(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記セピオライトに炭酸カルシウムを焼成後のCaO濃度が0質量%より大きく45質量%以下となるように添加し混合する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の蛍光材の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、エンスタタイト、フォルステライト、オケルマナイトなどのマグネシウム珪酸塩またはカルシウムマグネシウム珪酸塩は、発光中心となる極微量のアクティベーターの存在により、蛍光および蓄光特性を発現することが知られている。
【0003】
特許文献1は、第1の付活剤としてEuおよびMnからなる群より選ばれる1種類以上と、第2の付活剤としてLn(Lnは希土類金属元素Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる1種類以上)を共に含んでなることを特徴とする蛍光体であって、蛍光体母体が、式mM
1O・nM
2O・2M
3O
2(式中のM
1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上、M
2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上、M
3はSiおよびGeからなる群より選ばれる1種以上、0.5≦m≦3.5、0.5≦n≦2.5である。)で示される化合物である蛍光体が開示されている。
【0004】
特許文献2は、組成式mM
1O・nM
2O・2SiO
2(式中のM
1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M
2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上であり、mは0.5以上2.5以下の範囲でありnは0.5以上2.5以下の範囲である。)で表される化合物と付活剤としてEu、Dyからなる群より選ばれる1種以上とを含有してなるケイ酸塩蛍光体からなる白色LED用蛍光体が開示されている。
【0005】
特許文献3は、組成式mM
1O・nM
2O・(M
32−2xP
xAl
x)O
4(式中のM
1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M
2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上であり、M
3はSiおよびGeからなる群より選ばれる1種以上であり、mは0.5以上3.5以下であり、nは0.5以上2.5以下であり、xは0を超え0.2以下である。)で表わされる化合物と付活剤としてCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびMnからなる群より選ばれる1種以上とを含有してなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体が開示されている。
【0006】
特許文献4は、組成中の炭酸カルシウムが除去され且つ組成中の陽イオンが希土類元素イオンによってイオン交換されてなる繊維状粘土と、前記希土類元素イオンに結合した光増感配位子とからなることを特徴とする無機・有機複合蛍光体組成物が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
マグネシウム珪酸塩またはカルシウムマグネシウム珪酸塩の蛍光材の製造方法は、出発原料に複数の高純度の試薬を用いた、湿式合成による、ゾルゲル法によるものが多い。また、固相反応による乾式焼成の場合であっても、高温の焼成に長時間を必要としていた。特許文献1から特許文献3も、複数の高純度の試薬を用いて長時間または複数回焼成することで、マグネシウム珪酸塩またはカルシウムマグネシウム珪酸塩の蛍光材を製造している。そのため、製造手順が複雑になり、コストも上昇する。
【0009】
特許文献4は、セピオライトを原料として用いているが、マグネシウム珪酸塩またはカルシウムマグネシウム珪酸塩の蛍光材の製造方法を開示したものではない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、セピオライトを原料として用いて、短時間の焼成で簡便にマグネシウム珪酸塩またはカルシウムマグネシウム珪酸塩の蛍光材を製造できる、焼成型の蛍光材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するため、本発明の蛍光材の製造方法は、セピオライトに所定の添加材を添加し混合する工程と、前記混合した原料を還元雰囲気、900℃以上1300℃以下の温度で焼成する工程と、を含むことを特徴としている。
【0012】
これにより、原料にセピオライトを用いているため、複数の試薬を用いて製造する場合に比べて、短時間の焼成で簡便にエンスタタイトを含むマグネシウム珪酸塩の蛍光材を製造することができる。
【0013】
(2)また、本発明の蛍光材の製造方法は、前記セピオライトに炭酸カルシウムを焼成後のCaO濃度が0質量%より大きく45質量%以下となるように添加し混合する工程と、をさらに含むことを特徴としている。これにより、原料にセピオライトおよび炭酸カルシウムを用いているため、複数の試薬を用いて製造する場合に比べて、短時間の焼成で簡便にディオプサイドまたはオケルマナイトを含むカルシウムマグネシウム珪酸塩の蛍光材を製造することができる。
【0014】
(3)また、本発明の蛍光材の製造方法において、前記セピオライトは、MgO/SiO
2の質量比で0.25以上0.60以下の範囲にあることを特徴としている。これにより、天然の産物であるセピオライトのうち、蛍光材の原料として好ましい範囲のセピオライトを用いているので、蛍光性能が高い蛍光材を製造することができる。
【0015】
(4)また、本発明の蛍光材の製造方法において、前記所定の添加材は、Zn、Mn、Ti、Bi、Nd、Y、Nb、Ce、DyおよびEuからなる群から選ばれる元素を含む1種類以上の添加材であることを特徴としている。これにより、具体的に様々な色の蛍光を発する蛍光材を製造することができる。
【0016】
(5)また、本発明の蛍光材の製造方法において、前記所定の添加材は、第1の添加材および第2の添加材からなり、前記第1の添加材は、Ceを含み、前記第2の添加材は、Zn、Mn、Ti、Nd、Dy、Y、Nb、Eu、およびBiからなる群から選ばれる元素を含むことを特徴としている。これにより、さらに蛍光性能の高い蛍光材を製造することができる。
【0017】
(6)また、本発明の蛍光材の製造方法において、前記所定の添加材は、第1の添加材、第2の添加材および第3の添加材からなり、前記第1の添加材は、Mnを含み、前記第2の添加材および第3の添加材は、それぞれランタノイドからなる群から選ばれる異なる種類の元素を含む添加材であることを特徴としている。これにより、さらに蛍光性能の高い蛍光材を製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、原料にセピオライトを用いているため、複数の試薬を用いて製造する場合に比べて、短時間の焼成で簡便にマグネシウム珪酸塩またはカルシウムマグネシウム珪酸塩の蛍光材を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、鋭意研究の結果、セピオライトを原料として用いて、所定の添加材を添加・混合し焼成することで、短時間の焼成で簡便にマグネシウム珪酸塩またはカルシウムマグネシウム珪酸塩の蛍光材を製造できることを見出し、本発明を完成させた。以下に、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
蛍光やりん光は基底状態にある元素が特定の波長の電磁波(紫外線、X線、電子線)の照射により励起し、元の基底状態に戻る際に発光を生じる現象である。その他に酸化物発光体などで観測される入射エネルギー(励起光)が途絶した後も発光が持続する現象(蓄光)があり、本発明に係る蛍光材には、蛍光性を有するもののみならず蓄光性を有するものも含まれる。
【0022】
[蛍光材の製造方法]
本発明の蛍光材の製造方法を説明する。まず、セピオライトを準備する。セピオライトは、繊維状粘土質の天然の鉱物であり、スペイン、トルコ、アメリカ、中国など世界各地で産出される。セピオライトは基本的には、Mg
8(OH)
4Si
12O
30(H
2O)
12で表される化学組成を有するが、SiとMgのモル比はこれに限られない。また、Ca、Al、Feなどの不純物を含む。
図1は、スペイン、トルコ、アメリカ、中国で産出された天然のセピオライトの化学組成の例を示す表である。なお、化学組成は蛍光X線ファンダメンタルパラメーター法により求めたものである。セピオライトに含まれる不純物の量は、強熱減量(Ig.loss)を除き100パーセント表示した場合、好ましくは12質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0023】
原料に用いるセピオライトは、MgO/SiO
2の質量比で0.25以上0.60以下の範囲にあることが好ましく、0.30以上0.55以下の範囲にあることがより好ましく、0.35以上0.50以下の範囲にあることがさらに好ましい。MgO/SiO
2の質量比は、蛍光X線ファンダメンタルパラメーター法により、セピオライトに含まれる元素を酸化物換算で定量したときの、MgO濃度およびSiO
2濃度により算出することができる。MgO/SiO
2の質量比が0.25を下回るセピオライトは焼成後にSiO
2が石英またはクリストバライトとして析出し、相対的にマグネシウム珪酸塩またはカルシウムマグネシウム珪酸塩の割合が減じてしまい、蛍光・蓄光特性を損なうおそれがある。0.60を上回るセピオライトは焼成後にMgOが析出し、相対的にマグネシウム珪酸塩またはカルシウムマグネシウム珪酸塩の割合が減じてしまい、蛍光・蓄光特性を損なうおそれがある。また、セピオライトは、長繊維のα型と粘土状のβ型があり、中国産は主にα型、スペイン産、トルコ産、アメリカ産は主にβ型である。焼成型の蛍光材の材料としては、β型の方が好ましい。
【0024】
このとき、準備したセピオライトに炭酸カルシウムを添加してもよい。添加する炭酸カルシウムの量は、焼成後の蛍光材に対して、CaO濃度が0質量%より大きく45質量%以下となる量である。理論上は、CaO濃度が25質量%のときディオプサイドになり、CaO濃度が40質量%のときオケルマナイトになると考えられるが、実際には、ディオプサイドとオケルマナイトの混合物を含む蛍光材が生成され、CaO濃度が低いときはディオプサイドが多く、CaO濃度が高くなるとオケルマナイトが多くなる。したがって、セピオライトに炭酸カルシウムを適量添加することで、ディオプサイドまたはオケルマナイトを含むカルシウムマグネシウム珪酸塩の蛍光材を製造することができる。
【0025】
次に、準備したセピオライトに発光中心となる元素を含む所定の添加材を添加し混合する。混合は、高純度アルミナ製、高純度ジルコニア製などのボールミル等を用いることができる。添加材を添加する割合は、セピオライトの重量に対し元素換算、外割で0.2質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。また、セピオライトに炭酸カルシウムを添加する場合は、炭酸カルシウムを添加、混合した後に所定の添加材を添加、混合してもよいし、炭酸カルシウムおよび所定の添加材を同時に添加、混合してもよい。
【0026】
所定の添加材は、Zn、Mn、Ti、Bi、Nd、Y、Nb、Ce、DyおよびEuからなる群から選ばれる元素を含む1種類以上の添加材であることが好ましい。このように、添加材を変更することで、様々な色の蛍光を発する蛍光材を製造することができる。
【0027】
また、所定の添加材は、第1の添加材および第2の添加材からなり、第1の添加材は、Ceを含み、第2の添加材は、Zn、Mn、Ti、Nd、Dy、Y、Nb、Eu、およびBiからなる群から選ばれる元素を含むことが好ましい。また、所定の添加材は、第1の添加材、第2の添加材および第3の添加材からなり、第1の添加材は、Mnを含み、第2の添加材および第3の添加材は、それぞれランタノイドからなる群から選ばれる異なる種類の元素を含む添加材であることが好ましい。なお、ランタノイドからなる群に含まれる元素は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuである。このように、2種類以上の添加材を添加することで、さらに蛍光性能の高い蛍光材を製造することができる。なお、所定の添加材は、発光中心となる元素の酸化物または焼成時に発光中心となる元素の酸化物になる化合物であることが好ましい。
【0028】
焼成雰囲気は、還元雰囲気である。雰囲気ガスは、不活性ガスにH
2を2.0vol%以上3.5vol%以下の割合で混合したものであることが好ましい。不活性ガスは、N
2、Arなどを用いることができる。このような範囲の雰囲気ガスを用いることで、還元速度を調整することができる。H
2の濃度が2.0vol%より小さいと、還元効果が著しく低下する。また、3.5vol%より大きいと、爆発する虞が高くなる。
【0029】
また、焼成温度は、900℃以上1300℃以下である。後述する加熱実験から、900℃以上であればMgSiO
3を生成することができるが、焼成温度が低いと焼成時間が長くなる。焼成温度が900℃以上1300℃以下のとき、焼成時間は、10分以上5時間以下であることが好ましく、30分以上5時間以下であることがより好ましい。このように、本発明の製造方法によると、複数の試薬を用いて製造する場合に比べて、短時間の焼成で簡便に蛍光材を製造できる。
【0030】
以上の工程によって、セピオライトを原料として用いて、マグネシウム珪酸塩またはカルシウムマグネシウム珪酸塩の蛍光材を簡便に製造できる。例えば、型枠にセメントペーストまたはセメントモルタルを充填し、固まらないうちにその表面に焼成して得られた蛍光材を埋め込むことで、蛍光材がセメント硬化体に埋設された蛍光コンクリート部材とすることができる。また、励起波長の光が透過できる樹脂に練り込むことで、フィルム状、繊維状、その繊維から製造される織布とすることもできる。このようにして作製される蛍光部材は、各種製品の個体識別に利用することができる。また、蓄光特性を有する部材の場合は、店舗、駐車場、地下鉄など停電時に暗所となるような場所の、避難誘導指示材として用いることができる。
【0031】
[加熱実験]
セピオライトの加熱による変化を調べた。セピオライトには楠本化成(株)社製Pangel−ADを使用した。最高温度を700℃〜1200℃のいずれかの温度に固定し、10分間保持した後の重量減少率と生成された鉱物を確認した。重量減少率は、上皿電子天秤を用いて測定した加熱前後の重量差から算出した。
図2は、その結果を示す表である。表中の◎は、同定された鉱物のうち主なものを表す。
【0032】
加熱前のセピオライトには、Mg
8(OH)
4Si
12O
30(H
2O)
12およびMg
2Si
3O
8・2H
2Oの他に、Micaが含まれていた。700℃で加熱をすると、重量が15%減少し、Mg
8Si
12O
30(OH)
4が確認された。800℃で加熱したときも、Mg
8Si
12O
30(OH)
4が確認され、重量は17%減少した。900℃および1000℃で加熱したときは、重量が19%減少し、MgSiO
3が確認された。1200℃で加熱したときは、部分的に溶融し、MgSiO
3およびSiO
2が確認された。この結果、セピオライトからMgSiO
3を生成するためには、900℃以上で加熱すればよいことが分かった。
【0033】
[実施例および比較例]
(実施例1)
セピオライト(楠本化成(株)社製Pangel−AD)5gに酸化セリウム(関東化学社製鹿特級CeO
2 純度99.5%以上)を0.05g(外割りで1質量%)添加し、めのう乳鉢を用いて酸化セリウムがじゅうぶん均一に分散するように混合した。この混合原料を直径が30mmの円筒形の金型で一軸加圧成形し、(株)モトヤマ社製雰囲気式高速昇温電気炉(SBA−2025D)により、還元ガス雰囲気下、1300℃に1時間保持することで焼結体を作製した。還元ガスには、水素3vol%、窒素97vol%の混合ガスを用い、毎分1.8リットルで流通させた。冷却後、焼結体の発光スペクトルを測定したところ、励起波長300nmで発光波長392nmの青色の蛍光を発現した(
図3)。この焼結体の鉱物組成を粉末X線回折法により確認したところ、プロトエンスタタイトとクリストバライトの混合物であった(
図4)。
【0034】
(比較例1)
試薬から、実施例1と同様の蛍光体が得られるかを確認した。非晶質二酸化珪素(関東化学社製 高純度試薬 SiO
2 純度99.9%以上)を60質量%、高純度酸化マグネシウムを40質量%混合し、該混合物5gに酸化セリウム(関東化学社製鹿特級CeO
2 純度99.5%以上)を0.05g(外割りで1質量%)添加し、めのう乳鉢を用いて酸化セリウムがじゅうぶん均一に分散するように混合した。実施例1と同様にして、還元ガス雰囲気下、1300℃に1時間保持することで焼結体を作製した。冷却後、焼結体の発光スペクトルを測定したところ、励起波長303nmで発光波長400nmの青色の蛍光を発現したが、その発光強度は実施例1と比較して著しく劣るものであった(
図3)。この焼結体の鉱物組成を粉末X線回折法により確認したところ、マグネシウム珪酸塩としてフォルステライトおよび極少量のプロトエンスタタイトが生成した。しかしながら、多量のMgOが未反応で残留した(
図5)。
【0035】
(実施例2)
実施例1と同一のセピオライト5gに酸化亜鉛(国産化学製1級 ZnO 純度99%以上)を0.25g(外割りで5質量%)添加し、めのう乳鉢を用いて十分に混合し、実施例1と同様に、成形、還元ガス雰囲気下、1300℃に1時間保持することで焼結体を作製した。冷却後、焼結体の発光スペクトルを測定したところ、励起波長360nmで発光波長411nmの青色の蛍光を発現した(
図6)。
【0036】
(実施例3)
実施例1と同一のセピオライト5gに酸化セリウム(関東化学社製鹿特級CeO
2 純度99.5%以上)0.05g(外割りで1質量%)および酸化ジスプロシウム((関東化学社製 高純度試薬Dy
2O
3 純度99.5%以上)0.05g(外割りで1質量%)添加し、めのう乳鉢を用いて十分に混合し、実施例1と同様に、成形、還元ガス雰囲気下、1300℃に1時間保持することで焼結体を作製した。冷却後、焼結体の発光スペクトルを測定したところ、励起波長300nmで発光波長391nm、481nmおよび577nmにピークが認められ、全体としてはくすんだ青色の蛍光を発現した(
図7)。
【0037】
(実施例4)
まず、実施例1と同一のセピオライト67.8質量%と炭酸カルシウム(関東化学社製特級CaCO
3 純度99.5%以上)32.2質量%を混合した。該混合原料5gに対して酸化セリウム(関東化学社製鹿特級CeO
2 純度99.5%以上)を0.05g(外割りで1質量%)添加し、めのう乳鉢を用いて十分に混合した。この混合原料を成形し、還元ガス雰囲気下、1200℃に1時間保持することで焼結体を作製した。冷却後、焼結体の発光スペクトルを測定したところ、励起波長335nmで発光波長390nmの青色の蛍光を発現した(
図8)。この焼結体の鉱物組成を粉末X線回折法により確認したところ、ディオプサイドとオケルマナイトの混合物であった(
図9)。
【0038】
(実施例5)
実施例4のセピオライトと炭酸カルシウムの混合物5gに酸化ユーロピウム(関東化学社製 高純度試薬 Eu
2O
3 純度99.95%以上)を0.05g(外割りで1質量%)添加し、めのう乳鉢を用いて酸化ユーロピウムがじゅうぶん均一に分散するように混合した。この混合原料を成形し、実施例4と同一条件(還元ガス雰囲気下、1200℃に1時間保持)で焼結体を作製した。冷却後、焼結体の発光スペクトルを測定したところ、励起波長341nmで発光波長452nmの青色の蛍光を発現した(
図8)。
【0039】
(実施例6)
実施例1と同一のセピオライト56.4質量%と炭酸カルシウム(関東化学社製特級CaCO
3 純度99.5%以上)43.6質量%を混合した。該混合原料5gに対して外割りで酸化セリウム(関東化学社製鹿特級CeO
2 純度99.5%以上)を0.05g(外割りで1質量%)添加し、めのう乳鉢を用いて十分に混合した。この混合原料を成形し、還元ガス雰囲気下、1300℃に1時間保持することで焼結体を作製した。冷却後、焼結体の発光スペクトルを測定したところ、励起波長254nmで発光波長394nmの青色の蛍光を発現した(
図10)。この焼結体の鉱物組成を粉末X線回折法により確認したところ、オケルマナイトとディオプサイドの混合物であった(
図11)。焼結体中のカルシウム濃度を高めたことにより、実施例4および5の焼結体よりもオケルマナイトの生成割合が増加した。
【0040】
(1種類の添加材の他の例)
次に、実施例1と同一のセピオライト5gに、Mn、Ti、Bi、Nd、Y、およびNbを含む添加材をそれぞれ添加し、実施例1と同様の焼成条件で焼成して焼結体を作製した。なお、Mn、Ti、Bi、Nd、Y、およびNbを含む添加材として、MnCO
34水和物、TiO
2、Bi
2O
3、Nd
2O
3、Y
2O
3、Nb
2O
5を用いて、セピオライトに対し外割りで添加した。MnCO
34水和物は、Mnを所定の量に調整すればよいので、MnCO
3・nH
2Oであってもよい。
【0041】
作製した焼結体に短波紫外線(254nm)および長波紫外線(365nm)を照射したときの目視による蛍光の色と、蓄光性を調べた。
図12は、その結果を示す表である。比較のため、実施例1(Ce添加)の目視による蛍光の色と、蓄光性の結果も示している。いずれの焼結体もいくらかの蛍光が認められたが、実施例1が最も明るい蛍光であった。また、いずれも蓄光性は確認されなかった。
【0042】
(2種類の添加材の他の例)
次に、実施例1と同一のセピオライト5gに、第1の添加材としてCeO
2を添加し、第2の添加材としてMn、Ti、Nd、Y、Nb、およびEuを含む添加材をそれぞれ添加し、実施例1と同様の焼成条件で焼成して焼結体を作製した。なお、Mn、Ti、Nd、Y、Nb、およびEuを含む添加材として、MnCO
34水和物、TiO
2、Nd
2O
3、Y
2O
3、Nb
2O
5、Eu
2O
3を用いて、セピオライトに対し外割りで添加した。
【0043】
作製した焼結体に短波紫外線(254nm)および長波紫外線(365nm)を照射したときの目視による蛍光の色と、蓄光性を調べた。
図13は、その結果を示す表である。比較のため、実施例3(CeおよびDy添加)の目視による蛍光の色と、蓄光性の結果も示している。いずれの添加材もいくらかの蛍光が認められたが、Nd、Y、Euを添加したものは青色の蛍光を維持した。特にEuを添加したものは青色の輝度が高くなった。
【0044】
上記2種類の添加材を添加した焼結体の発光スペクトルを調べたところ、第2の添加材がEuのときは、Eu(II)の発光が認められた。第2の添加材がDyのときは、Ce(III)とDy(III)の発光が認められた。これら以外の第2の添加材のときは、Ce(III)のみの発光が認められた。
【0045】
(3種類の添加材の実施例)
次に、実施例1と同一のセピオライト5gに、第1の添加材としてMnCO
34水和物を0.05g(外割で1質量%)、第2の添加材としてCeO
2を0.05g(外割で1質量%)、第3の添加材としてDy
2O
3を0.05g(外割で1質量%)添加し、実施例1と同様の焼成条件で焼成して焼結体を作製した。
【0046】
作製した焼結体の発光スペクトルを測定したところ、この焼結体は、309nmの紫外線を照射したとき、発光波長394nmにピークが認められ、赤色の蛍光を発現した(
図14)。
【0047】
次に、実施例1と同一のセピオライト5gに、第1の添加材としてMnCO
34水和物を0.85g(外割で17質量%)、第2の添加材として炭酸セリウム(Ce(CO
3)
3・8H
2O)を0.108g(外割で2.16質量%)、第3の添加材としてEu
2O
3を0.025g(外割で0.5質量%)添加し、実施例1と同様の焼成条件で焼成して焼結体を作製した。
【0048】
焼結体の発光スペクトルを測定したところ、励起波長354nmで発光波長445nmにピークが認められ、全体としては明るい白色の蛍光を発現した(
図15)。
【0049】
以上から、本発明の蛍光材の製造方法は、天然のセピオライトを用いることで、簡便な固相焼結のみで、マグネシウム珪酸塩およびカルシウムマグネシウム珪酸塩の蛍光材を製造できることが確認された。