(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容物が注出される注出口部と該注出口部から径方向の外側に張り出す肩部とを有する注出ユニットと、前記注出ユニットの肩部につながれ、前記内容物を収容する透明な胴部と、を少なくとも備える、チューブ容器であって、
前記注出ユニット及び前記胴部が、内容物に接する内側に形成された非吸着性樹脂からなる最内層と、最も外側に形成された非吸着性樹脂からなる最外層と、前記最内層と前記最外層との間に形成されたガスバリア層を有する中間層とを少なくとも含み、該注出ユニット及び該胴部それぞれの前記最内層と前記最外層とを構成する前記非吸着性樹脂が同一の非吸着性樹脂であり、
前記注出ユニットと前記胴部とは、前記注出ユニットはインサート成形で形成され前記胴部は押出ラミネート又はドライラミネートで形成された別の部材で構成され、前記非吸着性樹脂からなる前記胴部の軸方向の一端の内面は、前記非吸着性樹脂からなる前記注出ユニットの前記肩部の外周面に融着されることによって前記胴部と前記注出ユニットの肩部とがつながれ、前記胴部の軸方向の他端は、内面同士が合わされて融着されることによって閉られており、
前記非吸着性樹脂が、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートであり、
前記中間層が、ガスバリア性透明蒸着層であり、
前記注出ユニットの肩部が、該肩部に融着される前記胴部の最内層と同じ前記イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートで形成されている、ことを特徴とするチューブ容器。
前記内層と前記中間層との間、及び/又は、前記中間層と前記外層との間には、ポリオレフィン接着性樹脂層が柔軟層として設けられている、請求項1に記載のチューブ容器。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るチューブ容器について図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有すれば種々の変形が可能であり、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。
【0025】
[チューブ容器の基本構成]
本発明に係るチューブ容器1は、内容物を注出するための注出ユニット20と、内容物を収容し、注出ユニット20につながれている透明な胴部10と、を少なくとも備えている。
【0026】
注出ユニット20は、内容物が注出される注出口部21と、この注出口部21から径方向の外側に張り出す肩部24とを有している。この注出ユニット20は、樹脂で形成されており、少なくとも内容物に接する面が非吸着性樹脂を含む樹脂で形成されている。
【0027】
胴部10は、軸方向の一端が注出ユニット20の肩部24につながれている。胴部10は、内容物に接する内側の位置に形成された最内層16と、最も外側の位置に形成された最外層18と、最内層16と最外層18との間に形成された中間層17とを少なくとも含んでいる。そして、最内層16は、非吸着性樹脂で形成された層であり、中間層17は、ガスバリア層を少なくとも有する層である。
【0028】
このチューブ容器1によれば、透明な胴部10を構成するガスバリア層を少なくとも有する中間層17を含むので、内容物をチューブ容器1の外から確認することができると共に、ガスバリア性を有する。その結果、内容物の残量等を目で見て確認することができ、内容物の風味や効能等の低下を抑制することができる。また、胴部10の最内層16が非吸着性樹脂で形成されているので、内容物を胴部内に残存させることなく円滑に注出させることができる。また、上記胴部10は、押出成形で筒状の部材を形成したり、矩形状のフィルム材の側縁同士を重ね合わせて筒状の部材を形成したりすることができるので、多様な方法でチューブ容器1を製造することができる。
【0029】
なお、本明細書において、「非吸着性」とは、食料品、医薬品、化粧品等の内容物に含まれている有効成分を吸着しにくい性質のことを意味する。「ガスバリア性」とは、酸素や水蒸気等の気体を通しにくい性質のことを意味する。また、「内面」とは、内容物に接する面のことをいう。
【0030】
このチューブ容器1は、上記の基本構成を有していれば、種々の構成にすることができる。具体的に、チューブ容器は、
図1及び
図2に示す第1実施形態と、
図8及び
図9に示す第2実施形態の2形態とを含むことができる。第1実施形態のチューブ容器1は、チューブ容器1の底部側にて胴部10の端部をシールして閉じる形態であり、第2実施形態のチューブ容器1は、チューブ容器1の底部側にて蓋材40を胴部10の端部にシールして閉じる形態である。以下では、本発明に係るチューブ容器1の各構成について、実施形態ごとに説明する。
【0031】
[第1実施形態]
第1実施形態のチューブ容器1は、
図1及び
図2に示すように、チューブ容器1を構成する胴部10の対向する内面同士がチューブ容器1の底部側にてシールされた形態である。このチューブ容器1は、内容物を収容するための胴部10と、内容物を注出するための注出ユニット20とを備えている。
【0032】
〈胴部〉
胴部10は、透明であり、
図3(A)に示すように、樹脂を押出成形し、筒体10aを直接形成するタイプと、
図3(B)に示すように、フィルム材15の両側の側縁同士を重ね合わせてシールするタイプとを含む。
【0033】
図3(A)に示したタイプの胴部10は、樹脂を押出成形することによって形成された透明な筒体10aが用いられている。このタイプの胴部10では、中間層17が透明なガスバリア層で構成されている。
【0034】
図3(B)に示したタイプの胴部10は、矩形状のフィルム材15の重ね合わされた側縁同士をシールすることによって形成された透明な筒体10aが用いられている。このタイプの胴部10は、中間層17が、ガスバリア性を有するフィルムで構成されている。なお、胴部10として形成される矩形状のフィルム材15は、特に限定されず、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共押出法又はこれらを併用することで、少なくとも3層の多層構造のフィルム材15にすることができる。
【0035】
図3(B)に示したタイプの胴部10は、軸方向の一端が注出ユニット20の肩部24に融着されることによって注出ユニットの肩部24につながれている。胴部10における軸方向の一端と注出ユニット20の肩部24との融着方法としては、種々の方法があるが、例えば、胴部10は、軸方向の一端において、胴部10が注出ユニット20を構成する肩部24に嵌め込まれ、胴部10の内面と肩部24の外周面24aとが融着される。
【0036】
これに対し、胴部10の他端側をなす底部では、胴部10の内面同士がシールされてなる底面シール部12が形成されている。胴部10における底面シール部12は、
図2に示すように、筒体10aの軸方向における他方側の端部、すなわち、チューブ容器1の底部において、フィルム材15の底辺と、底辺の位置から長さL2の位置までの間の領域とが重ね合わされている。重ね合わせる形態は、フィルム材15の内面同士をつき合わせる形態である。なお、
図2において、符号12aの部分は、筒体10aの下端から長さL2の領域が後に底面シール部12として構成されるシール代として構成される部分である。
【0037】
底面シール部12は、重ね合わせた部分をヒートシールして形成される。ヒートシールとしては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等を挙げることができる。
【0038】
また、フィルム材15の両側の側縁同士を重ね合わせるタイプでは、
図3(B)に示すように、胴部10に背面シール部11が形成される。胴部10における背面シール部11は、矩形状のフィルムの両側の側縁15a,15bが重ね合わされ、重ね合わせされた側縁15a,15bが融着された部位である。背面シール部11は、矩形状のフィルム材15の左右方向の一方側の辺から長さがL1の位置までの領域と、左右方向の他方の辺から長さがL1の位置の領域までの領域とが重ね合わされている。重ね合わせる形態は、フィルム材15の一方側の側縁15aにおける一面側15cを、フィルム材15の他方側の側縁15bにおける他面側15dにつき合わせる形態である。
【0039】
背面シール部11は、上記の底面シール部12と同様に、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等のヒートシールによって形成される。
【0040】
胴部10は、
図3(A)に示したタイプ及び
図3(B)に示したタイプの両方とも、多層構造をなしている。
図4は、胴部10の層構造の一例を示しており、胴部10は、最内層16、中間層17及び最外層18からなる3層構造となっている。ただし、後述のように、胴部10の層構成は、最内層16、中間層17及び最外層18からなる3層構造であることには限定されず、必要に応じて他の層を設けた4層以上の層構造とすることができる。
【0041】
(最内層)
最内層16は、胴部10の内面側を構成する透明な非吸着性の層である。この最内層16は、非吸着性樹脂で形成されている。
【0042】
非吸着性樹脂としては、ポリエステル系樹脂や環状ポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
【0043】
ポリエステル系樹脂としては、チューブ容器1に使用できるものであれば特に限定されず、例えば、芳香族ジカルボン酸を主成分とする酸成分と、脂肪族ジオール(グリコール)を主成分とするジオール成分とを含有する共重合体を挙げることができる。この共重合体において、酸成分とジオール成分とは、エステル結合によって結合される。酸成分の原料としては、低級アルキルエステル(例えばメチルエステル)や酸ハロゲン化物等のエステル形成可能な誘導体を用いることもできる。
【0044】
酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びトリカルボン酸等を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール化合物又はそのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
【0045】
環状ポリオレフィン系樹脂としては、チューブ容器1に使用できるものであれば特に限定されず、例えば、種々の環状オレフィンモノマーの重合体を挙げることができる。環状オレフィンモノマーとしては、例えば、二環シクロオレフィン、三環シクロオレフィン、四環シクロオレフィン、及び五環シクロオレフィンを挙げることができる。二環シクロオレフィンとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミド等を挙げることができる。三環シクロオレフィンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体等を挙げることができる。四環シクロオレフィンとしては、例えば、ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体等を挙げることができる。五環シクロオレフィンとしては、トリシクロペンタジエン等を、六環シクロオレフィンとしては、ヘキサシクロヘプタデセン等を挙げることができる。
【0046】
なお、環状ポリオレフィンとしては、その他に、環状オレフィンモノマーとエチレン等の他のモノマーとの共重合体及びそれらの水素添加物等を挙げることができる。
【0047】
好ましい非吸着性樹脂としては、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーを挙げることができる。
【0048】
非吸着性樹脂には、添加剤を含ませることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、又は帯電防止剤等を挙げることができる。
【0049】
なお、本実施形態のチューブ容器1の胴部10を構成する最内層16は、通常、非吸着性樹脂以外の樹脂は含有させないで構成するが、非吸着性を損なわない範囲で他の樹脂をわずかに含有させて構成してもよい。含有させる樹脂としては、例えば、融着性の向上や柔軟性の向上の目的で低密度ポリエチレン(以下、「LDPE」という。)、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「L−LDPE」という。)等の樹脂を挙げることができる。
【0050】
最内層16の厚さは、5μm以上、300μm以下であり、好ましくは、10μm以上、100μm以下である。最内層16の厚さをこの範囲にすることにより、チューブ容器1の内容物に対する非吸着性を持たせることができる。
【0051】
(中間層)
中間層17は、最内層16と最外層18との間に位置する透明な層であり、少なくとも1層で構成され、2層以上であってもよい。中間層17を構成する少なくとも1層は、透明なガスバリア層である。中間層17が少なくともガスバリア層を有することにより、酸素等のガスがフィルム材15を透過することを抑制することができる。こうしたガスバリア層としては、(1)透明なガスバリア性樹脂層や、(2)ガスバリア性無機化合物をポリエステルフィルム又はナイロンフィルムに蒸着した透明なガスバリア性フィルムを挙げることができる。
【0052】
(1)ガスバリア層が透明な樹脂層である場合、ガスバリア層を構成する樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、フッ素系樹脂等を挙げることができる。なお、胴部10をフィルム材15で形成する場合、ガスバリア層を、ポリビニルアルコールのコーティングフィルム、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)のコーティングフィルムとしてもよい。
【0053】
上記のポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等を用いることができる。また、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とからなるナイロンMXD6(三菱ガス化学株式会社製のポリアミド樹脂のことで、MXナイロンと呼ばれている。)等を用いてもよい。
【0054】
ガスバリア層を上記樹脂で形成できるので、ガスバリア層を透明にすることができる。また、上記樹脂で形成されたガスバリア層を有する胴部10でチューブ容器1を製造する場合、上記樹脂を用いたガスバリア層を備えたフィルム材で透明な胴部を製造したり、押出成形で透明な胴部を製造したりすることができ、多様な方法で製造することができる。
【0055】
(2)ガスバリア層がガスバリア性無機化合物をポリエステルフィルム又はナイロンフィルムに蒸着した透明ガスバリア性フィルムである場合、無機化合物としては、例えば、シリカ(酸化珪素)やアルミナ(酸化アルミニウム)等のガスバリア性の金属酸化物を挙げることができる。
【0056】
以上説明した中間層17は、透明なガスバリア層や、ガスバリア性無機化合物をポリエステルフィルム又はナイロンフィルムに蒸着した透明なガスバリア性フィルムを単独でそれぞれ用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0057】
中間層17の厚さは、3μm以上、200μm以下であり、好ましくは、5μm以上、60μm以下である。中間層17の厚さをこの範囲にすることにより、良好なガスバリア性を付与することができる。
【0058】
なお、中間層17においては、ガスバリア層が酸素吸収性を有していてもよいし、ガスバリア層と最内層18との間に酸素吸収層を有するようにしてもよい。中間層17がこうした酸素吸収性の層(ガスバリア層や酸素吸収層)を有することにより、中間層17がチューブ容器1内に存在する酸素を吸収し、内容物が酸化等を起こすことを抑制することができる。
【0059】
酸素吸収性は、酸素吸収性物質を含有させたガスバリア層や、酸素吸収性物質を含有させた他の樹脂層(酸素吸収層)により、中間層17の機能として付与することができる。酸素吸収性物質としては、例えば、共役ジエン重合体及びこれを環化させた共役ジエン重合体環化物といった、ポリ(α−ピネン)、ポリ(β−ピネン)、ポリ(ジペンテン)等のポリテルペン類等を挙げることができる。共役ジエン重合体としては、例えば、共役ジエン単量体の単独重合体若しくは共重合体、又は、共役ジエン単量体とこれと共重合可能な他の単量体との共重合体等を挙げることができる。共役ジエン重合体環化物は、酸触媒の存在下に共役ジエン重合体を環化反応させて得られるものであり、分子中に共役ジエン単量体単位に由来する環構造を有している。なお、有機系の酸素吸収性物質は、この酸素吸収性物質が酸素を吸収したときの変色に伴って、酸素吸収性物質が含有する樹脂の着色を抑制することができる。
【0060】
酸素吸収性物質を含有するガスバリア層や酸素吸収層には、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸素吸収性物質の酸素吸収性を高めるために添加物を用いるとよい。添加物としては、例えば、酸化チタン、オレイン酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト(II)、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルト(II)、ネオデカン酸コバルト(II)等の遷移金属塩を挙げることができる。
【0061】
以上のように、中間層17に酸素吸収性を持たせることにより、チューブ容器1の内部に存在する酸素を吸収し、内容物が酸化等を起こすことを抑制することができる。
【0062】
なお、酸素吸収層において、酸素吸収性物質を含有させる樹脂としては、透明性のある樹脂であれば特に限定されないが、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等を挙げることができる。樹脂としては、その他に、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む樹脂を用いる挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン等を挙げることができる。
【0063】
(最外層)
最外層18は、胴部10の最も外側に位置する透明な層である。この最外層18の機能は特に限定されないが、例えば、最内層16と同様の非吸着性を有したり、柔軟性を有したり、印刷適性や耐脂性を有したりすることが好ましい。
【0064】
非吸着性を有する最外層18は、フィルム材15の表裏両面(最外層18と最内層16)が非吸着性の層となる。この非吸着性を有する最外層18は、上記した最内層16と同様、非吸着性樹脂で形成することができ、同種の樹脂で構成されるので、フィルム材15の両側の側縁同士を重ね合わせてのシールが容易になるという利点がある。これについては、上記最内層16の説明欄で説明した樹脂と同じ樹脂で構成できるので、ここでは、その説明を省略する。
【0065】
柔軟性を有する最外層18は、胴部10の柔軟性を向上させることができるので好ましく設けられる。柔軟性を有する最外層18は、ポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系エラストマー若しくはスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー樹脂を挙げることができる。
【0066】
最外層18の厚さは、5μm以上、300μm以下であり、好ましくは、10μm以上、100μm以下である。また、柔軟性を有する最外層18の厚さは、10μm以上、1000μm以下であり、好ましくは50μm以上、500μm以下である。
【0067】
(その他の層)
胴部10には、これまでに説明した最内層16、中間層17及び最外層18を少なくとも含んでいれば、他の層を有していてもよい。例えば、上記した酸素吸収層を、中間層を構成するガスバリア層と共に、ガスバリア層と最内層との間に設けてもよい。また、接着層を、最内層16と中間層17との間や、中間層17と最外層18との間に任意に設けてもよい。また、上記した柔軟性を有する最外層18と同様の柔軟層を、最内層16と中間層17との間に設けてもよい。また、補強層を最外層18と中間層17との間に設けてもよい。なお、補強層は、フィルム材15の強度特性を補完する作用を有し、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(O−PET)、2軸延伸ナイロン(O−Ny)又は2軸延伸ポリプロピレン(OPP)樹脂層等を挙げることができる。補強層の厚さは、3μm以上、500μm以下であり、好ましくは、5μm以上、300μm以下である。
【0068】
以上に説明した胴部10の構成は、胴部10を透明にすることができると共に、胴部10にガスバリア性を持たせることができる。また、胴部10の各層を上述した材料で上述した厚さにそれぞれ構成した場合、胴部10に、内容物を押し出すようにして注出させる性質であるスクイズ性を胴部10に持たせることができる。
【0069】
〈注出ユニット〉
注出ユニット20は、
図1及び
図2に示すように、注出口部21と、この注出口部21から径方向の外側に張り出す肩部24とによって構成されている。
【0070】
注出口部21は、筒状をなしており、中央にチューブ容器1の内側と外側とを連通させている空洞23が形成されている。肩部24は、円錐台状をなしており、注出口部21の下端部から径方向の外側に向かって張り出している。なお、肩部24は、円盤状に形成することもできる。
【0071】
図1及び
図2に示す注出ユニット20の例では、注出口部21に対してキャップ30が着脱可能に構成されている。この注出ユニット20では、注出口部21の外周面に螺旋状に延びる雄ねじ22が形成され、キャップ30の内周面には図示しない雌ねじが形成されている。この注出ユニット20では、注出口部21の雄ねじ22とキャップ30の雌ねじとを噛み合わせて、キャップ30を注出口部21に対して回すことによって、キャップ30で注出口部21を開閉させている。
【0072】
なお、注出ユニット20には、注出ユニット20自体を蓋として機能させることもできる。その場合、例えば、注出口部21自体を構成している材料で、注出口部21の上面の位置で空洞23を閉じておき、内容物を注出する際に、注出口部21の上面に穴を空けることによって、内容物を注出させる。また、
図5に示すように、注出口部21自体を構成している材料でメンブラン25を作製し、注出ユニット20の内側から空洞23を閉じておき、内容物を注出する際に、空洞23内のメンブラン25に穴を空けることによって、内容物を注出させるようにすることで、よりガスバリア性に優れた容器とすることもできる。メンブラン25を注出部20に設けた場合、注出ユニット20は、キャップ30を注出口部21に対して着脱可能に設けることもできる。
【0073】
注出ユニット20の肩部の幅は、この注出ユニット20が胴部10の開口した一端に挿入された状態で融着されることができるように、肩部24の最も離れた点を結ぶ長さL3が、胴部10の開口した一端の寸法よりも100μm以上、1000μm以下の範囲内で小さいことが好ましい。
【0074】
この注出ユニット20の肩部24の形状は、特に限定されず、例えば、注出ユニット20を平面視したときの肩部24の形状としては、
図6(A)に示す円形状又は略円形状、
図6(B)に示す楕円状又は略楕円形状に形成することができる。また、注出ユニット20の肩部24は、
図6(C)に示す四角形や
図6(D)に示す六角形のように多角形に形成することもできる。
【0075】
注出ユニット20は、
図7(A)に示す単層構造又は
図7(B)に示す多層構造をなしている。なお、注出ユニット20は、
図7(A)に示す単層構造及び
図7(B)に示す多層構造のいずれの場合においても、少なくとも内容物と接する面が非吸着性樹脂で成形されている。以下、注出ユニット20の各層構造について、具体的に説明する。
【0076】
注出ユニット20が
図7(A)に示す単層構造である場合、注出ユニット20は、非吸着性樹脂を含む樹脂で形成することができる。「含む」とは、非吸着性を損なわない範囲で、他の樹脂や添加剤等を必要に応じて含むことを意味している。必要に応じて含ませることができる他の樹脂としては、例えば、融着性の向上や柔軟性の向上の目的で低密度ポリエチレン(以下、「LDPE」という。)、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「L−LDPE」という。)等の樹脂を挙げることができる。なお、非吸着性樹脂の具体例は、胴部10の最内層16を構成している非吸着性樹脂と同様であり、ここではその説明を省略する。また、添加剤の具体例は、胴部10の最内層16に添加させる添加剤と同様であり、ここではその説明を省略する。ただし、注出ユニット20は、上述した胴部10の最内層16の樹脂と同様に、非吸着性樹脂で構成してもよい。
【0077】
また、単層構造の注出ユニットには、必要に応じて添加剤を添加することができる。添加剤として、例えば、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、有機フィラー、無機フィラー、又は着色剤等を挙げることができる。
【0078】
注出ユニット20が単層構造である場合、注出ユニット20の厚さは、50μm以上、50mm以下であり、好ましくは、300μm以上、30mm以下である。
【0079】
注出ユニット20が
図7(B)に示す多層構造である場合、注出ユニット20は、最内層26、中間層27及び最外層28を備えている。
【0080】
注出ユニット20を多層構造として構成する場合、注出ユニット20は、胴部10と注出ユニット20とが個の部材で構成される形態と、胴部10と注出ユニット20とが同一の部材で構成される形態との2つのタイプを含んでいる。
【0081】
注出ユニット20を胴部とは別の部材で構成する場合、注出ユニット20は、以下のように、構成することができる。
【0082】
最内層26は、非吸着性樹脂を含む樹脂で形成することができる。非吸着樹脂を含む樹脂は、上述した単相構造の注出ユニットを構成する非吸着性樹脂を含む樹脂と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0083】
中間層27は特に限定されないが、胴部10の層構成と同様のガスバリア層であることが好ましい。このときのガスバリア層としては、金属箔、アルミニウム等の金属若しくは無機酸化物を蒸着したフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、又は塩化ビニリデン若しくはナイロンを含む樹脂で成されたガスバリア層であることが好ましい。
【0084】
中間層27に、金属箔、アルミニウム等の金属又は無機酸化物を蒸着したフィルム等のように、最内層16及び最外層18と共押し出しができない材料を使用する場合、インサート成形等の成形方法が用いられる。
【0085】
中間層27としてエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含む樹脂を用いた場合、中間層27の厚さは、5μm以上、200μm以下、好ましくは、10μm以上、100μm以下にするとよい。
【0086】
中間層27としてナイロンを含む樹脂を用いた場合、ナイロンとしては、ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン66等を挙げることができる。また、中間層27として、アルミニウム蒸着ナイロン等の金属蒸着ナイロンを適用してもよい。こうした中間層27の厚さは、1μm以上、200μm以下であり、好ましくは、10μm以上、100μm以下である。
【0087】
最外層28も特に限定されないが、胴部10の層構成と同様の、非吸着性を有する層であったり柔軟性を有する層であったりすることが好ましい。
【0088】
以上の注出ユニット20は、例えば、射出成形法、押出成形法、圧空成形法、絞り成形法、圧縮成形法、インサート成形法で製造することができる。
【0089】
以上、胴部10と注出ユニット20とが別の部材で構成され、胴部10の一端側と注出ユニット20の肩部24とが融着されてなるチューブ容器1について説明した。胴部10と注出ユニット20とが別の部材で構成される場合、注出ユニット20の肩部24の材料と、肩部24に融着される胴部10の最内層16の材料とが同じであれば、胴部10の最内層10以外の層、例えば、中間層17や最外層18の材料は、注出ユニット20の材料とは異なる材料を用いることができる。
【0090】
注出ユニット20を胴部10と同様の部材で構成する場合、注出ユニット20は、以下のように、構成することができる。すなわち、チューブ容器1は、押出成形することによって、胴部10と注出ユニット20とを同一の材料で一体的に成形する。その場合、注出ユニット20の層構成と胴部10の層構成とは同一の層構成であり、注出ユニット20の最内層26、中間層27及び最外層28を構成する材料は、胴部10の、最内層16、中間層17及び最外層18を構成する材料と同一の材料を用いて成形すると便利である。そのため、注出ユニット20の最内層26は、胴部10の最内層16と同様に、非吸着性樹脂で構成するとよい。中間層27及び最外層28は、注出ユニット20を胴部10とは別の部材で構成する場合と同様なので、ここではその説明を省略する。
【0091】
以上に説明した注出ユニット20は、必ずしも透明である必要はないが、必要に応じて透明に形成することができる。
【0092】
〈内容物〉
チューブ容器1の内容物は、特に限定されず、例えば、低分子量の有機化合物である香料や有効成分を含有する、飲食物、化粧品又は薬剤等を挙げることができる。このチューブ容器1は、非吸着性に優れているので、内容物に含まれる低分子量の有機化合物がチューブ容器1に吸着されて、内容物の風味が変化したり効能が低下したりすることを抑制することができる。
【0093】
〈チューブ容器の製造方法〉
チューブ容器の製造方法は、下記の3タイプを含んでいる。第1タイプの製造方法は、筒体10aを押出成形で製造された筒体10aを用いてチューブ容器を製造する方法である。第2タイプの製造方法は、フィルム材で製造された筒体10aを用いてチューブ容器を製造する方法である。第3タイプの製造方法は、押出成形によって注出ユニットと胴部とを一体的に製造する方法である。
【0094】
(第1タイプの製造方法)
第1タイプの製造方法は、押出成形によって筒体10aを成形する工程と、注出ユニット20の成形及び筒体10aの軸方向の一端側を注出ユニット20の肩部24の周面に融着する工程と、筒体10aの軸方向の他端側を融着して閉じる工程と、を有している。なお、内容物は、筒体10aが注出ユニット20に融着された半製品の段階で、筒体10aの軸方向の他端側から充填され、筒体10aの軸方向の他端側は、内容物が充填された後に融着されて閉じてもよい。または、筒体10aが注出ユニット20に溶着され、筒体10aの軸方向の他端側を融着して閉じた後に空洞23を経由して充填してもよい。
【0095】
押出成形によって筒体10aを成形する工程では、胴部10として構成される必要な樹脂を押し出し、同心円状の層構造をなす筒体10aを形成する。
【0096】
次いで、注出ユニット20の成形及び筒体10aの軸方向の一端側を注出ユニット20の肩部24の外周面に融着する工程が行われる。この工程は、注出ユニット20の成形、及び注出ユニット20と筒体10aとの融着を同時に行う工程であり、筒体10aの軸方向の一端側の内側に、注出ユニット20の肩部24の外周面24aを形成することによって、筒体10aの軸方向の一端を融着する。
【0097】
その後、筒体10aの軸方向の他端側を融着して閉じる工程が行われる。筒体10aの軸方向の他端を融着し、筒体10aの軸方向の他端側を閉じる。その際、筒体10aは、その軸方向の他端側において、内面同士が重ね合わされ、融着される。融着は、ヒートシールされることにより行われる。
【0098】
なお、上記のチューブ容器1の製造方法は、注出ユニット20を筒体10aに対して成形と同時に融着する方法である。しかし、チューブ容器1の製造方法は、この製造方法には限定されず、注出ユニット20を別個に成形し、注出ユニット20の肩部24を筒体10aの軸方向の一端側の内側に挿入し、注出ユニット20の肩部24の外周面24aに筒体10aの軸方向の一端をヒートシール等によって融着してもよい。
【0099】
(第2タイプの製造方法)
第2タイプの製造方法は、フィルム材15を準備する工程と、フィルム材15の両側縁同士を融着して筒体10aを形成する工程と、注出ユニット20の成形及び筒体10aの軸方向の一端側を注出ユニット20の肩部24の周面に融着する工程と、筒体10aの軸方向の他端側を融着して閉じる工程と、を有している。なお、この製造方法においも、内容物は、筒体10aが注出ユニット20に融着された半製品の段階で、筒体10aの軸方向の他端側から充填され、筒体10aの軸方向の他端側は、内容物が充填された後に融着されて閉じてもよい。または、筒体10aが注出ユニット20に溶着され、筒体10aの軸方向の他端側を融着して閉じた後に空洞23を経由して充填してもよい。
【0100】
この製造方法では、まず、フィルム材15を準備する工程が行われる。フィルム材15は、上述した方法によって製造される。
【0101】
次いで、筒体10aを形成する工程が行われる。胴部10として構成される筒体10aは、矩形状のフィルム材15によって形成される。矩形状のフィルム材15は、両側縁15a,15bが重ね合わされ、円筒状の筒体10aに形成される。重ね合わせる領域は、矩形状のフィルム材15の左右方向の一方側の辺から長さがL1の位置までの領域、及び左右方向の他方の辺から長さがL1の位置の領域までの領域である。その際、
図3に示すように、フィルム材15の一方側の側縁15aの一面側15cとフィルム材15の他方側の側縁15bの他面側15dとを対向させて重ね合わせる。
【0102】
次いで、フィルム材15の重ね合わされた部分を融着する。融着はヒートシールによって行う。この融着された部分が背面シール部11として構成される。ヒートシールとしては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等を挙げることができる。
【0103】
なお、第2タイプの製造方法において、注出ユニットと胴部とを融着する工程以降の工程は、第1タイプの製造方法と同様である。
【0104】
(第3タイプの製造方法)
第3タイプの製造方法は、第1タイプの製造方法及び第2タイプの製造方法において、胴部10と注出ユニット20とを融着するまでの工程が胴部10と注出ユニット20とが押出成形によって一体的に成形される工程に置き換えられる。第3タイプの製造方法において、内容物を充填する工程以降の工程は、第1タイプの製造方法及び第2タイプの製造方法と同様である。
【0105】
[第2実施形態]
次に、
図8及び
図9を参照して第2実施形態のチューブ容器2について説明する。第2実施形態のチューブ容器2は、胴部10の底部(他端側)が蓋材である底蓋40によって閉じられていること以外の構成は、第1実施形態のチューブ容器1の構成と同様である。そのため、第2実施形態のチューブ容器2に関しては、第1実施形態のチューブ容器1の構成と同様の構成は、図面に同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0106】
第2実施形態のチューブ容器は、内容物を注出する注出ユニット20と、この注出ユニット20に融着された胴部10と、胴部10の底部を閉じる底蓋40とから構成されている。
【0107】
注出ユニット20は、注出口部21と肩部24とにより構成されている。この注出ユニット20の材質及び構成は、第1実施形態のチューブ容器1を構成する注出ユニット20の材質及び構成と同様である。
【0108】
胴部10は、フィルム材15で形成された筒体10aによって形成されている。この胴部10の材質は、第1実施形態のチューブ容器1を構成する胴部10の材質と同様である。胴部10の構成は、第1実施形態のチューブ容器1を構成する胴部10とは異なっており、その軸方向の一端側には注出ユニット20が取り付けられ、他端側には底蓋40が取り付けられている。なお、胴部10と注出ユニット20との取り付けの構成は、第1実施形態のチューブ容器1と同様である。
【0109】
蓋材である底蓋40は、
図9に示すように、底面41と周面42とにより構成されている。底面41は、平坦な円盤状をなしており、胴部の底部を閉じる機能を有している。周面42は、底面の周縁に設けられており、胴部10の底部に融着させる部位である。この底蓋40の材質及び層構造は、少なくとも内容物と接する面が非吸着性樹脂を含む樹脂、又は非吸着性樹脂で形成されていれば特に限定はないが、上述した注出ユニット20と同様の材料を用い、同様の層構造に形成するとよい。
【0110】
この底蓋40は、例えば、胴部10として構成される筒体10aの底部にて周面42を筒体10aの内部に挿入し、周面42の外周面と筒体10aの内周面とを融着することによって、取り付けられる。ただし、筒体10aを周面42の内側に挿入し、筒体10aの底部と周面42とを融着してもよい。
【0111】
以上、本発明に係るチューブ容器1によれば、胴部10が透明なガスバリア層を少なくとも有する中間層17を含むので、内容物をチューブ容器1の外から確認することができると共に、ガスバリア性を有する。その結果、内容物の残量等を目で見て確認することができ、内容物の風味や効能等の低下を抑制することができる。また、胴部10の最内層16が非吸着性樹脂で形成されているので、内容物の有効成分等をチューブ容器への吸着を抑制することができる。また、上記の層構成を有する胴部10は、押出成形で筒状の部材を形成したり、矩形状のフィルム材の側縁同士を重ね合わせて筒状の部材を形成したりすることができるので、多様な方法でチューブ容器1を製造することができる。
【実施例】
【0112】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0113】
以下の実施例1〜9のチューブ容器1は、上述した第1実施形態のチューブ容器1と同様の構成のチューブ容器である。また、胴部は、押出成形によって製作した。実施例1〜9のチューブ容器1の胴部の層構成、及び比較例1のチューブ容器の胴部の層構成を表1にそれぞれ示す。
【0114】
【表1】
【0115】
[実施例1]
実施例1のチューブ容器は、胴部の最内層及び最外層はイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートからなり、中間層はポリアミド系樹脂からなる層とした。最内層及び最外層のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートは、株式会社ベルポリエステルプロダクツ製のIFG−8Lを用い、中間層のポリアミド系樹脂は、三菱ガス化学株式会社製のナイロンMXD6を用いた。最内層の厚さは67μm、中間層の厚さは36μm、最外層の厚さは33μmである。
【0116】
[実施例2]
実施例2のチューブ容器は、実施例1において、最外層を軟質ポリエステル系樹脂にした他は実施例1と同様である。最外層の軟質ポリエステルは、透明且つ柔軟性を有する、株式会社ベルポリエステルプロダクツ製のPRIT30を用いた。このときの最内層の厚さは83μm、中間層の厚さは48μm、最外層の厚さは28μmである。
【0117】
[実施例3]
実施例3のチューブ容器は、実施例2において、最内層の厚さを145μm、中間層の厚さを49μm、最外層の厚さを17μmに形成した他は実施例2と同様である。
【0118】
[実施例4]
実施例4のチューブ容器は、実施例2において、中間層をエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を用いた他は実施例2と同様である。このときの最内層の厚さは93μm、中間層の厚さは35μm、最外層の厚さは15μmである。
【0119】
[実施例5]
実施例5のチューブ容器は、実施例4において、最内層の厚さを107μm、中間層の厚さを59μm、最外層の厚さを26μmにした他は実施例4と同様である。
【0120】
[実施例6]
実施例6のチューブ容器は、実施例4において、最外層をポリエチレン樹脂にした他は実施例4と同様である。このときの最内層の厚さは91μm、中間層の厚さは34μm、最外層の厚さは28μmである。
【0121】
[実施例7]
実施例7のチューブ容器は、実施例6において、最内層の厚さを98μm、中間層の厚さを54μm、最外層の厚さを47μmにした他は実施例6と同様である。
【0122】
[実施例8]
実施例8のチューブ容器は、実施例1において、最外層をポリエチレン樹脂にした他は実施例1と同様である。このとき、最内層の厚さは87μm、中間層の厚さは33μm、最外層の厚さは33μmである。
【0123】
[実施例9]
実施例9のチューブ容器は、実施例8において、最内層の厚さを113μm、中間層の厚さを49μm、最外層の厚さを40μmにした他は実施例8と同様である。
【0124】
[比較例1]
比較例1は、胴部として一般的に用いられているポリエチレンテレフタレートを用いた容器である。比較例1の包装容器の胴部は、単層である。この比較例1において、胴部の厚さは125μmである。
【0125】
[測定及び結果]
上記の実施例1〜9及び比較例1のチューブ容器について、透過率、ガスバリア性及び非吸着性を測定した。透過率、ガスバリア性及び非吸着性の測定結果を表2に示す。
【0126】
【表2】
【0127】
(透過率)
透過率は、特定の波長の入射光が試料を通過する割合であり、3cm角に切り取った胴部のフィルムを、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター NDH4000を用い、JIS K7105に準じて測定した。
【0128】
実施例1〜9及び比較例1の透過率の測定結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1では90.6%、実施例2では90.6%、実施例3では90.1%、実施例4では90.4%、実施例5では90.7%、実施例6では90.9%、実施例7では90.9%、実施例8では90.8%、実施例9では90.8%であった。一方、比較例1では87.4%であった。
【0129】
ポリエチレンテレフタレートだけで形成された比較例1の透過率と、実施例1〜9の透過率とをそれぞれ比較した結果、実施例1,2及び実施例4〜9は比較例1の約1.04倍、実施例3は比較例1の約1.03倍の透過率であった。実施例1〜9のすべての実施例の透過率は、比較例1の透過率よりも高いことが判明した。
【0130】
(ガスバリア性)
ガスバリア性は、MOCON社製、OX−TRAN 2/20型の酸素透過度測定装置を用い、JIS K 7126に準じ、30℃、70%RHの条件で測定し、測定値の比較のため、各測定値を厚さ400μmに換算した。このガスバリア性の測定において、ポリエチレンテレフタレート(比較例1)の測定結果である3.0cc/m
2・day・atm以上を評価「×」とし、測定結果が3.0cc/m
2・day・atm未満の場合には評価「○」、測定結果が0.5cc/m
2・day・atm以下の場合には評価「◎」とした。
【0131】
各実施例1〜9と比較例1のガスバリア性の評価結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1〜3及び実施例8,9の評価は「○」であり、さらに、実施例4〜7の評価は「◎」であり、いずれも比較例1に比べ、良好なガスバリア性を示した。
【0132】
(非吸着性)
非吸着性は、胴部フィルムを用いて小袋を作製し、有効成分として酢酸α−トコフェロール(ビタミンEアセテート)を含む市販の化粧水2.5mlを小袋に入れ、密封した。密封した小袋を40℃で1ヶ月及び3ヶ月保管した後に開封し、化粧水中の酢酸α−トコフェロールの残存量を高速液体クロマトグラフィ法で定量し、残存量から非吸着性を測定した。非吸着性評価測定の結果は、表2に示すように、実施例1から実施例9、及び比較例1のすべてについて、良好な非吸着性を有するという結果を得ることができた。