(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モノアクリレートは、メトキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートより選択される少なくとも一つである請求項1記載のインクジェット用樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
==開示の概要==
本明細書の記載により、上記主たる発明の他、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0014】
すなわち、前記モノアクリレートが、メトキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートより選択される少なくとも一つであるインクジェット用樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」という場合もありうる)が明らかとなる。これらのモノアクリレートは常温での粘度が低い。従って、これらのモノアクリレートを含む樹脂組成物も粘度が低く、インクジェット方式で塗布可能となる。また、これらのモノアクリレートは揮発性が高いため塗布後に揮発し易い。モノアクリレートが揮発することにより樹脂組成物の粘度が高くなるため、塗布後の形状を維持することができる。
【0015】
また、前記フィラーの平均粒径が0.1μm〜2μmであるインクジェット用樹脂組成物が明らかとなる。このような樹脂組成物は、インクジェット方式で塗布可能である。
【0016】
また、硬化後の弾性率が4GPa未満であるインクジェット用樹脂組成物が明らかとなる。硬化後の室温の弾性率を4GPa未満とすることにより、はんだリフロー時の高温(たとえば、260℃)から室温に下がった場合であっても、温度低下によって電子部品に生じる応力を緩和することができる。従って、樹脂組成物の硬化物とダイや支持部材との剥離を防止することができる。
【0017】
また、熱硬化性樹脂を更に含み、前記フィラーを除いたインクジェット用樹脂組成物総量中の前記モノアクリレートの割合が50〜79質量%であるインクジェット用樹脂組成物が明らかとなる。モノアクリレートの割合をこの範囲とすることにより、樹脂組成物は、インクジェット方式で塗布可能であり、塗布後の形状を維持することができ、且つ硬化後のボイド発生を低減することが可能となる。
【0018】
更に、上記のインクジェット用樹脂組成物の硬化物を接着層として有し、前記接着層の厚さが10μm以上50μm未満である電子部品が明らかとなる。接着層の厚さをこの範囲とすることにより、支持部材に対して樹脂組成物を仮固定することができ、且つ接着層に生じるボイドを低減することができる。
【0019】
また、上記のインクジェット用樹脂組成物をインクジェット方式で支持部材に塗布する塗布工程と、前記支持部材に塗布されたインクジェット用樹脂組成物に所定波長の光を照射し、前記支持部材に対して前記インクジェット用樹脂組成物を仮固定する光照射工程と、前記支持部材に仮固定されたインクジェット用樹脂組成物上に被接着物を載置し、熱を加えることにより前記インクジェット用樹脂組成物を本硬化させ、接着層を形成する熱硬化工程と、を有する電子部品の製造方法が明らかとなる。この方法では樹脂組成物をインクジェット方式で塗布可能であり、塗布後の樹脂組成物の形状を維持することができる。また、熱硬化工程後の接着層においてボイド発生を低減することが可能となる。
【0020】
==実施形態==
[インクジェット用樹脂組成物の組成]
本実施形態に係るインクジェット用樹脂組成物は、基板等の支持部材に対してインクジェット方式で塗布可能である。樹脂用組成物は、少なくともモノアクリレート及びフィラーを含む。本実施形態に係る樹脂組成物は絶縁性である。樹脂組成物は、ダイアタッチペーストとして用いられる。ダイアタッチペーストは、たとえば支持部材に対してICチップ等のダイを接着するための接着剤である。なお、インクジェット方式は、一般的なインクジェットの機構を用いることができるため、詳細な説明を省略する。
【0021】
(モノアクリレート)
本実施形態に係るモノアクリレートは、反応性希釈剤として作用する。反応性希釈剤は、後述の熱硬化性樹脂やラジカル重合開始剤と反応するものであって、且つインクジェット用樹脂組成物の粘度を低下させる。
【0022】
本実施形態に係るモノアクリレートは、室温での粘度が3mPa・s未満である。「室温」とは20℃±5℃である。モノアクリレートとしては、たとえば、メトキシエチルアクリレート(室温での粘度:1.5mPa・s)、イソブチルアクリレート(室温での粘度:0.8mPa・s)、シクロヘキシルアクリレート(室温での粘度:2.5mPa・s)、ジメチルアミノエチルアクリレート(室温での粘度:1.3mPa・s)より選択される少なくとも一つを用いることができる。反応性希釈剤を複数用いる場合、反応性希釈剤全体の粘度が室温で3mPa・s未満であることが好ましい。
【0023】
モノアクリレートの粘度が3mPa・s以上になると、それを含むインクジェット用樹脂組成物の粘度を十分に下げることができない。たとえば、ヒドロキシエチルアクリレートは室温での粘度が6.0mPa・sである。このように粘度の高いモノアクリレートを含む樹脂組成物は、インクジェット方式に用いることが不向きである。また、反応性希釈剤としては、ビニルエーテル類も存在する。しかし、ビニルエーテル類を含む樹脂組成物は、反応性が低く、硬化時にボイドが発生しやすくなる。
【0024】
一方、本実施形態に係る樹脂組成物は、室温での粘度が3mPa・s未満のモノアクリレートを含むことにより、粘度が低くなる。従って、本実施形態に係る樹脂組成物は、インクジェット方式で塗布が可能となる。また、本実施形態に係るモノアクリレートは揮発性が高いため、塗布後に揮発し易い。よって、塗布された樹脂組成物は粘度が高くなるため、塗布後の形状維持が容易となる。
【0025】
(フィラー)
本実施形態に係るフィラーは、ワイヤーボンディング時の弾性率を50MPa以上に確保するために添加される。フィラーを含む硬化物の200℃での熱時弾性率が50MPa以上であると、ワイヤーボンディング時のチップシフトを防ぐことができ好ましい。フィラーは、たとえば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等の絶縁性のものを用いる。
【0026】
本実施形態に係るフィラーは、最大粒径3μm未満である。最大粒径が3μmを超えると、インクジェットの吐出性が悪くなる、或いはフィラーが沈降しやすくなる。本明細書において、最大粒径は、レーザー回折・散乱法によって測定した、体積基準での粒度分布における最大の粒径である。最大粒径は、例えば、レーザー散乱回析法粒度分布測定装置:LS13320(ベックマンコールター社製、湿式)により測定できる。
【0027】
また、フィラーの平均粒径は、0.1μm〜2μmであることが好ましい。フィラーの平均粒径が0.1μmより小さいと樹脂組成物の粘度が高くなり、インクジェット方式に使用できない。また、フィラーの平均粒径が2μmよりも大きいと樹脂組成物中でフィラーが沈降し、樹脂組成物を収容するタンク内やインクジェットヘッド内でフィラーと樹脂成分が分離し易くなる。従って、均質な樹脂組成物を塗布することができない。本明細書において、平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって測定した、体積基準での粒度分布における積算値50%での粒径である。平均粒径は、例えば、レーザー散乱回析法粒度分布測定装置:LS13320(ベックマンコールター社製、湿式)により測定できる。
【0028】
(その他の成分)
インクジェット用樹脂組成物には、モノアクリレート及びフィラーの他、熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、光開始剤や有機過酸化物等のラジカル重合開始剤、カップリング剤、消泡剤等を添加することができる。
【0029】
本明細書において、熱硬化性樹脂とは、1分子中に熱硬化に寄与する官能基を2つ以上有する樹脂である。熱硬化性樹脂としては、モノアクリレートと反応するジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレートや、接着強度向上のためにエポキシ樹脂を使用することができる。また、必要に応じて、マレイミド類、チオール類、を添加してもよい。
【0030】
ジ(メタ)アクリレートやトリ(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
ジ(メタ)アクリレートの市販品としては、共栄社化学株式会社製メタクリル樹脂(品名:ライトエステルNP)、新中村化学工業社製アクリレート樹脂(品名:A−HD−N)などが挙げられる。トリ(メタ)アクリレートの市販品としては、共栄社化学株式会社製アクリレート樹脂(品名:ライトアクリレートTMP−A)、新中村化学工業社製メタクリレート樹脂(品名:TMPT)などが挙げられる。
【0032】
マレイミド類は、1分子内にマレイミド基を1つ以上含む化合物であり、加熱によりマレイミド基が反応することで3次元的網目構造を形成し、硬化することができる。例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等のビスマレイミド樹脂が挙げられる。より好ましいマレイミド類は、ダイマー酸ジアミンと無水マレイン酸の反応により得られる化合物、マレイミド酢酸、マレイミドカプロン酸といったマレイミド化アミノ酸とポリオールの反応により得られる化合物である。マレイミド化アミノ酸は、無水マレイン酸とアミノ酢酸又はアミノカプロン酸とを反応することで得られ、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールが好ましく、芳香族環を含まないものが特に好ましい。マレイミド基は、アリル基と反応可能であるのでアリルエステル樹脂との併用も好ましい。アリルエステル樹脂としては、脂肪族のものが好ましく、中でも特に好ましいのはシクロヘキサンジアリルエステルと脂肪族ポリオールのエステル交換により得られる化合物である。
【0033】
チオール類としては、1分子内にスルファニル基を1つ以上有する化合物であり、エポキシ基やビニル基と反応することで三次元的網目構造を形成し、硬化することができる。例えば、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、テトラエチレングリコール ビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパン トリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ポリサルファイドポリマーが上げられる。より好ましいチオール類としては1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールプロパン トリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタン トリス(3-メルカプトブチレート)である。
【0034】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ベンゼン環を多数有した多官能型であるテトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型又はトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリブタジエン型エポキシ樹脂(エポキシ化ポリブタジエン)、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、シリコーンエポキシ樹脂等が挙げられる。ビスフェノールAエチレンオキシド付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエステル、p−キシリレングリコールと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンの反応生成物等も使用することができる。
【0035】
中でも、低粘度化の観点から、エポキシ樹脂は液状であることが好ましい。市販品としては、DIC製ビスフェノールA型/ビスフェノールF型混合型エポキシ樹脂(品名:EXA835LV)、モメンティブ・パフォーマンス製シロキサン系エポキシ樹脂(品名:TSL9906)、新日鉄住金化学製1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(品名:ZX1658GS)、ADEKA製エポキシ樹脂(品名:EP−4000S)、ADEKA製ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のジグリシジルエーテル(品名:BPA−PO4000S)等が挙げられる。エポキシ樹脂は、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0036】
硬化剤としては、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ヒドラジド化合物、ジシアンジアミド等を使用することができる。樹脂組成物の接着性の観点から、フェノール系硬化剤がより好ましい。
【0037】
フェノール樹脂系硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として公知のフェノール樹脂を用いることができる。具体例としては、レゾール型又はノボラック型フェノール樹脂、アルキルレゾール型、アルキルノボラック型、アラルキルノボラック型のフェノール樹脂、キシレン樹脂、アリルフェノール樹脂等が挙げられる。フェノール樹脂系硬化剤のOH基当量としては、80〜250g/eqであることが好ましく、80〜200g/eqであることがより好ましい。アルキルレゾール型又はアルキルノボラック型フェノール樹脂の場合、アルキル基としては、炭素数1〜18のものを用いることができ、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシルのような炭素数2〜10のものが好ましい。フェノール樹脂系硬化剤として市販されているものとしては、明和化成株式会社製フェノール樹脂系硬化剤(品名:MEH8005)等が挙げられる。
【0038】
酸無水物系硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として公知の酸無水物を用いることができる。具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ドデセニル無水コハク酸、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。酸無水物系硬化剤として市販されているものとしては、三菱化学株式会社製酸無水物系硬化剤(品名:YH307)等が挙げられる。
【0039】
アミン系硬化剤には、脂肪族アミン、芳香族アミンの他、イミダゾール類も包含される。これらのうちイミダゾール類は、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進する、硬化促進剤としても用いられる。
【0040】
脂肪族アミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、m−キシレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等の脂環式ポリアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等のピペラジン型のポリアミンが挙げられる。芳香族アミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート等の芳香族ポリアミン等が挙げられる。トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデンセン−7等の3級アミン等も使用することができる。
【0041】
また、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物も使用することができる。
【0042】
更には、変性イミダゾール系硬化剤も使用することができる。具体例としては、エポキシ−イミダゾールアダクト系化合物やアクリレート−イミダゾールアダクト化合物が挙げられる。エポキシ−イミダゾールアダクト系化合物として市販されているものとしては、味の素ファインテクノ社製硬化剤(品名:アミキュアPN−23、アミキュアPN−40)、旭化成イーマテリアルズ社製硬化剤(品名:ノバキュアHX−3721)、富士化成工業社製硬化剤(品名:フジキュアFX−1000)等が挙げられる。また、アクリレート−イミダゾールアダクト系化合物として市販されているものとしては、例えば、ADEKA社製硬化剤(品名:EH2021)等が挙げられる。硬化剤は、これら品名に限定されるものではない。硬化剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0043】
硬化剤は、保存安定性、硬化性の観点から、インクジェット用樹脂組成物(溶剤を除く)100質量部に対して、0.1〜10質量部であると好ましい。
【0044】
ラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤や熱重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤としてはアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましく、市販品としてはBASFジャパン株式会社製ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(品名:IRGACURE 819)があげられる。熱重合開始剤としては有機過酸化物が好ましい。ラジカル重合開始剤の市販品としては、日油株式会社製ラジカル重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(品名:パーオクタO)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(品名:パーブチルZ)、が挙げられる。カップリング材の市販品としては、信越化学工業株式会社製3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(品名:KBM−403)、信越化学工業株式会社製3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(品名:KBM−503)等が挙げられる。
【0045】
本実施形態に係るインクジェット用樹脂組成物は、フィラーを抜いた樹脂組成物総量中のモノアクリレートの割合(100×(モノアクリレート)/(樹脂組成物−フィラー))が50〜79質量%であることが好ましい。モノアクリレートの割合が50質量%未満では、室温での粘度が高くなりやすくなり、79質量%を超えると、仮固定の際に未反応のモノアクリレートが樹脂組成物中に残ってしまう。一方、モノアクリレートを50〜79質量%の範囲で含む樹脂組成物は、インクジェット方式で塗布可能であり、塗布後の形状を維持することができ、且つ硬化後のボイド発生を低減することができる。
【0046】
[インクジェット用樹脂組成物の製造方法]
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、モノアクリレート、フィラー、及びその他の添加物を均一に混合することができれば特に限定されない。これらの原料の分散の装置としては、特に限定されるものではないが、撹拌、3本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル等を使用することができる。また、これら装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0047】
[硬化物]
本実施形態に係るインクジェット用樹脂組成物は、塗布後に所定波長の光を当てることにより仮固定し、その後、熱を加えることにより本硬化させて硬化物とすることができる。仮固定や本硬化の具体的な方法は、特に限定されるものではない。たとえば、仮固定は、樹脂組成物を塗布した後、紫外線帯域の光を照射することにより行うことができる。インクジェット用樹脂組成物中には紫外線硬化性であるモノアクリレートの他、多官能(メタ)アクリレート樹脂等、紫外線硬化性の樹脂が含まれることもある。また、本硬化は、仮硬化をした樹脂組成物の上にダイを載置し、約180℃の熱を与えることにより行うことができる。
【0048】
インクジェット用樹脂組成物は、硬化後の弾性率が4GPa未満であることが好ましい。本実施形態に係るモノアクリレートは、多官能アクリレートに比べ硬化物のガラス転移温度が低い。従って、はんだリフロー時の高温(たとえば、260℃)から室温に下がった場合であっても、温度低下によって電子部品に生じる応力を緩和することができる。そのため、樹脂組成物の硬化物とダイや支持部材との剥離を防止することができる。
【0049】
[電子部品]
電子部品は、IC、LSI等の半導体チップ(ダイ)と、基板等の支持部材とを接着し、ダイから支持部材へワイヤーボンディングを行った後、モールド剤で封止することにより製造される半導体パッケージ等である。このような半導体パッケージはプリント回路基板やマザーボードに搭載することができる。
【0050】
ダイと支持部材との間には、樹脂組成物の硬化物が接着層として形成される。この接着層の厚さ(Bond Line Thickness;BLT)は10μm以上50μm未満であることが好ましい。
【0051】
[電子部品の製造方法]
本実施形態に係る電子部品は、以下の工程により製造することができる。
【0052】
まず、塗布工程において、インクジェット用樹脂組成物をインクジェット方式で支持部材上に10〜100μmの厚さで塗布する。厚さが10μm未満の場合、所定波長の光を照射しても樹脂組成物を仮固定できない可能性がある。一方、厚さを100μm超とした場合、樹脂組成物中のモノアクリレートが塗布後に揮発し難くなり、接着層にボイドが生じる恐れがある。次に、光照射工程において、支持部材に塗布されたインクジェット用樹脂組成物に所定波長の光を照射し、支持部材に対してインクジェット用樹脂組成物を仮固定する。そして、熱硬化工程において、支持部材に仮固定されたインクジェット用樹脂組成物上に被接着物(ダイ)を載置し、熱を加えることによりインクジェット用樹脂組成物を本硬化させ、接着層を形成する。その後、必要に応じてワイヤーボンディングやモールド剤による封止を行うことにより電子部品を得ることができる。
【0053】
==実施例==
以下の実施例1〜6、及び比較例1〜3で得られたインクジェット用樹脂組成物に対して、粘度、常温弾性率、200℃での熱時弾性率、ボイド発生の有無を測定した。
【0054】
反応性希釈剤は、以下に示すいずれかを使用した。
・「2−MTA」(メトキシエチルアクリレート。常温での粘度:1.5mP・s。大阪有機化学工業株式会社製)
・「AIB」(イソブチルアクリレート。常温での粘度:0.8mP・s.大阪有機化学工業株式会社製)
・「ライトエステルHOA(N)」(2−ヒドロキシエチルアクリレート。常温での粘度:6.0mP・s。共栄社化学株式会社製)
・「NBVE」(ノルマルブチルビニルエーテル。常温での粘度:0.5mP・s日本カーバイド工業株式会社製)
【0055】
フィラーは、以下に示すいずれかを使用した。
・「シーホスターKE−S30」(シリカフィラー。平均粒径0.3μm、最大粒径0.6μm未満。株式会社 日本触媒製)
・「シーホスターKE−S100」(シリカフィラー。平均粒径1.0μm、最大粒径2.0μm未満。株式会社 日本触媒製)
【0056】
その他の成分として以下の材料を使用した。具体的に、熱硬化性樹脂は、トリアクリレート「ライトアクリレートTMP−A」(共栄社化学株式会社製)及びエポキシ樹脂「EXA835LV」(DIC株式会社製)を使用した。硬化剤は、フェノール樹脂「MEH8005」(昭和化成株式会社製)を使用した。硬化促進剤は、イミダゾール「フジキュア7000」(株式会社 T&K TOKA製)を使用した。ラジカル重合開始剤は、光開始剤(ラジカル重合開始剤)である「IRGACURE 819」(BASFジャパン株式会社製)及び有機過酸化物(ラジカル重合開始剤)である「パーオクタO」(日油株式会社製)を使用した。
【0057】
(実施例1)
「シーホスターKE−S30」30質量部(vol.%:16%)、「熱硬化性樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)」29質量部を3本ロールにて分散した後、「2−MTA」40質量部、ラジカル重合開始剤1質量部(「IRGACURE 819」0.5質量部、及び「パーオクタO」0.5質量部)を加えて撹拌し、樹脂組成物aを作製した。
【0058】
(実施例2)実施例1に対し、モノアクリレートの量を減らした例
「シーホスターKE−S30」30質量部(vol.%:16%)、「熱硬化性樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)」33.9質量部を3本ロールにて分散した後、「2−MTA」35質量部、ラジカル重合開始剤1.2質量部(「IRGACURE 819」0.6質量部、及び「パーオクタO」0.6質量部)を加えて撹拌し、樹脂組成物bを作製した。
【0059】
(実施例3)実施例1に対し、モノアクリレートの量を増やした例
「シーホスターKE−S30」30質量部(vol.%:16%)、「熱硬化性樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)」14.6質量部を3本ロールにて分散した後、「2−MTA」55質量部、ラジカル重合開始剤0.6質量部(「IRGACURE 819」0.3質量部、及び「パーオクタO」0.3質量部)を加えて撹拌し、樹脂組成物cを作製した。
【0060】
(実施例4)実施例1に対し、フィラーの量を減らした例
「シーホスターKE−S30」20質量部(vol.%:10%)、「熱硬化性樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)」29質量部を3本ロールにて分散した後、「2−MTA」50質量部、ラジカル重合開始剤1質量部(「IRGACURE 819」0.5質量部、及び「パーオクタO」0.5質量部)を加えて撹拌し、樹脂組成物dを作製した。
【0061】
(実施例5)モノアクリレートの種類を変えた例
「シーホスターKE−S30」30質量部(vol.%:16%)、「熱硬化性樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)」29質量部を3本ロールにて分散した後、「AIB」40質量部、ラジカル重合開始剤1質量部(「IRGACURE 819」0.5質量部、及び「パーオクタO」0.5質量部)を加えて撹拌し、樹脂組成物eを作製した。
【0062】
(実施例6)フィラーの種類を変えた例
「シーホスターKE−S100」30質量部(vol.%:16%)、「熱硬化性樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)」29質量部を3本ロールにて分散した後、「2−MTA」40質量部、ラジカル重合開始剤1質量部(「IRGACURE 819」0.5質量部、及び「パーオクタO」0.5質量部)を加えて撹拌し、樹脂組成物fを作製した。
【0063】
(比較例1)フィラー無し
「2−MTA」57質量部、「熱硬化性樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)」41.5質量部、ラジカル重合開始剤1.4質量部(「IRGACURE 819」0.7質量部、及び「パーオクタO」0.7質量部)を混合・攪拌して樹脂組成物gを作製した。
【0064】
(比較例2)モノアクリレートの種類を変えた例
「シーホスターKE−S30」30質量部(vol.%:16%)、「熱硬化性樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)」29質量部を3本ロールにて分散した後、「ライトエステルHOA(N)」40質量部、ラジカル重合開始剤1質量部(「IRGACURE 819」0.5質量部、及び「パーオクタO」0.5質量部)を加えて撹拌し、樹脂組成物hを作製した。
【0065】
(比較例3)モノアクリレートの種類を変えた例
「シーホスターKE−S30」30質量部(vol.%:16%)、「熱硬化性樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)」29質量部を3本ロールにて分散した後、「NBVE」40質量部、ラジカル重合開始剤1質量部(「IRGACURE 819」0.5質量部、及び「パーオクタO」0.5質量部)を加えて撹拌し、樹脂組成物iを作製した。
【0066】
(粘度の測定)
作製したインクジェット用樹脂組成物の粘度を、東機産業株式会社製コーンプレートタイプ粘度計TV−22(コーンプレート:1°34’×R24)を用い、25℃、30rpmで測定した。実施例及び比較例においては、粘度が30mPa・s以下の場合を「○」とし、粘度が30mPa・sより高い場合を「×」とした。
【0067】
(常温弾性率および200℃での熱時弾性率の測定)
離型剤を塗布し乾燥させた容器内に、膜厚が約300μmとなるように、インクジェット用樹脂組成物を塗布し、175℃×60分でシート状に硬化させた。これを40mm×5mmのサイズに加工しDMA測定用の試験片とした。粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製 DMS6100)を用いて、測定モード引張り、昇温速度3℃/分、測定周波数10Hzの条件でDMA測定を行い、室温および200℃での弾性率を求めた。
【0068】
実施例及び比較例においては、常温弾性率が4GPa未満の場合を合格の意味である「○」とした。また、200℃での熱時弾性率が50MPa以上の場合を合格の意味である「○」とし、弾性率が50MPaより低い場合を不合格の意味である「×」とした。
【0069】
(ボイド発生の有無)
インクジェット用樹脂組成物をスライドガラス上に滴下後、300mW/cm
2のUV照射を行いゲル化(形が崩れない程度に増粘)させた。その後、ゲル化した組成物の上に別のスライドガラスを載せ、2枚のスライドガラスで挟み込んだ試験片を25℃から175℃まで30分かけて昇温後、1時間保持して、硬化した試験片のボイドを確認した。
【0071】
表1に示したように、実施例のインクジェット用樹脂組成物は、いずれも低粘度であるという結果が得られた。一方、常温での粘度が6.0mPa・sのモノアクリレートを用いた場合(比較例2)、樹脂組成物の粘度が高くなることが明らかとなった。
【0072】
また、表1に示したように、実施例のインクジェット用樹脂組成物は、熱時弾性率を高く保つことができるという結果が得られた。一方、フィラーを用いない場合(比較例1)、熱時弾性率が低くなることが明らかとなった。
【0073】
更に、表1に示したように、実施例のインクジェット用樹脂組成物は、硬化後にボイドが発生しないとの結果が得られた。一方、反応性希釈剤としてモノアクリレート以外を用いた場合(比較例3)、硬化後にボイドが発生することが明らかとなった。
【0074】
本発明の実施形態及び実施例を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。