特許第6973700号(P6973700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6973700粉粒体分散供給装置と粉粒体分散物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973700
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】粉粒体分散供給装置と粉粒体分散物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 19/00 20060101AFI20211118BHJP
   A23P 20/12 20160101ALI20211118BHJP
   A21D 13/80 20170101ALN20211118BHJP
   A23G 9/00 20060101ALN20211118BHJP
【FI】
   B05C19/00
   A23P20/12
   !A21D13/80
   !A23G9/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-195406(P2017-195406)
(22)【出願日】2017年10月5日
(65)【公開番号】特開2019-69398(P2019-69398A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2020年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】100097320
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 貞二
(74)【代理人】
【識別番号】100131820
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 俊幸
(74)【代理人】
【識別番号】100155192
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 美代子
(74)【代理人】
【識別番号】100100398
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】三上 真樹生
(72)【発明者】
【氏名】澤田 康平
(72)【発明者】
【氏名】内山 徳広
(72)【発明者】
【氏名】土江 愛和
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−064952(JP,A)
【文献】 特開平10−262557(JP,A)
【文献】 特開昭64−017712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00−21/00
A21D2/00−17/00
A23G1/00−9/52
A23P10/00−30/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体が通過する開口が形成された粉粒体供給部と;
前記開口の前記粉粒体の流出側の端面に沿って前記開口を横切るように移動するように設けられ、前記移動により前記開口を開閉するシャッター板であって、閉のときに上に供給された所定量の粉粒体を、開となったときに前記開口を通過させるシャッター板とを備え;
前記粉粒体供給部は、前記開口に、前記シャッター板の移動方向と交差する方向に配設された邪魔板を有する;
粉粒体分散供給装置。
【請求項2】
前記邪魔板は、前記粉粒体の流入側の端部に傾斜が付けられた、
請求項1に記載の粉粒体分散供給装置。
【請求項3】
前記邪魔板を、1枚以上有し、前記開口が前記邪魔板で区切られる距離は50mm以下である、
請求項1又は請求項2に記載の粉粒体分散供給装置。
【請求項4】
前記シャッター板の開閉を制御する制御装置を備える、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の粉粒体分散供給装置。
【請求項5】
前記粉粒体供給部は、平板状の粉粒体供給板である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の粉粒体分散供給装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の粉粒体分散供給装置を用意する工程と;
前記粉粒体を分散する対象物を供給する工程と;
前記シャッター板を閉として、前記シャッター上に前記粉粒体を供給する工程と;
前記シャッター板を開として、前記対象物上に前記粉粒体を散布する工程とを備える;
粉粒体分散物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体を対象物の表面に均一に散布供給する装置および同装置を用いた粉粒体分散物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホッパーの開口を開閉するシャッターを備えた、粉粒体供給装置があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−178371号公報
【特許文献2】特開2014−18195号公報
【特許文献3】特開2014−105044号公報
【特許文献4】特開2004−97880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の装置では、粉粒体の落下に偏りやバラツキが生じ、粉粒体を均一に散布供給する点において不十分であった。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、粉粒体を対象物の表面に均一に散布供給する装置および粉粒体分散物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る粉粒体分散供給装置10は、例えば図1に示すように、 粉粒体11が通過する開口12が形成された粉粒体供給部13と; 開口12を横切って移動するように設けられ、前記移動により開口12を開閉するシャッター板14であって、閉のときに上に供給された所定量の粉粒体11を、開となったときに開口12を通過させるシャッター板14とを備え; 粉粒体供給部13は、開口12に、シャッター板14の移動方向D1と交差する方向D2に配設された邪魔板15を有する。
【0007】
このように構成すると、シャッター板の移動方向と交差する方向に配設された邪魔板を有するので、開口を通過して落下する粉粒体を均一に分散散布することができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る粉粒体分散供給装置10は、第1の態様の粉粒体分散供給装置において、 邪魔板15は、粉粒体11の流入側の端部151に傾斜152が付けられた構造としてもよい。
【0009】
流入側の端部とは、邪魔板の上側の辺であり、傾斜をつけることにより、粉粒体の流れがスムーズになる。また、邪魔板の上部に粉粒体が溜まるのを抑えることができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る粉粒体分散供給装置10は、第1の態様又は第2の態様の粉粒体分散供給装置において、 邪魔板15を、1枚以上有し、前記開口が前記邪魔板で区切られる距離は50mm以下である。
【0011】
開口が邪魔板で区切られる距離を50mmより大にすると、分散効果が落ちる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る粉粒体分散供給装置10は、第1の態様乃至第3の態様のいずれか1の粉粒体分散供給装置において、 シャッター板14の開閉を制御する制御装置21を備える。
【0013】
制御装置を備えるので、装置の操作を自動で行うことができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係る粉粒体分散供給装置10は、第1の態様乃至第4の態様のいずれか1の粉粒体分散供給装置において、 粉粒体供給部13は、平板状の粉粒体供給板である。
【0015】
このように構成すると、粉粒体供給部は、平板状の粉粒体供給板であるので、シャッター板が、粉粒体供給板に平行に移動する構造とすることができる。また、構造がシンプルである。このように、複雑な器具を使用しないため、粉粒体のロスや目詰まりなどによる汚れが起こりにくく、清掃などのメンテナンスが容易である。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の第6の態様に係る粉粒体分散物の製造方法は、例えば図4に示すように、第1の態様乃至第5の態様のいずれか1の粉粒体分散供給装置を用意する工程(ST2)と; 粉粒体11を分散する対象物17を供給する工程(ST6)と; シャッター板14を閉として、シャッター板14上に粉粒体11を供給する工程(ST5)と; シャッター板14を開として、対象物17上に粉粒体11を散布する工程(ST7)とを備える。
【0017】
このように構成すると、粉粒体が均一に分散された粉粒体分散物を製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、粉粒体を表面に均一に散布供給する装置および粉粒体が表面に均一に散布された粉粒体分散物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】粉粒体分散供給装置を説明する斜視図である。
図2】粉粒体の分散状態を示す平面図である。(A21)は、邪魔板がない場合、(A22)は、邪魔板が1枚の場合、(A23)は、邪魔板が2枚の場合、(A24)は、邪魔板が3枚の場合を示す。
図3】シャッタースピードによる、粉粒体の分散状態の違いを示す平面図である。(A31)は、シャッタースピードが遅い場合、(A32)は、シャッタースピードが速い場合を示す。
図4】粉粒体分散物の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
まず、図1の斜視図を参照して、本発明の実施の形態である粉粒体分散供給装置10としての、クッキー粉(粉粒体)の分散供給装置1を説明する。本装置は、砕いて粒状にしたクッキー粉をアイスクリーム上に均一に散布する装置である。
【0022】
本装置は、粉粒体11としてのクッキー粉が通過する開口12が形成された粉粒体供給部13としての、粉粒体供給板(スペーサ)が水平に設けられている。粉粒体供給板の下には、その下面に沿って移動するように設けられたシャッター板14が設けられる。シャッター板14は、開口12を横切って移動することにより開口12を開閉するように構成される。このシャッター板14の上には、開口12を閉としているときに所定量の粉粒体11が供給される。粉粒体11は、シャッター板14が移動し、開口12が開となったときに開口12を通過して、開口12の下に置かれた、粉粒体11を分散する対象物17としてのアイスクリームが充填されたカップ上に散布される。すなわち、アイスクリームの表面に散布される。粉粒体11は、重力により開口12を通過する。ここで、所定量は、製品の上面に散布されるその製品が求める適切な量である。典型的には、製品毎に異なる。これは、実験的に特定の対象物17であるアイスクリーム等の製品を作ることにより、事前に定めることができる。粉粒体供給板13は平板状であり、シャッター板14が、がたつくことなく粉粒体供給板13と平行に移動する構造とすることができる。
シャッター板14が開口12を「横切って移動する」とは、シャッター板は図1に示すように直線運動により横切る場合の他に、回転運動により横切る場合も含む。例えば円板状のシャッター板の周縁部の近傍を粉粒体供給板の開口近傍に枢着することにより回動させて開口を開閉する場合である。
この場合、円板状のシャッター板を直径線に沿って二つ割りにして、直径の一端で粉粒体供給板の開口近傍に枢着する。そして二つ割りした円板をそれぞれ反対方向に(鋏のように)回動させて開口を開閉すようにしてもよい。
【0023】
開口12は円形に形成され、シャッター板14の移動方向D1と交差する方向D2に向いた邪魔板15が配設される。交差の角度は、本実施の形態では90度である(ここでは、シャッターの移動方向D1に直角(D2の方向)を0度とする)。開口12の直径は、分散する対象物17の大きさによるが、アイスクリームの場合は、典型的には60から90mmであり、例えば76.8mmとするのがよい。邪魔板15は、図1(C1)に示すように、断面の幅Wと高さHが5mmの棒状に形成される。
断面の幅Wと高さHが5mmの場合、垂直方向には、少なくとも約2.5mmの垂直な平面を有する。なお、幅Wと高さHは、粉粒体の粒の大きさや開口12の大きさによる。粉粒体が4mmメッシュ通過品の場合は、幅Wと高さHは2.5〜6mmとするのがよい。幅Wや高さHは、強度を保ち得る範囲で、粉粒体の粒の大きさにより適切に調節するのがよい。粉粒体の粒が大きいほど高さHを高くする。大きい粒が邪魔板を乗り越えるのを抑制するためである。また、粉粒体の粒が小さいほど、又は小さい粒が混じっているほど、幅Wを小さくするとよい。邪魔板の上に粉粒体が溜まるのを抑制するためである。
また、高さHは幅Wより大きくしてもよい。邪魔板15は「板」と言うが、幅Wと同様な高さHのときは、むしろ「棒」と呼ぶのが適切かもしれないが、本明細書では、その場合も邪魔板と呼ぶ。角部は適宜面取りしてもよい。邪魔板ではあるが、棒とみることができるので、数に言及するときは、例えば2枚の他、2本のように呼ぶことがある。
【0024】
開口12が邪魔板15で区切られる距離(幅)は50mm以下が好ましく、5〜45mmがより好ましく、10〜40mmが更に好ましい。開口12が邪魔板15で区切られる距離(幅)は狭過ぎると分散状態に好ましくない影響を及ぼすことがある。小さな粉粒体は邪魔板15を超えて移動することが困難であるため、分散状態はシューターからシャッター上に落下した際の位置に影響を受ける。開口12が邪魔板15で区切られる距離(幅)が狭過ぎると、対象物表面に粉粒体を均一に分散した状態で供給できないことがある。
ここで、「開口12が邪魔板15で区切られる距離」とは、邪魔板15と開口12の内周との最大の距離(最も外側の邪魔板15から垂直方向に開口12の内周まで測定した距離の最大値、すなわち開口12が円形のときは、その円に邪魔板15と平行に引いた接線と最も外側の邪魔板との間隔)であり、また邪魔板15が2枚以上のときは、隣り合う邪魔板15同士の間隔をいう。
【0025】
邪魔板15は、図1(C2)(C3)に示すように、前記粉粒体11の流入側の端部151に傾斜152が付けられた構造としてもよい。典型的には、邪魔板15は断面が正方形または縦長の長方形に形成し、その上端面(典型的には水平面)151の長手方向(D2の方向)の両方の角部を面取りする形で傾斜を付ける。傾斜152を付けると粉粒体11の流れがスムーズとなり、端部への粉粒体11の溜まりを抑制することができる。傾斜152の角度θは、粉粒体11の落下を妨げず、かつ強度を保持するような角度とする。好ましくは粉粒体供給板の(水平方向の)平面に対して30〜80度、更に好ましくは40〜60度、最も好ましくは45度である。傾斜152は平面でも曲面でもよい。曲面の場合は、傾斜角度は、例えば傾斜のついている部分(端部151の頂部と邪魔板の側面との間の部分)の中央部の角度で見る。
【0026】
傾斜をつけた場合でも、図1(C2)に示すように、溜まる粉粒体11が問題とならない程度の平面部が上側に残ってもよい。平面部があるときは、端部がエッジ状である場合と比較して端部の損傷(エッジの欠け)を抑えることができる。平面部の幅は、邪魔板15の幅Wの1/8以下とするとよい。即ち、邪魔板15の幅Wが、2.5〜6.5mmのとき、0.8mm以下が好ましい。また、平面部を残す代わりに、図1(C3)に示すように、邪魔板15の端部151をまるめてもよい。典型的には、R(アール)を付けてもよい。粉粒体の流れがさらにスムーズになり、先端部に粉粒体が溜まるのを抑制できるだけでなく、先端部の損傷をさらに効果的に抑えることができる。粉粒体の溜まりを抑えるために、R(アール)をつけるときは、R=0.8mm以下とするのが好ましい。丸みをつけるときは、曲率半径がR=0.8mm以下となるようにするとよい。
【0027】
邪魔板15のシャッター板14の移動方向D1との交差角度は90度(直交)(D2の方向)が好ましいが、90±10度の範囲の角度であってもよい。
なお、方向D2に対して角度をつけた場合や十文字型とした場合で試みた結果、D2と平行な方向だけの場合が、最も良いことが分かった。角度をつけると、邪魔板の数に関係なくすべての列で分散性が悪くなる傾向があった。特にシューター16が傾斜している場合、シューター16と粉粒体供給部13のなす角度が小さくなるほどその傾向が強く表れた。
【0028】
材質については、粉粒体供給板13は樹脂、シャッター板14はシューター16と共にステンレスとするのが好ましい。特にオーステナイト系のステンレスが好ましい。対汚性に優れているからである。粉粒体供給板を樹脂とすると、ステンレス製のシャッター板14との間での、金属同士の摩耗による異物の発生を抑えることができる。シャッター板14の滑らかな稼働にも資する。粉粒体供給板の樹脂は、超高分子量ポリエチレン樹脂や、フッ素樹脂であるテフロン(登録商標)が好ましい。耐摩耗性に優れるからである。
図1に示すように、シャッター板14は平面でも、停止位置が確実になるよう直角などに曲げたり、シャッター板14上に止め部として突起を設けてもよい。
邪魔板15は、粉粒体供給板と接合部のない一体化した形態が好ましい。このように構成すると、掃除等のメンテナンスが容易となる。
【0029】
図1に示す本実施の形態では、粉粒体供給板13には、開口12が複数個形成されている。量産に適するようにするためである。各開口12の上方には、シャッター板14上に粉粒体11を供給する筒状のシューター(配管)16が配置される。シューター16の上部には、秤量装置(不図示)が設けられる。秤量装置は、所定量の粉粒体11をシューター16に供給する。粉粒体は、シューター16をある程度の時間をかけて落下し、閉状態にあるシャッター板14上に均一に分散する。
【0030】
秤量装置で秤量された粉粒体11は、シューター16を通して落下し、閉じたシャッター板14上に一旦留め置かれる。秤量装置は、粉粒体を収容するホッパーと、ホッパーに収容された粉粒体の所定容量または所定重量を秤量する計量部と、計量した粉粒体を本発明の粉粒体供給装置または次の段階へ送るシューターとを備え、更に、必要に応じてホッパーから計量部へ移送する移送部と、移送を制御する制御部とを備え、秤量の精度を高めることができる。秤量装置における計量の方法および計量部としては、例えば、特開昭60−66120、実登2578684号、特開平6−263103、特開2001−124619など公知の装置を使うことができ、間欠的に駆動し計量した粉粒体を次の段階へ送る装置、または計重器と計重器からの信号を基にして開閉する開閉機構を備えることにより、粉粒体を計量する。
【0031】
粉粒体11を、シューター16から対象物17上に直接供給する構成では、シューター16をある程度の時間をかけて落下するのを待たなければならないので、生産性が低くなりがちである。そこで一旦シャッター板に載せる構成にすれば、シャッター板14が閉の状態で、所定の粉粒体11をシャッター板14の上に供給している間に、粉粒体11の散布が終わった対象物17を次の対象物17に置き換えることができる。このようにして生産性を高くすることができる。
【0032】
図2を参照して、邪魔板の間隔(邪魔板が2枚以上のとき)、又は邪魔板と開口の内周との距離による分散性のテスト結果を説明する。開口の直径は76.8mmとした。粉粒体としては、砕いて4mmメッシュを通したクッキー粉(粉粒体)を用いた。左側に邪魔板の配置状態を示す。右側に、分散状態を示す。なお写真の黒い部分が粉粒体である。図中の矢印はシャッター板を開にする際の移動の向きを示す。
【0033】
図2の(A21)に示すように、開口に邪魔板が設けられていない粉粒体供給板では、シャッター板上に均一に分散したはずの粉粒体はシャッターを開にする際の移動により、対象物上で移動側に偏ってしまう。
【0034】
図2の(A22)は、開口に邪魔板を1枚設けた場合である。開口は直径が76.8mmの円形であり、邪魔板は円の直径に沿って設けられている。このとき邪魔板15と開口12の内周の邪魔板15から直角方向に最も遠い点までの距離(邪魔板と開口の内周との最大の距離)を35.6mmとした。粉粒体であるクッキー粉は、ほぼ均一に対象物としての紙カップ上に分散できた。(A23)は邪魔板を2枚設けた場合である。2枚の邪魔板間の距離を19.5mm、邪魔板と開口の内周との最大の距離を24.7mmとした。このとき、1枚よりも、均一度は高くなった。(A24)は、邪魔板が3枚の場合である。3枚の邪魔板間の距離を13.3mm、邪魔板と開口の内周との最大の距離を19.4mmとした。邪魔板が2枚の場合がベストであるが、1枚から3枚のいずれでも、邪魔板無しの場合と比較して、均一度は大きく改善された。3枚以上にしても改善度はあまり変わらないと推測される。邪魔板と開口の内周との最大の距離で言えば、あるいは邪魔板を2枚以上有するときの邪魔板同士の間隔で言えば、これらを所定値より小さくしても改善度はあまり変わらないと推測される。
【0035】
図3にシャッター板を開にするスピードによる、均一度の違いを示す。この例では、邪魔板とシャッター板の移動方向D1との交差角度は90度、数は2本、幅Wは5mmとした。(A31)はシャッタースピード(シャッターの移動速度又は動作速度とも言う)が遅い場合であり、(A32)は、(A31)よりも速い場合である。対象物としては、紙カップを用いた。遅い場合、速い場合の各々につき、紙カップを置いた。
【0036】
このテストの結果、シャッター板14の開の移動速度は速い方がよいことが分かった。また、開口12のシャッター移動方向D1の長さが100mmのとき、30mm/秒以上とするとよく、好ましくは、80〜300mm/秒とする。また、シャッター板14が開方向に移動するとき、シャッター板14に振動を加えてもよい。
【0037】
制御装置21は、シャッター板14の開閉、粉粒体11を散布する対象物17と粉粒体11を散布された対象物17との置き換えのタイミング保存部を備える。特に秤量装置からシューター16を通って粉粒体11がシャッター板14に到達する時間は重要である。この時間は、粉粒体11の材質、粒度分布によって変わるものであり、事前の試行により具体的な時間を特定するとよい。保存されたタイミングに従って、粉粒体分散物の製造方法を遂行する。すなわち、秤量装置で粉粒体が解放されたときからシャッター板に一時保留された後、シャッター板を開とするまでの適切な時間間隔を求める。その時間間隔を保存し、適切なタイミングでシャッター板を開閉するようにする。例えば、クッキー粉を4mmメッシュを通した場合、粉粒体の粒度は均一ではなく、より小径の粒子を含む。小径の粒子は、シューターを落下するのに、大径の粒子よりも時間がかかるので、試行の上それを考慮して、粉粒体の粒度に応じてシャッター板の開のタイミングを定める。なお、秤量装置で粉粒体が解放されたときからシャッター板を開とするまでの時間間隔は、対象物の入れ換えに要する時間で決まる場合もある。
【実施例1】
【0038】
実機にてクッキー粉砕品によりテストを実施した。
開口の直径は前述のように、76.8mmとした。
テスト原料は、クッキー粉砕品であり、4mmメッシュを通した粉粒体である。4mmのメッシュを通したクッキー粉(粉粒体)の粒度分布は、1mmのメッシュを通るような小さい粒度のものが40%程度であった。
邪魔板15の本数は1本、2本、3本、幅Wは3mmと5mmとした。
結果;
図2に、邪魔板15の幅W5mm、本数1本、2本、3本の場合の分散状態を示す。シャッタースピードは前記の速い場合である。
シャッター板は、矢印の方向に動作する。
(A21)は、邪魔板の無い場合。
(A22)は、邪魔板が1本の場合。邪魔板と開口12円周の邪魔板から直角方向に最も遠い点までの距離は35.6mmであった。
(A23)は、邪魔板が2本の場合。邪魔板間の距離は19.5mm、邪魔板と開口12円周の邪魔板から直角方向に最も遠い点までの距離は24.7mmであった。
(A24)は、邪魔板が3本の場合。邪魔板間の距離は13.3mm、邪魔板と開口12円周の邪魔板から直角方向に最も遠い点までの距離は19.4mmであった。
【実施例2】
【0039】
同じく、実機にてクッキー粉砕品、4mmメッシュを通した粉粒体で、シャッタースピードを変えて2通りテストした。
図3に、シャッタースピードが遅い場合と、それよりも速い場合の分散状態を示す。
邪魔板15の幅W5mm、角度0度(D2の方向)、本数2本の場合の分散状態である。
(A31)は、シャッタースピードが遅い場合である。
(A32)は、シャッタースピードが速い場合である。
【0040】
以上の実施例1、2のテストから以下の知見を得た;
邪魔板15の数は1本よりも、2本の方が若干分散性は良かった。
邪魔板15の幅Wは3mmと5mmで大きな違いは無かった。したがって強度を考えると5mmの方が良いと考えられる。
シャッターの動作スピードについては、動作速度を速くした方が全体的な分散性が良くなる傾向がある事が確認出来た。
【0041】
以上の通り、邪魔板15を設けることにより、粉粒体11の落下位置が対象物17上で分散され、万遍なく均一に散布供給することができることが分かった。
【0042】
図4のフローチャートを参照して、実施の形態である粉粒体分散物の製造方法を説明する。先ず、以上説明した粉粒体分散供給装置10を用意する(ST2)。
粉粒体11を用意する(ST3)。秤量された粉粒体11を受けるために、シャッター板14を閉とする(ST4)。粉粒体分散供給装置10には、秤量装置に粉粒体11を供給する(ST3)。閉状態のシャッター板14の上に秤量した所定量の粉粒体11を供給する(ST5)。シャッター板14の下方に、粉粒体11を分散する対象物17を置く(ST6)。対象物17の載置(ST6)は開口12がシャッター板で閉となっているときであればよく、粉粒体11の供給(ST5)と同時進行であってもよい。次に、シャッター板14を開として、対象物17上に粉粒体11を散布する(ST7)。粉粒体11を分散し終わった対象物(粉粒体分散物としての製品)を粉粒体分散供給装置10から送り出す(ST8)。製品の製造が未完了の場合は、シャッター板閉の工程(ST4)に戻る。製品の製造が完了したときは、製造プロセスがエンドとなる(ST10)。
【0043】
具体的には、例えばココアパウダーやクッキーなどの粉粒体を冷菓などの食品の表面に万遍なく均一に散布供給する。
【0044】
開口12は、円形に限らず、対象物17の形状に合わせて矩形にしてもよいし、模様状としてもよい。
【0045】
粉粒体11の材質は問わないが、例えば、食品の上表面に散布するものとしては、クッキーなどの焼菓子、チョコチップ、ナッツ、果物のドライ品やそれらの粉砕物、およびココアパウダー、粉糖、抹茶などの粉体が挙げられる。
粉粒体11の粒度は、1〜8mmのメッシュ(篩)を通過したものが好ましく、2〜6mmのメッシュを通過したものが更に好ましく、4mmのメッシュを通過したものが最も好ましい。
粉粒体11を散布する対象物17は特に限定しないが、食品、例えば、アイスクリーム類などの冷菓、チョコレート、ムースやプリン等の高水分デザート、ケーキなどの焼菓子などが挙げられる。
食品は必ずしも容器に入っている必要はない。容器には、予め食品が充填されていても、供給した粉粒体11の上に食品を充填してもよい。
広範囲の粒度分布をもつ粉粒体であっても、均一に散布供給することができる。
粉粒体供給部13は平板状の粉粒体供給板の場合で説明したが、これに限らず邪魔板15を設けることができれば、枠のようになっていてもよい。例えば、シューター等粉粒体を供給するための管の下端部を兼用してもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 粉粒体分散供給装置
11 粉粒体
12 開口
13 粉粒体供給部
14 シャッター板
15 邪魔板
16 シューター
17 対象物
21 制御装置
151 流入側の端部
152 傾斜
D1 シャッター板の移動方向
D2 シャッター板の移動方向と交差する方向
H 邪魔板の高さ
W 邪魔板の幅
θ 邪魔板の傾斜の角度
図1
図2
図3
図4