111の側壁2315を通じて更に配置され、端2611に向かって側壁2315に封止式に取り付けられる。変形部材802は、例えば、キャリッジアセンブリの移動に応答して、横方向に移動し、シフトし、或いは並進するように構成される。変形部材802の前後の運動は、フレキシブル壁2314〜2315の対応する前後の運動又は振動を生み出す。図27図28は、変形部材802の前後の運動に応答するフレキシブル壁2314〜2315の振動を例示している。図27において、変形部材802は左にシフトし、それはフレキシブル壁2314〜2315を左にシフトさせる。図28において、変形部材802は右にシフトし、それはフレキシブル壁2314〜2315を右にシフトさせる。変形部材802のこの移動は、副走査方向に沿うキャリッジアセンブリ102の往復動に応答して、フレキシブル壁2314−2315の振動を生む。
【0071】
図29図31は、別の例示的な実施形態における変形部材を備える流体タンク2300を例示している。この実施形態において、変形部材802は、水平バー2902と、U形状を形成するように水平バー2902の対向する端から突出する垂直バー2904とを含む。垂直バー2904の一方は、フレキシブル壁2314に取り付けられ、他方の垂直バー2904は、フレキシブル壁2315に取り付けられる。変形部材802は、水平バー2902に取り付けられた重り2906を更に含む。変形部材802は、例えば、キャリッジアセンブリの移動に応答して、揺動するように構成される。変形部材802の振動運動は、フレキシブル壁2314〜2315の対応する前後の運動又は振動を生む。図30図31は、変形部材802の揺動運動に応答する、フレキシブル壁2314〜2315の振動を例示している。図30において、変形部材802は右に揺動し、それはフレキシブル壁2314〜2315を左にシフトさせる。図31において、変形部材802は左に揺動し、それはフレキシブル壁2314〜2315を右に揺動させる。変形部材802のこの移動は、副走査方向に沿うキャリッジアセンブリ102の往復動に応答して、フレキシブル壁2314〜2315の振動を生む。
【0072】
特定の実施形態が本明細書において記載されたが、本発明の範囲はこれらの特定の実施形態に限定されない。本発明の範囲は以下の請求項及びそれらのあらゆる均等物によって定義される。
【符号の説明】
【0073】
100 噴射装置
102 キャリッジアセンブリ
103 搬送構造
104 プリントヘッド
106 滴
110 リザーバ
111 リザーバ
112 媒体
200 プリントヘッド
202 ヘッド部材
204 電子機器
206 配線
208 取付け部材
209 穴
211 入出力(I/O)ポート
212 入出力(I/O)ポート
220 底面
222 頂面
226 端
227 端
230 ハウジング
232 プレートスタック
234 アクセス穴
300 噴射チャネル
310 ダイヤフラム
312 圧力チャンバ
314 ノズル
316 アクチュエータ
418 供給マニホルド
420 レストリクタ
422 還流マニホルド
424 レストリクタ
602 流路
700 流体タンク
702 頂壁
703 底壁
705 入出力(I/O)ポート
706 入出力(I/O)ポート
714 側壁
715 側壁
720 フレキシブル膜
730 弁
802 変形部材
804 封止された開口
810 一端
811 他端
1104 封止された開口
1105 封止された開口
1114 中央部
1410 端
1411 端
1414 中央部
1710 流路
1711 流路
2002 第1のフレキシブル膜
2003 第2のフレキシブル膜
2010 接続部材
2012 振り子部材
2300 流体タンク
2302 頂壁
2303 底壁
2314 側壁(フレキシブル側壁)(フレキシブル壁)
2315 側壁(フレキシブル側壁)(フレキシブル壁)
2401 第1の端
2402 第2の端
2410 押圧部材
2602 封止された開口
2902 水平バー
2904 垂直バー
2906 重り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
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図15
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図17
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図22
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図31