(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
同一波長の搬送波であり同一のクライアントデータで符号化変調され互いに搬送波位相が異なる複数の光信号を生成し、生成された前記複数の光信号を、前記複数の光信号にそれぞれ対応する複数の光送信器出力ポートによってそれぞれ出力する光送信器と、
前記複数の光送信器出力ポートにそれぞれ対応して接続された複数の第1入力ポートを備える一又は複数の第1方向性結合器と、
を有する光伝送システム。
同一波長の搬送波であり同一の第1クライアントデータで符号化変調され互いに搬送波位相が異なる複数の第1光信号を生成し、生成された前記複数の第1光信号を、前記複数の第1光信号にそれぞれ対応する複数の第1光送信器出力ポートによってそれぞれ出力する第1光送信器と、
前記第1クライアントデータとは異なる第2クライアントデータであって、同一波長の搬送波であり同一の前記第2クライアントデータで符号化変調され互いに搬送波位相が異なる複数の第2光信号を生成し、生成された複数の第2光信号を、前記複数の第2光信号にそれぞれ対応する複数の第2光送信器出力ポートによってそれぞれ出力する第2光送信器と、
前記複数の第1光送信器出力ポートのうち少なくとも2つにそれぞれ対応して接続された複数の第1入力ポートと、複数の第1出力ポートと、を備える第1方向性結合器と、
前記複数の第2光送信器出力ポートのうち少なくとも2つにそれぞれ対応して接続された複数の第2入力ポートと、複数の第2出力ポートと、を備える第2方向性結合器と、
前記複数の第1出力ポートの1つである第1の第1出力ポートと、前記複数の第2出力ポートの1つである第1の第2出力ポートと、それぞれ対応して接続された複数の第3入力ポートを備える第3方向性結合器と、
前記第1の第1出力ポートとは異なる前記第1出力ポートであって前記複数の第1出力ポートの1つである少なくとも1つの第2の第1出力ポートと、前記第1の第2出力ポートとは異なる前記第2出力ポートであって前記第2出力ポートの1つである少なくとも1つの第2の第2出力ポートと、それぞれ対応して接続された複数の第4入力ポートを備える第4方向性結合器と、
を有する光伝送システム。
同一波長の搬送波であり同一のクライアントデータで符号化変調され互いに搬送波位相が異なる4つ以上の光信号を生成し、生成された前記4つ以上の光信号を、前記4つ以上の光信号にそれぞれ対応する複数の光送信器出力ポートによってそれぞれ出力する光送信器と、
前記複数の光送信器出力ポートのうち2つ以上の光送信器出力ポートである複数の第1光送信器出力ポートにそれぞれ対応して接続された複数の第1入力ポートと、複数の第1出力ポートと、を備える一又は複数の第1方向性結合器と、
前記第1光送信器出力ポートとは異なる前記光送信器出力ポートであって、前記複数の光送信器出力ポートのうち2つ以上の光送信器出力ポートである複数の第2光送信器出力ポートにそれぞれ対応して接続された複数の第2入力ポートと、複数の第2出力ポートと、を備える一又は複数の第2方向性結合器と、
前記複数の第1出力ポートの1つに接続された第3入力ポートと、第3出力ポートと、を備える第3方向性結合器と、
前記複数の第2出力ポートの1つに接続された第4入力ポートと、第4出力ポートと、を備える第4方向性結合器と、
前記第3出力ポートと、前記第4出力ポートと、にそれぞれ対応して接続された複数の第5入力ポートを備える第5方向性結合器と、
を有する光伝送システム。
同一波長の搬送波であり同一のクライアントデータで符号化変調され互いに搬送波位相が異なる複数の光信号を生成し、生成された前記複数の光信号を、前記複数の光信号にそれぞれ対応する複数の光送信器出力ポートによってそれぞれ出力する光送信器
を有し、
前記複数の光送信器出力ポートからそれぞれ出力された前記光信号を取得する方向性結合器が多階層に接続され、
前記多階層の階層数をNとした場合、前記光送信器によって生成される複数の光信号の数が2N以上である
光伝送システム。
前記複数の光信号のそれぞれに対して、前記複数の光信号と同一波長の搬送波であり少なくとも1つ以上の他のクライアントデータで符号化変調され互いに搬送波位相が異なる複数の光信号を重ね合わせた複数の光信号をそれぞれ生成する
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の光伝送システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に説明する本発明の各実施形態に係る光伝送システムでは、波長選択性デバイスは用いられず、波長ごとの分波は行われない。光伝送システムを構成する光送信器や光受信器等にはそれぞれ複数のファイバが接続されており、空間結合によって方路制御が行われる。
【0019】
具体的には、光伝送システムは、光送信器と光結合部(以下、「方向性結合器」という。)を含んで構成される。光送信器は、波長ごとにそれぞれ波形を生成する波形生成機能を有する。また、光送信器は、各光ファイバへ出力する光信号の搬送波の位相(以下、「搬送波位相」という。)を制御する。方向性結合器は、光送信器から出力された光信号を取得すると、上記の搬送波位相に基づいて光信号の方路を選択する。
【0020】
このように、以下に説明する本発明の各実施形態に係る光伝送システムでは、波長ごとに分波されることがないため、光信号の通過帯域が制限されることがない。また、本発明の実施形態に係る光伝送システムでは、デジタル信号処理を利用することによって、同一波長信号において異なる方路へ出力される複数の光信号を、一括して生成することができる。これにより、方路選択に用いられる波長粒度を、例えばGHz(ギガヘルツ)単位での細かい粒度に設定することが可能になる。
【0021】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光伝送システム1の構成を示すブロック図である。図示するように、光伝送システム1は、地点Aに設置された光送信器110と、方向性結合器210(第1方向性結合器)と、地点Cに設置された光受信器310と、地点Dに設置された光受信器311と、を含んで構成される。
【0022】
図1に示す光伝送システム1は、2方路入力及び2方路出力の方向性結合器210を含んで構成される光伝送システムの一例を示したものである。図示するように、方向性結合器210は、2つの入力ポート(入力ポートA0及び入力ポートA1)と、2つの出力ポート(出力ポートAT0及び出力ポートAT1)と、を備える。
【0023】
光送信器110は、同一波長の搬送波であって、同一のクライアントデータ(送信データ)が符号化変調された、互いに搬送波位相が異なる2つの光信号を生成する。
【0024】
具体的には、光送信器110は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP;Digital Signal Processor)(図示せず)によるデジタル信号処理によって、所望の信号を生成するためのデジタル信号(デジタル時間波形)を生成する。光送信器110は、生成したデジタル信号を、例えばデジタル−アナログ変換器(DAC;Digital to Analog Converter)(図示せず)によってアナログ電気信号に変換する。
【0025】
ここで、光送信器110は、同相成分と直交成分の2つのデジタル信号を生成する。そして、光送信器110は、生成した2つのデジタル信号を、2つのアナログ電気信号にそれぞれ変換する。これにより、光送信器110は、ベースバンド信号の位相を制御することができる。
【0026】
光送信器110は、変換したアナログ電気信号を、光変調器(図示せず)によって光信号に変換する。光送信器110は、生成した2つの光信号をそれぞれ異なる2つの出力ポート(光送信器出力ポート)からそれぞれ出力する。出力された2つの光信号は、2つの出力ポートにそれぞれ対応する、方向性結合器210の2つの入力ポート(入力ポートA0及び入力ポートA1)(第1入力ポート)へそれぞれ入力される。
【0027】
このように、光送信器110は、方向性結合器210の入力ポートA0に接続された光ファイバへ出力する光信号の搬送波位相と、方向性結合器210の入力ポートA1に接続された光ファイバへ出力する光信号の搬送波位相との間の相対位相差を、デジタル信号処理によって所望の相対位相差となるように制御する。
【0028】
なお、光ファイバがシングルモードファイバであっても、2つの異なる偏波それぞれに信号を載せることが可能であるため、光送信器110は、偏波多重して光信号を送信することができる。この場合、光送信器110は、X偏波及びY偏波について、I成分及びQ成分のデジタル信号をそれぞれ生成し、生成した合計4つのデジタル信号をそれぞれアナログ電気信号に変換して、偏波多重光信号を生成する。この場合であっても、光送信器110は、X偏波及びY偏波の双方のI成分及びQ成分をデジタル制御することによって、ベースバンド信号の位相を制御することができる。これにより、光送信器110は、光信号の搬送波位相を制御することができる。
【0029】
方向性結合器210の入力ポートA0及び入力ポートA1には、地点A(光送信器110)から到来する2本の光ファイバがそれぞれ接続される。また、方向性結合器210の出力ポートAT0には、地点Cへ向かう光ファイバが接続され、方向性結合器210の出力ポートAT1には、地点Dへ向かう光ファイバが接続される。
【0030】
方向性結合器210は、入力ポートA0及び入力ポートA1にそれぞれ入力された搬送波について、互いの搬送波位相の相対位相差が0度の場合には出力ポートAT0へ光信号を出力し、互いの搬送波位相の相対位相差が180度の場合には出力ポートAT1へ光信号を出力する。
【0031】
なお、出力先の判定に用いられるこれらの相対位相差(上記の例においては、0度と180度)の値は任意であり、その他の相対位相差(例えば、90度と270度)であっても構わない。
【0032】
図1に示すように、光受信器310は入力ポートC0を備え、光受信器311は入力ポートD0を備える。図示するように、方向性結合器210の出力ポートAT0から出力された光信号は、光ファイバを介して出力ポートAT0に対応する光受信器310の入力ポートC0に入力される。また、方向性結合器210の出力ポートAT1から出力された光信号は、光ファイバを介して出力ポートAT1に対応する光受信器311の入力ポートD0に入力される。そして、光受信器310及び光受信器311において、それぞれ受信処理がなされる。
【0033】
以上説明したように、第1の実施形態に係る光伝送システム1では、方向性結合器210の入力ポートA0に入力される光信号と、方向性結合器210の入力ポートA1に入力される光信号との相対位相差に基づいて、方向性結合器210において光信号が出力される出力ポートが選択される。
【0034】
すなわち、上述した例においては、方向性結合器210に入力された2つの光信号のそれぞれの搬送波位相の相対位相差が0度である場合には、出力ポートAT0から光信号が出力され、出力ポートAT1からは光信号は出力されない。また、逆に、方向性結合器210に入力された2つの光信号のそれぞれの搬送波位相の相対位相差が180度である場合、出力ポートAT1から光信号が出力され、出力ポートAT0からは光信号は出力されない。
【0035】
このように、第1の実施形態に係る光伝送システム1では、光送信器110が、方向性結合器210の入力ポートA0に入力する光信号の搬送波位相と、方向性結合器210の入力ポートA1に入力する光信号の搬送波位相との相対位相差を制御する。これにより、光送信器110は、方向性結合器210において光信号が出力される出力ポート(出力ポートAT0又は出力ポートAT1)を制御することができ、光信号が伝達される方路(地点Cへの伝達又は地点Dへの伝達)を制御することができる。
【0036】
なお、上述したように、光送信器110は、方向性結合器210の入力ポートA0へ接続される光ファイバに入力する光信号、及び、方向性結合器210の入力ポートA1へ接続される光ファイバに入力する光信号を、それぞれDSP、DAC及び光変調器を用いて生成し、搬送波位相を制御することができるが、この方法に限られるものではない。例えば、光送信器110は、クライアント信号から光信号を1つ生成し、その搬送波位相を、従属する位相変調器(図示せず)を用いて制御する構成であってもよい。
【0037】
なお、電気光学効果(EO効果;Electro-Optic effect)を利用する位相変調器(図示せず)が用いられる場合には、光送信器110は、その位相変調に印可する電気信号として、制御位相情報を載せることによって光信号の搬送波位相を制御することができる。
また、音響光学効果(AO効果;Acousto-Optic Effect)を利用する位相変調器(すなわち、音響光学変調器(AOM;Acousto-Optic Modulator))(図示せず)が用いられる場合には、光送信器110は、そのAOMに入力する正弦波電気信号に対して所望の位相変調をかけることによって、結果として光信号の搬送波位相を制御することができる。
【0038】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る光伝送システム2の構成を示すブロック図である。図示するように、光伝送システム2は、地点Aに設置された光送信器120(第1光送信器)と、地点Bに設置された光送信器121(第2光送信器)と、方向性結合器220(第1方向性結合器)と、方向性結合器221(第2方向性結合器)と、方向性結合器222(第3方向性結合器)と、方向性結合器223(第4方向性結合器)と、地点Cに設置された光受信器320と、地点Dに設置された光受信器321と、を含んで構成される。
【0039】
図2に示す光伝送システム2は、2つの地点(A地点及びB地点)からそれぞれ送信される光信号(第1光信号及び第2光信号)を、方向性結合器220、方向性結合器221、方向性結合器222及び方向性結合器223によって方路選択することによって、2つの地点(C地点及びD地点)のいずれかへ伝達する光伝送システムの一例を示したものである。
【0040】
図2に示すように、方向性結合器220の入力ポートA0(第1入力ポート)及び入力ポートA1(第1入力ポート)には、地点Aに設置された光送信器120の2つの出力ポート(第1光送信器出力ポート)と接続する2本の光ファイバが、それぞれ接続される。また、方向性結合器220の出力ポートAT0(第1の第1出力ポート)には、地点Cへ向かう光ファイバが接続され、方向性結合器220の出力ポートAT1(第2の第1出力ポート)には、地点Dへ向かう光ファイバが接続される。
【0041】
また、
図2に示すように、方向性結合器221の入力ポートB0(第1入力ポート)及び入力ポートB1(第1入力ポート)には、地点Bに設置された光送信器121の2つの出力ポート(第2光送信器出力ポート)と接続する2本の光ファイバが、それぞれ接続される。また、方向性結合器221の出力ポートBT0(第1の第2出力ポート)には、地点Cへ向かう光ファイバが接続され、方向性結合器221の出力ポートBT1(第2の第2出力ポート)には、地点Dへ向かう光ファイバが接続される。
【0042】
第2の実施形態に係る光伝送システム2では、光送信器120は、同一波長の搬送波であって、同一のクライアントデータ(第1クライアントデータ)が符号化変調された、互いに搬送波位相が異なる2つの光信号(第1光信号)を生成する。光送信器120は、方向性結合器220の入力ポートA0へ接続された光ファイバに入力する光信号(第1光信号)の搬送波位相と、方向性結合器220の入力ポートA1へ接続された光ファイバに入力する光信号(第1光信号)の搬送波位相との、相対位相差を制御する。なお、この相対位相差の制御は、第1の実施形態と同様に、DSPによるデジタル信号処理によって実現することができる。なお、上述したように、この相対位相差の制御は、位相変調器によって制御することもできる。
【0043】
方向性結合器220の入力ポートA0に入力された光信号の搬送波位相と、方向性結合器220の入力ポートA1に入力された光信号の搬送波位相との、相対位相差が0度の場合、方向性結合器220の出力ポートAT0から光信号が出力され、方向性結合器220の出力ポートAT1からは光信号が出力されない。また、逆に、方向性結合器220の入力ポートA0に入力された光信号の搬送波位相と、方向性結合器220の入力ポートA1に入力された光信号の搬送波位相との、相対位相差が180度の場合、方向性結合器220の出力ポートAT1から光信号が出力され、方向性結合器220の出力ポートAT0からは光信号が出力されない。
【0044】
方向性結合器220の出力ポートAT0から光信号が出力された場合、出力された光信号は出力ポートAT0に対応する方向性結合器222の入力ポートCN0(第2入力ポート)に入力される。方向性結合器222は、入力ポートCN0(第3入力ポート)に入力された光信号に基づく電力を、方向性結合器222の出力ポートCT0(第3出力ポート)及び方向性結合器222の出力ポートCT1(第3出力ポート)に分配して出力する。
【0045】
また、方向性結合器220の出力ポートAT1から光信号が出力された場合、出力された光信号は出力ポートAT1に対応する方向性結合器223の入力ポートDN0(第4入力ポート)に入力される。方向性結合器223は、入力ポートDN0に入力された光信号に基づく電力を、方向性結合器223の出力ポートDT0(第4出力ポート)及び方向性結合器223の出力ポートDT1(第4出力ポート)に分配して出力する。
【0046】
一方、第2の実施形態に係る光伝送システム2では、光送信器121は、同一波長の搬送波であって、同一のクライアントデータ(第2クライアントデータ)が符号化変調された、互いに搬送波位相が異なる2つの光信号(第2光信号)を生成する。光送信器121は、方向性結合器221の入力ポートB0へ接続された光ファイバに入力する光信号(第2光信号)の搬送波位相と、方向性結合器221の入力ポートB1へ接続された光ファイバに入力する光信号(第1光信号)の搬送波位相との、相対位相差を制御する。なお、この相対位相差の制御は、第1の実施形態と同様に、DSPによるデジタル信号処理によって実現することができる。なお、上述したように、この相対位相差の制御は、位相変調器によって制御することもできる。
【0047】
方向性結合器221の入力ポートB0に入力された光信号の搬送波位相と、方向性結合器221の入力ポートB1に入力された光信号の搬送波位相との、相対位相差が0度の場合、方向性結合器221の出力ポートBT0から光信号が出力され、方向性結合器221の出力ポートBT1からは光信号が出力されない。また、逆に、方向性結合器221の入力ポートB0に入力された光信号の搬送波位相と、方向性結合器221の入力ポートB1に入力された光信号の搬送波位相との、相対位相差が180度の場合、方向性結合器221の出力ポートBT1から光信号が出力され、方向性結合器221の出力ポートBT0からは光信号が出力されない。
【0048】
方向性結合器221の出力ポートBT0から光信号が出力された場合、出力された光信号は出力ポートBT0に対応する方向性結合器222の入力ポートCN1に入力される。方向性結合器222は、入力ポートCN1に入力された光信号に基づく電力を、方向性結合器222の出力ポートCT0及び方向性結合器222の出力ポートCT1に分配して出力する。
【0049】
また、方向性結合器221の出力ポートBT1から光信号が出力された場合、出力された光信号は出力ポートBT1に対応する方向性結合器223の入力ポートDN1に入力される。方向性結合器223は、入力ポートDN1に入力された光信号に基づく電力を、方向性結合器223の出力ポートDT0及び方向性結合器223の出力ポートDT1に分配して出力する。
【0050】
以下、地点Aに設置された光送信器120が、方向性結合器220の入力ポートA0に入力する光信号の搬送波位相と、方向性結合器220の入力ポートA1に入力する光信号の搬送波位相との、相対位相差を0度に制御し、かつ、地点Bに設置された光送信器121が、方向性結合器221の入力ポートB0に入力する光信号の搬送波位相と、方向性結合器221の入力ポートB1に入力する光信号の搬送波位相との、相対位相差を180度に制御した場合について説明する。この場合、方向性結合器220は、出力ポートAT0から光信号を出力する。また、この場合、方向性結合器221は、出力ポートBT1から光信号を出力する。
【0051】
方向性結合器220の出力ポートAT0から出力された光信号は、出力ポートAT0に対応する方向性結合器222の入力ポートCN0に入力される。方向性結合器222は、入力ポートCN0に入力された光信号を、出力ポートCT0及び出力ポートCT1に分配して、地点Cに設置された光受信器320の入力ポートC0及び入力ポートC1へ向けてそれぞれ出力する。
【0052】
出力ポートCT0及び出力ポートCT1からそれぞれ送信された光信号は、それぞれ光受信器320の入力ポートC0及び入力ポートC1にそれぞれ入力される。光受信器320は、入力ポートC0及び入力ポートC1へそれぞれ入力された光信号を合成して復号する。このように、方向性結合器222によって分配された光信号が光受信器320によって再び合成されることで、伝送路において付加される雑音が低減されるため、光受信器320において正常な受信がされやすくなる。
【0053】
一方、方向性結合器221の出力ポートBT1から出力された光信号は、出力ポートBT1に対応する方向性結合器223の入力ポートDN1に入力される。方向性結合器223は、入力ポートDN1に入力された光信号を、出力ポートDT0及び出力ポートDT1に分配して、地点Dに設置された光受信器321の入力ポートD0及び入力ポートD1へ向けてそれぞれ出力する。
【0054】
出力ポートDT0及び出力ポートDT1からそれぞれ送信された光信号は、それぞれ光受信器321の入力ポートD0及び入力ポートD1にそれぞれ入力される。光受信器321は、入力ポートD0及び入力ポートD1へそれぞれ入力された光信号を合成して復号する。このように、方向性結合器223によって分配された光信号が光受信器321によって再び合成されることで、伝送路において付加される雑音が低減されるため、光受信器321において正常な受信がされやすくなる。
【0055】
以下、地点Aに設置された光送信器120が、方向性結合器220の入力ポートA0に入力する光信号の搬送波位相と、方向性結合器220の入力ポートA1に入力する光信号の搬送波位相との、相対位相差を0度に制御し、かつ、地点Bに設置された光送信器121が、方向性結合器221の入力ポートB0に入力する光信号の搬送波位相と、方向性結合器221の入力ポートB1に入力する光信号の搬送波位相との、相対位相差を0度に制御した場合について説明する。この場合、方向性結合器220は、出力ポートAT0から光信号を出力する。また、この場合、方向性結合器220は、出力ポートBT0から光信号を出力する。
【0056】
方向性結合器220の出力ポートAT0から出力された光信号は、出力ポートAT0に対応する方向性結合器222の入力ポートCN0に入力される。方向性結合器222は、入力ポートCN0に入力された光信号を、出力ポートCT0及び出力ポートCT1に分配して、地点Cに設置された光受信器320の入力ポートC0及び入力ポートC1へ向けてそれぞれ出力する。
【0057】
一方、方向性結合器221の出力ポートBT0から出力された光信号は、出力ポートBT0に対応する方向性結合器222の入力ポートCN1に入力される。方向性結合器222は、入力ポートCN1に入力された光信号を、出力ポートCT0及び出力ポートCT1に分配して、地点Cに設置された光受信器320の入力ポートC0及び入力ポートC1へ向けてそれぞれ出力する。
【0058】
すなわち、A地点に設置された光送信器120から送信された光信号と、B地点に設置された光送信器121から送信された光信号とが、ともにC地点に設置された光受信器320によって受信される。この場合、方向性結合器222によって、A地点に設置された光送信器120から送信された光信号と、B地点に設置された光送信器121から送信された光信号とが、重ね合わせられることになる。
【0059】
この場合であっても、光受信器320は、入力ポートCT0及び入力ポートCT1にそれぞれ入力される双方の光信号を受信する限り、2つの光信号を分離して受信することができる。ここで、方向性結合器222の出力ポートCT0からは、入力ポートCN0に入力された光信号及び入力ポートCN1に入力された光信号の90度位相回転された光信号が出力される。また、方向性結合器222の出力ポートCT1からは、入力ポートCN0に入力された光信号及び入力ポートCN1に入力された光信号の−90度位相回転された光信号が出力される。すなわち、CT0=CN0+i*CN1、及び、CT1=―i*CN0+CN1となる。
【0060】
したがって、光受信器320は、方向性結合器222の出力ポートCT0から出力された光信号及び方向性結合器222の出力ポートCT1から出力された光信号をコヒーレント受信して、アナログ−デジタル変換器(ADC;Analog to Digital Converter)(図示せず)によってデジタル信号に変換する。さらに、光受信器320は、DSPによるデジタル信号処理によって逆行列を適用することで、方向性結合器222の入力ポートCN0に入力された光信号と、方向性結合器222の入力ポートCN1に入力された光信号とを分離することができる。
なお、実際には、伝送路における歪み等も補償して復調されることが好ましい。
【0061】
なお、上述した第2の実施形態に係る光伝送システム2の構成によれば、例えば、方向性結合器220の入力ポートA0に入力された光信号の搬送波位相と、方向性結合器220の入力ポートA1に入力された光信号の搬送波位相との、相対位相差が0度の場合には、方向性結合器220の出力ポートAT0から光信号が出力される。このとき、方向性結合器222は、方向性結合器220の出力ポートAT0から出力された光信号に基づく電力を半分に低減して、出力ポートCT0及び出力ポートCT1からそれぞれ出力する。そして、光受信器320は、方向性結合器220の出力ポートCT0及び出力ポートCT1からそれぞれ出力された光信号が入力されると、入力された信号を合成して復号する。
【0062】
上記の構成により、上述した第2の実施形態に係る光伝送システム2の構成によれば、同じ信号雑音比(SNR;Signal-Noise Ratio)を得るために必要な光ファイバ伝送路への入力信号電力を、低減させる効果を得ることができる。また、上述した第2の実施形態に係る光伝送システム2の構成によれば、複数の光ファイバが用いられることによって光電力を低下させることができ、非線形効果による波形歪みを回避させる効果を得ることができる。
【0063】
なお、第2の実施形態では、光受信器320が、入力ポートC0に入力される光信号及び入力ポートC1に入力される光信号の双方を受信するダイバーシティ受信を一例として説明したが、入力ポートC0に入力される光信号及び入力ポートC1に入力される光信号のどちらか一方のみを受信する構成であってもよい。但し、この場合には、光受信器320は、方向性結合器222の入力ポートCN0に入力される光信号と、方向性結合器222の入力ポートCN1に入力される光信号とを、分離することはできない。
【0064】
なお、方向性結合器の製造誤差等によって、クロストークが発生する場合が想定される。しかしながら、このような製造誤差等によって発生するクロストークは、光送信器において干渉が正常になるように前置補償して送信が行われることによって、抑制することができる。
【0065】
なお、光ファイバ伝送路では、光位相の長さにおいて時間変動が発生することがある。これに対しては、地点Aに設置された光送信器120が使用する既知パターンを全ノード(各方向性結合器)の間で共有し、その漏れ量を検出することにより、位相制御量の最適値からの誤差を算出して、光送信器120における相対位相差の制御に対してフィードバックを行う方法が考えられる。また、全ノードパイロットを送信して、漏れ量を検出し、送信地点のノード(光送信器120)に対して検出値をフィードバックする方法も考えられる。この場合、パイロット光を用いて、変動を打ち消すように光送信器120を制御することが重要になる。
【0066】
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る光伝送システム3の構成を示すブロック図である。図示するように、光伝送システム3は、上述した第2の実施形態に係る光伝送システム2と同様に、地点Aに設置された光送信器120と、地点Bに設置された光送信器121と、方向性結合器220と、方向性結合器221と、方向性結合器222と、方向性結合器223と、地点Cに設置された光受信器320と、地点Dに設置された光受信器321と、を含んで構成される。
【0067】
第3の実施形態に係る光伝送システム3では、地点Aに設置された光送信器130が、送信データとして、2つのクライアント信号(クライアント信号0及びクライアント信号1)を送信する。この場合、クライアント信号0に相当する光信号に対して、方向性結合器230の入力ポートA0に入力する光信号の搬送波位相と方向性結合器230の入力ポートA1に入力する光信号の搬送波位相との相対位相差を0度とする場合、クライアント信号1に相当する光信号に対しては、方向性結合器230の入力ポートA0に入力する光信号の搬送波位相と方向性結合器230の入力ポートA0に入力する光信号の搬送波位相との相対位相差を180度とする。
【0068】
クライアント信号0は、方向性結合器230の出力ポートAT0から出力された後、方向性結合器232を介して、地点Cに設置された光受信器330の入力ポートC0及び入力ポートC1に入力される。一方、クライアント信号1は、方向性結合器230の出力ポートAT1から出力された後、方向性結合器233を介して、地点Dに設置された光受信器331の入力ポートD0及び入力ポートD1に入力される。なお、このとき、地点Bに設置された光送信器131から送信される光信号についても同様にして、同時に伝送することも可能である。
【0069】
<第4の実施形態>
以下、本発明の第4の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る光伝送システム4の構成を示すブロック図である。図示するように、光伝送システム4は、地点Aに設置された光送信器140と、地点Bに設置された光送信器141と、16個の方向性結合器(方向性結合器240〜方向性結合器255)と、地点Eに設置された光受信器340と、地点Fに設置された光受信器341と、を含んで構成される。
【0070】
上述した第1の実施形態〜第3の実施形態に係る光伝送システムは、1つの光送信器が1つの方向性結合器に対して光信号を送信する1段構成の光伝送システムであるが、1つの光送信器が複数の方向性結合器に対して光信号を送信する多段構成の(多階層の)光伝送システムであってもよい。
図4に示す光伝送システム4は、1つの光送信器が2つの方向性結合器に対して光信号を送信する2段構成の光伝送システムの構成の一例である。
【0071】
図4に示すように、光伝送システム4において、1段目のノード群と2段目のノード群とは同一の構成である。
【0072】
なお、ここでいう1段目のノード群とは、光送信器140と、光送信器141と、方向性結合器240(第1方向性結合器)と、方向性結合器242(第3方向性結合器)と、方向性結合器244(第5方向性結合器)と、方向性結合器246(第6方向性結合器)と、方向性結合器248と、方向性結合器250と、方向性結合器252と、方向性結合器254と、光受信器340と、光受信器341と、が含まれるノード群である。
【0073】
一方、ここでいう2段目のノード群とは、光送信器140と、光送信器141と、方向性結合器241(第2方向性結合器)と、方向性結合器243(第4方向性結合器)と、方向性結合器245(第5方向性結合器)と、方向性結合器247(第6方向性結合器)と、方向性結合器249と、方向性結合器251と、方向性結合器253と、方向性結合器255と、光受信器340と、光受信器341と、が含まれるノード群である。
【0074】
但し、
図4に示すように、中間地点である地点Cにおいて、入力ポートC1と入力ポートC2との間の光信号の入れ替えが行われる。また、
図4に示すように、中間地点である地点Dにおいて、入力ポートD1と入力ポートD2との間の光信号の入れ替えが行われる。これにより、1段目のノード群では、方向性結合器240の入力ポートA0(第1入力ポート)に入力される光信号の搬送波位相と方向性結合器240の入力ポートA1(第1入力ポート)に入力される光信号搬送波位相との相対位相差を、及び、方向性結合器241の入力ポートA2(第2入力ポート)に入力される光信号の搬送波位相と方向性結合器241の入力ポートA3(第2入力ポート)に入力される光信号の搬送波位相との間の相対位相差を、それぞれ制御することによって、出力先の方路を地点Cへ向けた方路とするのか、あるいは、地点Dへ向けた方路とするのかを制御することができる。
【0075】
さらに、入力ポートC1と入力ポートC2との間の光信号の入れ替えを行うことによって、方向性結合器250の入力ポートC0(第5入力ポート)に入力される光信号の搬送波位相と方向性結合器250の入力ポートC2(第5入力ポート)に入力される光信号の搬送波位相との相対位相差、及び、方向性結合器251の入力ポートC1(第5入力ポート)に入力される光信号の搬送波位相と方向性結合器251の入力ポートC3(第5入力ポート)に入力される光信号の搬送波位相との間の相対位相差を、それぞれ制御することができる。これにより、出力先の方路を地点Eへ向けた方路とするのか、あるいは、地点Fへ向けた方路とするのかを制御することができる。
【0076】
すなわち、方向性結合器240の入力ポートA0に入力される光信号の搬送波位相と方向性結合器240の入力ポートA1に入力される光信号の搬送波位相との相対位相差、及び、方向性結合器241の入力ポートA2に入力される光信号の搬送波位相と方向性結合器241の入力ポートA3に入力される光信号の搬送波位相との相対位相差をそれぞれ制御することができれば、方路Aあるいは方路Bから入力された光信号を伝送する方路(方路E又は方路F)の選択が可能となる。
【0077】
但し、送信地点、光伝送システム間の複数の光ファイバの距離(すなわち、光路長)が正確に一致している場合、方向性結合器240の入力ポートA0に入力される光信号の搬送波位相と方向性結合器240の入力ポートA1に入力される光信号の搬送波位相との相対位相差を0度とし、方向性結合器241の入力ポートA2に入力される光信号の搬送波位相と方向性結合器241の入力ポートA3に入力される光信号の搬送波位相との相対位相差も0度とし、かつ、方向性結合器240の入力ポートA0に入力される光信号の搬送波位相と方向性結合器241の入力ポートA2に入力される光信号の搬送波位相との相対位相差を180度とした場合には、方向性結合器240の入力ポートA1に入力される光信号の搬送波位相と方向性結合器240の入力ポートA3に入力される光信号の搬送波位相との相対位相差も180度となる。これにより、光送信器140は、地点Fに設置された光受信器341へ向けて光信号を伝達させることができる。
【0078】
さらに、上記と同様の原理にて、3段構成の光伝送システムにおいて方路を制御する場合には、送信地点(光送信器)において光信号を出力する光ファイバ数を2
3本(すなわち、8本)とすることによって実現可能である。したがって、N(Nは1以上の整数)段構成の(階層数がNの)光伝送システムにおいて方路を制御する場合には、送信地点(光送信器)において光信号を出力する光ファイバ数を2
N本とすることによって実現可能である。
【0079】
このように、多段構成の光伝送システムでは、光送信器は同一波長の搬送波であり同一のクライアントデータで符号化変調され互いに搬送波位相が異なる4つ以上の(2
N個の)光信号を生成し、生成された4つ以上の光信号を、4つ以上の(2
N個の)光信号にそれぞれ対応する複数の(4つ以上の(2
N個の))光送信器出力ポートによってそれぞれ出力する。
【0080】
なお、上述したように、光送信器に複数の光ファイバが接続されている場合、光送信器が、複数の異なる送信データで変調された変調信号を重ね合わせて送信して、変調信号を同一波長で複数の光ファイバによって伝搬し、重ね合わせられた複数の変調信号を光受信器によって分離する。このため、光送信器では、複数の光ファイバに入力される、同一波長に相当する信号を、まとめて1つのDSPによって生成することで伝送効率が効率化される場合がある。
【0081】
例えば、
図4に示す光伝送システム4の構成において、方向性結合器240の入力ポートA0、方向性結合器240の入力ポートA1、方向性結合器241の入力ポートA2、及び、方向性結合器241の入力ポートA3にそれぞれ入力される光信号として、最大4つの独立した異なる送信データで符号化された光信号を用いて、これらの光信号を重ね合わせて送信することが可能である。
【0082】
このとき、各光ファイバには、4つの符号化された光信号が重ね合わせられたものが送信される。このため、4つのクライアント信号を入力し、4つの光ファイバに入力される光信号を生成するための電気信号を1つのデジタル信号処理機能で実現し、それぞれ異なるアナログ波形を4セットのDACによって生成する。但し、それぞれの光ファイバに入力される光信号を生成するために、2偏波(X偏波及びY偏波)×2成分(I成分及びQ成分)の合計4つのDACが必要になる。さらに、4つの光ファイバの入力分を生成するため、合計16個のDACが必要になる。
【0083】
そのため、従来どおり、クライアントごとに光信号を生成し、生成した光信号を複数の光ファイバへの入力信号に分岐させて、その光信号の搬送波位相の相対位相差を、位相変調器を用いて制御することによって、光ファイバごとに複数のクライアント分の光信号を光領域で多重して送信することも可能である。
【0084】
なお、上記の方法では、複数の光ファイバに入力される、互いに干渉しあう光信号が1つの光源から分岐して生成されるため、改めて光信号の搬送波位相を同期させる必要はない。但し、各光ファイバに入力される信号間で、異なる搬送波位相の制御が必要となるため、個別に位相変調することができる構成が必要である。
【0085】
なお、位相変調の制御には、数Hzから数MHz程度の比較的低速なDAC、及び位相変調器があれば十分である。そこでは、例えば、変調効率が良く、損失が少なく、且つ偏波依存性が小さい、という特徴を有するAOMを利用することができる。また、広帯域な信号変調とは異なり、低速な周波数帯域があれば良いため、相互作用長が長いEO変調器を利用することで、変調器とDACとの間に配置する電気増幅器として極めて低利得なものを利用することができる。また、磁気光学効果を利用する方法も考えられる。
【0086】
なお、光送信器の構成としては、光信号の位相コヒーレンスが重要となる。そのため、1つのレーザから出力される光を分岐させて、複数の光ファイバに入力される光信号の光源として利用する方法がある。近年、光集積化が進んでおり、光半導体増幅器、もしくは希土類添加光ファイバ増幅器等を利用して、分岐による光強度減衰を補うことも可能である。
【0087】
また、光送信器で用いるレーザとして、1つのマスターレーザの光を分岐して、複数の光ファイバに入力される送信信号光の光源となるレーザに対して注入して、マスターレーザの位相に同期する注入同期方法を利用することも可能である。また、更に、複数の光ファイバに入力される光信号の光源レーザに対して、2つのレーザをミキシングしてコヒーレント検波することで、互いの相対位相を測定することができる。この相対位相をADCに入力して、デジタルサンプリングして、その値を利用して、主信号の位相をデジタル的に制御する方法もある。
【0088】
なお、ここで提案する方路選択の構成及び方法は、波長に対して独立に動作するため、波長多重伝送に適用することが可能である。
【0089】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る光伝送システムは、波長ではなく搬送波位相が異なる複数の光信号を用いることを特徴とする。具体的には、同一波長であって同一クライアントデータで符号化され、互いの搬送波位相を制御可能とする複数の光信号を生成する光送信器と、生成された光信号が異なる入力ポートに接続された少なくとも1つの方向性結合器とを有することを特徴とする。
【0090】
上記の構成により、本発明の実施形態に係る光伝送システムによれば、光信号間の位相によって方向性結合器の出力ポートをコントロールすることが可能になるため、帯域の制約及び波長依存性の制約を受けることなく方路制御を実現することができる。
【0091】
上述した実施形態における光送信器、方向性結合器及び光受信器の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0092】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。