(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973534
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】希薄薬液供給装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20060101AFI20211118BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
C02F1/00 K
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648K
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-41111(P2020-41111)
(22)【出願日】2020年3月10日
(65)【公開番号】特開2021-144986(P2021-144986A)
(43)【公開日】2021年9月24日
【審査請求日】2020年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】飯野 秀章
【審査官】
松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/139653(WO,A1)
【文献】
特開2019−147112(JP,A)
【文献】
特開2018−206998(JP,A)
【文献】
特開昭61−015729(JP,A)
【文献】
特開2000−271549(JP,A)
【文献】
特開2019−192864(JP,A)
【文献】
特開2006−105751(JP,A)
【文献】
特開2000−354857(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/135064(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体用ウェハの洗浄又はリンスに用いられる希薄薬液を供給する希薄薬液供給装置であって、
TOCが1μg/L以下である超純水の流量に対して所定量の薬液を添加することで、該薬液の所定の濃度の希薄薬液を製造する希薄薬液製造部と、
この製造された希薄薬液を貯留する貯留槽と、
前記希薄薬液をユースポイントに供給する希薄薬液供給機構と、
前記ユースポイントでの余剰の希薄薬液を貯留槽にまで返送する返送配管及び該返送配管の途中に設けられた前記薬液成分の濃度検知手段を備えた返送機構と
を備え、
前記薬液はpH調整剤及び/又は酸化還元電位調整剤であり、
前記pH調整剤は塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びTMAHから成る群から選択される少なくとも一種を含み、
前記酸化還元電位調整剤は過酸化水素水、シュウ酸、硫化水素、ヨウ化カリウムから成る群から選択される少なくとも一種を含む、
希薄薬液供給装置。
【請求項2】
前記希薄薬液供給機構が前記貯留槽から供給された希薄薬液に所定のガス成分を溶解するガス溶解手段を備える、請求項1に記載の希薄薬液供給装置。
【請求項3】
前記希薄薬液製造部が前記薬液を添加するプランジャポンプを備える、請求項1又は2に記載の希薄薬液供給装置。
【請求項4】
希薄薬液製造部が、前記薬液を貯留する密閉タンクと該密閉タンクに不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段とからなる薬液添加装置を備える、請求項1又は2に記載の希薄薬液供給装置。
【請求項5】
前記貯留槽に該貯留槽の水位を検知するレベルセンサが設けられており、このレベルセンサによる貯留槽の水位情報に基づいて、希薄薬液製造部での希薄薬液の製造・停止が制御可能となっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の希薄薬液供給装置。
【請求項6】
前記貯留槽に排出機構を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の希薄薬液供給装置。
【請求項7】
前記希薄薬液製造部における希薄薬液の製造量が調整可能である、請求項5又は6に記載の希薄薬液供給装置。
【請求項8】
前記貯留槽が2槽以上並列に設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の希薄薬液供給装置。
【請求項9】
前記ガス溶解手段の前段に前記希薄薬液中の溶存ガスを除去するガス除去手段を備える、請求項2に記載の希薄薬液供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体用ウェハなどの洗浄・リンス工程において有効な、アルカリ、酸化剤、ガス等の溶質をごく低濃度に含む希薄薬液を安定的にかつ効率良く供給することの可能な希薄薬液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程において、半導体用シリコンウェハなどの洗浄工程では、pHや酸化還元電位の制御に有効な溶質を超純水にごく低濃度溶解した水(以下、希薄薬液と呼ぶことがある)が使われることがある。この希薄薬液は、超純水を基本材料として、洗浄工程やリンス工程などそれぞれの工程の目的に合致したpHや酸化還元電位などの液性を付与するために、酸・アルカリ、酸化剤・還元剤を添加することがある。この場合、これらの添加量はシリコンウェハに過度な影響を及ぼさないためには必要最少量であることが望ましい。ここで、pH調整には、一般にHClやNH
4OHを微量添加(薬注)する方法が活用されている。また、超純水にガスを溶解させてpH調整あるいは不活性化を保持させる場合には、CO
2ガスやN
2ガスを溶解することが行われている。さらに、還元性を付与したい場合には。H
2ガスを溶解することも行われている。
【0003】
このような薬液の添加方法としては、プランジャポンプなどのポンプを用いる方法、密閉容器に充填した薬液をN
2ガスなどの不活性ガスにより加圧して押し出す方法などが実用化されている。
【0004】
この場合において、薬注は超純水の流量が一定であれば、所望の溶質濃度にすることは容易であるが、実際に希薄薬液が用いられる洗浄機、特に複数の洗浄チャンバを有する枚葉式の洗浄機では、ウェハに注がれる水の供給・停止が複数のバルブの開閉で制御されているため、希薄薬液の流量が不規則に変動する。この変動に対して、希薄薬液の溶質濃度が所望とする範囲に収まるように、超純水の流量に対する薬液の添加量を比例制御や濃度モニターの信号を受けてのPID制御など様々な手法によってコントロールすることが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、枚葉式の洗浄機では流量が不規則に変動するが、この不規則な流量変動に十分に追従可能な薬注コントロールは実現できておらず、結果としてウェハに注がれる洗浄水・リンス水の液質は、理想とする値の範囲から逸脱した広い範囲での制御とせざるを得ない、という問題点があった。
【0006】
そこで、希薄薬液の濃度の安定化を優先し、過剰量の希薄薬液を一定の条件で製造し供給し続けることが考えられるが、この場合、余剰の希薄薬液を多量に排出することになる。近年の複数の洗浄チャンバを有する枚葉式洗浄機では、瞬間的に必要となる希薄薬液の最大流量と最低流量の差が大きくなるが、希薄薬液の最大流量より多くの希薄薬液を連続供給すると相当量の余剰水(余剰希薄薬液)を排出することになり、用排水設備への負担、希薄薬液の過剰な排出、ひいては基本材料としての超純水を過剰に浪費することになるなどの点で問題がある。
【0007】
余剰水(余剰希薄薬液)、特に加熱装置を通過した後の余剰水をそのまま再利用することは、H
2O
2やO
3など酸化性を有する酸化剤が、それ自体の自然分解および他の薬液との反応により分解して濃度が変動する傾向にあるため、厳密な濃度のコントロールの観点からは不適である。同様にH
2ガス、CO
2ガスなどを溶解させたガス溶解水の余剰水においても、ガス透過性を有するチューブやタンクを経て貯留槽に返送されるまでの間に、溶解したガスの濃度が低下してしまう、という問題点がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、希薄薬液の溶質の濃度を精度よく調整可能であり、かつ余剰水の排出を抑制した、ウェハなどの洗浄に好適な希薄薬液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明は、超純水の流量に対して所定量の薬液を添加することで、該薬液の所定の濃度の希薄薬液を製造する希薄薬液製造部と、この製造された希薄薬液を貯留する貯留槽と、前記希薄薬液をユースポイントに供給する希薄薬液供給機構と、前記ユースポイントでの余剰の希薄薬液を貯留槽にまで返送する返送配管及び該返送配管の途中に設けられた前記薬液成分の濃度検知手段を備えた返送機構とを備える、希薄薬液供給装置を提供する(発明1)。
【0010】
かかる発明(発明1)によれば、超純水に対して所定量の薬液を添加して、所定の濃度の希薄薬液を製造したら、一旦貯留槽に貯留し、この貯留槽からユースポイントに供給することができる。そして、余剰の希薄薬液は、薬液成分の濃度を検知した上で貯留槽に返送して、貯留槽の希薄薬液の濃度を適切に管理することで余剰の希薄薬液を再利用することができる。
【0011】
上記発明(発明1)においては、前記希薄薬液供給機構が前記貯留槽から供給された希薄薬液に所定のガス成分を溶解するガス溶解手段を備えることが好ましい(発明2)。
【0012】
かかる発明(発明2)によれば、希薄薬液にさらにガスを溶解した薬液とすることができる。
【0013】
上記発明(発明1,2)においては、前記希薄薬液製造部が前記薬液を添加するプランジャポンプを備えることが好ましい(発明3)。
【0014】
かかる発明(発明3)によれば、プランジャポンプにより、超純水の流量に対して微量の薬液の添加量を制御することにより、所定の濃度の希薄薬液を貯留槽に安定的に供給することができる。
【0015】
上記発明(発明1,2)においては、希薄薬液製造部が、前記薬液を貯留する密閉タンクと該密閉タンクに不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段とからなる薬液添加装置を備えることが好ましい(発明4)。
【0016】
かかる発明(発明4)によれば、超純水の流量に対して不活性ガスに薬液を押し出して所定量の薬液を供給することで、所定の濃度の希薄薬液を貯留槽に安定的に供給することができる。
【0017】
上記発明(発明1〜4)においては、前記貯留槽に該貯留槽の水位を検知するレベルセンサが設けられており、このレベルセンサによる貯留槽の水位情報に基づいて、希薄薬液製造部での希薄薬液の製造・停止が制御可能となっていることが好ましい(発明5)。
【0018】
かかる発明(発明5)によれば、貯留槽の水位が一定のレベルを下回ったら希薄薬液製造部を稼働することで、希薄薬液を効率良く製造することができ、余剰水の発生を排除することができる。
【0019】
上記発明(発明1〜5)においては、前記貯留槽に排出機構を備えることが好ましい(発明6)。
【0020】
かかる発明(発明6)によれば、前記希薄薬液が前記所定の濃度で安定するまで、前記希薄薬液を前記貯留槽に貯留せずに排出することにより、貯留槽内に所定の濃度の希薄薬液を貯留することができるので、ユースポイントに供給する希薄薬液の濃度を精度よくコントロールすることが可能となる。
【0021】
上記発明(発明5,6)においては、前記希薄薬液製造部における希薄薬液の製造量が調整可能であることが好ましい(発明7)。
【0022】
かかる発明(発明7)によれば、貯留槽の水位に応じて希薄薬液の製造量を調整することで、貯留槽の水位を効率良く制御することができる。
【0023】
上記発明(発明1〜7)においては、前記貯留槽が2槽以上並列に設けられていることが好ましい(発明8)。
【0024】
かかる発明(発明8)によれば、ユースポイントに希薄薬液を供給する貯留槽と、希薄薬液を貯留する貯留槽とを異ならせることにより、ユースポイントに供給する希薄薬液の濃度を精度よくコントロールすることが可能となる。
【0025】
上記発明(発明2〜8)においては、前記ガス溶解手段の前段に前記希薄薬液中の溶存ガスを除去するガス除去手段を備えることが好ましい(発明9)。
【0026】
かかる発明(発明9)によれば、希薄薬液にガス溶解手段から供給するガスを精度よくかつ効率的に溶解することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の希薄薬液供給装置によれば、ユースポイントに供給した後の余剰の希薄薬液の薬液成分の濃度を検知した上で貯留槽に返送することができるので、貯留槽の希薄薬液の濃度を適切に管理することで余剰の希薄薬液を再利用することができる。これにより、使用する原水としての超純水を節減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第一の実施形態の希薄薬液供給装置を示すフロー図である。
【
図2】同第一の実施形態の希薄薬液供給装置の希薄薬液調製部の一例を示すフロー図である。
【
図3】同第一の実施形態の希薄薬液供給装置の貯留槽の一例を示すフロー図である。
【
図4】本発明の第二の実施形態の希薄薬液供給装置を示すフロー図である。
【
図5】希薄薬液調製部の他例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第一の実施形態>
[希薄薬液供給装置]
図1は、本発明の第一の実施形態による希薄薬液供給装置を示している。
図1において、希薄薬液供給装置1は、希薄薬液W1を調製する希薄薬液調製部2と、この調製された希薄薬液の貯留槽3と、この貯留槽3に貯留された希薄薬液W1を洗浄水W2として、ユースポイントとしての複数台の枚葉式洗浄機5A、5B及び5Cに供給する希薄薬液調整・供給機構4と、枚葉式洗浄機5A、5B及び5Cにそれぞれ接続した、該枚葉式洗浄機の余剰水を貯留槽3に還流する返送機構とからなる。
【0030】
(希薄薬液調製部)
希薄薬液調製部2は、超純水(DIW)Wの供給源22及び貯留槽3を連通する希薄薬液調製流路21と、この希薄薬液調製流路21の途中に設けられた第一の薬液の供給機構23と、第二の薬液の供給機構24とを有する。そして、これら第一の薬液の供給機構23及び第二の薬液の供給機構24は、本実施形態においては、
図2に示すように第一の薬液のタンク23A及び薬液を添加するプランジャポンプ23Bと、第二の薬液のタンク24A及び薬液を添加するプランジャポンプ24Bとからそれぞれ構成される。なお、希薄薬液調製流路21には、図示しない流量計などの流量計測手段が設けられている。
【0031】
(貯留槽)
貯留槽3は、希薄薬液W1の純度を損なわないために内壁からの溶出が無視できるレベルである高純度の材質製とする。貯留槽3には、該貯留槽3内を不活性ガスとしてのN
2ガスで満たすためのN
2ガス供給機構31と、貯留槽3内の希薄薬液を排出する返送機構32とがそれぞれ接続されている。本実施形態においては、この貯留槽3には、
図3に示すようにその水位を検知するレベルセンサ33が設けられている。また、本実施形態においては、返送機構32は図示しない開閉機構を備えた返送流路34と、この返送流路34に設けられたイオン交換樹脂カラムなどの除去装置35とを備え、該返送流路34はこの除去装置35の下流側で希薄薬液調製部2に連通している。
【0032】
(希薄薬液調整・供給機構)
希薄薬液調整・供給機構4は、貯留槽3と枚葉式洗浄機5A、5B及び5Cとを連通する希薄薬液供給流路41と、この希薄薬液供給流路41の途中に設けられた送液ポンプとしてのブースターポンプ42と、ガス溶解膜43と、このガス溶解膜43の前段に設けられたガス除去膜44とを有する。このガス溶解膜43には、溶解ガス源45と流量制御手段としてのマスフロコントローラ(MFC)46とが接続している。なお、本実施形態においては、希薄薬液供給機構にガス溶解機能を付与することで希薄薬液調整・供給機構4としている。
【0033】
(返送機構)
本実施形態においては、洗浄機5A、5B及び5Cには、返送機構として貯留槽2に還流する返送流路51がそれぞれ接続されており、この返送流路51にはガス除去膜52と第一の薬液及び/又は第二の薬液の濃度を計測表示するオンラインモニタ53とが設けられている。
【0034】
(制御装置)
上述した構成において、第一の薬液の供給機構23、第二の薬液の供給機構24、希薄薬液調製流路21の流量計、レベルセンサ33、返送流路34の開閉機構、及び第一の薬液及び第二の薬液の濃度を検知するオンラインモニタ53は、図示しないパーソナルコンピュータなどの制御装置に連通しており、希薄薬液調製流路21の流量、レベルセンサ33、オンラインモニタ53の計測値に基づいて、返送流路34の開閉、第一の薬液の供給機構23及び第二の薬液の供給機構24の供給量の調整などを制御可能となっている。
【0035】
[希薄薬液の供給方法]
次に上述したような希薄薬液供給装置を用いた希薄薬液の供給方法について、以下説明する。
【0036】
(希薄薬液調製工程)
希薄薬液調製部2において、超純水(DIW)Wの供給源22から超純水Wを供給するとともに第一の薬液の供給機構23と第二の薬液の供給機構24とから、それぞれ第一の薬液及び第二の薬液を供給する。このとき、希薄薬液調製流路21の流量に基づいて、第一の薬液及び第二の薬液が所定の濃度となるように制御装置によりプランジャポンプ23B及びプランジャポンプ24Bを制御して、第一の薬液及び第二の薬液の添加量を調整する。
【0037】
本実施形態において、原水となる超純水Wとは、例えば、抵抗率:18.1MΩ・cm以上、微粒子:粒径50nm以上で1000個/L以下、生菌:1個/L以下、TOC(Total Organic Carbon):1μg/L以下、全シリコン:0.1μg/L以下、金属類:1ng/L以下、イオン類:10ng/L以下、過酸化水素;30μg/L以下、水温:25±2℃のものが好適である。
【0038】
第一の薬液又は第二の薬液のいずれか一方としては、例えば、pH調整剤が好適である。このpH調整剤としては特に制限はないが、pH7未満に調整する場合には、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸などの酸性溶液を用いることができる。また、pH7以上に調整する場合には、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はTMAH等のアルカリ性溶液を用いることができる。
【0039】
また、第二の薬液又は第一の薬液の他方としては、酸化還元電位調整剤が好適である。この酸化還元電位調整剤としては、酸化還元電位を高く調整する場合には、過酸化水素水などを用いることができる。また、酸化還元電位を低く調整する場合にはシュウ酸、硫化水素、ヨウ化カリウムなどの溶液を用いることができる。
【0040】
これら第一の薬液又は第二の薬液は両方を加えてもよいし、いずれか一方を加えてもよく、いずれか一方を加える場合には、第二の薬液の供給機構24はなくてもよい。このように第一の薬液又は第二の薬液のいずれか一方又は両方を超純水Wの流量に基づいて、制御装置により所定の濃度となるようにその添加量を制御することで、所望とする希薄薬液W1を調製する。
【0041】
(貯留工程)
このようにして調製された希薄薬液W1は、そのまま貯留槽3に供給される。このときN
2ガス供給機構31から常時一定圧力のN
2ガスを供給して貯留槽3の上部空間をN
2ガスで満たす。これにより貯留槽3内での希薄薬液W1への溶存ガスの増加によるpHや酸化還元電位の変動を抑制することができる。
【0042】
本実施形態においては、この貯留槽3には、
図3に示すようにレベルセンサ33が設けられているので、このレベルセンサ33の出力に基づき、貯留槽3の保有水量が一定レベルを下回ったら、希薄薬液W1の製造を開始するように、希薄薬液調製部2を制御することで、効率よく希薄薬液W1を製造することが可能となっている。このとき、貯留槽3の水位が一定レベル以上で製造部が停止状態にある場合にも、希薄薬液調製部2では、ごく小流量の超純水Wを通水し続けておくことで、希薄薬液調製部2の系内を清浄に維持することができる。この際の通水した超純水は、排水するか超純水Wの供給源22側に還流合流させればよい。
【0043】
ここで、希薄薬液調製部2で希薄薬液W1の製造を開始した直後は、希薄薬液W1の溶質濃度が安定せず、所定の濃度範囲に収まらないことがある。そこで、調製される希薄薬液W1の濃度が安定するまでに要する時間や処理量を予め調べておき、そこに至るまでは希薄薬液W1を貯留槽3に貯留せずに返送機構32から排出することで、貯留槽3に貯留する供給する希薄薬液W1の溶質濃度を精度よく管理することができる。この際の排出分は排水となるが、全体に占める水量としては僅かである。なお、この希薄薬液W1の排出は、
図3に示すように返送流路34に設けられたイオン交換樹脂カラムなどの除去装置35により、第一の薬液及び/又は第二の薬液成分を除去することで、希薄薬液調製部2側に返送することで排水量を削減するようにしてもよい。なお、貯留槽3内に第一の薬液及び/又は第二の薬液の濃度を計測するセンサを設けておいて、希薄薬液W1の溶質濃度が所定の範囲となるまで排出するようにしてもよい。
【0044】
(希薄薬液調整・供給工程)
続いて、貯留槽3に貯留された希薄薬液W1を該貯留槽3の後段に設けられた送液手段としてのブースターポンプ42により送液する。この際、本実施形態においては、この希薄薬液W1中の溶存ガスをガス溶解膜43で除去した後、ガス除去膜44において溶解ガス源45から供給されるガスを溶解して、洗浄水W2として調整する。このとき洗浄水W2が所定の溶解ガス濃度となるようにマスフロコントローラ(MFC)46により溶解ガス源45から供給されるガスの流量を制御することが好ましい。この溶存ガスとしては、例えば、水素、オゾン、CO
2など洗浄目的に応じて種々選択すればよい。このようにして希薄薬液W1を調整した洗浄水W2を洗浄機5A、5B及び5Cに供給する。
【0045】
(返送工程)
そして、洗浄機5A、5B及び5Cで使用しなかった余剰の洗浄水W2は、返送流路51から貯留槽3に返送する。この余剰の洗浄水W2は、貯留槽3にそのまま返送させても問題ないが、酸化剤が自己分解や薬液との反応で第一の薬液及び/又は第二の薬液の濃度が所定値より低下していないかオンラインモニタ53で確認し、そこで計測された値に応じて、希薄薬液調製部2における第一の薬液の供給機構23及び/又は第二の薬液の供給機構24からの薬液添加濃度を制御装置により適宜コントロールすればよい。
【0046】
このようにして希薄薬液W1(洗浄水W2)を供給することにより、複数の枚葉式洗浄機5A、5B及び5Cが多数のバルブが不規則に開閉する多チャンバ枚葉式洗浄機であっても洗浄・リンス工程で極めて重要な液質を所望の値に精度よく安定に保つ供給が実現でき、かつ余剰の洗浄水W2(希薄薬液W1)の垂れ流しを大幅に削減し、超純水Wの浪費を防止することができる。
【0047】
<第二の実施形態>
次に本発明の第二の実施形態による希薄薬液供給装置について、
図4に基づいて説明する。本実施形態の希薄薬液供給装置は、基本的には前述した第一の実施形態と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0048】
図4において、希薄薬液供給装置は、2個の貯留槽3A、3Bを並列に設けてなり、開閉弁21Bを有する希薄薬液調製流路21の分岐菅21Aを貯留槽3Bに接続するとともに返送流路51の分岐菅51Aを貯留槽3Bに接続し、さらに希薄薬液供給流路41に切替弁41A及び41Bをそれぞれ設けた構成となっている。
【0049】
本実施形態のように貯留槽を2個以上並列に設置し、希薄薬液調製流路21からの希薄薬液W1を貯留する貯留槽を一方(例えば貯留槽3A)として、希薄薬液W1を貯留し終えたら、希薄薬液W1を貯留槽3Bに供給するように開閉弁21Bを開成する。そして、切替弁41Aを開成する一方切替弁41Bを閉鎖して貯留槽3Aから枚葉式洗浄機5A、5B及び5Cに順次洗浄水W2を送水し、その間、送液待機中の貯留槽3Bに希薄薬液W1を貯留する。次にこれとは逆に各弁を切り替えて、貯留槽3Bから希薄薬液W1を供給するとともに、貯留槽3Aに希薄薬液W1を貯留するようにしてもよい。
【0050】
このように希薄薬液W1を貯留する貯留槽を複数並列に設け、希薄薬液W1を貯留する貯留槽と、希薄薬液W1を供給する貯留槽とを切り替えることにより、希薄薬液W1の濃度の安定化と供給の安定化の両立を図ることができる。
【0051】
以上、本発明の希薄薬液供給装置について、上記実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、第一の薬液の供給機構23及び第二の薬液の供給機構24は、
図2に示すものに限らず、
図5に示すように第一の薬液のタンク23A及び第二の薬液のタンク24Aを密閉タンクとし、この第一の薬液のタンク23A及び第二の薬液のタンク24AにN
2ガス供給源25から供給管26を介して、不活性ガスとしてのN
2ガスを供給して、第一の薬液及び第二の薬液を圧送して、第一の薬液及び第二の薬液を所望の溶質濃度となるように溶解するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態においては、希薄薬液調整・供給機構4として、ガス溶解膜43により、所望のガス成分を希薄薬液W1に溶解して洗浄水W2としているが、ガス溶解膜43及びガス除去膜44は必ずしも必要はなく、単に希薄薬液供給機構として、希薄薬液W1をそのまま洗浄水W2として供給してもよいし、ガス除去膜44のみを設けてもよい。さらに、ユースポイントは毎葉式洗浄機に限らず、種々の希薄薬液を使用する装置に適用可能である。さらにまた、本発明は、ユースポイントが複数台の希薄薬液を使用する装置からなるものに好適であるが、一台の希薄薬液を使用する装置であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 希薄薬液供給装置
2 希薄薬液調製部
21 希薄薬液調製流路
21A 分岐菅
21B 開閉弁
22 超純水供給源
23 第一の薬液の供給機構
23A 第一の薬液のタンク
23B プランジャポンプ
24 第二の薬液の供給機構
24A 第二の薬液のタンク
24B プランジャポンプ
25 N
2ガス(不活性ガス)供給源
26 供給管
3,3A,3B 貯留槽
31 N
2ガス供給機構(不活性ガス供給機構)
32 返送機構
33 レベルセンサ
34 返送流路
35 除去装置
4 希薄薬液調整・供給機構
41 希薄薬液供給流路
41A,41B 切替弁
42 ブースターポンプ(送液ポンプ)
43 ガス溶解膜
44 ガス除去膜
45 溶解ガス源
46 マスフロコントローラ(流量制御手段)
5A,5B,5C 毎葉式洗浄機(ユースポイント)
51 返送流路
52 ガス除去膜
53 オンラインモニタ(濃度センサ)
W 超純水
W1 希薄薬液
W2 洗浄水