(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体および内部架橋剤が架橋重合されたベース樹脂(base resin)を準備する段階(段階1);
前記ベース樹脂に、無機フィラー、エポキシ系表面架橋剤および多価金属塩を混合し、前記無機フィラーを先に前記ベース樹脂に乾式で混合し、次いでエポキシ系表面架橋剤および多価金属塩を水に溶解して表面架橋溶液状態にて混合する段階(段階2);および
前記段階2の混合物を昇温して前記ベース樹脂に対する表面改質を行う段階(段階3)を含み、
前記エポキシ系表面架橋剤は、エポキシ当量が100g/eq以上130g/eq未満である第1エポキシ架橋剤およびエポキシ当量が130〜200g/eqである第2エポキシ架橋剤を含むものであり、
前記第1エポキシ架橋剤はベース樹脂100重量部に対して0.02〜0.05重量部で含まれ、第2エポキシ架橋剤はベース樹脂100重量部に対して0.005〜0.05重量部で含まれる、高吸水性樹脂の製造方法。
第1エポキシ架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethyleneglycol diglycidyl ether)およびジエチレングリコールジグリシジルエーテル(diethyleneglycol diglycidyl ether)からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
第2エポキシ架橋剤は、グリセロールポリグリシジルエーテル(glycerol polyglycidyl ether)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(diglycerol polyglycidyl ether)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(polyglycerol polyglycidyl ether)およびソルビトールポリグリシジルエーテル(sorbitol polyglycidyl ether)からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
前記疎水性物質は、グリセリルステアレート(glyceryl stearate)、グリコールステアレート(glycol stearate)、マグネシウムステアレート(magnesium stearate)、グリセリルラウレート(glyceryl laurate)、ソルビタンステアレート(sorbitan stearate)、ソルビタントリオレート(sorbitan trioleate)、およびPEG−4ジラウレート(PEG−4 dilaurate)からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項4に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
前記高吸水性樹脂は、前記高吸水性樹脂4gを水道水200gに浸漬させて2時間膨潤させた後、膨潤された前記高吸水性樹脂を0.75psiの圧力下に1分間濾過紙上で放置してから、前記高吸水性樹脂から前記濾過紙に再び染み出てきた水の重量で定義される再湿潤特性(加圧水道水の長期再湿潤)が1.0g以下である、請求項9〜12のいずれかに記載の高吸水性樹脂。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は多様な変更が加えられ、様々な形態を有し得ることから、特定の実施例を例示して下記に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。
【0014】
以下、本発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法について詳細に説明する。
【0015】
本発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法は、
酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体および内部架橋剤が架橋重合されたベース樹脂(base resin)を準備する段階(段階1);
前記ベース樹脂に、無機フィラー、およびエポキシ系表面架橋剤を混合し、前記無機フィラーを先に前記ベース樹脂に乾式で混合し、次いでエポキシ系表面架橋剤を水に溶解して表面架橋溶液状態に混合する段階(段階2);および
前記段階2の混合物を昇温して前記ベース樹脂に対する表面改質を行う段階(段階3)を含み、
前記エポキシ系表面架橋剤は、エポキシ当量が100g/eq以上130g/eq未満である第1エポキシ架橋剤およびエポキシ当量が130〜200g/eqである第2エポキシ架橋剤を含む。
【0016】
本発明の明細書において、「ベース樹脂」または「ベース樹脂粉末」は、水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された重合体を乾燥および粉砕して粒子(particle)または 粉末(powder)形態にしたものであり、後述する表面改質または表面架橋段階を行わない状態の重合体を意味する。
【0017】
アクリル酸系単量体の重合反応によって収得される含水ゲル状重合体は、乾燥、粉砕、分級、表面架橋などの工程を経て粉末状の製品である高吸水性樹脂として市販される。
【0018】
最近、高吸水性樹脂において吸収能、通液性のような諸吸水物性だけでなく実際のおむつが使われる状況で表面の乾燥(dryness)状態がどれくらい保持されるかがおむつ特性を測る重要な尺度になっている。
【0019】
本発明の一実施形態による製造方法によって収得される高吸水性樹脂は、保持能、加圧吸水能、通液性などの物性に優れ、優れた諸吸収性能を示し、塩水によって膨潤された後にも乾燥した状態が保持され、高吸水性樹脂に吸収された小便が再び染み出る再湿潤(rewet)および小便漏出(leakage)現象を効果的に防止する可能性があることを確認して本発明に至った。
【0020】
本発明の高吸水性樹脂の製造方法において、先に前記高吸水性樹脂の原料物質であるモノマー組成物は、酸性基を有して前記酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体、内部架橋剤および重合開始剤を含むモノマー組成物を重合して含水ゲル状重合体を収得し、これを乾燥、粉砕、分級してベース樹脂(base resin)を準備する(段階1)。
【0021】
これについて下記でより詳細に説明する。
【0022】
前記高吸水性樹脂の原料物質であるモノマー組成物は酸性基を有して前記酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体および重合開始剤を含む。
【0023】
前記アクリル酸系単量体は、下記化学式1で表される化合物である:
【0025】
前記化学式1において、
R
1は不飽和結合を含む炭素数2〜5のアルキルグループであり、
M
1は水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0026】
好ましくは、前記アクリル酸系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選ばれる1種以上を含む。
【0027】
ここで、前記アクリル酸系単量体は、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたものであり得る。好ましくは前記単量体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのようなアルカリ物質で部分的に中和させたものが使用され得る。このとき、前記アクリル酸系単量体の中和度は40〜95モル%、または40〜80モル%、または45〜75モル%であり得る。前記中和度の範囲は最終物性に応じて調整することができる。しかし、前記中和度が過度に高いと中和された単量体が析出されて円滑な重合の進行が難しく、逆に中和度が過度に低いと高分子の吸収力が大きく低下するだけでなく取り扱いが困難な弾性ゴムのような性質を示し得る。
【0028】
前記アクリル酸系単量体の濃度は、前記高吸水性樹脂の原料物質および溶媒を含むモノマー組成物に対して約20〜約60重量%、好ましくは約40〜約50重量%であり得、重合時間および反応条件などを考慮した適宜濃度調整し得る。ただし、前記単量体の濃度が過度に低いと高吸水性樹脂の収率が低く経済性に問題が生じ得、逆に濃度が過度に高くなると単量体の一部が析出されたり重合された含水ゲル状重合体の粉砕時、粉砕効率が低く示されるなど工程上の問題が生じ得、高吸水性樹脂の物性が低下し得る。
【0029】
本発明の高吸水性樹脂製造方法において、重合時使用される重合開始剤は高吸水性樹脂の製造に一般的に使われるものであれば特に限定されない。
【0030】
具体的には、前記重合開始剤は重合方法によって熱重合開始剤またはUV照射による光重合開始剤を使用することができる。ただし、光重合方法によっても、紫外線照射などの照射によって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行によりある程度の熱が発生するので、追加的に熱重合開始剤を含むこともできる。
【0031】
前記光重合開始剤は紫外線のような光によってラジカルを形成できる化合物であれば、その構成の限定なく使用することができる。
【0032】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびα−アミノケトン(α−aminoketone)からなる群より選ばれる一つ以上を使用することができる。一方、アシルホスフィンの具体例として、商用のlucirin TPO、すなわち、2,4,6−トリメチル−ベンゾイル−トリメチルホスフィンオキシド(2,4,6−trimethyl−benzoyl−trimethyl phosphine oxide)を使用することができる。より多様な光開始剤についてはReinhold Schwalmの著書である「UV Coatings:Basics,Recent Developments and New Application(Elsevier 2007年)」p115によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0033】
前記光重合開始剤は、前記モノマー組成物に対して約0.01〜約1.0重量%の濃度で含まれ得る。このような光重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなり、光重合開始剤の濃度が過度に高いと高吸水性樹脂の分子量が小さく物性が不均一になる。
【0034】
また、前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤群より選ばれる一つ以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na
2S
2O
8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K
2S
2O
8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH
4)
2S
2O
8)などがあって、アゾ(Azo)系開始剤の例としては2,2−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2−azobis(2−amidinopropane)dihydrochloride)、2,2−アゾビス−(N,N−ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロリド(2,2−azobis−(N,N−dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2−(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(2,2−azobis[2−(2−imidazolin−2−yl)propane] dihydrochloride)、4,4−アゾビス−(4−シアノバレリン酸)(4,4−azobis−(4−cyanovaleric acid))などがある。より多様な熱重合開始剤についてはOdianの著書である「Principle of Polymerization(Wiley、1981)」、p203によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0035】
本発明の一実施例によれば、前記モノマー組成物は、高吸水性樹脂の原料物質として内部架橋剤を含む。前記内部架橋剤としては、前記アクリル酸系単量体と反応できる官能基を1個以上有し、かつエチレン性不飽和基を1個以上有する架橋剤;あるいは前記アクリル酸系単量体の置換基および/または単量体の加水分解によって形成された置換基と反応できる官能基を2個以上有する架橋剤を使用することができる。
【0036】
前記内部架橋剤は、アクリル酸系単量体が重合された重合体の内部を架橋させるためのものであって、前記重合体の表面を架橋させるための表面架橋剤と区分される。
【0037】
前記内部架橋剤の具体的な例としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、トリアリールアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン、およびエチレンカーボネートからなる群より選ばれた1種以上を使用することができる。
【0038】
このような内部架橋剤は、前記モノマー組成物に対して約0.01〜約1.0重量%の濃度で含まれ、重合された高分子を架橋させることができる。
【0039】
本発明の製造方法において、高吸水性樹脂の前記モノマー組成物は必要に応じて増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含み得る。
【0040】
上述した酸性基を有して前記酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体、光重合開始剤、熱重合開始剤、内部架橋剤および添加剤のような原料物質は溶媒に溶解したモノマー組成物溶液の形態で準備される。
【0041】
このとき使用できる前記溶媒は、上述した成分を溶解できればその構成の限定なく使用可能であり、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N−ジメチルアセトアミドなどより選ばれた1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
前記溶媒はモノマー組成物の総含有量に対して上述した成分を除いた残量で含まれ得る。
【0043】
一方、このようなモノマー組成物を熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を形成する方法も通常用いられる重合方法であれば、特に構成の限定はない。
【0044】
具体的には、重合方法は重合エネルギー源によって大きく熱重合および光重合に分かれ、通常熱重合を行う場合、ニーダー(kneader)のような攪拌軸を有する反応器で行うことができ、光重合を行う場合は移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で行われるが、上述した重合方法は一例であり、本発明は上述した重合方法に限定されない。
【0045】
一例として、前述したように攪拌軸を備えたニーダー(kneader)のような反応器に、熱風を供給したり反応器を加熱して熱重合を行い、含水ゲル状重合体を得ることができ、反応器に備えられた攪拌軸の形態に応じて、反応器の排出口に排出される含水ゲル状重合体は数センチメートル〜数ミリメートル形態であり得る。具体的には、得られる含水ゲル状重合体の大きさは、注入されるモノマー組成物の濃度および注入速度などに応じて多様に現れるが、通常重量平均粒径が2〜50mmの含水ゲル状重合体が得られる。
【0046】
また、前述したように移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で光重合を行う場合、通常得られる含水ゲル状重合体の形態はベルトの幅を有するシート状の含水ゲル状重合体であり得る。このとき、重合体シートの厚さは注入される単量体組成物の濃度および注入速度により変わるが、通常、約0.5〜約5cmの厚さを有するシート状の重合体が得られるように単量体組成物を供給することが好ましい。シート状の重合体の厚さが過度に薄い程度に単量体組成物を供給する場合、生産効率が低いため好ましくなく、シート状の重合体厚さが5cmを超える場合は過度に厚い厚さによって重合反応が全ての厚さにわたって等しく行われない。
【0047】
このとき、このような方法で得られた含水ゲル状重合体の通常含水率は約40〜約80重量%であり得る。一方、本明細書全体で「含水率」は全体含水ゲル状重合体重量に対して占める水分の含有量であり、含水ゲル状重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱によって重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値で定義する。このとき、乾燥条件は常温で約180℃まで温度を上昇させた後180℃で維持する方式で総乾燥時間は温度上昇段階の5分を含んで20分に設定し、含水率を測定する。
【0048】
次に、得られた含水ゲル状重合体を乾燥する段階を行う。
【0049】
このとき、必要に応じて前記乾燥段階の効率を高めるために乾燥前に粗粉砕する段階をさらに経る。
【0050】
このとき、用いらえる粉砕機は構成の限定はないが、具体的には、竪型粉砕機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、ロータリーカッターミル(Rotary cutter mill)、カッターミル(Cutter mill)、ディスクミル(Disc mill)、シュレッドクラッシャー(Shred crusher)、クラッシャー(Crusher)、チョッパー(chopper)およびディスクカッター(Disc cutter)からなる粉砕機器群より選ばれるいずれか一つを含み得るが、上述した例に限定されない。
【0051】
このとき、粉砕段階は含水ゲル状重合体の粒径が約2〜約10mmになるように粉砕することができる。
【0052】
粒径を2mm未満に粉砕することは含水ゲル状重合体の高い含水率のため技術的に容易でなく、また、粉砕された粒子間に互いに凝集する現象が現れることもある。一方、粒径が10mm超過に粉砕する場合、後に行われる乾燥段階の効率増大効果がわずかである。
【0053】
上記のように粉砕されたり、あるいは粉砕段階を経ていない重合直後の含水ゲル状重合体に対して乾燥を行う。このとき、前記乾燥段階の乾燥温度は約150〜約250℃であり得る。乾燥温度が150℃未満である場合、乾燥時間が過度に長くなって最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがあり、乾燥温度が250℃を超える場合、過度に重合体表面のみ乾燥され、後に行われる粉砕工程で微粉が発生し得、最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがある。したがって、好ましくは前記乾燥は約150〜約200℃の温度で、さらに好ましくは約160〜約180℃の温度で行われる。
【0054】
一方、乾燥時間の場合は工程効率などを考慮して約20〜約90分間行われるが、これに限定されない。
【0055】
前記乾燥段階の乾燥方法も含水ゲル状重合体の乾燥工程で通常用いられるものであれば、その構成の限定なく選んで用いることができる。具体的には、熱風供給、赤外線照射、極超短波照射、または紫外線照射などの方法で乾燥段階を行うことができる。このような乾燥段階進行後の重合体の含水率は約0.1〜約10重量%であり得る。
【0056】
次に、このような乾燥段階を経て得られた乾燥された重合体を粉砕する段階を行う。
【0057】
粉砕段階後に得られる重合体粉末は、粒径が約150〜約850μmであり得る。このような粒径に粉砕するために用いられる粉砕機は、具体的には、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などが用いられるが、本発明は上述した例に限定されない。
【0058】
そして、このような粉砕段階後に最終製品化される高吸水性樹脂粉末の物性を管理するために、粉砕後得られる重合体粉末を粒径に応じて分級する別途の過程を経ることができ、前記重合体粉末を粒径範囲に応じて一定の重量比になるように分級することができる。
【0059】
次に、前記ベース樹脂に、無機フィラー、およびエポキシ系表面架橋剤を混合する (段階2)。
【0060】
一般的な高吸水性樹脂の製造方法において、乾燥および粉砕された重合体、すなわち、ベース樹脂に表面架橋剤を含む表面架橋溶液を混合した後、これらの混合物に熱を加えて昇温することによって前記粉砕された重合体に対して表面架橋反応を行う。
【0061】
前記表面架橋段階は、表面架橋剤の存在下に前記粉砕された重合体の表面に架橋反応を誘導することによって、より向上した物性を有する高吸水性樹脂を形成させる段階である。このような表面架橋により前記粉砕された重合体粒子の表面には表面架橋層(表面改質層)が形成される。
【0062】
一般に、表面架橋剤は高吸水性樹脂粒子の表面に塗布されるので、表面架橋反応は高吸水性樹脂粒子の表面上で起き、これは粒子の内部には実質的に影響を及ぼすことなく粒子の表面上での架橋結合性は改善させる。したがって、表面架橋結合された高吸水性樹脂粒子は内部でより表面付近でさらに高い架橋結合度を有する。
【0063】
一方、前記表面架橋剤としては重合体が有する官能基と反応可能な化合物を使用し、一例として多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ポリアミン化合物、ハロエポキシ化合物、ハロエポキシ化合物の縮合産物、オキサゾリン化合物類、多価金属塩、またはアルキレンカーボネート化合物などを使用できることが知られている。
【0064】
一方、本発明の製造方法によれば、エポキシ系表面架橋剤を使用し、エポキシ当量が相異する2種のエポキシ系表面架橋剤を混合使用する。このように2種のエポキシ系表面架橋剤を混合使用すると、高吸水性樹脂の表面に架橋層が二重層で形成され、これにより、高吸水性樹脂の再湿潤特性が低下することなく、水が速やかに通過する性質である通液性をより改善することができる。
【0065】
具体的には、本発明の製造方法では、前記エポキシ系表面架橋剤としてエポキシ当量が100g/eq以上130g/eq未満である第1エポキシ架橋剤およびエポキシ当量が130〜200g/eqである第2エポキシ架橋剤を使用する。
【0066】
一実施形態において、前記第1エポキシ架橋剤は、エポキシ当量が110〜125g/eq範囲であり得る。第1エポキシ架橋剤は、ベース樹脂の1次表面架橋による全般的な吸水特性の向上効果を得るために使用され、万一、第1エポキシ架橋剤のエポキシ当量が100g/eq未満であれば、上述した効果を十分に確保することはできない。
【0067】
前記第1エポキシ架橋剤は、2官能性架橋剤が好ましい。第1エポキシ架橋剤として2官能性エポキシ架橋剤を使用するとき、架橋鎖の柔軟性を確保することができ、これにより、高吸水性樹脂の吸収性能を最大化することができる。
【0068】
また、前記第1エポキシ架橋剤の含有量は、ベース樹脂100重量部に対して0.01〜0.1重量部、または0.02〜0.05重量部であり得る。仮に、第1エポキシ架橋剤の含有量がベース樹脂100重量部に対して0.01重量部未満であると、十分な表面架橋が行われず、加圧吸水能および通液性低下の問題があり得、0.1重量部を超えると高吸水性樹脂の再湿潤特性が低下する問題があり得る。
【0069】
前記第1エポキシ架橋剤の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethyleneglycol diglycidyl ether)およびジエチレングリコールジグリシジルエーテル(diethyleneglycol diglycidyl ether)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0070】
前記第2エポキシ架橋剤は、第1エポキシ架橋剤に比べてエポキシ当量が高いものであり、ベース樹脂の表面架橋時の第2エポキシ架橋剤の浸透の深さは第1エポキシ架橋剤と相異する。したがって、第1エポキシ架橋剤および第2エポキシ架橋剤を同時に使用して表面架橋を行うとベース樹脂表面が二重で架橋される効果が得られる。
【0071】
一実施形態で前記第2エポキシ架橋剤のエポキシ当量は、135g/eq以上、150g/eq以上、または160g/eq以上であり、かつ195g/eq以下、または190g/eq以下であり得るが、これに制限されるものではない。
【0072】
前記第2エポキシ架橋剤の含有量は、ベース樹脂100重量部に対して0.001〜0.1重量部、または0.005〜0.05重量部であり得る。仮に、第2エポキシ架橋剤の含有量がベース樹脂100重量部に対して0.001重量部未満であると、二重で表面架橋効果を得ることができず、0.1重量部を超えると表面架橋強度が過度に強く、再湿潤特性が低下する問題があり得る。
【0073】
前記第2エポキシ架橋剤の例としては、グリセロールポリグリシジルエーテル(glycerol polyglycidyl ether)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(diglycerol polyglycidyl ether)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(polyglycerol polyglycidyl ether)およびソルビトールポリグリシジルエーテル(sorbitol polyglycidyl ether)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。前記ポリグリセロールポリグリシジルエーテルは、好ましくは繰り返し単位を3個有するトリグリセロールポリグリシジルエーテルであり得る。
【0074】
前記第2エポキシ架橋剤は、エポキシ官能基を3以上、または3〜4個含むことが好ましい。前記官能基数を満足する第2エポキシ架橋剤を使用するとき、追加的に高吸水性粒子の最外郭表面の架橋強度のみ向上させることができ、これにより、高吸水性樹脂の通液性および再湿潤特性がさらに向上することができる。
【0075】
前記エポキシ系表面架橋剤の添加時、追加で水を共に混合して表面架橋溶液の形態で添加することができる。水を添加する場合、表面架橋剤が重合体に均一に分散される利点がある。このとき、追加される水の含有量は表面架橋剤の均一な分散を誘導して重合体粉末の凝集現象を防止すると同時に表面架橋剤の表面浸透の深さを最適化するための目的で重合体100重量部に対して、約1〜約10重量部の割合で添加されることが好ましい。
【0076】
一方、上述した前記表面架橋剤の他に多価金属塩、例えば、アルミニウム塩、より具体的にアルミニウムの硫酸塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ナトリウム塩および塩酸塩からなる群より選ばれた1種以上をさらに含み得る。
【0077】
このような多価金属塩は、追加で使用することにより、一実施形態の方法で製造された高吸水性樹脂の通液性などをさらに向上させることができる。このような多価金属塩は、前記表面架橋剤とともに表面架橋溶液に添加され得、前記ベース樹脂100重量部に対して0.01〜4重量部の含有量で使用され得る。
【0078】
また、本発明の製造方法では、表面改質反応を行うための昇温以前に無機フィラーをベース樹脂に混合して凝集防止(anti−caking)効果を付与する。本発明において前記無機フィラーは表面架橋溶液を混合する前に乾式混合する方式で混合され、この場合ベース樹脂と無機フィラーがさらに均一に混合される。
【0079】
前記無機フィラーは、疎水性または親水性のいずれでも混合可能であり、例えば、ヒュームドシリカ(fumed silica)、沈降シリカなどのようにシリカ粒子を使用できるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0080】
また、前記無機フィラーは、前記ベース樹脂または高吸水性樹脂100重量部に対して約0.01〜約0.5重量部、または約0.02〜約0.2重量部の濃度で添加され得る。前記無機フィラーの使用量が0.5重量部を超える場合は、加圧吸水能のような吸収特性が低下し得、前記0.01重量部未満である場合は凝集防止効果がなく、このような観点から前記重量部範囲で使用ことが好ましい。
【0081】
一方、このような表面架橋反応によって加圧吸水能と通液性(permeability)は改善できるが、再湿潤特性はさらに補完する必要がある。
【0082】
本発明の製造方法によれば、ベース樹脂に表面架橋剤を混合して表面架橋反応を行うために昇温する前に疎水性物質を前記ベース樹脂に混合して再湿潤特性をより改善することができる。また、表面架橋効率が向上して疎水性物質を使用しない樹脂に比べて吸収速度、および通液性がさらに向上することができる。
【0083】
前記疎水性物質は、HLBがその下限値として0以上、または1以上、または2以上であり、かつ上限値として6以下、または5以下、または5.5以下を満足する物質を使用することができる。また、前記疎水性物質は、表面架橋反応時に溶けてベース樹脂の表面改質層に位置しなければならないので、融解温度(melting point)が表面架橋の反応温度以下である物質を使用することができる。
【0084】
使用可能な疎水性物質としては、例えば、グリセリルステアレート(glyceryl stearate)、グリコールステアレート(glycol stearate)、マグネシウムステアレート(magnesium stearate)、グリセリルラウレート(glyceryl laurate)、ソルビタンステアレート(sorbitan stearate)、ソルビタントリオレート(sorbitan trioleate)、またはPEG−4ジラウレート(PEG−4 dilaurate)などが挙げられ、好ましくはグリセリルステアレート、またはグリセリルラウレートを使用できるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0085】
前記疎水性物質は、前記ベース樹脂の表面の表面改質層内に分布して高吸水性樹脂が液体を吸収して膨潤される過程で膨潤された樹脂粒子が高まった圧力によって互いに凝集したり固まったりすることを防止し、表面に疎水性を付与することによって液体の透過および拡散をより容易にすることができる。したがって、高吸水性樹脂の再湿潤特性の改善に寄与することができる。
【0086】
前記疎水性物質は、前記ベース樹脂100重量部に対して約0.001重量部以上、または約0.005重量部以上、または約0.01重量部以上であり、かつ約0.5重量部以下、または約0.3重量部以下、または約0.1重量部以下になるように混合することができる。前記疎水性物質の含有量が過度に少ないと再湿潤特性を改善するには足りず、過度に多く含まれる場合、ベース樹脂と疎水性物質が互いに脱離して再湿潤改善効果がないか、不純物として作用する問題があり得るので、このような観点から前記重量部範囲が好ましい。
【0087】
前記疎水性物質をベース樹脂と混合する方法は、特に制限されるものではないが、前記表面架橋溶液に表面架橋剤とともに分散させてベース樹脂に混合する方式で混合されるとき高吸水性樹脂粒子により均一にコートできるため好ましい。
【0088】
次に、前記ベース樹脂、およびエポキシ系表面架橋剤の混合物に熱を加えて昇温することによって、前記ベース樹脂に対して表面改質段階を行う(段階3)。
【0089】
前記表面改質段階は、約120〜約190℃、好ましくは約130〜約180℃の温度で約10〜約90分、好ましくは約20〜約70分間加熱させることによって行われる。架橋反応温度が120℃未満でるか、反応時間が短すぎる場合、表面架橋反応が正しく起きず透過度が低くなり、190℃を超えるか反応時間が長すぎる場合、保持能が低下する問題が発生し得る。
【0090】
表面改質反応のための昇温手段は特に限定されない。熱媒体を供給したり、熱源を直接供給して加熱することができる。このとき、使用可能な熱媒体の種類としては、スチーム、熱風、熱い油のような昇温した流体などを使用できるが、本発明はこれに限定されるものではなく、また供給される熱媒体の温度は熱媒体の手段、昇温速度および昇温目標温度を考慮して適宜選択することができる。一方、直接供給される熱源としては電気による加熱、ガスによる加熱方法が挙げられるが、本発明は上述した例に限定されるものではない。
【0091】
前記のような表面改質段階によって、前記ベース樹脂の表面には2種の互いに異なるエポキシ系表面架橋剤がベース樹脂が有する官能基と反応して形成された二重の表面架橋構造が形成され、前記表面架橋構造内に前述した疎水性物質と無機フィラーが均一に分布した表面改質層が形成され得る。
【0092】
したがって、前記本発明の製造方法で製造された高吸水性樹脂は、このような二重の表面改質層により保持能と加圧吸水能などの物性を低下させず向上した再湿潤および通液性を有することができる。
【0093】
そこで、本発明の他の一実施形態によれば、酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体が架橋重合された架橋重合体を含むベース樹脂;および前記ベース樹脂の粒子表面に形成されており、前記架橋重合体がエポキシ当量が相異する2種のエポキシ系表面架橋剤を介して追加架橋されている二重の表面改質層を含み、前記表面改質層は、無機フィラーを含み、前記2種のエポキシ系表面架橋剤は、エポキシ当量が100g/eq以上130g/eq未満である第1エポキシ架橋剤およびエポキシ当量が130〜200g/eqである第2エポキシ架橋剤を含むものである、高吸水性樹脂が提供される。
【0094】
前記高吸水性樹脂の具体的な製造方法および物性などに対する詳細な説明は、前記高吸水性樹脂の製造方法で上述したとおりである。
【0095】
前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP 241.3に準拠して測定した
遠心分離保持能(CRC)が、約25g/g以上、または約29g/g以上、または約30g/g以上であり、かつ約40g/g以下、または約38g/g以下、または約35g/g以下の範囲を有することができる。
【0096】
また、前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP 242.3に準拠して測定した0.3psiの加圧吸水能(AUP)が、約20g/g以上、または約23g/g以上、または約25g/g以上であり、かつ約37g/g以下、または約35g/g以下、または約32g/g以下の範囲を有することができる。
【0097】
また、前記高吸水性樹脂は、吸収速度(vortex time)が40秒以下、または35秒以下、または約32秒以下であり得る。前記吸収速度はその値が小さいほど優れ、前記吸収速度の下限は理論上0秒であるが、一例として約5秒以上、または約10秒以上、または約12秒以上であり得る。
【0098】
前記吸収速度は生理食塩水に高吸水性樹脂を加えて攪拌させたとき、速やかな吸収によって液体の渦(vortex)がなくなる時間(time、単位:秒)を意味するものであり、前記時間が短いほど高吸水性樹脂が速い初期吸収速度を有すると見ることができる。
【0099】
また、前記高吸水性樹脂は、下記式1により測定される通液性(permeability、単位:秒)が約35秒以下、または約30秒以下であり得る。前記通液性はその値が小さいほど優れ、理論上下限値は0秒であるが、例えば、約5秒以上、または約10秒以上、または約12秒以上であり得る。
【0101】
前記式1において、
T1は、クロマトグラフィー管内に分級(300〜600μm)した高吸水性樹脂試料0.2±0.0005gを入れて塩水を加えて塩水体積が50mLになるようにした後、30分間放置後、液面高さが40mLから20mLまで減るのにかかる時間であり、Bは、塩水が満たされたクロマトグラフィー管で液面高さが40mLから20mLまで減るのにかかる時間である。
【0102】
また、前記高吸水性樹脂は、優れた吸収特性を示しながらも、より向上した再湿潤特性を示すことができる。
【0103】
より具体的には、前記高吸水性樹脂4gを水道水200gに浸漬させて2時間膨潤させた後、膨潤された前記高吸水性樹脂を0.75psiの圧力下に1分間濾過紙上で放置してから、前記高吸水性樹脂から前記濾過紙に再び染み出てきた水の重量で定義される再湿潤特性(加圧水道水の長期再湿潤)が1.0g以下、または0.9g以下、または0.8g以下であり得る。前記水の重量はその値が小さいほど優れ、理論上下限値は0gであるが、例えば0.1g以上、または0.2g以上、または0.3g以上であり得る。
【0104】
前記再湿潤物性評価で使用した水道水は電気伝導度が140〜150μS/cmである。水道水の電気伝導度は測定物性に大きな影響を与えるので、同等水準の電気伝導度を有する水道水を使用して再湿潤などの物性を測定する必要がある。
【0105】
上記のように本発明の高吸水性樹脂は、優れた吸収能を有し、多量の小便を吸収した場合にも再湿潤および小便漏出現象を抑制することができる。
【実施例】
【0106】
本発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の詳細な説明は下記の実施例によって限定されない。
【0107】
[高吸水性樹脂の製造]
(実施例1)
(1)ベース樹脂の製造
攪拌機、窒素投入器、温度計が取り付けられた3Lガラス容器にアクリル酸518g、ポリエチレングリコールジアクリレート(Polyethyleneglycol (400) diacrylate)3.2gとジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド0.04gを添加して溶解させた後、24.5%水酸化ナトリウム溶液822.2gを添加して窒素を連続的に投入しながら水溶性不飽和単量体水溶液を製造した。前記水溶性不飽和単量体水溶液を40℃で冷却した。この水溶液500gを横250mm、縦250mm、高さ30mmのステンレス材質の容器に加えて紫外線を照射(照射量:10mV/cm
2)して90秒間UV重合を実施して含水ゲル状重合体を収得した。収得した含水ゲル状重合体を2mm*2mm大きさに粉砕した後、得られたゲル状樹脂を600μmの孔径を有するステンレス製金網の上に約30mm厚さで広げて180℃熱風オーブンで30分間乾燥した。このように得られた乾燥重合体を粉砕機を用いて粉砕し、ASTM規格の標準網ふるいで分級して150〜850μmの粒子の大きさを有するベース樹脂を得た。
【0108】
(2)高吸水性樹脂の製造
前記ベース樹脂100重量部にシリカ0.1重量部を乾式で混合した後、エチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量113〜125g/eq)0.02重量部、グリセロールポリグリシジルエーテル(エポキシ当量135〜155g/eq、3官能性)0.01重量部、水6.2重量部、硫酸アルミニウム0.2重量部、グリセリルステアレート(HLB 3.8)0.03重量部を含む表面架橋溶液を噴射して混合し、これを攪拌機と二重ジャケットからなる容器に入れて140℃で35分間表面架橋反応を行った。その後表面処理された粉末をASTM規格の標準網ふるいで分級して150〜850μmの粒子の大きさを有する高吸水性樹脂粉末を得た。
【0109】
(実施例2)
(2)段階でグリセロールポリグリシジルエーテルをベース樹脂100重量部に対して0.005重量部で使用したことを除いては実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂粉末を得た。
【0110】
(実施例3)
(2)段階でグリセロールポリグリシジルエーテルをベース樹脂100重量部に対して0.03重量部で使用したことを除いては実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂粉末を得た。
【0111】
(実施例4)
(2)段階でグリセロールポリグリシジルエーテルをベース樹脂100重量部に対して0.05重量部で使用したことを除いては実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂粉末を得た。
【0112】
(実施例5)
(2)段階でグリセロールポリグリシジルエーテルの代わりにポリグリセロールポリグリシジルエーテル(エポキシ当量168g/eq)をベース樹脂100重量部に対して0.01重量部で使用したことを除いては実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂粉末を得た。
【0113】
(実施例6)
(2)段階でグリセロールポリグリシジルエーテルの代わりにソルビトールポリグリシジルエーテル(エポキシ当量160〜190g/eq)をベース樹脂100重量部に対して0.01重量部で使用したことを除いては実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂粉末を得た。
【0114】
(比較例1)
(1)ベース樹脂の製造
攪拌機、窒素投入器、温度計が取り付けられた3Lガラス容器にアクリル酸518g、ポリエチレングリコールジアクリレート(Polyethyleneglycol (400)diacrylate)3.2gとジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド0.04gを添加して溶解させた後、24.5%水酸化ナトリウム溶液822.2gを添加して窒素を連続的に投入しながら水溶性不飽和単量体水溶液を製造した。前記水溶性不飽和単量体水溶液を40℃で冷却した。この水溶液500gを横250mm、縦250mm、高さ30mmのステンレス材質の容器に加えて紫外線を照射(照射量:10mV/cm
2)して90秒間UV重合を実施して含水ゲル状重合体を収得した。収得した含水ゲル状重合体を2mm*2mm大きさに粉砕した後、得られたゲル状樹脂を600μmの孔径を有するステンレス製金網の上に約30mm厚さで広げて180℃熱風オーブンで30分間乾燥した。このように得られた乾燥重合体を粉砕機を用いて粉砕し、ASTM規格の標準網ふるいで分級して150〜850μmの粒子の大きさを有するベース樹脂を得た。
【0115】
(2)高吸水性樹脂の製造
前記ベース樹脂100重量部にシリカ0.1重量部を乾式で混合した後、エチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量113〜125g/eq)0.02重量部、水6.2重量部、硫酸アルミニウム0.2重量部、グリセリルステアレート(HLB 3.8)0.03重量部を含む表面架橋溶液を噴射して混合し、これを攪拌機と二重ジャケットからなる容器に入れて140℃で35分間表面架橋反応を行った。その後表面処理された粉末をASTM規格の標準網ふるいで分級して150〜850μmの粒子の大きさを有する高吸水性樹脂粉末を得た。
【0116】
(比較例2)
(2)段階でエチレングリコールジグリシジルエーテルをベース樹脂100重量部に対して0.03重量部で使用したことを除いては比較例1と同様の方法で高吸水性樹脂粉末を得た。
【0117】
(比較例3)
(2)段階でエチレングリコールジグリシジルエーテルをベース樹脂100重量部に対して0.05重量部で使用したことを除いては比較例1と同様の方法で高吸水性樹脂粉末を得た。
【0118】
<実験例>
前記実施例および比較例で製造した高吸水性樹脂に対して、次のような方法で物性を評価した。
【0119】
他に表記しない限り、下記物性評価は、いずれも恒温恒湿(23±1℃,相対湿度50±10%)で行い、生理食塩水または塩水は0.9重量%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を意味する。
【0120】
また、下記再湿潤物性評価で使用した水道水は、Orion Star A222(Thermo Scientific社製)を用いて測定したとき、電気伝導度が140〜150μS/cmであるものを使用した。
【0121】
(1)遠心分離保持能(CRC:Centrifuge Retention Capacity)
各樹脂の無荷重下吸収倍率による保持能をEDANA WSP 241.3に準拠して測定した。
【0122】
具体的には、高吸水性樹脂W
0(g)(約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した後、常温で生理食塩水(0.9重量%)に浸水させた。30分経過後、遠心分離機を用いて250gの条件下で前記封筒から3分間水気を取り、封筒の質量W
2(g)を測定した。また、樹脂を使用せずに同じ操作をした後、その時の質量W
1(g)を測定した。得られた各質量を用いて次のような式によりCRC(g/g)を算出した。
【0123】
【数2】
【0124】
(2)吸収速度(Vortex time)
吸収速度(vortex time)は、国際公開出願第1987−003208号に記載された方法に準じて秒単位で測定した。
【0125】
具体的には、23℃の50mLの生理食塩水に2gの高吸水性樹脂を入れて、マグネットバー(直径8mm、長さ30mm)を600rpmで攪拌して渦流(vortex)が消えるまでの時間を秒単位で測定して算出された。
【0126】
(3)加圧吸水能(AUP:Absorption Under Pressure)
各樹脂の0.3psiの加圧吸水能を、EDANA法WSP 242.3に準拠して測定した。
【0127】
具体的には、内径60mmのプラスチックの円筒底にステンレス製400 mesh金網を取り付けた。常温および湿度50%の条件下で金網上に高吸水性樹脂W
0(g)(0.90g)を均一に散布し、その上に0.3psiの荷重を均一にさらに付与できるピストンは外径60mmより若干小さく、円筒の内壁との隙間がなく、上下動きが妨げられないようにした。このとき、前記装置の重量W
3(g)を測定した。
直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mmおよび厚さ5mmのガラスフィルタを置き、0.9重量%塩化ナトリウムで構成された生理食塩水をガラスフィルタの上面と同一レベルになるようにした。その上に直径90mmの濾過紙1枚を載せた。濾過紙上に前記測定装置を載せて、液を荷重下で1時間吸収させた。1時間後測定装置を持ち上げて、その重量W
4(g)を測定した。
【0128】
得られた各質量を用いて次の式により加圧吸水能(g/g)を算出した。
【0129】
【数3】
【0130】
(4)通液性(Permeability)
クロマトグラフィー管(F20mm)にピストンを入れた状態での液量20mLおよび40mLの液面に線を表示した。その後、クロマトグラフィー管下部のガラスフィルタとコックとの間に気泡が生じないように逆に水を投入して約10mLを満たして塩水で2〜3回洗浄し、40mL以上まで0.9%塩水を満たした。クロマトグラフィー管にピストンを入れて下部弁を開いて液面が40mLから20mL表示線まで減る時間(B)を記録した。
【0131】
クロマトグラフィー管に塩水を10mL残し、分級(300〜600μm)した高吸水性樹脂試料0.2±0.0005gを入れて塩水を加えて塩水体積が50mLになるようにした後、30分間放置した。その後、クロマトグラフィー管内に重り付きのピストン(0.3psi=106.26g)を入れて1分間放置後、クロマトグラフィー管の下部弁を開いて液面が40mLから20mL表示線まで減る時間(T1)を記録して、T1−Bの時間(単位:秒)を計算した。
【0132】
(5)加圧水道水の長期再湿潤(2hrs)
(1)直径13cmペトリ皿(petri dish)に高吸水性樹脂4gを均一に撒いて分散させて水道水200gを注いだ後2時間膨潤させた。
【0133】
(2)2時間膨潤させた高吸水性樹脂をフィルタペーパー(whatman社製,catalog No.1004−110,pore size 20−25μm、直径11cm)20枚上に敷いて直径11cm、5kgの重り(0.75psi)で1分間加圧した。
【0134】
(3)1分間加圧後フィルタペーパーに付いた水道水の量(単位:g)を測定した。
【0135】
前記実施例と比較例に関する物性値を下記表1に記載した。
【0136】
【表1】
【0137】
表1を参照すると、本発明の実施例1〜6はいずれも優れた再湿潤特性および通液性を示すことを確認することができる。これに対し、エポキシ当量が100g/eq以上130g/eq未満である第1エポキシ架橋剤のみを使用した比較例1〜2は通液性および再湿潤特性が実施例より良くないことがわかる。すなわち、同量のエポキシ系表面架橋剤を使用した場合を比較するとき、比較例に比べて実施例の場合が優れた通液性および再湿潤特性を示すことが確認された。