(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交差する分割予定ラインによって区画された配線基板上の複数領域に複数の半導体チップがマウントされて封止剤により封止された半導体パッケージ基板を該分割予定ラインに沿って分割された半導体パッケージを製造する半導体パッケージの製造方法であって、
該半導体パッケージ基板の該配線基板側を粘着層を有する支持部材上に貼着する貼着工程と、
該貼着工程を実施した後に、該封止剤側から該分割予定ラインに沿って加工工具で少なくとも該封止剤の途中まで切り込み、該封止剤の少なくとも上面が第1の幅である溝を形成する溝形成工程と、
該溝形成工程を実施した後に、該封止剤側から該第1の幅よりも細い第2の幅の切削ブレードを使用して該溝に沿って該支持部材の途中まで切り込み、隣接する該半導体パッケージ間が所定間隔Xmm離間するように分割する分割工程と、
該分割工程を実施した後に、該封止剤側上方から導電性材料で、該配線基板を含む該半導体パッケージの側面、該半導体パッケージ間の該溝底の該支持部材上面、及び該封止剤上面にシールド層を形成するシールド層形成工程と、
該シールド層形成工程を実施した後に、該シールド層が形成された半導体パッケージをピックアップするピックアップ工程と、を備え、
該第1の幅と該第2の幅は、分割後の各半導体パッケージの該封止剤上面から下面に向かう途中で、該封止剤上面よりも外形サイズが大きくなるように各側面に傾斜又は段差が生じる幅に設定され、
該半導体パッケージの該傾斜又該段差の下端から該支持部材に切り込んだ溝底までの側面長さをYmmとした際に、該シールド層形成時に該側面には形成されるが該半導体パッケージ間の該溝底に形成される量が低減するアスペクト比Y/Xになるように、該第1の幅、該第2の幅、該側面長さYmm及びシールド層形成条件が設定されること、を特徴とする半導体パッケージの製造方法。
交差する分割予定ラインによって区画された配線基板上の複数領域に複数の半導体チップがマウントされて封止剤により封止された半導体パッケージ基板を該分割予定ラインに沿って分割された半導体パッケージを製造する半導体パッケージの製造方法であって、
該半導体パッケージ基板を該分割予定ラインに沿って分割すると共に、各半導体パッケージの該封止剤上面から下面に向かう途中で、該封止剤上面よりも外形サイズが大きくなるように各側面に傾斜又は段差を形成する分割工程と、
該分割された個々の半導体パッケージの隣接する該半導体パッケージ同士を所定間隔Xmm離間させて整列して、該配線基板側を保持ジグに保持又は支持部材に貼着する半導体パッケージ整列工程と、
該封止剤側上方から導電性材料で、該半導体パッケージの側面及び該封止剤上面にシールド層を形成するシールド層形成工程と、
該シールド層形成工程を実施した後に、該シールド層が形成された半導体パッケージをピックアップするピックアップ工程と、を備え、
該半導体パッケージの該傾斜又は該段差の下端から該保持ジグ又は該支持部材までの側面長さをYmmとした際に、該シールド層形成時に該側面には形成されるが該半導体パッケージ間底面に形成される量が低減するアスペクト比Y/Xになるように、該傾斜又は該段差、該側面長さYmm、該所定間隔Xmm及びシールド層形成条件が設定されること、を特徴とする半導体パッケージの製造方法。
該半導体パッケージ整列工程では、該保持ジグ又は該支持部材の保持面を格子状の溝で区画した各領域に該半導体パッケージが載置され、隣接する該半導体パッケージ同士が該所定間隔Xmm離間して整列し、
該溝の溝幅が該半導体パッケージ同士の該所定間隔Xmmよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態の半導体パッケージの製造方法について説明する。
図1は、本実施の形態の半導体パッケージの断面模式図である。
図2は、比較例の半導体パッケージの製造方法の説明図である。なお、以下の実施の形態はあくまでも一例を示すものであり、各工程間に他の工程を備えてもよいし、工程の順序を適宜入れ換えてもよい。
【0013】
図1に示すように、半導体パッケージ10は、いわゆるEMI(Electro-Magnetic Interference)で遮断を要する全てのパッケージの半導体装置であり、外面のシールド層16によって周囲への電磁ノイズの漏洩を抑制するように構成されている。シールド層16の内側では、配線基板(インターポーザ基板)11の上面に実装された半導体チップ12が樹脂層(封止剤)13で封止され、配線基板11の下面にバンプ14が配設されている。配線基板11には、半導体チップ12に接続される電極やグランドライン17を含む各種配線が形成されている。
【0014】
半導体チップ12は、半導体基板上のデバイス毎に半導体ウエーハを個片化して形成され、配線基板11の所定の位置にマウントされている。また、パッケージ側面23にはパッケージ上面22から下方に向かって外側に広がるような斜面25が形成されており、この斜面25に対してスパッタ法等によって上方からシールド層16が形成されている。一般的な半導体パッケージの鉛直なパッケージ側面とは異なり、パッケージ側面23の斜面25がシールド層16の形成方向に対して斜めに交差しているため、斜面25にシールド層16が形成され易くなっている。
【0015】
ところで、
図2Aに示すように、比較例の半導体パッケージ100は、配線基板101上の半導体チップ102を樹脂層103で封止した半導体パッケージ基板105を、切削ブレード111を用いてフルカットすることで形成される。分割後の半導体パッケージ100には、テープ106に整列されてスパッタ等によって上方からシールド層107(
図2B参照)が形成される。この場合、パッケージ上面108に対してパッケージ側面109が直交しているため、パッケージ間隔を十分に空けなければ適度な厚みのシールド層107を形成することができない。よって、シールド層107の形成時間が長くなると共に、材料及び装置コストが高くなっていた。
【0016】
図2Bに示すように、シールド層107の形成後にテープ106から半導体パッケージ100をピックアップすると、パッケージ間の溝底110にもシールド層107が厚く堆積しているため、半導体パッケージ100と共にパッケージ間のシールド層107がテープ106から剥がされる。半導体パッケージ100のピックアップによってパッケージ間でシールド層107が引きちぎられ、パッケージ側面109の下側にバリ112が残存したり、パッケージ間でシールド層107が切断されなかったりする場合がある。このため、半導体パッケージ100の歩留りが低くなると共に、さらにバリ取り作業が必要になって多大な時間を要するという不具合が生じる。
【0017】
ここで、本件発明者らがシールド層の厚みとパッケージ間のアスペクト比(縦横比)との関係を調べたところ、バリが発生し易いパッケージ側面の下側ではシールド層の厚みがパッケージ間のアスペクト比の影響を強く受けることを発見した。そこで、本実施の形態では、パッケージ側面の上側では側面を傾斜させたり、パッケージ間隔を広げたりして適度な厚みのシールド層を形成し、パッケージ側面の下側ではパッケージ間隔を狭めて(アスペクト比を大きくして)シールド層の厚みを減少させている。パッケージ側面の下側でシールド層を薄くすることで、パッケージ下部のバリの発生を抑えることが可能になっている。
【0018】
以下、
図3及び
図4を参照して、第1の実施の形態の半導体パッケージの製造方法について説明する。
図3及び
図4は、第1の実施の形態の半導体パッケージの製造方法の説明図である。なお、
図3Aはマウント工程、
図3Bは基板作成工程、
図3Cは貼着工程、
図3Dは溝形成工程のそれぞれ一例を示す図である。また、
図4Aは分割工程、
図4B及び
図4Cはシールド層形成工程、
図4Dはピックアップ工程のそれぞれ一例を示す図である。
【0019】
図3Aに示すように、先ずマウント工程が実施される。マウント工程では、配線基板11の表面が交差する分割予定ラインで格子状に区画されており、区画された複数の領域に複数の半導体チップ12がマウントされる。配線基板11内にはグランドライン17等の配線が形成され、配線基板11の下面にはバンプ14が配設されている。この場合、半導体チップ12の上面の電極にワイヤ19の一端が接続され、配線基板11の表面の電極18にワイヤ19の他端が接続される。なお、ワイヤボンディングに限らず、半導体チップ12の下面の電極を配線基板11の表面の電極に直接接続するフリップチップボンディングが実施されてもよい。
【0020】
図3Bに示すように、マウント工程が実施された後に基板作成工程が実施される。基板作成工程では、複数の半導体チップ12がマウントされた配線基板11の表面側に封止剤24が供給され、各半導体チップ12が封止剤24で封止されて半導体パッケージ基板15(
図3C参照)が作成される。この場合、半導体チップ12が実装された配線基板11の下面が保持ジグ(不図示)に保持されており、配線基板11の上面を覆うように枠型32が配置されている。枠型32の上壁には注入口33が開口しており、注入口33の上方には封止剤24の供給ノズル34が位置付けられている。
【0021】
そして、供給ノズル34から注入口33を通じて配線基板11の上面に封止剤24が供給されて半導体チップ12が封止される。この状態で、封止剤24が加熱又は乾燥されることで硬化されて、配線基板11の上面に樹脂層13(
図3C参照)を形成した半導体パッケージ基板15が作成される。なお、封止剤24は、硬化性を有するものが用いられ、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、又はポリイミド樹脂等から選択することができる。また、封止剤24は液状に限らず、シート状、パウダー状の樹脂を使用することもできる。このようにして、配線基板11上の複数の半導体チップ12が一括で封止される。
【0022】
なお、基板作成工程後に半導体パッケージ基板15(樹脂層13(
図3C参照))の表面を研削によって平坦化してもよい。半導体パッケージ基板15を研削装置(不図示)にて研削することにより、半導体チップ12を被覆する樹脂層13を所望の厚みに調整することができる。このように、基板作成工程の後に平坦化工程が実施されてもよい。また、半導体パッケージ基板15が予め用意されている場合には、マウント工程、基板作成工程を省略してもよい。
【0023】
図3Cに示すように、基板作成工程が実施された後に粘着工程が実施される。粘着工程では、粘着層を有する支持部材としてリングフレーム(不図示)の中央の開口部を塞ぐように粘着テープ35が貼着されて、この粘着テープ35上に半導体パッケージ基板15の配線基板11側が貼着される。この場合、半導体パッケージ基板15のバンプ14が粘着テープ35の粘着層に入り込んで、粘着テープ35を介して半導体パッケージ基板15がリングフレームに良好に支持される。なお、粘着工程では、上面視円形状のリングフレームが使用されてもよいし、上面視四角形状のリングフレームが使用されてもよい。
【0024】
図3Dに示すように、粘着工程が実施された後に溝形成工程が実施される。溝形成工程では、半導体パッケージ基板15の配線基板11側が粘着テープ35を介してチャックテーブル(不図示)に保持される。先端がV字形状に形成されたVブレード28(加工工具)で樹脂層(封止剤)13側から配線基板11(半導体パッケージ基板15)の厚み方向途中まで切り込まれて、分割予定ラインに対応する領域に沿ってV溝29が形成される。Vブレード28は、ダイヤモンド砥粒等を結合剤で固めて、先端がV字形状の円板状に成形されており、スピンドル(不図示)の先端に装着されている。
【0025】
この場合、Vブレード28は、半導体パッケージ基板15の外側で分割予定ラインに位置合わせされ、半導体パッケージ基板15の外側で配線基板11の厚み方向途中までの深さまで降ろされる。そして、このVブレード28に対して半導体パッケージ基板15が水平方向に切削送りされ、分割予定ラインに沿って半導体パッケージ基板15がハーフカットされて、樹脂層13の少なくとも上面に第1の幅t1であるV溝29が形成される。このハーフカットが繰り返されることで、半導体パッケージ基板15の上面に分割予定ラインに沿って複数のV溝29が形成される。
【0026】
なお、本実施の形態では、Vブレード28の先端が尖ったV字形状に形成されたが、この構成に限定されない。Vブレード28の先端は、半導体パッケージ基板15に対してV溝29を形成可能な形状であればよい。例えば、
図13に示すように、切削ブレード99の先端が平坦なV字形状に形成されていてもよい。よって、切削ブレードの先端がV字形状とは、切削ブレードの先端まで尖った完全なV字形状に限らず、切削ブレードの先端が平坦な略V字形状を含む形状である。また、Vブレードの先端のV字面は直線的に傾斜している必要はなく、僅かに丸みを帯びていてもよい。
【0027】
図4Aに示すように、溝形成工程が実施された後に分割工程が実施される。分割形成工程では、第1の幅t1よりも狭い第2の幅t2の切削ブレード36が使用され、V溝29に沿って樹脂層13側から粘着テープ35の途中まで切り込まれて個々の半導体パッケージ10に分割される。切削ブレード36は、ダイヤモンド砥粒等を結合剤で固めて、先端が矩形形状の円板状に成形されており、スピンドル(不図示)の先端に装着されている。切削ブレード36の先端が矩形形状であるため、V溝29の溝底から粘着テープ35に向かって鉛直な矩形溝37が形成される。
【0028】
この場合、切削ブレード36は、半導体パッケージ基板15の外側で分割予定ラインに位置合わせされ、半導体パッケージ基板15の外側で粘着テープ35の厚み方向途中までの深さまで切削ブレード36が降ろされる。そして、この切削ブレード36に対して半導体パッケージ基板15が水平方向に切削送りされ、分割予定ラインに沿って半導体パッケージ基板15がフルカットされて、隣接する半導体パッケージ10が所定間隔Xmm離間するように分割される。このフルカットが繰り返されることで、半導体パッケージ基板15が分割予定ラインに沿って個片化される。
【0029】
また、切削ブレード36の第2の幅t2はV溝29の第1の幅t1よりも狭いため、パッケージ上面(封止剤上面)22から下面に向かう途中で、パッケージ上面22よりも外形サイズが大きくなるようにパッケージ側面23に斜面25が形成される。パッケージ側面23では、斜面25側ではパッケージ間隔が広くなり、鉛直面26側ではパッケージ間隔が狭くなっている。詳細は後述するが、パッケージ側面23の下側(鉛直面26側)でパッケージ間隔を狭くすることで、アスペクト比を大きくしてパッケージ間の溝底38にシールド層16(
図4B参照)を堆積し難くしている。
【0030】
図4Bに示すように、分割工程が実施された後にシールド層形成工程が実施される。シールド層形成工程では、樹脂層13の上方から導電性材料でパッケージ上面22及びパッケージ側面23にシールド層16が形成される。この場合、各半導体パッケージ10が粘着テープ35を介して保持ジグ(不図示)に保持される。そして、所定のシールド層形成条件で半導体パッケージ10に対して上方からスパッタ等によって導電性材料が成膜されて、パッケージ上面22及びパッケージ側面23に所望な厚みのシールド層16が形成される。
【0031】
このとき、パッケージ側面23の斜面25がパッケージ上面22から下方に向かって外側に広がるように傾斜しており、斜面25がシールド層16の形成方向(鉛直方向)に対して斜めに交差している。よって、半導体パッケージ10にシールド層16を形成する際に、パッケージ上面22だけでなく斜面25にも、十分なシールド効果を発揮できる厚みでシールド層16が形成される。パッケージ側面23の鉛直面26やパッケージ間の溝底38にもシールド層16が形成されるが、パッケージ間(矩形溝37)のアスペクト比に応じてシールド層16の厚みが調整される。
【0032】
より詳細には、
図4Cに示すように、パッケージ間のアスペクト比(縦横比)は、斜面25の下端から粘着テープ35に切り込んだ溝底38までの深さ(側面長さ)をYmm、鉛直面26の対向間隔をXmmとした際にY/Xで表される。シールド層形成時にはパッケージ側面23にシールド層16が形成されるが、パッケージ間の溝底38に形成されるシールド層16の厚みが低減されるアスペクト比になるように、第1の幅t1、第2の幅t2(
図4A参照)、深さYmm、シールド層形成条件が設定されている。なお、これら各条件には、実験的、経験的又は理論的に求められた値が設定される。
【0033】
パッケージ側面23の斜面25や鉛直面26の上側はアスペクト比の影響を受け難く、パッケージ側面23の鉛直面26の下側やパッケージ間の溝底38はアスペクト比の影響を受け易くなっている。このため、斜面25や鉛直面26の上側はアスペクト比に関わらず適度な厚みでシールド層16を形成することができる。これに対し、鉛直面26の下側や溝底38はパッケージ間のアスペクト比に応じてシールド層16の厚みが可変される。アスペクト比が大きければ鉛直面26の下側や溝底38のシールド層16の厚みが小さくなり、アスペクト比が小さければ鉛直面26の下側や溝底38のシールド層16の厚みが大きくなる。
【0034】
アスペクト比の調整は、鉛直面26の対向間隔Xmmが分割予定ラインのライン幅に依存しているため、主に斜面25の下端から溝底38までの深さYmmを可変することで実施される。鉛直面26側でアスペクト比を大きくすることで、アスペクト比の影響を受け難い斜面25や鉛直面26の上側にはシールド層16が適度な厚みで形成され、アスペクト比の影響を受け易い鉛直面26の下側や溝底38にはシールド層16が薄く形成される。よって、半導体パッケージ10の上側ではシールド層16で電磁ノイズの漏洩が抑えられ、半導体パッケージ10の下側ではシールド層16を薄くしてバリの発生が抑えられる。
【0035】
配線基板11のグランドライン17は、パッケージ側面23の斜面25の下側で外部に露出している。斜面25の下側には適度な厚みでシールド層16が形成され、シールド層16がグランドライン17に接続されるため、半導体パッケージ10で生じた電磁ノイズがグランドライン17を通じて半導体パッケージ10外に逃がされる。なお、パッケージ側面23の鉛直面26の下側ではシールド層16が薄くなるが、配線基板11の多数の配線によって電磁ノイズがカットされている。したがって、半導体パッケージ10の周囲の電子部品への電磁ノイズの漏洩が全体的に防止される。
【0036】
なお、シールド層16は、銅、チタン、ニッケル、金等のうち一つ以上の金属によって成膜された厚さ数μm以上の多層膜であり、例えば、スパッタ法、イオンプレーディング法、スプレー塗布法、CVD(chemical Vapor Deposition)法、インクジェット法、スクリーン印刷法によって形成される。また、シールド層16は、真空雰囲気下で上記の多層膜を有する金属フィルムをパッケージ上面22及びパッケージ側面23に接着する真空ラミネートによって形成してもよい。このようにして、パッケージ上面22及びパッケージ側面23がシールド層16でカバーされた半導体パッケージ10が製造される。
【0037】
図4Dに示すように、シールド層形成工程が実施された後にピックアップ工程が実施される。ピックアップ工程では、シールド層16が形成された半導体パッケージ10がピッカー(不図示)等によってピックアップされる。この場合、パッケージ間のアスペクト比の調整によって、パッケージ側面23の鉛直面26の下側やパッケージ間の溝底38でシールド層16の堆積が抑えられている。よって、半導体パッケージ10のピックアップ時に、粘着テープ35の溝底38からシールド層16が引き剥がされず、パッケージ下部にバリが発生し難くなっている。
【0038】
以上のように、第1の実施の形態の半導体パッケージ10の製造方法によれば、アスペクト比の調整によって半導体パッケージ10の下面側にシールド層16が形成され難くなることで、半導体パッケージをピックアップしたときのバリを抑えることができる。よって、バリの除去作業が不要になるため、加工品質及び加工時間を改善することができる。また、粘着テープ35上で溝形成工程からピックアップ工程までの一連の工程が実施されるため、粘着テープ35からトレイ等に半導体パッケージ10を移し替える必要がなく、作業工数を減らすことができる。
【0039】
次に、
図5及び
図6を参照して、第2の実施の形態の半導体パッケージの製造方法について説明する。第2の実施の形態は、保護テープに半導体パッケージを整列させた状態でシールド層を形成する点について第1の実施の形態と相違している。したがって、第1の実施の形態の半導体パッケージの製造方法と同様な構成については簡略化して説明する。
図5及び
図6は、第2の実施の形態の半導体パッケージの製造方法の説明図である。
図5Aはマウント工程、
図5Bは基板作成工程、
図5Cは分割工程、
図6Aは半導体パッケージ整列工程、
図6B及び
図6Cはシールド層形成工程、
図6Dはピックアップ工程のそれぞれ一例を示す図である。
【0040】
図5Aに示すように、先ずマウント工程が実施される。マウント工程では、配線基板11の分割予定ラインで区画された複数の領域に複数の半導体チップ12がマウントされる。この配線基板11内にはグランドライン17等の配線が形成され、配線基板11の下面にはバンプ14が配設されている。そして、半導体チップ12の上面の電極にワイヤ19の一端が接続され、配線基板11の表面の電極18にワイヤ19の他端が接続される。なお、ワイヤボンディングに限らず、半導体チップ12の下面の電極を配線基板11の表面の電極に直接接続するフリップチップボンディングが実施されてもよい。
【0041】
図5Bに示すように、マウント工程が実施された後に基板作成工程が実施される。基板作成工程では、保持ジグ(不図示)上の配線基板11に対して枠型32の注入口33を通じて供給ノズル34から封止剤24が供給され、配線基板11上の複数の半導体チップ12が封止剤24で封止される。この状態で、封止剤24が加熱又は乾燥によって硬化されて、配線基板11の上面に樹脂層13(
図5C参照)が形成された半導体パッケージ基板15が作成される。なお、封止基板作成工程の後には、樹脂層13を研削で平坦化する平坦化工程が実施されてもよい。また、半導体パッケージ基板15が予め用意されている場合には、マウント工程、基板作成工程を省略してもよい。
【0042】
図5Cに示すように、基板作成工程が実施された後に分割工程が実施される。分割工程では、第1の実施の形態の溝形成工程と同様にして、Vブレード28で樹脂層13側がハーフカットされて、分割予定ラインに沿ってV溝29が形成される。さらに、第1の実施の形態の分割工程と同様にして、切削ブレード36で配線基板11がフルカットされて、半導体パッケージ基板15が分割予定ラインに沿って個々の半導体パッケージ10に分割される。このように、Vブレード28と切削ブレード36を用いたステップカットによって、半導体パッケージ基板15が個片化される。
【0043】
半導体パッケージ基板15にはV溝29が形成されると共に、V溝29の溝底に狭幅の矩形溝37が形成されている。このため、パッケージ上面22から下面に向かう途中で、パッケージ上面22よりも外形サイズが大きくなるようにパッケージ側面23に斜面25が形成される。パッケージ側面23では、斜面25側ではパッケージ間隔が広くなり、鉛直面26側ではパッケージ間隔が狭くなっている。よって、後段の半導体パッケージ整列工程で、半導体パッケージ10の下側でパッケージ間隔が狭くなるように整列させることができる。
【0044】
図6Aに示すように、分割工程が実施された後に半導体パッケージ整列工程が実施される。半導体パッケージ整列工程では、分割後の半導体パッケージ10が支持部材としての保護テープ41上に整列される。この場合、保護テープ41の保持面には格子状の浅溝(溝)42が形成されており、浅溝42によって保持面が複数の領域に区画されている。各領域に半導体パッケージ10が載置されて、隣接する半導体パッケージ10同士が所定間隔Xmmだけ離間して整列される。浅溝42の溝幅Wmmがパッケージ間隔Xmmよりも大きいため、浅溝42の内側に半導体パッケージ10の鉛直面26が食み出している。なお、保護テープ41の代わりに、保持ジグ上に半導体パッケージ10が保持されてもよい。
【0045】
図6Bに示すように、半導体パッケージ整列工程が実施された後にシールド層形成工程が実施される。シールド層形成工程では、樹脂層13の上方から導電性材料でパッケージ上面22及びパッケージ側面23にシールド層16が形成される。このとき、パッケージ側面23の斜面25がパッケージ上面22から下方に向かって外側に広がるように傾斜しているため、パッケージ上面22だけでなく斜面25にもシールド層16が所望の厚みで形成される。パッケージ側面23の鉛直面26や保護テープ41の浅溝42の溝底43にもシールド層16が形成されるが、パッケージ下側のパッケージ間のアスペクト比に応じてシールド層16の厚みが調整される。
【0046】
より詳細には、
図6Cに示すように、パッケージ間のアスペクト比(縦横比)は、斜面25の下端から保護テープ41の浅溝42の溝底43までの深さ(側面長さ)をYmm、鉛直面26の対向間隔をXmmとした際にY/Xで表される。シールド層形成時にはパッケージ側面23にシールド層16が形成されるが、パッケージ間の溝底43に形成されるシールド層16の厚みが低減されるアスペクト比になるように、斜面25の傾斜、深さYmm、所定間隔Xmm、シールド層形成条件が設定されている。なお、これら各条件には、実験的、経験的又は理論的に求められた値が設定される。
【0047】
アスペクト比の調整は、主に保護テープ41に対する整列時に、鉛直面26の対向間隔Xmmと保護テープ41の浅溝42の深さYmmを可変することで実施される。鉛直面26側でアスペクト比を大きくすることで、アスペクト比の影響を受け難い斜面25や鉛直面26の上側にはシールド層16が適度な厚みで形成され、アスペクト比の影響を受け易い鉛直面26の下側や溝底43にはシールド層16が薄く形成される。さらに、半導体パッケージ10の鉛直面26が浅溝42の内側に食み出しているため、鉛直面26と浅溝42の間でシールド層16が分離されている。よって、半導体パッケージ10のピックアップ時にバリの発生が抑えられている。
【0048】
配線基板11のグランドライン17は、パッケージ側面23の斜面25の下側で外部に露出している。斜面25の下側には適度な厚みでシールド層16が形成され、シールド層16がグランドライン17に接続されるため、半導体パッケージ10で生じた電磁ノイズがグランドライン17を通じて半導体パッケージ10外に逃がされる。なお、半導体パッケージ10の鉛直面26の下側ではシールド層16が薄くなるが、配線基板11の多数の配線によって電磁ノイズがカットされている。したがって、半導体パッケージ10の周囲の電子部品への電磁ノイズの漏洩が全体的に防止される。
【0049】
なお、シールド層16は、銅、チタン、ニッケル、金等のうち一つ以上の金属によって成膜された厚さ数μm以上の多層膜であり、例えば、スパッタ法、イオンプレーディング法、スプレー塗布法、CVD(chemical Vapor Deposition)法、インクジェット法、スクリーン印刷法によって形成される。また、シールド層16は、真空雰囲気下で上記の多層膜を有する金属フィルムをパッケージ上面22及びパッケージ側面23に接着する真空ラミネートによって形成してもよい。このようにして、パッケージ上面22及びパッケージ側面23がシールド層16でカバーされた半導体パッケージ10が製造される。
【0050】
図6Dに示すように、シールド層形成工程が実施された後にピックアップ工程が実施される。ピックアップ工程では、シールド層16が形成された半導体パッケージ10がピッカー(不図示)等によってピックアップされる。この場合、パッケージ間のアスペクト比の調整によって、パッケージ側面23の鉛直面26の下側やパッケージ間の溝底43でシールド層16の堆積が抑えられている。さらに、鉛直面26と浅溝42の間でシールド層16が分離されているため、半導体パッケージ10のピックアップ時に浅溝42内にシールド層16が残ってバリが発生し難くなっている。
【0051】
以上のように、第2の実施の形態の半導体パッケージ10の製造方法によれば、第1の実施の形態と同様に、アスペクト比の調整によって半導体パッケージ10の下面側にシールド層16が形成され難くなることで、半導体パッケージをピックアップしたときのバリを抑えることができる。よって、バリの除去作業が不要になるため、加工品質及び加工時間を改善することができる。
【0052】
なお、上記の第1、第2の実施の形態の半導体パッケージの側面形状は、上記構成に限定されない。半導体パッケージの側面形状は、隣り合う半導体パッケージのパッケージ間隔が、半導体パッケージの上面から下面に向かう途中で狭くなるような側面形状であればよい。以下、変形例の半導体パッケージの側面形状について説明する。
図7は、半導体パッケージの側面形状のバリエーションの一例を示す図である。
【0053】
図7Aに示すように、第1、第2の実施の形態の半導体パッケージでは、樹脂層13と配線基板11に亘ってパッケージ側面23に斜面25が形成される構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、
図7Bに示すように、樹脂層13にのみ斜面25が形成される構成にしてもよい。この場合、比較的にブレードの消耗が少ない樹脂層13だけをVブレードで切削することで、Vブレードの消耗を抑えてブレードライフを長くすることができる。Vブレードの消耗による形状変更を抑えることで、V溝の角度管理を容易にすることができる。
【0054】
また、
図7Cに示すように、パッケージ上面22から下面に向かう途中で、パッケージ上面22よりも外形サイズが大きくなるようにパッケージ側面23に段差55が形成される構成にしてもよい。この場合、広幅の切削ブレードと狭幅の切削ブレードのステップカットにより、パッケージ側面23に段差55が形成される。パッケージ側面23の上段側でパッケージ間隔を広くとることで、パッケージ側面23の上段側に適度な厚みでシールド層16が形成される。また、パッケージ側面23の下段側でパッケージ間のアスペクト比を調整することで、パッケージ間の溝底38のシールド層16を薄く形成してバリの発生が抑えられる。
【0055】
また、
図7Dに示すように、パッケージ上面22から下面に向かう途中で、パッケージ上面22よりも外形サイズが大きくなるようにパッケージ側面23に湾曲面56が形成される構成にしてもよい。この場合、広幅の湾曲ブレードと狭幅の切削ブレードのステップカットにより、パッケージ側面23に湾曲面56と鉛直面26が形成される。湾曲面56がシールド層16の形成方向(鉛直方向)に交差するため、湾曲面56に適度な厚みでシールド層16を形成することができる。また、半導体パッケージ10の鉛直面26側でパッケージ間のアスペクト比を調整することで、パッケージ間の溝底38のシールド層16を薄く形成してバリの発生が抑えられる。
【0056】
さらに、
図7Eに示すように、パッケージ上面22から下面に向かう途中で、外径サイズが最も大きくなるようにパッケージ側面23に斜面58、59が形成される構成にしてもよい。この場合、Vブレードで上下両面から切削することで、パッケージ側面23に斜面58、59が形成される。斜面58、59の境界位置のパッケージ間隔をXmmとして、境界位置よりも下側でパッケージ間のアスペクト比を調整することで、半導体パッケージの下側でシールド層16を薄くしてピックアップ時のバリの発生が抑えられる。
【0057】
続いて、半導体パッケージのステップカバレッジ(step coverage)とアスペクト比の関係について説明する。
図8は、試験体の断面模式図である。
図9は、試験体のステップカバレッジとアスペクト比の関係を示す図である。
【0058】
図8に示すように、V溝62と矩形溝63が形成された4種類の試験体61に対して、180℃、8×10
−4Paの条件下でイオンプレーティング法によってシールド層を形成した。4種類の試験体61として、溝幅Xmm、溝深さYmmとしたときのアスペクト比Y/Xが1、2、3、4になる矩形溝63を形成した試験体61を用意した。各試験体61について、上面64のシールド層の厚み、V溝下部65のシールド層の厚み、矩形溝上部66のシールド層の厚み、矩形溝下部67のシールド層の厚み、溝底68のシールド層の厚みを、それぞれ電子顕微鏡の観察画像に基づいて測定した。
【0059】
そして、試験体61の上面64のシールド層の厚みを基準にして、V溝下部65、矩形溝上部66、矩形溝下部67、溝底68のシールド層の厚みのステップカバレッジを
図9にまとめた。なお、V溝下部65、矩形溝上部66、矩形溝下部67、溝底68等の特定部分のステップカバレッジは、各特定部分のシールド層の厚みと上面のシールド層の厚みから、次式(1)で算出される。また、アスペクト比は矩形溝63の溝幅と深さから、次式(2)で算出される。
式(1)
step coverage=(特定部分厚/上面厚)×100[%]
式(2)
アスペクト比=矩形溝の溝幅/矩形溝の深さ
【0060】
図9Aに示すように、試験体61の上面64に対するV溝下部65のステップカバレッジは、矩形溝63のアスペクト比の変化に関わらず約90%を維持していた。また、
図9Bに示すように、試験体61の上面64に対する矩形溝上部66のステップカバレッジは、矩形溝63のアスペクト比の変化に関わらず約60%を維持していた。したがって、V溝下部65と矩形溝上部66のシールド層の厚みは、矩形溝63のアスペクト比に依存しないことが判明した。このため、矩形溝63のアスペクト比を高くしても、V溝62では約90%のステップカバレッジが得られてシールド性が高められ、矩形溝上部66でも約60%のステップカバレッジが得られて配線基板内のグランドラインに接地可能になっている。
【0061】
図9Cに示すように、試験体61の上面64に対する矩形溝下部67のステップカバレッジは、矩形溝63のアスペクト比が2以下の低い間は約60%を維持していたが、アスペクト比が4まで増加すると約35%まで低下した。
図9Dに示すように、試験体61の上面64に対する溝底68のステップカバレッジは、矩形溝63のアスペクト比が増加するのに伴って減少し、アスペクト比が4まで増加すると約40%まで低下した。したがって、矩形溝下部67と溝底68のシールド層の厚みは、矩形溝63のアスペクト比に強く依存することが判明した。このため、矩形溝63のアスペクト比を高くすることで、矩形溝下部67及び溝底68のステップカバレッジを小さくしてバリの発生を抑えることが可能になっている。このようにして、V溝62と矩形溝63の比率を調整することで、シールド性の向上とバリの抑制を実現することが可能になっている。
【0062】
なお、第1、第2の実施の形態においては、配線基板に1つの半導体チップを実装した半導体パッケージを例示したが、この構成に限定されない。配線基板に複数の半導体チップを実装した半導体パッケージを製造してもよい。例えば、
図10Aに示すように、配線基板71に複数(例えば、3つ)の半導体チップ72a−72cを実装し、半導体チップ72a−72cをまとめてシールドした半導体パッケージ70を製造するようにしてもよい。この場合、パッケージ単位で半導体パッケージ基板75にV溝が形成され、パッケージ単位で半導体パッケージ基板75が分割される。なお、半導体チップ72a−72cは同一機能を有してもよいし、異なる機能を有してもよい。
【0063】
また、
図10Bに示すように、配線基板82に複数(例えば、2つ)の半導体チップ82a、82bを実装し、半導体チップ82a、82bを個別にシールドした半導体パッケージ(SIP)80を製造するようにしてもよい。この場合、チップ単位で半導体パッケージ基板80にV溝が形成され、パッケージ単位で半導体パッケージ基板が分割される。これにより、半導体チップ82a、82bの間にシールド層86が形成され、半導体チップ82a、82bの相互間で電磁ノイズの影響を防止することができる。なお、半導体チップ82a、82bは同一機能を有してもよいし、異なる機能を有してもよい。
【0064】
また、上記の第1、第2の実施の形態においては、加工工具としてVブレードを用いてV溝が形成されたが、この構成に限定されない。例えば、
図11Aに示すように、加工工具として通常の切削ブレード91を用いて半導体パッケージ基板15にV溝を形成するようにしてもよい。この場合、半導体パッケージ基板15の分割予定ライン上の鉛直面Pに対して切削ブレード91を所定角度だけ一方側に傾けて切削した後に、鉛直面Pに対して切削ブレード91を所定角度だけ他方側に傾けて切削する。これにより、切削ブレード91によって半導体パッケージ基板15の上面がV状に切り取られて、分割予定ラインに沿ってV溝が形成される。
【0065】
また、
図11Bに示すように、加工工具としてレーザアブレーション用の加工ヘッド93を用いて半導体パッケージ基板15にV溝を形成するようにしてもよい。この場合、半導体パッケージ基板15の分割予定ライン上の鉛直面Pに対して加工ヘッド93を所定角度だけ一方向に傾けてアブレーション加工を実施した後に、鉛直面Pに対して加工ヘッド93を所定角度だけ他方側に傾けてアブレーション加工を実施する。半導体パッケージ基板15に対して吸収性を有するレーザ光線によって、半導体パッケージ基板15の上面がV字状に切り取られて、分割予定ラインに沿ってV溝が形成される。なお、レーザアブレーションとは、レーザ光線の照射強度が所定の加工閾値以上になると、固体表面で電子、熱的、光科学的及び力学的エネルギーに変換され、その結果、中性原子、分子、正負のイオン、ラジカル、クラスタ、電子、光が爆発的に放出され、固体表面がエッチングされる現象をいう。
【0066】
また、
図11Cに示すように、加工工具としてプロファイラ95を用いて半導体パッケージ基板15にV溝を形成するようにしてもよい。プロファイラ95はアルミ基台96の略V字状の加工面にダイヤモンド砥粒から成る砥粒層97を電着して構成されている。プロファイラ95は、Vブレードと比較して消耗し難く、V字形状を長く維持し続けることができる。また、上記の
図7B−
図7Eに示す半導体パッケージを製造する場合にも、パッケージ基板に対する溝形成時や分割時に、加工工具としてレーザ加工の加工ヘッドやプロファイラが用いられてもよい。
【0067】
また、上記の第1、第2の実施の形態及び変形例においては、半導体チップがワイヤを介して配線基板の電極にワイヤボンディングされた半導体パッケージを製造する構成について説明したが、この構成に限定されない。
図12に示すように、半導体パッケージ89は、半導体チップ12が配線基板11の電極に直接接続されてフリップチップボンディングされていてもよい。
【0068】
また、第1、第2の実施の形態では、半導体パッケージ基板に対するV溝の形成と半導体パッケージ基板の分割が同一の装置で実施されてもよいし、別々の装置で実施されてもよい。
【0069】
また、上記の第1、第2の実施の形態においては、半導体パッケージ基板の分割が切削ブレードを用いて実施されたが、この構成に限定されない。半導体パッケージ基板の分割は、半導体パッケージ基板を個々の半導体パッケージを分割する構成であればよく、例えば、アブレーション加工によって半導体パッケージ基板を個々の半導体パッケージに分割してもよい。
【0070】
また、上記の第1の実施の形態においては、溝形成工程は加工工具で配線基板の途中まで切り込む構成にしたが、この構成に限定されない。溝形成工程は、加工工具で少なくとも樹脂層の途中まで切り込む構成であればよい。
【0071】
また、上記の第1の実施の形態においては、支持部材として粘着テープを例示したがこの構成に限定されない。支持部材は、半導体パッケージ基板を支持するものであればよく、例えば、サブストレートで構成されていてもよい。したがって、貼着工程では、半導体パッケージ基板の配線基板側をリングフレームに貼着された粘着テープに貼着する構成に限らず、半導体パッケージ基板の配線基板側を、粘着層を介してサブストレートに貼着する構成にしてもよい。
【0072】
また、上記の第2の実施の形態においては、半導体パッケージ整列工程は、浅溝が形成された保護テープや保持ジグに半導体パッケージが整列される構成にしたが、この構成に限定されない。半導体パッケージ整列工程は、浅溝が形成されていない平坦な保護テープや保持ジグに半導体パッケージが整列されてもよい。この場合、半導体パッケージの傾斜や段差から保護テープや保持ジグの保持面までの深さによって、パッケージ間のアスペクト比が調整される。
【0073】
また、上記の第2の実施の形態においては、支持部材として保護テープを例示したがこの構成に限定されない。支持部材は、半導体パッケージを粘着層で支持するものであればよく、例えば、サブストレートで構成されてもよい。サブストレートには浅溝が形成されていてもよいし、浅溝が形成されていなくてもよい。したがって、半導体パッケージ整列工程では、半導体パッケージが保護テープ上や保持ジグ上に整列される構成に限らず、半導体パッケージがサブストレート上にワックスで固定されて整列されていてもよい。
【0074】
また、半導体パッケージは、携帯電話等の携帯通信機器に用いられる構成に限らず、カメラ等の他の電子機器に用いられてもよい。
【0075】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記各実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0076】
また、本発明の実施の形態は上記の各実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
【0077】
また、本実施の形態では、本発明を半導体パッケージの製造方法に適用した構成について説明したが、所定の膜厚のシールド層が形成される他のパッケージ部品の製造方法に適用することも可能である。