(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成分(A)〜(C)の合計100質量%に対して、成分(B)の含有量が30〜97質量%であり、成分(C)の含有量が0.1〜10質量%である請求項1に記載の熱硬化性材料。
前記成分(A)が、置換もしくは無置換のアダマンチル基、置換もしくは無置換のノルボルニル基、置換もしくは無置換のイソボルニル基、及び置換もしくは無置換のジシクロペンタニル基から選ばれる1種以上の脂環式炭化水素基がエステル結合した(メタ)アクリレート化合物である請求項1又は2に記載の熱硬化性材料。
前記工程2において使用される充填装置が、前記プランジャー及びキャビティ間の流道路に硬化液の流動と熱の授受を遮断するゲートシステムを有する請求項8〜10のいずれかに記載の熱硬化性材料の成形方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[熱硬化性材料]
本発明の熱硬化性材料は、下記成分(A)〜(C)を含み、25℃で10s
−1の粘度が5Pa・s以上200Pa・s以下であり、25℃で100s
−1のせん断速度が0.3Pa・s以上50Pa・s以下である。
(A)25℃で、10〜100s
−1のせん断速度での粘度が5〜300mPa・sである、置換又は無置換の、炭素数6以上の脂環式炭化水素基がエステル結合した(メタ)アクリレート化合物。
(B)球状シリカ
(C)黒色顔料
本発明における、特定のせん断速度における粘度は、JIS K7117−2:1999に則って、回転粘度計による定せん断速度で測定されるものとする。以下、同様である。
【0010】
本発明の熱硬化性材料(以下、「本発明の熱硬化性樹脂組成物」又は単に「本発明の組成物」という場合がある)は、上記成分(A)〜(C)を含んだ組成物の粘度を、25℃で10s
−1のせん断速度での粘度を5Pa・s以上200Pa・s以下、好ましくは、10Pa・s以上150Pa・s以下、より好ましくは、15Pa・s以上100Pa・s以下とし、25℃で100s
−1のせん断速度での粘度を0.3Pa・s以上50Pa・s以下、好ましくは、0.5Pa・s以上40Pa・s以下、より好ましくは、1Pa・s以上30Pa・s以下とすることで、連続成形性に優れ、得られる成形品のバリの発生を抑制することができる。
各せん断速度における粘度が下限を満たさず、低い場合、多量のバリが発生し、成形面ではバリ取り作業が発生するおそれがあり、製品上は外観不良となり望ましくない。一方、粘度が上限を超えて高い場合、成形品が未充填となって製品に外観不良が発生するおそれがあり、望ましくない。
上記25℃で100s
−1のせん断速度での粘度と、25℃での10s
−1でのせん断速度での粘度は、それぞれ、キャビティ内に材料を注入する前期と後期に対応しており、それぞれの値が低い場合は、それぞれの状態でバリが発生し、高い場合はそれぞれの状態で未充填となるため、両せん断速度での粘度を上記範囲内とする。
組成物の粘度を上記範囲とすることは、組成物が含む各成分の配合量を適宜調整することにより可能となる。また、組成物のせん断粘度は、粘弾性測定装置により確認できる。
【0011】
以下、本発明の組成物が含む各成分について説明する:
本発明の組成物は、成分(A)として、回転粘度計による定せん断速度での測定(JIS K7117−2:1999)において、25℃での10〜100s
−1の範囲のせん断速度での粘度が5〜300mPa・sである、置換又は無置換の、炭素数6以上の脂環式炭化水素基がエステル結合した(メタ)アクリレート化合物(以下、化合物(A)と呼ぶ場合がある)を含む。
化合物(A)は、ガラス転移点が高い重合体を与えることから、組成物中に含むことにより、組成物を光半導体用のハウジング材の原料として用いた場合に、耐熱性、耐光性を向上させることができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレート化合物の表記は、アクリレート化合物又はメタクリレート化合物を意味する。また、(メタ)アクリル酸の表記は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0012】
化合物(A)の脂環式炭化水素基の炭素数は、6以上であり、6〜30が好ましく、7〜15がより好ましい。
炭素数6以上の脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換又は無置換の炭素数6以上の脂環式炭化水素基として、例えば、置換又は無置換のアダマンチル基、置換又は無置換のノルボルニル基、置換又は無置換のイソボルニル基、置換又は無置換のジシクロペンタニル基及び置換又は無置換のシクロヘキシル基が挙げられる。
さらに、成分(A)が、置換もしくは無置換のアダマンチル基、置換もしくは無置換のノルボルニル基、置換もしくは無置換のイソボルニル基、及び置換もしくは無置換のジシクロペンタニル基から選ばれる1種以上の脂環式炭化水素基がエステル結合した(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
すなわち、化合物(A)は、好ましくは、下記一般式で表されるアダマンチル基を有する(メタ)アクリレート化合物(I)、イソボルニル基を有する(メタ)アクリレート化合物(II)、ノルボルニル基を有する(メタ)アクリレート化合物(III)、又はジシクロペンタニル基を有する(メタ)アクリレート化合物(IV)が挙げられる。
【0013】
【化1】
(式(I)、(II)、(III)及び(IV)において、R
1は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。
Xは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のオキシアルキレン基を示す。炭素数1〜4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、2−メチルトリメチレン基等が挙げられる。炭素数1〜4のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。これらのXの中でも耐熱性の観点から、単結合が好ましい。
Uは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、又は2つのUが一緒になって形成された誘導体を示す。kは1〜15の整数を示す。lは1〜8の整数を示す。mは1〜11の整数を示す。nは1〜15の整数を示す。
なお、式中にUが複数ある場合、複数のUは互いに同じでもよく、異なっていてもよい。)
【0014】
化合物(A)は、さらに好ましくはアダマンチルメタクリレート、1−ノルボルニルメタクリレート、1−イソボルニルメタクリレート、又は1−ジシクロペンタニルメタクリレートであり、より好ましくは1−アダマンチルメタクリレート、1−ノルボルニルメタクリレート、1−イソボルニルメタクリレートである。これら化合物は、25℃での粘度が5〜300mPa・sである。
置換もしくは無置換の炭素数6以上の脂環式炭化水素基がエステル結合した(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
化合物(A)の、回転粘度計による定せん断速度での測定(JIS K7117−2:1999)における10〜100s
−1の範囲のせん断速度での25℃の粘度は、5〜300mPa・sであり、5〜200mPa・sであることがより好ましく、1〜100mPa・sであることがさらに好ましい。このように粘度の低い化合物(A)を組成物中に配合することにより、球状シリカと黒色顔料との充填性を高めることができる。
【0016】
[成分(B):球状シリカ]
成分(B)として球状シリカ(SiO
2)を含む。
後述するカーボンブラック、チタンブラックや酸化チタン等の(C)黒色顔料は、液中で沈殿し易く使用できる量が限られるが、球状シリカを組み合わせて使用することで組成物中の無機物の含有量をより多くすることができ、材料強度、遮蔽率、耐熱性、耐光性をより向上させることができる。
また、組成物の流動性を保持し、成形する際の充填性を高めることができる。
【0017】
球状シリカの平均粒子径は、レーザー回折による測定で、例えば0.1〜100μmであり、0.5〜70μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。これにより、球状シリカの充填性を高めることができる。
【0018】
球状シリカは表面処理(好ましくは(メタ)アクリルシラン処理、特に好ましくはアクリルシラン処理)されていることが好ましい。
球状シリカの表面の水酸基にシランカップリング剤(特にアクリル系シランカップリング剤)を反応させ有機修飾することで、球状シリカのぬれ性を向上させることができ、組成物において有機成分(成分(A)並びに任意成分(D)、(E)及び(F))中への球状シリカの分散性を向上し、また硬化物強度を向上することができる。
【0019】
組成物中の球状シリカの含有量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対して、例えば30〜97質量%であり、50〜97質量%であることが好ましく、85〜97質量%であることがより好ましい。
組成物中の球状シリカの含有量が、上記合計質量%に対して30質量%未満であると低粘度になりバリや常温保管性が損なわれ、物性としては材料強度が確保できないおそれがあり、97質量%よりも多いと高粘度になり均一な硬化液の作製や、流動性が損なわれるため成形できないおそれがある。
【0020】
[成分(C):黒色顔料]
本発明の組成物は、成分(C)として黒色顔料を含む。
黒色顔料の具体例としては、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、銅(Cu)から選ばれる金属の少なくとも一種を含む金属酸化物顔料もしくは複合金属酸化物顔料、活性炭、カーボンブラック等のカーボン顔料、アニリンブラックなど各種の有機顔料を混合して黒色とした混合有機顔料、TiOxもしくはTiOxNyで表されるチタン系黒色顔料そして染料等が挙げられる。とりわけ、絶縁性カーボンブラック、TiOx、TiNyもしくはTiOxNyで表されるチタン系黒色顔料、チタンブラックや酸化チタンが好適に採用できる。ここでx、yは0以上の整数である。他に、黒色系板状フィラー例えば雲母を使用することができる。黒色顔料は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、酸化チタンの結晶型にはルチル型及びアナターゼ型が存在するが、アナターゼ型は光触媒機能を有するため樹脂を劣化させる懸念があるので、本発明においてはルチル型が好ましい。
【0021】
組成物中における黒色顔料の分散性の観点から、黒色顔料の一次平均粒子径は、0.01〜20μmであることが好ましく、0.01〜10μmであることがより好ましく、0.04〜5μmであることがさらに好ましい。平均粒子径は、レーザー式光回折法による粒度分布測定におけるD50として求めることができる。
【0022】
黒色顔料は中空粒子であってもよい。黒色顔料が中空粒子の場合、中空粒子の外殻を通過した可視光線は中空部で吸収されるため、中空部での吸収率を高めるには、中空粒子を構成する部分と中空粒子内部に存在する気体との屈折率の差が大きい方が好ましい。中空粒子内部に存在する気体、通常、空気であるが、窒素やアルゴン等の不活性ガスでもよく、また、真空であってもよい。
【0023】
黒色顔料に対して、ケイ素化合物、アルミニウム化合物、有機物等で適宜表面処理をしてもよい。当該表面処理としては、例えば、(メタ)アクリルシラン処理、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等があげられる。
【0024】
組成物中の黒色顔料の含有量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対して、例えば0.1〜10質量%であり、0.2〜5質量%であることが好ましく、0.3〜3質量%であることがより好ましい。
組成物中の黒色顔料の含有量が、上記合計質量%に対して0.1質量%未満であると反射率が高くなるおそれがあり、10質量%よりも多いと高粘度になり材料の混合性、流動性(成形性)が損なわれおそれがある。
【0025】
本発明の組成物は、化合物(A)以外の他の重合性アクリレート化合物等を任意成分として含んでもよい。当該任意成分としては、下記成分(D)、(E)、(F)からなる群から選択される1以上が挙げられる。
成分(D):(メタ)アクリル酸、又は極性基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物
成分(E):成分(A)及び(D)以外の単官能(メタ)アクリレート化合物
成分(F):成分(A)以外の多官能(メタ)アクリレート化合物
以下、成分(D)を化合物(D)、成分(E)を化合物(E)、成分(F)を化合物(F)と言う場合がある。
【0026】
本発明の組成物における化合物(A)、(D)、(E)及び(F)の合計の含有量は、成分(A)〜(F)の合計を100質量%として、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは8〜20質量%である。
また、(A)〜(F)の合計100質量%に対して、成分(A)の含有量が1〜15質量%であり、成分(B)の含有量が10〜90質量%であり、成分(C)の含有量が0.1〜10質量%であることが好ましい。
【0027】
[成分(D):(メタ)アクリル酸、又は極性基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物]
化合物(D)は、(メタ)アクリル酸、又は極性基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物である。炭素数6以上の脂環式炭化水素基が結合したものではなく、化合物(A)とは重複しない。
化合物(D)は極性を有するため、組成物中が含有することにより、極性を有する金属表面等と水素結合等を形成して密着性が向上し、また、極性基の存在により、ぬれ性が向上する。なお、アルキレングリコール基が密着性付与に関与する場合もあり得るが、アルキレングリコール(メタ)アクリレートは化合物(D)には含まれないものとする。
【0028】
極性基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、炭素、水素以外の原子を含む置換基がエステル結合した(メタ)アクリレート化合物が挙げられ、当該置換基としては、ヒドロキシ基、エポキシ基、グリシジルエーテル基、テトラヒドロフルフリル基、イソシアネート基、カルボキシ基、アルコキシシリル基、リン酸エステル基、ラクトン基、オキセタニル基、テトラヒドロピラニル基、アミノ基等を挙げることができる。
【0029】
極性基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(例えば、商品名:4−HBA、日本化成社製)、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート(例えば、商品名:CHMMA、日本化成社製)、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(例えば、商品名:4−HBAGE、日本化成社製)、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ホスフェート、KAYAMER PM−2、KAYAMER PM−21(商品名、日本化薬社製)、γ−ブチルラクトン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸(3−メチル−3−オキセタニル)、(メタ)アクリル酸(3−エチル−3−オキセタニル)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
本発明においては、化合物(D)として、上述の(メタ)アクリル酸及び上述の極性基を有する(メタ)アクリレート化合物の中から選ばれる1種を単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
本発明の組成物における化合物(D)の含有量は、密着性の観点から、化合物(A)、(D)、(E)及び(F)の合計を100質量%として、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜33質量%、さらに好ましくは7〜25質量%である。
【0032】
[成分(E):成分(A)及び(D)以外の単官能(メタ)アクリレート化合物]
[成分(F):成分(A)以外の多官能(メタ)アクリレート化合物]
化合物(E)は、化合物(A)及び(D)以外の単官能(メタ)アクリレート化合物である。本発明の組成物において化合物(E)を含有することにより、粘度や硬化物硬度を調整でき、また、クラックの発生等を抑制することができる。
また、化合物(F)は、化合物(A)以外の多官能(メタ)アクリレート化合物である。化合物(A)、(D)及び(E)以外の多官能(メタ)アクリレート化合物を、機械的強度や硬化速度の観点から、本発明の効果を阻害しない範囲で組成物中に含有してもよい。
【0033】
化合物(A)及び(D)以外の(メタ)アクリレート化合物(化合物(E)、(F))としては、例えば、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル、脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、数平均分子量400以上のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、及びポリエステルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。化合物(E)は、これらのうち単官能(メタ)アクリレート化合物を選択して使用することができる。また、化合物(F)は、これらのうち多官能(メタ)アクリレート化合物を選択して使用することができる。
【0034】
本発明に用いることができる(メタ)アクリレート変性シリコーンオイルは、アクリル基及び/又はメタクリル基を末端に有し、好ましくはジアルキルポリシロキサンを骨格に含む化合物である。この(メタ)アクリレート変性シリコーンオイルは、多くの場合ジメチルポリシロキサンの変性物であるが、メチル基に代えてフェニル基やメチル基以外のアルキル基によりジアルキルポリシロキサン骨格中のアルキル基の全部、あるいは一部が置換されていてもよい。メチル基以外のアルキル基としてはエチル基、プロピル基等が挙げられる。このような化合物の市販品としては、片末端反応性シリコーンオイル(例えばX−22−174DX、X−22−2426、X−22−2475)、両末端反応性シリコーンオイル(例えばX−22−164A、X−22−164C、X−22−164E)(以上、信越化学工業社製、いずれも商品名)、メタクリレート変性シリコーンオイル(例えばBY16−152D、BY16−152、BY16−152C)(以上、東レ・ダウコーニング社製、いずれも商品名)等を使用することができる。
【0035】
また、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイルとして、アクリロキシアルキル末端やメタクリロキシアルキル末端を持つポリジアルキルシロキサンを用いることもできる。具体的には、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、アクリロキシ末端エチレンオキシドジメチルシロキサン(Aブロック)及びエチレンオキシド(Bブロック)からなるABA型トリブロック共重合体、メタクリロキシプロピル末端分岐ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0036】
本発明に用いることができる脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートは、脂肪族炭化水素化合物から水素原子を取り除いた残基に(メタ)アクリレート基が結合した化合物である。
本発明に用いることができる脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを誘導しうる脂肪族炭化水素化合物としてはアルカンが好ましく、本発明の硬化物の物性の観点からは、炭素数12以上のアルカンがより好ましい。
【0037】
本発明に用いることができる脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートにおいて、(メタ)アクリレート基の数は特に限定されず、1つでも複数でもよい。(メタ)アクリレート基の数が1つの場合、脂肪族炭化水素基は、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数12以上(好ましくは炭素数12〜24、より好ましくは炭素数12〜18)の直鎖アルキル基である。(メタ)アクリレート基の数が2つの場合、脂肪族炭化水素基は、好ましくはアルキレン基であり、より好ましくは炭素数12以上(好ましくは炭素数12〜24、より好ましくは炭素数12〜18)の直鎖アルキレン基である。
【0038】
炭素数12以上のアルキル基の具体例としては、ドデシル基(ラウリル基を含む)、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基(ステアリル基を含む)、エイコシル基、トリアコンチル基及びテトラコンチル基等が挙げられる。炭素数12以上のアルキル基及びアルキレン基は、ポリブタジエンやポリイソプレン等の重合体の水素化物に由来するアルキル基及びアルキレン基であってもよい。炭素数12以上のアルキレン基の具体例としては、上記アルキル基から水素原子を取り除いた2価の残基が挙げられる。
【0039】
脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート、テトラコンチル(メタ)アクリレート等、あるいは水素化ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、水素化ポリイソプレンジ(メタ)アクリレート等の水素化ポリブタジエンや水素化ポリイソプレン骨格を有するアクリル又はメタクリル化合物が挙げられる。
【0040】
数平均分子量400以上のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを用いることにより、本発明の組成物は靭性に優れる硬化物を与えることができる。本発明に用いることができる数平均分子量400以上のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートにおいて、(メタ)アクリレート基の数は特に限定されず、1つでも複数でもよい。
当該化合物の数平均分子量は、靭性や密着性の観点、並びに成分(A)及び(D)との相溶性の観点から、好ましくは400〜10,000、より好ましくは450〜5,000、さらに好ましくは500〜3,000である。
【0041】
数平均分子量400以上のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、靭性や密着性の観点から、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0042】
本発明において使用できるウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートは、耐光性の観点から芳香族基を含有しないものが好ましく、当該化合物の数平均分子量は、靱性や成分(A)及び(D)との相溶性の観点から、好ましくは100〜100,000、より好ましくは500〜80,000、さらに好ましくは1,000〜50,000である。
【0043】
その他、本発明において使用できる単官能又は多官能(メタ)アクリレート化合物(化合物(E)、(F))の具体例としては、数平均分子量400未満のポリエチレングリコールである、ジ(メタ)アクリレートやポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリン(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、この他、エポキシエステルでもよく、エチレングリコールジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、グリセリンジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、エポライト3002(N)メタクリル酸付加物、ビスフェノールAPO2mol付加物、ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物などが挙げられる。この他、ε−カプロラクトン変性トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0044】
本発明においては、化合物(E)として、上記単官能(メタ)アクリレート化合物のうち1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物における化合物(E)の含有量は、靭性や密着性の観点から、化合物(A)、(D)、(E)及び(F)の合計を100質量%として、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜75質量%、さらに好ましくは20〜70質量%である。
【0045】
本発明においては、化合物(F)として、上記成分(A)以外の多官能(メタ)アクリレート化合物のうち1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物における化合物(F)の含有量は、本発明の効果を阻害しない観点から、化合物(A)、(D)、(E)及び(F)の合計を100質量%として、好ましくは0.1〜70質量%、より好ましくは0.5〜40質量%、さらに好ましくは1〜20質量%である。
【0046】
本発明の組成物は、好ましくはさらに下記成分(G)を含む。
(G)ナノ粒子
成分(G)であるナノ粒子を含有することにより、組成物の粘度を調整でき、組成物の常温での保管安定性を保つことができ、成形時の不具合が少なくすることができる。
ナノ粒子としては、銀、金、ケイ素、炭化ケイ素、シリカ、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化鉄、酸化コバルト、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、炭化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、ITO、ATO、ヒドロキシアパタイト、グラフェン・酸化グラフェン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、フラーレン、ダイヤモンド、及びメソポーラスカーボンから選択される1種以上が好ましい。
より好ましくは、炭化ケイ素、シリカ、酸化アルミニウム、炭化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムであり、黒色度を維持できるという点でシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、炭化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムが更に好ましい。
なお、ナノ粒子は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においてナノ粒子の好ましい平均粒径は、5〜1000nmである。ナノ粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定することができる。
【0047】
組成物中の成分(G)の含有量は、(A)〜(G)との合計100質量%に対して、例えば0.03〜10質量%であり、0.05〜5質量%であることが好ましく、0.07〜3質量%であることがより好ましい。0.03質量%以下であると、常温保管時の安定性が悪く、固体成分の沈降が発生する可能性があり、10質量%を超えると、成形品の外観(転写性)の悪化が発生する可能性がある。
本発明の熱硬化性組成物の成分(A)、(D)、(E)及び(F)は熱硬化性組成物の粘度を低下させ、成分(B)、(C)及び(G)は硬化性組成物の粘度を上昇させる。
熱硬化性組成物の25℃で10s
−1の粘度を5Pa・s以上200Pa・s以下、25℃で100s
−1のせん断速度を0.3Pa・s以上50Pa・s以下とする観点から、 熱硬化性組成物中の成分(A)、(D)、(E)及び(F)の合計含有量は、(A)〜(G)との合計100質量%に対して好ましくは7〜50質量%であり、7〜35質量%であることがより好ましく、8〜25質量%が更に好ましく、熱硬化性組成物中の成分(B)、(C)及び(G)の合計含有量は、(A)〜(G)との合計100質量%に対して好ましくは50〜93質量%であり、65〜93質量%がより好ましく、75〜92質量%であることが更に好ましい。熱硬化性組成物の粘度を上記粘度範囲に調整することで連続成形性に優れ、得られる成形品のバリの発生を抑制することができる。
【0048】
本発明の熱硬化性組成物は、成分(A)、(B)及び(C)を含めばよく、さらに任意に成分(D)、(E)、(F)及び(G)から選択される1以上を含んでもよい。
本発明の熱硬化性組成物は、成分(A)〜(G)の含有量の合計が、例えば85質量%以上、95質量%以上、又は99質量%以上であってよく、成分(A)〜(G)のみからなってもよい。
【0049】
[添加剤]
本発明の熱硬化性組成物は、上記成分(A)〜(G)の他に、添加剤として重合開始剤、酸化防止剤、光安定剤(紫外線吸収剤)、可塑剤、無機充填剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、難燃剤、レベリング剤、消泡剤等を本発明の効果を阻害しない範囲で含むことができる。これら添加剤は公知のものを使用できる。
以下、本発明の組成物に好適な添加剤について説明する。
【0050】
(重合開始剤)
本発明の組成物を熱で重合させることにより硬化物を得ることができる。重合反応を促進するため、組成物には重合開始剤を含有させてもよい。重合開始剤は特に限定されないが、例えば、ラジカル重合開始剤が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類(パーオキシエステル類)、パーオキシカーボネート類等が挙げられる。
【0051】
ケトンパーオキサイド類の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
【0052】
ハイドロパーオキサイド類の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0053】
ジアシルパーオキサイド類の具体例としては、ジイソブチリルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルベンゾイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド等が挙げられる。
【0054】
ジアルキルパーオキサイド類の具体例としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
【0055】
パーオキシケタール類の具体例としては、1,1−ジ−t−ヘキシルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルペルオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、4,4−ビスt−ブチルペルオキシペンタン酸ブチル等が挙げられる。
【0056】
アルキルパーエステル類(パーオキシエステル類)の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、α−クミルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−アミルペルオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジブチルペルオキシトリメチルアジペート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−2−エチルヘキサノイルペルオキシヘキサン、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−ベンゾイルペルオキシヘキサン、等が挙げられる。
【0057】
パーオキシカーボネート類の具体例としては、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、ジ−4−t−ブチルシクロヘキシルペルオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシカーボネート、ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルオキシジカーボネート、t−アミルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボキシロキシ)ヘキサン、等が挙げられる。
【0058】
本発明においては、上記のラジカル重合開始剤を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物におけるラジカル重合開始剤の含有量は、成分(A)〜(G)の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0059】
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ビタミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0060】
フェノール系酸化防止剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオーネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート等が挙げられ、例えば、IRGANOX 1010、IRGANOX 1076、IRGANOX 1330、IRGANOX 3114、IRGANOX 3125、IRGANOX 3790(以上、BASF社製)、CYANOX 1790(サイアナミド社製)、SUMILIZER BHT、SUMILIZER GA−80(以上、住友化学(株)製)等の市販品を使用することができる(いずれも商品名)。
【0061】
リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられ、例えば、IRGAFOS 168、IRGAFOS 12、IRGAFOS 38(以上、BASF社製)、ADK STAB 329K、ADK STAB PEP36、ADK STAB PEP−8(以上、(株)ADEKA製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント社製)、Weston 618、Weston 619G、Weston 624(以上、GE社製)等の市販品を使用することができる(いずれも商品名)。
【0062】
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられ、例えば、DSTP「ヨシトミ」、DLTP「ヨシトミ」、DLTOIB、DMTP「ヨシトミ」(以上、(株)エーピーアイコーポレーション製)、Seenox 412S(シプロ化成(株)製)、Cyanox 1212(サイアナミド社製)、SUMILIZER TP−D(住友化学(株)製)等の市販品を使用することができる(いずれも商品名)。
【0063】
ビタミン系酸化防止剤としては、トコフェロール、2,5,7,8−テトラメチル−2−(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)クマロン−6−オール等が挙げられ、例えば、IRGANOX E201(BASF社製)等の市販品を使用することができる。
ラクトン系酸化防止剤としては、特開平7−233160号公報、特開平7−247278号公報に記載されているものを使用できる。また、HP−136(商品名、BASF社製、化合物名:5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン)等を使用することもできる。
【0064】
アミン系酸化防止剤としては、IRGASTAB FS 042(BASF社製)、GENOX EP(クロンプトン社製、化合物名:ジアルキル−N−メチルアミンオキサイド)等の市販品を挙げることができる(いずれも商品名)。
【0065】
これらの酸化防止剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。本発明の組成物における酸化防止剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない観点から、成分(A)〜(G)の合計100質量部に対して、好ましくは0.005〜5質量部、より好ましくは0.02〜2質量部である。
【0066】
(光安定剤)
光安定剤としては、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤等、任意のものを使用できるが、好ましくはヒンダードアミン系光安定剤である。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ADK STAB LA−52、LA−57、LA−62、LA−63、LA−67、LA−68、LA−77、LA−82、LA−87、LA−94(以上、ADEKA製)、Tinuvin 123、144、440、662、765、770DF、Tinuvin XT 850 FF、Tinuvin XT 855 FF、Chimassorb 2020、119、944(以上、BASF社製)、Hostavin N30(Hoechst社製)、Cyasorb UV−3346、UV−3526(Cytec社製)、Uval 299(GLC社製)、Sanduvor PR−31(クラリアント社製)等を挙げることができる(いずれも商品名)。
【0067】
紫外線吸収剤の具体例としては、アデカスタブ LA−31、アデカスタブ LA−32、アデカスタブ LA−36、アデカスタブ LA−29、アデカスタブ LA−46、アデカスタブ LA−F70、アデカスタブ 1413(以上、ADEKA社製)、Tinuvin P、Tinuvin 234、Tinuvin 326、Tinuvin 328、Tinuvin 329、Tinuvin 213、Tinuvin 571、Tinuvin 765、Tinuvin 1577ED、Chimassorb 81、Tinuvin 120(以上、BASF社製)等を挙げることができる。なかでもBASF社製のTinuvinシリーズは好ましく、Tinuvin765がより好ましい。
【0068】
これらの光安定剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。本発明の組成物における光安定剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない観点から、成分(A)〜(G)の合計100質量部に対して、好ましくは0.005〜5質量部、より好ましくは0.02〜2質量部である。
【0069】
(離型剤)
内部離型剤には(メタ)アクリレート化合物に対して溶解して良分散し、さらに、硬化する際に低粘度の溶融状態であることで分子運動しやすく、硬化時、硬化する樹脂成分から分離され、金型と硬化成分との間に存在することで、離型性を有するようになり、また、離型時、溶融状態で低粘度であることがより離型性を高められることが求められる。内部離型剤として特に指定はないが、脂肪族化合物が望ましい。
【0070】
内部離型剤として使用する脂肪族化合物は、融点が−40℃〜180℃の範囲であることが好ましく、−30℃〜180℃の範囲であることが更に好ましい。脂肪族化合物の融点を−40℃以上とすることにより、硬化時に気化して製品中に気泡等が発生して外観不良を起すことがなく、良好な離型性を発現する。また、脂肪族化合物の融点を180℃以下とすることにより、溶解性が向上して良好な外観と離型性が得られる。
【0071】
上記脂肪族化合物としては、下記式(V)で表される化合物が好ましい。
【化2】
(式(V)中、R
4は、炭素数6〜30の脂肪族炭化水素基を示す。
Wは、水素原子、金属原子又は炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。なお、Wが金属原子である場合、OとWはイオン結合している。)
【0072】
式(V)のR
4の脂肪族炭化水素基は、直鎖構造でも分岐構造であってもよく、分子鎖内の結合状態は単結合のみでも、多重結合が含まれていてもよい。具体的には脂肪族飽和炭化水素基や脂肪族不飽和炭化水素基である。脂肪族不飽和炭化水素基中の多重結合数は1つでもそれ以上でもよい。
【0073】
R
4の炭化水素基の炭素数は6〜30である。炭素数が6未満の場合は硬化時に揮発してしまう等して、型と材料との間に脂肪族化合物が存在できずに離型性が発現しなかったり、材料中に気泡が残ったりする可能性がある。炭素数が30超の場合は、材料の運動性が低くなり、材料中に脂肪族化合物が取り込まれて材料が不透明になったり、離型性が発現しなかったりする。R
4の炭化水素基の好ましい炭素数は6〜26であり、より好ましくは8〜22である。
【0074】
式(V)のWにおける金属原子としては、リチウムやナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウムが挙げられる。
なお、Wがアルカリ土類金属やアルミニウムの場合、2価以上となるため、脂肪族化合物の式(V)は(R
4−CO−O)
q−Wで表され、qが2〜4となる。
【0075】
式(V)のWにおける脂肪族炭化水素基は、直鎖構造でも分岐構造であってもよく、分子鎖内の結合状態は単結合のみでも、多重結合が含まれていてもよい。具体的には脂肪族飽和炭化水素基や脂肪族不飽和炭化水素基である。
脂肪族不飽和炭化水素基中の多重結合数は1つでもそれ以上でもよい。Wの脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜8である。炭素数が8以上の場合は脂肪族化合物の融点の上昇や溶解性の低下を招き、脂肪族化合物が硬化時樹脂成分中に取り込まれたり、偏在したりして、離型性が発現しなかったり、不透明になったりするおそれがある。Wの脂肪族炭化水素基の好ましい炭素数は1〜6である。
【0076】
なお、良好な離型性を発現するために、一般式(V)で表される脂肪族化合物のWが水素原子の場合には、R
4が炭素数6〜20の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。また、Wが金属原子の場合にはR
4が炭素数6〜18の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。Wが脂肪族炭化水素基である場合には、R
4とWの脂肪族炭化水素基の炭素数の合計が7〜30であることが好ましい。
【0077】
本発明における離型剤の含有量は、成分(A)〜(G)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、好ましくは0.01〜5質量部である。離型剤の含有量が、10質量部を超えると金型形状の転写性や熱に対する形状安定性が保たれなくなるおそれがある。一方、0.01質量部未満では離型性が得られなくなるおそれがある。
【0078】
本発明の組成物は、上記の成分(A)〜(G)を、所定の量比で混合して調製することができる。混合方法は特に限定されず、撹拌機(ミキサー)等の任意の公知手段を使用できる。また、常温、冷却下、又は加熱下にて、常圧、減圧下、又は加圧下にて混合することができる。
【0079】
本発明の組成物は、例えば光半導体用のハウジング材として好適な材料であって、発光装置製造時に生じ得るリードフレーム成形体の反りや未充填を低減できる。また、発光装置の量産性及び光反射(遮蔽)率の寿命を向上することができ、成形後に生じるバリを抑制し、バリ取りを省略することができる。これにより成形体の耐電解処理後の品質を向上させることができる。
また、本発明の組成物は、成形時の使用温度下で使用できる時間を長くすることができる材料である。
【0080】
硬化物は、本発明の組成物を用いてトランスファー成形、圧縮成形又は射出成形することで製造することができる。
トランスファー成形の場合、トランスファー成形機を用いて、例えば、型締め力5〜20kN、成形温度100〜190℃で成形時間30〜500秒、好ましくは成形温度100〜180℃で成形時間30〜180秒で成形することができる。圧縮成形の場合、コンプレッション成形機を用いて、例えば、成形温度100〜190℃で成形時間30〜600秒、好ましくは成形温度110〜170℃で成形時間30〜300秒で成形することができる。いずれの成形法においても、後硬化を例えば150〜185℃で0.5〜24時間行ってもよい。
液状射出成形を用いて、例えば、型締め力10kN〜40kN、成形温度100〜190℃で成形時間30〜500秒、好ましくは成形温度100〜180℃で成形時間20〜180秒で成形することができる。
また、本発明の組成物をトランスファー成形、圧縮成形、液状樹脂射出成形、インサート成形等で成形する際、予備重合を行ってもよい。
【0081】
[熱硬化性材料の成形方法]
本発明の熱硬化性材料の成形方法は、下記の工程1〜4を含む。
工程1:本発明の熱硬化性材料(熱硬化性材料)をプランジャー内に供給する工程
工程2:プランジャー内に供給された熱硬化性材料をプランジャーにより、金型内のキャビティに充填する工程
工程3:キャビティ内で熱硬化性材料を熱硬化する工程
工程4:熱硬化した熱硬化性材料を取り出す工程
【0082】
本発明の熱硬化性材料は低粘度材料であるため、金型内に圧をかけて充填すると1μmの隙間であっても充填可能である。一方で、本発明の熱硬化性材料は球状シリカや黒色顔料を含むため、熱硬化性材料を金型内のキャビティに充填する工程で、熱硬化性材料の樹脂成分のみが充填される「液抜け」現象が起こるおそれがある。また、本発明の組成物は熱硬化性であるため、成形直前まで加熱してはならず、且つ成形時には十分に加熱する必要がある他、加熱硬化時に酸素があると硬化が完全にしないおそれがある。
本発明の成形方法では、スクリュータイプ射出成形機ではなくプランジャーを備えるプランジャータイプ射出成形機を使用することで、低粘度組成物であっても漏れ(バックフロー)や液抜け現象の発生を防止できる。また、キャビティ内で熱硬化するので酸素不存在下での熱硬化が可能である。従って、本発明の成形方法は、本発明の熱硬化性材料の成形方法として好ましい。
【0083】
図1及び2は、本発明の射出成形方法が実施可能な成形機の一実施形態を示す図である。
本発明に使用できる成形機は、本発明の熱硬化性材料を金型に押し出すプランジャー機構を有する射出成形機であって、
図1に示すプランジャー11を有する充填装置10と、
図2(A)〜(D)に示すキャビティ21とを備えた金型20を備え、図示は省略するが、金型20内のキャビティ21を脱気するための細孔231(図示省略)に接続された脱気手段としての減圧装置と、金型20に接続された加熱手段としての加熱装置と、冷却装置とを備える。成形材料は、本発明の熱硬化性材料である。
【0084】
充填装置10としては、公知のプランジャーを有する充填装置を用いることができる。通常、プランジャー11を有する充填装置10は
図1に示すように、フィード部と逆止防止機能を備え、当該スクリュー12を回転させることにより、図示しない投入口から投入された材料をフィード、撹拌及び混合するが、本実施形態においては、均一な液体である熱硬化性材料を投入するため撹拌および混合は必要ないためスクリュー形状は必要ではなく、投入口からの圧送による材料フィードと逆流防止機能だけでもよい。
【0085】
本発明の熱硬化性材料の成形方法では、プランジャー内に供給された熱硬化性材料をプランジャーにより、金型内のキャビティに充填する工程において、50℃以下に温度制御された流動路を介して熱硬化性材料を金型内のキャビティに充填する。
図2に示す装置を用いて本発明の成形方法を実施する場合、上記流動路は、充填装置10における熱硬化性材料の流動経路及び金型20における導入路221が対応し、冷却部22Bを用いて当該流動路を50℃以下に温度制御すればよい。
【0086】
本発明の熱硬化性材料の成形方法では、充填工程(工程2)において使用される充填装置が、プランジャー及びキャビティ間の流路部に硬化液の流動と熱の授受を遮断するゲートシステムを有することが好ましい。
図2に示す装置を用いて本発明の成形方法を実施する場合、ニードル223及び開口部222が上記ゲートシステムに対応する。上述したようにニードル223が可動金型23側に移動し、開口部222を閉鎖することによって導入路221が加熱部22Aの手前で分断され、導入路221に導入された組成物が冷却部22B内に留まり、組成物の流動と熱の授受を遮断できる。組成物の流動と熱の授受を遮断できるシステムとして、バルブゲートシステムやシャットオフノズルシステム等がある。
加熱装置は、加熱部22A及び可動金型23を加熱する装置である。これらの加熱により、キャビティ21内の温度(「キャビティ温度」とも言う)を所定の温度とすることができる。本発明の成形方法では、好ましくはキャビティ部232の金型温度を100℃以上180℃以下、より好ましくは110℃以上160℃以下とする。
冷却装置は、熱硬化性材料の流動路を冷却する装置である。具体的には、充填装置10及び金型20の冷却部22Bを10℃以上、50℃以下に冷却するとよい。
【0087】
上記成形機を用いた熱硬化性材料の成形方法は、例えば型締工程、所定量の熱硬化性材料をプランジャー内に供給する工程(熱硬化性材料供給工程、工程1)、プランジャー内に供給された熱硬化性材料をプランジャーにより、金型内のキャビティに充填する工程(充填工程、工程2)、キャビティ内で熱硬化性材料を熱硬化する工程(硬化工程、工程3)、及び熱硬化された熱硬化性材料を取り出す工程(離型工程、工程4)を含む。
【0088】
熱硬化性材料供給工程(工程1)
成形をトランスファー成形で行う場合は、シリンジなどの供給装置を用いて金型内のプランジャー部に材料を適量挿入することにより計量できる。
成形を射出成形で行う場合は、熱硬化性材料を図示しない投入口から
図1に示した充填装置10に注入する。投入された熱硬化性材料は、流動部(スクリューなど)12により押し出され、ついでプランジャー11にて所定量が計量される。計量が終了後もしくは射出前に、流動部12が前進し、プランジャー11が動作する際の逆止弁となる機能を有している。この間、流動路は冷却装置により冷却されているため、熱硬化性材料は硬化することなくスムーズに流動する。
【0089】
充填工程(工程2)
(1)型内減圧機構を持たせる場合
材料をキャビティに注入する際に、キャビティ内の空気を逃がすベントあるいは、
図2のような図外の減圧装置に接続されキャビティ内21を減圧可能にする減圧管240を備えたキャビティ21内を減圧しておく必要がある。理由は、材料をキャビティ21に注入し、完全に充填する過程で、ベントはキャビティ内の空気を逃がすためであり、キャビティ内減圧は空気が無い状態にすることで完全に充填できるようにするためである。この機構が無い場合は、材料の充填時にキャビティ内のエアーが抜けてくれる機構が必要である(例えばベント機構)。
熱硬化性材料を成形するには、まず、可動金型23を固定金型22に近接させ、型締を行う。可動金型23の弾性部材238が固定金型22の弾性部材224に当接する位置で一旦可動金型23の移動を止める。
(2)材料の充填(注入)
充填工程は、好ましくはゲートシステムのゲートを開き、金型内のキャビティに熱硬化性材料を充填することにより行う。可動金型23及び固定金型22に設けられた加熱部22Aは常時加温しておき、キャビティ温度が60℃以上、好ましくは90℃以上180℃以下、特に好ましくは110℃以上170℃以下となるよう設定する。射出成形機を使用する場合は、射出部からキャビティへの注入を開始する際、シャットオフノズル(場合によってはバルブゲート)のノズルを開き、射出部のプランジャーを可動させ、熱硬化成分をキャビティ内に注入する。トランスファー成形機を用いる場合は、プランジャー内からキャビティ部232まですべてを硬化させるため、材料のキャビティ21への流動が可能であればよく、熱の授受を遮断する必要はない。
【0090】
硬化工程(工程3)
キャビティ21への熱硬化性材料の充填が完了すると、同時に熱硬化性材料の硬化が開始されるが、成形品の転写性を向上するためには、所定の圧力を加えて硬化させることが必要である。すなわち、プランジャー11を1.0MPa以上15MPa以下に加圧した状態であることが好ましい。転写性を向上するために、熱硬化性材料に加えるこの圧を保圧と言う。
硬化工程は、好ましくは硬化開始後に熱硬化性材料の注入圧を高め、硬化完了前に保圧を実施し、保圧完了後、ゲートシステムのゲートを閉じて熱硬化を行う。具体的にゲートの閉じ方は、ニードル223を前進させ開口部222を閉鎖する。そして、冷却装置を作動させ、熱硬化性材料の流動路全域、すなわち、成形機の充填装置10及び金型20の固定金型22に設けられた冷却部22Bを冷却する。この際、冷却温度は10℃以上、50℃以下に設定されることが好ましく、特に好ましくは30℃以下に設定される。
【0091】
以下に、プランジャー11への保圧と、保圧開始のタイミングについて説明する。
図3は、本実施形態における熱硬化性材料の粘度と時間との関係を示した図である。
図3において、材料をキャビティに注入してから充填が完了するまでの期間P1(所要時間t
1)は、材料に熱が加えられ硬化が始まるまでの誘導期に相当する。硬化工程は、熱をかけて材料が硬化し始めてから、硬化に至るまでの間の硬化初期P2(所要時間t
2)と、硬化が完了する硬化後期P3(所要時間t
3)の2段階に分けられる。熱硬化性材料の粘度は、誘導期P1においては、低粘度のままで変化がなく、硬化初期P2においては、低粘度から高粘度へと著しい粘度変化を示し、硬化後期P3では高粘度の状態で緩やかに上昇する。
【0092】
硬化初期P2では、熱硬化性材料が液体から固体に変化する粘度変化だけでなく、体積変化も生じることで、収縮する。それ故、実際の成形では熱硬化性材料に圧を加えなければ、成形品が転写性に劣るものとなってしまう。転写性を良くするためには、熱硬化性材料に圧を加え(保圧)、金型20に熱硬化性材料を密着させるとともにゲート部分から熱硬化性材料を補填する必要がある。
しかし、本実施形態の熱硬化性材料のように低粘度の材料においては、材料粘度が低粘度の状態で圧を加えると、低粘度材のゆえ、固定金型22と可動金型23の隙間から材料が漏れ出し硬化する(バリ)不良現象や、
図2に略示している押出ピン233あるいは押出プレートまわりの隙間等に熱硬化性材料が浸透することによる押出ピン233あるいは押出プレートの動作不良等が発生する。一方、硬化初期P2で粘度が高くなった状態や、硬化後期P3の状態で圧を加えても、熱硬化性材料の粘度が高いため圧縮変形することができず転写性を向上させることはできない。従って、転写性の高い成形品を得るためには、保圧開始のタイミング(保圧開始時刻T)を硬化工程の誘導期P1から硬化初期P2に移行するタイミングに合わせる必要がある。
【0093】
ここで、キャビティ21内の熱硬化性材料の粘度を検出できれば保圧開始時刻Tを決めることができるが、熱硬化性材料の粘度を測定するためには、金型20のキャビティ21中で熱硬化性材料の粘度を測定する装置を組み込む必要がある。これは、金型20が大型化する上、機構も複雑になり、作製費用も著しく高くなるため、現実的ではない。
本実施形態における熱硬化性材料は、硬化初期P2で増粘すると同時に収縮し始める。従って、収縮し始める時間を検出すれば、保圧開始時刻Tを適切に決めることができる。
【0094】
硬化工程において、上述した条件で保圧することにより、成形品のヒケや歪みを防止し、転写性を向上することができる。
一定時間の保圧完了後、
図2(C)に示すようにニードル223を前進させて開口部222を閉塞し、未硬化部分が発生しないよう、一定時間加熱して熱硬化性材料を完全に硬化させる。
ここで充填工程を経て加熱して熱硬化性材料を完全に硬化させるのに要する時間t
1+t
2+t
3(充填工程〜硬化工程完了までに要する合計時間)は、好ましくは0.2〜3分とする。更に好ましくは0.2〜2分である。0.2分未満の場合、未硬化が発生する恐れがあり、3分を超える場合は量産性の観点から好ましくない。
【0095】
離型工程(工程4)
硬化終了後、成形品を取り出しやすくする工程である。具体的には、硬化が終了した後、金型20を開き、成形品を
図2に略示している押出ピン233あるいは押出プレートによって0.1〜5mmの範囲で押出し、金型20から脱型し易くする。
【0096】
[硬化物]
硬化物は、上記説明した本発明の熱硬化性組成物を熱で重合して硬化することにより得ることができ、好ましくは本発明の製造方法により成形した硬化物である。
本発明の硬化物は、例えば光半導体発光装置用のハウジング材等として好適に利用することができる。本発明の硬化物を用いたハウジング材は、長時間使用しても反射(遮蔽)率が変化せず、可視光領域および準紫外の反射率が低く(遮蔽率が高く)、耐熱性・耐候性に優れ、周辺部材との密着性に優れる。
【0097】
本発明の硬化性材料を用いたハウジング材は、可視光および準紫外領域の反射率が低く、長時間使用しても反射率の変化が小さい。本発明の硬化性材料を用いた反射材の波長400〜800nmでの光反射率は、初期値で好ましくは20〜1%以下、より好ましくは10〜1%以下、さらに好ましくは、7〜1%以下であり、150℃で1,000時間の劣化テスト後の光反射率も好ましくは20〜10%以下、より好ましくは10〜1%以下、さらに好ましくは7〜1%以下を達成できる。なお、光反射率は、実施例に記載の方法によって求められる。
【0098】
[光半導体発光装置]
光半導体発光装置は、上記説明したハウジング材を含む。光半導体発光装置の他の構成は公知のものとすることができる。
光半導体素子搭載用基板、及び光半導体発光装置をさらに図面を用いて説明する。
図4は、光半導体素子搭載用基板、及び光半導体装置の一実施形態を示す概略断面図である。
図4(a)は、リードフレーム510を示す。
【0099】
図4(b)は、
図4(a)のリードフレーム510にハウジング材521として樹脂成形体を成形した光半導体素子搭載用基板520を示す。光半導体素子搭載用基板520は、リードフレーム510及びハウジング材521からなる底面と、ハウジング材521からなる内周側面とから構成される凹部を有する。ハウジング材521を構成する樹脂成形体は、本発明の組成物を硬化させたものである。
【0100】
図4(c)は、
図4(b)の光半導体素子搭載用基板のリードフレーム上に光半導体素子531を搭載し、光半導体素子531と光半導体素子531が搭載されないもう一方のリードフレームとをワイヤー532でボンディングし、凹部を透明樹脂(封止樹脂)533で封止した光半導体発光装置530を示す。封止樹脂の内部には青色等の発光を白色に変換するための蛍光体534が含まれていてもよい。
【0101】
また、
図5は光半導体素子搭載用基板、及び光半導体発光装置の別の実施形態を示す概略断面図である。
図5(a)は、リードフレーム610を示す。
図5(b)は、
図5(a)のリードフレーム610の間にハウジング材621として樹脂成形体を成型した光半導体素子搭載用基板620を示す。光半導体素子搭載用基板620は、リードフレーム610と、リードフレーム610の間に本発明のハウジング材621とを備えている。
【0102】
図5(c)は、
図5(b)の光半導体素子搭載用基板を備えた光半導体発光装置630を示す。リードフレーム610上に光半導体素子631を搭載し、ボンディングワイヤー632により電気的に接続した後、トランスファー成形又は圧縮成形等の方法により透明封止樹脂633からなる封止樹脂部を一括で硬化成形して光半導体素子631の封止を行なった後、ダイシングにより個片化する。封止樹脂の内部には青色等の発光を白色に変換するための蛍光体634が含まれていてもよい。
【0103】
光半導体素子搭載用基板の各部の寸法・形状は特に限定されず、適宜設定することができる。
封止樹脂(封止材)は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリレート樹脂等から構成される。
【実施例】
【0104】
以下に本発明の実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0105】
実施例1−17及び比較例1−4
表1-3に示す原料及び組成比で熱硬化性組成物を調製し、以下に示す成形条件A又はBで成形品を得た。
硬化液の作製方法
液成分および添加剤成分を計量し撹拌した。その次に、無機成分を計量し撹拌した。無機成分を配合する順番は、(G)成分、(C)成分、(B)成分の順とした。撹拌装置としては自転と公転で撹拌できる撹拌装置を用いた。回転数としては自転1000rpmと公転2000rpm回転時間は1分とした。なお、このような装置として、シンキー社の「あわとり錬太郎」を用いた。
【0106】
[液状トランスファーモールディング(LTM)成形(成形条件A)]
成形機:液状トランスファー成形機G−Line、アピックヤマダ社製
低温部の流路温度:25℃
流路及び遮断方法:シリンジを用いたマニュアル遮断
高温部の流路温度及びキャビティ温度:添加剤としてパーブチルEを用いた場合は150℃、添加剤としてパーヘキサHCを用いた場合は130℃にて測定した。
充填時間:10秒
充填圧力:2MPa(充填時間優先)
保圧時間:15秒
保圧時圧力:5MPa
硬化時間:90秒
上記の成形機及び条件で、ゲートシステムのゲートを開き、金型内のキャビティに熱硬化性材料を充填し、熱硬化の開始後に前記熱硬化性材料の注入圧を高め、硬化完了前に保圧を実施し、保圧完了後、ゲートシステムのゲートを閉じて熱硬化を行った。
【0107】
[液状射出成形(LIM成形)(成形条件B)]
成形機:液状熱硬化性樹脂射出成形機LA−40S、(株)ソディック社製
低温部の流路温度:20℃
流路及び熱遮断方法:シャットオフノズル使用
高温部の流路温度及びキャビティ温度:添加剤としてパーブチルEを用いた場合は150℃、添加剤としてパーヘキサHCを用いた場合は130℃にて測定した。
充填時間:10秒
充填時圧力:2MPa(充填時間優先)
保圧時間:15秒
保圧時圧力:5MPa
硬化時間:90秒
【0108】
熱硬化性組成物の調製に用いた各成分は以下の通りである:
[成分(A):(メタ)アクリレート化合物]
・AM:アダマンチルメタクリレート(M−104:出光興産株式会社製、回転粘度計による定せん断速度での測定(JIS K7117−2:1999)にて測定した25℃での粘度:10mPa・s)
・IBMA:1−イソボルニルメタクリレート(IB−X:共栄社化学株式会社製、回転粘度計による定せん断速度での測定(JIS K7117−2:1999)による25℃での粘度:10mPa・s)
【0109】
[成分(D)、(E)、(F):(メタ)アクリレート化合物]
・LA:ラウリルアクリレート(SR335,アルケマ株式会社製)
・StMA:ステアリルメタクリレート(共栄社化学株式会社製)
・SR351:トリメチロールプロパントリアクリレート(アルケマ株式会社製)
・GMA:グリシジルメタクリレート(ブレンマーGH,日油株式会社製)
・DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)
・A−DOD−N:1,10−デカンジオールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
・3000MK:ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物(3000MK,共栄社化学株式会社製)
・MMA:メチルメタクリレート(広島和光株式会社製)
【0110】
[成分(B):球状シリカ]
・CRS1085−SF630:平均粒子径(D50)15μmの球状シリカ(株式会社龍森製)
・CRS1035−LER4:平均粒子径(D50)2μmの球状シリカ(株式会社龍森製)
・S430−5PHM:平均粒子径(D50)5μmの球状シリカ(新日鉄住金マテリアルズ株式会社 マイクロンカンパニー製)
【0111】
[成分(C):黒色顔料]
・MA100:カーボンブラック、平均粒子径0.025μm、三菱化学株式会社製
・MA100R:カーボンブラック、平均粒子径0.025μm、三菱化学株式会社製
・16M:チタンブラック、平均粒子径0.1μm、三菱マテリアル株式会社製
・13M−C:チタンブラック、平均粒子径計0.075μm、三菱マテリアル株式会社製
・TM−B:低次酸化チタン、平均粒子径0.7μm、赤穂化成株式会社製
【0112】
[成分(G):ナノ粒子]
・R711:フュームドシリカ、平均粒子径0.005〜0.05nm(日本アエロジル株式会社製)
【0113】
[添加剤]
・Tinuvin765:紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製)
・StMg:ステアリン酸マグネシウム(日油株式会社製)
・StZn:ステアリン酸亜鉛(大日化学工業株式会社製)
・パーブチルE:有機過酸化物(日油株式会社製)
・パーヘキサHC:有機過酸化物(日油株式会社製)
・トリゴノックス122−C80:有機過酸化物(化薬アクゾ株式会社製)
【0114】
調製した組成物及び得られた成形品について、以下の評価を行った。結果を表1−3に示す。
(1)粘度測定方法
調製した組成物について、粘弾性測定装置を用い、下記の条件にて回転粘度測定を実施した。
装置名:Anton Paar社製 physica MCR301
測定法:共軸円筒型回転粘度測定法
温度:25℃
せん断速度範囲:1〜200(1/s)
このせん断速度領域で10(1/s)と100(1/s)でのせん断粘度を粘度とした。
なお、測定時、すべりが発生し測定できない場合は、厚みが変化しない範囲でノーマルフォースを加えた。
【0115】
(2)金型及び成形性の評価
成形性評価の金型は、幅(10mm)×長さ(50mm)×厚み(1mm)、流動末端部には幅(5mm)×長さ(10mm)×厚み(0.03mm)のベントを有する金型を使用した。また、特性評価用の金型は幅(50mm)×長さ(50mm)×厚み(2mm)の金型を使用した。
(2−1)成形性評価
成形性評価として、未充填部の発生有無を確認した。金型を所定の温度に設定し、10秒から15秒の間に充填させる過程で成形品中に目視にてボイドや、未充填部の両方が発生している場合は「×」、片方が発生している場合は「△」、どちらも発生していない場合は「○」と評価した。
(2−2)バリ発生の有無
金型を所定の温度に設定し、10秒から15秒の間に充填させる過程で成形品中に目視にてベント部末端を越えたバリや、ベント部以外の部分からバリが発生している場合は「×」、片方が発生している場合は「△」、どちらも発生していない場合は「○」と評価した。
【0116】
(3)光反射率測定
得られた成形品について、マルチパーパス大型試料室ユニット((株)島津製作所製、商品名:MPC−2200)を取り付けた自記分光光度計((株)島津製作所製、商品名:UV−2400PC)を用いて、450nm及び650nmにおける硬化物試験片の光反射率を測定した。
【0117】
(4)明度L*の測定
硬化物試験片(30×30×2mm[縦×横×厚み])を、積分球分光光度計(グレタグマクベス社製、CE−7000A)を用い、波長400〜700nmの範囲において、反射率測定モード、10度視野、拡散照明/8度方向受光、測色面積5mm×10mmにて、鏡面反射および紫外光を含む条件での反射率を測定し、450nmにおける硬化物試験片の光反射率を得た。
【0118】
(5)耐光性の測定
青色LED((株)ジェネライツ製、商品名:OBL−CH2424)を実装したLEDパッケージの上に硬化物の試験片を固定し、環境温度60℃下で、電流値150mAで1週間通電して発光させ、その後の硬化物試験片のLEDの光の照射面を目視観察して、以下の基準により評価した。
○:新たな表面の凹凸なし
×:新たな表面の凹凸あり
【0119】
(6)耐熱性評価
得られた成形品を180℃のオーブン(機器名:エスペック株式会社製 セーフティオーブンSPH−102)に200時間放置した後の放置後の成形品の重量減少量(%)、外観(割れ)について評価した。その重量減少量が、初期よりも2%以下であって、割れや欠けが発生しない場合は「○」と評価し、重量減少2%超あるいは割れや欠けが発生した場合は「△」と評価し、2%超であり割れや欠けが発生した場合は「×」と判断した。
【0120】
(7)成形方法の評価
成形機、金型の評価方法として、連続成形性1、2を評価した。連続成形性1は、300回連続して成形した際に、成形機および金型の冷流路(50℃以下に制御された箇所)において、材料の詰まりによる成形不良の有無(計量精度)の評価を行った。300回連続して成形した後、流路に詰まりがあったり、10回目との計量誤差が15%以上のどちらかが発生した場合は「×」とし、流路の閉塞が発生しなかったり、計量誤差が15%以内の場合は「〇」とした。
連続成形性2は、300回連続して成形した後、24時間以上放置し、再度成形を行い100回連続して成形した際において、材料の詰まりによる成形不良の有無(計量精度)の評価を行った。24時間以上放置し、100回連続して成形した後、流路に詰まりがあったり、もしくは24時間以上放置する前の10回目との計量誤差が15%以上のどちらかが発生した場合は「×」とし、流路の閉塞が発生しなかったり、計量誤差が15%以内の場合は「〇」とした。
【0121】
(8)保管性試験
作製した硬化液500gをポリプロピレン製ディスポカップ300ml(V-300、Φ91×Φ67×96mm)、もしくは500ml(V-500, Φ103×Φ78×119mm)に計量し、計量した容器を揮発しないよう密閉容器に入れ、72時間放置した後、固−液分離し浮いてくる液量(上澄み液量、以下、「液浮量」という)を計量した。液浮量は少ないことが望ましく、液浮量が1ml以下の場合は「○」と評価し、それ以上の場合は「×」と評価した。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】