(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る高吸水性樹脂は、高吸水性樹脂の表面に多孔性超疎水性微細粒子が導入された高吸水性樹脂である。前記粒子は、下記i)乃至ii)の特性を有する。
【0017】
i)300〜1500m
2/gのBET比表面積(specific surface area)、
ii)50%以上の孔隙率(porosity)
【0018】
一般的に、高吸水性樹脂の表面は親水性を呈し、水分吸収後の乾燥時、粒子の間に存在する水による毛細管力、水素結合、高分子inter−particaular diffusionまたは粒子間のファンデルワールス力などによって不可逆的凝集が発生する。したがって、高吸水性樹脂の重合および表面架橋工程においても必須に水を使用することになるが、これによる凝集が発生するため、内部の負荷を増加させ、結果的に装備故障の原因となり得る。また、前記のように凝集された状態の高吸水性樹脂は、粒度が応用に不都合に大きいため、これを適正な粒度に減らす解砕工程を導入しなければならないという欠点がある。さらに、前記解砕工程で強い力が加えられるため、高吸水性樹脂の破砕による物性の低下が発生し得る問題が存在していた。
【0019】
このような問題を解決するために、高吸水性樹脂の表面に存在し、樹脂粒子間の直接的な凝集を妨げる役割を果たす多様な微細粒子を導入しようとする試みがあったが、微細粒子が過剰に導入される場合、凝集は防止されるものの、高吸水性樹脂の吸水特性が減少するという欠点があった。
【0020】
このような問題を解決するために、本発明の高吸水性樹脂に導入される微細粒子は、2nm〜50μmの粒度を有する。また、前記微細粒子は、300〜1500m
2/g、好ましくは500〜1500m
2/g、より好ましくは700〜1500m
2/gのBET比表面積(specific surface area)を有してもよい。さらに、前記微細粒子は、水に対する接触角が125゜以上の超疎水性を、好ましくは140゜以上の超疎水性を、より好ましくは145゜以上の超疎水性を有してもよい。また、前記微細粒子は、50%以上の孔隙率(porosity)を、好ましくは90%以上の孔隙率(porosity)を有してもよい。本発明の高吸水性樹脂の製造方法は、前記のような特性を有する粒子を使用するため、樹脂表面にある水の影響を減少させるだけでなく、前記粒子が多孔性および超疎水性を有するため、凝集を著しく減少させることができ、相対的に少量の微細粒子を使用しても透過度が向上しやすく、高含水量およびその維持が容易になる。
【0021】
また、高吸水性樹脂の製造時に使用される水は、高吸水性樹脂同士の凝集性を増加させるため、多量の高吸水性樹脂間の凝集(Agglomeration)が発生するが、これは、高吸水性樹脂の加工性低下の大きな原因となる。
【0022】
そこで、本発明は、下記数式1〜4で表される高吸水性樹脂の凝集減少(Reducing Agglomeration)によるパラメータの複合的な物性の結合でシナジー効果を提供することができる。したがって、本発明は、高吸水性樹脂の製造時に水による凝集(Agglomeration)の発生を減少させて、高吸水性樹脂の加工性を向上させることができる。
【0023】
この時、前記高吸水性樹脂の凝集減少(Reducing Agglomeration)は、下記RA1〜RA4で定義されるパラメータによって計算される。
【0024】
本発明のRA値は、高吸水性樹脂の製造時に水を添加して製造する場合、特定範囲の粒度を有する粒子の比率のミリング前/後の変化量、または互いに異なる範囲の粒度を有する粒子のミリング前の含有比率に関するものである。前記特定範囲の粒度を有する粒子の比率は、篩(sieve)を用いて測定する。
【0025】
本発明において、高吸水性樹脂の凝集減少(Reducing Agglomeration)を示すパラメータは、下記RA1〜RA4で表すことができ、本発明は、下記数式1〜4で表される高吸水性樹脂の凝集減少(Reducing Agglomeration)によるパラメータを複合的に結合する。
【0026】
本発明に係る高吸水性樹脂は、下記数式1で表されるRA1の値が0.2以上であり、下記数式2で表されるRA2の値が0.65以上であることを同時に満足する。
【0027】
[数1]
RA1=D
am(850μm+)/D
bm(850μm+)≧0.2
【0028】
[数2]
RA2=D
am(600μm+)/D
bm(600μm+)≧0.65
(前記数式1および2において、D
am(xμm+)は、ミリング後のxμm以上の粒度を有する高吸水性樹脂の比率であり、D
bm(xμm+)は、ミリング前のxμm以上の粒度を有する高吸水性樹脂の比率である。)
【0029】
また、本発明に係る高吸水性樹脂は、下記数式3で表されるRA3の値が4以下であることをさらに満足することができる。
【0030】
[数3]
RA3=[D
bm(850μm+)/D
bm(150〜850μm)]*100≦4.0
(前記数式3において、D
bm(xμm+)は、ミリング前のxμm以上の粒度を有する高吸水性樹脂の比率であり、D
bm(y〜zμm)は、ミリング前のyμm以上、zμm以下の粒度を有する高吸水性樹脂の比率である。)
【0031】
さらに、本発明に係る高吸水性樹脂は、下記数式4で表されるRA4の値が4.5以下であることをさらに満足することができる。
【0032】
[数4]
RA4=[D
bm(850μm+)/D
bm(300〜850μm)]*100≦4.5
(前記数式4において、D
bm(xμm+)は、ミリング前のxμm以上の粒度を有する高吸水性樹脂の比率であり、D
bm(y〜zμm)は、ミリング前のyμm以上、zμm以下の粒度を有する高吸水性樹脂の比率である。)
【0033】
また、本発明に係る高吸水性樹脂は、下記数式2で表されるRA2の値が0.65以上であり、下記数式3で表されるRA3の値が4以下であることを同時に満足する。
【0034】
[数2]
RA2=D
am(600μm+)/D
bm(600μm+)≧0.65
【0035】
[数3]
RA3=[D
bm(850μm+)/D
bm(150〜850μm)]*100≦4.0
(前記数式2および3において、
D
am(xμm+)は、ミリング後のxμm以上の粒度を有する高吸水性樹脂の比率であり、
D
bm(xμm+)は、ミリング前のxμm以上の粒度を有する高吸水性樹脂の比率であり、
D
bm(y〜zμm)は、ミリング前のyμm以上、zμm以下の粒度を有する高吸水性樹脂の比率である。)
【0036】
前記数式1〜4のパラメータを計算するために、まず、高吸水性樹脂の製造時に水を添加して製造した後、製造された高吸水性樹脂に対して、ミリングしない状態で篩(sieve)を用いて粒度サイズに応じて分類した後、粒度サイズに応じた分布を測定する。以後、ミリングにより、製造された高吸水性樹脂を粉砕した後、ミリング後の粒径サイズに応じた分布を測定する。本発明において、前記粒度の測定は、当業界で使用するものであれば特別な制限はないが、例えば、EDANA法WSP240.3が用いられる。
【0037】
これにより、前記RA1のパラメータは、850μm以上の粒度を有する高吸水性樹脂のミリング前/後の比率を限定しており、前記RA2のパラメータは、600μm以上の粒度を有する高吸水性樹脂のミリング前/後の比率を限定している。
【0038】
また、前記RA3のパラメータは、ミリング前の高吸水性樹脂において、150〜850μmの粒度を有する高吸水性樹脂と、850μm以上の粒度を有する高吸水性樹脂の比率を限定しており、前記RA4のパラメータは、ミリング前の高吸水性樹脂において、3000〜850μmの粒度を有する高吸水性樹脂と、850μm以上の粒度を有する高吸水性樹脂の比率を限定している。
【0039】
前記のようなパラメータを有する場合、本発明は、高吸水性樹脂に導入された粒子の多孔性および疎水性によって表面の粘度が増加しなくなり、従来の高吸水性樹脂に水分が添加された時に発生する凝集および加工性の減少を低減することができる。
【0040】
したがって、本発明の高吸水性樹脂は、樹脂の表面を多孔性および疎水性に改質して水分吸収による粘度および凝集度を減少させることができ、加工性の増加を通した製造工程での負荷の減少および粒度および物性の制御を容易にし、高含水率と高加工性を同時に満足させることで、応用工程での樹脂破損による物性の低下を最小化することができる。
【0041】
また、本発明の微細粒子は特別な制限はないが、好ましくは、シリカ、アルミナ、およびチタニアからなる群より選択される1種以上が用いられる。
【0042】
さらに、本発明の微細粒子は、高吸水性樹脂100重量部に対して0.001〜1重量部添加されることが好ましい。微細粒子の含有量が前記範囲より少なければ、高吸水性樹脂の疎水性が十分でなく、前記範囲より多ければ、樹脂の加工性が低下する。
【0043】
本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、a)水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合または光重合して、含水ゲル状重合体を用意するステップと、b)前記含水ゲル状重合体を乾燥するステップと、c)前記乾燥した含水ゲル状重合体を粉砕するステップと、d)前記粉砕された含水ゲル状重合体に表面架橋剤を添加した後、表面架橋反応を行うステップと、e)前記表面架橋された高吸水性樹脂に、下記特性を有する粒子を添加した後、混合するステップとを含むことを特徴とする。
【0044】
前記微細粒子は、下記i)乃至ii)の特性を有する。
【0045】
i)300〜1500m
2/gのBET比表面積(specific surface area)、
ii)50%以上の孔隙率(porosity)
【0046】
以下、本発明の高吸水性樹脂の製造方法を詳細に説明する。
【0047】
まず、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、a)水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合または光重合して、含水ゲル状重合体を用意するステップを経る。
【0048】
本発明の高吸水性樹脂の製造のためには、当該技術分野で通常使用されるステップおよび方法で重合体を用意することができる。具体的には、本発明の高吸水性樹脂の製造において、前記単量体組成物は、重合開始剤を含むが、重合方法によって、光重合方法による場合には光重合開始剤を含み、熱重合方法による場合には熱重合開始剤などを含むことができる。ただし、光重合方法によっても、紫外線照射などの照射によって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行に伴ってある程度の熱が発生するため、追加的に熱重合開始剤を含んでもよい。
【0049】
本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法に使用される熱重合開始剤は特別な制限はないが、好ましくは、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素、およびアスコルビン酸からなる開始剤の群より選択される1つ以上が用いられる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na2S2O8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K2S2O8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH4)2S2O8)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例としては、2,2−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2−azobis(2−amidinopropane)dihydrochloride)、2,2−アゾビス−(N,N−ジメチレン)イソブチラミジンジヒドロクロライド(2,2−azobis−(N,N−dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2−(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド(2,2−azobis[2−(2−imidazolin−2−yl)propane]dihydrochloride)、4,4−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)(4,4−azobis−(4−cyanovaleric acid))などが挙げられる。
【0050】
また、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法に使用される光重合開始剤としては特別な制限はないが、好ましくは、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)、およびアルファ−アミノケトン(α−aminoketone)からなる群より選択される1つ以上が用いられる。一方、アシルホスフィンの具体例として、商用のlucirin TPO、すなわち、2,4,6−トリメチル−ベンゾイル−トリメチルホスフィンオキシド(2,4,6−trimethyl−benzoyl−trimethyl phosphine oxide)が挙げられる。
【0051】
さらに、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法において、前記水溶性エチレン系不飽和単量体としては、高吸水性樹脂の製造に通常使用される単量体であれば特別な制限はないが、好ましくは、陰イオン性単量体とその塩、非イオン系親水性含有単量体、およびアミノ基含有不飽和単量体およびその4級化物からなる群より選択されるいずれか1つ以上が用いられる。具体的には、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2−アクリロイルエタンスルホン酸、2−メタアクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の陰イオン性単量体とその塩;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、またはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの非イオン系親水性含有単量体;および(N,N)−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、または(N,N)−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和単量体およびその4級化物からなる群より選択されたいずれか1つ以上が好ましく用いられ、より好ましくは、アクリル酸またはその塩が用いられるが、アクリル酸またはその塩を単量体とする場合、特に吸水性の向上した高吸水性樹脂を得ることができるという利点がある。
【0052】
そして、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法において、資源の再活用による効果のために、前記単量体組成物には、製造された高吸水性樹脂粉末中の微粉、すなわち粒度が150μm未満の重合体または樹脂粉末を一定量含ませてもよく、具体的には、単量体組成物の重合反応開始前、または重合反応開始後の初期、中期、末期のステップにおいて、前記粒度が150μm未満の重合体または樹脂粉末を追加することができる。この時、追加可能な量は限定はないが、単量体樹脂組成物に含まれた単量体100重量部に対して1〜10重量部を追加することが、最終製造される高吸水性樹脂の物性の低下防止のために望ましい。
【0053】
一方、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法において、単量体組成物中の水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適宜選択して使用できるが、好ましくは40〜55重量%としてもよい。水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度が40重量%未満の場合、経済性の面で不利であり、55重量%を超える場合、重合された含水ゲル状重合体の粉砕時の粉砕効率が低くなり得る。
【0054】
このような単量体組成物を熱重合または光重合して、含水ゲル状重合体を用意する方法も、通常使用される重合方法であれば、その構成の限定がない。具体的には、重合方法は、重合エネルギー源によって、大きく熱重合および光重合に分けられ、通常熱重合を行う場合、ニーダ(kneader)のような撹拌軸を有する反応器で行われるとよく、光重合を行う場合、移動可能なコンベヤベルトを備えた反応器で行われるとよいが、前述した重合方法は一例であり、本発明は前述した重合方法に限定されない。
【0055】
例えば、前述のように、撹拌軸を備えたニーダ(kneader)のような反応器に、熱風を供給したり、反応器を加熱して熱重合して得られた含水ゲル状重合体は、反応器に備えられた撹拌軸の形態によって、反応器の排出口に排出される含水ゲル状重合体は、数センチメートルから数ミリメートルの形態であってもよい。具体的には、得られる含水ゲル状重合体の大きさは、注入されるモノマー組成物の濃度および注入速度などによって多様になるが、通常、粒度が2〜50mmの含水ゲル状重合体が得られる。
【0056】
また、前述のように、移動可能なコンベヤベルトを備えた反応器で光重合を行う場合、通常得られる含水ゲル状重合体の形態は、ベルトの幅を有するシート状の含水ゲル状重合体であってよい。この時、重合体シートの厚さは、注入されるモノマー組成物の濃度および注入速度に応じて異なるが、通常0.5〜5cmの厚さを有するシート状の重合体が得られるように単量体組成物を供給することが好ましい。シート状の重合体の厚さが薄すぎる程度として単量体組成物を供給する場合、生産効率が低くて望ましくなく、シート状の重合体の厚さが5cmを超える場合には、過度な厚さによって、重合反応が全厚さにわたって均一に行われないことがある。
【0057】
以後、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、b)前記含水ゲル状重合体を乾燥するステップを経る。
【0058】
前記a)ステップで得られた含水ゲル状重合体の通常の含水率は、30〜60重量%である。一方、本明細書全体において、「含水率」は、全体含水ゲル状重合体の重量に対して占める水分の含有量で、含水ゲル状重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。(具体的には、赤外線加熱により重合体の温度を上げて乾燥する過程で、重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値として定義する。この時、乾燥条件は、常温から180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式で、総乾燥時間は、温度上昇ステップの5分を含めた20分に設定して、含水率を測定する。)
【0059】
前記a)ステップで得られた含水ゲル状重合体は、乾燥ステップを経るが、好ましくは、前記乾燥ステップの乾燥温度は、150℃〜250℃であってもよい。一方、本明細書全体において、「乾燥温度」は、乾燥のために供給される熱媒体の温度、または乾燥工程で熱媒体および重合体を含む乾燥反応器の温度として定義される。
【0060】
乾燥温度が150℃未満の場合、乾燥時間が過度に長くなり、最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがあり、乾燥温度が250℃を超える場合、過度に重合体の表面のみが乾燥して、以後に行われる粉砕工程で微粉が発生することもあり、最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがある。好ましくは、前記乾燥は、150℃〜250℃の温度で、より好ましくは160℃〜200℃の温度で行われるとよい。
【0061】
一方、乾燥時間の場合には、その構成の限定はないが、工程効率などを考慮して、20分〜90分間行われるとよい。
【0062】
そして、このような乾燥ステップの乾燥方法も、含水ゲル状重合体の乾燥工程で通常使用されるものであれば、その構成の限定なく選択されて使用できる。具体的には、熱風供給、赤外線照射、極超短波照射、または紫外線照射などの方法で乾燥ステップを行うことができる。このような乾燥ステップ進行後の重合体の含水率は、0.1〜10重量%であってよい。
【0063】
一方、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、乾燥ステップの効率を高めるために、必要に応じて、乾燥ステップの前に簡単に粉砕するステップをさらに経てもよい。前記乾燥ステップの前に簡単に粉砕するステップは、含水ゲル状重合体の粒度が1mm〜15mmとなるように粉砕するとよいが、重合体の粒度が1mm未満となるように粉砕することは、含水ゲル状重合体の高い含水率によって技術的に困難であり、また、粉砕された粒子間で互いに凝集される現象が現れることもあり、粒度が15mmを超えるように粉砕する場合、粉砕による以後の乾燥ステップ効率増大の効果がわずかになる。
【0064】
前記乾燥ステップの前に簡単に粉砕するステップにおいて、使用される粉砕機は構成の限定はないが、具体的には、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転カッターミル(Rotary cutter mill)、カッターミル(Cutter mill)、ディスクミル(Disc mill)、シュレッドクラッシャ(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパ(chopper)、およびディスクカッター(Disc cutter)からなる粉砕機器の群より選択されるいずれか1つを含むことができるが、前記例に限定されない。
【0065】
このように、乾燥ステップの前に乾燥効率を高めるために粉砕するステップを経る場合、含水率が高い重合体によって、粉砕機の表面にくっ付く現象が現れることもある。したがって、このような含水ゲル状重合体の乾燥前の粉砕ステップの効率を高めるために、粉砕時、くっ付くのを防止可能な添加剤などを追加的に用いてもよい。具体的に使用可能な添加剤の種類はその構成の限定はないが、スチーム、水、界面活性剤、ClayやSilicaなどの無機粉末などのような微粉凝集防止剤;過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素、およびアスコルビン酸のような熱重合開始剤、エポキシ系架橋剤、ジオール(diol)類架橋剤、2官能基または3官能基以上の多官能基のアクリレートを含む架橋剤、水酸化基を含む1官能基の化合物のような架橋剤であってもよいが、前記例に限定されない。
【0066】
以後、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、前記乾燥ステップを経た後、c)前記乾燥した重合体を粉砕するステップを経る。前記粉砕ステップの後に得られる重合体の粒度は、150〜850μmである。本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法において、このような粒度に粉砕するために使用される粉砕機は、具体的には、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)、またはジョグミル(jog mill)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
以後、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、d)前記粉砕された含水ゲル状重合体に表面架橋剤を添加した後、表面架橋反応を行うステップを経る。
【0068】
本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法において、添加される表面架橋剤は、重合体の有する官能基と反応可能な化合物であればその構成の限定がない。前記表面架橋剤としては、好ましくは、生成される高吸水性樹脂の特性を向上させるために、多価アルコール化合物;エポキシ化合物;ポリアミン化合物;ハロエポキシ化合物;ハロエポキシ化合物の縮合生成物;オキサゾリン化合物類;モノ−、ジ−またはポリオキサゾリジノン化合物;環状ウレア化合物;多価金属塩;およびアルキレンカーボネート化合物からなる群より選択される1種以上が用いられる。
【0069】
具体的には、多価アルコール化合物の例としては、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、および1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選択される1種以上が挙げられる。
【0070】
また、エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテルおよびグリシドールなどが用いられ、ポリアミン化合物類としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、およびポリアミドポリアミンからなる群より選択される1種以上が挙げられる。
【0071】
そして、ハロエポキシ化合物としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、およびα−メチルエピクロロヒドリンが用いられる。一方、モノ−、ジ−またはポリオキサゾリジノン化合物としては、例えば、2−オキサゾリジノンなどが挙げられる。そして、アルキレンカーボネート化合物としては、エチレンカーボネートなどが挙げられる。これらをそれぞれ単独で使用したり、互いに組み合わせて使用してもよい。一方、表面架橋工程の効率を高めるために、これら表面架橋剤のうちの1種以上の多価アルコール化合物を含んで用いることが好ましく、より好ましくは、炭素数2〜10の多価アルコール化合物類が用いられる。
【0072】
そして、前記のように表面架橋剤を混合して、重合体粒子を表面処理するために添加される表面架橋剤の含有量は、具体的に追加される表面架橋剤の種類や反応条件に応じて適宜選択できるが、通常、重合体100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部、より好ましくは0.05〜2重量部が用いられる。
【0073】
表面架橋剤の含有量が少なすぎると、表面架橋反応がほとんど起こらず、重合体100重量部に対して5重量部を超える場合、過度な表面架橋反応によってむしろ高吸水性樹脂の物性が低下することがある。
【0074】
この時、表面架橋剤を重合体に添加する方法はその構成の限定はない。表面架橋剤と重合体粉末を反応槽に入れて混合したり、重合体粉末に表面架橋剤を噴射する方法、連続的に運転されるミキサのような反応槽に重合体と架橋剤を連続的に供給して混合する方法などが用いられる。
【0075】
そして、表面架橋剤を添加した後、表面架橋反応のための反応温度への昇温を1分〜60分内に進行させるために、好ましくは、表面架橋剤の添加時、重合体自体の温度は、20℃〜80℃であってよい。前記のように重合体自体の温度を示すために、比較的高温で進行する乾燥ステップの後に行われる工程を連続的に進行させ、工程時間を短縮したり、または工程時間を短縮しにくい場合には、別途に重合体を加熱してもよい。
【0076】
また、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、表面架橋剤を添加した後、表面架橋反応のための反応温度への昇温を1分〜60分内に進行させるために、重合体に添加される表面架橋剤自体を加熱してもよい。
【0077】
一方、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、表面架橋反応のための反応温度への昇温を1分〜60分内に進行させた後、表面架橋反応を行う場合、表面架橋工程の効率を改善することができ、最終的に得られる高吸水性樹脂の残存単量体の含有量を最小化し、優れた物性を有する高吸水性樹脂を得ることができる。この時、添加される表面架橋剤の温度は、5℃〜60℃、より好ましくは10℃〜40℃に調節するとよい。前記表面架橋剤の温度が5℃未満の場合、表面架橋剤の昇温による表面架橋反応への昇温速度短縮の効果がわずかであり、表面架橋剤の温度が60℃を超える場合、表面架橋剤が重合体に均一に分散しないことがある。本明細書全体において、表面架橋反応温度は、架橋反応のために添加される表面架橋剤と重合体の全体温度として定義される。
【0078】
そして、表面架橋反応のための昇温手段としては、その構成の限定がない。具体的には、熱媒体を供給したり、電気などの手段で直接加熱することができるが、本発明が前記例に限定されるものではない。具体的に使用可能な熱源としては、スチーム、電気、紫外線、赤外線などがあり、加熱された熱流体などを使用してもよい。
【0079】
一方、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法において、架橋反応のための昇温が行われた後、架橋反応は、1分〜60分、好ましくは5分〜40分、最も好ましくは10分〜20分間行われるとよい。架橋反応時間が1分未満と短すぎる場合、十分な程度の架橋反応が行われないことがあり、架橋反応時間が60分を超える場合、過度な表面架橋反応で高吸水性樹脂の物性がむしろ悪くなり、反応器において長期滞留による重合体の破砕が起こることがある。
【0080】
前記のように、含水ゲル状重合体と表面架橋剤とが反応して生成された高吸水性樹脂に対して、追加的な粉砕を行うことができる。前記粉砕によって得られる高吸水性樹脂の粒度は、150〜850μmである。前記のような粒度に粉砕するために使用される粉砕機は、具体的には、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)、またはジョグミル(jog mill)などが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
以後、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、e)前記表面架橋された高吸水性樹脂に多孔性超疎水性微細粒子を添加した後、混合するステップを経る。
【0082】
前記e)ステップは、表面架橋された高吸水性樹脂に、下記i)乃至ii)の特性を有する粒子と表面架橋剤を添加する。
【0083】
i)300〜1500m
2/gのBET比表面積(specific surface area)、
ii)50%以上の孔隙率(porosity)
【0084】
一般的に、高吸水性樹脂の表面は親水性を呈し、水分吸収後の乾燥時、粒子の間に存在する水による毛細管力、水素結合、高分子inter−particaular diffusionまたは粒子間のファンデルワールス力などによって不可逆的凝集が発生する。したがって、高吸水性樹脂の重合および表面架橋工程においても必須に水を使用することになるが、これによる凝集が発生するため、内部の負荷を増加させ、結果的に装備故障の原因となり得る。また、前記のように凝集された状態の高吸水性樹脂は、粒度が応用に不都合に大きいため、これを適正な粒度に減らす解砕工程を導入しなければならないという欠点がある。さらに、前記解砕工程で強い力が加えられるため、高吸水性樹脂の破砕による物性の低下が発生し得る問題が存在していた。
【0085】
このような問題を解決するために、高吸水性樹脂の表面に存在し、樹脂粒子間の直接的な凝集を妨げる役割を果たす多様な微細粒子を導入しようとする試みがあったが、微細粒子が過剰に導入される場合、凝集は防止されるものの、高吸水性樹脂の吸水特性が減少するという欠点があった。
【0086】
このような問題を解決するために、本発明の高吸水性樹脂に導入される微細粒子は、2nm〜50μmの粒度を有する。また、前記微細粒子は、300〜1500m
2/g、好ましくは500〜1500m
2/g、より好ましくは700〜1500m
2/gのBET比表面積(specific surface area)を有してもよい。また、前記微細粒子は、水に対する接触角が125゜以上の超疎水性を、好ましくは140゜以上の超疎水性を、より好ましくは145゜以上の超疎水性を有してもよい。さらに、前記微細粒子は、50%以上の孔隙率(porosity)を、好ましくは90%以上の孔隙率(porosity)を有してもよい。本発明の高吸水性樹脂の製造方法は、前記のような微細粒子を使用するため、樹脂表面にある水の影響を減少させるだけでなく、多孔性超疎水性微細粒子を使用するため、凝集を著しく減少させることができ、相対的に少量の微細粒子を使用しても透過度が向上しやすく、高含水量およびその維持が容易になる。
【0087】
前記微細粒子は特別な制限はないが、好ましくは、シリカ、アルミナ、およびチタニア(TiO2)からなる群より選択される1種以上が用いられる。
【0088】
一般的に、高吸水性樹脂の表面架橋工程で表面架橋剤を水に溶解した後、高吸水性樹脂と混合することにより、樹脂表面に均一な分布および浸透を誘導するが、この時使用された水は、高吸水性樹脂表面の粘性を増加させて凝集が起こる原因になるだけでなく、凝集された高吸水性樹脂の粉砕には強い力が要求され、これによる高吸水性樹脂の損傷などの欠点が発生する問題があった。
【0089】
しかし、前記のような多孔性超疎水性微細粒子に改質された高吸水性樹脂は、多孔性超疎水性微細粒子の影響で水による凝集が減少し、また、吸収された水が高吸水性樹脂表面の多孔性超疎水性微細粒子によってよく保存されることにより、ボールミリングなどがあっても、物性および粒度の変化が少なくなる。
【0090】
e)前記表面架橋された高吸水性樹脂に多孔性超疎水性微細粒子を添加した後、混合するステップにおいて、微細粒子は、表面架橋された高吸水性樹脂100重量部に対して0.001〜1重量部添加されることが好ましい。微細粒子の含有量が前記範囲より少なければ、高吸水性樹脂の疎水性が十分でなく、前記範囲より多ければ、樹脂の加工性が低下する。また、前記ステップe)において、表面架橋された含水ゲル状重合体に多孔性超疎水性微細粒子を添加した後、混合する速度は、200〜3000RPMの速度で混合することが好ましい。混合速度が200rpm未満であれば、混合による効果が十分でなく、3000rpmを超えると、過度に粉砕される問題がある。さらに、前記ステップe)において、表面架橋された含水ゲル状重合体に多孔性超疎水性微細粒子を添加した後、混合する方法または装備は、同種の技術で使用するものであれば、特別な制限なく使用できる。また、前記ステップe)において、表面架橋された含水ゲル状重合体に多孔性超疎水性微細粒子を添加した後、混合する時間は、10秒〜3分間混合することが好ましい。混合時間が10秒未満であれば、混合による効果が十分でなく、3分を超えると、過度に粉砕される問題がある。
【0091】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、下記に開示される本発明の実施形態はあくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に示され、なおかつ特許請求の範囲の記録と均等な意味および範囲内でのすべての変更を含んでいる。また、以下の実施例、比較例において、含有量を示す「%」および「部」は、特別に言及しない限り、質量基準である。
【実施例】
【0092】
実施例
製造例:含水ゲル状重合体の製造
アクリル酸100g、架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート0.3g、開始剤としてジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド0.033g、苛性ソーダ(NaOH)38.9g、および水103.9gの比率で混合して、単量体濃度が50重量%の単量体混合物を用意した。
【0093】
以後、前記単量体混合物を連続移動するコンベヤベルト上に投入し、紫外線を照射(照射量:2mW/cm
2)して2分間UV重合を進行させて、含水ゲル重合体を得た。
【0094】
製造例:高吸水性樹脂の製造
前記得られた含水ゲル重合体を5*5mmの大きさに切断して、170℃の温度の熱風乾燥機で2時間乾燥し、ピンミル粉砕機で粉砕した後、篩(sieve)を用いて、粒径サイズが150〜850μmの高吸水性樹脂を得た。
【0095】
以後、エチレングリコールジグリシジルエーテル3.5%を用いて高吸水性樹脂を表面架橋後、120℃で1時間反応させ、粉砕後、篩(sieve)を用いて、粒径サイズが150〜850μmの表面処理された高吸水性樹脂を得た。
【0096】
実施例:粒子が導入された高吸水性樹脂の製造
[実施例1]
前記製造例によって用意された高吸水性樹脂250gに、多孔性超疎水性微細粒子silica Aerogel(AeroZelTM、JIOS社)0.15gを1000RPMで60秒間混合した。その後、水6.25gを投与した後、60秒間混合した。以後、前記混合物を、篩を用いて、粒径サイズが150〜850μmの高吸水性樹脂を得た。前記使用したAerogelの粒度は5umであり、700m
2/gのBET比表面積を有し、水に対する接触角は144゜であり、孔隙率は95%であった。
【0097】
前記Aerogelの粒度の測定は、ISO13320に従って、HELOS(Helium−Neon Laser Optical System)を用いて、無変数超高速光回折法(Laser Diffraction)によって粒度を分析した。BET比表面積および孔隙率は、BET analyzerを用いた。水に対する接触角の測定は、contact angle analyzer(KRUSS DSA100)を用い、具体的には、平らなガラス板に両面テープを貼り付けた後、その上に微細粒子を単一層(Monolayer)に塗布した後、超純水5μlを単一層上に載せると滴状に位置し、この時、水滴とガラス板とのなす角度を4回繰り返し測定した後、平均値を計算した。
【0098】
[実施例2]
水の量を12.5g使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で行って高吸水性樹脂を得た。
【0099】
[比較例1]
多孔性超疎水性微細粒子としてReolosil DM−30Sを0.15g使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で行って高吸水性樹脂を得た。前記使用したREOLOSIL DM−30Sの粒度は7nmであり、230m
2/gのBET比表面積を有し、水に対する接触角は135゜であり、孔隙率は20%以下であり、測定方法は実施例1と同様である。
【0100】
[比較例2]
多孔性超疎水性微細粒子としてAerosil R972(Evonic社)を0.625g使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で行って高吸水性樹脂を得た。前記使用したAerosil R972の粒度は16nmであり、110m
2/gのBET比表面積を有し、水に対する接触角は135゜であり、孔隙率は20%以下であった。
【0101】
[比較例3]
多孔性超疎水性微細粒子としてAerosil R974(Evonic社)を0.625g使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で行って高吸水性樹脂を得た。前記使用したAerosil R974の粒度は12nmであり、170m
2/gのBET比表面積を有し、水に対する接触角は142゜であり、孔隙率は20%以下であり、測定方法は実施例1と同様である。
【0102】
[比較例4]
微細粒子と水を使用しないことを除いては、実施例1と同様の方法で行って樹脂を得た。
【0103】
前記実施例1〜2および比較例1〜4に対する製造方法の特徴をまとめて、下記表1に示した。
【0104】
【表1】
【0105】
実験例:物性評価
前記実施例1〜2および比較例1〜4による高吸水性樹脂の物性を評価するために、下記のような実験を行った。
【0106】
下記の実験に先立ち、前記実施例1〜2および比較例1〜4で用意された高吸水性樹脂に対するボールミリングを進行させた。内容量1Lのセラミック瓶に、高吸水性樹脂20gと直径2.5cmのセラミックボールを入れて、300RPMで15分間回転してmillingを進行させた。以後、下記実験例1および2の方法で粒度を分級し、以下、実験例1〜5において、ボールミリング前およびボールミリング後の高吸水性樹脂に対して実験結果を測定した。
【0107】
実験例1:高吸水性樹脂のパラメータの確認
前記実施例1〜2および比較例1〜4で用意された高吸水性樹脂に対する粒度を測定した。高吸水性樹脂の粒度の測定は、EDANA法WSP240.3を基準とした。高吸水性樹脂100gを850μm、600μm、300μm、150μm、PanのMeshに区分して、1.44mmの振幅、振動数50Hzで10分間振動した後、各篩の上部に滞留量の比率で含有量を測定した。
【0108】
前記測定結果から、下記数式1〜数式4による本発明のパラメータRA1〜RA4を、下記表2のように求めた。
【0109】
【表2】
【0110】
[数1]
RA1=D
am(850μm+)/D
bm(850μm+)≧0.2
【0111】
[数2]
RA2=D
am(600μm+)/D
bm(600μm+)≧0.65
【0112】
[数3]
RA3=[D
bm(850μm+)/D
bm(150〜850μm)]*100≦4.0
【0113】
[数4]
RA4=[D
bm(850μm+)/D
bm(300〜850μm)]*100≦4.5
【0114】
実験例2:高吸水性樹脂の粒度
前記実施例1〜2および比較例1〜4で用意された高吸水性樹脂に対する粒度を測定した。高吸水性樹脂の粒度の測定は、EDANA法WSP240.3を基準とした。高吸水性樹脂100gを850μm、600μm、300μm、150μm、PanのMeshに区分して、1.44mmの振幅、振動数50Hzで10分間振動した後、各篩の上部に滞留量の比率で含有量を測定した後、測定されたボールミリングの前後による粒度分布の測定結果を、表3に示した。
【0115】
【表3】
【0116】
実験例3:保水能(CRC、Centrifugal Retention Capacity)
前記実施例1〜2および比較例1〜4で用意された高吸水性樹脂それぞれに対する保水能を測定した。保水能の測定は、EDANA法WSP241.3を基準とした。用意された高吸水性樹脂中、粒度300〜600μmの試料0.2gをティーバッグに入れて、0.9%塩水溶液に30分間沈殿する。以後、250G(gravity)の遠心力で3分間脱水した後、塩水溶液が吸収された量を測定した。
【0117】
実験例4:加圧吸水能(AUP、Absorption Under Pressure)
前記実施例1〜2および比較例1〜4で用意された高吸水性樹脂それぞれに対する加圧吸水能を測定した。加圧吸水能の測定は、EDANA法WSP241.3を基準とした。用意された高吸水性樹脂中、粒度300〜600μmの試料0.9gをEDANAで規定するシリンダに入れて、ピストンと錘で0.7psiの圧力を加える。その後に、0.9%塩水溶液を60分間吸収した量を測定した。
【0118】
実験例5:塩水流伝導度(SFC、Saline flow conductivity)
前記実施例1〜2および比較例1〜4で用意された高吸水性樹脂に対する塩水流伝導度を測定した。塩水流伝導度の測定は、欧州特許第0640330A1号に開示されたSFC試験方法を参考にした。SFC測定装備の高さ(L0)を測定した後、用意された高吸水性樹脂中、粒度300〜600μmの試料0.9gをシリンダに入れて、0.3psiの圧力を加えた後、予め製造した人工尿を60分間吸収させる。以後、吸収された状態のSFC測定装備の高さを測定し(L)、0.118Mの塩水を5cmの高さを維持した状態で透過しながら、時間とともに透過された量を記録した。最終的に、塩水透過伝導度は下記式1により求めた。
【0119】
[式1]
SFC[cm
3・s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
【0120】
前記のように実験例3〜5の測定した保水能、加圧吸水能および塩水流伝導度の測定結果を、表4に示した。
【0121】
【表4】
【0122】
前記結果に基づいて、表面に超疎水性微細粒子が導入された高吸水性樹脂は、表面の疎水性が増加するに伴って凝集が減少し、結果的に加工性が増加することが分かる。
【0123】
一般的に、高吸水性樹脂の表面架橋工程では、表面架橋剤を水に溶解後、高吸水性樹脂と混合することにより、樹脂表面に均一な分布および浸透を誘導する。この時使用された水は、高吸水性樹脂表面の粘性を増加させて凝集が起こる原因となる。
【0124】
また、凝集された高吸水性樹脂の粉砕には強い力が要求され、これによる高吸水性樹脂の損傷などの欠点が発生する。
【0125】
具体的には、表4の結果をみると、実施例1と実施例2により製造された疎水性に改質された高吸水性樹脂は、比較例4により製造された高吸水性樹脂と比較した時、それぞれ2.5%および5.0%の水が追加されたにもかかわらず、粒度分布が類似することが分かる。
【0126】
これは、導入した超疎水性微細粒子の影響で水による凝集が減少したからである。また、吸収された水が高吸水性樹脂表面の超疎水性微細粒子によってよく保存されることにより、ボールミリング後も物性および粒度の変化が、比較例4により製造された高吸水性樹脂に比べて少ないことが分かる。
【0127】
また、表3の結果をみると、実施例1および比較例1〜3から製造された高吸水性樹脂の間の超疎水性微細粒子の疎水性に応じた差を確認した。
【0128】
相対的に疎水性が高い微細粒子を用いた実施例1の高吸水性樹脂は、低い疎水性の微細粒子が導入された比較例1と比較した時、粒度の増加が少なかった。また、他の種類の疎水性が低い微細粒子を導入した比較例2と比較例3の場合、加水量が同一の状態で粒度増加を制御するためにはより多量の微細粒子が必要であることが分かる。
【0129】
また、比較例1から比較例3までの高吸水性樹脂は、実施例1の高吸水性樹脂と比較した時、それぞれ凝集度の増加および微細粒子の使用量の増加によって保水能および加圧吸水能が減少することが分かる。
【0130】
さらに、前記実験例1〜5の結果に基づいて、本発明のパラメータであるRA1およびRA2、またはRA2およびRA3を満足する実施例1〜2の高吸水性樹脂は、表面の疎水性が増加するに伴って凝集が減少し、結果的に加工性が増加することが分かる。
【0131】
また、表3の結果をみると、本発明のパラメータであるRA1およびRA2、またはRA2およびRA3を満足する実施例1〜2の高吸水性樹脂は、比較例4により製造された高吸水性樹脂と比較した時、それぞれ2.5%および5.0%の水が追加されたにもかかわらず、粒度分布が類似することが分かる。
【0132】
さらに、表4の結果をみると、本発明のパラメータであるRA1およびRA2、またはRA2およびRA3を満足する実施例1および満足することのできない比較例1〜3から製造された高吸水性樹脂の間の超疎水性微細粒子の疎水性に応じた差を確認した。
【0133】
本発明のパラメータであるRA1およびRA2、またはRA2およびRA3を満足する実施例1の高吸水性樹脂は、そうでない比較例1と比較した時、粒度の増加が少なかった。また、本発明のパラメータであるRA1およびRA2、またはRA2およびRA3を満足することのできない比較例2と比較例3の場合、加水量が同一の状態で粒度増加を制御するためにはより多量の微細粒子が必要であることが分かる。
【0134】
また、比較例1から比較例3までの高吸水性樹脂は、本発明のパラメータであるRA1およびRA2、またはRA2およびRA3を満足する実施例1の高吸水性樹脂と比較した時、それぞれ凝集度の増加および微細粒子の使用量の増加によって保水能および加圧吸水能が減少することが分かる。