(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記触媒反応器内の全区間で、前記フェライト系触媒成形体と前記希釈物質粒子との重量の合計に対し、前記フェライト系触媒成形体の重量比率が10wt%〜15wt%になるように充填させるものである、請求項1に記載の触媒の充填方法。
前記触媒反応器内の全区間で、前記フェライト系触媒成形体と前記希釈物質粒子との重量の合計に対し、前記フェライト系触媒成形体の重量比率が10wt%〜15wt%のものである、請求項8に記載の触媒反応器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0012】
本明細書において、「収率(%)」とは、酸化的脱水素化反応の生成物である1,3−ブタジエン(BD)の重量を、原料であるブテン(BE)の重量で除した値として定義される。例えば、収率は、下記の式で表されることができる。
収率(%)=[(生成された1,3−ブタジエンのモル数)/(供給されたブテンのモル数)]×100
【0013】
本明細書において、「切り替え率(conversion、%)」とは、反応物が生成物に切り替える比率をいい、例えば、ブテンの切り替え率は、下記の式で定義することができる。
切り替え率(%)=[(反応したブテンのモル数)/(供給されたブテンのモル数)]×100
【0014】
本明細書において、「選択度(%)」とは、ブタジエンの変化量をブテンの変化量で除した値として定義される。例えば、選択性は、下記の式で表されることができる。
選択度(%)=[(生成された1,3−ブタジエン、または、COxのモル数)/(反応したブテンのモル数)]×100
【0015】
本明細書において、「触媒のホットスポット(hot spot)」とは、反応器内で触媒上の温度が最も高いところを意味する。
【0016】
本明細書の一実施形態は、(A)フェライト系触媒成形体と希釈物質粒子とを混合するステップ;および(B)前記フェライト系触媒成形体と前記希釈物質粒子とが混合された状態で触媒反応器に充填させるステップを含む。
【0017】
また、本明細書の一実施形態は、前記触媒反応器内の少なくとも一部の区間で、前記フェライト系触媒成形体と前記希釈物質粒子との重量の合計に対し、前記フェライト系触媒成形体の重量比率が10wt%〜15wt%になるように充填させるものである触媒の充填方法を提供する。
【0018】
ブテンの酸化的脱水素化反応には、フェライト系触媒を用いることができる。酸化的脱水素化反応は発熱反応であるが、フェライト系触媒の発熱によるCOxの選択度の増加およびブタジエンの選択度の減少が生じるようになる。したがって、フェライト系触媒を非活性物質と希釈して発熱を制御する技術が知られている。
【0019】
ただし、従来の技術は、触媒反応による発熱量が減少する効果はあるが、反応時間の経過によって触媒のホットスポット(hot spot)が反応器の長さ方向の後方に移動する現象が生じ、ホットスポットの位置を維持するためには、反応温度を増加させる必要があった。
【0020】
触媒のホットスポットの移動は、触媒の非活性度に関連があり、反応温度の増加は、工程上のコスト増加をもたらすという問題がある。
【0021】
これによって、本発明者等は、触媒自体を希釈することではなく、触媒成形体を希釈物質粒子と混合して充填した触媒反応器を用いて、触媒反応器内の触媒成形体の希釈比率を調節することができた。それで、触媒反応による発熱を制御し得る範囲で、同時に触媒のホットスポット(hot spot)の移動速度を制御して、運転の安定性を確保し、反応温度を増加させなくて済むので、コストを節減することができた。また、酸化的脱水素化反応が開始される区間で触媒の濃度を制限して、ホットスポットの移動速度を減少させることができた。
【0022】
また、触媒自体をバインダー物質などで希釈する場合は、触媒自体が成形体の内部に埋められるようになり、実際に反応物が触媒に接触し得る触媒面積が大幅に減少するようになる。しかし、本発明に係る触媒の充填方法は、触媒成形体自体をそのまま用いるため、加えた触媒の表面がいずれも反応物に接触し得る。したがって、ホットスポットの移動速度を制御するために、触媒反応器内の希釈比率を容易に調節することができる。
【0023】
本明細書の一実施形態によれば、前記触媒反応器内の上段および下段での希釈比率が互いに異なるように、フェライト系触媒成形体と希釈物質粒子とを充填させることができる
【0024】
本明細書の一実施形態によれば、前記触媒反応器内の少なくとも一部の区間で、前記フェライト系触媒成形体と前記希釈物質粒子との重量の合計に対し、前記フェライト系触媒成形体の重量比率が10wt%〜15wt%であってもよい。好ましくは10wt%〜13wt%であってもよい。前記触媒反応器内の少なくとも一部の区間で、前記触媒成形体の重量比率が前記範囲である場合、ブテンの酸化的脱水素化反応時に、触媒のホットスポットの移動速度を減少させることができる。
【0025】
特に、本明細書の一実施形態によれば、前記触媒反応器内の反応が開始される区間で、前記フェライト系触媒成形体と前記希釈物質粒子との重量の合計に対し、前記フェライト系触媒成形体の重量比率が10wt%〜15wt%になるように充填させることができ、前記触媒反応器内の全区間で、前記フェライト系触媒成形体と前記希釈物質粒子との重量の合計に対し、前記フェライト系触媒成形体の重量比率が10wt%〜15wt%になるように充填させることができる。前記のように、本明細書の一実施形態によれば、触媒反応器の反応が開始する区間で、希釈物質に対する触媒の濃度を制御して、ホットスポットの移動速度を減少させることができる。
【0026】
本明細書の一実施形態によれば、前記触媒反応器の反応が開始される区間とは、反応器の上段、すなわち、酸化的脱水素化反応の反応物が流入して触媒下で反応する区間を意味し得る。前記反応が終了する区間とは、反応器の下段、すなわち、酸化的脱水素化反応の反応物が上段から下に反応を完了して降りた底の部分を意味し得る。
【0027】
本明細書の一実施形態によれば、前記触媒反応器の全区間とは、触媒反応器の反応が開始される区間から反応が終了する区間までの区域を意味し、具体的に反応器内に触媒が充填された区域を意味し得る。
【0028】
本明細書の一実施形態によれば、触媒反応器の反応が開始される区間から反応が終了する区間まで、全区間でのフェライト系触媒成形体の重量比率を均一にすることができる。
【0029】
本明細書の一実施形態によれば、前記フェライト系触媒成形体の重量比率を均一にすることとは、前記触媒反応器内の任意の区域で測定したフェライト系触媒成形体の重量比率が同一であることを意味し得る。
【0030】
本明細書の一実施形態によれば、前記フェライト系触媒は、共沈法によって製造されたフェライト系触媒を意味し得る。前記共沈法は、金属前駆体と塩基性水溶液とを共沈するステップ;沈殿物をろ過するステップ;乾燥するステップ;および焼成するステップを含んでもよい。
【0031】
本明細書の一実施形態において、前記フェライト系触媒は、下記化学式1で表されることができる。
[化学式1]
AFe
2O
4
【0032】
前記化学式1において、Aは、Cu、Ra、Ba、Sr、Ca、Cu、Be、Zn、Mg、Mn、CoまたはNiである。
【0033】
本明細書の一実施形態によれば、前記フェライト系触媒は、亜鉛フェライト触媒であってもよい。
【0034】
本明細書の一実施形態によれば、前記金属前駆体は、亜鉛前駆体、フェライト前駆体、マンガン前駆体などであってもよいが、当技術分野において通常使用される金属前駆体であれば、これらに限定されない。また、前記金属前駆体は、硝酸塩(nitrate)、アンモニウム塩(ammonium salt)、硫酸塩(sulfate)、および塩化物(chloride)からなる群から選択される1種以上、または、これらの水化物であってもよい。
【0035】
本明細書の一実施形態によれば、前記フェライト系触媒が亜鉛フェライト触媒である場合、亜鉛前駆体とフェライト系前駆体とを塩基性水溶液に接触させて共沈法によって製造することができる。
【0036】
本明細書の一実施形態によれば、前記亜鉛前駆体は、亜鉛クロライド(ZnCl
2)であってもよい。
【0037】
本明細書の一実施形態によれば、前記フェライト系前駆体は、フェリッククロライドハイドレート(FeCl
3・6H
2O)であってもよい。
【0038】
本明細書の一実施形態によれば、前記塩基性水溶液のpHは、7〜11であってもよい。具体的には、前記塩基性水溶液のpHは、7を超え11以下であってもよい。より具体的には、前記塩基性水溶液のpHは、8〜11であってもよい。前記塩基性水溶液のpHが前記範囲を満足する場合、金属複合触媒を安定して生成する効果がある。
【0039】
本明細書の一実施形態によれば、前記塩基性水溶液は、水酸化カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、およびアンモニア水からなる群から選択された1種以上であってもよい。好ましくは、アンモニア水であってもよい。
【0040】
本明細書の一実施形態によれば、前記乾燥するステップは、前記沈殿物をろ過した後に洗浄するステップを経た後、焼成する前に行うことができる。
【0041】
本明細書の一実施形態によれば、前記乾燥するステップは、80℃〜150℃のオーブンで乾燥することができる。
【0042】
本明細書の一実施形態によれば、前記沈殿物を焼成するステップは、1℃/minの速度で650℃まで昇温させた後、6時間焼成過程を経るステップであってもよい。前記焼成する方法は、当技術分野において通常使用される熱処理方法であってもよい。
【0043】
本明細書の一実施形態によれば、前記沈殿物を焼成するステップは、焼成炉に1L/minの空気を注入して行うことができる。
【0044】
本明細書の一実施形態によれば、前記フェライト系触媒は、押出機を用いてフェライト系触媒成形体を形成することができる。
【0045】
本明細書の一実施形態によれば、前記フェライト系触媒成形体は、ペレット型(pellet type)、ボール型(ball type)または中空型に成形することができる。
【0046】
本明細書の一実施形態によれば、前記ペレットの直径は、1mm〜5mmであってもよいし、1.5mm〜3mmであってもよい。前記ペレットの直径が前記範囲を満足する場合に、触媒の発熱を制御して触媒の活性を向上させることができる。
【0047】
本明細書の一実施形態によれば、前記フェライト系触媒をペレットに成形した後に焼成するステップをさらに含み、最終的なフェライト系触媒成形体を製造することができる。
【0048】
本明細書の一実施形態によれば、前記希釈物質粒子は、金属酸化物であってもよい。前記金属酸化物は、亜鉛(Zn)、フェライト(Fe)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ラジウム(Ra)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、およびベリリウム(Be)からなる群から選択される1種以上の金属酸化物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本明細書の一実施形態によれば、前記希釈物質粒子は、アルミニウム酸化物であってもよい。
【0050】
本明細書の一実施形態によれば、前記希釈物質粒子は、アルミニウムオキサイド(α−Al
2O
3)であってもよい。
【0051】
本明細書の一実施形態によれば、前記希釈物質粒子は、直径1mm〜5mmのボール型(ball type)であってもよいし、直径2mm〜3mmのボール型(ball type)であってもよい。前記希釈物質粒子の直径が前記範囲を満足する場合、触媒成形体との混合時に触媒の活性を妨げることなく、所望する比率で希釈させることができ、触媒のホットスポットの移動速度を減少させることができる。前記希釈物質粒子は、ボール型(ball type)だけでなく、他の様々な形態であってもよい。
【0052】
本明細書の一実施形態によれば、前記(A)ステップは、前記触媒成形体15cc〜25ccおよび前記希釈物質粒子120cc〜140ccを混合するものであってもよい。
【0053】
本明細書の一実施形態によれば、前記触媒成形体と前記希釈物質粒子との含量が前記範囲である場合、前記触媒成形体と前記希釈物質粒子とを触媒反応器に充填するとき、前記希釈物質粒子と混合された触媒成形体全体の重量に対し、前記触媒成形体の重量比率が10wt%〜15wt%になるように含量を調節することができる。
【0054】
本明細書のもう一つの実施形態は、前述した触媒の充填方法によって、触媒反応器に触媒を充填するステップ;および前記触媒反応器でブテンを含む原料を酸化的脱水素化反応させてブタジエンを製造するステップを含むブタジエンの製造方法を提供する。
【0055】
本明細書の一実施形態によれば、前記酸化的脱水素化反応の触媒のホットスポットの移動速度が0〜0.5mm/hrであってもよいし、0.00001mm/hr〜0.3mm/hrであってもよいし、0.01mm/hr以上0.2mm/hr未満であってもよい。前記触媒のホットスポットの移動は、触媒の非活性度に関連があり、反応温度の増加は、工程上のコスト増加をもたらすという問題が生じ得る。したがって、本明細書の一実施形態によれば、前記酸化的脱水素化反応の触媒のホットスポットの移動速度が前記数値範囲を満足するとき、触媒の非活性速度が低く、運転コスト節減の効果を得ることができる。
【0056】
また、本明細書の一実施形態は、フェライト系触媒成形体と希釈物質粒子とが混合された状態で充填された触媒反応器を提供する。
【0057】
また、本明細書の一実施形態は、前記触媒反応器内の少なくとも一部の区間で、前記希釈物質粒子と混合された触媒成形体全体の重量に対し、前記触媒成形体の重量比率が10wt%〜15wt%のものである触媒反応器を提供する。
【0058】
本明細書の一実施形態によれば、前記希釈物質粒子と混合された触媒成形体全体の重量に対し、前記触媒成形体の重量比率は10wt%〜13wt%であってもよい。
【0059】
特に、本明細書の一実施形態によれば、前記触媒反応器内の反応が開始される区間で、前記フェライト系触媒成形体と前記希釈物質粒子との重量の合計に対し、前記フェライト系触媒成形体の重量比率が10wt%〜15wt%であってもよいし、前記触媒反応器内の全区間で、前記フェライト系触媒成形体と前記希釈物質粒子との重量の合計に対し、前記フェライト系触媒成形体の重量比率が10wt%〜15wt%であってもよい。前記触媒反応器の全区間で、前記触媒成形体の重量比率が前記範囲である場合、ブテンの酸化的脱水素化反応時に、触媒のホットスポットの移動速度を減少させることができる。
【0060】
また、本明細書のもう一つの実施形態は、前述した触媒反応器でブテンを含む原料を酸化的脱水素化反応させてブタジエンを製造するステップを含むブタジエンの製造方法を提供する。
【0061】
本明細書の一実施形態によれば、前記ブタジエンを製造するステップは、C4混合物を含む反応物を用いることができる。前記C4混合物は、一例として、2−ブテン(trans−2−Butene、cis−2−Butene)および1−ブテン(1−Butene)の中から選ばれた1種以上のノルマルブテンを含み、選択的にノルマルブタンやC4ラフィネート−3をさらに含んでもよい。前記反応物は、一例として、空気、窒素、スチームおよび二酸化炭素の中から選ばれた1種以上をさらに含んでもよいし、好ましくは、窒素およびスチームをさらに含むものである。具体的な一例として、前記反応物は、C4混合物、酸素、スチームおよび窒素を1:0.1〜1.5:1〜15:0.5〜10または1:0.5〜1.2:5〜12:0.5〜5のモル比で含んでもよい。また、本明細書の一実施形態に係るブタジエンの製造方法は、C4混合物1モルに対し、1〜10または5〜10モルで少量のスチームを使用するにも関わらず、反応効率に優れ、廃水発生が少ないというメリットがあり、究極的に廃水処理コストはもちろん、工程で消耗されるエネルギーを節減する効果を提供する。前記酸化的脱水素化反応は、一例として、250℃〜500℃、300℃〜450℃、320℃〜400℃、330℃〜380℃または350℃〜370℃の反応温度で行うことができ、この範囲内でエネルギーコストを大きく増加させることなく、かつ、反応効率に優れ、1,3−ブタジエンを高い生産性で提供することができる。
【0062】
本明細書の一実施形態によれば、前記ブタジエンを製造するステップは、単一の反応器で360℃の反応温度、GHSV(Gas Hourly Space Velocity)120h
−1の条件で行われ、前記反応物は、C4混合物:酸素:スチーム:窒素を1:0.67:5:2.67のモル比で含んでもよい。
【0063】
前記のように、本明細書の一実施形態に係る触媒の充填方法は、酸化的脱水素化反応に用いられるフェライト系触媒成形体を希釈物質粒子と混合して充填することによって、触媒反応器の全区間で、前記希釈物質粒子と混合された触媒成形体全体の重量に対する前記触媒成形体の重量比率を一定に調節し、発熱を制御すると同時に、触媒のホットスポットの移動速度を減少させることができる。
【0064】
以下、本明細書を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明することにする。しかし、本明細書に係る実施例等は、様々な他の形態に変形することができ、本明細書の範囲が下記で詳述する実施例等に限定されるものと解釈されない。本明細書の実施例等は、当業界において平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例】
【0065】
<製造例>触媒の製造
1)金属酸化物の製造
塩化亜鉛(ZnCl
2)12.019gおよび塩化第二鉄(FeCl
3)47.662gを155.59g蒸留水に溶解させ、金属前駆体溶液を用意した。このとき、前記金属前駆体溶液に含まれる金属成分等のモル比は、Zn:Fe=1:2であった。前記用意された金属前駆体水溶液にpH9になるようにアンモニア水溶液を滴下し、1時間撹拌して共沈させた。この後、共沈液を減圧ろ過して共沈物を得ており、これを90℃で16時間乾燥した後、空気雰囲気下で、80℃で1℃/minの昇温速度で650℃まで昇温させた後、6時間維持してスピネル構造を有する亜鉛−鉄酸化物(ZnFe
2O
4)の粉末を製造した。
【0066】
2)酸化的脱水素化反応用のペレット触媒の製造
前記製造された金属酸化物の粉末を0.6mm〜0.85mmに粉砕した後、液状バインダーとして水とイソプロピルアルコールとの混合物を投与した後、ニーダーを用いて均一に練って、押出成形機を用いて直径が1.5mm〜3mmであり、断面が円形であり、高さが1.5mm〜9mmである円筒形ペレットに成形した。成形ペレットを90℃で12時間乾燥および500℃で4時間熱処理した。
【0067】
<実施例1>
前記製造例1で製造したフェライト系触媒成形体20ccおよび直径2mm〜3mmのα−Al
2O
3ball130ccを混合し、反応器の全区間で触媒成形体の比率が10.17wt%になるように充填した。
【0068】
<実施例2>
前記製造例1で製造したフェライト系触媒成形体25ccおよび直径2mm〜3mmのα−Al
2O
3ball125ccを混合し、反応器の全区間で触媒成形体の比率が13.00wt%になるように充填した。
【0069】
<実施例3>
前記製造例1で製造したフェライト系触媒成形体20ccおよび直径2mm〜3mmのα−Al
2O
3ball130ccを、下記の表1のように、反応器の上段および下段での比率を異ならせて反応器に充填した。このとき、反応器の反応が開始する区間(上段)の触媒比率は3.65wt%であった。
【0070】
【表1】
【0071】
<実施例4>
前記製造例1で製造したフェライト系触媒成形体45ccおよび直径2mm〜3mmのα−Al
2O
3ball105ccを混合し、反応器の全区間で触媒成形体の比率が25wt%になるように充填した。
【0072】
<比較例1>
前記製造例1の2)酸化的脱水素化反応用の触媒の製造後に、常用のアルミナシリケート支持体(alumina silicate support)180gに触媒17.8gをコーティングし、フェライト系触媒成形体全体の重量に対する触媒比率が9wt%になるように成形した。
得られたフェライト系触媒成形体150ccを追加で希釈することなく、反応器に充填した。
【0073】
<比較例2>
前記製造例1で製造したフェライト系触媒成形体150ccを希釈物質と混合することなく、反応器の全区間で触媒成形体を充填した。
【0074】
<実験例>
前記実施例1〜4および比較例1〜2の反応器のそれぞれにおいて、ブテンを含む原料を酸化的脱水素化反応させ、ホットスポットの移動速度、ブテンの切り替え率、ブタジエンの選択度、COxの選択度、ホットスポットの温度変化を測定した結果を、下記表2に示した。
【0075】
前記酸化的脱水素化反応によってブタジエンを製造するステップは、単一反応器で360℃の反応温度、GHSV(Gas Hourly Space Velocity)120h
−1の条件で行われており、前記反応物は、C4混合物:酸素:スチーム:窒素を1:0.67:5:2.67のモル比で含んでいる。
【0076】
【表2】
【0077】
前記表2によると、実施例1に基づいて触媒成形体と希釈物質粒子とを混合して充填された触媒反応器でブテンの酸化的脱水素化反応する場合、ホットスポットの移動速度が減少することが確認できる。
【0078】
実施例1と比較例1を比較すると、触媒自体を支持体にコーティングし、希釈した触媒成形体を用いた比較例1に比べ、触媒成形体をそのまま使用し、希釈物質粒子で反応器の触媒比率を調節した実施例1は、ホットスポットの移動速度が8/100以下に減少するだけでなく、ブテンの切り替え率も向上することが確認できる。
【0079】
また、実施例1と比較例2を比較すると、希釈物質と混合していない触媒を使用した比較例2に比べ、触媒成形体をそのまま使用し、希釈物質粒子で反応器の触媒比率を調節した実施例1は、ホットスポットの移動速度が1/2以下に減少することが確認できる。
【0080】
実施例1と実施例3〜4を比較すると、反応開始区間の触媒比率を10wt%〜15wt%になるように充填させる場合に、より優れた効果が得られたことが分かる。
【0081】
結果として、本明細書に係る触媒の充填方法は、酸化的脱水素化反応が起こる触媒反応器の全区間、特に反応が開始する区間の触媒比率を特定の比率に調節し、究極的に触媒のホットスポットの移動速度を減少させることができる。
【0082】
以上を通じて、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の範囲内で様々に変形して実施することが可能であり、これもまた発明の範疇に属する。