(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各種の液体は温度により作用が変化する。該加工装置では該液体の温度が加工に及ぼす影響が大きいため、該液体の温度が詳細に管理される必要がある。しかし、例えば、該加工装置が備える液体の供給源にて該液体の温度が管理されても、該液体が所定の箇所に供給されるまでの間に温度が変化する場合がある。所定の箇所に該液体が供給されたときに該液体の温度が所定の温度でない場合、適切な加工を実施できなくなるため問題となる。
【0007】
すなわち、被加工物に液体が供給される直前に液体の温度を確認したい、との需要がある。管路に配設される超音波流量計では液体の温度までは測定できないため、該管路に別途温度計を設けることが考えられるが、該温度計を配設するにはコストがかかる。また、加工装置内の余剰空間が小さく該温度計を配設できない場合がある。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超音波流量計と、温度計と、の機能を兼ね備えた計測器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によると、液体が流れる管路に配設される計測器であって、該管路の上流側と、下流側と、にそれぞれ配設された2つの超音波振動子と、該2つの超音波振動子の間に配設され該液体に接する超音波伝導体と、該2つの超音波振動子に電気的に接続された制御部と、を有し、該制御部は、該超音波伝導体中の超音波の伝播速度と、該超音波伝導体の温度と、の関係が登録された第1の関係登録部と、
該液体の温度と、該液体中の超音波の伝播速度と、該液体に溶解又は混合された物質の濃度と、の関係が登録された第2の関係登録部と、超音波伝播時間算出部と、第1の超音波伝播速度算出部と、
第2の超音波伝播速度算出部と、温度算出部と、
濃度算出部と、を有し、該超音波伝播時間算出部は、該2つの超音波振動子の一方で発生
した該超音波を該2つの超音波振動子の他方で観測することで得られた
第1の波形情報から、該超音波伝導体を経て伝播する該超音波の伝播時間を第1の伝播時間として算出
するとともに該管路を流れる該液体中を伝播する該超音波の伝播時間を第2の伝播時間として算出し、
該2つの超音波振動子の該他方で発生し該液体中を経て伝播する該超音波を該2つの超音波振動子の該一方で観測することで得られた第2の波形情報から、該管路を流れる該液体中を伝播する該超音波の伝播時間を第3の伝播時間として算出し、該第1の超音波伝播速度算出部は、該第1の伝播時間と、該超音波の伝播経路の長さと、を用いて該超音波伝導体中の超音波の伝播速度を算出し、
該第2の超音波伝播速度算出部は、該第2の伝播時間と、該第3の伝播時間と、該2つの超音波振動子間の距離と、から該液体中の超音波の伝播速度を算出し、該温度算出部は、算出された該超音波伝導体中の超音波の伝播速度と、
該第1の関係登録部に登録された該関係と、から該超音波伝導体の温度を算出することで該超音波伝導体に接する該液体の温度を導出
し、該濃度算出部は、該温度算出部で算出された該液体の温度と、該第2の超音波伝播速度算出部で算出された該液体中の超音波の伝播速度と、該第2の関係登録部に登録された該関係と、から該液体の該物質の濃度を算出し、該超音波伝導体中の超音波の伝播速度は、該液体中の超音波の伝播速度よりも速いことを特徴とする計測器が提供される。
【0010】
なお、本発明の一態様において、
該超音波伝導体は、金属でなる部材でもよい。
【0011】
さらに、本発明の一態様において、該制御部は、該液体の温度と、該液体中の超音波の伝播速度と、該液体に溶解又は混合された物質の濃度と、の関係が登録された第2の関係登録部と、第2の超音波伝播速度算出部と、濃度算出部と、をさらに有し、該第2の超音波伝播速度算出部は、該第2の伝播時間と、該第3の伝播時間と、の平均、及び該超音波振動子間距離から該液体中の超音波の伝播速度を算出し、該濃度算出部は、該温度算出部で算出された該液体の温度と、該第2の超音波伝播速度算出部で算出された該液体中の超音波の伝播速度と、第2の関係登録部に登録された該関係と、から該液体の該物質の濃度を算出してもよい。
【0012】
また、本発明の一態様において、該超音波伝導体は、該2つの超音波振動子の間の該管路の内壁を構成する環状部材であり、該環状部材は、該管路の設置された外部の雰囲気からの熱の伝わりが抑制されるカバー部材で覆われていてもよい。または、該超音波伝導体は、該2つの超音波振動子の間で該管路中に延在する長尺部材であり、該超音波伝導体は、表面が該液体と接触するように設置されていてもよい。
【0013】
なお、本発明の一態様に係る計測器と、チャックテーブルと、加工工具と、を備え、該チャックテーブルで保持した被加工物に該液体を供給しつつ加工工具で該被加工物を加工する加工装置であって、該計測器によって該液体の流量及び濃度が測定されることを特徴とする加工装置もまた、本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係る計測器は、計測対象となる液体が流れる管路に配設される。該計測器は、該管路の上流側及び下流側にそれぞれ設けられた超音波振動子と、2つの超音波振動子の間に配設され該液体に接する超音波伝導体と、2つの該超音波振動子に電気的に接続された制御部と、から構成される。第1の関係登録部には、該超音波伝導体中を伝播する超音波の速度と、該超音波伝導体の温度と、の関係が登録されている。
【0015】
該計測器では、一方の超音波振動子が超音波を発生させ、他方の超音波振動子が該超音波伝導体を経て伝播する該超音波を観測する。そして、観測により得られた波形情報から超音波伝導体中の超音波の伝播速度を算出し、該第1の関係登録部に登録された関係を用いて該超音波伝導体の温度を算出する。該超音波伝導体は、管路を流れる液体に触れており、該超音波伝導体の温度は該液体の温度となるため、該温度が該液体の温度であるといえる。
【0016】
該計測器は、2つの該超音波振動子を備えており、超音波流量計としての機能を発揮できるとともに、該液体の温度を算出できる。該計測器は、液体が流れる管路に配設される超音波流量計に代えて該管路に配設することができるため、該計測器を配設するための新たな空間を加工装置内部に用意する必要がない。また、2以上の計測器を要しないことから、コストの増大を抑制できる。
【0017】
したがって、本発明の一態様によると、超音波流量計と、温度計と、の機能を兼ね備えた計測器が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。本実施形態に係る計測器は、液体が流れる管路に配設される計測器である。該液体は、例えば、半導体ウェーハ等の被加工物を加工する加工装置において、該加工装置が備える加工ユニットや該被加工物に供給される。該液体は、例えば、純水であり、または、固体粒子を分散させたスラリー(懸濁液)、酸性溶液、アルカリ溶液、その他の溶液等である。
【0020】
液体を所定の箇所に供給するための管路と、該計測器と、加工ユニットと、が備えられた加工装置の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、半導体ウェーハ等の被加工物を研磨加工する研磨装置2を模式的に示す斜視図である。
【0021】
研磨装置2の装置基台4の上面には、開口4aが設けられている。該開口4a内には、被加工物を吸引保持するチャックテーブル6が上面に載るX軸移動テーブル8が備えられている。該X軸移動テーブル8は、図示しないX軸方向移動機構によりX軸方向に移動可能である。該X軸移動テーブル8は、X軸方向移動機構によりチャックテーブル6上で被加工物が着脱される搬入出領域10と、該チャックテーブル6上に吸引保持される被加工物が研磨加工される加工領域12と、に位置付けられる。
【0022】
該チャックテーブル6の上面は、該被加工物を保持する保持面6aとなる。該チャックテーブル6は、一端が該チャックテーブル6の保持面6aに通じ、他端が図示しない吸引源に接続された吸引路(不図示)を内部に備える。該吸引源を作動させると、該保持面6a上に載せられた被加工物に負圧が作用して、該被加工物はチャックテーブル6に吸引保持される。また、該チャックテーブル6は該保持面6aに垂直な軸の周りに回転できる。
【0023】
該加工領域12の上方には、該被加工物を加工する研磨ユニット(加工ユニット)14が配設される。装置基台4の後方側には支持部16が立設されており、この支持部16により研磨ユニット14が支持されている。支持部16の前面には、Z軸方向に伸長する一対のZ軸ガイドレール18が設けられ、それぞれのZ軸ガイドレール18には、Z軸移動プレート20がスライド可能に取り付けられている。
【0024】
Z軸移動プレート20の裏面側(後面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール18に平行なZ軸ボールねじ22が螺合されている。Z軸ボールねじ22の一端部には、Z軸パルスモータ24が連結されている。Z軸パルスモータ24でZ軸ボールねじ22を回転させれば、Z軸移動プレート20は、Z軸ガイドレール18に沿ってZ軸方向に移動する。
【0025】
Z軸移動プレート20の前面側下部には、被加工物の研磨加工を実施する研磨ユニット14が固定されている。Z軸移動プレート20をZ軸方向に移動させれば、研磨ユニット14はZ軸方向(加工送り方向)に移動できる。
【0026】
研磨ユニット14は、基端側に連結されたモータにより回転するスピンドル28と、該スピンドル28の先端側に装着され該スピンドル28の回転に従って回転する研磨ホイール30と、該研磨ホイール30の下面に備えられた研磨パッド32と、を備える。該モータはスピンドルハウジング26内に備えられている。
【0027】
研磨ユニット14についてさらに詳述する。
図2は、研磨ユニット(加工ユニット)14による被加工物の研磨(加工)を模式的に示す部分断面図である。
図2に示す通り、チャックテーブル6の保持面6a上に吸引保持された被加工物1を研磨する際、該チャックテーブル6を回転させるとともに、該研磨ホイール30を回転させながら研磨ホイール30を下降させる。すると、被加工物1の被研磨面に該研磨パッド32が押し当てられて、該被加工物1が研磨される。
【0028】
スピンドル28及び研削ホイール30の内部には、研削ホイール30の下面に設けられた噴出口34に一端が接続された送液路36が配設される。該送液路36の他端側には液体の供給源40が接続されており、該供給源40には液体が貯留されている。該管路38には、該供給源40からの該液体の供給の開始と、停止と、を制御する切り替え部44と、該管路38に流れる該液体を計測する計測器42と、が配設される。該被加工物1の研磨時には、該切り替え部44を作動させて、被加工物1に該液体を供給させる。
【0029】
該液体は、例えば、固体粒子を分散させたスラリーである。該スラリーは、予定されている研磨の内容や被加工物の種別等により、分散媒の種別や、固体粒子の種別、該固体粒子の形状及び大きさ等が選択される。または、該液体は、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が溶解したアルカリ溶液にグリセリンやエチレングリコール等の水溶性有機物を添加したアルカリ混合液である。該供給源40には、被加工物1の研磨に適した液体が準備される。
【0030】
該液体の温度により該液体の作用の程度が変化する場合がある。被加工物1に供給される該液体の温度が所定の温度となっていなければ、所望の研磨加工を実施できない可能性がある。しかし、該液体の供給源40にて該液体の温度が管理されても、該被加工物1に供給されるまでの間に温度が変化する場合がある。
【0031】
また、該液体に含まれる固体粒子の量もまた該液体の性質を決定する重要な要素である。しかし、分散された固体粒子が時間の経過により該液体内で局在化してしまう場合がある。ここでは、液体に含まれる固体粒子の割合を便宜的に濃度と呼ぶ。すなわち、液体中で濃度の偏りが生じ得る場合がある。該被加工物1に供給される該液体が所定の濃度となっていなければ、所望の研磨加工を実施できない場合がある。
【0032】
そのため、該液体が流れる管路38に温度を計測する温度計や、濃度を計測する濃度計を配設して、液体の温度や濃度を適切に管理するのが好ましい。しかし、管路38には液体の流量を計測する流量計が配設される場合があり、研磨装置(加工装置)内の限られた空間の中で、該管路38にそれらの計測機器をすべて個別に取り付けるのは容易ではない。また、計測機器の数が増える程、費用がかさむ。そこで、本実施形態に係る計測器42を該管路38に配設する。
【0033】
該計測器42について説明する。
図3は、管路38に配設された計測器42の一例を模式的に示す図である。該計測器42は、管路38の上流側38aと、下流側38bと、にそれぞれ配設された2つの超音波振動子46を有する。2つの該超音波振動子46は、超音波を発生させることができる。また、該超音波振動子46は、該超音波振動子46に伝播した超音波を観測することができる。
【0034】
該計測器42は、該2つの超音波振動子46の間に、該液体に接する超音波伝導体48を有する。該超音波伝導体48は、例えば、該2つの超音波振動子46の間で該管路38中に延在する長尺部材であり、該超音波伝導体48は、表面が該液体と接触するように配設される。該超音波伝導体48は、超音波が比較的高速で伝播でき、かつ、該比熱容量の小さな金属等でなる部材である。管路38に流れる該液体に接するため、該超音波伝導体48の温度は、該液体の温度とほぼ同じとなる。
【0035】
例えば、該2つの超音波振動子46の一方から超音波を発生させると、該液体と、該超音波伝導体48と、に該超音波が伝播する。該液体中や、該超音波伝導体48中を伝播する超音波を該2つの超音波振動子46の他方で観測することができる。このとき、液体中を伝播する超音波よりも早く該超音波伝導体48中を伝播する超音波が観測される。同様に、該2つの超音波振動子46の該他方から超音波を発生させることができ、該超音波を該2つの超音波振動子46の該一方で観測できる。
【0036】
該計測器42は、さらに、該2つの超音波振動子46に電気的に接続された制御部52を有する。該制御部52は計測器42による該液体の計測を制御する。該制御部52は、該2つの該超音波振動子46に電気的に接続された切り替え部54を有する。該切り替え部54は、超音波を発生させる超音波振動子46と、該超音波を観測させる超音波振動子46と、を切り替える機能を有する。
【0037】
該切り替え部54は、電源56に電気的に接続されており、該電源56を一方の超音波振動子46に接続して該超音波振動子46に超音波を発生させることができる。また、該切り替え部54は、増幅器58に電気的に接続されており、他方の超音波振動子46を該増幅器58に接続する。該他方の超音波振動子46に到達した該超音波は波形情報を含む電気信号に変換され、該電気信号は該増幅器58に送られる。
【0038】
該増幅器58は、該計測器42の算出部60に電気的に接続されており、該波形情報を含む電気信号を増幅して、該算出部60に送る。該算出部60は、超音波伝播時間算出部62と、第1の超音波伝播速度算出部64と、第2の超音波伝播速度算出部66と、第1の関係登録部68と、第2の関係登録部70と、温度算出部72と、流速算出部74と、流量算出部76と、濃度算出部78と、を備える。該算出部60では、該波形情報を基に、該管路38を流れる液体の温度、流速、流量、濃度等が算出される。
【0039】
該増幅器58で増幅された波形情報を含む電気信号は、算出部60の該超音波伝播時間算出部62に送られる。該超音波伝播時間算出部62は、該電気信号を解析し、該電気信号に含まれる該超音波の波形情報を得て、超音波振動子46の一方から他方に伝播した超音波の伝播時間を算出する。
【0040】
該超音波伝播時間算出部62は、該2つの超音波振動子46の一方で生じた超音波を他方の超音波振動子46で観測することで得られた波形情報から、該超音波伝導体48を経て伝播した伝播時間を第1の伝播時間として算出する。それとともに、該波形情報から該液体中を伝播した該超音波の伝播時間を第2の伝播時間として算出する。
【0041】
さらに、超音波伝播時間算出部62は、該2つの超音波振動子46の該他方で生じた超音波を該一方の超音波振動子46で観測することで得られた波形情報から、該液体中を伝播した伝播時間を第3の伝播時間として算出する。
【0042】
該超音波伝播時間算出部62は、第1の超音波伝播速度算出部64に接続されており、算出した該第1の伝播時間を該第1の超音波伝播速度算出部64に送信する。該第1の超音波伝播速度算出部64は、該第1の伝播時間と、該超音波の伝播経路の長さと、を用いて該超音波伝導体48中の超音波の伝播速度を算出する。
【0043】
該第1の超音波伝播速度算出部64は、温度算出部72に接続されており、算出した該超音波伝導体48中の超音波の伝播速度を該温度算出部72に送信する。該温度算出部72は、第1の関係登録部68に接続されている。該第1の関係登録部68には、該超音波伝導体48中の超音波の伝播速度と、該超音波伝導体48の温度と、の関係が予め登録されている。
【0044】
該超音波伝導体48中を伝播する超音波の伝播速度は、該超音波伝導体48の温度により変化する。該超音波伝導体48は、予め温度と、該超音波伝導体48の内部を伝播する超音波の伝播速度と、の関係が試験され、試験により得られた関係が該第1の関係登録部68に登録されている。
【0045】
該試験は、例えば、該管路38に計測器42が配設される前に実施される。該超音波伝導体48の温度を変化させ、該超音波伝導体48中を伝播する超音波の伝播速度を計測する。または、該管路38に計測器42が配設されている状態で、複数の温度既知の液体を個別に管路38に供給して、該超音波伝導体48の温度を変化させ、該超音波伝導体48中を伝播する超音波の伝播速度を計測する。
【0046】
該温度算出部72は、該第1の超音波伝播速度算出部64で算出された該超音波伝導体48中の超音波の伝播速度と、第1の関係登録部68に登録された該関係と、から該超音波伝導体48の温度を算出する。該超音波伝導体48は管路38に流れる該液体に接触しているため、該超音波伝導体48の温度は、該液体の温度と一致するとみなせる。したがって、該温度算出部72は該超音波伝導体48の温度を該液体の温度として導出できる。
【0047】
該超音波伝播時間算出部62は、第2の超音波伝播速度算出部66に接続されており、算出した該第2の伝播時間及び第3の伝播時間を該第2の超音波伝播速度算出部66に送信する。すなわち、該第2の超音波伝播速度算出部66には、2つの超音波振動子46間で管路38に流れる液体中を下流側から上流側に伝播する超音波の伝播時間と、上流側から下流側に伝播する超音波の伝播時間と、が送信される。
【0048】
該第2の超音波伝播速度算出部66は、該第2の伝播時間と、第3の伝播時間と、該2つの超音波振動子48間の距離と、から、該管路38に流れる液体中を下流側から上流側に伝播する超音波の伝播速度と、上流側から下流側に伝播する超音波の伝播速度と、を算出する。
【0049】
管路38に流れる液体中を下流側から上流側に伝播する超音波は、該液体の流れにより該液体の流速の分だけ伝播速度が遅くなる。その一方で、管路38に流れる液体中を上流側から下流側に伝播する超音波は、該液体の流れにより該液体の流速の分だけ伝播速度が速くなる。該第2の超音波伝播速度算出部66は、該液体中を上流方向に伝播する超音波の伝播速度と、該液体中を下流方向に伝播する超音波の伝播速度と、の平均を流れのない状態における該液体中の超音波の伝播速度として算出する。
【0050】
該濃度算出部78は、該第2の超音波伝播速度算出部66と、温度算出部72と、第2の関係登録部70と、に接続されている。該濃度算出部78は、該第2の超音波伝播速度算出部66で算出された該液体中の超音波の伝播速度と、該温度算出部72で算出された該液体の温度と、該第2の関係登録部70に登録された関係と、を受信する。
【0051】
液体中を伝播する超音波の伝播速度は、該液体の温度と、該液体の濃度と、により変化する。該液体の温度が高くなるほど該液体中を伝播する超音波の伝播速度が速くなる。また、該液体に溶解又は混合された物質の濃度が高くなるほど該液体中を伝播する超音波の速度が速くなる。該第2の関係登録部70には、該液体の温度と、該液体中の超音波の伝播速度と、該液体に溶解又は混合された物質の濃度と、の関係が登録されている。
【0052】
該濃度算出部78は、受信した該液体中の超音波の伝播速度と、該液体の温度と、を該第2の関係登録部70に登録された関係に照らし合わせて、該管路38に流れる液体の濃度を算出する。
【0053】
該超音波伝播時間算出部62は、該流速算出部74に接続されており、算出した該第2の伝播時間及び第3の伝播時間を該流速算出部74に送信する。すなわち、該流速算出部74には、2つの超音波振動子46間で管路38に流れる液体中を下流側から上流側に伝播する超音波の伝播時間と、上流側から下流側に伝播する超音波の伝播時間と、が送信される。
【0054】
該流速算出部74は、該第2の伝播時間と、第3の伝播時間と、該2つの超音波振動子48間の距離と、から、該管路38に流れる液体中を下流側から上流側に伝播する超音波の伝播速度と、上流側から下流側に伝播する超音波の伝播速度と、を算出する。または、第2の超音波伝播速度算出部66から両伝播速度を得る。
【0055】
管路38に流れる液体中を下流側から上流側に伝播する超音波は、該液体の流れにより該液体の流速の分だけ伝播速度が遅くなる。その一方で、管路38に流れる液体中を上流側から下流側に伝播する超音波は、該液体の流れにより該液体の流速の分だけ伝播速度が速くなる。該流速算出部74は、該液体中を上流方向に伝播する超音波の伝播速度と、該液体中を下流方向に伝播する超音波の伝播速度と、の差の半分を該管路38に流れる該液体の流速として算出する。
【0056】
該流量算出部76は、該流速算出部74に接続されている。該流速算出部74は、算出された該管路38に流れる該液体の流速を該流量算出部76に送信する。該流量算出部76は、該液体が流れる方向に垂直な面で該管路38を切断したときの該管路38の内側の断面積に該液体の流速を乗じる。すると、該管路38を流れる液体の流量が算出される。
【0057】
なお、該制御部52は表示部(不図示)に接続されていてもよく、該計測器42により得られた該液体の温度、濃度、流速、流量等の情報を該表示部に送信して、該表示部に該情報を表示させてもよい。また、該制御部52は記録部(不図示)に接続されていてもよく、該情報を該記録部に記録させてもよい。さらに、制御部52に含まれる一部またはすべての構成とその機能は、コンピュータ上にソフトウェアとして実現されてもよい。
【0058】
次に、液体の流路38に配設された計測器42による該液体の温度、濃度、流速、流量等の算出過程について説明する。まず、該計測器42の制御部52は、該計測器42が備える2つの超音波振動子46のそれぞれに超音波を発生させる。そして、2つの超音波振動子46のそれぞれに、互いの超音波振動子46から発生した該超音波を観測させる。2つの超音波振動子46のそれぞれは、観測された超音波を電気信号に変換して、算出部60の超音波伝播時間算出部62に該電気信号を送る。
【0059】
図4(A)は、計測器42の該超音波振動子46で観測される超音波の波形の一例が示されている。
図4(A)の横軸は時間の経過を表す。
図4(A)には、該超音波を発生させる指令のタイミングと、下流側の超音波振動子46で観測される超音波の波形と、該上流側の超音波振動子46で観測される超音波の波形と、が示されている。なお、
図4(A)に示された2つの超音波の波形は、個別に取得されてもよい。
【0060】
図4(A)に示す通り、下流側の超音波振動子46で観測される超音波の波形と、該上流側の超音波振動子46で観測される超音波の波形と、には該超音波伝導体48を経て伝播する超音波の波形80と、液体中を伝播する超音波の波形82と、が現れる。該超音波伝導体48中の超音波の伝播速度は、該液体中の超音波の伝播速度よりも速いため、該超音波伝導体48を経て伝播する超音波の波形80は、液体中を伝播する超音波の波形82よりも早く観測される。
【0061】
該超音波伝導体48は管路38に固定されているため、
図4(A)に示す通り、2つの超音波振動子46間で該超音波伝導体48中を上流方向に伝播する超音波の伝播時間と、下流方向に伝播する超音波の伝播時間は同一となる。
【0062】
該超音波伝播時間算出部62は、該2つの超音波振動子46の一方から生じ、他方で観測された超音波について、該超音波伝導体48を経て伝播した伝播時間を第1の伝播時間84として算出する。該第1の伝播時間と、該超音波の伝播経路である該超音波伝導体48の長さと、から該超音波伝導体48中の超音波の伝播速度を算出する。
【0063】
そして、算出された該超音波伝導体48中の超音波の伝播速度と、第1の関係登録部に登録された関係と、から該超音波伝導体48の温度を算出することで該超音波伝導体に接する該液体の温度を導出する。
【0064】
図4(A)に示す通り、管路38には液体の流れがあるため、2つの超音波振動子46間で該超液体中を下流方向に伝播する超音波の伝播時間(第2の伝播時間86)と、上流方向に伝播する超音波の伝播時間(第3の伝播時間88)と、には差が生じる。該2つの超音波振動子間の距離と、第2の伝播時間86と、第3の伝播時間88と、から、管路38に流れる液体中を伝播する超音波の下流方向の伝播速度と、上流方向の伝播速度と、を算出する。
【0065】
管路38に流れる液体中を伝播する超音波の下流方向の伝播速度と、上流方向の伝播速度と、の平均が流れのない状態の該液体中を伝播する超音波の伝播速度である。また、該下流方向の伝播速度または上流方向の伝播速度と、該流れのない状態の該液体中を伝播する超音波の伝播速度と、の差が該管路38に流れる液体の流速である。該液体の流速に管路38の断面積を乗じると該液体の単位時間当たりの流量が算出される。
【0066】
算出された該液体中を伝播する超音波の伝播速度と、算出された該液体の温度と、から該液体中に溶解又は分散された該物質の濃度を算出できる。
図5は、算出部60の第2の関係登録部70に登録された、該液体の温度と、該液体中の超音波の伝播時間と、該液体に溶解又は混合された物質の濃度と、の関係の一例を模式的に示す図である。なお、説明の便宜上、
図5には該液体中の超音波の伝播速度を超音波の伝播経路の長さで伝播時間に換算して表示している。
【0067】
液体の種別と、該液体中に含まれる物質の種別と、により該関係は一義的に決定される。
図5に示す関係を用いると、該液体中を伝播する超音波の伝播速度(伝播時間)と、該液体の温度と、から該液体中に溶解又は分散された該物質の濃度を算出できる。
【0068】
以上に示す通り、本実施形態に係る計測器42で得られる
図4(A)に示す超音波の波形から、該計測器42が配設された管路38に流れる液体の温度、濃度、流速、流量を算出できる。
【0069】
図4(B)に、該計測器42で得られる超音波の波形の他の一例を示す。なお、
図4(B)に示す波形が得られる際に該管路38に流れる液体の種別は、
図4(A)に示す波形が得られる際に該管路38に流れる液体と同じであり、該液体に含まれる物質の種別も同じである。
【0070】
図4(A)と、
図4(B)と、を比較すると、超音波伝導体を経て伝播する超音波の波形80,80aが現れる第1の伝播時間84,84aが同じである。そのため、
図4(A)に示す波形が得られるときと、
図4(B)に示す波形が得られるときと、で管路38に流れる液体の温度が同じであることがわかる。
【0071】
また、液体中を伝播する超音波の波形82,82aが現れる第2の伝播時間84,84aと、第3の伝播時間86,86aと、が異なる。
図4(B)に示す波形では、第2の伝播時間84aと、第3の伝播時間86aと、が比較的小さい。そのため、
図4(A)に示す波形が得られるときの管38に流れる液体の濃度よりも
図4(B)に示す波形がえられるときの管38に流れる液体の濃度の方が高いことがわかる。
【0072】
次に、本実施形態に係る計測器42の変形例について説明する。
図6は、管路38に配設された計測器42の変形例を模式的に示す図である。
図6に示す該計測器42は、
図3に示す計測器42と同様に構成されるが、超音波伝導体48が異なる。
【0073】
すなわち、
図6に示す通り、該超音波伝導体48は、該2つの超音波振動子46の間の該管路38の内壁を構成する環状部材である。該超音波伝導体48は、該管路の設置された外部の雰囲気からの熱の伝わりが抑制されるカバー部材50で覆われている。そのため、該超音波伝導体48の温度は該管路38を流れる液体と略同一となる。
【0074】
2つの超音波振動子46の一方で発生した超音波は、該管路38を流れる液体にまず伝播し、該超音波伝導体48の一端に到達する。そして、該超音波が該超音波伝導体48中を該一端から他端まで伝播し、該他端に到達した超音波は再び該管路38を流れる液体に伝播し、2つの超音波振動子46の他方に到達して観測される。
【0075】
該超音波伝導体48中は、該液体中よりも超音波の伝播速度が速くなるため、該超音波伝導体48を経て伝播する超音波は、該液体中のみを伝播する超音波よりも早く該他方の超音波振動子46に観測される。
【0076】
図6に示す計測器42による該管路38を流れる液体の測定について、
図7を用いて説明する。
図7は、該計測器42の該超音波振動子46で観測される超音波の波形の一例が示されている。
図7の横軸は時間の経過を表す。
図7には、該超音波を発出させる指令のタイミングと、下流側の超音波振動子46で観測される超音波の波形と、該上流側の超音波振動子46で観測される超音波の波形と、が示されている。なお、
図7に示された2つの超音波の波形は、個別に取得されてもよい。
【0077】
図7に示す超音波の波形では、
図4(A)に示す超音波の波形とは異なり、超音波伝導体を経て伝播する超音波の波形80bが下流側の超音波振動子46で観測される波形と、上流側の超音波振動子46で観測される波形と、が異なる。
図6に示す計測器42の場合、該超音波伝導体48に流れる超音波は、その前後で管路38に流れる液体中を伝播する。
【0078】
ここで、上流側の超音波振動子46のから生じ、下流側の超音波振動子46で観測される超音波について、該超音波伝導体48を経て伝播した伝播時間を第1の伝播時間84bとする。また、下流側の超音波振動子46のから生じ、上流側の超音波振動子46で観測される超音波について、該超音波伝導体48を経て伝播した伝播時間を第4の伝播時間90bとする。このとき、該第1の伝播時間84bは、該第4の伝播時間90bよりも短くなる。
【0079】
この場合は、まず、第2の伝播時間86bと、第3の伝播時間該88bと、を用いて管路38を流れる液体中を下流方向に伝播する超音波の伝播速度と、上流方向に伝播する超音波の伝播速度と、を算出する。そして、該第1の伝播時間84bと、該超音波の伝播経路の長さと、に加えて該第4の伝播時間90bと、液体中を下流方向に伝播する超音波の伝播速度と、上流方向に伝播する超音波の伝播速度と、から該超音波伝導体48中の超音波の伝播速度を算出する。
【0080】
さらに、算出された該超音波伝導体48中の超音波の伝播速度と、第1の関係登録部68に登録された関係と、から該超音波伝導体48の温度を算出することで該超音波伝導体48に接する該液体の温度を導出する。また、
図6に示す計測器42は、
図3に示す計測器42と同様に、該管路38に流れる液体の流速と、流量と、を算出できる。
【0081】
さらに、管路38を流れる液体中を下流方向に伝播する超音波の伝播速度と、上流方向に伝播する超音波の伝播速度と、から静止する該液体中を伝播する超音波の伝播速度を算出できる。そして、静止する該液体中を伝播する超音波の伝播速度(伝播時間)と、該液体の温度と、第2の関係登録部70に登録された関係と、から該液体中に溶解又は分散された該物質の濃度を算出できる。
【0082】
以上に説明した通り、本実施形態に係る計測器によると、管路に流れる液体の温度、濃度、流速、流量が算出される。すなわち、本発明の一態様によると、管路に配設される超音波流量計と、温度計と、の機能を兼ね備えた計測器が提供される。該管路を備えた加工装置では、該管路に超音波流量計に加えて温度計を配設するのが容易でない場合があるが、本発明の一態様に係る計測器は超音波流量計に代えて管路に配設できるため、該計測器は加工装置内の限られた空間内に容易に配設できる。
【0083】
なお、本発明は、上記の実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。本発明の一態様は、加工装置に備えられた液体が流れる管路に配設される計測器であるが、該計測器を備える加工装置もまた本発明の一態様である。
【0084】
上記の実施形態では、研磨装置に備えられる管路に該計測器を配設する場合について説明したが、該計測器が配設される加工装置は研磨装置に限られない。例えば、被加工物を研削加工する研削装置や、被加工物を切削加工する切削装置にも被加工物や加工ユニットに供給される各種の液体が流れる管路が備えられる。そのため、該計測器は、研削装置や切削装置に備えられた管路にも配設できる。
【0085】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。