(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜5のいずれかに記載の包装体を用いて、前記ポリビニルアルコール系フィルムの保管および/または輸送を行うことを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの保管または輸送方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について具体的に説明する。
図1は、本発明の実施形態である包装体1の一部を拡大して示す模式断面図であり、
図2は、包装体1におけるフィルムロール3の包装手順を示す斜視図である。
【0021】
包装体1は、
図2に示すように、帯状のポリビニルアルコール系フィルムをフィルム幅よりも軸長が長い芯管2に巻き付けてフィルムロール3となし、該フィルムロール3を水蒸気バリアフィルム4で包装してなる。
【0022】
より具体的には、まず
図2(a)に示すように、フィルムロール3の外周部の所定の巻き始め位置に、矩形状の水蒸気バリアフィルム4の一端を固定する。このとき、水蒸気バリアフィルム4の一辺が芯管2の軸線方向に平行となるように配置して固定する。
【0023】
次に
図2(b)に示すように、水蒸気バリアフィルム4をフィルムロール3の外周に沿って少なくとも1周巻き付けた後、水蒸気バリアフィルム4の他端を例えば接着テープ5を用いて固定する。この段階では、水蒸気バリアフィルム4は、円筒状を成している。その後、
図2(c)に示すように、水蒸気バリアフィルム4における芯管2の軸線方向側の2つの端部を、フィルムロール3から突出した芯管2の外周部にそれぞれ固定して包装体1が完成する。水蒸気バリアフィルム4の端部の固定手順の詳細は後述する。
【0024】
このように包装体1では、芯管2と水蒸気バリアフィルム4とで形成された内部空間内にフィルムロール3が配置されることになる。本発明は、芯管2と、水蒸気バリアフィルム4における芯管2の軸線方向側の端部との密封形態を工夫することによって、芯管2と水蒸気バリアフィルム4との隙間から上記内部空間に水分が侵入するのを抑制するものである。
【0025】
本発明における帯状のポリビニルアルコール系フィルムとしては、特に限定されず、例えば、後述する手法で製造されるポリビニルアルコール系フィルムが用いられる。かかるフィルムの幅は、大面積化の点から4m以上であることが好ましく、更なる大面積化の点から、特に好ましくは4.5m以上、破断回避の点から、更に好ましくは4.5〜6mである。
【0026】
帯状のポリビニルアルコール系フィルムを巻き付ける芯管2は、外形が円柱状のものであればよく、軽量化の点で中空の円筒状のものが好ましい。また、芯管2が円筒状のものであれば、内部に支持棒を挿入し、フィルムロール3を架台や加工装置に積載することができる。
芯管2の材質としては、金属、プラスチック等が挙げられ、特に限定されない。金属としては、例えば、炭素鋼、高張力鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、ジュラルミン等のアルミニウム合金、銅、黄銅、青銅等が挙げられる。金属製の芯管2の表面または内側面には、軟質ポリ塩化ビニルや低密度ポリエチレンなとの樹脂層が積層されていてもよく、ニッケル、クロム、亜鉛、錫等のメッキ処理が施されていてもよい。プラスチックとしては、例えば、硬質ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。
芯管2の外径は、7.5cm以上が好ましく、8.5cm以上が特に好ましい。芯管2の外径が短すぎると、フィルムに皺が発生する傾向がある。芯管2が円筒状であるときの芯管2の肉厚は、1.5〜20mmが好ましく、特に好ましくは2〜15mm、更に好ましくは3〜10mmである。芯管2のサイズは、一般的には、外径11〜31cm、内径10〜30cmである。
【0027】
芯管2の軸長(即ち軸線方向の長さ)は、上述した帯状のポリビニルアルコール系フィルムのフィルム幅よりも長くすることが必要であり、フィルムロール3の軸線方向側の両端部からそれぞれ10cm以上突出しているものが好ましい。具体的には、芯管2の軸長は、4.1m以上であることが好ましく、更なる大面積化の点から、特に好ましくは4.6m以上、ポリビニルアルコール系フィルムの破断回避の点から、更に好ましくは4.6〜6.1mである。
芯管2が突出部を有することによって、突出部両端にブラケットを設けたり、突出部両端を架台等に載置したりして、フィルムロール3が地面あるいは他のフィルムロール等と接触することなく宙に浮いた状態にすることができ、包装体1全体の荷重がフィルムロール3全体に掛かるのを防止し、フィルム同士のブロッキングや劣化を阻止することができる。また、突出部両端に包装フィルムである水蒸気バリアフィルムを固定することができる。
【0028】
本発明で使用される水蒸気バリアフィルム4は、特に限定されないが、JIS Z 0208に準じて測定される透湿度が10g/m
2・日以下、好ましくは1g/m
2・日以下のものが使用可能である。具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデンコートポリブロピレン、ガラス蒸着ポリエステル、等の単層フィルム、あるいはこれらの積層フィルム、または割布、紙、不織布との積層フィルム等が挙げられる。積層フィルムとしては、例えば、ガラスまたはアルミニウム蒸着ポリエステルとポリエチレンの積層フィルム、ポリ塩化ビニリデンコートポリブロピレンとポリエチレンの積層フィルム等が例示される。
【0029】
かかる水蒸気バリアフィルム4は、帯電防止処理しておくことも異物の混入を防ぐ点で好ましく、帯電防止剤はフィルム中に練り込まれていても、表面にコーティングされていても良い。練り込みの場合は樹脂に対して0.01〜5重量%程度、表面コーティングの場合は0.01〜1g/m
2程度の帯電防止剤を使用することが好ましい。
帯電防止剤としては、光学性能に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0030】
かかる水蒸気バリアフィルム4として、水蒸気バリアフィルムに吸湿フィルムがラミネートされた積層体を用いることも、包装体1の内部空間の湿度を調節する点で好ましい。かかる吸湿フィルムとしては、例えば、塩化カルシウム、シリカゲル、ゼオライト、糖類、吸水性樹脂などの無機系または有機系乾燥剤を、合成樹脂、天然セルロース類、合成セルロース類、ガラスクロス、不織布等の成形可能な材料に分散、含浸、塗布乾燥して吸湿層としたものや、これらの無機系または有機系乾燥剤を、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、テフロン(登録商標)フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムで挟みこんだものが挙げられる。かかる積層体を用いる場合は、吸湿フィルム側が包装体1の内側になるようにして包装する。
【0031】
本発明の特徴は、水蒸気バリアフィルム4における芯管2の軸線方向側の端部が、フィルムロール3から突出した芯管2の外周部に両面粘着テープ6で固定、または、外周部に巻かれた粘着テープ7の外面にヒートシールで固定されていることである。
【0032】
まず、両面粘着テープ6で固定する方式に関して説明する(
図1参照)。
なお、
図1では、解かりやすくするために、水蒸気バリアフィルム4とフィルムロール3および芯管2との間に間隔を空けて描かれているが、実際は、水蒸気バリアフィルム4はフィルムロール3および芯管2に密着するように芯管2の外周部に巻き付けて固定されて、フィルムロール3が水蒸気バリアフィルム4により密封される。
【0033】
本発明で使用される両面粘着テープ6としては、特に限定されず、公知の物が使用できる。例えば、ポリエチレン、PET、ウレタン、ポリエステルなどの樹脂フィルムや不織布の両面に、アクリル系、ゴム系、シリコン系、ウレタン系などの粘着剤が塗工されたものが挙げられる。粘着剤の材料や厚さは、両面で同じであっても、あるいは異なっていてもよい。また芯材を用いない両面粘着テープを用いることもできる。
【0034】
両面粘着テープ6の厚さは、安価な点で0.01〜2mmが好ましく、水分透過率低減の点から0.02〜1.5mmが特に好ましく、ハンドリング性の点から0.03〜1.0mmが更に好ましい。また、両面粘着テープ6の幅は、安価な点で1〜20cmが好ましく、水分透過率低減の点から3〜15cmが特に好ましく、ハンドリング性の点から5〜10cmが更に好ましい。
【0035】
両面粘着テープ6の粘着力は、輸送中に剥離を起こさない点で0.5〜35N/25mmであることが好ましく、輸送後取り除ける点で1〜30N/25mmであることが特に好ましく、ハンドリング性の点で2〜25N/25mmであることが更に好ましい。両面粘着テープ6の粘着力は、両面で同じであっても、あるいは異なっていてもよい。
【0036】
両面粘着テープ6の芯管2上の位置は、フィルムロール3から突出した芯管2の外周部であれば特に限定されないが、芯管2の端部に近いほど好ましい。
【0037】
次に、水蒸気バリアフィルム4における芯管2の軸線方向側の端部を、フィルムロール3から突出した芯管2の外周部に巻かれた粘着テープ7の外面に、ヒートシールで固定する方式に関して説明する(
図1参照)。
【0038】
本発明で使用される粘着テープ7としては、特に限定されず、公知の物が使用できる。例えば、ポリエチレン、PET、ウレタン、ポリエステルなどの樹脂フィルムの一方面(面A)に、アクリル系、ゴム系、シリコン系、ウレタン系などの粘着剤が塗工され、他方面(面B)に、ポリエステル系、エチレン酢酸ビニル系、ポリプロピレン系などのホットメルト型接着剤が塗工されたものが挙げられる。水蒸気バリアフィルム4の内面に、ポリエチレンやポリエステルなどの熱可塑性フィルムがラミネートされている場合は、必ずしも面Bに粘着剤は必要でなく、水蒸気バリアフィルム4の外面から、かかる熱可塑性フィルムを加熱して、粘着テープ7の外面に融着することができる。
【0039】
粘着テープ7の厚さは、安価な点で0.01〜3mmが好ましく、水分透過率低減の点から0.1〜2.5mmが特に好ましく、ハンドリング性の点から0.3〜2.0mmが更に好ましい。また、粘着テープ7の幅は、安価な点で1〜20cmが好ましく、水分透過率低減の点から3〜15cmが特に好ましく、ハンドリング性の点から5〜10cmが更に好ましい。
【0040】
芯管2に接着する面における粘着テープ7の粘着力は、輸送中に剥離を起こさない点で0.5〜35N/25mmであることが好ましく、輸送後の取り除き易さの点で1〜30N/25mmであることが特に好ましく、ハンドリング性の点で2〜25N/25mmであることが更に好ましい。また、水蒸気バリアフィルム4と接着する面における粘着テープ7の粘着力は、輸送中に剥離を起こさない点で5N/25mm以上であることが好ましく、特に好ましくは10N/25mm以上、更に好ましくは15N/25mm以上である。粘着テープ7の粘着力は、両面で同じであっても、あるいは異なっていてもよい。
【0041】
粘着テープ7の芯管2上の位置は、フィルムロール3から突出した芯管2の外周部であれば特に限定されないが、芯管2の端部に近いほど好ましい。
【0042】
また、フィルムロール3を水蒸気バリアフィルム4で包装した上から、更にアルミニウム素材からなる包装フィルムで包装してもよい。かかる包装フィルムとしては、アルミニウム箔、アルミニウム箔と耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えば、アルミニウム箔とポリオレフィンフィルムの積層フィルム)、アルミニウム蒸着フィルムと耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えば、アルミニウム蒸着フィルムとポリオレフィンフィルム積層フィルム)、アルミニウム蒸着フィルムと耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えば、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルム)等が挙げられる。
本発明では特に、アルミニウム箔とポリオレフィンフィルムの積層フィルム(例えば、アルミニウム箔とポリエチレンフィルムの積層フィルム)、アルミニウム蒸着フィルムとポリオレフィンフィルム積層フィルム(例えば、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルム)が有用であり、特には延伸ポリプロピレンフィルム/ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフィルムの構成よりなる積層フィルム、延伸ポリプロピレンフィルム/低密度ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔の構成よりなる積層フィルム等が有用である。
【0043】
このようにして得られた本発明の包装体1の内部空間(フィルムロール3が位置している内部空間)の湿度は、20〜80%RHであることが好ましい。特に好ましくは30〜70%RHであり、特に好ましくは35〜65%RHである。かかる湿度が低すぎたり高すぎたりすると、フィルムロール3の表層のポリビニルアルコール系フィルムが乾燥/吸湿して変形する傾向にあり、湿度が低すぎたり高すぎたりして複数回変動すると、ポリビニルアルコール系フィルムの外観や光学性能が劣化する傾向にある。具体的には、白モヤが発生したり、光学的ムラが増大したりする。
【0044】
包装体1の内部空間の湿度を上記範囲に調節する手法としては、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライトなどの乾燥剤を熱可塑性フィルムや紙で挟み込んだ乾燥シートを、フィルムロール3と共に包装する手法などが挙げられる。かかる乾燥シートの吸湿率は、30℃、90%RHにおいて、自重に(乾燥状態における重量)に対して30重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
【0045】
包装体1の内部空間の湿度は、水蒸気バリアフィルム4に開口部を設けて湿度計で測定することが可能であるが、本発明においては、輸送中の湿度履歴を簡単に確認できる点で、電子記録式カードタイプやシールタイプの湿度インジケータを用いることが好ましい。
【0046】
かかる電子記録式カードタイプの湿度インジケータとしては、例えば、T&D Corporetion社製「おんどとり」、藤田電機製作所製「WATCH LOGGER」、グラフテック社製「midi LOGGER」等が挙げられる。
【0047】
また、シールタイプの湿度インジケータとしては、高湿度下、あるいは低湿度下に所定時間暴露されると、不可逆に発色する臭化コバルトなどの化合物を用いるものが挙げられる。
例えば、フィルム表面に直径5mm程度の複数のラベルが並んでおり、それらラベルが、50%RH検出ラベル、60%RH検出ラベル、70%RH検出ラベル、80%RH検出ラベル、90%RH検出ラベルであり、到達した湿度に対応するラベルが、青色からピンクに変色したり、白色から青色に変色したり、青色が滲んだりすることによって、最高到達湿度を確認するものである。低湿度側は5%RHから、高湿度側は90%RHまでの湿度インジケータが市販されている。測定精度は±5%RH程度である。
【0048】
本発明においては、フィルムロール3と共に湿度インジケータを包装することができ、具体的には、フィルムロール3の最外層や水蒸気バリアフィルム4の内側に、湿度インジケータを貼り付けて包装することができる。
【0049】
さらに、本発明の包装体1は、全体を断熱材で梱包して、保管および/または輸送することもできる。当然のことながら、包装体1の内部空間の湿度は温度に依存する。近年、保管中および/または輸送中の温度は、品質保証的な観点から管理されつつあるが、実態は0〜80℃の範囲で変動することが多い。包装体1の内部空間の湿度を上記範囲に調整するために、包装体1の温度管理も重要である。本発明で使用される断熱材は、特に限定されないが、断熱性の点でアルミニウム蒸着シートが好ましく、耐衝撃性の点でアルミニウム蒸着フェルトが特に好ましい。なお、断熱材はリサイクルすることが好ましい。
【0050】
以下、本発明で使用されるポリビニルアルコール系フィルムに関して説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をキャスト型に流涎して製膜し、金属加熱ロールを用いて連続的に乾燥して得られる。
【0051】
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、即ち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、当該酢酸ビニルと共重合可能な少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等が挙げられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
【0052】
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
【0053】
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は10万〜30万であることが好ましく、特に好ましくは11万〜28万、更に好ましくは12万〜26万である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると、ポリビニルアルコール系樹脂から光学フィルムを製造する場合に充分な光学性能が得られにくい傾向があり、大きすぎると、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸して偏光膜を形成する場合に延伸が困難となり、工業的な生産が難しくなる傾向がある。
なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
【0054】
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、98モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは99モル%以上、更に好ましくは99.5モル%以上、殊に好ましくは99.8モル%以上である。かかる平均ケン化度が小さすぎるとポリビニルアルコール系フィルムから偏光膜を形成する場合に充分な光学性能が得られない傾向がある。
ここで、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
【0055】
本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂として、変性種、変性量、重量平均分子量、平均ケン化度などの異なる2種以上のものを併用してもよい。
【0056】
かかるポリビニルアルコール系樹脂を用いて、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を製造する。ポリビニルアルコール系樹脂を、水を用いて洗浄し、遠心分離機などを用いて脱水して、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。かかるウェットケーキの含水率が大きすぎると、所望する水溶液濃度に調整することが困難となる傾向にある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製する。
【0057】
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製方法は、とくに限定されず、例えば、加熱された多軸押出機を用いて調製してもよく、また、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶に、前述したポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを投入し、缶中に水蒸気を吹き込んで溶解して、所望濃度の水溶液を調製することもできる。
【0058】
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液には、ポリビニルアルコール系樹脂以外に、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどの一般的に使用される可塑剤や、ノニオン性、アニオン性、及びカチオン性の界面活性剤のうち少なくとも1種の界面活性剤を含有させることが、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜性の点で好ましい。
【0059】
このようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の樹脂濃度は、15〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。
かかる水溶液の樹脂濃度が低すぎると乾燥負荷が大きくなるため生産能力に劣る傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができ難くなる傾向がある。
【0060】
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、上記ポリビニルアルコール系樹脂を用いてポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、この水溶液をキャスト型(casting mold )に吐出及び流延して、キャスト法によりフィルムを製膜、乾燥することで連続的に製造することができ、例えば以下の工程(A)〜(D)により製造することができる。
(A)キャスト法によりフィルムを製膜する工程
(B)製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程
(C)乾燥されたフィルムをスリットした後、ロール状に巻き取りフィルムロールを得る工程
(D)フィルムロールを水蒸気バリアフィルム(必要に応じて更に包装フィルム)で包装し包装体にする工程
【0061】
ここで、上記キャスト型としては、例えば、キャストドラム(ドラム型ロール)やエンドレスベルト等が挙げられるが、幅広化や長尺化、膜厚の均一性に優れる点からキャストドラムが好ましい。以下、キャスト型がキャストドラムの場合について説明する。
以下、上記の工程(A)〜(D)について順次説明する。
【0062】
〔工程(A)〕
工程(A)において、まず、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、通常、脱泡処理される。
脱泡方法としては、静置脱泡やベントを有する多軸押出機による脱泡などの方法が挙げられる。ベントを有する多軸押出機としては、通常は、ベントを有する二軸押出機が用いられる。
【0063】
脱泡処理の後、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、キャスト型に流延されて製膜される。
【0064】
T型スリットダイ出口のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度は、80〜100℃であることが好ましく、特に好ましくは85〜98℃である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度が低すぎると、流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
【0065】
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度は、吐出時に50〜200Pa・sであることが好ましく、特に好ましくは70〜150Pa・sである。
かかる水溶液の粘度が低すぎると、流動不良となる傾向があり、高すぎると、流涎が困難となる傾向がある。
【0066】
T型スリットダイからキャストドラムに吐出されるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の吐出速度は、0.1〜5m/分であることが好ましく、特に好ましくは0.2〜4m/分、更に好ましくは0.3〜3m/分である。
かかる吐出速度が低すぎると、生産性が低下する傾向があり、高すぎると、流涎が困難となる傾向がある。
【0067】
かかるキャストドラムの直径は、好ましくは2〜5m、特に好ましくは2.4〜4.5m、更に好ましくは2.8〜4mmである。
かかる直径が小さすぎると、乾燥長が不足し、ドラム上で製膜されたフィルムの送り速度が低くなる傾向があり、大きすぎると輸送性が低下する傾向がある。
【0068】
かかるキャストドラムの幅は、好ましくは4m以上であり、特に好ましくは4.5m以上、更に好ましくは5m以上、殊に好ましくは5〜7mである。
キャストドラムの幅が小さすぎると、生産性が低下する傾向がある。
【0069】
かかるキャストドラムの回転速度は、3〜50m/分であることが好ましく、特に好ましくは4〜40m/分、更に好ましくは5〜35m/分である。
【0070】
かかるキャストドラムの表面温度は、40〜99℃であることが好ましく、特に好ましくは60〜95℃である。
かかる表面温度が低すぎると、乾燥不良となる傾向があり、高すぎると、発泡する傾向がある。
【0071】
〔工程(B)〕
次いで、前記工程(B)について説明する。
工程(B)は、製膜されたポリビニルアルコール系フィルムを加熱して乾燥する工程である。
【0072】
キャストドラムで製膜されたフィルムの乾燥は、通常、膜の表面と裏面とを複数の金属加熱ロールに交互に接触させることにより行なわれる。金属加熱ロールの表面温度は、通常40〜150℃、好ましくは50〜140℃である。かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向があり、高すぎると乾燥しすぎることとなり、うねりなどの外観不良を招く傾向がある。
また、金属加熱ロールは、例えば、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロールであり、通常2〜30本、好ましくは10〜25本を用いて乾燥を行うことができる。
【0073】
本発明においては、金属加熱ロールによる乾燥後、フィルムに熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度は、60〜150℃が好ましく、特には70〜140℃が好ましい。熱処理温度が低すぎると、ポリビニルアルコール系フィルムの耐水性が不足したり、位相差ふれの原因となる傾向があり、高すぎると偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。かかる熱処理方法としては、例えば、フローティングドライヤーにて行う方法、乾燥後一旦常温程度まで冷却した後に再度高温の金属加熱ロールに接触させる方法や、赤外線ランプを用いてフィルムの両面に近赤外線を照射する手法等が挙げられる。
【0074】
なお、以上ではポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、この水溶液をキャスト型に流延して、キャスト法により製膜、乾燥し、ポリビニルアルコール系フィルムを製造する方法を説明したが、ポリビニルアルコール系樹脂溶液を樹脂フィルム上、又は金属ベルト上に流延し、製膜、乾燥して、ポリビニルアルコール系フィルムを製造することも可能である。
【0075】
〔工程(C)〕
工程(B)での乾燥が行なわれ、更に必要に応じて熱処理が行なわれたフィルムは、工程(C)を経て製品(本発明のポリビニルアルコール系フィルム)となる
工程(C)は、乾燥されたフィルムの両端をスリットで切り落とした後、フィルム幅よりも軸長の長い芯管(以下、ロールともいう。)に巻き取り、帯状のポリビニルアルコール系フィルムをロール状に巻き取る工程である。
【0076】
上述した手法で、ポリビニルアルコール系フィルムがロールに巻き付けられたフィルムロールが製造される。
ポリビニルアルコール系フィルムの長さは、大面積化の点から4km以上であることが好ましく、更なる大面積化の点から特に好ましくは4.5km以上、輸送重量の点から更に好ましくは5〜50kmである。
【0077】
また、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの厚さは、偏光膜の薄型化の点から60μm以下であることが好ましく、更なる薄型化の点から特に好ましくは50μm以下であり、破断回避の点から更に好ましくは5〜40μmである。
【0078】
かかるポリビニルアルコール系フィルムは、光学用のポリビニルアルコール系フィルムとして好適に用いられ、更には偏光膜用の原反として特に好ましく用いられる。
【0079】
〔工程(D)〕
得られたフィルムロールは、前記工程(D)を経て包装体となる。
工程(D)は、前述したとおり、フィルムロールを水蒸気バリアフィルムで包装し、必要に応じて更に包装フィルムで包装して包装体にする工程である。得られた包装体は、保管後、出荷先に向けて輸送され、例えば、偏光膜の製造に用いられる。
【0080】
〔保管および/または輸送〕
フィルムロールが包装されてなる包装体は、芯管の両端突出部にブラケット(支持板)を設けたり、該両端突出部を架台に載置したりして支えられ、接地することなく、いわゆる宙に浮いた状態で保管や輸送が行われる。フィルムの幅が比較的小さい場合は通常、ブラケットが使用され、フィルムの幅が比較的大きい場合は通常、架台が使用される。
【0081】
幅広のフィルムロールの場合には通常、架台が使用される。架台は、両側一対の支持台が連結板で連結されてなるものである。支持台は、基台の両端の支柱間にフレーム部を水平に掛け渡してなり、前記支持台のフレーム部に芯管の突出部が載置される。
【0082】
包装されたフィルムロールの保管および/または輸送にあたっては、極端な高温や低温、低湿度、高湿度条件を避けるのが望ましく、具体的には温度10〜30℃、湿度40〜75%RHであるのが良い。
しかし、本発明の包装体では、かかる条件を逸脱する苛酷な雰囲気下に長時間さらされてもフィルムロールの巻ずれ等の心配がなく、顕著な効果が発揮されるのが大きな特徴である。
【0083】
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜の製造方法について説明する。
【0084】
本発明の偏光膜は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ロールから巻き出して水平方向に移送し、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥などの工程を経て製造される。
【0085】
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラなどを防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。
【0086】
染色工程は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は1〜100g/Lが適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。
【0087】
ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂などのホウ素化合物を使用して行われる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
【0088】
延伸工程は、一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍の延伸が行なわれる。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、30〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施することができる。
【0089】
洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われ、この工程によりフィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜80g/L程度が好ましい。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常、1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行ってもよい。
【0090】
乾燥工程は、大気中で40〜80℃で1〜10分間行えばよい。
【0091】
また、偏光膜の偏光度は、好ましくは99.8%以上、特に好ましくは99.9%以上である。偏光度が低すぎると液晶ディスプレイにおけるコントラストを確保することができなくなる傾向がある。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光膜を、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H
11)と、2枚の偏光膜を、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H
1)より、下式にしたがって算出される。
〔(H
11−H
1)/(H
11+H
1)〕
1/2
【0092】
さらに、本発明の偏光膜の単体透過率は、好ましくは42%以上、特に好ましくは43%以上である。かかる単体透過率が低すぎると液晶ディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
【0093】
このようにして得られる偏光膜は、その片面または両面に、接着剤を介して、光学的に等方性な樹脂フィルムが保護フィルムとして貼合されて偏光板となる。保護フィルムとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイドなどのフィルムまたはシートが挙げられる。
【0094】
貼合は、公知の手法で行われるが、例えば、液状の接着剤組成物を、偏光膜、保護フィルム、あるいはその両方に均一に塗布した後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱や活性エネルギー線を照射することで行われる。
【0095】
また、偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護フィルムの代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、硬化して偏光板とすることもできる。
【0096】
本発明により得られる偏光膜は、欠点がなく偏光性能の面内均一性にも優れており、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。
【実施例】
【0097】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0098】
<測定条件>
(1)ポリビニルアルコール系フィルムの光学的ムラ
長さ30cm×幅30cmのポリビニルアルコール系フィルムの試験片を切り出し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟み、暗室で表面照度が14,000lxのライトボックスを用いて、透過モードで光学的ムラを観察し、以下の基準で評価した。
○・・・面内で濃淡は見られない。
×・・・濃淡が全面に確認できる。
【0099】
(2)偏光膜の偏光度(%)、単体透過率(%)
得られた偏光膜の長さ方向の中央部を中心に長さ方向で3点、長さ4cm×幅4cmの試験片を幅方向にそれぞれ3点の合計9点を切り出し、自動偏光フィルム測定装置(日本分光(株)製:VAP−7070)を用いて、偏光度と単体透過率を測定し、それぞれの平均値を偏光膜の偏光度と単体透過率とした。
【0100】
(3)偏光膜の色ムラ
得られた偏光膜から、長さ30cm×幅13cmの試験片を切り出し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟み、暗室で表面照度14,000lxのライトボックスを用いて、透過モードで色ムラを観察し、以下の基準で評価した。
○・・・色ムラなし
△・・・かすかに色ムラあり
×・・・色ムラあり
【0101】
<実施例1>
(フィルムロールの製造)
重量平均分子量142,000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂1,000kg、水2,500kg、可塑剤としてグリセリン100kgを入れ、撹拌しながら140℃まで昇温して、樹脂濃度25重量%に濃度調整を行い、均一に溶解したポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。
次に、該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、二軸押出機に供給して脱泡した後、水溶液温度を95℃にし、T型スリットダイ吐出口から、表面温度90℃のキャストドラムに吐出および流延して製膜した。
次いで、得られたフィルムを複数の金属加熱ロールで乾燥し、フローティングドライヤーを用いて120℃で3分間の熱処理を行い、4m幅にスリットで切り落とした。最後に、外径17cm、内径16cm、長さ4.4mのアルミニウム製芯管に巻き取ることによって、含水率が4重量%の帯状のポリビニルアルコール系フィルム(幅4m、長さ5km、厚み40μm)が芯管に巻き付けられたフィルムロール(A)を得た。得られたフィルムロール(A)の先端部からポリビニルアルコール系フィルムの試験片を切り出し、光学的ムラを観察した。結果は表1に示されるとおりである。
【0102】
(包装体の製造)
水蒸気バリアフィルムとして、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム(アルミニウムを50nm蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム、12μm厚)とポリエチレンフィルム(25μm厚)の積層フィルムを用意し、内面となるポリエチレン側に湿度インジケータを貼り付けた。湿度インジケータの検出ラベルは、5%RH、10%RH、20%RH、30%RH、40%RH、50%RH、60%RH、70%RH、80%RH、90%RHである。
次いで、23℃、50%RHの環境下で、得られたフィルムロール(A)に上記水蒸気バリアフィルムを、ポリエチレンフィルムを内側にして、二重巻きにした。水蒸気バリアフィルムにおける芯管の軸線方向側端部を、両面粘着テープ(タニムラ(株)製クリーンルーム用強力両面テープMK−CDT)を用いて、フィルムロール(A)から突出した芯管突出部(両端各20cm)の端部近傍の外周部に固定して、包装体(B)を得た。かかる両面粘着テープの仕様は次のとおりである。
厚さ0.12mm、幅30mm、粘着力19N/25mm(対アルミニウム板)
【0103】
(保管)
芯管のフィルムロールからの突出部を架台に載せて、得られた包装体(B)を接地することなく宙に浮いた状態とし、60℃、90%RHで7日間、続いて10℃、10%RHで7日間、続いて25℃、50%RHで7日間保管した。保管後の包装体(B)を解包し、湿度インジケータで包装体(B)内部空間の湿度履歴を確認したところ、最低湿度30%RH、最高湿度70%RHであった。保管後のフィルムロール(A)に巻きずれは起きていなかった。また、フィルムロール(A)先端部(フィルム端部から20mの部分)におけるフィルムの光学的ムラを測定したところ、保管前との違いは確認できなかった。
【0104】
(偏光膜の製造)
保管後のフィルムロール(A)先端部(フィルム端部から20mの部分)から、幅(TD方向)30cm×長さ(MD方向)30cmのポリビニルアルコール系フィルムの試験片を切り出し、水温25℃の水槽に浸漬して1.7倍に延伸した。次に、ヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる28℃の水溶液中に浸漬して、染色しながら1.6倍に延伸し、連続してホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成の水溶液(55℃)に浸漬して2.1倍に一軸延伸してホウ酸処理を行なった。その後、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄を行い、乾燥して総延伸倍率5.8倍の偏光膜を得た。得られた偏光膜の偏光特性を表2に示す。
【0105】
<実施例2>
(包装体の製造)
実施例1と同様にして得られたフィルムロール(A)を用いて包装体を製造した。
水蒸気バリアフィルムとして、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム(アルミニウムを50nm蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム、12μm厚)とポリエチレンフィルム(25μm厚)の積層フィルムを用意し、内面となるポリエチレン側に湿度インジケータを貼り付けた。湿度インジケータの検出ラベルは、5%RH、10%RH、20%RH、30%RH、40%RH、50%RH、60%RH、70%RH、80%RH、90%RHである。
次いで、PET基材の一方面(面A)にアクリル系粘着材が積層されており、かつ他方面(面B)に酢酸ビニル系ホットメルト接着剤を積層した粘着テープを、面A側をフィルムロール(A)から突出した芯管突出部(両端各20cm)の端部近傍の外周部に貼り付けた。
最後に、23℃、50%RHの環境下で、得られたフィルムロール(A)に、上記水蒸気バリアフィルムを、ポリエチレンフィルムを内側にして、二重巻きにした。水蒸気バリアフィルム(ポリエチレンフィルム面)における芯管の軸線方向側端部を粘着テープの外面に110℃でヒートシールし、包装体(B)を得た。
【0106】
(保管、および偏光膜の製造)
実施例1と同様にして、保管、偏光膜の製造を行った。結果を表1と表2に示す。
【0107】
<比較例1>
粘着テープを使用せず、水蒸気バリアフィルムにおける芯管の軸線方向側端部を、ゴムバンドを用いて芯管突出部における端部近傍の外周部に固定したこと以外は実施例1と同様にして、包装体の製造、保管、偏光膜の製造を行った。結果を表1と表2に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
実施例1、2と比較例1との対比から明らかなように、本発明の包装体で保管されポリビニルアルコール系フィルムは、保管中の最高湿度が低く、かつ保管中の最高湿度と最低湿度との差が小さいので、保管中での変形が生じ難く、保管後においても初期と変わらず光学的ムラが小さい。
また、本発明の包装体から製造された偏光膜は、製造に用いたポリビニルアルコール系フィルムの変形や光学性能の低下が抑止されているので、偏光度や単体透過率が高く、色ムラが起きにくい。